(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793389
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】過熱水蒸気供給ユニット
(51)【国際特許分類】
F22G 3/00 20060101AFI20201119BHJP
F24H 1/10 20060101ALI20201119BHJP
F22G 1/16 20060101ALI20201119BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20201119BHJP
H05B 3/40 20060101ALI20201119BHJP
H05B 3/42 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
F22G3/00 Z
F24H1/10 G
F22G1/16
H05B3/00 340
H05B3/40 A
H05B3/42
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-140401(P2016-140401)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-9764(P2018-9764A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】北野 嘉秀
(72)【発明者】
【氏名】北野 孝次
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−075891(JP,A)
【文献】
特開2009−019805(JP,A)
【文献】
特開昭48−025942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22G 3/00
F22G 1/16
F24H 1/10
H05B 3/00
H05B 3/40
H05B 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱水蒸気利用炉に取り付けられて炉内に過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給ユニットであって、
内部に流路が形成された導電性材料からなる流路形成体と、
前記流路形成体の流路一端側に接続された第1の電極と、
前記流路形成体の流路他端側に接続された第2の電極と、
前記流路形成体及び前記各電極を収容する筐体と、
前記筐体に設けられて、外部電源が接続されるとともに、前記各電極が接続された電源接続部と、
前記流路形成体の一端部に形成され、前記流路に前記筐体の外部から蒸気を導入する水蒸気導入部と、
前記流路形成体において前記水蒸気導入部の下流側に形成され、前記流路から前記筐体の外部に過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気導出部と、
前記筐体の内部に設けられて、前記流路形成体からの熱を遮断する断熱部材とを具備する過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項2】
前記筐体は、前記過熱水蒸気利用炉に取り付けられる取付面部を有している、請求項1記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項3】
前記筐体は、前記過熱水蒸気利用炉に外付けされるものであり、
前記過熱水蒸気導出部は、前記取付面部に位置している、請求項2記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項4】
前記過熱水蒸気導出部は、前記取付面部に複数位置している、請求項3記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項5】
前記筐体は、前記取付面部とは異なる位置に形成された側壁部を有しており、前記側壁部に前記水蒸気導入部が位置している、請求項2乃至4の何れか一項に記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項6】
前記筐体は、前記取付面部とは異なる位置に形成されて、互いに対向する一対の側壁部を有しており、
前記一対の側壁部の一方に前記水蒸気導入部が位置しており、前記一対の側壁部の他方に前記過熱水蒸気導出部が位置している、請求項2乃至5の何れか一項に記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項7】
前記水蒸気導入部及び前記過熱水蒸気導出部は、絶縁材料を用いて構成されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項8】
前記過熱水蒸気導出部は、別の過熱水蒸気供給ユニットの水蒸気導入部に接続可能に構成されている、請求項1乃至7の何れか一項に記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項9】
前記筐体の内部に設けられて、前記流路形成体及び前記各電極と前記筐体とを互いに絶縁する絶縁部材をさらに備える、請求項1乃至8の何れか一項に記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【請求項10】
前記流路形成体は、直線状の流路を形成する複数の直線部と、これら直線部を直列的に順次接続する折返し部とを有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の過熱水蒸気供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱水蒸気利用炉に取り付けられて炉内に過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、過熱水蒸気利用炉に過熱水蒸気を供給するものとしては、特許文献1に示すように、導体管の両端部に接続された電極に電圧を印加して導体管を通電加熱し、当該導体管を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成するものがある。
【0003】
この過熱水蒸気生成装置は、過熱水蒸気利用炉の内部に導体管がむき出し状態で設置されており、その導体管に形成された過熱水蒸気導出口から炉内に過熱水蒸気を供給するように構成されている。
【0004】
しかしながら、上記構成では、導体管が少なくとも過熱水蒸気利用炉の内部にむき出し状態で設置されているため、ユーザが過熱水蒸気利用炉内の被処理物を交換する場合や過熱水蒸気
利用炉内をメンテナンスする場合などに、導体管や電極に不意に触れてしまい、火傷、感電又はスパークの恐れがある。
【0005】
また、上記の過熱水蒸気供給装置では、実用上、使用される過熱水蒸気利用炉と導体管との取り合いが決まってから、使用される過熱水蒸気利用炉専用の断熱構造や絶縁構造を設計する必要がある。使用される過熱水蒸気利用炉は、ユーザの仕様により決定されるため、それに対応する導体管の構成も個別に設計する必要がある。これらのことから、上記構成の過熱水蒸気生成装置は、取り扱いが容易ではなく、ユーザにとって不便なものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−83913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、過熱水蒸気利用炉の仕様に対して専用の断熱構造及び絶縁構造を設計する必要がなく、取り扱いが容易で、ユーザの利便性を向上した過熱水蒸気供給ユニットを提供することをその主たる課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る過熱水蒸気供給ユニットは、過熱水蒸気利用炉に取り付けられて炉内に過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給ユニットであって、内部に流路が形成された導電性材料からなる流路形成体と、前記流路形成体の流路一端側に接続された第1の電極と、前記流路形成体の流路他端側に接続された第2の電極と、前記流路形成体及び前記各電極を収容する筐体と、前記筐体に設けられて、外部電源が接続されるとともに、前記各電極が接続された電源接続部と、前記筐体に設けられて、前記流路に蒸気を導入する水蒸気導入部と、前記筐体に設けられて、前記流路から過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気導出部と、前記筐体の内部に設けられて、前記流路形成体からの熱を遮断する断熱部材とを具備することを特徴とする。
【0009】
このような過熱水蒸気供給ユニットであれば、通電加熱により高温となる流路形成体及び各電極が筐体内に収容されているので、ユーザが流路形成体及び各電極に不意に触れる恐れがない。また、筐体の内部に断熱部材が設けられているので、ユーザが筐体に触れたとしても火傷の心配もない。さらに、流路形成体及び各電極が筐体内に収容されているので、筐体の内部で絶縁処理を行うことができ、流路形成体及び各電極に触れることによる感電、及び流路形成体又は電極からのスパークを防止することもできる。さらに、筐体によってユニット化されており、このユニットが過熱水蒸気利用炉に取り付けられるように構成されているので、過熱水蒸気利用炉の仕様に対して専用の断熱構造及び絶縁構造を設計する必要がなく、取り扱いが容易で、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0010】
過熱水蒸気供給ユニットと過熱水蒸気利用炉との距離を可及的に小さくして、それらの間の配管を短くするためには、前記筐体は、前記過熱水蒸気利用炉に取り付けられる取付面部を有していることが望ましい。ここで、前記取付面部が過熱水蒸気利用炉の側壁に直接取り付けられることが望ましい。
【0011】
過熱水蒸気供給ユニットと過熱水蒸気利用炉との間の配管を不要にするためには、前記筐体は、前記過熱水蒸気利用炉に外付けされるものであり、前記過熱水蒸気導出部は、前記取付面部に設けられていることが望ましい。この場合、過熱水蒸気利用炉におけるユニット装着部分には、過熱水蒸気供給ユニットの過熱水蒸気導出部に対応した過熱水蒸気通過部(開口部)が形成されている。
このように過熱水蒸気供給ユニットを過熱水蒸気利用炉に外付けする構成であれば、ユーザが過熱水蒸気利用炉の内部設計を過熱水蒸気供給ユニットのスペースを考慮することなく行うこともできる。
【0012】
過熱水蒸気供給ユニットを過熱水蒸気利用炉に取り付けた状態で、できるだけ広範囲に効率的に過熱水蒸気を供給するためには、前記過熱水蒸気導出部は、前記取付面部に複数設けられていることが望ましい。
【0013】
前記筐体は、前記取付面部とは異なる位置に形成された側壁部を有しており、前記側壁部に前記水蒸気導入部が設けられていることが望ましい。
この構成であれば、過熱水蒸気供給ユニットを過熱水蒸気利用炉に取り付けた状態で、水蒸気導入部に接続される水蒸気導入配管を無理なく接続することができる。また、水蒸気導入部に接続される水蒸気導入配管が、過熱水蒸気供給ユニットを過熱水蒸気利用炉に取り付ける際に邪魔になることがない。
【0014】
前記筐体は、前記取付面部とは異なる位置に形成されて、互いに対向する一対の側壁部を有しており、前記一対の側壁部の一方に前記水蒸気導入部が設けられており、前記一対の側壁部の他方に前記過熱水蒸気導出部が設けられていることが望ましい。
この構成であれば、取付面部に水蒸気導入部及び過熱水蒸気導出部を設ける構成に比べて取付面部の構成を簡単にすることができ、また、水蒸気導入部及び過熱水蒸気導出部を設ける側壁が異なるので、各側壁の構成も簡単にすることができる。
【0015】
水蒸気導入部及び過熱水蒸気導出部は、筐体から外部に晒されており、ユーザが触れて感電してしまう恐れがある。このため、前記水蒸気導入部及び前記過熱水蒸気導出部は、絶縁材料を用いて構成されていることが望ましい。
【0016】
前記過熱水蒸気導出部は、別の過熱水蒸気供給ユニットの水蒸気導入部に接続可能に構成されていることが望ましい。具体的に水蒸気導入部及び過熱水蒸気導出部は、絶縁フランジを用いて構成されていることが望ましい。
この構成であれば、使用する過熱水蒸気利用炉のサイズや、過熱水蒸気の利用用途に合わせて、複数の過熱水蒸気供給ユニットを簡単に接続して組み合わせて用いることができる。
【0017】
ユーザが筐体に触れることによる感電を好適に防止するためには、前記筐体の内部に設けられて、前記流路形成体及び前記各電極と前記筐体とを互いに絶縁する絶縁部材をさらに備えることが望ましい。
【0018】
前記流路形成体は、直線状の流路を形成する複数の直線部と、これら直線部を直列的に順次接続する折返し部とを有することが望ましい。
この構成であれば、筐体内における流路を長くすることができ、過熱水蒸気の生成量を増大することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように構成した本発明によれば、過熱水蒸気利用炉の仕様に対して専用の断熱構造及び絶縁構造を設計する必要がなく、取り扱いが容易で、ユーザの利便性を向上した過熱水蒸気供給ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態の過熱水蒸気供給ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の過熱水蒸気供給ユニットを2つ接続した状態を示す模式図である。
【
図3】第2実施形態の過熱水蒸気供給ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】変形実施形態の過熱水蒸気供給ユニットを2つ接続した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る過熱水蒸気供給ユニット100は、過熱水蒸気利用炉TCに取り付けられて炉内に過熱水蒸気を供給するものである。
【0022】
具体的に過熱水蒸気供給ユニット100は、
図1に示すように、内部に流路が形成された導電性材料からなる流路形成体2と、流路形成体2の流路一端側に接続された第1の電極3と、流路形成体2の流路他端側に接続された第2の電極4と、流路形成体2及び前記各電極3、4を収容する筐体5とを備えている。
【0023】
流路形成体2は、例えば円筒状をなす導体管から構成されており、直線状の流路を形成する複数(
図1では3つ)の直線部2aと、これら直線部2aを直列的に順次接続する折返し部2bとを有している。折返し部2bは、直線部2aがそれぞれ互いに略平行になるように、コの字状又はU字状に構成されている。これにより、流路形成体2は、1又は複数回往復した流路を形成している。
【0024】
ここで、直線部2aの配置構成としては、直線部2aがそれぞれ互いに略平行になっているものであれば良く、同一平面状に等間隔に配置されているものでも良いし、3つの直線部2aを三角形の頂点に位置するように配置されたものであっても良い。その他、流路形成体2の直線部2aの数は3個に限定されず、3個以外の複数であっても良い。
【0025】
そして、流路形成体2の一端部2mには外部の水蒸気生成部(不図示)から供給される水蒸気(飽和水蒸気又は過熱水蒸気)を導入するための水蒸気導入部6が形成されている。また、流路形成体2の他端部2nには流路形成体2により生成された過熱水蒸気を外部に導出するための過熱水蒸気導出部7が形成されている。
【0026】
また、流路形成体2の一端部2mには、第1の電極3が接続されている。また、流路形成体2の他端部2nには、第2の電極4が接続されている。第2の電極4は、流路形成体2の直線部2aに沿って流路一端側(一端部2m)に向かって延び設けられている。
【0027】
筐体5は、例えば直方体形状をなすものであり、例えば耐食性に優れたステンレス製のものである。筐体5は、過熱水蒸気利用炉TCに取り付けられる取付面部51を有している。本実施形態の取付面部51は、筐体5の長手方向一端側の側壁(左側壁)5aである。そして、筐体5は、この取付面部51を介して過熱水蒸気利用炉TCの側壁部TCaに直接取り付けられている。取付構造としては、筐体5に設けられた取付フランジ(不図示)を介してねじ固定するものであっても良いし、別体の取付部材(不図示)により固定するものであっても良い。
【0028】
この筐体5の取付面部51には、流路形成体2の他端部2nに形成された過熱水蒸気導出部7が設けられている。また、過熱水蒸気利用炉TCの側壁TCaにおけるユニット装着部分には、取付面部51の過熱水蒸気導出部7に対応した過熱水蒸気通過部(開口部)TC1が形成されている。また、筐体5の取付面部51に対向する側壁(長手方向他端側の右側壁)5bには、流路形成体2の一端部2mに形成された水蒸気導入部6が設けられている。なお、本実施形態の場合、水蒸気導入部6が設けられる側壁は、取付面部51が設定された側壁以外の側壁であればいずれの側壁であっても良い。
【0029】
なお、水蒸気導入部6及び過熱水蒸気導出部7は、絶縁材料を用いて構成されている。具体的に水蒸気導入部6及び過熱水蒸気導出部7は、絶縁フランジ6F、7Fを用いて構成されている。これにより、
図2に示すように、別の過熱水蒸気供給ユニット100と接続可能となる。つまり、1つの過熱水蒸気供給ユニット100の過熱水蒸気導出部7が別の過熱水蒸気供給ユニット100の水蒸気導入部6に直接接続される、又は、別部材の連結配管を介して接続される。
【0030】
さらに筐体5の側壁(下側壁)5cには、第1の電極3及び第2の電極4が電気的に接続された電源接続部8が設けられている。この電源接続部8は端子台であり、単相交流電源である外部電源Pのリード線Lが接続される。電源接続部8は、筐体5を過熱水蒸気利用炉TCに取り付ける際に邪魔とならない位置に設けられている。なお、外部電源Pは、過熱水蒸気供給ユニット100から導出される過熱水蒸気の温度が所定温度となるように図示しない制御部により電力制御される。なお、過熱水蒸気の温度は、例えば過熱水蒸気導出部7又はその近傍に設けられた温度センサ(不図示)により検出される。
【0031】
しかして、本実施形態の過熱水蒸気供給ユニット100は、筐体5の内部に設けられて、流路形成体2からの熱を遮断する断熱部材9と、筐体5の内部に設けられて、流路形成体2及び各電極3、4と筐体5とを互いに絶縁する絶縁部材10とを備えている。
【0032】
断熱部材9は、筐体5の内面に沿って設けられており、流路形成体2及び各電極3、4の周囲を覆うように設けられている。断熱部材9としては、例えば、ケイ酸カルシウムを主成分とした断熱板や、セラミックファイバー、アルミナファイバー等を原料とするブランケット状断熱材等が考えられる。
【0033】
絶縁部材10は、断熱部材9と同様に、筐体5の内面に沿って設けられており、流路形成体2及び各電極3、4の周囲を覆うように設けられている。絶縁部材10としては、例えば、マイカや耐熱シリカクロス等が考えられる。ここで、断熱部材9及び絶縁部材10を、断熱性及び絶縁性を有する、例えば電気絶縁断熱板等の単一の部材を用いて構成すれば、筐体5の内部構成を簡単化することができる。その他、絶縁部材10は、流路形成体2の外側周面を覆うように流路形成体2の外側周面に巻回する等により設けても良い。
【0034】
<第1実施形態の効果>
このように構成した過熱水蒸気供給ユニット100によれば、通電加熱により高温となる流路形成体2及び各電極3、4が筐体5内に収容されているので、ユーザが流路形成体2及び各電極3、4に不意に触れる恐れがない。また、筐体5の内部に断熱部材9及び絶縁部材10が設けられているので、ユーザが筐体5に触れたとしても火傷及び感電の心配がなく、流路形成体2又は電極3、4からのスパークも防止することができる。さらに、筐体5によってユニット化されており、このユニット100が過熱水蒸気利用炉TCに取り付けられるように構成されているので、過熱水蒸気利用炉TCの仕様に対して専用の断熱構造及び絶縁構造を設計する必要がなく、取り扱いが容易で、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0035】
その他、外部電源Pから単相交流電圧を電極3、4を介して流路形成体2に印加すると、各直線部2aに流れる電流の向き及び第2の電極4に流れる電流の向きが逆向きとなる。そうすると、それぞれの電流により発生する磁束が打ち消し合い、流路形成体2に発生するインピーダンスが低減されて回路力率を改善することができる。したがって、過熱水蒸気供給ユニット100の設備効率を向上させることができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る過熱水蒸気供給ユニット100について、
図3を参照して説明する。
【0037】
第2実施形態に係る過熱水蒸気供給ユニット100は、前記第1実施形態とは流路形成体2の構成、及び筐体5の取付面部51の位置が異なる。
【0038】
具体的に流路形成体2は、例えば円筒状をなす導体管から構成されており、直線状の流路を形成する複数(
図3では4つ)の直線部2aと、これら直線部2aを直列的に順次接続する折返し部2bとを有している。折返し部2bは、直線部2aがそれぞれ互いに略平行になるように、コの字状又はU字状に構成されている。
【0039】
そして、この流路形成体2の他端部2nは閉塞されており、少なくとも最下流側の直線部2a(2ax)に過熱水蒸気導出部7となる複数の流体噴出孔が形成されている。この複数の流体噴出孔は、最下流側の直線部2axにおいて長手方向の略全体に形成されているが、長手方向の一部、例えば最下流側の直線部2axの長手方向中央部から他端部に形成しても良い。このように流路形成体2は、上流側に1つの水蒸気導入部6を有し、その下流側に複数の過熱水蒸気導出部7を有する構成としてある。なお、流体噴出孔に流体噴出ノズルを設けて過熱水蒸気導出部7を構成しても良い。
【0040】
また、流路形成体2の一端部2m及び他端部2nはともに、筐体5の長手方向一端側に位置するように構成されている。これにより、流路形成体2に接続される第1の電極3及び第2の電極4の両方が長手方向一端側に位置する構成となり、筐体5内部の構成を簡単にすることができる。ここで、電源接続部8を、筐体5の長手方向一端側に設けることにより、第1の電極3及び第2の電極4の構成をより一層簡単にすることができる。なお、電源接続部8は、筐体5の長手方向に沿った長手側壁(上側壁)5dに設けられている。
【0041】
筐体5の取付面部51は、筐体5の長手方向に沿った長手側壁(下側壁)5cに設定されている。この取付面部51には、長手方向に沿って複数の過熱水蒸気導出部7が設けられている。また、図
3に示すように、過熱水蒸気利用炉TCの側壁TCaにおけるユニット装着部分には、取付面部51の過熱水蒸気導出部7に対応した過熱水蒸気通過部(開口部)TC1が形成されている。なお、本実施形態の断熱部材9及び絶縁部材10は、筐体の内部において、下側壁5c以外の側壁の内面に配置される構成とされているが、下側壁5cの内面にも配置しても良い。
【0042】
<第2実施形態の効果>
このように構成した過熱水蒸気供給ユニット100によれば、前記第1実施形態の効果に加えて、筐体5の取付面部51に複数の過熱水蒸気導出部7を設けているので、1つの過熱水蒸気供給ユニットにより広い範囲に効率的に過熱水蒸気を供給することができる。
【0043】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0044】
例えば、前記第2実施形態の過熱水蒸気供給ユニット100を別の過熱水蒸気供給ユニット100に接続可能に構成しても良い。この場合、流路形成体2は、
図4に示すように、直線部2a又は折返し部2bから分岐して、別の過熱水蒸気供給ユニット100の水蒸気導入部6に接続される接続部11を有する分岐流路部2cを有する。この接続部11は、絶縁フランジにより構成されている。なお、この構成の過熱水蒸気供給ユニット100を単体で用いる場合には、分岐流路部2cを閉塞して用いる。
【0045】
また、前記各実施形態の流路形成体2は、1本の流路を形成するものであったが、途中で複数の分岐流路に分岐するものであっても良い。この場合、各分岐流路に過熱水蒸気導出部を設ける構成とすることが考えられる。
【0046】
さらに、1つの筐体5の内部に複数の流路形成体2を収容する構成としても良い。
【0047】
さらに、前記実施形態の過熱水蒸気供給ユニット100は、流路形成体に単相交流圧を印加する構成であったが、流路形成体に三相交流電圧を印加する構成であっても良い。具体的には、3つの電極を流路形成体に流路方向に沿った異なる位置に設けて、それら3つの電極にU相、V相及びW相を接続することが考えられる。
【0048】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
100・・・過熱水蒸気供給ユニット
TC・・・過熱水蒸気利用炉
2・・・流路形成体
2a・・・直線部
2b・・・折返し部
3・・・第1の電極
4・・・第2の電極
5・・・筐体
51・・・取付面部
6・・・水蒸気導入部
7・・・過熱水蒸気導出部
8・・・電源接続部
P・・・外部電源
9・・・断熱部材
10・・・絶縁部材
6F、7F・・・絶縁フランジ