(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793400
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】壁面収納舞台
(51)【国際特許分類】
A63J 1/00 20060101AFI20201119BHJP
B43L 1/04 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
A63J1/00
B43L1/04 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-213691(P2017-213691)
(22)【出願日】2017年11月6日
(65)【公開番号】特開2019-83988(P2019-83988A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】503030506
【氏名又は名称】ニチブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大喜
【審査官】
目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−158675(JP,A)
【文献】
実開昭58−026592(JP,U)
【文献】
実公昭51−012927(JP,Y1)
【文献】
特開昭60−012092(JP,A)
【文献】
特開2010−262130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J1/00−99/00
A63K1/00−99/00
B43L1/00−12/02、15/00−27/04
E04H3/00−4/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に凹設された格納庫の床面上に固定脚を直立固定し、該固定脚の上部には、水平状態と直立状態に俯仰可能な舞台の基端部を枢着し、舞台の直立状態で前記壁と一様と成す舞台の底板は、少なくとも先端部が分割形成されると共に、舞台の水平状態で支持脚として直角に突出し、舞台の直立状態で底板として面一に納まる様に回動可能に設けられ、底板において支持脚の起曲で開口した連通口近傍の舞台内側に、該舞台の側板外面より出没自在な錠杆を設け、該錠杆先端が挿脱される錠受けを格納庫の側壁に設け、底板の表面上には、筆記と筆記消去の繰り返し使用が可能なホワイトボードや黒板等の書き込みボードを貼着したことを特徴とする壁面収納舞台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に凹設された格納庫に直立状態で収納される壁面収納舞台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直立状態と水平状態に俯仰可能に舞台の基端側を枢着し、舞台の直立状態で壁に凹設された格納庫に収容する様に成した壁面収納舞台が開示されている。
【0003】
この舞台は、その内部に舞台の俯仰を支持すると共に、直立状態を保持する舞台支持装置としての多数のステイダンパと、舞台の俯仰に応じて伸縮する様に連繋した圧縮コイルバネを舞台の起き上がり方向に付勢した多数の助勢手段を設けている。
【0004】
ステイダンパは、その一端を舞台の基端側を枢着した枢軸に回動可能に装着した取付板に連結すると共に、その他端を舞台床板を支持する根太に連結しており、舞台の直立状態ではそのロッドが押し込まれた状態となって舞台を押圧保持し、舞台の水平状態へ至る傾動中では、舞台の傾倒につれ所定群のロッドが徐々に引き出されて舞台を支持することにより、舞台の急速な倒伏を防止する様に成している。
【0005】
助勢手段は、上記枢軸に軸着固定されたスプロケットと、牽引装置とから成り、牽引装置は、ヘッド部をスプロケットに指向する様にテール部を舞台内適所に枢着したシリンダと、シリンダ内をその長さ方向に摺動自在に配設したピストンと、ピストンとヘッド部間に介装された圧縮コイルバネと、ピストンより突設してヘッド部を貫通突出して成るロッドと、該ロッドの突出端部に一端を連結したチェーンとから成り、チェーンは、スプロケットの円周部の一部に係合巻着されると共に、他端がスプロケットに固定されている。
【0006】
そして、上記の様に構成された助勢手段は、舞台の直立状態で、チェーンによる引張力がバネに作用しない様に設定し、舞台の水平状態で、チェーンがスプロケットに直立状態よりも長く巻き付いてロッドを引張してバネを圧縮させる様に設定し、舞台の水平状態において、舞台の使用状態に支障がない程度でバネの復元力が舞台の起き上がり方向に付勢する様に成している。
【0007】
これにより、舞台を格納庫に直立収納する際に、舞台を少し持ち上げればコイルバネによる付勢で舞台が所定勾配まで起立回動し、その後はステイダンパによって舞台を直立させれば、格納庫内に簡単に舞台を直立収納できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平4−25497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記構成の壁面収納舞台は、壁に凹設された格納庫に収容された直立状態で舞台の底板が前記壁と同一平面上に配置されるため、その底板を前記壁面と同様な装飾が施されているに過ぎなかった。
そこで本発明では、上記の様な舞台の底板表面上に、筆記と筆記消去の繰り返し使用が可能なホワイトボードや黒板等の書き込みボードを設置し、舞台を直立させた壁面収納状態で底板上の書き込みボードを活用できる様にした壁面収納舞台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明の壁面収納舞台は、
壁に凹設された格納庫の床面上に固定脚を直立固定し、該固定脚の上部には、水平状態と直立状態に俯仰可能な舞台の基端部を枢着し、舞台の直立状態で前記壁と一様と成す舞台の底板は、少なくとも先端部が分割形成されると共に、舞台の水平状態で支持脚として直角に突出し、舞台の直立状態で底板として面一に納まる様に回動可能に設けられ、
底板において支持脚の起曲で開口した連通口近傍の舞台内側に、該舞台の側板外面より出没自在な錠杆を設け、該錠杆先端が挿脱される錠受けを格納庫の側壁に設け、底板の表面上には、筆記と筆記消去の繰り返し使用が可能なホワイトボードや黒板等の書き込みボードを貼着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
要するに本発明は、上記構成からなるので、舞台を直立させた壁面収納状態で壁面として露出する舞台底板の表面上には、筆記と筆記消去の繰り返し使用が可能なホワイトボードや黒板等の書き込みボードが設置されているため、舞台を直立させた壁面収納状態では、その底板は単なる壁面としてしか利用できなかった従来に比し書き込みボード有する壁面と成すことができ、その書き込みボードを有効的に活用することができる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】舞台を直立させた壁面収納状態を示す正面図である。
【
図2】同上底板及び側板を省略した舞台内部を示す右半分の正面図である。
【
図5】同上支持脚を突出させた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る壁面収納舞台(以下、単に舞台とも称する。)1は、基端部を水平状態と直立状態に俯仰可能に枢着し、舞台設置室Rの壁Wに凹設された格納庫Hに直立状態で収納可能に設けられている。
【0014】
舞台1は、これの水平状態で水平配置される床板2と、舞台1の直立状態で壁Wと一様と成す底板3とを同一面積に形成して平行配置し、該底板3と床板2の左右側縁間に細長帯状の側板4を、先端間には細長帯状の蹴込板5を夫々架設し、扁平箱型に形成している。
尚、舞台1は左右対称構造であり、その内部を示す
図2は右側のみを表している。
【0015】
格納庫Hの床面f上には、横手(左右)方向に複数の固定脚6を直立固定し、該固定脚6の上部には、床板2裏面に固定脚6に対応して複数平行配置した前後方向に長い根太7の基端部を枢着し、これにより舞台1を俯仰可能と成す様に舞台1の基端部が枢着されることとなる。
尚、左右側縁の固定脚6の正面間には、左右方向に長い帯状の幕板6aを架設している。
【0016】
又、左右側方で平行な2本の根太7の中間に架設される桟木8(
図2において右側のみを示す。)には、左右側縁の根太7及び側板4を貫通して、側板4外面より出没自在な錠杆9aを有する舞台直立保持装置としての丸落とし錠9を設け、該丸落とし錠9の錠杆9a先端が挿脱される丸穴状の錠受け10を格納庫Hの側壁H1に設けている。
【0017】
底板3は、少なくとも先端部(図示例では先端部と中央部の2箇所)が分割形成されると共に、舞台1の水平状態で横幅が底板3と同幅なパネル状の支持脚3aとして直角に突出し、舞台1の直立状態で底板3の一部として面一に納まる(同一平面上に配置される)様に回動可能に設けられている。
【0018】
支持脚3aは、基端部裏面が根太7の適所に設けたヒンジ部を以て枢着され、支持脚3aと床板2の裏面適所の夫々に複数設けたブラケット間にロッド11aが伸縮自在なダンパー11を架設しており、支持脚3aの先端部裏面の複数箇所には突出長さが調節自在な接地部12を設けている。
【0019】
又、底板3において中央の支持脚3aを起曲させた部位には、舞台1内部に通じる連通口13が開口して成り、該連通口13の近傍の舞台1内側に丸落とし錠9が配置される様に設定している。
【0020】
そして、底板3の(図示例では面積大なる基端部3b)表面上には、所定のマーカー等の専用筆記具を用いた筆記と、イレイサー等の専用消去具による前記筆記の拭き取り消去の繰り返し使用が可能なホワイトボードや黒板等の書き込みボード14を貼着している。
【0021】
書き込みボード14は、所定肉厚を有する横長方形状の合板等から成る基板15を基端部3bの表面にビスや釘等にて鋲着固定し、その基板15の表面上にこれと同形状で薄肉なマグネットシート16を接着又はビスや釘等にて鋲着し、該マグネットシート16の表面上にこれと同程度に薄肉で同形状の鋼板を基材とする書込板17を吸着させて成り、該書込板17は基板15及びマグネットシート16を介して底板3(基端部3b)表面上に安定的に貼着保持される。
【0022】
書込板17は、鋼板の表面に樹脂(UV硬化特殊樹脂等)のコーティングを施して上記専用の筆記具及び消去具にて筆記と筆記消去の繰り返し使用が可能な板書面としての機能を有している。
そして、書き込みボード14の外周縁(4辺)には枠材18を周設している。
【0023】
尚、書き込みボード14は、上記構成に限定されることなく、従前のホワイトボードや黒板を底板3の基端部3bに貼着しても良く、その大きさ(面積)も何ら限定されない。
【0024】
又、本実施例の舞台1にも、上記特許文献1と同様に、その内部に図示しない舞台支持装置としての多数のステイダンパと、多数の助勢手段を設けても良い。
【0025】
上記の様に構成された舞台1は、格納庫Hに収納された直立状態では、底板3はその表面が壁Wと同一平面上に配置される様に露出し、底板3(基端部3b)の表面上には、書き込みボード14が配置されている。
【0026】
この舞台1の直立状態では、丸落とし錠9の錠杆9aが側板4外面より突出してその先端が格納庫Hの側壁H1に設けた錠受け10に挿入されており、舞台1の直立状態が保持され、倒伏防止されているため、書き込みボード14表面の書込板17上に専用筆記具及び消去具を用いて筆記やその筆記の拭き取り消去の繰り返し使用を安全に行える。
【0027】
又、書込板17は鋼板から成るので、その表面適所に磁石(図示せず)を吸着でき、この磁石を用いて書面等を書き込みボード14(書込板17)表面上に貼り付けることができる。
【0028】
そして、格納状態の舞台1を舞台に変形させるには、先ず底板3に一体化している
支持脚3aを底板3に対し起曲する様に直角に突出させる。
【0029】
次いで、連通口13を通して丸落とし錠9を操作して先端が錠受け10に挿入されている錠杆9aを舞台1内部に没入させ、直立状態の舞台1の倒伏防止状態を解除する。
【0030】
この後に舞台1を倒伏回動させて支持脚3a先端より突出する接地部12を床面f上に接地させることにより、床板2を上層に水平配置した舞台を構成する。
【0031】
図6に示す様に、水平状態に倒伏させた舞台1の底板3には、その表面に貼着されている書き込みボード14が露出しているが、書き込みボード14は比較的薄く構成されると共に、該書き込みボード14の厚みよりも長い支持脚3aを介して舞台1は水平配置されているので、床面fに書き込みボード14が接触することはない。
【0032】
又、舞台1を格納するには、逆の手順にて舞台1を起立回動し、丸落とし錠9の錠杆9aを錠受け10に挿入し、支持脚3aを底板3と一体化する様に復位することで成し得る。
【符号の説明】
【0033】
1 舞台
3 底板
3a 支持脚
6 固定脚
14 書き込みボード
f 床面
H 格納庫
W 壁