特許第6793417号(P6793417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6793417接地態様評価システム、履物、情報処理サーバ、接地態様評価方法、および接地態様評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6793417
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】接地態様評価システム、履物、情報処理サーバ、接地態様評価方法、および接地態様評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   A43B13/14 Z
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-186182(P2019-186182)
(22)【出願日】2019年10月9日
【審査請求日】2020年5月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515045721
【氏名又は名称】株式会社ノーニューフォークスタジオ
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】菊川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】小林 明日美
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−165925(JP,A)
【文献】 特表2014−505576(JP,A)
【文献】 特表2019−508178(JP,A)
【文献】 特開2002−090216(JP,A)
【文献】 特開2017−164509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00−23/30
A43C 1/00−19/00
A43D 1/00−999/00
B29D 35/00−35/14
A61B 5/11
A61H 1/00− 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気圧を検出する気圧センサを有するセンサ部が内蔵された履物と、
前記気圧センサにより検出した前記履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部が取得した気圧情報に基づいて、前記履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類部と、を備えている接地態様評価システム。
【請求項2】
前記接地態様分類部は、前記気圧情報のうち、周期的に大きな値を示す部分を着地タイミングとして特定し、前記着地タイミングの直後における気圧の減少の程度を評価することで、前記足部の接地の態様を分類することを特徴とする請求項1に記載の接地態様評価システム。
【請求項3】
前記履物の内部において、底部を構成するソール部には、上方に向けて開口する収容部が形成され、
前記収容部は、前記底部のうち、使用者の足部における足底弓蓋と前後方向に同等となる位置に配置され、
前記センサ部は、前記収容部に収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接地態様評価システム。
【請求項4】
前記気圧センサは、前記センサ部が前記収容部に収容された状態において、前記履物を使用する使用者に対して後方に位置する部分に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の接地態様評価システム。
【請求項5】
前記センサ部は、前記履物の動きを検出する動きセンサを備え、
前記センサ情報取得部は、前記動きセンサが検出した前記履物の動きを示す姿勢情報を取得し、
前記接地態様分類部は、センサ情報取得部が取得した気圧情報および前記姿勢情報を用いて、前記足部の接地の態様を分類することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の接地態様評価システム。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1項に記載の接地態様評価システムに用いられ、気圧を検出する気圧センサを有するセンサ部が内蔵された履物。
【請求項7】
前記請求項1から5のいずれか1項に記載の接地態様評価システムに用いられ、
気圧を検出する気圧センサを有するセンサ部が内蔵された履物から、前記気圧センサが検出した前記履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部が取得した気圧情報に基づいて、前記履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類部と、を備えている情報処理サーバ。
【請求項8】
コンピュータが、
履物に内蔵されたセンサ部が有する気圧センサにより検出した前記履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得ステップと、
前記センサ情報取得ステップにより取得した気圧情報に基づいて、前記履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類ステップと、を実行する接地態様評価方法。
【請求項9】
コンピュータに、
履物に内蔵されたセンサ部が有する気圧センサにより検出した前記履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得機能と、
前記センサ情報取得機能により取得した気圧情報に基づいて、前記履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類機能と、を実現させる接地態様評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地態様評価システム、履物、情報処理サーバ、接地態様評価方法、および接地態様評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばランニング愛好者の間では、走行中のフォーム、特に足部が地面に接触する状態を示す足部の接地態様を把握して、必要な改善を行うことで、走力を向上したいという要望があった。
このような要望を叶えるシステムとして、下記特許文献1には、脚部に加速度センサを設け、脚部の加速度の変化を解析することで、ユーザの歩容を評価するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−65723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術のように、加速度センサを用いたシステムでは、互いに直交する座標系における3方向の加速度の変化を評価する必要があり、解析における処理負担が大きくなるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、簡易な処理により、足部の接地態様を評価することができる接地態様評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る接地態様評価システムは、気圧を検出する気圧センサを有するセンサ部が内蔵された履物と、気圧センサにより検出した履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得部と、センサ情報取得部が取得した気圧情報に基づいて、履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類部と、を備えている。
【0007】
また、接地態様分類部は、気圧情報のうち、周期的に大きな値を示す部分を着地タイミングとして特定し、着地タイミングの直後における気圧の減少の程度を評価することで、足部の接地の態様を分類してもよい。
【0008】
また、履物の内部において、底部を構成するソール部には、上方に向けて開口する収容部が形成され、収容部は、底部のうち、使用者の足部における足底弓蓋と前後方向に同等となる位置に配置され、センサ部は、収容部に収容されてもよい。
【0009】
また、気圧センサは、センサ部が収容部に収容された状態において、履物を使用する使用者に対して後方に位置する部分に配置されてもよい。
【0010】
また、センサ部は、履物の動きを検出する動きセンサを備え、センサ情報取得部は、動きセンサが検出した履物の動きを示す姿勢情報を取得し、接地態様分類部は、センサ情報取得部が取得した気圧情報および姿勢情報を用いて、足部の接地の態様を分類してもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る履物には、前述のいずれかの接地態様評価システムに用いられ、気圧を検出する気圧センサを有するセンサ部が内蔵されている。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る情報処理サーバには、前述のいずれかの接地態様評価システムに用いられ、気圧を検出する気圧センサを有するセンサ部が内蔵された履物から、気圧センサが検出した履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得部と、センサ情報取得部が取得した気圧情報に基づいて、履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類部と、を備えている。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る接地態様評価方法は、コンピュータが、履物に内蔵されたセンサ部が有する気圧センサにより気圧を検出する気圧検出ステップと、気圧検出ステップにより検出した履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得ステップと、センサ情報取得ステップにより取得した気圧情報に基づいて、履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類ステップと、を実行する。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る接地態様評価プログラムは、コンピュータに、履物に内蔵されたセンサ部が有する気圧センサにより気圧を検出する気圧検出機能と、気圧検出機能により検出した履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得機能と、センサ情報取得機能により取得した気圧情報に基づいて、履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の接地態様評価システムでは、履物に内蔵されたセンサ部における気圧センサが、履物内の気圧変化を検出する。そして、履物内の気圧変化を示す気圧情報を、センサ情報取得部が取得し、気圧情報に基づいて、接地態様分類部が、履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する。これにより、例えば3軸の加速度センサにより、履物の3方向の加速度の変化を処理するような構成と比較して、気圧情報を処理するだけの簡易な処理により、足部の接地態様を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る接地態様分類システムの構成例を示すシステム図である。
図2】履物および履物用モジュールの使用形態を示す図である。
図3】接地態様評価システムにおける履物用モジュール、および情報処理端末の構成を示すブロック図である。
図4】履物の外観および一部の内部構成を示す外観図である。
図5】(a)は、ソール部の平面図である。(b)は、ソール部の断面図である。(c)は、ソール部の断面図であって出力部を配した例を示す断面図である。
図6】(a)は、ソール部の斜視図である。(b)は、ソール部の斜視図であって、履物用モジュールを配した状態を示す図である。
図7】履物用モジュール101の外観を示す斜視図である。
図8】接地態様評価システムにおける情報処理サーバの構成を示すブロック図である。
図9】接地態様評価システム1の処理フローの全体を示す図である。
図10図9に示す処理フローにおける接地態様分類ステップにおける処理を説明するフロー図である。
図11】接地態様がフォアフットの傾向が強いランナーが履物を使用した場合における気圧センサが取得した気圧情報を示す図である。
図12】接地態様がヒールストライクの傾向が強いランナーが履物を使用した場合における気圧情報を示す図である。
図13】変形例に係る接地態様評価システムにおいて、接地態様分類ステップにおける処理を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施態様に係る接地態様評価システム1について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、接地態様評価システム1の構成例を示すシステム図である。
接地態様評価システムは、例えばランニング愛好者であるユーザPが、走行中の足部の接地の態様を把握するために用いられるシステムである。
【0018】
足部の接地の態様とは、足部のうち、前側に位置するつま先部分から接地するのか、逆に後側に位置する踵部分から接地するのか、あるいは、つま先部分と踵部分との中間部分から接地するのか、というような接地(着地)時の足部の動きの状態を指す。
一般的には、ランニング初級者ほど、踵部分からの接地(以下、ヒールストライクと呼ぶ)になりやすく、ランニングの習熟度が向上するほど、接地部分が足部の前方に変化するといわれている。そしてランニング上級者は、つま先部分からの接地(以下、フォアフットと呼ぶ)を行うことが多い。
【0019】
ヒールストライクは、踵部分から着地することで、進行方向に逆らうように力がかかるため、効率が良くないとされている。また、着地時の衝撃が脚部に伝わりやすく、膝を痛める要因になるとされている。
フォアフットは、つま先部分から着地することで、着地時にブレーキがかかりにくく、足首や踵を使って着地時の衝撃を緩和することができるため、効率の良い着地法とされている。しかしながら、脚部の筋力を要するため、ランニング初級者がこの着地方法を常に実現するのは難しい。
【0020】
このような背景において、ランニング愛好者は、足部の接地態様を把握して改善することで、自身の走力を向上する際の判断材料にしたいという要望がある。本発明の接地態様評価システム1は、このような要望を叶えるべく、接地態様を定量的に評価することができるシステムである。
【0021】
図1に示すように、接地態様評価システム1は、情報処理サーバ100と、ランナーデータベース30と、を備えている。情報処理サーバ100およびランナーデータベース30は、ユーザ端末5、20と、ネットワークを介して接続されている。
ユーザ端末5、20は、ユーザPが使用する端末であり、例えば個人で所有するパソコン5や、タブレット、スマートフォン等の情報処理端末20である。
【0022】
ネットワーク40は、情報処理サーバ100と各種の機器との間を相互に接続させるためのネットワークであり、例えば、無線ネットワークや有線ネットワークである。
具体的には、ネットワーク40は、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)、LTE−Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)、CDMA(code division multiple access)、WCDMA(登録商標)、イーサネット(登録商標)などである。
【0023】
また、ネットワーク40は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth Low Energy)、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線、LPWAN(Low−Power Wide−Area Network)回線、衛星通信網などであってもよく、どのようなネットワークであってもよい。
【0024】
また、ネットワーク40は、例えば、NB−IoT(Narrow Band IoT)や、eMTC(enhanced Machine Type Communication)であってもよい。なお、NB−IoTやeMTCは、IoT向けの無線通信方式であり、低コスト、低消費電力で長距離通信が可能なネットワークである。
【0025】
また、ネットワーク40は、これらの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク40は、これらの例を組み合わせた複数の異なるネットワークを含むものであってもよい。例えば、ネットワーク40は、LTEによる無線ネットワークと、閉域網であるイントラネットなどの有線ネットワークとを含むものであってもよい。
【0026】
ここで、図1および図3に示すように、接地態様評価システム1は、履物用モジュール101が内蔵された履物10を備えている。
本実施形態では、履物10は、ユーザPが足に装着するものである。履物10は、一例としてランニング用シューズであるが、これに限定するものではない。履物10は、ランニング用シューズ以外に、例えば、スニーカー、革靴、パンプス、サンダルなどのランニング以外の用途に用いられるものであってもよい。
【0027】
図2は、履物用モジュール101を備える履物10の使用形態を示す図である。図2に示すように、履物用モジュール101を備えた履物10は、情報処理端末20と通信を行って、履物10の状態を情報処理端末20に送信する。
履物用モジュール101は、履物10の内側におけるソール部分の中央部に配置される(図4参照)。そして、履物用モジュール101は、充電のためにソール部分から取り外し可能とされている。この場合には、履物用モジュール101は充電用端子を備えている。
図2に示すように、履物用モジュール101が取得した情報は、情報処理端末20に伝達される。情報処理端末20は、例えば、PC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機などの機器により実現することができるコンピュータである。
【0028】
情報処理端末20は、これにより、ユーザPに対して走行状態に関する情報を提供することができる。また、履物10は、一例としてソール等に出力部18としてのLEDテープを備えて(図5参照)、ユーザPにおける履物10の動きMに合わせて発光することとしてもよく、履物10の動きMに基づく発光制御を情報処理端末20が行うこととしてもよい。
【0029】
履物用モジュール101と情報処理端末20とについて図3を用いて詳細に説明する。
図3は、履物10に収容(搭載)される履物用モジュール101、および、情報処理端末20それぞれの機能構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、履物用モジュール101は、電源部11と、制御部12と、通信部13と、記憶部16と、センサ部17と、出力部18を備える。
【0030】
電源部11は、履物用モジュール101の各部を駆動させるための電力を供給する機能を有する。
電源部11は、例えば、マンガン電池、アルカリ電池、リチウムイオン電池などにより実現することができるが、電力を供給することができれば、これらに限定するものではない。
【0031】
制御部12は、履物用モジュール101の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部12は、記憶部16に記憶されている各種のプログラムを実行することで、履物用モジュール101の各部を制御する。
制御部12は、センサ部17から伝達されたセンシングデータを、情報処理端末20に送信するよう、通信部13(送信部15)に指示する。
【0032】
通信部13は、情報処理端末20と通信を実行する機能を有する通信インターフェースである。通信部13は、受信部14と、送信部15とを含む。
受信部14は、情報処理端末20からの信号を受信し、受信した信号を復号して、制御部12に伝達する。
【0033】
送信部15は、制御部12から伝達された情報を、情報処理端末20に送信する。通信部13は、情報処理端末20と無線により通信を実行するものであり、例えば、Bluetooth Low Energy(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、LTE(Long Term Evolution)等に従って通信を実行するものであるが、通信規格はこれらに限定されるものではない。
【0034】
記憶部16は、履物用モジュール101が動作する上で必要とする各種プログラム、データ、パラメータを記憶する機能を有する記録媒体である。記憶部16は、例えば、フラッシュメモリ等の小型の記録媒体により実現することができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
センサ部17は、気圧センサ、並びに動きセンサとしての加速度センサおよび角速度センサを備えている。気圧センサは気圧を検出するセンサである。気圧センサは、履物10の内部に設けられ、気圧センサが配置される収容部501内の気圧変化を検知する。
すなわち、履物10が接地する際に地面から受ける衝撃により、履物10が変形することで、履物10の内部の気圧が変動する。気圧センサは、収容部501内の気圧変化を検知することにより、履物10の内部の気圧の変動を、時系列に沿って検知することができる。
【0036】
動きセンサは、履物10の動きとして、履物10の姿勢および移動速度の変化を計測するセンサである。動きセンサとしての加速度センサおよび角速度センサは、履物10の姿勢および移動速度の変化を計測する。すなわち、加速度センサおよび角度速度センサは、履物10をユーザPが履いて移動した際に、履物10の動きMを検出する機能を有する。履物10の動きを検出することで、ユーザPの足の動きとして検出することができる。履物10の動きは、履物10の姿勢情報として扱われる。
【0037】
加速度センサは、例えば、3軸(例えば、水平面において互いに直角な2つの軸と、その2つの軸に対して垂直な軸)の加速度を検出することができる。
また、角速度センサは、当該3軸各々の回転角を検出することができる。この場合には、加速度センサと角速度センサにより、6軸の変位を検知できるセンサとなっている。
【0038】
なお、センサ部17の加速度センサおよび角速度センサは、更に、当該3軸方向の地磁気を検出する地磁気センサを含んで、9軸センサとして機能してもよい。すなわち、センシングデータは、少なくとも3軸の加速度情報および当該3軸の角速度情報を含む。
センサ部17は、得られたセンシングデータを制御部12に伝達する。センサ部17は、履物10の状態や履物10の外部環境を検知できるその他のセンサを有していてもよい。
【0039】
このようなその他のセンサとして、例えば、センサ部17は、温度センサ、荷重センサ、湿度センサなどを有していてもよい。さらに、圧力、匂い、気体(ガス)、音、光などを検出するセンサが含まれてもよい。例えば気体を検出するセンサを用いると、履物10が安全靴である場合には、二酸化炭素や一酸化炭素等の有毒ガスの検出に供することができる。
また、センサ部17に設けた各種のセンサにより、ユーザPの体温、心拍数などを検知してもよい。
【0040】
出力部18は、センサ部17での検知情報をユーザPに通知するための出力を行う機能を有している。出力部18は、例えばLEDテープの発光による視覚的な通知や、振動モータの振動による触覚的な通知や、スピーカの音声による聴覚的な通知等により、ユーザPに対して、走行状態の通知を行うことができる。
【0041】
情報処理端末20は、入力部21と、通信部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25と、を備える。
入力部21は、ユーザPからの入力を受け付ける機能を有する。入力部21は、例えば、ハードウェアキーやタッチパネルなどにより実現することができるが、これらに限定されるものではない。入力部21は、ユーザPから受け付けた入力内容を制御部25に伝達する。
【0042】
通信部22は、履物用モジュール101と通信を実行する機能を有する通信インターフェースである。通信部22は、受信部221と、送信部222と、を含む。受信部221は、履物10から送信されたセンシングデータを受信する。また、送信部222は、制御部25から伝達され、出力部18を制御する出力部制御信号を履物10に送信する。
【0043】
表示部23は、制御部25からの指示に従って、画像や文字を表示する機能を有するモニターである。表示部23は、例えば、LCDにより実現することができるが、これに限定するものではない。
表示部23は、例えば、ユーザPの歩行の状態を表示したり、歩行方法を教示する情報を表示したりすることができる。
【0044】
記憶部24は、情報処理端末20が動作する上で必要とする各種プログラム、データ、パラメータを記憶する機能を有する記録媒体である。記憶部24は、例えば、フラッシュメモリ、SSD、HDDなどにより実現することができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
制御部25は、情報処理端末20の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部25は、記憶部24に記憶されている各種のプログラムを実行することで、情報処理端末20の各部を制御する。
【0046】
なお、情報処理端末20は、受信したユーザPの走行の際の履物10内の気圧、および動きを示すセンシングデータあるいはセンシングデータを加工した情報を、例えば情報処理サーバ100等の外部サーバに送信することができる。
【0047】
次に、図4から図7を用いて、履物10の構造について詳述する。図4は、履物10の外観および一部の内部構成を示す外観図である。
図4(a)に示すように、履物10は、履物10の上側に位置し、履物10を装着するユーザPの足の甲を覆って固定するアッパー部301と、履物10の底面側であって、衝撃を吸収する機能を有するソール部302と、から構成されている。
【0048】
ソール部302の全部あるいは一部は、アッパー部301から着脱可能に構成され、ソール部302の内部に履物用モジュール101を挿入できるように構成されている。
なお、ソール部302上に設けられるインナーソールを取り外して、履物用モジュール101を挿入できるように構成してもよい。
【0049】
履物用モジュール101は、図示していないが、電源供給を受けるための端子(例えば、USB端子)を有し、当該端子を外部の電源へと接続し、電力の供給を受けて、電源部111に蓄電することができる。
なお、当該端子は、有線給電の場合を一例として示しているが、これは有線給電である必要はなく、無線給電であってもよい。
【0050】
無線給電端子としては、給電端子用のアンテナを履物用モジュール101内に備え、外部の送電端子用のアンテナからの電力を受信できる構成になっていればよい。無線給電とすることで、履物10から、履物用モジュール101を取り外すことなく充電が可能となるので、履物10を利用するユーザPの利便性を向上させることができる。
【0051】
次に、履物10の内部構造について図5を用いて説明する。図5(a)は、ソール部302の平面図である。図5(b)は、ソール部302の断面図である。図5(c)は、ソール部302の断面図であって出力部18を配した例を示す断面図である。
図5(a)に示すように、履物10において、ソール部302に、履物用モジュール101が収容される。底部を構成するソール部302には、上方に向けて開口する収容部501が形成されている(図6参照)。収容部501は、底部のうち、ユーザPの足部における足底弓蓋(土踏まず)に対応する位置に設けられている。言い換えれば、収容部501は、ユーザPの足部における足底弓蓋と、前後方向の位置が同等となっている。
【0052】
図5(a)において、ソール部302aは、左足用のソール部を示している。また、ソール部302bは、右足用のソール部を示している。図5(a)に示すように、ソール部302には、出力部18を載置するための溝部401が形成されている。
【0053】
溝部401は、ソール部302の内部であって、その外周縁部に沿うように、ソール部302の外周部分に設けられている。溝部401は、出力部18を載置するために窪んでおり、図5(c)に示すように、溝部401には、出力部18としてLEDテープが設けられる。
図5(a)に示すように、溝部401を設けていない箇所であって、ソール部302の内部のユーザPの土踏まずと上下方向に対向する位置に、収容部501が形成されている。なお、履物用モジュール101を挿入できる十分なスペースがあれば、収容部501の場所は、任意に変更してもよい。例えば、履物用モジュール101を、履物10のヒール部やタン部に設けてもよい。
【0054】
ソール部302において、溝部401および履物用モジュール101が設けられていない位置には、衝撃吸収用のリブ402〜405が設けられている。
リブ402、403は、ソール部302のユーザPのつま先側であって、溝部401よりも外周側に設けられている。これにより、履物10に対する履物10の先端部に加えられる衝撃を吸収し、溝部401に設けられる出力部18が故障する可能性を低減するとともに、ユーザPの足にかかる負担を軽減することができる。同様に、リブ404、405も履物10の中央に位置し、履物10にかかる衝撃を吸収し、溝部401に設けられる出力部18が故障する可能性を低減するとともに、ユーザPの足にかかる負担を軽減することができる。
【0055】
図5(c)では、出力部18としてLEDテープを溝部401に載置した状態を示している。図5(c)に示すように、出力部18は、発光面を履物10の底面側に向けて載置される。すなわち、履物10は、その底面が発光する。
ソール部302は、透明又は半透明の衝撃吸収性の高い樹脂などにより構成されるので、LEDテープの発光を透過し、その結果、その底面が発光する履物10を提供することができる。
【0056】
図6(a)は、ソール部302の斜視図である。図6(b)は、ソール部302の斜視図であって、履物用モジュールを配した状態を示す図である。
図6は、ソール部302の構造をよりわかりやすくするために設けたソール部302の斜視図であって、左足用のソール部302aを示す図である。ここには示していないが、右足用のソール部302bは、左足用のソール部302aと左右対称となる構成を有する。また、図6では、リブ等は省略していることに留意されたい。
【0057】
図6(a)は、ソール部302に履物用モジュール101と出力部18とを載置していない状態を示した斜視図であり、図6(b)は、ソール部302に出力部18と履物用モジュール101とを載置した状態を示す斜視図である。
LEDテープである出力部18は、溝部401に載置され、ソール部302の底面の外周部分に設けられることになる。また、履物用モジュール101は、ソール部302に設けられた収容部501に設けられる。
【0058】
収容部501は、履物用モジュール101の外径にほぼ一致するように構成されることで、履物用モジュール101が収容部501に載置された際に、履物用モジュール101が、内部でがたつくのを防止している。これにより、履物用モジュール101による動きの検出を純粋に履物10の動きを検出できるようにすることができる。履物用モジュール101は、履物10の動きを検知する精度を向上させるためには、ソール部302に設けることが望ましい。
【0059】
収容部501を形成する側壁には、履物用モジュール101の側面に設けられた窪みに併せて、前後方向の中央部が収容部501の内側に向けて突出する突出部502が形成されている。
図5(a)に示されるように、左足用ソール部302aの収容部501においては、突出部502は、足の内側から外側に向かって突出する。即ち、図5(a)に示すように、左足用ソール部302aの収容部501と、右足用ソール部302bの収容部501は、互いに、左右対称となる構造をとる。したがって、それぞれのソール部302において、ユーザPは、履物用モジュール101をどの方向で、どの向きに挿入するのかを迷わずに挿入することができる。
【0060】
図7は、履物用モジュール101の外観を示す斜視図である。
履物用モジュール101は、筐体内に、電源部111、制御部112、通信部113、記憶部116、センサ部17が設けられてなる。履物用モジュール101の筐体は、耐衝撃性が高く、人が体重をかけても損壊しない強度の構造を有していることが望ましく、例えば、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックから成ることとしてよい。
【0061】
図7における履物用モジュール101において、収容部501に収容された状態で後方を向く後面には、開口部102が形成されている。
センサ部17が有する気圧センサは、履物用モジュールにおける後側に配置されている。そして、センサ部17は、開口部102と同様に後方に向けて開口し、開口部102を通過した空気の気圧を計測するように配置されている。
【0062】
次に、情報処理サーバ100の構成について、図8を用いて説明する。図8は、図1に示す情報処理サーバ100の構成を示すブロック図である。
情報処理サーバ100は、ユーザPの足部の接地態様を評価するシステムにおけるセンシングデータの処理を行う装置である。
【0063】
ここで、接地態様とは、ユーザPの足部がどのように接地しているか、を示す情報である。
ランナーデータベース30には、複数のランナーにおける接地態様として、複数のランナーが履物10を使用した状態で検知した気圧情報および加速度、角速度情報が蓄積されている。ランナーデータベース30に蓄積された情報を、情報処理サーバ100における処理部130で使用することができる。
【0064】
情報処理サーバ100は、データ入力部110と、記憶部120と、処理部130と、データ出力部140と、を備えている。
データ入力部110は、図1に示すネットワーク40を介して、ユーザ端末5、20から、各種のセンシングデータを受信する通信インターフェースである。各種のデータとしては、センサ情報およびランナー情報が含まれる。
【0065】
記憶部120は、情報処理サーバ100が動作するうえで必要とする各種の制御プログラムや各種のデータを記憶する機能を有する。記憶部150は、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。各種のデータとは、センサ部17から取得した気圧情報、姿勢情報、および時刻情報を含む。
情報処理サーバ100は、記憶部120に記憶された制御プログラムを実行することで、実現すべき各機能を実現することとしてよい。ここでいう各機能とは、気圧検出機能、センサ情報取得機能、および接地態様分類機能を少なくとも含んでいる。
【0066】
処理部130は、情報処理サーバ100の各部を制御するコンピュータであり、例えば、中央処理装置(CPU)やマイクロプロセッサ、ASIC、FPGAなどであってもよい。
処理部130は、センサ情報取得部131と、接地態様分類部132と、を備えている。
センサ情報取得部131は、気圧センサにより検出した履物10内の気圧変化を示す気圧情報を取得する。また、センサ情報取得部131は、加速度センサや角速度センサといった動きセンサが検出した履物10の動きを示す姿勢情報を取得する。
【0067】
接地態様分類部132は、センサ情報取得部131が取得した気圧情報に基づいて、履物10を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する。
具体的には、接地態様分類部132は、気圧情報のうち、周期的に大きな値を示す部分を着地タイミングとして特定し、着地タイミングの直後における気圧の減少の程度を評価することで、足部の接地の態様を分類する。この処理の詳細については後述する。
【0068】
次に、図9を用いて、接地態様評価システム1における処理の手順を説明する。図9は、接地態様評価システム1の処理フローを示す図である。
図9に示すように、接地態様評価システム1の処理では、まず、履物10を使用したユーザPが走行している状態において、履物10に内蔵されたセンサ部17が有する気圧センサにより気圧を検出する(気圧検出ステップ:S10)。
次に、センサ情報取得部131が、気圧検出ステップにより検出した履物10内の気圧変化を示す気圧情報を取得する(気圧情報取得ステップ:S20)。
【0069】
次に、接地態様分類部132は、センサ情報取得ステップにより取得した気圧情報に基づいて、履物10を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する。(接地態様分類ステップ:S30)
ここで、図10から図12を用いて、接地態様分類ステップにおける処理内容を詳述する。
【0070】
図10は、接地態様分類ステップにおける処理を説明するフロー図である。図11は、接地態様がフォアフットの傾向が強いランナーが履物10を使用した場合における気圧センサが取得した気圧情報を示す図である。図12は、接地態様がヒールストライクの傾向が強いランナーが履物10を使用した場合における気圧情報を示す図である。
【0071】
ここで、着地態様がフォアフットかヒールストライクかは、着地毎に判断を行うことができる。そして、気圧情報全体のうち、フォアフットの傾向が高いか、ヒールストライクの傾向が高いか、により、ランナーの着地態様の傾向が把握される。
【0072】
図10に示すように、接地態様分類ステップでは、まず、取得した気圧情報に対する基準値を設定する(S31)。図11および図12において、実線で示す波形が気圧情報をしめしており、破線で示すラインが基準値を示している。
次に、図10に示すように、基準値に対して、所定量のオフセットを行い、上方閾値および下方閾値を設定する(S32)。
【0073】
図11および図12において、一点鎖線で示すラインが、上方閾値を示しており、二点鎖線で示すラインが、下方閾値を示している。ここで、上方閾値とは、着地を検出するための閾値であり、下方閾値とは、着地態様がフォアフットか、ヒールストライクか、を判断するための閾値である。
【0074】
本実施形態では、上方閾値は、基準値から上方に向けて1hPaオフセットした値となっている。下方閾値は、基準値から下方に向けて1hPaオフセットした値となっている。なお、上方閾値および下方閾値それぞれにおける基準値からのオフセット量については、任意に設定することができる。
【0075】
次に、図10に示すように、気圧情報の極小値が、下方閾値よりも低いかどうかを判断する(S33)。ここで、極小値とは、時間変化の中で、周囲よりも小さな値を示す部分を指し、さらに言えば、波形の傾きがマイナスからプラスに変化しながらゼロになる点を指す。
【0076】
そして、気圧情報の極小値が、下方閾値よりも低い場合(S33のYes)には、この極小値の時刻情報tを取得する(S34)。ここで、極小値の時刻情報tとは、気圧情報のうち、当該極小値を示す時刻を示す情報である。気圧情報の極小値が、下方閾値よりも高い場合(S33のNo)については後述する。
【0077】
次に、差分時間Δtを設定する(S35)。差分時間とは、極小値の時刻情報tに対して任意に設定されるタイムラグの時間である。
次に、極小値の時刻に対して、差分時間遡った時間帯(t−Δt)において、気圧情報が上方閾値を超えるかどうかを判断する(S36)。
【0078】
ここで、気圧情報が上方閾値を超えた場合(S36のYes)には、接地態様をヒールストライクと判断する(S37)。この際、この上方閾値を超えた部分の極大値の時刻が、着地したタイミングと判断することができる。ここで、極大値とは、時間変化の中で、周囲よりも大きな値を示す部分を指し、さらに言えば、波形の傾きがプラスからマイナスに変化しながらゼロになる点を指す。
そして、気圧情報が上方閾値を超えない場合(S36のNo)には、S33に戻り、時刻が後の気圧情報について順次確認する。
【0079】
そして、接地態様をヒールストライクと判断した後には、評価を気圧情報の最終時刻まで行うため、気圧情報が終了時刻に至っているかどうかを判断する(S38)。気圧情報が終了時刻に至った場合には、処理を終了する(S38のYes)。気圧情報が終了時刻に至っていない場合には、評価した気圧情報の後の時刻について、極大値が上方閾値よりも高いかどうかを判断する(S38のNo)。
【0080】
次に、S33において、気圧情報の極小値が、下方閾値よりも高い場合(S33のNo)について説明する。この場合も同様に、極小値の時刻情報tを取得する(S39)。そして、差分時間Δtを設定する(S40)。このときの差分時間Δtは、前述のS35における差分時間Δtと同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0081】
次に、極小値の時刻に対して、差分時間遡った時間帯(t−Δt)において、気圧情報が上方閾値を超えるかどうかを判断する(S41)。
ここで、気圧情報が上方閾値を超えた場合(S41のYes)には、接地態様をフォアフットと判断する(S42)。この際、この上方閾値を超えた部分の極大値の時刻が、着地したタイミングと判断することができる。そして、気圧情報が上方閾値を超えない場合(S41のNo)には、S33に戻り、時刻が後の気圧情報について順次確認する。
【0082】
そして、接地態様をフォアフットと判断した後には、評価を気圧情報の最終時刻まで行うため、気圧情報が終了時刻に至っているかどうかを判断する(S43)。気圧情報が終了時刻に至った場合には、処理を終了する。(S43のYes)気圧情報が終了時刻に至っていない場合には、評価した気圧情報の後の時刻について、極大値が上方閾値よりも高いかどうかを判断する(S43のNo)。これにより、接地態様分類部132による全ての処理が終了する。
【0083】
このようにして、図11に示す気圧情報では、このユーザPは概ねフォアフットの接地態様であることが確認できる。一方、図12に示す気圧情報では、このユーザPは概ねヒールストライクの接地態様であることが確認できる。
【0084】
このように、接地態様分類部132は、気圧情報において、上方閾値を超える高い圧力が発生した時刻、すなわち周期的に大きな値を示す部分を着地タイミングとして特定し、着地タイミングの直後における気圧の減少の程度を評価することで、足部の接地の態様を分類している。
【0085】
すなわち、足部が着地をして地面に強く押し付けられることで、履物10の内部の気圧が上昇する。そして、着地の後に地面から足部が離れる過程において、履物10が復元変形することで、履物10の内部が負圧になるものと考えられる。
そして、ヒールストライクで着地をする場合は、後足部のみで着地の衝撃を受け止め、ソールが強く圧縮されるため、負圧がフォアフットに比べると強く発生する。一方フォアフットの場合には、前足部で先行して着地した後に、足部のアーチや足首によって衝撃を吸収しながらソール全体を着地させるため、ソールの圧縮も起こりにくく、履物10の内部での負圧の発生が、ヒールストライクに比べると小さくなるものと考えられる。
【0086】
なお、前述の処理フローでは、取得した気圧情報をリアルタイムで分類する場合について説明した。このため、極小値が下方閾値を下回るかどうかを判断したのちに、差分時間Δt遡った時刻において、極大値が上方閾値を上回るかどうかを判断している。
一方、接地態様分類部132における分類処理は、取得した気圧情報に対してリアルタイムで行わなくてもよい。例えば、走行中の気圧情報を、走行後に全て取得したのちに、接地態様分類部132による分類処理をオフラインで行ってもよい。このような場合について、図13を用いて説明する。図13は変形例に係る接地態様分類ステップにおける処理を説明するフロー図である。なお、図13の説明では、図10と同一の部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
図13に示すように、オフラインでの処理では、上方閾値および下方閾値を設定した(S32)後に、気圧情報の極大値が、上方閾値よりも高いかどうかを判断する(S53)。すなわち、ここで、着地のタイミングであるかどうかを判断している。
そして、気圧情報の極大値が、上方閾値よりも高い場合(S53のYes)には、その時刻を着地のタイミングであると判断する。一方、気圧情報の極大値が、上方閾値よりも高くない場合(S53のNo)には、評価した気圧情報の後の時刻について評価を行う。
【0088】
そして、着地タイミングと判断した場合には、このときの時刻情報tを取得する。次に、差分時間Δtを設定する(S56)。そして、極大値の時刻に対して、差分時間遡った時間帯(t+Δt)において、気圧情報が下方閾値より低いかどうかを判断する(S57)。そして、気圧情報が下方閾値よりも低い場合には、接地態様をヒールストライクと判断する(S58)。
【0089】
評価を気圧情報の最終時刻まで行うため、気圧情報が終了時刻に至っているかどうかを判断する(S60)。気圧情報が終了時刻に至った場合には、処理を終了する。(S60のYes)気圧情報が終了時刻に至っていない場合には、評価した気圧情報の後の時刻について、極大値が上方閾値よりも高いかどうかを判断する(S60のNo)。
【0090】
次に、極大値の時刻に対して、差分時間遡った時間帯(t+Δt)において、気圧情報が下方閾値よりも高い場合には、接地態様をフォアフットとして判断する(S61)。
評価を気圧情報の最終時刻まで行うため、気圧情報が終了時刻に至っているかどうかを判断する(S62)。気圧情報が終了時刻に至った場合には、処理を終了する。(S62のYes)気圧情報が終了時刻に至っていない場合には、評価した気圧情報の後の時刻について、極大値が上方閾値よりも高いかどうかを判断する(S62のNo)。これにより、接地態様分類部132による全ての処理が終了する。
【0091】
ここで、接地態様分類部132は、センサ情報取得部131が取得した気圧情報および姿勢情報を用いて、足部の接地の態様を分類することもできる。この場合には、例えば、加速度センサおよび角速度センサから取得した足部の動きに基づいて、着地のタイミングを判断し、その後の履物10の内部における負圧の大きさを、気圧センサにより検出するような構成であってもよい。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係る接地態様評価システム1によれば、履物10に内蔵されたセンサ部17における気圧センサが、履物10内の気圧変化を検出する。そして、履物10内の気圧変化を示す気圧情報を、センサ情報取得部131が取得し、気圧情報に基づいて、接地態様分類部132が、履物10を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する。これにより、例えば3軸の加速度センサにより、履物10の3方向の加速度の変化を処理するような構成と比較して、気圧情報を処理するだけの簡易な処理により、足部の接地態様を評価することができる。
【0093】
また、大気圧センサを用いた場合には、加速度センサのみを用いる場合と比較して、サンプリング周波数を少なくしたとしても、着地のタイミングやその後の靴の変形に起因した気圧変化を評価することにより、接地態様を分類することができる。これにより、センサから取得するデータの容量を少なくして、解析装置に要求される負荷を抑えることができる。
【0094】
また、接地態様分類部132が、気圧情報における着地タイミングを特定し、着地タイミングの直後における気圧の減少の程度を評価することで、足部の接地の態様を分類する。これにより、着地タイミングを明確に特定することができるとともに、足部の接地態様を正確に分類することができる。
【0095】
また、履物10の内部において、底部を構成するソール部302には、上方に向けて開口する収容部501が形成され、収容部501が、底部のうち、使用者の足部における足底弓蓋と前後方向に同等となる位置に配置され、センサ部17が、収容部501に収容されている。このため、履物10のソール部302のうち、足部と直接接触しない部分に形成された収容部501が、上方に向けて開口しているので、履物10の内部と連通した状態となっている。このため、走行中の履物10内の気圧の変化を、確実に収容部501内に収容されたセンサ部17により評価することができる。
【0096】
また、気圧センサは、センサ部17が収容部501に収容された状態において、履物10を使用する使用者に対して後方に位置する部分に配置されているので、踵から接地するヒールストライクによる履物10内の気圧変化を精度よく検知することができる。
【0097】
また、センサ部17が、履物10の動きを検出する動きセンサを備え、センサ情報取得部131が、動きセンサが検出した履物10の動きを示す姿勢情報を取得し、接地態様分類部132が、センサ情報取得部131が取得した気圧情報および姿勢情報を用いて、足部の接地の態様を分類することもできる。この場合には、加速度および角速度の変化も用いて、精度の高い解析を行うことができる。
【0098】
上記実施の形態に係る装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0099】
例えば、上記実施形態においては走行中の接地態様を評価する構成について示したが、このような態様に限られない。すなわち、必ずしもユーザPは走行している必要はなく、接地態様評価システム1は、ユーザPの歩行中の接地態様を評価するものであってもよい。
また、上記実施形態においては、気圧センサにより検知した気圧データにより、接地態様を分類する構成を示したが、このような機能とともに、気圧センサにより検知した気圧データにより、履物10が位置する標高や、平均路面勾配を評価してもよい。この場合には、大気圧と同等になる遊脚期(足部が地面から離れて浮いている期間)の気圧データを用いることが好ましい。また、平均路面勾配を評価することで、ユーザPの走行経路が、上り坂であるか下り坂であるかを判別することができる。
【0100】
例えば、上記実施形態においては、履物用モジュール101は、情報処理端末20と無線通信する機能を有していたが、これは必須のものではない。後から、履物用モジュール101を履物10から取り出して、ユーザPの歩行状態に関する気圧情報等の情報を取得することとしてもよい。また、情報処理端末20により解析処理を行わずに、履物用モジュール101の内部で、取得したデータに対する解析処理を行ってもよい。
【0101】
また、上記実施形態において、履物用モジュール101が備える各機能部は、別途別の筐体に収められて、履物10の別の場所に設けられることとしてもよい。
また、上記実施形態では、収容部501が上方に向けて開口している構成を示したが、このような態様に限られない。収容部501の開口方向は任意に設定することができる。すなわち、収容部501は、内蔵された気圧センサが圧力変動を取得出来るだけの容積と、密閉度が確保出来るのであれば、密閉された空間である必要が無く、任意の形状を選択することができる。
【0102】
また、上記実施形態においては、履物10の一例としてスニーカーのような靴を示したが、これはその限りではない。履物10としては、ユーザPが足に装着し、履物用モジュール101やセンサ部17を備えるスペースがあれば、どのような履物であってもよい。例えば、履物10の一例としては、女性用のパンプスやハイヒールが挙げられる。これらの場合であれば、履物用モジュール101やセンサ部17は、ヒール部材内部に設けることが考えられる。
【0103】
また、上記実施形態においては、センサ部17の一例として9軸センサを用いることとしたが、ユーザPの情報を取得できるのであれば、その他のセンサを用いてもよい。例えば、圧力センサを備えることで、両足の圧力センサの計測値の合算値で、ユーザPの体重を測定することができる。また、当該圧力センサによれば、ユーザPの足に対する荷重の変化を特定することもできる。
【0104】
また、上記実施形態においては、履物用モジュール101がセンシングデータを取得し、送信する手法として、履物用モジュール101のプロセッサが制御プログラム等を実行することにより、実現することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0105】
また、上記制御プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記制御プログラムは、当該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0106】
なお、上記制御プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0107】
また、上記実施形態に示した構成および各補足に示した構成は、適宜組み合わせることとしてもよい。また、各処理手順についても、結果として得られるものが同じになるのであれば、実行手順を入れ替えてもよいし、並列に2つの処理を実行することとしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 接地態様分類システム
2 接地態様評価システム
10 履物
20 情報処理端末
30 歩容情報データベース
40 ネットワーク
100 情報処理サーバ
131 センサ情報取得部
132 接地態様分類部
【要約】
【課題】簡易な処理により、足部の接地態様を評価することができる接地態様評価システムを提供する。
【解決手段】本発明の接地態様評価システムは、気圧を検出する気圧センサを有するセンサ部が内蔵された履物と、気圧センサにより検出した履物内の気圧変化を示す気圧情報を取得するセンサ情報取得部と、センサ情報取得部が取得した気圧情報に基づいて、履物を使用する使用者の足部の接地の態様を分類する接地態様分類部と、を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13