(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6793429
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】固形石けん
(51)【国際特許分類】
C11D 17/04 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
C11D17/04
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-132254(P2020-132254)
(22)【出願日】2020年8月4日
【審査請求日】2020年8月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016058
【氏名又は名称】株式会社 ウィンクラス
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 勝政
(72)【発明者】
【氏名】黒須 美幸
(72)【発明者】
【氏名】田南 健治
【審査官】
山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6433106(JP,B1)
【文献】
特許第6644321(JP,B1)
【文献】
実開昭64−045148(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0118156(US,A1)
【文献】
第89回東京ギフトショー春2020カタログ,株式会社ウィンクラス,2020年 2月 5日,特に、せっけん、[online]、[令和2年9月29日検索]、インターネット<URL:https://www.winclass.jp/製品カタログ/>
【文献】
DINOSOAP:恐竜の化石をモチーフにしたユニークな石鹸,2011年 8月24日,特に、写真、[online]、[令和2年9月29日検索]、インターネット<URL:http://kenz0.s201.xrea.com/weblog/2011/08/dinosoap.html>
【文献】
2020.9カタログ,株式会社ウィンクラス,2020年 9月,p.3,[online]、[令和2年9月29日検索]、インターネット<URL:https://www.winclass.jp/製品カタログ/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚さをもって形成される石けん本体部と、
前記石けん本体部に埋め込まれ所定の形状を有する不溶性ないしは難溶性の部材によって形成される立体部とを備えた固形石けんであって、
前記立体部は、恐竜の骨の形状を模して形成され、互いに離間する複数のパーツからなり、
前記立体部は厚さ方向において一定ではない幅ないしは奥行きを有し、
前記立体部を構成する前記パーツのうち、いずれかが前記せっけん本体に埋没する、
固形石けん。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固形石けんに関し、特に、単に手指や身体の洗浄用として使用されるにとどまらず、贈答品や子供向けのエンターテインメント用品として利用価値を高めたものとして有用なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固形石けんは脂肪酸のナトリウム塩を主成分とし、必要に応じて、洗浄補助剤や香料、染料、天然ハーブ等が含有されており、主として、手指や身体の洗浄用として使用される。これらの固形石けんは、所定の厚さをもって形成されており、表面にはメーカ名や商品名、ロゴ等を表示する浅い凹凸部が形成されているものの、基本的には、形状や表面の表示手段に特段の工夫はなされていないものが一般的である。
【0003】
ところで、近年、贈答品等の使途として利用できる装飾性の高い石けんが提案されている。
【0004】
これら装飾性の高い石けんは、石けん本体の表面に図柄を描いた模様紙を貼着し、貼着された模様紙を透明の防水膜で覆うことで構成される。このようにすることで、多様な色彩を使用した複雑な図柄を描いた模様紙を用いて石けん表面を装飾することができるとともに、石けん本体が使用によって小さくなっても図柄を残すことが可能なデザインの自由度の高い石けんを提供することができる。
【0005】
また、石けん本体とは異なる物質で形成した立体を石けん本体内に埋め込むことで、石けんの使用によって立体が浮き出るように形成したものが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭64−45148号公報
【特許文献2】特開平10−8405号公報
【0007】
引用文献1に記載された発明によると、石けん本体とは異質の材料(例えば、スポンジのような軟質材)を特定の形状に形成した立体物を石けん本体に埋め込むことで、使用によって他の部分よりも突出した状態となり、立体物が浮き上がるという効果が得られる。また、引用文献2に記載された発明によると、石けん本体に設けた溝に流動性の有する石けんを流し込んで固めることで、石けんが使用された場合でも、当初の図柄のイメージを維持することができるという効果が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された手段では、横断面において常に同じ形状が浮き出てくるため、どのような立体形状の物体が現れるかが予め分かっており、面白みがないなどの問題があった。また、引用文献2に記載された手段では、流動性を有する石けんは使用にしたがって水に溶けるため最終的には残存せず、単に、図柄が最後まで石けんの表面に残るという楽しみしか得られないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、最後まで溶解せず使用によって浮き出る立体を備え、使用するにしたがって楽しみを得ることが可能な固形石けんを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明における固形石けんは、所定の厚さをもって形成される石けん本体部と、石けん本体部に埋め込まれ所定の形状を有する不溶性ないしは難溶性の部材によって形成される立体部とを備えた固形石けんであって、立体部は厚さ方向において一定ではない幅ないしは奥行きを有する。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、石けん本体部に埋め込まれる立体部を不溶性ないしは難溶性の部材によって形成することで、石けん本体部が小さくなったとしても最後まで溶解せずに立体部の形状をとどめることができる。また、一定ではない幅ないしは奥行きを有する立体部を備えることで、石けん本体部の内部に埋め込まれた部位については、使用にしたがってその形状が明らかとなる。そのため、化石を発掘するような楽しみを感じながら石けんを使用することができる。
【0013】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、立体部は複数のパーツからなる。
【0014】
第2の特徴に係る発明によれば、立体部が複数のパーツからなることで、複雑な形状の立体部を構成することができる。また、未使用時にはどのようなパーツが石けん本体部内に埋まっているかが分からず、より一層、使用する楽しみを得ることができる。
【0015】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、立体部は恐竜の骨の形状を模して形成される。
【0016】
第3の特徴に係る発明によれば、立体部を恐竜の骨の形状を模して形成することで、あたかも、恐竜の化石を発掘するような楽しみを感じながら使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、最後まで溶解せず使用によって浮き出る立体を備え、使用するにしたがって楽しみを得ることが可能な固形石けんを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る固形石けんの平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る固形石けんを20回程度使用した状態を示す模式図である。
【
図4】
図4は、他の実施形態に係る固形石けんの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0020】
[固形石けん10の構成]
図1〜
図3を用いて、本実施形態に係る固形石けん10について説明する。
図1は本実施形態に係る固形石けん10の平面図を、
図2は本実施形態に係る固形石けん10を20回程度使用した状態を示す模式図を、
図3は
図2のA−A断面図を示す。
【0021】
固形石けん10は、所定の厚さをもって形成される石けん本体部11と、石けん本体部11に埋め込まれ、不溶性ないしは難溶性の物質によって所定の形状に形成された立体部12とによって構成される。
【0022】
図1に示すように、未使用時において、立体部12は石けん本体部11に埋め込まれており、石けん本体部11に対し突出した箇所や陥没した箇所を持たず、石けん本体部11の表面上に表出されるように構成される。
【0023】
また、
図1〜
図3に示すように立体部は互いに離間する複数のパーツを有する。これら複数のパーツによって、単一のパーツでは表現できない複雑な形状を表現することができる。また、未使用時にはどのようなパーツが石けん本体部内に埋まっているかが分からず、より一層、使用する楽しみを得ることができる。
【0024】
本実施形態においては、立体部12は恐竜の骨を模した形状を有しており、例えば、恐竜の頭骨のパーツ、下顎骨のパーツ、胸椎やその他の骨のパーツなどから構成される。
【0025】
図3に示すように、立体部12は、厚さ方向において一定ではない幅ないしは奥行きを有する。つまり、厚さ方向において、先細の形状や先太の形状など、任意の形状を呈する。ここで、固形石けん10を使用するにしたがって、石けん本体11は溶解ないしは削られることで小さくなるが、立体部12は不溶性ないしは難溶性の部材によって形成されているため、立体部12はその形状を維持する。そのため、立体部12のうち石けん本体部11の内部に埋め込まれている部位は、固形石けん10が使用されるにしたがって徐々に表出されることとなる。
【0026】
ここで、本実施形態においては、厚さ方向において一定ではない幅ないしは奥行きを有するため、立体部12が徐々に表出される際、どのような大きさや形状のパーツが出てくるかは、出てくるまで分からない。したがって、ユーザーにとっては、どのような形状や大きさの物体が出てくるかが分からず、あたかも、化石を発掘しているかのような楽しみを感じながら使用することができる。
【0027】
特に、本実施形態においては、立体部12は恐竜の頭骨のパーツ、下顎骨のパーツ、胸椎やその他の骨のパーツなどから構成されるため、あたかも、恐竜の化石を発掘しているかのような楽しみを感じながら、石けんを使用することができる。
【0028】
図2に示すように、本実施形態に係る固形石けん10を20回程度使用した場合においては、立体部12として形成される恐竜の骨の部位が浮き出てきている。つまり、使用にしたがって石けん本体部11は溶解ないしは削られて厚さが減少するものの、立体部12は不溶性ないしは難溶性の部材によって形成されているため、当初の形状及び配列を維持する。その結果、立体部12が石けん本体11から浮き出ることとなる。
【0029】
このように、本実施形態に係る固形石けん10を使用するにしたがって、石けん本体部11に隠れていた立体部12の形状が徐々に明らかとなるため、ユーザーは化石を発掘するような楽しみを感じながら使用することができる。そして、石けんは数十回程度の使用で使い切れるものではなく、数週間や数カ月にわたって使い続けるものであるから、立体部12が徐々に表出される楽しみを数週間や数カ月など長期間にわたって持続させることができる。
【0030】
なお、本実施形態においては、立体部12は石けん本体部11に対し突出した箇所や陥没した箇所を持たず、石けん本体部11の表面上に表出されるように構成されたが、これに限ったものではなく、未使用の状態においても、石けん本体部11から突出ないしは陥没するよう構成されてもよい。
【0031】
また、立体部12を構成する図柄として、恐竜の骨を模したものを例として挙げたが、これに限ったものではなく、他の生物、植物やアニメのキャラクターなど、様々な種類のものの形状を立体部12として形成することができる。色彩についても、単一のものではなく、図柄に応じて、複数の色彩を付することができる。
【0032】
また、本実施形態においては、立体部12を構成する図柄は、未使用時においても全て石けん本体11の表面に表出されていたが、これに限ったものではなく、
図4に示すように、石けん本体11に完全に埋没するパーツがあっても構わない。このようにすることで、より一層、どのような立体部12が出てくるか、楽しみにしながら石けんを使用することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、平面形状として、略円形の固形石けん10を例として挙げたが、平面形状はこれに限ったものではなく、例えば、平面が略矩形状の固形石けん10として構成してもよい。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
10 固形石けん
11 石けん本体部
12 立体部
【要約】
【課題】最後まで溶解せず使用によって浮き出る立体を備え、使用するにしたがって楽しみを得ることが可能な固形石けんを提供する。
【解決手段】本発明の固形石けんは、所定の厚さをもって形成される石けん本体部と、石けん本体部に埋め込まれ所定の形状を有する不溶性ないしは難溶性の部材によって形成される立体部とを備えた固形石けんであって、立体部は厚さ方向において一定ではない幅ないしは奥行きを有する。
【選択図】
図2