(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス転移温度が220℃以上であり、360℃、荷重2.160kgのメルトマスフローレイト(MFR)が5.0g/10分以上である請求項1又は2記載のポリアリレート樹脂。
上記式(1)で表されるビスフェノール並びに上記一般式(2)及び/又は上記一般式(3)で表されるビスフェノール類と、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体とを重合させる、請求項1〜3いずれか一項記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<本発明のポリアリレート樹脂>
本発明のポリアリレート樹脂は、上記式(1)で表されるビスフェノール、並びに上記一般式(2)及び/又は上記一般式(3)で表されるビスフェノール類と芳香族ジカルボン酸とを重合することによって得られる、上記式(1)で表されるビスフェノールと上記一般式(2)及び/又は上記一般式(3)で表されるビスフェノール類とをジオール成分とする共重合ポリアリレート樹脂である。
【0022】
上記一般式(2)中、環Aは単環式芳香族炭化水素環又は縮合多環式芳香族炭化水素環を表す。単環式芳香族炭化水素環として例えばベンゼン環が例示され、縮合多環式芳香族炭化水素環として例えば縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環、インデン環等のC
8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC
10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合二乃至四環式炭化水素環等が例示される。これら単環式芳香族炭化水素環又は縮合多環式芳香族炭化水素環の内、原料の入手容易性から単環式芳香族炭化水素環及び縮合二環式炭化水素環が好ましく、特にベンゼン環及びナフタレン環が好ましい。
【0023】
上記一般式(2)中、置換基R
1及びR
2におけるアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。
【0024】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。
【0025】
アリール基としては、例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アリール基は、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。
【0026】
上記アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、アルキル基以外の置換基(例えば、アルコキシル基、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
【0027】
アルコキシ基として例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができる。アルコキシ基は、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基が好ましい。
【0028】
ハロゲン原子として例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子又はフッ素原子である。
【0029】
置換基数を表すm
1及びn
1はそれぞれ独立して0又は1〜4であり、好ましくは0又は1〜2である。なお、m
1及びn
1が2以上である場合、それぞれ対応するR
1及びR
2は同一であっても異なっても良い。
【0030】
以上詳述した上記一般式(2)における置換基R
1及びR
2について、上記一般式(2)で表されるビスフェノール類の入手性の観点から、置換基数が一つの環Aに対し一個(m
1=n
1=1であるもの)であって、該置換基としてはメチル基、エチル基又はフェニル基であるもの、置換基数が2個(m
1=n
1=2であるもの)であって、該置換基が全てメチル基又はフェニル基であるもの、又は置換基を有さないもの(m
1=n
1=0であるもの)が好ましい。
【0031】
上記一般式(2)で表されるビスフェノール類として具体的に例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレンが挙げられる。
【0032】
上記一般式(3)で表わされるビスフェノール類における置換基R
3及びR
4の内アルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。
【0033】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。
【0034】
アリール基としては、例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アリール基は、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。
【0035】
上記アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、アルキル基以外の置換基(例えば、アルコキシル基、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
【0036】
アルコキシ基として例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることができる。アルコキシ基は、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基が好ましい。
【0037】
ハロゲン原子として例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子又はフッ素原子である。
【0038】
置換基数を表すm
2及びn
2はそれぞれ独立して0又は1〜4であり、好ましくは0又は1〜2である。なお、m
2及びn
2が2以上である場合、それぞれ対応するR
3及びR
4は同一であっても異なっても良い。
【0039】
環の接続部を表すXは、上記一般式(3)で表されるビスフェノール類の入手性の観点から単結合又は酸素原子が好ましい。
【0040】
以上詳述した上記一般式(3)で表されるビスフェノール類の中でも、上記一般式(3)で表されるビスフェノール類の入手性の観点からXが単結合又は酸素原子であり、かつ置換基数が一つの芳香環に対し一個(m
2=n
2=1であるもの)であって、該置換基としてメチル基であるもの、又は置換基を有さないもの(m
2=n
2=0であるもの)が好ましい。
【0041】
上記一般式(3)で表わされるビスフェノール類として具体的に例えば、スピロビフルオレン、スピロ[フルオレン9,9’−(2’,7’―ジヒドロキシキサンテン)]、スピロ[フルオレン9,9’−(3’,6’―ジヒドロキシキサンテン)]等が挙げられる。
【0042】
本発明のポリアリレート樹脂に含まれる、上記式(1)で表されるビスフェノール由来の構成単位と上記一般式(2)及び/又は一般式(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位との比率として例えば、前者/後者(モル比)=90/10〜10/90、好ましくは75/25〜25/75、より好ましくは60/40〜40/60である。上記一般式(2)で表されるビスフェノール類由来の構成単位及び上記一般式(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位はポリアリレート樹脂中に単独、或いは必要に応じ複数種含まれていても良い。上記一般式(2)及び/又は一般式(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位が複数種含まれる場合、上述した構成単位の比率は、ポリアリレート樹脂に含まれる、すべての上記一般式(2)で表されるビスフェノール類由来の構成単位及び上記一般式(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位の合計量(モル)に対する上記式(1)で表されるビスフェノール由来の構成単位との比率と読み替えるものとする。
【0043】
本発明のポリアリレート樹脂には、上記式(1)で表されるビスフェノール及び上記一般式(2)及び/又は(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位以外に、その他のビスフェノール由来の構成単位を有しても良い。その他のビスフェノールとして例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1’−ビ−2−ナフトール等が挙げられる。
【0044】
他のビスフェノール由来の構成単位を有する場合における、上記式(1)で表されるビスフェノール及び上記一般式(2)及び/又は(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位の割合は、全ビスフェノール由来の構成単位に対して90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。
【0045】
本発明のポリアリレート樹脂に含まれる、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を構成する芳香族ジカルボン酸として例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸類;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基等からなる群から選択されるアルキル基が1個ないし2個置換したテレフタル酸およびイソフタル酸等のフタル酸誘導体類;4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸類;1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類;ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸等のジフェニルエーテルジカルボン酸類が挙げられる。これら芳香族ジカルボン酸は、1種、或いは必要に応じ2種以上含まれていても良い。これら芳香族ジカルボン酸の中でも、フタル酸類(テレフタル酸、イソフタル酸等)、ナフタレンジカルボン酸類、ビフェニルジカルボン酸類が好適に用いられる。
【0046】
本発明のポリアリレート樹脂には、上記式(1)で表されるビスフェノール並びに上記一般式(2)及び/又は(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位並びに芳香族ジカルボン酸由来の構成単位以外の他の成分由来の構成単位を含んでいても良い。含み得る他の成分として例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族ジオールとして例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。脂環族ジオールとして例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸として例えば、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0047】
本発明のポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、製造時のハンドリング性を損なうことなく、高屈折率などの特性を示すための観点から、5000〜200000程度の範囲から選択でき、例えば6000〜150000、好ましくは8000〜120000、より好ましくは10000〜100000である。
【0048】
本発明のポリアリレート樹脂のガラス転移温度は、耐熱性の観点からは220℃以上であることが好ましく、また上限温度は成形加工性の観点から、例えば300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは270℃以下である。このように、本発明のポリアリレート樹脂は、従来公知の射出成形や押出成形等といった熱溶融成形にて成形することが可能なビスフェノールAを構成単位とするポリアリレート樹脂よりも耐熱性に優れており、より耐熱性が必要とされる熱溶融成形材料に好適に用いることができる。
【0049】
本発明のポリアリレート樹脂の屈折率は、例えば、温度20℃、波長589nmにおいて1.60以上、好ましくは1.63以上である。このように、本発明のポリアリレート樹脂は、従来公知の光学用透明樹脂(ポリカーボネート、ポリエステル)等の屈折率と同程度かそれ以上の屈折率を示し得る。
【0050】
本発明のポリアリレート樹脂の溶融時の流動性は、360℃、荷重2.160kgのメルトマスフローレイト(MFR)が0.1g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上、さらに好ましくは、5.0g/10分以上である。このように、本発明のポリアリレート樹脂は、熱溶融成形に供することができるビスフェノールAを構成単位とするポリアリレート樹脂と同等以上の溶融時の流動性を持つことから、射出成形や押出成形等といった熱溶融成形が可能であり、精密な成形品を安価に製造することができる。
【0051】
本発明のポリアリレート樹脂は、上記式(1)で表されるビスフェノール並びに上記一般式(2)及び/又は(3)で表されるビスフェノール類由来の構成単位並びに芳香族ジカルボン酸由来の構成単位といった剛直な骨格を有しているにもかかわらず、溶剤溶解性に優れるといった特徴を有する。本発明のポリアリレート樹脂を構成するビスフェノール類の組み合わせにもよるが、例えば、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、炭化水素類(トルエンなどの芳香族炭化水素類)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、ケトン類(例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの環状ケトン類)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム)などの汎用の溶剤に溶解可能である。そのため、本発明のポリアリレート樹脂は、熱溶融成形以外にも、溶液キャスト法等、溶媒を用いた成形(フィルム化)にも供することができる。
【0052】
本発明のポリアリレート樹脂は、そのフィルム膜厚に依らず全光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上である。また、Haze値が5%以下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。全光線透過率およびHaze値が上述の範囲であることで、透明性が高く、白化もないため、光透過性が要求される光学部材に好適である。
【0053】
<上記式(1)で表されるビスフェノールの製造方法>
以下、本発明の上記式(1)で表されるビスフェノールの製造方法について詳述する。本発明の上記式(1)で表されるビスフェノールは、酸存在下、以下式(4)
【0054】
【化4】
で表されるフェノール化合物とフルオレノンとを反応させることによって製造される。
【0055】
上記式(4)で表されるフェノール化合物は一般に入手可能な化合物であり、市販品を用いても良く、また公知の方法、例えばJournal of Organic Chemistry.1970,35(1),57−62に記載される方法で所望の構造を有するものを製造することも可能である。
【0056】
上記式(4)で表されるフェノール化合物の使用量は、通常、フルオレノン1モルに対し2〜5モルであり、より経済的に上記式(1)で表されるビスフェノールを得る観点から、好ましくは2〜3モル使用する。
【0057】
本発明で使用される酸として例えば無機酸、有機酸等各種の酸が使用可能であり、具体的に無機酸として例えば硫酸、塩化水素、塩酸、リン酸、ヘテロポリ酸、ゼオライト、粘土鉱物等が例示され、有機酸として例えばメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、イオン交換樹脂等が例示される。この中でも入手性、取扱性の観点から塩酸やパラトルエンスルホン酸が好適に用いられる。酸の使用量は通常、フルオレノン1モルに対し0.1〜5.0モルであり、十分な反応速度を得る観点及び後処理の容易さの観点から好ましくはフルオレノン1モルに対し0.5〜1.0モル使用する。これら酸類は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用しても良い。
【0058】
本発明を実施する際、反応速度向上の観点から含硫黄化合物を共存させることが好ましい。本発明において使用可能な含硫黄化合物として例えば、メルカプトカルボン酸類、アルキルメルカプタン類、アラルキルメルカプタン類及びこれらの塩類等が例示される。具体的に例えばチオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のC
1−16アルキルメルカプタン等が例示される。これら含硫黄化合物の中でも、工業的な取扱性の良さからドデシルメルカプタンが好適に用いられる。これら含硫黄化合物を使用する場合の使用量は、フルオレノン1重量部に対し通常0.01〜1.0重量部、十分な反応速度を得る観点及び後処理の容易さの観点から、好ましくはフルオレノン1重量部に対し0.01〜0.50重量部である。これら含硫黄化合物は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用しても良い。
【0059】
本発明を実施する際、必要に応じ溶媒存在下で反応を実施しても良い。使用可能な溶媒として例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類などが例示される。脂肪族炭化水素類として例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどのアルカン類が例示され、芳香族炭化水素類として例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が例示され、エーテル類として例えばジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類が例示され、ハロゲン化炭化水素類として例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類やクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類が例示される。これら溶媒の中でも、入手性や取扱性の観点からトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が好適に使用される。これら溶媒を使用する場合の使用量は、フルオレノン1重量部に対し通常0.1〜10重量部、十分な反応速度を得る観点及び経済的な観点から、好ましくはフルオレノン1重量部に対し0.5〜5.0重量部使用する。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上混合して使用しても良い。
【0060】
本発明は例えば、フルオレノン、上記式(4)で表されるフェノール化合物、酸、及び必要に応じ含硫黄化合物及び溶媒を反応器に入れ、通常内温50〜200℃、好ましくは80〜140℃で撹拌を行うことによって実施される。また、十分な反応速度を得る観点から必要に応じて、常圧あるいは減圧還流下、脱水しながら反応を実施してもよい。
【0061】
反応終了後、得られた反応液を必要に応じ中和、水洗、濃縮、晶析、濾過等の常法により、上記式(1)で表されるビスフェノールを取り出すことができる。得られた上記式(1)で表されるビスフェノールは、再結晶、蒸留、吸着、カラムクロマトグラフィー等の定法により精製することも可能である。
【0062】
<本発明のポリアリレート樹脂の製造方法>
本発明のポリアリレート樹脂は、上記式(1)で表されるビスフェノール並びに上記一般式(2)及び/又は(3)で表されるビスフェノール類と芳香族ジカルボン酸又はその誘導体とを重合することにより製造することができる。上記一般式(2)および(3)で表わされるビスフェノール類は市販品を用いてもよく、また、公知の方法(例えば、特開2014−237605号公報、特開2015−131786号公報)によっても製造可能である。
【0063】
本発明のポリアリレート樹脂を製造する際、芳香族ジカルボン酸の他、芳香族ジカルボン酸の誘導体を使用することができる。使用可能な芳香族ジカルボン酸の誘導体として例えば、芳香族ジカルボン酸のエステル{例えば、アルキルエステル[例えば、低級アルキルエステル(例えば、C
1−4アルキルエステル、特にメチルエステル、エチルエステルなどのC
1−2アルキルエステル)]など}、酸ハライド(酸クロライドなど)、酸無水物等が挙げられる。これら芳香族ジカルボン酸の誘導体は、モノエステル(ハーフエステル)又はジエステル、モノ酸ハライド又はジハライドであってもよい。芳香族ジカルボン酸又はその誘導体の使用量は、使用するビスフェノール類の総量1モルに対し通常0.9〜2.0モル、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0064】
本発明において利用可能な重合方法として例えば、界面重合法、溶液重合法、溶融重合法などが挙げられ、特に、界面重合法が好ましい。界面重合法によれば、溶液重合法や溶融重合法と比較して反応が速く、高分子量のポリアリレート樹脂を容易に得ることができる。また、界面重合法は、得られるポリアリレート樹脂の分子量がコントロールしやすい他、優れた低不純物性、透明性を付与しうる重合法である。界面重合法の具体的実施方法としては、例えばW.M.EARECKSON,J.Poly.Sci.XL399(1959)や、特公昭40−1959号公報などに記載されている。
【0065】
界面重合法は、一般的に上記式(1)で表されるビスフェノール並びに上記一般式(2)及び/又は(3)で表されるビスフェノール類をアルカリ水溶液に混合させたアルカリ懸濁液(水相)と、芳香族ジカルボン酸の誘導体であるジカルボン酸ジハライドを水に不溶の有機溶剤に混合させた有機相とを、触媒の存在下で混合することにより実施される。以下に、界面重合法について具体的に詳述する。
【0066】
界面重合法を実施するに際し、上記水相として、上記式(1)で表されるビスフェノール並びに上記一般式(2)及び/又は(3)で表されるビスフェノール類をアルカリ水溶液に混合させ、次いで、重合触媒、さらに必要に応じて末端封止剤を添加する。これとは別に、後述の有機相を調製するための有機溶剤に、芳香族ジカルボン酸由来の構成単位を導入するための原料である芳香族ジカルボン酸ジハライドを溶解して、有機相を調製する。その後、水相と有機相とを混合し、界面重合反応を行うことによって、有機溶剤中に高分子量のポリアリレート樹脂が生成する。その後、ポリアリレート樹脂を含む有機相を純水やイオン交換水などで洗浄した後、貧溶媒に滴下してポリアリレート樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ別したり、有機溶剤を留去することでポリアリレート樹脂を得ることができる。
【0067】
アルカリ水溶液を調製するためのアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられるが、経済的に有利な点および廃液処理が容易な点から好ましくは水酸化ナトリウムである。その使用量は通常、使用するビスフェノール類の総量1モルに対して2.0〜8.0モル、好ましくは3.0〜5.0モルである。
【0068】
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の第3級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等の第4級アンモニウム塩、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第4級ホスホニウム塩などが挙げられる。なかでも、反応速度が速く、芳香族ジカルボン酸ハライドの加水分解を最小限に抑える観点から、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドが好ましい。その使用量は、使用するビスフェノール類の総量1モルに対して0.0001〜0.05モル、好ましくは0.001〜0.01モルである。
【0069】
末端封止剤としては、例えば、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、
一価カルボン酸が挙げられる。一価フェノールとして例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。一価酸クロライドとしては、例えば、ベンゾイルクロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートが挙げられる。一価アルコールとして例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが挙げられる。一価カルボン酸として例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸が挙げられる。これら末端封止材の中でも、熱安定性が高いことから、p−tert−ブチルフェノールが好ましい。その使用量は、使用するビスフェノール類の総量1モルに対して0.01〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モルである。
【0070】
有機相を調製するための溶媒としては、ポリアリレート樹脂が可溶であり、ポリアリレート樹脂を溶解した際に水と分離し得る溶媒であれば良い。このような溶媒として例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等が例示され、なかでも、非引火性であって取扱性が良好である点から、塩化メチレンが好ましい。その使用量は、使用するビスフェノール類の総量1重量部に対して3〜30重量部、好ましくは10〜20重量部である。
【0071】
界面重合を実施する際の温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である。0℃以上とすることにより十分な反応速度を得ることができ、また50℃以下とすることにより不純物の生成を抑制し、より高純度である本発明のポリアリレート樹脂を得ることが可能となる。
【0072】
界面重合の終点は、例えば、有機相を適宜GPCにより分析することにより決定することが可能である。
【0073】
界面重合終了後、通常、水相を分液除去することで塩を除去する。その後、pHが4.0〜8.0になるように、酢酸、塩酸、シュウ酸等の酸で中和を行う。中和後、水洗・分液除去を繰り返し、ポリアリレート樹脂を含む溶液を得る。また、ポリアリレート樹脂を含む溶液を得る前にろ過操作を加えても良い。
【0074】
得られたポリアリレート樹脂を含む溶液を貧溶媒に滴下してポリアリレート樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ別したり、該溶液から有機溶剤を留去することでポリアリレート樹脂を得ることができる。
【0075】
本発明のポリアリレート樹脂を含む成形品を得るためには、流延法、射出成形、射出圧縮成形法、押出し成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法などを利用して製造することができるが、特に限定されるものではなく用途によって適宜使い分ければよい。以下にその一例を説明する。
【0076】
流延法はいわゆる溶液キャスト法であり、ポリアリレート樹脂を有機溶剤に溶解し、得られた有機溶剤溶液を金属製のドラムやベルト、あるいはポリアリレート樹脂とは異なる樹脂からなるフィルム基材の上に塗布した後、有機溶剤を留去させ基材等から剥離することでポリアリレート樹脂フィルムを得ることができる。
【0077】
溶液キャスト法で用いる有機溶剤として例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランが挙げられる。中でも、ハロゲンフリーの観点から、NMP、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランが好ましく、トルエンまたはテトラヒドロフランがより好ましい。
【0078】
このようなフィルムの厚みは、1〜1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば、1〜200μm、好ましくは5〜150μm、より好ましくは10〜120μm程度であってもよい。
【0079】
他にも押出し成形法、カレンダー成形法などを用いて成膜(又は成形)しても製造できる。また、射出成形法などを適用すれば様々な形状を有する成形品が製造可能である。射出成型法は、加熱溶融した樹脂を高い圧力で金型内に注入して静置固化させる方法である。射出成形における成形条件は特に制限されず、公知の射出成形条件を採用することが出来る。
【0080】
成形品の形状は、例えば二次元的構造(フィルム状、シート状、板状など)、三次元構造(管状、棒状、チューブ状、中空状など)が挙げられるが、本発明のポリアリレート樹脂からなる成形品は透明性、高い屈折率を有する等、光学特性に優れることから光学フィルム、シート、レンズ等の光学部材に成形加工することもできる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例および試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0082】
〔1〕HPLC分析
装置 :島津製作所製 LC−20A、
カラム:YMC−Pack ODS−A(5μm、4.6mmφ×250mm)、
移動相:A液純水、B液アセトニトリル。なお、B液濃度に付、下記の通り濃度を変化させ分析を行った。
B液濃度:50%(17min)→(30min)→100%(40min)
流量 :1.0ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:UV 254nm。
なお、以下製造例にて記載した各成分の生成率(残存率)及び純度は上記条件で測定したHPLCの面積百分率である。
【0083】
〔2〕融点(示差走査熱量測定(DSC)による融解吸熱最大温度)
以下製造例にて得られたビスフェノール類の結晶5mgをアルミパンに精密に秤取し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社:DSC7020)を用い、酸化アルミニウムを対照として下記操作条件で測定し、検出された融解吸熱最大温度を融点とした。
(操作条件)
昇温速度:10℃/min、
測定範囲:30−250℃、
雰囲気 :開放、窒素40ml/min。
【0084】
〔3〕NMR測定
1H−NMR及び
13C−NMRは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてCDCl
3を用いて、JEOL−ESC400分光計によって記録した。
【0085】
〔4〕ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)
GPCを用い、以下条件にて分析を行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
装置:TOSOH製EcoSEC HLC−8320GPC
カラム:TSKguardcolumn SuperHZ−L、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2500、TSKgel SuperHZ1000の4本
流量:0.35mL/min
移動相:テトラヒドロフラン
検出器:RI
カラム温度:40℃
【0086】
〔5〕ポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)
ポリアリレート樹脂粉末5mgをアルミパンに精密に秤取し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社:DSC7020)を用い、酸化アルミニウムを対照として下記操作条件で測定し、検出されたピークにおいて変曲点の接線の交点をTgとして算出した。
(操作条件)
昇温速度:20℃/min、
測定範囲:150−360℃、
雰囲気 :窒素40ml/min。
【0087】
〔6〕ポリアリレート樹脂の屈折率
次のようにして測定した屈折率を各ポリアリレート樹脂の屈折率とした。
ポリアリレート樹脂粉末をN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称する。)に溶解して1重量%、3重量%及び5重量%溶液を調製し、各溶液について後述の装置、条件にて屈折率を測定した。次に、得られた3点の測定値から近似曲線を導き、これを100重量%に外挿したときの値を各ポリアリレート樹脂の屈折率とした。
<各溶液の屈折率測定条件>
装置:アッベ屈折計((株)アタゴ製「多波長アッベ屈折計 DR−2M」)
測定波長:589nm(20℃)
【0088】
〔7〕ポリアリレート樹脂の溶融流動性(メルトマスフローレイト(MFR))
シリンダー(加熱筒)内で溶融させたポリアリレート樹脂に、2.160kgの荷重を掛けてオリフィスより押し出すポリアリレート樹脂の吐出量を10分間あたりの重量(単位:g/10分)に換算して表した。
<試験条件>
装置:メルトインデクサーI型(テスター産業(株)製)
荷重:2.160kg
試験温度:360℃
【0089】
〔8〕ポリアリレート樹脂の溶剤溶解性試験
ポリアリレート樹脂と各有機溶剤とを室温で混合し、下記の通り目視にて溶解性を評価した。
○:ポリアリレート樹脂濃度20重量%であっても完溶した。
△:ポリアリレート樹脂濃度20重量%では完溶せず、濃度10重量%で完溶した。
×:ポリアリレート樹脂濃度10重量%でも完溶しなかった。
【0090】
〔9〕ポリアリレート樹脂の全光線透過率およびHaze値
下記装置にてブランク(何も乗せない状態)で基準合わせを行った後、各実施例等で得られた、フィルム状のポリアリレート樹脂を専用アタッチメントに装着し、3回測定の平均値を読み取った。
装置:スガ試験機(株)製 HGM−2DP
【0091】
<製造例1 上記式(1)で表されるビスフェノールの製造例>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、フルオレノン10g(0.056モル)、2−ベンジル−6−フェニルフェノール43.3g(0.166モル)、パラトルエンスルホン酸一水和物6.5g(0.0342モル)、ドデシルメルカプタン0.56g(0.00277モル)、トルエン56gを仕込んだ後、110℃まで昇温し、同温度で3時間撹拌を実施した。撹拌終了後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにて分析を行ったところ、上記式(1)で表されるビスフェノールの生成率が20.3%と低かった為、内圧を40kPaまで減圧し、同圧力下、90℃で還流脱水しながらさらに6時間撹拌した。撹拌終了後、反応を高速液体クロマトグラフィーにて分析を行ったところ、上記式(1)で表されるビスフェノールが89.9%生成していた。
得られた反応液に水酸化ナトリウム水溶液を添加し反応液を中和後、水層を除去し、更に水を用いて3回水洗した。その後、トルエンを濃縮により一部留去した後、濃縮液にヘプタンを加え冷却することで結晶を析出させ、析出した結晶をろ別、乾燥することにより、上記式(1)で表されるビスフェノールの結晶18g(純度95%、収率47%)を得た。
得られた上記式(1)で表されるビスフェノールの融点を上述の方法にて測定した所、165℃であった。また、得られた上記式(1)で表されるビスフェノールの
1H−NMR及び
13C−NMR測定結果は下記の通りであった。
【0092】
1H−NMR(CDCl
3)
δ3.93ppm(4H、s)、5.12(2H、s)、6.91(2H、d)、7.06(2H、d)、7.15−7.40(26H、m)、7.71(2H、d)
13C−NMR(CDCl
3)
δ36.83ppm、64.33ppm、120.20ppm、126.00ppm、127.19ppm、127.35ppm、127.68ppm、127.75ppm、127.78ppm、127.94ppm、128.38ppm、128.75ppm、129.26ppm、130.72ppm、137.39ppm、137.97ppm、140.06ppm、140.59ppm、149.26ppm、151.78ppm
【0093】
<実施例1>
(上記式(1)で表されるビスフェノール由来の構成単位、及び上記一般式(3)の内、以下式(3−1)(スピロ[フルオレン9,9’−(2’,7’―ジヒドロキシキサンテン)])で表されるビスフェノール由来の構成単位を含むポリアリレート樹脂
【0094】
【化5】
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に水163g(ビスフェノール類の合計に対し18重量部)を入れ、水酸化ナトリウム2.86g(72mmol、ビスフェノール類の合計に対し4倍モル)、製造例1にて製造した、上記式(1)で表されるビスフェノール6.00g(9.0mmol)、上記式(3−1)で表されるビスフェノール3.20g(9.0mmol)、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール160mg(1.1mmol、ビスフェノール類の合計に対し0.06倍モル)、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロリド40.0mg(0.12mmol、ビスフェノール類の合計に対し0.007倍モル)を加えて激しく撹拌することで、アルカリ懸濁液を調製した。
別の容器にテレフタル酸クロリド1.84g(9.1mmol、ビスフェノール類の合計に対し0.52倍モル)及びイソフタル酸クロリド1.84g(9.1mmol、ビスフェノール類の合計に対し0.52倍モル)を加え、127g(ビスフェノール類の合計に対し14重量部)の塩化メチレンに溶解させた。この塩化メチレン溶液を、先に調製したアルカリ懸濁液へ撹拌しながら混合し、重合を開始させた。重合は、反応温度が20℃前後、GPCによる分子量測定で重量平均分子量(Mw)が10000〜100000の範囲となるまで実施した。その後、撹拌を停止して反応液を静置して水相と有機相を分離し、水相のみを反応器から抜き取り、残った有機相に酢酸300mg、水200gを加えて30分間撹拌し、再度静置分離して水相を抜き出した。この水洗操作を水洗後の水相がpH7となるまで繰り返した。
得られた有機相をメタノール300gが入った容器に徐々に加えることで樹脂を沈殿させ、沈殿した粉末状の樹脂をろ別し、該樹脂を乾燥してポリアリレート樹脂10.9gを得た。
【0095】
得られたポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)、屈折率、溶融流動性、溶剤溶解性を上記の方法で測定した。次いで、得られたポリアリレート樹脂をテトラヒドロフラン(THF)にて10重量%になるように溶解し、ガラスプレート上にアプリケータを使用して厚み約250μmの塗膜を形成し、約23℃の環境下で1時間予備乾燥をさせ、その後に真空乾燥機に入れて40℃×30分、60℃×30分、80℃×30分と段階的に昇温して乾燥させ、厚み25μmの透明なポリアリレート樹脂フィルムを得た。得られたポリアリレート樹脂フィルムの全光線透過率、Haze値を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0096】
<実施例2>
(上記式(1)で表されるビスフェノール由来の構成単位、及び上記一般式(2)のうち、以下式(2−1)(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,3−ジメチルフェニル)フルオレン)で表されるビスフェノール由来の構成単位を含むポリアリレート樹脂
【0097】
【化6】
【0098】
実施例1において、上記式(3−1)で表されるビスフェノールの代わりに上記式(2−1)で表されるビスフェノール3.6g(9mmol)を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。得られたポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)、屈折率、溶融流動性、溶剤溶解性及び全光線透過率、Haze値を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0099】
<実施例3>
(上記式(1)で表されるビスフェノール由来の構成単位、及び上記一般式(2)のうち、以下式(2−2)(9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン)で表されるビスフェノール由来の構成単位を含むポリアリレート樹脂
【0100】
【化7】
【0101】
実施例1において、上記式(3−1)で表されるビスフェノールの代わりに上記式(2−2)で表されるビスフェノール3.3g(9mmol)を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。得られたポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)、屈折率、溶融流動性、溶剤溶解性及び全光線透過率、Haze値を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0102】
<実施例4>
実施例3において、上記式(1)で表されるビスフェノールの使用量を3.6g(5mmol)、上記式(2−2)で表されるビスフェノールの使用量を4.7g(12mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。得られたポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)、屈折率、溶融流動性、溶剤溶解性及び全光線透過率、Haze値を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0103】
<比較例1〜4>
実施例1におけるビスフェノール類及びその使用量を表2に示す通り変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂を得た。得られたポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)、屈折率、溶融流動性、溶剤溶解性及び全光線透過率、Haze値を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。なお、得られたポリアリレート樹脂がTHFに溶解しない場合、THFの代わりに塩化メチレンに溶解させ、ポリアリレート樹脂フィルムを調製した。
【0104】
以下表1および表2において、ビスフェノール類のMRとは実施例、比較例にて使用した各ビスフェノール類の使用モル比(全使用量を1.0とした場合のそれぞれの比率)を表す。また、測定不可とは、測定装置の加温可能温度範囲(上限400℃)内で溶融しなかったことを表し、「白濁」とは得られたポリアリレート樹脂が白濁していた為、全光線透過率及びHaze値が測定できなかったことを表す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】