【実施例】
【0042】
以下、本発明の第1実施例に係る電磁石ユニットを適用した真空ポンプ1を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」の語は、排気ガスGの排気方向の上流側を上方とし、下流側を下方とするものであり、即ち、後述する軸方向Aにおいて吸気口11側が上方、排気口51側が下方に対応するものとする。
図1は、真空ポンプ1の構造を示す垂直断面図である。
【0043】
真空ポンプ1は、略上半分に配置されたターボ分子ポンプ機構と略下半分に配置されたネジ溝ポンプ機構とから成る複合ポンプである。真空ポンプ1は、筐体10と、筐体10内に回転可能に支持されたロータシャフト21を有するロータ20と、ロータシャフト21を回転させる駆動モータ30と、ロータシャフト21の一部及び駆動モータ30を収容するステータコラム40とを備えている。
【0044】
筐体10は、円筒状に形成されている。筐体10の上端には、ガス吸気口11が形成されている。筐体10は、上方フランジ12を介して図示しない半導体製造装置のチャンバ等の真空容器に取り付けられる。ガス吸気口11は、真空容器に接続される。筐体10は、ベース50上に載置された状態でベース50に固定されている。
【0045】
ロータ20は、ロータシャフト21と、ロータシャフト21の上部に固定されてロータシャフト21の軸心に対して同心円状に並設、即ち並べて設けられた回転翼22と、を備えている。本実施例では、5段の回転翼22が設けられている。以下、ロータシャフト21の軸線方向を「アキシャル方向A」と称し、ロータシャフト21の径方向を「ラジアル方向R」と称す。
【0046】
ロータシャフト21は、後述するラジアル方向磁気軸受60と、アキシャル方向磁気軸受70により非接触支持されている。ラジアル方向磁気軸受60は、上方電磁石ユニット61と、下方電磁石ユニット62と、を備えている。アキシャル方向磁気軸受70は、アキシャル電磁石71を備えている。アキシャル方向磁気軸受70は、図示しない制御ユニットに接続されている。制御ユニットは、アキシャルセンサ72の検出値に基づいて、アキシャル電磁石71の励磁電流を制御することにより、ロータシャフト21が所定の位置に浮上した状態で支持されるようになっている。
【0047】
回転翼22は、所定の角度で傾斜したブレードからなり、ロータ20の上部外周面に一体に形成されている。また、回転翼22は、ロータ20の軸線回りに放射状に複数設置されている。
【0048】
ロータシャフト21の上部及び下部は、タッチダウン軸受23内に挿通されている。ロータシャフト21が制御不能になった場合には、高速で回転するロータシャフト21がタッチダウン軸受23に接触して真空ポンプ1の損傷を防止するようになっている。
【0049】
ロータ20は、ボス孔24にロータシャフト21の上部を挿通した状態で、ボルト25をロータフランジ26に挿通すると共にシャフトフランジ27に螺着することで、ロータシャフト21に一体に取り付けられている。
【0050】
駆動モータ30は、ロータシャフト21の外周に取り付けられた回転子31と、回転子31を取り囲むように配置された固定子32と、を備えている。固定子32は、上述した図示しない制御ユニットに接続されており、制御ユニットによってロータ20の回転が制御されている。
【0051】
ステータコラム40は、ベース50上に載置された状態で、ボルト41を介してベース50に固定されている。
【0052】
回転翼22、22の間には、固定翼80が設けられている。すなわち、回転翼22と固定翼80とは、軸方向Aに沿って交互にかつ多段に配列されている。本実施例では、5段の固定翼80が設けられている。
【0053】
固定翼80は、環状に形成されており、回転翼22とは反対方向に傾斜したブレードと該ブレードの両端に連結されたリングとを備え、筐体10の内周面に段積みで設置されているスペーサ81により軸方向Aに挟持されて位置決めされている。また、固定翼80のブレードも、ロータ20の軸線回りに放射状に複数設置されている。
【0054】
回転翼22及び固定翼80のブレードの長さは、アキシャル方向Aの上方から下方に向かって徐々に短くなるように設定されている。
【0055】
ベース50の下部側方には、ガス排気口51が形成されている。ガス排気口51は、図示しない補助ポンプに連通するように接続される。真空ポンプ1は、回転翼22の回転により、ガス吸気口11から吸入されたガスを軸方向Aの上方から下方に移送し、ガス排気口51から外部に排気するようになっている。ベース50と筐体10との間には、Oリング52が介装されている。ベース50上には、内周面にネジ溝部が刻設されたステータ53が載置されている。
【0056】
次に、ラジアル方向磁気軸受60の具体的な構成について、図面に基づいて説明する。
図2は、上方電磁石ユニット61を示す斜視図である。
図3は、上方電磁石ユニット61の水平断面図である。
図4は、上方電磁石ユニット61を制御する制御手段80の構成を示す模式図である。
図5は、上方電磁石ユニット61を示す要部拡大図であり、理解を容易にするためにハッチングを省略している。
図6は、ラジアル方向磁気軸受60に用いられるシール板68を示す平面図である。
図7は、ラジアルセンサ64の要部拡大図。なお、上方電磁石ユニット61と下方電磁石ユニット62とは、同様の構造であるから、以下では、上方電磁石ユニット61を例に構造を説明し、下方電磁石ユニット62の構造に関する説明を省略する。
【0057】
上方電磁石ユニット61は、ロータシャフト21をラジアル方向Rに磁力で非接触支持する4つのラジアル電磁石63と、ロータシャフト21のラジアル方向Rの変位を検出する4つのラジアルセンサ64と、を備えている。ラジアル電磁石63のコイル63aとラジアルセンサ64のコイル64aは、同一のコア65に巻回、すなわち、コア65に巻き巡らされている。
【0058】
各ラジアル電磁石63は、コア65の周方向Cに沿って90度離間して配置され、X軸又はY軸上に配置されている。ラジアル電磁石63は、コア65の凸部65aにコイル63aを巻回して形成された一対の磁極66、66を備えている。一対の磁極66、66は、コイル63aを互いに逆向きに巻回することにより、異なる極性を有している。また、コア65の周方向Cに隣り合うラジアル電磁石63間で隣り合う磁極66、66、すなわち、ラジアルセンサ65を介して隣り合う磁極66、66が互いに同じ極性になるように、ラジアルセンサ65を介して隣り合うコイル63aは、コア65に同方向に巻回されている。なお、本実施例において、ラジアル電磁石63を支持する方向に応じて区別する場合には、ロータシャフト21をX軸方向に非接触支持するものについては数字の末尾にXを付して参照符号とし、ロータシャフト21をY軸方向に非接触支持するものついては数字の末尾にYを付して参照符号とし、これらを総称する場合には、単に数字のみを参照符号とする。
【0059】
ラジアルセンサ64は、コア65の周方向Cに隣り合うラジアル電磁石63、63間に配置されており、各ラジアルセンサ64は、X軸に対して所定角度θ1だけ傾いたA軸又はY軸に対して所定角度θ2だけ傾いたB軸上に配置されている。本実施例では、所定角度θ1、θ2は、45度に設定されている。ラジアルセンサ64は、公知の変位センサであり、例えば、インダクタンス型変位センサ等である。ラジアルセンサ64は、コア65の爪部65bにコイル64aを巻回して形成された一対の磁極67、67を備えている。一対の磁極67、67は、コイル64aを互いに逆向きに巻回することにより、異なる極性を有している。なお、本実施例において、ラジアルセンサ64を変位の検知方向に応じて区別する場合には、A軸上に配置されたものについては数字の末尾にAを付して参照符号とし、B軸上に配置されたものについては数字の末尾にBを付して参照符号とし、これらを総称する場合には、単に数字のみを参照符号とする。
【0060】
ラジアルセンサ64Aは、ロータシャフト21の上部のA軸方向の変位を検知して、この変位に応じた原変位信号PAhを制御手段80に送る。また、ラジアルセンサ64Bは、ロータシャフト21のB軸方向の変位を検知して、この変位に応じた原変位信号PBhを制御手段61aに送る。同様にして、下方電磁石ユニット62のラジアルセンサ64Aは、ロータシャフト21の下部のA軸方向の変位に応じた原変位信号PAbを、下方電磁石ユニット62のラジアルセンサ64Bは、ロータシャフト21の下部のB軸方向の変位に応じた原変位信号PBbを、それぞれ制御手段90に送る。
【0061】
制御手段90は、原変位信号PAh、PAb、PBh、PBbに基づいてラジアル電磁石63を制御する電磁石駆動信号を生成する。制御手段90は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等のマイコンである。制御手段90は、
図4に示すように、軸変換部91と制御部92とを備えている。軸変換部91は、原変位信号PAhに内部変位信号PXh(PXh=PAh*cosθ1−PBh*sinθ2)を付加し、原変位信号PBhに内部変位信号PYh(PYh=PAh*sinθ1+PBh*cosθ2)を付加し、原変位信号PAbに内部変位信号PXb(PXb=PAb*cosθ1−PBb*sinθ2)を付加し、原変位信号PBbに内部変位信号PYb(PYb=PAb*sinθ1+PBb*cosθ2)を付加することにより、ロータシャフト21のX軸方向及びY軸方向の変位を演算する。
【0062】
制御部92は、軸変換部91が演算したロータシャフト21のX軸方向及びY軸方向の変位に基づいて、上方電磁石ユニット61のラジアル電磁石63Xを駆動させる電磁石駆動信号CXh+、CXh−を生成し、ラジアル電磁石63Xを制御する。また、同様に、制御部92は、上方電磁石ユニット61のラジアル電磁石63Yを駆動させる電磁石駆動信号CYh+、CYh−、下方電磁石ユニット62のX軸方向に配置されたラジアル電磁石63Xを駆動させる電磁石駆動信号CXb+、CXb−、及び、下方電磁石ユニット62のY軸方向に配置されたラジアル電磁石63Yを駆動させる電磁石駆動信号CYb+、CYb−をそれぞれ生成し、各ラジアル電磁石64を制御する。なお、電磁石駆動信号の参照符号の末尾の「+」は、X軸又はY軸の正方向に配置されたラジアル電磁石63を制御する信号であることを示し、「−」は、X軸又はY軸の負方向に配置されたラジアル電磁石63を制御する信号であることを示す。ラジアル電磁石63に供給される入力電流(正弦波)のスイッチング周波数は、ラジアルセンサ64に供給される入力電流(矩形波)のキャリア周波数の偶数倍に設定することにより、ノイズ干渉を低減している。
【0063】
次に、ラジアル電磁石63及びラジアルセンサ64の配置関係について、
図5に基づいて説明する。ラジアル電磁石63のラジアルセンサ64を介して隣り合う磁極66、66は同極になるようにコイル63aが巻回されている。これにより、ラジアル電磁石63のラジアルセンサ64を介して隣り合う磁極66、66から生じる磁束は相殺され、コア65の周方向Cに隣り合うラジアル電磁石63の間には、ラジアル電磁石63の磁束が低下した低磁束干渉領域mが形成されている。
【0064】
そして、ラジアルセンサ64は、低磁束干渉領域m内に配置されている。一般的なラジアル電磁石63の磁束はラジアルセンサ64の磁束より強く設定されるが、ラジアルセンサ64がラジアル電磁石63の強磁束の影響を受けにくい低磁束干渉領域m内に配置されていることにより、ラジアルセンサ64が磁気干渉を受けにくくなっている。
【0065】
また、上方電磁石ユニット61上にコイル64aを結線するための図示しないプリント基板を実装する場合には、
図6に示す導電体のシールド板68を上方電磁石ユニット61と制御手段90との間に介装させるのが好ましい。シールド板68は、薄円板状に形成されており、シールド板68に形成された孔部68aには、コイル64aとプリント基板との接続配線が挿入される。このようなシールド板68を用いることにより、ラジアル電磁石63とラジアルセンサ64との磁気結合が抑制される。
【0066】
また、
図7に示すように、コイル64aからコア65の爪部65bの基端までの距離、すなわち、コイル64aのラジアル方向外周端から爪部65bの基端までの距離aが、2本の爪部65bの間隔bより長く設定されるのが好ましい。ラジアルセンサ64の磁束がラジアルセンサ64とロータシャフト21との間、即ちエアギャップの方に形成され易くなり、ラジアルセンサ64からコア65に流れる漏れ磁束が低減され、ラジアルセンサ64のセンサ感度を向上させることができる。
【0067】
また、ラジアル電磁石63の磁束の一部がコア65に流れる漏れ磁束の発生を抑制するために、コア65の磁気抵抗を増大させるのが好ましい。コア65の磁気抵抗を増大させる方法としては、例えば、ラジアルセンサ64を形成する爪部65bの基端側に連続する凸部65cに図示しない穴やスリット等を設けることが考えられる。また、凸部65cの縦断面積を凸部65aの縦断面積より小さく形成することが考えられる。これにより、ラジアル電磁石63からコア65内に流れる漏れ磁束が低減される。
【0068】
次に、本実施例の変更例について、図面に基づいて説明する。なお、本変形例と上述した実施例とで共通する構成については、共通の符号を付し、重複する説明を省略する。
図8は、変形例に係る上方電磁石ユニット60を示す斜視図である。
【0069】
ラジアル電磁石63には、ラジアル電磁石63に取り付けられた銅等で形成された導電性のシールドリング69aが設けられている。シールドリング69aがラジアル電磁石63の磁束幅を狭くすることにより、ラジアル電磁石63とラジアルセンサ64との間の磁気結合が低減される。シールリング69aは、厚み0.5mm程度に形成されている。
【0070】
また、ラジアル電磁石63には、ラジアルセンサ64のコイル64aの外周に覆設、すなわち覆うように設けられた銅等で形成された導電性のシールドチューブ69bが設けられている。シールドチューブ69がラジアルセンサ64の磁束幅を狭くすることにより、ラジアル電磁石63とラジアルセンサ64との間の磁気結合が低減される。シールドチューブ69bは、厚み0.5mm程度に形成されており、絶縁の有無はいずれであっても構わない。また、シールドチューブ69bは、銅の線材を上述した厚み程度になるように複数回巻回し、線材の端部同士を繋いだ構造であっても構わない。
【0071】
次に、本発明の第2実施例に用いられる上方電磁石ユニット61について、図面に基づいて説明する。なお、本実施例の上方電磁石ユニットと上述した第1実施例の上方電磁石ユニットとで共通する構成については、共通の符号を付し、重複する説明を省略する。
図9は、本発明の第2実施例に用いられる上方電磁石ユニット61を示す斜視図である。
図10は、
図9に示す上方電磁石ユニット61の水平断面図である。
【0072】
上方電磁石ユニット61は、コア65の周方向Cに沿って3つの磁極66を有するラジアル電磁石63を備えている。具体的には、ラジアル電磁石63は、中央に配置された中央磁極66aと中央磁極66aの両側に配置された2つの側方磁極66bとを備えており、中央磁極66aと側方磁極66bとは、コイル63aが互いに逆向きに巻回されて、異なる極性を有している。また、ラジアルセンサ64を介してコア65の周方向Cに隣り合う側方磁極66bは、同じ極性を有している。なお、中央磁極66aのコア63aの巻数は、側方磁極66bのコア63aの巻数の略2倍に設定されている。
【0073】
これにより、上述した第1実施例の上方電磁石ユニット61がラジアル電磁石63の2つの磁極66、66が1つの磁束を形成するのに対して、本実施例の上方電磁石ユニット61は、ラジアル電磁石63の3つの磁極66a、66bが互いに逆向きの2つの磁束を形成する。これにより、ラジアル電磁石61で対称的な磁束が形成され、ラジアル電磁石63からコア65内に漏れる磁束が相殺されるため、ラジアル電磁石63とラジアルセンサ64との間の磁気干渉が低減される。
【0074】
次に、本発明の第3実施例に用いられる上方電磁石ユニット61について、図面に基づいて説明する。なお、本実施例の上方電磁石ユニットと上述した第1実施例の上方電磁石ユニットとで共通する構成については、共通の符号を付し、重複する説明を省略する。
図11は、本発明の第3実施例に用いられる上方電磁石ユニット61を示す斜視図である。
図12は、
図11に示す上方電磁石ユニット61の水平断面図である。
【0075】
上方電磁石ユニット61は、コア65の周方向Cに沿って4つの磁極66を有するラジアル電磁石63を備えている。具体的には、ラジアル電磁石63は、コア65の周方向Cの内側に配置された2つの内側磁極66cと内側磁極66cの両側に配置された2つの外側磁極66dとを備えており、内側磁極66cと外側磁極66dとは、コイル63aが互いに逆向きに巻回されて、異なる極性を有している。また、ラジアルセンサ64を介してコア65の周方向Cに隣り合う外側磁極66dは、同じ極性を有している。
【0076】
これにより、上述した第1実施例の上方電磁石ユニット61がラジアル電磁石63の2つの磁極66が1つの磁束を形成するのに対して、本実施例の上方電磁石ユニット61は、ラジアル電磁石63の4つの磁極66c、66dが互いに逆向きの2つの磁束を形成する。これにより、ラジアル電磁石63で対称的な磁束が形成され、ラジアル電磁石63からコア65内に漏れる磁束が相殺されるため、ラジアル電磁石63とラジアルセンサ64との間の磁気干渉が低減される。
【0077】
また、本実施例に用いられるラジアル電磁石63は、上述した第3実施例に用いられるラジアル電磁石63と比較して、磁極66c、66dの大きさを同一に形成することができ、ラジアル電磁石63を低コストで製造することができる。
【0078】
なお、上述した第2実施例及び第3実施例では、コア65の周方向Cに沿って互いに異なる極性の磁極66を3つ又は4つ備えたラジアル電磁石63について説明したが、ラジアル電磁石63で生じる複数の磁束が互いに打ち消すように形成可能であれば磁極66の数はこれらに限定されるものではなく、例えば5個以上であっても構わない。
【0079】
次に、本発明の第4実施例に用いられる上方電磁石ユニット61について、図面に基づいて説明する。なお、本実施例の上方電磁石ユニットと上述した第1実施例の上方電磁石ユニットとで共通する構成については、共通の符号を付し、重複する説明を省略する。
図13は、本発明の第4実施例に用いられる上方電磁石ユニット61を示す斜視図である。
図14は、
図13に示す上方電磁石ユニット61の水平断面図である。
【0080】
上方電磁石ユニット61は、アキシャル方向Aに並設された上方磁極67a及び下方磁極67bを有するラジアルセンサ64を備えている。具体的には、上方磁極67aと下方磁極67bとは、コイル64aが互いに逆向きに巻回されて、異なる極性を有している。したがって、ラジアルセンサ64の磁束は、ラジアル電磁石63の磁束に対して略直交して形成される。
【0081】
これにより、上述した第1実施例に用いられる上方電磁石ユニット61は、ラジアル電磁石63の磁束とラジアルセンサ64の磁束とが平行に形成されることにより、ラジアルセンサ64の磁束が磁気干渉を受ける虞があるのに対して、本実施例の上方電磁石ユニット61は、ラジアルセンサ64の磁束がラジアル電磁石63の磁束に対して略直交することにより、ラジアルセンサ64に漏れるラジアル電磁石63の磁束に起因する磁気干渉が相殺される。
【0082】
図13、14中の符号65dは、ラジアルセンサ64のアキシャル方向Aの磁束がコア65の凸部65cを通過する断面積を低減する渦電流低減手段としての孔である。渦電流低減手段は、凸部65cを通過する磁束の通過断面積を低減して渦電流による発熱を低減可能なものであれば良く、例えば、凸部65cをメッシュ状に形成したり、凸部65cにスリットを設けて減肉するものであっても構わない。
【0083】
次に、本発明の第5実施例に用いられる上方電磁石ユニット61について、図面に基づいて説明する。なお、本実施例の上方電磁石ユニットと上述した第1実施例の上方電磁石ユニットとで共通する構成については、共通の符号を付し、重複する説明を省略する。
図15は、本発明の第5実施例に用いられる上方電磁石ユニット61を示す斜視図である。
図16は、
図15に示す上方電磁石ユニット61の水平断面図である。なお、
図15、16中の符号65dは、上述した渦電流低減手段としての孔である。
【0084】
上方電磁石ユニット61は、アキシャル方向A及びコア65の周方向Cにそれぞれ並設された4つの磁極67c、67d、67e、67fを有するラジアルセンサ64を備えている。具体的には、ラジアルセンサ64のアキシャル方向Aに沿って並設された上方磁極67c、67dと下方磁極67e、67fとは、コイル64aが互いに逆向きに巻回されて、異なる極性を有している。また、コア65の周方向Cに沿って並設された2つの上方磁極67c、67d、及び2つの下方磁極67e、67fも同様に異なる極性を有している。すなわち、異なる極性を有する磁極67c、67d、67e、67fが互い違いに配置されている。したがって、ラジアルセンサ64の磁束は、ラジアル電磁石63の磁束に対して略直交な磁束と略平行な磁束とが形成される。
【0085】
これにより、上述した第1実施例で用いられる上方電磁石ユニット61は、ラジアル電磁石63との磁束とラジアルセンサ64の磁束とが平行に形成されることにより、ラジアルセンサ64の磁束が磁気干渉を受けるのに対して、本実施例の上方電磁石ユニット61は、ラジアルセンサ64に漏れるラジアル電磁石63の磁束に起因する磁気干渉が相殺される。
【0086】
また、上方磁極67c、67d間及び下方磁極67e、67f間の磁束は、コア65内を通過することなく形成可能なため、コア65を通過することに起因する磁気抵抗を抑制することができる。
【0087】
なお、上方電磁石ユニット61と下方電磁石ユニット62とは異なる構造であっても構わない。例えば、上方電磁石ユニット61には第1実施例に係る構造を適用し、下方電磁石ユニット62には変形例に係る構造を適用するものであっても構わない。一般的に、上方電磁石ユニット61は、ロータ20の重心の近くに設置され、主に低周波数で制御され、下方電磁石ユニット62は、ロータ20の重心から遠くに設置され、主に高周波数での制御が求められる。このような制御特性に応じて、上方電磁石ユニット61及び下方電磁石ユニット62の構造は任意に選択可能である。
【0088】
このようにして、本発明は、ラジアルセンサ64を介して隣り合うラジアル電磁石63の磁極66同士が同極に設定され、この隣り合うラジアル電磁石63、63間に形成された低磁束干渉領域内にラジアルセンサ64が配置されていることにより、ラジアル電磁石63の強磁束に起因してラジアルセンサ64が磁気干渉を受けることが抑制されるため、ラジアルセンサ64は、ロータ20のラジアル方向Rの変位を精度良く検出することができる。
【0089】
また、上方電磁石ユニット61又は下方電磁石ユニット62が、ラジアル電磁石63とラジアルセンサ64とを一体化して成ることより、小型化且低コスト化が可能である。さらに、アキシャル方向Aにおいてラジアル電磁石63とラジアルセンサ64とが略同一平面上に配置されることにより、上方電磁石ユニット61又は下方電磁石ユニット62の発振が抑制される共に変位を精度良く検出可能なことにより、ロータ20を安定して支持することができる。