前記制御装置は、前記異常発生検知装置から入力した信号に基づいて異常発生場所を特定し、異常発生時には前記対応する避難経路及び特定された異常発生場所を含む前記異常時情報を各表示装置に表示させる、請求項2又は3に記載の施設内情報提供システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る施設内情報提供システム1の概略構成を示すブロック図である。施設内情報提供システム1は、前記施設に適用されて、施設利用者に対して適切な情報を提供する。
図1に示されるように、施設内情報提供システム1は、複数の表示装置2と、複数の異常発生検知装置3と、制御装置4と、を含む。なお、前記施設には、停電時用バッテリ又は発電機が備えられており、停電時などにおいても施設内情報提供システム1には前記停電時用バッテリ又は前記発電機から必要電力が供給されるように構成されているものとする。
【0010】
複数の表示装置2は、それぞれ前記施設内の異なる場所に設置されている。例えば、複数の表示装置2のそれぞれは、前記施設内の所定位置に設けられた柱の側面や所定の壁の壁面に設置されている。複数の表示装置2の設置場所は、前記施設の特質等に応じて任意に設定可能である。複数の表示装置2は、同一又は異なる情報を表示し、これにより、所定の情報を前記施設利用者に提供する。表示装置2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどで構成されており、その表示内容を変更可能である。
【0011】
複数の異常発生検知装置(以下単に「検知装置」という)3は、それぞれ前記施設内の異なる場所に設置される。検知装置3は、例えば熱や煙によって火災等の異常の発生を検知する。そして、検知装置3は、異常の発生を検知すると、自身の識別情報を含む検知信号を制御装置4に出力するように構成されている。なお、表示装置2と同様、複数の検知装置3の設置場所は、前記施設の特質等に応じて任意に設定可能である。
【0012】
制御装置4は、施設内情報提供システム1の全体動作を制御するものであり、異常判定部41及び表示制御部42を含む。
【0013】
異常判定部41は、検知装置3から入力される検知信号に基づいて、前記施設内における異常の発生を判定すると共に、異常発生場所(区域を含む)を特定する。但し、これに限るものではない。異常判定部41は、インターネット等を介して取得される災害情報等に基づいて異常の発生を判定してもよい。異常判定部41は、異常の発生を判定すると、異常発生信号を表示制御部42に出力する。また、異常判定部41は、異常発生場所を特定すると、特定された異常発生場所を示す場所特定信号を表示制御部42に出力する。
【0014】
表示制御部42は、各表示装置2に対して制御信号を出力して各表示装置2の表示を制御する。表示制御部42は、平常時においては、前記施設に応じた施設関連情報及び/又は広告情報を含む平常時情報を各表示装置2に表示させる(平常時モード)。前記施設関連情報は、主に施設利用のための各種案内情報であり、前記施設の案内図、時刻表情報(前記施設が駅等である場合)、店舗情報などを含む。また、前記広告情報は、必ずしも前記施設に関連する広告である必要はなく、多種多様な広告情報であり得る。ここで、一部又は全部の表示装置2が、自身のメモリ内の前記平常時情報を表示するように構成され得る。この場合、表示制御部42は、平常時においては、これらの表示装置2に対して特に制御信号を出力しなくてもよく、このような場合も、前記平常時情報を各表示装置2に表示させることに該当する。
【0015】
また、表示制御部42は、異常判定部41から前記異常判定信号を入力すると、すなわち、異常発生時においては、前記平常時モードから異常時モードに移行し、表示装置2毎に異常時情報を生成して各表示装置2に前記異常時情報を表示させる。例えば、表示制御部42は、以下のようにして各表示装置2に表示させる前記異常時情報を生成する。ここで、表示制御部42は、前記施設内の出入口、前記施設内の全ての経路、複数の表示装置2の設置位置及び複数の異常発生検知装置3の設置位置など、前記異常時情報の生成に必要な情報を図示省略したメモリ内に保持している。
【0016】
まず、表示制御部42は、異常判定部41から入力した前記場所特定信号に基づいて前記施設内における異常発生場所を特定する。また、表示制御部42は、各表示装置2から最も近い出入口に至る経路を各表示装置2用の避難経路(以下「第1避難経路」という)として設定する。この第1避難経路は、表示装置2毎にあらかじめ設定されたものであり得る。
【0017】
そして、表示制御部42は、前記第1避難経路が前記異常発生場所から所定距離以内の場所を通過するものでなければ、設定された前記第1避難経路を各表示装置2用の避難経路として決定する。すなわち、表示制御部42は、前記第1避難経路が安全な場所を通過するものであれば、前記第1避難経路を各表示装置2用の避難経路として決定する。
【0018】
その後、表示制御部42は、各表示装置2に対して、前記第1避難経路が明示された避難経路図、好ましくは、前記第1避難経路及び前記異常発生場所が明示された避難経路図を前記異常時情報として生成する。もちろん、前記異常時情報は、前記避難経路図に加えて、避難誘導のための文字情報を含んでもよい。
【0019】
一方、前記第1避難経路が前記異常発生場所から前記所定距離以内の場所を通過するものである場合、表示制御部42は、該当する表示装置2に対しては、前記第1避難経路に代えて、前記異常発生場所から前記所定距離を超える場所を通過する避難経路(以下「第2避難経路」という)を設定する。すなわち、表示制御部42は、前記該当する表示装置2から前記施設の各出口に至る経路のうち、前記異常発生場所から前記所定距離を超える場所を通過する経路を選択し、選択された経路を前記該当する表示装置2用の避難経路(第2避難経路)として設定する。
【0020】
そして、表示制御部42は、前記該当する表示装置2に対しては、前記第2避難経路が明示された避難経路図、好ましくは、前記第2避難経路と前記異常発生場所とが明示された避難経路図を前記異常時情報として生成する。もちろん、前記異常時情報は、前記避難経路図に加えて、避難誘導のための文字情報を含んでもよい。
【0021】
つまり、表示制御部42は、前記異常発生場所によっては、一部の表示装置2に対しては前記第1避難経路が明示された前記避難経路図を含む前記異常時情報を生成し、残りの表示装置2に対しては前記第2避難経路が明示された前記避難経路図を含む前記異常時情報を生成する場合があり得る。
【0022】
制御装置4(表示制御部42)は、以上にようにして生成された前記異常時情報を対応する表示装置2に出力し、異常発生時には、各表示装置2の設置位置に応じた避難経路図(及び前記文字情報)を各表示装置2に表示させる。これにより、異常発生時に、より多くの施設利用者に対して避難のための適切な情報が提供され得る。
【0023】
図2は、異常発生時の表示装置2の表示内容の一例を示している。
図2において、表示装置2は、前記施設内の比較的大きな柱の一側面に設置され、前記異常時情報として自身の設置位置を黒丸(●)で表示し、前記異常発生箇所バツ印(×)で表示し、前記第2避難経路を実線矢印で表示している。なお、
図2中の破線矢印は、実際には表示されない前記第1避難経路を示している。
【0024】
図3は、本発明の第2実施形態に係る施設内情報提供システム10の概略構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態に係る施設内情報提供システム1と共通する構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。第2実施形態に係る施設内情報提供システム10も、第1実施形態に係る施設内情報提供システム1と同様、前記施設に適用され、施設利用者に対して適切な情報を提供する。
図3に示されるように、第2実施形態に係る施設内情報提供システム10は、複数の表示装置2と、複数の異常発生検知装置3と、複数の撮像装置5と、制御装置6と、を含む。
【0025】
複数の撮像装置5は、それぞれ前記施設内の異なる場所を撮像して画像を生成する。複数の撮像装置5は、専用に設置されたものでもよいし、その一部又は全部が前記施設における既設の監視カメラなどであってもよい。表示装置2及び検知装置3と同様、複数の撮像装置5の設置場所は、前記施設の特質等に応じて任意に設定可能である。但し、複数の撮像装置5の設置場所は、前記施設の出入口、前記施設内の主たる経路の複数の場所、前記施設内の階段、前記施設内の経路の交差・分岐部などを含むのが好ましい。複数の撮像装置5が生成した画像は、自身の識別情報と共に制御装置6に出力される。
【0026】
本実施形態において、制御装置6は、異常判定部41、画像解析部61及び表示制御部62を含む。ここで、異常判定部41は、前記異常発生信号を画像解析部61及び表示制御部62に出力し、前記場所特定信号を表示制御部62に出力する。
【0027】
画像解析部61は、前記異常発生信号を入力すると、複数の撮像装置5からこれらが生成した画像を入力し、入力された各画像を解析して前記施設内の各場所(すなわち、各撮像装置5の撮像範囲)の状況を把握する。例えば、画像解析部61は、前記入力された各画像から人物を抽出し、抽出された人物をカウントすることによって前記施設内の各場所の混雑状況を把握する。また、例えば、画像解析部61は、前記入力された各画像とそれぞれの基準画像との差分画像から前記施設内の各場所における障害物などの有無を把握する。そして、画像解析部61は、把握された前記施設内の各場所の状況(混雑状況、障害物の有無など)を表示制御部62に出力する。
【0028】
表示制御部62は、各表示装置2に対して制御信号を出力して各表示装置2の表示を制御する。表示制御部62は、平常時においては、前記第1実施形態における表示制御部42と同様、前記平常時情報を各表示装置2に表示させる(平常時モード)。
【0029】
また、表示制御部62は、前記異常判定信号を入力すると、前記平常時モードから異常時モードに移行し、表示装置2毎に異常時情報を生成して各表示装置2に前記異常時情報を表示させる。例えば、表示制御部62は、以下のようにして各表示装置2に表示させる前記異常時情報を生成する。ここで、前記第1実施形態における表示制御部42と同様、表示制御部62は、前記施設内の出入口、前記施設内の全ての経路、複数の表示装置2の設置位置、複数の異常発生検知装置3の設置位置及び複数の撮像装置5の設置位置など、前記異常時情報の生成に必要な情報を図示省略したメモリ内に保持している。
【0030】
まず、表示制御部62は、異常判定部41から入力した前記場所特定信号に基づいて前記施設内における異常発生場所を特定する。また、表示制御部62は、画像解析部61から入力した前記各場所の状況(混雑状況、障害物の有無など)に基づいて混雑している場所及び/又は障害物がある場所を特定する。さらに、表示制御部62は、各表示装置2から最も近い出入口に至る経路を各表示装置2用の避難経路(前記第1避難経路)として設定する。
【0031】
そして、表示制御部62は、前記第1避難経路が前記異常発生場所から所定距離以内の場所を通過するものではなく、前記第1避難経路が前記混雑している場所を通過するものではなく、かつ、前記第1避難経路の途中の障害物が存在しなければ、設定された前記第1避難経路を各表示装置2用の避難経路として決定する。すなわち、表示制御部62は、前記第1避難経路が安全な場所を通過するものであり、かつ、スムーズな避難が可能であると判断されれば、前記第1避難経路を各表示装置2用の避難経路として決定する。
【0032】
その後、表示制御部62は、各表示装置2に対して、前記第1避難経路が明示された避難経路図、好ましくは、前記第1避難経路及び前記異常発生場所が明示された避難経路図を前記異常時情報として生成する。もちろん、前記異常時情報は、前記避難経路図に加えて、避難誘導のための文字情報を含んでもよい。
【0033】
一方、前記第1避難経路が前記異常発生場所から前記所定距離以内の場所を通過するものである場合、前記第1避難経路が前記混雑している場所を通過するものである場合、及び/又は、前記第1避難経路の途中の障害物が存在する場合、該当する表示装置2に対しては、前記第1避難経路に代えて、前記第2避難経路及び第3〜第5避難経路のいずれかを設定する。ここで、前記第2避難経路は、上述したように、前記該当する表示装置2から前記施設の各出口に至る経路のうち、前記異常発生場所から前記所定距離を超える場所を通過する経路である。前記第3避難経路は、前記該当する表示装置2から前記施設の各出口に至る経路のうち、前記異常発生場所から前記所定距離を超える場所を通過し、かつ、前記混雑している場所を通過しない経路である。前記第4避難経路は、前記該当する表示装置2から前記施設の各出口に至る経路のうち、前記異常発生場所から前記所定距離を超える場所を通過し、かつ、その途中に障害物が存在しない経路である。前記第5避難経路は、前記該当する表示装置2から前記施設の各出口に至る経路のうち、前記異常発生場所から前記所定距離を超える場所を通過し、前記混雑している場所を通過せず、かつ、その途中に障害物が存在しない経路である。
【0034】
そして、表示制御部62は、前記該当する表示装置2に対しては、前記第2避難経路〜前記第5避難経路のいずれかが明示された避難経路図、好ましくは、前記第2避難経路〜前記第5避難経路のいずれかと前記異常発生場所とが明示された避難経路図を前記異常時情報として生成する。もちろん、前記異常時情報は、前記避難経路図に加えて、避難誘導のための文字情報を含んでもよい。
【0035】
つまり、表示制御部62は、前記異常発生場所、前記施設内の混雑状況及び/又は障害物の有無に応じて、一部の表示装置2に対しては前記第1避難経路が明示された前記避難経路図を含む前記異常時情報を生成し、残りの表示装置2に対しては前記第2避難経路〜第5避難経路のいずれかが明示された前記避難経路図を含む前記異常時情報を生成する場合があり得る。
【0036】
制御装置6(表示制御部62)は、以上にようにして生成された前記異常時情報を対応する表示装置2に出力し、異常発生時には、各表示装置2の設置位置に応じた避難経路図(及び前記文字情報)を各表示装置2に表示させる。これにより、異常発生時に、より多くの施設利用者に対して避難のための適切な情報が提供され得る。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る施設内情報提供システム1、10は、異常発生時に、より多くの施設利用者に対して避難のための適切な情報を提供すること可能である。このため、前記施設内の既設の誘導灯などと協働して異常発生時における利用者の安全確保に貢献できる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。