(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の車輪と、それら車輪に支持される車体と、その車体に配設されると共に円筒形の消火器を格納する消火器箱とを備え、その消火器箱は、前記車体に固定されると共に一側の面に開口部を有した箱状に形成される格納部材と、その格納部材に配設される第1挟持部材と、前記格納部材に軸支されると共に前記開口部を開閉可能に形成される開閉部材と、その開閉部材に配設されると共に前記第1挟持部材に対して対向配置される第2挟持部材とを備え、前記開閉部材の閉鎖時に前記第1挟持部材および前記第2挟持部材によって前記消火器の側面が挟持されるタンクローリにおいて、
前記開閉部材は、前記第2挟持部材が配設されると共に前記開口部を覆う蓋部と、その蓋部の下部に連設されると共に前記格納部材の内部側に配設され、前記消火器の底面が載置される載置部とを備え、その載置部側が前記格納部材に軸支され、
前記第2挟持部材は、上面視において、前記蓋部側へ向けて凹設される凹設部を備え、
前記第1挟持部材は、前記載置部の前記格納部材に対する相対変位の軌跡上に配設されることを特徴とするタンクローリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、開閉部材の開放時に、格納部材に設けられる第1挟持部材に消火器が保持される構成であるため、格納部材の内部に手を伸ばして消火器を取り出しまたは格納しなければならない。よって、消火器の出し入れが容易ではなく、タンクローリの積載物の充填または送出の作業性が低下するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、消火器の出し入れを容易にし、積載物の充填または送出の作業性が向上するタンクローリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために請求項1記載のタンクローリは
、複数の車輪と、それら車輪に支持される車体と、その車体に配設されると共に円筒形の消火器を格納する消火器箱とを備え、その消火器箱は、前記車体に固定されると共に一側の面に開口部を有した箱状に形成される格納部材と、その格納部材に配設される第1挟持部材と、前記格納部材に軸支されると共に前記開口部を開閉可能に形成される開閉部材と、その開閉部材に配設されると共に前記第1挟持部材に対して対向配置される第2挟持部材とを備え、前記開閉部材の閉鎖時に前記第1挟持部材および前記第2挟持部材によって前記消火器の側面が挟持されるものであり、前記開閉部材は、前記第2挟持部材が配設されると共に前記開口部を覆う蓋部と、その蓋部の下部に連設されると共に前記格納部材の内部側に配設され、前記消火器の底面が載置される載置部とを備え、その載置部側が前記格納部材に軸支され、前記第2挟持部材は、上面視において、前記蓋部側へ向けて凹設される凹設部を備え、前記第1挟持部材は、前記載置部の前記格納部材に対する相対変位の軌跡上に配設される。
【0008】
請求項
2記載のタンクローリは、請求項
1記載のタンクローリにおいて、前記第2挟持部材の前記凹設部は、前記蓋部の下部から少なくとも前記蓋部の上下方向中央よりも上部側まで連続して形成される。
【0009】
請求項
3記載のタンクローリは、請求項
2記載のタンクローリにおいて、前記載置部は、前記消火器が載置される領域を取り囲む位置に配設されると共に前記載置部の上面から立設される1又は複数の保持壁を備える。
【0010】
請求項
4記載のタンクローリは、請求項1から
3のいずれかに記載のタンクローリにおいて、前記蓋部は、平板状に形成される。
【0011】
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のタンクローリによれば、開閉部材は、開口部を覆う蓋部と、その蓋部の下部に連設されると共に格納部材の内部側に配設され、消火器の底面が載置される載置部とを備え、その載置部側が格納部材に軸支されるので、消火器が載置された開閉部材を回転させて格納部材より開放することで、開閉部材と共に消火器が回転して格納部材から露出され、消火器を取り出しやすい位置に配置することができる。また、消火器が載置された開閉部材を回転させて格納部材に格納することで、消火器を格納部材に格納することができる。よって、消火器の出し入れが容易となり、積載物の充填または送出の作業性が向上するという効果がある。
【0013】
また、開閉部材の蓋部には第2挟持部材が配設され、その第2挟持部材は、上面視において、蓋部側へ向けて凹設される凹設部を備えるので、開閉部材が開放された状態においても、消火器を第2挟持部材によって保持させることができる。よって、開閉部材の開閉動作時に消火器が蓋部から落下することを抑制できるという効果がある
。
また、
第1挟持部材は、載置部の格納部材に対する相対変位の軌跡上に配設されるので、開閉部材の変位を規制する部材を別途設けなくても、開閉部材の変位を規制することができる。即ち、第1挟持部材が、開閉部材の閉鎖時に消火器を挟持する部材と、開閉部材の変位を規制する部材とを兼ねるので、部品点数が低減するという効果がある。
【0014】
請求項
2記載のタンクローリによれば、請求項
1記載のタンクローリの奏する効果に加え、第2挟持部材の凹設部は、蓋部の下部から上部側まで連続して形成されるので、消火器を格納する際には、消火器を第2挟持部材に係合させつつスライドさせて載置部に載置させることができる。また、第2挟持部材が蓋部の上下方向中央よりも上部側まで連続して形成されるので、消火器を開閉部材に載置させる(第2挟持部材に沿ってスライドさせる)際に、消火器と第2挟持部材とを係合させやすくできる。よって、消火器の格納を容易に行うことができるという効果がある。
【0015】
請求項
3記載のタンクローリによれば、請求項
2記載のタンクローリの奏する効果に加え、載置部は、消火器が載置される領域を取り囲む位置に配設されると共に載置部の上面から立設される保持壁を備えるので、消火器を保持壁および第2挟持部材によって保持させることができ、開閉部材の開閉動作時に、消火器が蓋部から落下することを抑制できるという効果がある。
【0016】
請求項
4記載のタンクローリによれば、請求項1から
3のいずれかに記載のタンクローリの奏する効果に加え、蓋部が平板状に形成されるので、開閉部材の開放時に、開閉部材と格納部材の側面との間が開放面となり、その開放面に消火器を露出させることができる。よって、開閉部材の上方のみならず、側方からも消火器を出し入れできるので、消火器の出し入れを容易に行うことができるという効果がある。
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、タンクローリ1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるタンクローリ1の側面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態のタンクローリ1は、液化ガスを運搬するための車両であり、複数の車輪2と、その複数の車輪2に支持される車体3と、その車体3に架装されるタンク4と、車体3の側面に架装される艤装品5及び消火器箱10とを備える。
【0021】
車体3は、タンクローリ1の走行操作をするための運転室3aと、その運転室3aの後方に配設される車枠3bとを備える。車枠3bには、液化ガスが充填されるタンク4が架装され、車枠3bの側面には、艤装品5及び消火器箱10が組み付けられる。艤装品5は、荷役作業に使用するための操作装置や携行工具(いずれも図示せず)が格納される箱であり、消火器箱10と隣接して配設される。
【0022】
次いで、
図2を参照して、消火器箱10の全体構成を説明する。
図2は、消火器箱10の分解斜視図である。なお、
図2の矢印U−D,L−R,F−Bは、消火器箱10の上下方向、幅方向、前後方向をそれぞれ示している。また、理解を容易にするために、第1格納部材20のみ、視認できない部分(隠れ線)を破線で示している。
【0023】
図2に示すように、消火器箱10は、第1格納部材20と、その第1格納部材20に固定される第2格納部材30と、その第2格納部材30に軸支される開閉部材40とを備え、内部に消火器(図示せず)が格納される。
【0024】
第1格納部材20は、消火器箱10の上面、側面および背面を形成する直方体の箱状に形成され、その前面および底面(矢印F側および矢印D側の面)が開口されることにより、前面開口部21及び底面開口部22が形成される。また、第1格納部材20(消火器箱10)は、その長辺が車体3の高さ方向(
図1の上下方向)に沿った姿勢で車枠3bに組み付けられる(
図1参照)。
【0025】
第2格納部材30には、貫通孔34cが後述する貫通孔23と連通可能な位置に穿設され、それらの貫通孔34cおよび貫通孔23がボルト及びナット(いずれも図示せず)によって固定されることで、第1格納部材20に第2格納部材30が固定される。即ち、これら第1格納部材20及び第2格納部材30が連結されたものが請求項1に記載の格納部材に対応する。この第2格納部材30に開閉部材40が蝶番32によって軸支され、その蝶番32の軸周りに開閉部材40が回転することにより、前面開口部21が開閉される。
【0026】
次いで、
図3及び
図4を参照して、第2格納部材30及び開閉部材40の詳細構成について説明する。
図3(a)は、第2格納部材30の上面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のIIIb−IIIb線における第2格納部材30の断面図であり、
図3(c)は、
図3(a)の矢印B方向視における第2格納部材30の正面図である。なお、
図3(b)では、理解を容易にするために、蝶番32及びロック部材33のハッチングが省略して図示されると共に、貫通孔34cが省略して図示される。
【0027】
図3に示すように、第2格納部材30は、消火器箱10の底面を形成する底面部31と、その底面部31に配設される蝶番32及びロック部材33と、底面部31から立設される挟持壁34と、その挟持壁34に配設される第1挟持部材35a,35bとを備える。
【0028】
底面部31は、矩形の平板状に形成される底板31aと、その底板31aの外縁の全周に渡って形成される平板状の外周壁31bと、底板31aの上面から立設される隔壁31cとを備える。
【0029】
外周壁31bは、底板31aの上下の両面(矢印U側およびD側の面)から一様な高さで立設されるので、底面部31は、縦断面H形の形状に形成される(
図3(b)参照)。
【0030】
隔壁31cは、外周壁31bと同一の立設高さで底板31aの前後方向(矢印F−B方向)に沿って延設される(
図2及び
図3(a)参照)。即ち、外周壁31bによって囲まれる底板31aの上面の領域が隔壁31cによって区画され、その一側(矢印L側)の領域の略中央にロック部材33が配設され、そのロック部材33の前方側(矢印F側)の外周壁31bの外面に蝶番32が配設される。
【0031】
蝶番32は、開閉部材40を連結するための貫通孔を備える平蝶番であり、公知の構成が採用可能であるので、その詳細な説明は省略する。蝶番32は、その軸が第2格納部材30の幅方向に沿った姿勢で配設されると共に、外周壁31bの上端と軸の中心とが略同一の高さになる位置に配設される。
【0032】
ロック部材33は、後述するロックピン41eが嵌合される嵌合部33aと、その嵌合部33aとロックピン41eの嵌合を解除するための操作部33bとを備える留め具である。ロック部材33は、底板31aの上下に貫通する貫通孔(図示せず)に取り付けられ、底板31aの上面に嵌合部33aが、下面に操作部33bが、それぞれ配設される。ここで、第1格納部材20には、底面開口部22が形成されるので、消火器箱10の下方からの操作部33bの操作が可能とされる(
図1及び
図2参照)。
【0033】
挟持壁34は、背面板34aと、その背面板34aの幅方向(矢印L−R方向)両端から垂直に連設される一対の側面板34bと、背面板34aに3箇所開口形成されると共に第1格納部材20の貫通孔23に対応する位置に配設される貫通孔34cとを備え、横断面コの字状の板状部材として形成される(
図3(c)参照)。
【0034】
背面板34aは、底面部31の後方側(矢印B側)の外周壁31bから上方に立設され、一対の側面板34bは、隔壁31cと、ロック部材33を挟んで隔壁31cに対向する外周壁31bとからそれぞれ上方に立設される。よって、底面部31における隔壁31cによって区画される他側(矢印R側)の領域の上方には、消火器から垂下されるホースを収容可能な空間が形成される。
【0035】
第1挟持部材35a,35bは、背面板34a及び一対の側面板34bに垂直に連結されるリブ状の平板であり、その幅方向(矢印L−R方向)における両端部分を残して円弧状に切り欠かれ、湾曲した挟持面35a1,35b1が後述する第2挟持部材43と対向して形成される。
【0036】
第1挟持部材35a,35bの幅方向両端部(円弧状に切り欠かれない残部)は、側面板34bの前方側(矢印F側)の端部と面一に形成されると共に、背面板34aから底面部31の前後方向略中央までの延設長さで形成される。
【0037】
図4(a)は、開閉部材40の上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)の矢印L方向視における開閉部材40の側面図であり、
図4(c)は、
図4(a)の矢印F方向視における開閉部材40の背面図である。また、
図4(a)に2点鎖線で図示される仮想円Sは、円筒形の消火器の横断面(側面および底面の外径)を示すものである。
【0038】
図4に示すように、開閉部材40は、消火器の底面が載置される載置部41と、その載置部41から立設される蓋部42と、その蓋部42に配設される第2挟持部材43とを備える。
【0039】
載置部41は、矩形の平板状に形成される底板41aと、その底板41aの上面から立設される保持壁41bと、底板41aに開口形成される貫通孔41cと、底板41aに形成される切欠き部41dと、底板41aの下面に配設されるロックピン41eとを備える。
【0040】
保持壁41bは、底板41aの一側(矢印L側)の上面に、開閉部材40の上面視正方形の領域を形成する矩形の板状部材であり、その正方形の領域内に貫通孔41cが形成される。保持壁41bは、仮想円S(即ち、消火器の底部が載置される領域)を取り囲んで形成され、本実施の形態では、保持壁41bの内周に仮想円Sが内接される。
【0041】
貫通孔41cは、開閉部材40の幅方向に沿って3箇所に形成されると共に蝶番32の貫通孔と連通可能な位置に配置され、蓋部42よりも後方側(矢印B側)に配設される。
【0042】
切欠き部41dは、底板41aの後方側(矢印B側)の一端を切り欠くことで形成され、保持壁41bの外面に沿って形成される。この切欠き部41dは、第2格納部材30及び開閉部材40の連結時に、側面板34bが挿入される部位である。
【0043】
ロックピン41eは、底板41aの下面から突出して形成されると共に嵌合部33aと対応する位置に配設され、嵌合部33aと嵌合可能に形成される。
【0044】
蓋部42は、底板41aの前方側(矢印F側)の端部に垂直に連設されると共に、第1格納部材20の前面開口部21と略同一の寸法(即ち、前面開口部21が覆われる寸法)で形成される平板であり、その上端が前方側に複数回折り返されることで把手部42aが形成される。
【0045】
第2挟持部材43は、蓋部42の背面から突出して形成される一対の突設部43aと、その一対の突設部43aの間に形成される凹設部43bとを備える。突設部43aは、平板状に形成されると共に、開閉部材40の幅方向において互いに離間して配置され、開閉部材40の上面視において、仮想円S(即ち、消火器の側面)と接する突設長さで形成される。
【0046】
凹設部43bは、開閉部材40の上面視において、蓋部42側に凹設される部位であり、本実施の形態では、突設部43aが蓋部42から突設されることで形成され、一対の突設部43aどうしが対向する面と、それら対向する面の間における蓋部42の背面とが凹設部43bとされる(即ち、開閉部材40の上面視コの字状に形成される)。ここで、突設部43aは、底板41aの上面から蓋部42の上下方向中央(立設高さの中央)よりも蓋部42の上部側まで延設され、凹設部43bも同様の延設長さで底板41aの上面から上方に向けて連続して形成される。
【0047】
次いで、
図5及び
図6を参照して、消火器箱10の使用方法について説明する。
図5(a)は、第2格納部材30及び開閉部材40の上面図であり、
図5(b)は、
図5(a)のVb−Vb線における第2格納部材30及び開閉部材40の断面図である。
図6(a)は、
図5(b)の状態から、開閉部材40が開放された状態を示す断面図であり、
図6(b)は、開閉部材40が開放された状態を示す消火器箱10の側面図である。なお、
図5では、理解を容易にするために、蝶番32及びロック部材33のハッチングが省略して図示されると共に、貫通孔34cが省略して図示される。また、
図5及び
図6(a)では、消火器の外形形状が2点鎖線によって模式的に図示される。
【0048】
図5に示すように、開閉部材40が蝶番32を介して第2格納部材30に軸支され、嵌合部33aにロックピン41eが嵌合した状態(開閉部材40が閉鎖した状態)では、底面部31の上方に載置部41の一部が配設される。即ち、開閉部材40(第2格納部材30)の前後方向(矢印B−F方向)における載置部41の寸法は、底面部31の寸法よりも大きく形成される。よって、開閉部材40は、載置部41の前後方向中央よりも前方側、且つ、載置部41と蓋部42との連設部分よりも後方側において、その下面が蝶番32によって第2格納部材30の外周壁31bの上端に軸支される。
【0049】
側面板34b(第1挟持部材35a,35b)は、突設部43a(第2挟持部材43)と前後方向で対向配置される(離間して配置される)ので、その対向間にホースを収容可能な空間が形成される。よって、側面にホースが垂下される消火器を一対の第1挟持部材35a,35b及び第2挟持部材43によって挟持することができる。
【0050】
この場合、第1挟持部材35a,35bを円弧状の挟持面35a1,35b1を備える平板から形成し、それら第1挟持部材35a,35bを挟持壁34の上下方向において互いに離間させて配置することで消火器が挟持されるので、例えば、円弧状の挟持面を挟持壁34の上下に渡って連続して形成する場合に比べ、部品コストを低減できる。また、第1挟持部材35a,35bが挟持壁34にリブ状に形成されるので、挟持壁34の強度が向上する。即ち、第1挟持部材35a,35bが、消火器を挟持するための部材と、挟持壁34の強度を確保する部材とを兼ねるので、部品点数が低減する。
【0051】
また、第2挟持部材43を平板状の一対の突設部43aから形成し、それら一対の突設部43aを開閉部材40の幅方向において互いに離間させて配置することで消火器が挟持されるので、例えば、円弧状の挟持面を蓋部42の上下に渡って連続して形成する場合に比べ、部品コストを低減できる。また、第2挟持部材43が蓋部42の下部からその蓋部42の上部側まで連続して形成されるので、蓋部42の強度が向上する。即ち、第2挟持部材43が、消火器を挟持するための部材と、蓋部42の強度を確保する部材とを兼ねるので、部品点数が低減する。
【0052】
図6(a)に示すように、
図5(b)の状態から操作部33bを操作して嵌合部33aとロックピン41eとの嵌合を解除し、開閉部材40を蝶番32の軸周りに回転させた場合、開閉部材40と共に消火器が回転する。即ち、開閉部材40は、載置部41側(本実施の形態では、載置部41の下面)が第2格納部材30によって軸支されるので、その軸周りに回転させることにより、
図6(b)に示すように、第1格納部材20から消火器が露出され、消火器を取り出しやすい位置に配置することができる。また、消火器が載置された開閉部材40を回転させて第1格納部材20に格納することで、消火器を消火器箱10に格納することができる。よって、消火器の出し入れが容易となり、積載物の充填または送出の作業性が向上する。
【0053】
ここで、開閉部材40は、載置部41(底板41a)と蓋部42との連設部分よりも後方側(第1格納部材20の内部側)で第2格納部材30に軸支されるので、載置部41(底板41a)と蓋部42との連設部分で軸支する場合に比べ、消火器の重心を蝶番32の軸に近づけることができる。即ち、開閉部材40の開閉動作時(回転時)に、消火器の荷重によるモーメントを小さくすることができるので、容易に開閉部材40を開放することができる。
【0054】
また、開閉部材40の第2挟持部材43には、開閉部材40の上面視において、蓋部42側へ向けて凹設される凹設部43bが形成されるので、開閉部材40が開放された状態においても、消火器を第2挟持部材43によって保持させることができる。よって、開閉部材40の開閉動作時に消火器が蓋部42から落下することを抑制できる。
【0055】
更に、この凹設部43bは、蓋部42の下部(即ち、底板41aの上面)からその蓋部42の上部側まで連続して形成されるので、消火器を格納する際には、消火器を第2挟持部材43に係合させつつスライドさせて載置部41に載置させることができる。また、第2挟持部材43が蓋部42の上下方向中央よりも上部側まで連続して形成されるので、消火器を開閉部材40に載置させる(第2挟持部材43に沿ってスライドさせる)際に、消火器と第2挟持部材43とを係合させやすくできる。よって、消火器の出し入れを容易に行うことができる。
【0056】
また、載置部41には、保持壁41bが形成され、この保持壁41bによって消火器の底面が保持される。また、保持壁41bの内周が仮想円Sに接すると共に、凹設部43bがその仮想円Sと接する突設長さで形成される。即ち、第2挟持部材43に対して消火器をスライドさせた場合、消火器の底面が保持壁41bによって保持され、開閉部材40の閉鎖時における消火器の位置が保持壁41bによって固定される。よって、開閉部材40の閉鎖時に、消火器を第1挟持部材35a,35bおよび第2挟持部材43によって確実に保持することができる。更に、消火器が保持壁41bおよび第2挟持部材43によって保持されるので、開閉部材40の開閉動作時に、消火器が蓋部42から落下することを抑制できる。
【0057】
また、蓋部42が平板状に形成されるので、開閉部材40の開放時に、開閉部材40と第1格納部材20の側面との間が開放面となり、その開放面に消火器を露出させることができる。よって、開閉部材40の上方のみならず、側方からも消火器を出し入れすることができる。
【0058】
この場合、突設部43aの突設長さは、仮想円Sの半径の1/8以上、且つ、半分以下の長さで形成することが好ましく、これにより、開閉部材40の側方からの消火器の出し入れの容易さと、第2挟持部材43での消火器のスライド機能とを両立することができる。
【0059】
ここで、開閉部材40の開放動作は、第1挟持部材35bに保持壁41bが当接することで規制される。即ち、第1挟持部材35bが、保持壁41bの第2格納部材30に対する相対変位の軌跡上に配設される(消火器箱10の側面視において、蝶番32の軸から保持壁41bの後方側の上端までの距離に対し、その軸から第1挟持部材35bの前方側の端部までの距離が短く形成される)。
【0060】
これにより、開閉部材40の変位を規制する部材を別途設けなくても、開閉部材40の変位を規制することができる。即ち、第1挟持部材35bが、開閉部材40の閉鎖時に消火器を挟持する部材と、開閉部材40の変位を規制する部材とを兼ねるので、部品点数が低減する。
【0061】
ここで、第2格納部材30に対する開閉部材40の相対変位を規制する場合、一例として、第2格納部材30と蓋部42(開閉部材40)とを規制部材(例えば、チェーン)で連結する形態が考えられる。この場合、規制部材を蓋部42の上部または側部に連結すると、蓋部42(開閉部材40)の上方または側方からの消火器の出し入れが規制部材によって阻害される。
【0062】
これに対して、本実施の形態のタンクローリ1によれば、第1挟持部材35bが保持壁41b(載置部41)に当接することで開閉部材40の変位が規制されるので、第2格納部材30と蓋部42とを規制部材で連結して開閉部材40の変位を規制する場合に比べ、上述した開放面からの消火器の出し入れが阻害されない。よって、開閉部材40の開放時に、その開閉部材40の上方および側方の双方の開放面から消火器の出し入れを容易に行うことができる。
【0063】
また、従来は、開閉部材が蝶番を中心にして(鉛直または水平方向の軸周りに)180°回転する扉として形成されるため、作業スペースが必要であった。即ち、開閉部材が開閉されると、消火器箱に隣接する艤装品に開閉部材が干渉し、開閉部材が開いた状態でタンクローリの積載物の充填や送出の作業に必要な機器を操作することや、工具を取り出すことが困難であった。
【0064】
これに対して、本実施の形態のタンクローリ1によれば、開閉部材40が消火器箱10の前方側に回転するので、開閉部材40が開放されても、消火器箱10に隣接する艤装品5に開閉部材40が干渉しない。また、開閉部材40の開放動作が第1挟持部材35bによって規制された状態では、開閉部材40(蓋部42)の上端が消火器箱10の下端よりも上方に位置するので、消火器箱10の下方に艤装品5が組み付けられても、その艤装品5に干渉しない。よって、開閉部材40が開いた状態で艤装品5から工具を取り出すことや、機器を操作することができるので、積載物の充填または送出の作業性が向上する。
【0065】
以上、上記実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0066】
上記実施の形態では、凹設部43bが、一対の突設部43aどうしが対向する面と、それら対向する面の間における蓋部42の背面とによってコの字状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、開閉部材40の上面視において、蓋部42側に円弧状に凹設される構成としても良い。
【0067】
上記実施の形態では、凹設部43bが、蓋部42の背面に形成される(即ち、凹設部43b及び蓋部42の背面が同一平面上に形成される)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、凹設部43bを蓋部42から第1挟持部材35a,35b側に離間させて(凹設部43bと蓋部42との間に厚みを持たせて)形成しても良い。特に、消火器の底面の直径が中間部の直径よりも大きい場合には、凹設部43bを蓋部42から離間させ、消火器の底面の直径に応じた保持壁41bを載置部41に形成すれば良い。
【0068】
上記実施の形態では、第2挟持部材43が、底板41aの上面から形成される場合、即ち、第2挟持部材43の下端が保持壁41bの上端よりも下方に位置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第2挟持部材43の下端を保持壁41bの上端よりも上方に位置させても良い。この場合には、蓋部42(消火器)の上下方向における長さの半分以上の延設長さで第2挟持部材43を形成すると共に、その第2挟持部材43の上下方向の中心位置を、蓋部42の上下方向の中心位置よりも下方に位置させることが好ましい。これにより、第2挟持部材43に対して消火器をスライドさせた場合に、消火器が蓋部42から脱落することを抑制できる。
【0069】
上記実施の形態では、保持壁41bが矩形の板で形成される(一様な立設高さで形成される)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、保持壁41bの一部の立設高さを高く形成しても良い。この場合、保持壁41bの後方側の端部の立設高さを高くすることが好ましい。これにより、保持壁41bへの消火器の案内をより確実に行えると共に、開閉部材40の側方からの消火器の出し入れが保持壁41bによって阻害されることを抑制できる。
【0070】
上記実施の形態では、保持壁41bの内周に仮想円Sが内接される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、保持壁41bの内周を仮想円Sよりも大きく形成しても良い。
【0071】
上記実施の形態では、保持壁41bが正方形の領域を形成して仮想円Sを取り囲む場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、保持壁41bによって円形の領域を形成することや、それら正方形または円形の保持壁41bを断続的に形成することで仮想円Sを取り囲む構成でも良い。また、底板41aの上面において、仮想円Sを挟んで第2挟持部材43と対向する位置に、平板状の板や、円弧状の板を立設させ、それらの板と第2挟持部材43とによって仮想円Sを取り囲む構成でも良い。
【0072】
上記実施の形態では、底板41a(載置部41)の下面で開閉部材40が蝶番32によって軸支される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、載置部41又は蓋部42の側面に、その幅方向に沿って突設する凸部を設け、第1格納部材20に、その幅方向に沿って凹設される凹部を設け、それら凸部および凹部を嵌合させることで開閉部材40を軸支しても良い。
【0073】
上記実施の形態では、載置部41の前後方向中央よりも前方側(矢印F側)、且つ、その載置部41と蓋部42との連設部分よりも後方側(矢印B側)において、載置部41(底板41a)の下面が軸支される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくとも開閉部材40の載置部41側が第2格納部材30に軸支されれば良い。開閉部材40の載置部41側とは、例えば、載置部41(底板41a)と蓋部42との連設部分や、その連設部分の近傍における蓋部42が挙げられる。即ち、開閉部材40の下部側の領域において、任意の位置で軸支すれば良い。この場合、載置部41(底板41a)における前後方向中央よりも後方側(即ち、消火器の重心よりも後方側)で軸支すれば、ロック部材33とロックピン41eとの嵌合が解除されると、消火器の自重によって開閉部材40が回転するので、開閉部材40を容易に開放することができる。
【0074】
上記実施の形態では、開閉部材40の変位を第1挟持部材35bによって規制する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、載置部41と底面部31とを連結するチェーンを設けても良く、載置部41の変位軌跡上に開閉部材40の変位を規制する部材(載置部41と当接する部材)を設けても良い。
【0075】
上記実施の形態では、第1挟持部材35a,35b及び第2挟持部材43が板状部材から形成される場合を説明し、その材質は特に限定されるものではないが、例えば、第2挟持部材43を潤滑性の高い樹脂(例えば、フッ素樹脂やポリアセタール樹脂)から形成しても良い。これにより、消火器をスライドさせやすくなると共に、消火器に傷が付くことを抑制できる。また、第2挟持部材43を潤滑性の高い樹脂から形成した場合には、第1挟持部材35a,35bの板厚(上下方向の厚み)を厚く形成すると共に、ゴム状弾性体から形成することが好ましい。これにより、第2挟持部材43を潤滑性の高い樹脂から形成される場合(即ち、消火器が第2挟持部材43に対して摺動しやすい場合)であっても、開閉部材40の閉鎖時に、消火器を第1挟持部材35a、35b及び第2挟持部材43によって強固に保持することができる。
【0076】
上記実施の形態では、蓋部42が平板状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、蓋部42の側方側(矢印L−R側)の端部を、把手部42aと同様に前方側に複数回折り返しても良い。これにより、蓋部42の側方からの消火器の出し入れの容易さを確保しつつ、蓋部42の強度を向上させることができる。