特許第6793465号(P6793465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6793465-信号補償マークを備えた標準器 図000002
  • 特許6793465-信号補償マークを備えた標準器 図000003
  • 特許6793465-信号補償マークを備えた標準器 図000004
  • 特許6793465-信号補償マークを備えた標準器 図000005
  • 特許6793465-信号補償マークを備えた標準器 図000006
  • 特許6793465-信号補償マークを備えた標準器 図000007
  • 特許6793465-信号補償マークを備えた標準器 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793465
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】信号補償マークを備えた標準器
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/249 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   G01D5/249 K
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-86334(P2016-86334)
(22)【出願日】2016年4月22日
(65)【公開番号】特開2016-206198(P2016-206198A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2019年1月16日
(31)【優先権主張番号】10 2015 207 275.4
(32)【優先日】2015年4月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ミュールフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ロイジング
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−515914(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0308803(US,A1)
【文献】 特開2007−198928(JP,A)
【文献】 特開2002−39793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00− 5/62
G01B 7/00− 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置測定システム(10)に使用される標準器(20)であって、
強磁性材料から構成される材料テープ(23)によって形成されており、
前記材料テープ(23)は、測定方向(11)に沿って伸張されて形成されており、
当該測定方向(11)に沿って複数のマーク(21,21a)が前記材料テープに一列に配置されており、
前記複数のマーク(21)はそれぞれ、貫通部(22)又は一定の深さを有する凹部(22a)によって構成されており、
前記複数のマーク(21)は、それぞれマーク輪郭(50)を有しており、
前記複数のマーク(21)の少なくとも一部分により、2値の乱数列が符号化され、
各マーク輪郭(50)は完全に、対応する仮想的な矩形(60)内に対応付けられており、前記仮想的な矩形(60)は、第1,第2,第3及び第4矩形辺(61,62,63,64)を有しており、
前記第1及び第2矩形辺(61,62)は、前記測定方向(11)に対して平行に延在しており、
前記マーク輪郭(50)はそれぞれ、少なくとも1つの直線状の第1外周部分(51)を有しており、当該第1外周部分(51)は、対応する前記第1矩形辺(61)と重なり、
前記マーク輪郭(50)はそれぞれ、少なくとも1つの直線状の第2外周部分(52)を有しており、当該第2外周部分(52)は、対応する前記第2矩形辺(62)と重なり、
前記第3及び第4矩形辺(63,64)はそれぞれ点(68,69)において、対応する前記マーク輪郭(50)と重なり、
隣接する2つの仮想的な矩形(60)の、前記第3矩形辺(63)の間隔はそれぞれ、第1分割間隔(λ)の整数倍であり、前記第1分割間隔(λ)は、符号化された2値の乱数列における2値の1つの数字に対応する、標準器(20)において、
隣接する2つの仮想的な矩形(60)の内法間隔(67)が、前記第1分割間隔(λ)の整数倍とは異なる、
ことを特徴とする標準器(20)。
【請求項2】
前記マーク輪郭(50)はそれぞれ、対応する前記仮想的な矩形(60)と完全に重なる、
請求項1に記載の標準器(20)。
【請求項3】
前記第3矩形辺(63)に、関連する前記マーク輪郭(50)の一直線状の第3外周部分(53)が対応付けられており、
前記第4矩形辺(64)に、関連する前記マーク輪郭(50)の一直線状の第4外周部分(54)が対応付けられており、
前記第3及び第4外周部分(53,54)は互いに平行に配置されており、
当該第3及び第4外周部分(53,54)は、90°とは異なる角度を前記測定方向(11)となす、
請求項1に記載の標準器(20)。
【請求項4】
前記第3矩形辺(63)に、外側又は内側に曲げられて延在する、前記マーク輪郭(50)の第3外周部分(53a)が対応付けられており、
前記第4矩形辺(64)に、外側又は内側に曲げられて延在する、前記マーク輪郭(50)の第4外周部分(54a)が対応付けられている、
請求項1に記載の標準器(20)。
【請求項5】
前記第3及び第4外周部分(53a,54a)は、それぞれ2つの直線状の下位部分(57)を有しており、当該下位部分は、90°以上の角度をなす、
請求項4に記載の標準器(20)。
【請求項6】
互いに対応付けられる直線状の前記2つの下位部分(57)は、角部(58)において、又は、所定の半径で、互いに接する、
請求項5に記載の標準器(20)。
【請求項7】
前記第1及び第2矩形辺(61,62)に対応付けられる、前記マーク輪郭(50)の外周部分は、互いに鏡映対称に形成されている、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の標準器(20)。
【請求項8】
前記第1矩形辺(61)には、前記測定方向(11)に対して曲げられて延在する、前記マーク輪郭(50)の少なくとも1つの第5外周部分(55)が対応付けられており、
前記第2矩形辺(62)には、前記測定方向(11)に対して曲げられて延在する、前記マーク輪郭(50)の少なくとも1つの第6外周部分(56)が対応付けられている、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の標準器(20)。
【請求項9】
前記第5及び/又は前記第6外周部分(55,56)が、少なくとも1つの直線状の下位部分(57a)を有する、
請求項8に記載の標準器(20)。
【請求項10】
前記第5及び/又は前記第6外周部分(55,56)が、少なくとも1つの折り曲げることなく湾曲させた下位部分(57b)を有する、
請求項8又は9に記載の標準器(20)。
【請求項11】
総ての前記マーク輪郭(50)の前記1外周部分(51)が、測定方向(11)に一列に配置されており、
総ての前記マーク輪郭(50)の前記2外周部分(52)は、測定方向(11)に一列に配置されている、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の標準器(20)。
【請求項12】
前記第3矩形辺(63)及び前記第4矩形辺(64)の間隔(66)は、前記第1分割間隔(λ)の最も近い整数倍よりも、前記第1分割間隔(λ)の20%乃至50%の間の分だけ大きい、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の標準器(20)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の標準器(20)を有する位置測定システム(10)において、
測定方向(11)に一列に配置されている少なくとも5つの受信コイル(40)を有する走査装置(30)が設けられており、
当該走査装置(30)は、前記受信コイル(40)に対して相対的に運動しない送信巻線装置(41)を有しており、
当該走査装置(30)は、前記標準器(20)に沿って測定方向(11)に運動可能であり、
前記受信コイル(40)、前記送信巻線装置(41)及び前記標準器(20)は、前記走査装置(30)に対する前記標準器(20)の位置により、前記送信巻線装置(41)と、前記受信コイル(40)との間の誘導結合に変化が生じるように配置されている、
ことを特徴とする位置測定システム(10)。
【請求項14】
前記送信巻線装置(41)は、測定方向(11)に一列に配置されている複数の固有の送信面(42)を取り囲み、
1つの送信面(42)内に、最大で1つの対応する受信コイル(40)が配置されている、
請求項13に記載の位置測定システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載した標準器に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第2502030号明細書からは、位置測定システムに使用するために設けられている標準器が公知である。この位置測定システムは、絶対位置測定システムであり、標準器のマークにより、2値の乱数列が符号化される。この標準器は、走査装置によって誘導式に読み出される。このためには2つのタイプの標準器が対象となり、即ち、導電率の高い材料、例えば銅から構成される標準器(うず電流原理)と、強磁性材料から構成される標準器とが対象となる。本発明では後者のタイプを扱う。
【0003】
誘導式の走査では一般的に、信号オフセットを最小化するため、差動式に接続されたコイル対が使用される。欧州特許第2502030号明細書では、このコイル対は、測定方向に対して横方向に並べて配置され、ここでは複数のマークからなる相補的な2つの列が使用される。コイル対の個別コイルは、互いに固定に配線されている。出願人は、未公開の独国特許出願第102014216036.7号明細書において、測定方向において一列に配置されている複数の個別コイルだけを含む位置測定を提案している。これらの個別コイルは動作中に動的にさまざまに相互接続されるため、差動のコイル対の複数の個別コイルは測定方向に並んで配置される。本発明は、もっぱら最後に挙げたタイプにおいて生じる問題を取り扱う。
【0004】
複数の受信コイルが1つのマークの側方の境界上を運動する場合、これら受信コイルに誘導される交流電圧は跳躍的には変化せず、むしろ信号振幅の単調な増大乃至減少が発生する。
【0005】
公知の位置測定装置では、マークは材料テープの貫通部又は凹部に構成される。対応するマーク輪郭は、矩形に形成される。この矩形の幅及び内法の間隔はそれぞれ、第1分割間隔の整数倍である。出願人の複数の実験によって判明したのは、測定方向に対して横方向を向いている、マーク輪郭の外周部分の正確に中心上にある個別の受信コイルに誘導される交流電圧が、この誘導される交流電圧の最大振幅の50%よりも大きい振幅を有することである。これにより、信号評価が極めて困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2502030号明細書
【特許文献2】独国特許出願第102014216036.7号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の利点は、位置を求めるための、受信コイルに誘導される交流電圧の評価が特に容易になることにある。特に、受信コイルに誘導される交流電圧の振幅は、第1分割間隔に対応する分割グリッドを基準にした所定の箇所において実質的に、最大信号振幅の50%になる。
【0008】
独立請求項によって提案されるのは、隣接する2つの仮想的な矩形の内法間隔が、第1分割間隔の整数倍とは異なることである。これにより、上記分割グリッドに対し、信号伝送がずらされる。上記内法間隔は、受信コイルに誘導される交流電圧が、第1分割間隔に対応する分割グリッドを基準にした所定の箇所において、実質的に最大振幅の50%になるように選択される。上記内法間隔は、隣接する仮想的な矩形の第3辺(以下、この仮想的な矩形の辺を矩形辺と称する)と第4矩形辺との間隔である。
【0009】
上記材料テープは、有利には第1分割間隔よりも小さい一定の厚さを有する。この厚さは、例えば0.3mmであり、第1分割間隔は、例えば1mmである。材料テープの幅は有利には、第1分割間隔よりも大きく、例えば5mmである。材料テープは有利には、ステンレンススチールからなる。上記マークには、非強磁性材料を充填することができ、このマークは有利には、空とする、乃至、空気が充填される。上記送信巻線装置及び/又は受信コイルは有利には、平坦コイル装置として形成される。上記標準器は有利には例えばEP 1 052 480 B1に従って形成される、リニアローラ軸受けのガイドレールの構成部分である。第1矩形辺乃至第2矩形辺に、測定方向に対して平行に延在する、マーク輪郭の複数の直線部分が対応付けられ、且つ、これらの直線部分がずらされて配置される場合、上述した矩形辺は有利には、合計で最大の長さを有する直線部分と重なる。
【0010】
従属請求項には、本発明の有利な発展形態及び改善が示されている。
【0011】
マーク輪郭はそれぞれ、対応する仮想的な矩形と完全に重なるようにすることができる。この実施形態は、公知の標準器とは最小限の違いしか有しないが、上で挙げたような利点が得られる実施形態である。この標準器は、公知の標準器と同様に簡単に製造することができる。ここでは有利には光化学エッチング法が使用される。
【0012】
本発明では、第3矩形辺に、関連するマーク輪郭の一直線状の第3外周部分が対応付けられ、第4矩形辺に、関連するマーク輪郭の一直線状の第4外周部分が対応付けられ、第3及び第4外周部分は互いに平行に配置され、これらは、90°とは異なる角度を上記測定方向となす。最も簡単なケースにおいてマーク輪郭は、平行四辺形の形状に形成される。しかしながら、このマーク輪郭は、第1及び第2矩形辺の領域において、平行四辺形とは異なる形状を有し得る。このようなマーク輪郭により、標準器に対する走査装置の運動経路が延長され、ここでこの経路は、マーク境界において連続して信号が伝送されることによって延長される。これにより、走査装置の各位置において、各マーク境界が少なくとも1つの受信コイルによって検出されて、誘導交流電圧の最小振幅と最大振幅との間に振幅を有する交流電圧が誘導されることが保証される。これにより、標準器によって読み取られる乱数列が容易に求められる。さらに、測定方向に対して横方向の、標準器に対する走査装置の位置エラーは、上で提案したマーク輪郭の矩形形状の場合よりも、大きな影響を及ぼさない。
【0013】
本発明では、第3矩形辺に、外側又は内側に曲げられて延在する、マーク輪郭の第3外周部分が対応付けられ、第4矩形辺に、外側又は内側に曲げられて延在する、マーク輪郭の第4外周部分が対応付けられるようにことが可能である。これらの第3矩形辺及び第4矩形辺は、有利には互いに鏡映対称に形成される。第3矩形辺及び第4矩形辺が、折り曲げられていない湾曲部の形状で経過することも考えられる。しかしながら、ここで「湾曲」とは、折り曲げられた部分を有する、第3矩形辺及び第4矩形辺の経過を含むものとする。
【0014】
本発明では、第3矩形辺及び第4矩形辺がそれぞれ2つの直線状の下位部分を有するようにすることも可能であり、ここでこれらの下位部分は、90°よりも大きな角度をなす。これによって達成されるのは、マーク境界の領域において信号経過がほぼ直線状になることである。第3矩形辺及び/又は第4矩形辺は有利には、標準器の中心線に関して鏡映対称に形成される。第3矩形辺及び/又は第4矩形辺は有利には、ちょうど2つの直線状の下位部分を有する。
【0015】
本発明では、互いに対応付けられる2つの直線状の下位部分が、角部において、又は、所定の半径で、互いに接するようにすることが可能である。この半径は有利には小さく構成される。
【0016】
本発明では、第1矩形辺及び第2矩形辺に対応付けられている、マーク輪郭の外周部分が、互いに鏡映対称に形成されるようにすることが可能である。これにより、特に、補償することができない信号エラーを回避することができる。
【0017】
本発明では、第1矩形辺に、上記測定方向に対して曲げられて延在する、マーク輪郭の少なくとも1つの第5外周部分が対応付けられ、第2矩形辺に、測定方向に対して曲げられて延在する、マーク輪郭の少なくとも1つの第6外周部分が対応付けられるようにすることができる。この実施形態において示されたのは、受信コイルに誘導される交流電圧の振幅が、マーク境界の領域における上記受信コイルのいくつかの箇所において、理論的には受信コイルが完全に強磁性材料の上にある場合にのみ発生するはずである最大値を上回る値を取り得ることである。ここでは、上記の振幅が、理論的には受信コイルが完全に空気乃至非強磁性材料上にある場合にのみ発生するはずである最小値を下回って降下することも起こり得る。このような作用は、マーク輪郭を本発明で提案したように構成することによって補償することができる。しかしながら「湾曲している」とは、折り曲げ部分を有する第5外周構成部乃至第6外周構成部の経過も含まれるものとする。第5外周構成部又は第6外周部分は選択的に内側又は外側に曲げられることができる。
【0018】
本発明では、第5外周部分及び/又は第6外周部分が、少なくとも1つの直線状の下位部分を有するようにことが可能である。
【0019】
本発明では、第5外周部分及び/又は第6外周部分が、少なくとも1つの、折り曲げることなく湾曲させた直線状の下位部分を有するようにすることが可能である。
【0020】
本発明では、総てのマーク輪郭の複数の第1外周部分が、測定方向に一列に配置され、総てのマーク輪郭の複数の第2外周部分が、測定方向に一列に配置されるようにすることが可能である。位置測定システムの動作時には有利にも標準器に引張り応力が加えられて、あらかじめ設定された第1分割間隔が極めて正確に維持される。マーク輪郭をここで提案するように構成することにより、標準器が、正確に直線状である形とは異なる経過を取ることが回避される。これにより、マークを読み取る際にエラーが発生することが回避される。
【0021】
本発明では、第3矩形辺及び第4矩形辺の間隔が、第1分割間隔の最も近い整数倍よりも、この第1分割間隔の20%乃至50%の間の分だけ大きいようにすることが可能である。マーク輪郭をこのように構成することより、上で有利であると説明した信号経過がマーク境界の領域において生じる。
【0022】
本発明による標準器は有利には位置測定システムにおいて使用され、ここでは、測定方向に一列に配置されている少なくとも5つの受信コイルを有する走査装置が設けられており、この走査装置は、受信コイルに対して相対的に運動しない送信巻線装置を有しており、この走査装置は、標準器に沿って測定方向に運動可能であり、受信コイル、送信巻線装置及び標準器は、走査装置に対する標準器の位置により、送信巻線装置と、受信コイルとの間の誘導結合に変化が生じるように配置されている。測定方向において隣接する総ての対の間隔は有利には、一定の第2分割間隔と等しい。この第2分割間隔は有利には、第1分割間隔以下であり、この第2分割間隔は、例えば0.8mmである。
【0023】
本発明では、送信巻線装置が、測定方向に一列に配置されている複数の固有の送信面を取り囲み、1つの送信面内に、最大で1つの対応する受信コイルが配置されるようにすることが可能である。このような位置測定装置では、本発明のベースにある問題が特に強く発生するため、本発明による補償が特に有利である。受信コイルは有利には完全に、それぞれ対応する送信面内に配置される。
【0024】
上で挙げた特徴的構成及び以下にさらに説明する特徴的構成は、本発明の枠を逸脱することなく、それぞれ示した組み合わせにおいてだけでなく、別の組み合わせにおいて、又は、単独で使用できることは明らかである。
【0025】
本発明を以下、添付の図面に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態による位置測定装置の概略図である。
図2図1に示した本発明の第1実施形態による標準器の一部分を示す概略図である。
図3】本発明の第2実施形態による標準器の一部分を概略図である。
図4】本発明の第3実施形態による標準器の一部分を概略図である。
図5】本発明の第4実施形態による標準器の一部分を概略図である。
図6】マークが貫通部として形成されている、図1に示した位置測定装置の概略断面図である。
図7】マークが凹部として形成されている、図6に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、本発明の第1実施形態による位置測定装置10の概略図が示されている。位置測定装置10には、標準器20及び走査装置30が含まれている。標準器20は、材料テープ23として実施されており、この材料テープは、強磁性材料から、例えばステンレスチールから構成されており、例えば0.3mmの一定の厚さを有する。標準器20は、一定の幅27で測定方向11に延在している。標準器20上には測定方向11に沿って複数のマーク21が一列に配置されており、これらマークのベースになっているのは一定の第1分割間隔λである。マーク21は、選択的に貫通部(図6の22)又は一定の深さを有する凹部(図7の22a)として形成することができる。マーク21は、マークが存在する又は存在しないの2つの状態を有することができる。マーク21により、2値の乱数列が符号化され、第1分割間隔λは、この符号の2値の数字に対応する。これらのマークの形状については、図2乃至図5を参照してさらに後で説明する。マーク21は、材料テープに横方向のストライプが必要ないように構成されており、これらのマークは、第1分割間隔λで離隔されて材料テープ23に配置されている。マーク21の、測定方向11に対して横方向の両側に、材料テープ23はそれぞれ側方ストライプ24を有しているため、連結している標準器20が得られる。マーク21は有利には、空気が充填された自由空間として形成されている。しかしながら、マークには、強磁性でない材料を、例えば真鍮を充填することもできる。
【0028】
走査装置30は、標準器20に対し、測定方向11に可動である。標準器20は、有利にはリニアローラ軸受けのガイドレールに固定され、走査装置30は、対応するガイド台車に固定される。対応するリニアローラ軸受けは、独国特許出願公開第102007042796号明細書から公知である。走査装置30には、有利には専用の電子ボートの形態で形成されている評価ユニット34が含まれている。走査装置30の残余の部分、特に送信巻線装置41と、受信コイル40と、スイッチング装置70と、オペアンプ80は、標準器20の空間的に直ぐ近くに配置されるが、これとは異なり、評価ユニット34は、標準器20に対して一層大きな空間的な間隔を有し得る。
【0029】
送信巻線装置41及び受信コイル40はそれぞれ、平坦な巻線装置として形成されている。図1ではそれぞれ一巻きしか書き込まれていないが、実際には送信巻線装置41も受信コイル40も共にそれぞれ、実質的に平行な複数巻きを有する。図1では、送信巻線装置41にも標準器20にも中心線25が書き込まれている。これら2つの中心線25は、図1に示したのとは異なり、互いに重なり合い、送信巻線装置41及び受信コイル40は、標準器20に対してわずかな間隔で配置されている(図6及び図7を参照されたい)。これにより、標準器20は、送信巻線装置41と受信コイル40との間の誘導結合を変化させる。即ち、送信巻線装置41に供給される交流により、標準器20に対する走査装置30の位置に依存する振幅を有する交流電圧が受信コイル40に誘導されるのである。
【0030】
送信巻線装置41は、ここではメアンダ構造として形成されており、このメアンダ構造は、測定方向11に一列に配置されている固有の複数の送信面42を取り囲む。送信巻線装置41には、蛇行線状に形成された複数の導体路43からなる第1グループ44及び第2グループ45が含まれており、これらの導体路は測定方向11に沿って複数回交差している。参照符号46によって示した箇所では、送信巻線装置41が、単一の通過する導体路によって構成されるように上述の複数の導体路43が互いに接続されている。送信巻線装置41は択一的に、それぞれ対応する単一の送信面42を取り囲む複数の個別コイルからまとめることも可能であり、これらの個別コイルは、選択的に直列又は並列に接続される。交流電流源により、送信巻線装置41に交流が供給される場合、総ての送信面42には、実質的に大きさが等しい電磁交番場が発生し、この場の向きは、隣接する2つの送信面42において逆向きである。交流電流源31は、有利には評価ユニット34の構成部分である。
【0031】
送信面42には、それぞれ1つの受信コイル40が配置されている。受信コイル40の空間的な近傍にはオペアンプ80が配置されており、このオペアンプは、有利には完全差動型に形成されている。隣接する2つの受信コイル40は、測定方向11においてそれぞれ一定の第2分割間隔δを有しており、これは例えば0.8mmである。オペアンプ80の配線は、図1において極めて簡略化されて示されており、完全差動オペアンプ80に特徴的な2つのフィードバック抵抗85,86だけが示されている。第1フィードバック抵抗85は、オペアンプ80の第1入力端子81と、オペアンプ80の第1出力端子83とを接続する。第2フィードバック抵抗86は、オペアンプ80の第2入力端子82と、オペアンプ80の第2出力端子84とを接続する。
【0032】
第1出力端子83及び第2出力端子84は、アナログデジタル変換器32の入力側に接続されているため、アナログデジタル変換器32は、対応する電気測定電圧Mを測定することができる。対応するデジタル値は、プログラミング可能なデジタル計算器33に転送される。プログラミング可能なデジタル計算器33及びアナログデジタル変換器32は、有利には評価ユニット34の構成部分であり、この評価ユニット34は、最も有利には、マイクロコントローラの形態で形成される。
【0033】
第1入力端子81及び第2入力端子82は、スイッチング装置70を介して種々異なる受信コイル40に接続される。スイッチング装置70には、オペアンプ80の第1入力端子81に接続されている第1信号線路75が含まれている。さらに第2信号線路76が、オペアンプ80の第2入力端子82に接続されている。各受信コイル40の一方の端子はそれぞれ、第3信号線路77に接続されている。受信コイル40の他方の端子はそれぞれ、対応するスイッチング手段71,72を介して第1信号線路75又は第2信号線路76のいずれかに接続される。各スイッチング手段71,72,73,74は、有利には、これが第1の電気抵抗を有する第1の状態を有しており、また各スイッチング手段は、これが第2の電気抵抗を有する第2の状態を有しており、ここで第2の電気抵抗は、第1の電気抵抗より少なくとも1000倍大きく、少なくとも1つのスイッチング手段により、第1の状態と第2の状態とを切り換えることができる。本発明において仮定したのは、受信コイル40が、対応するスイッチング手段71,72の第2の状態において、オペアンプ80に接続されないことである。有利には半導体ベースのスイッチング手段71,72,73,74を使用する。これにより、例えば、0.9Ωの第1の電気抵抗を得ることができ、少なくとも60dBの信号減衰が生じる第2の電気抵抗を得ることができる。対応するスイッチング手段は、2015年3月19日時点でインターネットアドレスhttp://www.ti.com/lit/ds/symlink/ts5a623157.pdfにおいて取り出すことのできるデータシートに記載されている。
【0034】
図1には、例示的に7個の受信コイル40が示されており、これらの受信コイルにはそれぞれ、測定方向11に沿ってカウントアップされるインデックスnが付されている。測定システム10が格段に多くの、例えば30個の受信コイル40を有し得ることは明らかである。インデックスn=1,3,5,7を有する受信コイル40はそれぞれ、第1スイッチング手段71を介して第1信号線路75に接続される。これらの間にそれぞれ配置され且つインデックスn=2,4,6を有する受信コイル40はそれぞれ第2スイッチング手段72を介して第2信号線路76に接続される。ここで説明している配線により、選択した2つの受信コイルが差動的に共通接続され、これらの受信コイルがオペアンプ80の入力側に接続される。これにより、上記の2つの受信コイル40に同様に作用する外部の妨害場は、測定電圧Mを変化させない。2つの受信コイルを正しく差動的に接続することは、関連する複数の受信コイルの巻線方向、及び、どの端子を第3信号線路77に接続するかによって決まる。
【0035】
第4スイッチング手段74により、第3信号線路77と、オペアンプ80の第1入力端子81とが接続される。これにより、個々の受信コイル40の1つだけが、オペアンプ80の入力側に接続され、この受信コイルは、第2スイッチング手段72を介して第2信号線路76に接続される。また、第1スイッチング手段71を介して第1信号線路75に接続される個々の受信コイル40を使用する場合、第3スイッチング手段73だけが接続される。第3スイッチング手段73により、第3信号線路77は、オペアンプ80の第2入力端子82に接続される。
【0036】
第1乃至第4のスイッチング手段71,72,73,74は、有利には、プログラミング可能なデジタル計算器33によって駆動制御される。対応する制御線路は、図1では示していない。
【0037】
図2には、図1に示した本発明の第1実施形態による標準器20の一部分が概略的に示されている。標準器20の下側には、位置xについて電圧比kをプロットした線図が示されている。位置xは、個々の受信コイル(図1の参照符号40)の、標準器20に対する位置である。電圧比kは、観察している受信コイルに誘導される交流電圧の振幅を示している。値100%は、受信コイルが完全に強磁性材料上にある場合に発生する。受信コイルが完全にマーク21上にある場合、この電圧比はほぼ0%である。なぜならば、強磁性材料がないことに起因して送信巻線装置と受信コイルとの間の誘導結合は極めて弱いからである。
【0038】
第1実施形態では、マーク輪郭50は矩形に形成されているため、独立請求項に記載した仮想的な矩形60は、マーク輪郭50と完全に一致する。仮想的な矩形60は、第1矩形辺61,第2矩形辺62,第3矩形辺63及び第4矩形辺64を有する。第1矩形辺61及び第2矩形辺62は、測定方向11に対して平行に延在しており、第3矩形辺63及び第4矩形辺64は、測定方向11に対して垂直方向に延在している。第1矩形辺61及び第2矩形辺62の間隔65は、マーク21の幅に等しい。間隔65は材料テープ23の幅27よりもわずかに小さく構成されているため、材料テープ23を一体化する、対向した2つの側方ストライプ24が残存している。第3矩形辺63の第4矩形辺64の間隔66は、マーク21の長さである。ここで、これは、第1分割間隔λの整数倍よりもわずかに大きい。図1から分かるように、例えば総てのマーク21の第3矩形辺63の間隔を測定することにより、第1分割間隔λを求めることができ、これらの間隔のうちの最も短い間隔は、第1分割間隔λの2倍に等しい。
【0039】
隣接する2つの仮想的な矩形60の間隔66乃至内法間隔(図1の参照符号67)は、電圧比kの2つの50%値12の距離13が、可能な限り正確に第1分割間隔λの整数倍になるように選択される。第1分割間隔λが、例えば1.0mmの場合、間隔66は、例えば1.4mmをとることでき、上記の内法間隔(図1の参照符号67)は、例えば0.6mmである。
【0040】
図3には、本発明の第2実施形態による標準器20の一部分が概略的に示されている。マーク輪郭50は、平行四辺形の形状で形成されているため、このマーク輪郭が仮想的な矩形60とはもはや完全に一致することはない。仮想的な矩形60は、図3において破線によって書き込まれている。マーク輪郭50の一直線状の第1外周部分51は、完全に第1矩形辺61上に載っており、第1矩形辺61は、第1外周部分51よりも長い。マーク輪郭50の一直線状の第2外周部分52は、完全に第2矩形辺62上に載っており、第2矩形辺62は、第2外周部分52よりも長い。
【0041】
第3矩形辺63には、関連するマーク輪郭50の一直線状の第3外周部分53が対応付けられており、この外周部分は完全に仮想的な矩形60内に配置されている。第4矩形辺64には、関連するマーク輪郭50の一直線状の第4外周部分54が対応付けられており、この外周部分は完全に仮想的な矩形60内に配置されている。第3外周部分53及び第4外周部分54は、互いに平行に配置されており、これらは、90°とは異なる角度を測定方向11となしている。
【0042】
第3矩形辺63と、マーク輪郭50とが交わる点68は、第3外周部分53と、第2外周部分52との間の角部にある。第4矩形辺64と、マーク輪郭50とが交わる点69は、第4外周部分54及び第1外周部分51との間の角部にある。
【0043】
図2図3との比較から分かるように、第2実施形態では、2つの50%値12の領域における、位置xについての電圧比kの経過は、第1実施形態の場合よりも、明らかに傾きが小さい。間隔66乃至内法幅(図1の参照符号67)は、ここでも、電圧比kの2つの50%値の距離13が、可能な限り正確に第1分割間隔λの整数倍になるように選択される。
【0044】
図4には、本発明の第3実施形態による標準器20の一部分が概略的に示されている。仮想的な矩形60は、図4において、破線で書き込まれている。マーク輪郭50の一直線状の第1外周部分51は、完全に第1矩形辺61上に載っており、第1矩形辺61は、第1外周部分51よりも長い。マーク輪郭50の一直線状の第2外周部分52は、完全に第2矩形辺62上に載っており、第2矩形辺62は、第2外周部分52よりも長い。
【0045】
第3矩形辺63には、外側に曲げられて延在する、マーク輪郭50の第3外周部分53aが対応付けられる。第4矩形辺64には、外側に曲げられて延在する、マーク輪郭50の第4外周部分54aが対応付けられる。第3外周部分53a及び第4外周部分54aは、互いに鏡映対称に形成されている。第3外周部分53a及び第4外周部分54aは、それぞれちょうど2つの下位部分57を有しており、これらの2つの下位部分は、90°以上の角度をなしている。互いに対応する直線状の2つの下位部分57は、角部58で互いに接している。これらの角部58は、第3矩形辺63乃至第4矩形辺64と、マーク輪郭50とが交わる点68,69を構成している。
【0046】
第3実施形態において、2つの50%値12の領域における、位置xについての電圧比kの経過は、図3に示した第2実施形態の場合とほぼ同じである。間隔66乃至内法幅(図1の参照符号67)は、ここでも、電圧比kの2つの50%値の距離13が、可能な限り正確に第1分割間隔λの整数倍になるように選択される。
【0047】
第3実施形態によるマーク輪郭50は全体的に、標準器20の中心線25に関して鏡映対称に形成されている。これにより、標準器20を走査する際のエラーが回避される。
【0048】
図5には、本発明の第4実施形態による標準器20の一部分が概略的に示されている。この実施形態は、信号評価に対して理想的な信号形状と、実際の信号形状との別の複数の偏差に関係している。図5に示した第4実施形態は、図2に示した第1実施形態の変化形態であるが、これは、図3に示した第2実施形態乃至図4に示した第3実施形態と組み合わせることも可能である。
【0049】
図5の下側には、図2に示した第1実施形態だけが使用される場合に発生し得る信号形状が破線で書き込まれている。実線により、以下で説明する補償手段に従って発生し且つ簡単な信号評価に特に好適な信号形状が示されている。これらの信号形状の間には、全部で3種類の偏差14a,14b,15a,15b,16が発生し、これらについて以下、詳細に説明する。
【0050】
観察する個別コイルが、マーク21に対して大きな間隔で完全に材料テープ23の強磁性材料上に存在する場合、平坦効果16が観察されることがある。この場合には信号振幅は、個別コイルが、マーク21に対して小さな距離で完全に材料テープ23の強磁性材料上に存在する場合よりもやや高くなる。この平坦効果16には、情報を有するマーク21と比較して極めて狭い幅で形成される補助マーク21aによって対処することができる。この補助マーク21aはまさに、補助マーク21aがなければ平坦効果16が示される場所に配置される。補助マーク21aの幅はまさに、平坦効果16が消滅する大きさに選択される。
【0051】
観察する個別コイルが、マーク境界53,54の少し前又は少し後ろで、材料テープ23の強磁性材料上に存在する場合、オーバシュート14a,14bが生じることがある。オーバシュート14a,14bには、材料テープ23の対応する領域において、強磁性材料を除去することによって対処することができる。このために補助マーク21aの第1矩形辺61にマーク輪郭50の第5外周部分55が設けられ、この外周部分は、測定方向11に対して外側に向かって曲げられて延在しており、第2矩形辺62には、補助マーク21aのマーク輪郭50の少なくとも1つの第6外周部分56が対応付けられており、これは測定方向11に対して外側に曲げられて延在している。
【0052】
観察する個別コイルが、マーク境界53,54の少し後ろ又は少し前のマーク21がない箇所に存在する場合、アンダシュート15a,15bが観察されることがある。材料テープ23の対応する領域に強磁性材料を追加することによってこれらのアンダシュート15a,15bに対処することができる。このためにマーク21の第1矩形辺61にマーク輪郭50の第5外周部分55が設けられる。この第5外周部分は、測定方向11に対して内側に曲げられて延在している。マーク21の第2矩形辺62には、マーク輪郭50の少なくとも1つの第6外周部分56が対応付けられており、第6外周部分は、測定方向11に対して内側に曲げられて延在している。
【0053】
第5外周部分55及び/又は第6外周部分56は、図5においてオーバシュート14b及びアンダシュート15bの場合に示されているように、少なくとも1つの直線状の下位部分57aを有することできる。第5外周部分55及び/又は第6外周部分56は、図5においてオーバシュート14a及びアンダシュート15aの場合に示されているように、折り曲げることなく湾曲させた下位部分57bを有することできる。
【0054】
図6には、図1に示した位置測定装置10の概略的な断面が示されており、マーク21は、貫通部22として形成されている。これに相応してマーク21は、標準器20の全体厚さ26を貫通している。マーク輪郭50は、実質的に材料テープ23の全体厚さ26にわたって一定に形成されている。光化学エッチング法による有利な製造により、許容差に起因してさまざま偏差が発生し得る。貫通部22は有利には互いに逆の2つの面から同時に、材料テープ23からエッチングされるため、エッチング時間は短くなる。
【0055】
さらに図6では、標準器20に対する受信コイル40及び送信巻線装置41の配置が分かる。受信コイル40及び送信巻線装置41はそれぞれ、平坦巻線装置として形成されており、これらは有利には光化学エッチング法によって作製される。図6では、受信コイル40及び送信巻線装置41に対してそれぞれ単一の層しか設けられていないが、コイル巻数を可能な限り大きくするため、複数の層を設けることもできる。個々の層は、それぞれ1つの絶縁層47によって互いに切り離されており、これらの絶縁層は、例えばポリイミドから構成することが可能である。このプラスチックは、電気絶縁性であり、高い温度に耐える。受信コイル40及び/又は送信巻線装置41がそれぞれ複数の層を有する場合、これらは有利にスルーホールを介して互いに電気的に接続される。これらのスルーホールは、1つの又は複数の対応する絶縁層を貫通する。
【0056】
標準器20と、受信コイル40及び送信巻線装置41を含むユニットとの間のセンサ間隔17は、有利には小さく構成され、最も有利には、第1分割間隔λより小さく構成される。
【0057】
図7には、図6に対応する図が示されており、マーク21は、凹部22aとして構成されている。この凹部22aは、例えば材料テープ23の厚さ26の半分である一定の深さ22bを有する。凹部22aは有利には光化学エッチング法によって作製され、このエッチングは、材料テープ23の一方の側だけから行われる。エッチング深さ、従って、凹部22aの深さ22bの制御は困難であるため、図6の貫通部が有利である。
【0058】
その他の点については図6の説明を参照されたい。図6及び図7において同じ部分乃至対応する部分には同じ参照符号が付されている。
【符号の説明】
【0059】
λ 第1分割間隔
δ 第2分割間隔
M 測定電圧
k 電圧比
x 標準器に対する個々の受信コイルの位置
10 位置測定システム
11 測定方向
12 電圧比の50%値
13 電圧比の2つの50%値の距離
14a オーバシュート
14b オーバシュート
15a アンダシュート
15b アンダシュート
16 平坦効果
17 センサ間隔
20 標準器
21 マーク
21a 補助マーク
22 貫通部
22a 凹部
22b 凹部の深さ
23 材料テープ
24 側方ストライプ
25 中心線
26 材料テープの厚さ
27 材料テープの幅
30 走査装置
31 交流電流源
32 アナログデジタル変換器
33 プログラミング可能デジタル計算器
34 評価ユニット
40 受信コイル
41 送信巻線装置
42 送信面
43 蛇行線状導体路
44 第1グループ
45 第2グループ
46 蛇行線状導体路の2つのグループ間の境界部
47 絶縁層
50 マーク輪郭
51 第1外周部分
52 第2外周部分
53 第3外周部分
53a 第3外周部分
54 第4外周部分
54a 第4外周部分
55 第5外周部分
56 第6外周部分
57 直線状の下位部分
57a 直線状の下位部分
57b 折り曲げることなく湾曲させた下位部分
58 角部
60 仮想的な矩形
61 第1矩形辺
62 第2矩形辺
63 第3矩形辺
64 第4矩形辺
65 第1矩形辺と第2矩形辺との間の間隔
66 第3矩形辺と第4矩形辺との間の間隔
67 隣接する2つの矩形間の内法
68 第3矩形辺とマーク輪郭とが交わる点
69 第4矩形辺とマーク輪郭とが交わる点
70 スイッチング装置
71 第1スイッチング手段
72 第2スイッチング手段
73 第3スイッチング手段
74 第4スイッチング手段
75 第1信号線路
76 第2信号線路
77 第3信号線路
80 オペアンプ
81 オペアンプの第1入力端子
82 オペアンプの第2入力端子
83 オペアンプの第1出力端子
84 オペアンプの第2出力端子
85 第1フィードバック抵抗
86 第2フィードバック抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7