特許第6793470号(P6793470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6793470液晶滴下工法用シール材、液晶表示パネル及び液晶表示パネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793470
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】液晶滴下工法用シール材、液晶表示パネル及び液晶表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20201119BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
   C09K3/10 E
   C09K3/10 L
   C09K3/10 Z
   C09K3/10 D
   C09K3/10 Q
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-111292(P2016-111292)
(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公開番号】特開2017-219564(P2017-219564A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 裕明
(72)【発明者】
【氏名】溝部 祐司
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 知也
(72)【発明者】
【氏名】河野 大輔
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−532083(JP,A)
【文献】 特開2006−30481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
C09K 3/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aと、
下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有し、且つ水酸基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる水素結合性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂Bと、
光重合開始剤Cと、
熱硬化剤Dと、
充填剤Eとを含む(但し、前記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位とを含まない)、
液晶滴下工法用シール材。
【化1】
(式(1)のRは、水素原子又はメチル基を表す)
【請求項2】
前記(メタ)アクリル樹脂Bの水素結合性官能基当量が、500〜8000g/eqである、
請求項1に記載の液晶滴下工法用シール材。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位の合計含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂Bを構成する構造単位の全質量に対して30〜99質量%である、
請求項1または2に記載の液晶滴下工法用シール材。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル樹脂Bと前記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aとの含有質量比B/Aは、0.1〜0.5である、
請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用シール材。
【請求項5】
前記熱硬化剤Dは、アミン系潜在性硬化剤又はチオール系潜在性硬化剤である、
請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用シール材。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用シール材を用いて、一方の基板上に枠状のシールパターンを形成する工程と、
前記シールパターンが未硬化の状態において、前記シールパターンの枠内、又は前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程と、
前記一方の基板と前記他方の基板とを、前記シールパターンを介して重ね合わせる工程と、
前記シールパターンを光硬化させた後、熱硬化させる工程と、
を含む、
液晶表示パネルの製造方法。
【請求項7】
一対の基板と、
前記一対の基板の間に配置された枠状のシール部材と、
前記一対の基板の間の前記シール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含み、
前記シール部材が、請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用シール材の硬化物である、
液晶表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶滴下工法用シール材、液晶表示パネル及び液晶表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器の画像表示パネルとして、液晶表示パネルが広く使用されている。液晶表示パネルは、通常、表面に電極が設けられた一対の基板と、それらの間に挟持された枠状のシール部材と、該シール部材で囲まれた領域内に封入された液晶とを有する。
【0003】
近年、液晶表示パネルの単位パネル当たりの有効画面領域を拡大させるために、シール部材の幅を従来よりも狭くすること(狭額縁化)が求められている。それに伴い、シール部材は、単位面積当たりの接着強度を従来よりも高くすることが望まれている。
【0004】
このような液晶表示パネルは、例えば液晶滴下工法で製造される。液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造は、(1)一対の基板の一方にシール材を塗布して、液晶を充填するための枠状のシールパターンを形成し、(2)該シールパターンの枠内に液晶を滴下し、(3)シールパターンが未硬化状態のままで一対の基板を高真空下で重ね合わせた後、(4)シールパターンを硬化させて行う。
【0005】
このように、液晶滴下工法では、未硬化のシール材と液晶とが接触した状態で硬化を行う。そのため、シール材は、液晶の汚染が少ないことが求められる。
【0006】
液晶滴下工法に用いられるシール材として、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体骨格を有する化合物と、熱硬化剤と、充填剤とを含む液晶滴下工法用シール材が知られている(例えば特許文献1)。また、液晶注入工法に用いられるシール材として、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、硬化剤と、マレイン化ポリブタジエンと、溶剤と、無機充填剤とを含む液晶表示素子用シール材組成物が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4452530号公報
【特許文献2】特開2000−221517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の液晶滴下工法用シール材に含まれる「ブタジエン−アクリロニトリル共重合体骨格を有する化合物」は、アクリロニトリル骨格を含むことから、十分な柔軟性を有するものではなかった。それにより、特許文献1の液晶滴下工法用シール材の硬化物は柔軟性が低く、液晶表示パネルにおける接着強度が十分ではなかった。また、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体骨格を有する化合物は、アクリロニトリル由来の疎水性を示すことから、液晶中に溶出しやすく、液晶汚染を生じる虞もあった。
【0009】
また、特許文献2のシール材用組成物は、エポキシ樹脂が液晶へ溶出しやすく、液晶汚染を生じやすかった。また、マレイン化ポリブタジエンはエポキシ樹脂の硬化剤であるため、その含有量を多くすることはできず、十分な接着強度も得られにくかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、例えばシール部材を狭額縁化しても液晶表示パネルの基板に対して高い接着強度を有し、且つ液晶の汚染を抑制できる液晶滴下工法用シール材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aと、下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有し、且つ水素結合性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂Bと、光重合開始剤Cと、熱硬化剤Dと、充填剤Eとを含む(但し、前記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位とを含まない)、液晶滴下工法用シール材。
【化1】
(式(1)のRは、水素原子又はメチル基を表す)
[2] 前記水素結合性官能基が、水酸基、カルボキシ基又はウレタン結合である、[1]に記載の液晶滴下工法用シール材。
[3] 前記(メタ)アクリル樹脂Bの水素結合性官能基当量が、500〜8000g/eqである、[1]又は[2]に記載の液晶滴下工法用シール材。
[4] 前記一般式(1)で表される構造単位と前記一般式(2)で表される構造単位の合計含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂Bを構成する構造単位の全質量に対して30〜99質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶滴下工法用シール材。
[5] 前記(メタ)アクリル樹脂Bと前記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aとの含有質量比B/Aは、0.1〜0.5である、[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶滴下工法用シール材。
[6] 前記熱硬化剤Dは、アミン系潜在性硬化剤又はチオール系潜在性硬化剤である、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶滴下工法用シール材。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の液晶滴下工法用シール材を用いて、一方の基板上に枠状のシールパターンを形成する工程と、前記シールパターンが未硬化の状態において、前記シールパターンの枠内、又は前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程と、前記一方の基板と前記他方の基板とを、前記シールパターンを介して重ね合わせる工程と、前記シールパターンを光硬化させた後、熱硬化させる工程と、を含む、液晶表示パネルの製造方法。
[8] 一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された枠状のシール部材と、前記一対の基板の間の前記シール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含み、前記シール部材が、[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶滴下工法用シール材の硬化物である、液晶表示パネル。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えばシール部材を狭額縁化しても液晶表示パネルの基板に対して高い接着強度を有し、且つ液晶の汚染を抑制できる液晶滴下工法用シール材を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の液晶滴下工法用シール材は、「一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を含む(メタ)クリル樹脂B」を含む。このような(メタ)アクリル樹脂Bは良好な柔軟性を有することから、それを含むシール材の硬化物は良好な柔軟性を有する。そのようなシール材を用いて得られる液晶表示パネルは、高い接着強度を有し得る。
【0014】
また、上記(メタ)アクリル樹脂Bは、水素結合性官能基をさらに有する。それにより、上記(メタ)アクリル樹脂Bは適度な親水性を有するので、疎水性を示す液晶への溶出を抑制できる。
【0015】
また、本発明の液晶滴下工法用シール材は、「部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂A」をさらに含む。部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、シール材の硬化物の柔軟性が高まりすぎるのを抑制し得るので、シール材の硬化物の耐湿性を損ないにくくし得る。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
【0016】
1.液晶滴下工法用シール材
本発明の液晶滴下工法用シール材は、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aと、特定の(メタ)アクリル樹脂Bと、光重合開始剤Cと、熱硬化剤Dと、充填剤Eとを含む。本発明の液晶滴下工法用シール材は、必要に応じてその他の成分をさらに含んでいてもよい。
【0017】
1−1.部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂A
部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、(メタ)アクリロイル基と、エポキシ基とを有する樹脂である。このような部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、シール材に光硬化性と熱硬化性とを付与し得る。但し、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、後述する一般式(1)で表される構造単位又は一般式(2)で表される構造単位を含まない。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0018】
部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、例えばエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを塩基性触媒の存在下で反応させて得られる(メタ)アクリル酸グリシジルエステルであり得る。
【0019】
反応させるエポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を有する多官能のエポキシ樹脂であればよい。多官能のエポキシ樹脂は、架橋密度が高まりすぎることによるシール材の硬化物の接着性の低下を抑制する観点では、2官能のエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0020】
2官能のエポキシ樹脂の例には、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、及び水添ビスフェノール型等)、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂が含まれる。中でも、塗布性が良好である観点から、ビスフェノールA型及びビスフェノールF型のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビフェニルエーテル型エポキシ樹脂と比べて塗布性に優れる等の利点がある。
【0021】
部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aの例には、メタクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ケーエスエム社製、BAEM−50等)、アクリル変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ケーエスエム社製、BFEA−50等)、メタクリル変性ビスフェノールE型エポキシ樹脂(ケーエスエム社製、BEEM−50等)が含まれる。
【0022】
部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aの(メタ)アクリロイル基の変性量は、30〜80%であることが好ましい。変性量が30%以上であると、(メタ)アクリル樹脂Bとの相溶性が得られやすい。(メタ)アクリロイル基の変性量は、例えば原料となるエポキシ樹脂に反応させる(メタ)アクリル酸のモル数によって調整することができる。
【0023】
部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aは、一種類であってもよいし、二種類以上の組み合わせであってもよい。
【0024】
部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aの重量平均分子量は、310〜1000程度であることが好ましい。部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aの重量平均分子量が310以上であると、液晶へ溶解しにくいため液晶の汚染を抑制しやすく、1000以下であると、シール材の粘度が高くなりすぎるのを抑制できる。部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aの重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算にて測定することができる。
【0025】
1−2.(メタ)アクリル樹脂B
1−2−1.(メタ)アクリル樹脂Bの構造と物性
(メタ)アクリル樹脂Bは、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有し、且つ(メタ)アクリロイル基と水素結合性官能基とを有する樹脂である。
【化2】
【0026】
一般式(1)で表される構造単位は、イソプレン又は1,3−ブタジエン由来の構造単位である。一般式(1)のRは、水素原子又はメチル基を表す。一般式(2)で表される構造単位は、1,2−ブタジエン由来の構造単位である。以下、1,3−ブタジエンと1,2−ブタジエンをまとめて、単にブタジエンともいう。
【0027】
一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位の合計含有量は、前記(メタ)アクリル樹脂Bを構成する構造単位の全質量に対して30〜99質量%であることが好ましい。一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位の合計含有量が上記範囲であると、(メタ)アクリル樹脂Bに十分な柔軟性を付与しやすいので、シール材の硬化物の接着強度を高めやすい。一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位の合計含有量は、前記(メタ)アクリル樹脂Bを構成する構造単位の全質量に対して50〜98質量%であることがより好ましい。
【0028】
(メタ)アクリロイル基は、(メタ)アクリル樹脂Bの分子主鎖と分子末端の少なくとも一方にあればよい。(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂Bは他の樹脂と架橋し得るので、液晶へ溶出しにくく、液晶材料を汚染するのを抑制できる。
【0029】
(メタ)アクリル樹脂Bの(メタ)アクリロイル基当量は、1000〜8000g/eqであることが好ましく、1500〜7000g/eqであることがより好ましい。(メタ)アクリロイル基当量が1000g/eq以上であると、シール材の光硬化性を損なうことなく、接着強度を高めることができる。(メタ)アクリロイル基当量が8000g/eq以下であると、接着強度を損なうことなく、シール材に十分な光硬化性を付与できる。
【0030】
(メタ)アクリル樹脂Bの(メタ)アクリロイル基当量は、下記式で定義される。
【数1】
【0031】
(メタ)アクリル樹脂Bの(メタ)アクリロイル基当量は、(メタ)アクリル樹脂Bの重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)法により測定し、(メタ)アクリル樹脂Bにおける(メタ)アクリロイル基と一般式(1)又は(2)で表される構造単位との含有比率を核磁気共鳴法(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)により測定し、それらを上記式に当てはめることによって求めることができる。
【0032】
(メタ)アクリル樹脂Bの(メタ)アクリロイル基当量は、後述するように反応性官能基を有するポリブタジエン又はポリイソプレンに反応させる(メタ)アクリルロイル基含有化合物のモル数によって調整することができる。
【0033】
水素結合性官能基は、水酸基、カルボキシ基、又はウレタン結合であり得る。これらの水素結合性官能基は、(メタ)アクリル樹脂B及びそれを含むシール材に親水性を付与し得る。それにより、(メタ)アクリル樹脂Bが液晶材料に溶出して液晶材料を汚染するのを抑制できる。
【0034】
(メタ)アクリル樹脂Bの水素結合性官能基当量は、500〜8000g/eqであることが好ましい。水素結合性官能基当量が500g/eq以上であると、シール材の親水性が高まりすぎないので、親水性である硬化剤との不要な反応を生じにくいだけでなく、硬化物の耐湿性も損なわれにくい。水素結合性官能基当量が8000g/eq以下であると、(メタ)アクリル樹脂Bに適度な親水性を付与し得るので、液晶材料への溶出を抑制しやすい。
【0035】
(メタ)アクリル樹脂Bの水素結合性官能基当量は、下記式で定義される。
【数2】
【0036】
(メタ)アクリル樹脂Bの水素結合性官能基当量は、前述の(メタ)アクリロイル基当量の測定方法と同様にして測定することができる。
【0037】
水素結合性官能基は、後述するように、反応性官能基を有するポリブタジエン又はポリイソプレンと、(メタ)アクリロイル基含有化合物との反応によって導入され得る。従って、(メタ)アクリル樹脂Bの水素結合性官能基当量は、反応性官能基を有するポリブタジエン又はポリイソプレンと反応させる(メタ)アクリロイル基含有化合物のモル数によって調整することができる。
【0038】
このように、水素結合性官能基は、(メタ)アクリロイル基の導入反応に伴って導入されることが多いため、水素結合性官能基と(メタ)アクリロイル基は、同じ構造単位に含まれ得る。
【0039】
(メタ)アクリロイル基と水素結合性官能基の両方を有する構造単位の例には、水酸基末端ポリブタジエン又は水酸基末端ポリイソプレンにおける末端水酸基と、イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物との反応物由来の構造単位(下記式(3)参照)や;ブタジエン又はイソプレンの無水マレイン酸開環変性物由来の構造単位(下記式(4)参照)が含まれる。ブタジエン又はイソプレンの無水マレイン酸開環変性物の例には、ブタジエン又はイソプレンの無水マレイン酸変性物の無水マレイン酸基を、水酸基含有アクリレートで開環させたものが含まれる。一般式(4)のRは、水素原子又はメチル基を表す。
【化3】
【化4】
【0040】
(メタ)アクリル樹脂Bは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の構造単位をさらに含んでいてもよい。他の構造単位の例には、前述の水酸基含有アクリレートと開環反応せずに残った、ブタジエン又はイソプレンの無水マレイン酸変性物由来の構造単位が含まれる。
【0041】
但し、(メタ)アクリル樹脂Bは、アクリロニトリル由来の構造単位を含まないことが好ましい。アクリロニトリル由来の構造単位は、(メタ)アクリル樹脂Bの疎水性を高めやすく、液晶材料へ溶出しやすいからである。また、アクリロニトリル由来の構造単位を含む(メタ)アクリル樹脂の硬化物は、それを含まない硬化物と比べて柔軟性が低いことから、液晶表示パネルでの接着強度が損なわれやすいからである。
【0042】
(メタ)アクリル樹脂Bの例には、ポリブタジエンアクリル樹脂(日本曹達社製TE−2000等)、ポリイソプレンアクリル樹脂(クラレ社製UC−203等)及び国際公開第2012/039124号に記載の末端アクリル変性ポリブタジエン等が含まれる。
【0043】
(メタ)アクリル樹脂Bの重量平均分子量は、1000〜50000であることが好ましく、2000〜40000であることがより好ましい。(メタ)アクリル樹脂Bの重量平均分子量が1000以上であると、(メタ)アクリル樹脂Bが十分な柔軟性を有しやすく、50000以下であると、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aとの相溶性が損なわれにくい。
【0044】
1−2−2.(メタ)アクリル樹脂Bの合成方法
(メタ)アクリル樹脂Bは、任意の方法で製造されるが、例えば反応性官能基を有するポリブタジエン又はポリイソプレン(反応性官能基を有し、且つ一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有する樹脂)を、(メタ)アクリロイル基含有化合物で変性して得ることができる。
【0045】
「反応性官能基を有するポリブタジエン又はポリイソプレン」における反応性官能基の例には、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、及び酸無水物基(例えば無水マレイン酸基)が含まれる。中でも、(メタ)アクリロイル基含有化合物との反応によって水素結合性官能基を導入し得ることから、水酸基、エポキシ基、及び酸無水物基が好ましい。反応性官能基は、ポリブタジエン又はポリイソプレンの分子末端にあってもよいし、分子主鎖にあってもよい。反応性官能基を有するポリブタジエン又はポリイソプレンの例には、水酸基末端ポリブタジエン(又はポリイソプレン)(例えば、日本曹達社製Gシリーズ)、酸無水物基変性ポリブタジエン(又はポリイソプレン)(例えばCRAY VALLEY社製Ricon MAシリーズ)、エポキシ化ポリブタジエン(又はポリイソプレン)(例えば日本曹達社製JPシリーズ)等が含まれる。
【0046】
(メタ)アクリロイル基含有化合物の例には、(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる。
【0047】
(メタ)アクリロイル基含有化合物は、反応性官能基をさらに有していてもよい。(メタ)アクリロイル基含有化合物が有する反応性官能基は、ポリブタジエン又はポリイソプレンが有する反応性官能基と反応する基であればよく、その例には、イソシアネート基、カルボキシ基及び水酸基が含まれる。「反応性官能基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物」の例には、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル(例えばヒドロキシアルキルアクリレート)、(メタ)アクリル酸、及びイソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(下記一般式(5)で表される化合物、国際公開第2012/039124号参照)が含まれる。一般式(5)のRは、水素原子又はメチル基を表し;R’’は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し;R’’’は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。
【化5】
【0048】
水素結合性官能基の導入は、例えば反応性官能基を有するポリブタジエン又はポリイソプレンを、(メタ)アクリロイル基含有化合物で変性させることによって導入することができる。
【0049】
例えば、「水酸基を有するポリブタジエン又はポリイソプレン」の水酸基に、「イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物」(例えば一般式(5)参照)のイソシアネート基を反応させて、「ウレタン結合を有する(メタ)アクリル樹脂B」を得ることができる。「無水マレイン酸基を有するポリブタジエン又はポリイソプレン」の無水マレイン酸基に、「水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物」の水酸基を反応させて、「カルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂B」(一般式(4)参照)を得ることができる。
【0050】
液晶滴下工法用シール材における部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aと(メタ)アクリル樹脂Bの合計含有量は、シール材の全質量に対して40〜90質量%であることが好ましい。部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル樹脂Bの合計含有量が40質量%以上であると、シール材における一般式(1)又は(2)で表される構造単位の含有割合を多くすることができるので、シール材の硬化物に高い柔軟性を付与しやすく、シール材の硬化物の接着強度を高めやすい。部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル樹脂Bの合計含有量が90質量%以下であると、シール材の硬化物の耐湿性を損ないにくい。シール材における部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂と(メタ)アクリル樹脂Bの合計含有量は、シール材の全質量に対して60〜85質量%であることがより好ましい。
【0051】
(メタ)アクリル樹脂Bと部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aとの含有質量比B/Aは、0.1〜0.5であることが好ましい。含有質量比B/Aが0.1以上であると、一般式(1)又は(2)で表される構造単位の含有割合を多くすることができるので、シール材の硬化物の柔軟性を高めやすい。含有質量比B/Aが0.5以下であると、一般式(1)又は(2)で表される構造単位の含有割合が多すぎないので、シール材の硬化物の柔軟性を損なうことなく耐湿性を高めやすい。
【0052】
1−3.光重合開始剤C
光重合開始剤Cは、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aや(メタ)アクリル樹脂Bを光硬化反応させるための光ラジカル重合開始剤である。
【0053】
光ラジカル重合開始剤の例には、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサトン系化合物、α−アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等が含まれる。中でも、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
【0054】
アルキルフェノン系化合物の例には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651)等のベンジルジメチルケタール;2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(IRGACURE 907)等のα−アミノアルキルフェノン;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184)等のα−ヒドロキシアルキルフェノン等が含まれる。アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が含まれる。チタノセン系化合物には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が含まれる。オキシムエステル化合物の例には、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01)等が含まれる。
【0055】
液晶滴下工法用シール材における光重合開始剤Cの含有量は、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aと(メタ)アクリル樹脂Bの合計質量に対して0.01〜3.0質量%であることが好ましい。光重合開始剤Cの含有量が0.01質量%以上であると、シール材の硬化性が良好となる。一方、光重合開始剤Cの含有量が3.0質量%以下であると、基板への塗布時の安定性が良好となる。
【0056】
1−4.熱硬化剤D
熱硬化剤Dは、通常の保存条件下(室温、可視光線下等)では部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aを硬化させないが、熱を与えられると当該樹脂を硬化させる化合物である。熱硬化剤Dを含有するシール材は、保存安定性に優れ、且つ熱硬化性に優れる。
【0057】
熱硬化剤Dの融点又は軟化点は、シール材の粘度安定性を高め、且つ硬化物の耐湿性を損なわない観点から、熱硬化温度にもよるが、50〜250℃であることが好ましく、70〜200℃であることがより好ましい。
【0058】
熱硬化剤Dは、エポキシ硬化剤であることが好ましい。エポキシ硬化剤の例には、アミン系潜在性硬化剤、チオール系潜在性硬化剤が含まれる。
【0059】
アミン系潜在性硬化剤の例には、有機酸ジヒドラジド系潜在性硬化剤、イミダゾール系潜在性硬化剤、アミンアダクト系潜在性硬化剤及びポリアミン系潜在性硬化剤が含まれる。
有機酸ジヒドラジド系潜在性硬化剤の例には、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点120℃)、7,11-オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド(融点160℃)、ドデカン二酸ジヒドラジド(融点190℃)、及びセバシン酸ジヒドラジド(融点189℃)等が含まれる。
イミダゾール系潜在性硬化剤の例には、2,4−ジアミノ−6−[2'-エチルイミダゾリル−(1')]−エチルトリアジン(融点215〜225℃)、2−フェニルイミダゾール(融点137〜147℃)、及び2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が含まれる。
アミンアダクト系潜在性硬化剤は、触媒活性を有するアミン系化合物と任意の化合物とを反応させて得られる付加化合物からなる潜在性硬化剤であり、その例には、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−40(融点110℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−23(融点100℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−31(融点115℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−H(融点115℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアMY−24(融点120℃)、及び味の素ファインテクノ(株)製アミキュアMY−H(融点131℃)等が含まれる。
ポリアミン系潜在性硬化剤は、アミンとエポキシとを反応させて得られるポリマー構造を有する潜在性硬化剤であり、その例には、(株)ADEKA製アデカハードナーEH4339S(軟化点120〜130℃)、及び(株)ADEKA製アデカハードナーEH4357S(軟化点73〜83℃)等が含まれる。
【0060】
チオール系硬化剤の例には、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコール ジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)等のポリオールとチオール有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物;1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール等のアルキルポリチオール化合物;末端チオール基含有ポリエーテル;末端チオール基含有ポリチオエーテル;エポキシ化合物と硫化水素の反応によって得られるチオール化合物;ポリチオールとエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が含まれる。
【0061】
熱硬化剤Dは、一種類のみであってもよいし二種以上の組み合わせであってもよい。
【0062】
液晶滴下工法用シール材における熱硬化剤Dの含有量は、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aと(メタ)アクリル樹脂Bの合計質量に対して3〜30質量%であることが好ましい。熱硬化剤Dを含むシール材は、一液硬化性樹脂組成物となり得る。一液硬化性樹脂組成物は、使用に際して主剤と硬化剤を混合する必要がないことから、作業性に優れる。熱硬化剤Dの含有量が3質量%以上であると、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aの熱硬化反応を一層促進しやすい。
【0063】
1−5.充填剤E
充填剤Eは、シール材の粘度、硬化物の強度又は線膨張性等を調整し得る。充填剤Eは、無機充填剤又は有機充填剤であり得る。
【0064】
無機充填剤の例には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が含まれる。中でも、二酸化ケイ素及びタルクが好ましい。
【0065】
有機充填剤の例には、熱可塑性樹脂粒子が含まれる。熱可塑性樹脂粒子は、環球法により測定される軟化点温度が50〜120℃、好ましくは70〜100℃の熱可塑性樹脂を含む粒子である。そのような熱可塑性樹脂粒子を含むシール材は、加熱硬化の際の収縮応力を好ましく緩和できるので、目的とする線幅でシール部材を形成しやすい。
【0066】
熱可塑性樹脂粒子の例には、エポキシ基と二重結合基とを含む樹脂を、ラジカル重合可能なモノマーと懸濁重合して得られる微粒子が含まれる。エポキシ基と二重結合基とを含む樹脂の例には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とメタアクリル酸を三級アミン存在下で反応させた樹脂が含まれる。ラジカル重合可能なモノマーの例には、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及びジビニルベンゼンが含まれる。
【0067】
充填剤Eの形状は、球状、板状、針状等の定形状であってもよいし、非定形状であってもよい。
【0068】
充填剤Eが球状の無機充填剤である場合、充填剤Eの平均一次粒子径は、1.5μm以下であり、且つ比表面積が0.5〜20m/gであることが好ましい。充填剤Eの平均一次粒子径は、JIS Z8825−1に記載のレーザー回折法により測定することができる。充填剤Eの比表面積は、JIS Z8830に記載のBET法により測定することができる。
【0069】
充填剤Eが球状の有機充填剤である場合、有機充填剤の数平均粒子径は、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜3μmであることが好ましい。数平均粒子径は、乾式粒度分布計で測定され得る。
【0070】
液晶滴下工法用シール材における充填剤Eの含有量は、シール材の全質量に対して5〜30質量%であることが好ましい。充填剤Eの含有量が5質量%以上であると、シール材の硬化物の耐湿性を高めやすく、30質量%以下であると、シール材の塗工安定性が損なわれにくい。上記範囲は、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aと(メタ)アクリル樹脂Bの合計質量に対して5.5〜75質量%の範囲に相当し得る。
【0071】
1−6.その他の成分
本発明の液晶滴下工法用シール材は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分をさらに含んでいてもよい。その他の成分の例には、他の(メタ)アクリル樹脂、熱硬化性樹脂、熱ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤及び液晶表示パネルのギャップを調整するためのスペーサー等が含まれる。中でも、本発明の液晶滴下工法用シール材は、他の(メタ)アクリル樹脂、熱硬化性樹脂、又はシランカップリング剤を含み得る。
【0072】
1−6−1.他の(メタ)アクリル樹脂F
他の(メタ)アクリル樹脂Fは、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂である。但し、他の(メタ)アクリル樹脂Fは、前述の部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aとは異なり、エポキシ基を含まず;(メタ)アクリル樹脂Bとは異なり、一般式(1)で表される構造単位や一般式(2)で表される構造単位を含ままない。(メタ)アクリル樹脂Fの1分子あたりの(メタ)アクリロイル基の数は、1又は2以上である。他の(メタ)アクリル樹脂Fは、(メタ)アクリル基を有する化合物のモノマーであってもよく、オリゴマーやポリマーであってもよい。
【0073】
1分子内に1つの(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2―ヒドロキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる。
【0074】
1分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ若しくはトリ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はそのオリゴマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はそのオリゴマー;ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート又はポリメタクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート又はポリメタクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート又はジメタクリレート;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート又はジメタクリレート;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート;ネオペンチルグルコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴ(メタ)アクリレート等が含まれる。
【0075】
他の(メタ)アクリル樹脂Fの市販品の例には、ケーエスエム社製、BAEA−100(アクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、BAEM−100(メタクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂)等が含まれる。
【0076】
1−6−2.熱硬化性樹脂G
熱硬化性樹脂Gは、エポキシ樹脂であることが好ましい。但し、エポキシ樹脂は、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂Aとは異なるものであり、(メタ)アクリロイル基を有しない。エポキシ樹脂を含むシール材は、液晶に対する溶解性や拡散性が低く、得られる液晶表示パネルの表示特性を良好とするだけでなく、硬化物の耐湿性を高め得る。
【0077】
エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ化合物であることが好ましい。芳香族エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類及びそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物;フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されたノボラック樹脂、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物;キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類等が含まれる。中でも、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、トリフェノールエタン型エポキシ化合物、トリスフェノール型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物及びビフェニル型エポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物は、一種類であってもよいし、二種類以上の組み合わせであってもよい。
【0078】
エポキシ樹脂は、液状であってもよいし、固形であってもよい。液晶汚染を抑制しやすい点では、固形のエポキシ化合物が好ましい。固形のエポキシ化合物の軟化点は、40〜150℃であることが好ましい。
【0079】
エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製1001、固形状)、及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製825、液状)が含まれる。
【0080】
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。エポキシ樹脂の重量平均分子量が500以上であると、液晶へ溶解しにくいため液晶の汚染を抑制しやすく、10000以下であると、シール材の粘度が高くなりすぎるのを抑制しやすい。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、1000〜5000であることがより好ましい。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算にて測定することができる。
【0081】
1−6−3.シランカップリング剤H
シランカップリング剤Hの例には、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が含まれる。
【0082】
液晶滴下工法用シール材におけるシランカップリング剤Hの含有量は、シール材の全質量に対して0.01〜3質量%であり得る。シランカップリング剤Hの含有量が0.01質量%以上であると、シール材の硬化物が十分な接着性を有しやすい。
【0083】
1−7.液晶滴下工法用シール材の物性
本発明の液晶滴下工法用シール材の25℃、2.5rpmにおける粘度は、200〜450Pa・sであることが好ましい。シール材の粘度が上記範囲にあると、ディスペンサーによる塗布性が良好となる。シール材の粘度は、300〜400Pa・sであることがより好ましい。シール材の粘度は、E型粘度計で測定することができる。
【0084】
2.液晶表示パネル及びその製造方法
本発明の液晶表示パネルは、一対の基板と、該一対の基板の間に配置される枠状のシール部材と、該一対の基板の間の枠状のシール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含む。シール部材を、本発明の液晶滴下工法用シール材の硬化物とし得る。
【0085】
一対の基板は、いずれも透明基板である。透明基板の材質は、ガラス、又はポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン及びPMMA等のプラスチックである。
【0086】
一対の基板のうち一方の基板の表面には、マトリックス状のTFT、カラーフィルタ、ブラックマトリクス等が配置され得る。該一方の基板の表面には、さらに配向膜が配置され得る。配向膜には、公知の有機配向剤や無機配向剤が含まれる。
【0087】
液晶表示パネルは、本発明の液晶滴下工法用シール材を用いて製造される。液晶表示パネルの製造方法には、一般に、液晶滴下工法と、液晶注入工法とがあるが、本発明の液晶表示パネルは、液晶滴下工法で製造されることが好ましい。
【0088】
液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法は、
1)一方の基板に、本発明の液晶滴下工法用シール材のシールパターンを形成する工程と、
2)シールパターンが未硬化の状態において、基板のシールパターンで囲まれた領域内、又はシールパターンで囲まれた領域に対向する他方の基板の領域に、液晶を滴下する工程と、
3)一方の基板と他方の基板とをシールパターンを介して重ね合わせる工程と、
4)シールパターンを硬化させる工程と
を含む。
【0089】
2)の工程において、シールパターンが未硬化の状態とは、シール材の硬化反応がゲル化点までは進行していない状態を意味する。このため、2)の工程では、シール材の液晶への溶解を抑制するために、シールパターンを光照射又は加熱して半硬化させてもよい。
【0090】
4)の工程では、光照射による硬化を行った後、加熱による硬化を行うことが好ましい。光照射による硬化を行うことで、シール材を短時間で硬化させることができるので、液晶への溶解を抑制できる。光照射による硬化と加熱による硬化とを組み合わせることで、光照射による硬化のみの場合と比べて光による液晶層へのダメージを少なくすることができる。
【0091】
照射する光は、波長340〜450nmの光であることが好ましい。上記波長の光は、液晶や駆動電極に与えるダメージが比較的少ないからである。光の照射は、紫外線や可視光を発する公知の光源を使用できる。可視光を照射する場合、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯等を使用できる。
【0092】
光照射エネルギーは、(メタ)アクリル樹脂Bを硬化させる程度のエネルギーであればよく、例えば100mW/cm程度とし得る。光硬化時間は、シール材の組成や光照射エネルギーにもよるが、例えば積算照射量が3J/cm以上となるように設定されればよく、光照射エネルギー100mW/cmで照射する場合は1分以内とし得る。
【0093】
熱硬化温度は、シール材の組成にもよるが、例えば120℃とし、熱硬化時間は1〜2時間程度とし得る。
【0094】
本発明の液晶滴下工法用シール材は、液晶への溶出が低減されている。従って、本発明の液晶滴下工法用シール材の硬化物を有する液晶表示パネルは、液晶の汚染が少なく、高品質の表示性能を有し得る。
【実施例】
【0095】
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
【0096】
1.液晶滴下工法用シール材の材料
(1)部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂A
メタクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ケーエスエム社製、BAEM−50、メタクリル変性率50%
【0097】
(2)(メタ)アクリル樹脂
(2−1)(メタ)アクリル樹脂B
ポリブタジエンアクリル樹脂:日本曹達社製TE−2000、重量平均分子量2500、アクリロイル基当量1600〜2100g/eq、水素結合性官能基(ウレタン結合)当量800〜1050g/eq(下記式参照)、ポリブタジエンアクリル樹脂(TE−2000)を構成する構造単位の全質量に対する一般式(2)で表される構造単位の含有量=61質量%
【化6】
ポリイソプレンアクリル樹脂:クラレ社製UC−203、重量平均分子量36000、アクリロイル基当量6700g/eq、水素結合性官能基(カルボキシ基)当量6700g/eq(下記式参照)、ポリイソプレンアクリル樹脂(UC−203)を構成する構造単位の全質量に対する一般式(1)で表される構造単位の含有量=98質量%
【化7】
尚、上記式は、一般式(1)で表される構造単位と一般式(3)で表される構造単位とを含むことを示したものであり、必ずしも一般式(1)で表される構造単位と一般式(3)で表される構造単位とが交互に結合していることを示すものではない。
【0098】
(2−2)他の(メタ)アクリル樹脂
メタクリル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ケーエスエム社製BAEM−100(メタクリル変性率100%)
ウレタンアクリル樹脂:共栄社化学社製AH−600(フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)
【0099】
(3)光重合開始剤C
オキシムエステル系光重合開始剤:BASF社製OXE−01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)])
【0100】
(4)熱硬化剤D
アミン系潜在性硬化剤:
大塚化学社製SDH(セバシン酸ジヒドラジド、融点180℃)
四国化成社製2MA−OK((2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−s-トリアジン)イソシアヌル酸付加物)
【0101】
(5)充填剤E
シリカ粒子:(株)日本触媒化学社製KE−S100、平均粒子径1μm
熱可塑性樹脂粒子:アイカ工業社製F351、軟化点120℃、平均粒子径0.3μm
【0102】
(6)シランカップリング剤H
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越シリコーン社製KBM-403
【0103】
2.液晶滴下工法用シール材の調製と評価
(実施例1)
部分(メタ)アクリル樹脂AとしてビスフェノールAエポキシアクリル変性体(ケーエスエム社製、BAEM−50)を80質量部と、(メタ)アクリル樹脂Bとして、ポリブタジエンアクリル樹脂(日本曹達社製TE−2000)を20質量部と、光重合開始剤Cとしてオキシムエステル系光重合開始剤を1質量部と、熱硬化剤Dとしてセバシン酸ジヒドラジド(大塚化学社製SDH)を6質量部、イミダゾール系潜在性硬化剤(四国化成社製2MA−OK)を1質量部と、充填剤Eとしてシリカ粒子(日本触媒化学社製、KE−S100)を5質量部と、熱可塑性樹脂粒子F351(アイカ工業社製)を5質量部と、シランカップリング剤Hとしてγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM−403)を1質量部とを、三本ロールミルを用いて均一な液となるように十分に混合して、シール材を得た。
【0104】
(実施例2〜4、比較例1〜3)
表1に示される組成に変更した以外は実施例1と同様にしてシール材を得た。
【0105】
得られたシール材の粘度安定性、該シール材を用いた液晶表示パネルの表示特性及び接着強度を、以下の方法で評価した。
【0106】
[粘度安定性]
ディスペンス用シリンジに、10gのシール材を入れ、脱泡処理を行った。脱法処理後のシール材2gの初期粘度を、E型粘度計にて25℃、2.5rpmの条件で測定した。また、このシール材を23℃、50%RHで1週間保存した後、同様にして粘度を測定した。そして、以下の基準に基づいて粘度安定性を評価した。
○:初期粘度に対する1週間後の粘度の割合(上昇率)が1.2倍以下
△:初期粘度に対する1週間後の粘度の割合(上昇率)が1.2倍を超えて、1.5倍以下
×:初期粘度に対する1週間後の粘度の割合(上昇率)が1.5倍を超える
【0107】
[液晶表示パネルの表示特性]
ディスペンサー(「ショットマスター」、武蔵エンジニアリング製)を使用し、透明電極及び配向膜を付した40mm×45mmのガラス基板(「RT−DM88−PIN」、EHC社製)上にシール材を塗布し、35mm×40mmの四角形枠状のシールパターン(線の断面積:3500μm)(メインシール)を作製した。更に、作製したメインシールを囲むように、同一の条件でシール材を塗布した。
次いで、メインシールの枠内に、貼り合せ後のパネル内容量に相当する量の液晶材料(「MLC−11900−000」、メルク社製)を、ディスペンサーを用いて精密に滴下した。上記ガラス基板と、対向するガラス基板とを減圧下で重ね合わせた後、大気圧下に開放して貼り合わせた。貼り合わせたガラス基板を遮光ボックスに3分間保持後、3000mJ/cmの紫外線を照射してメインシール(シール材)を仮硬化させた。次いで、120℃で60分加熱してメインシール(シール材)を熱硬化させて、液晶表示パネルを得た。
得られた液晶表示パネルを、直流電源装置を使用して印加電圧5Vで駆動させ、メインシール(シール材)近傍における液晶の色むら発生の有無を目視観察した。そして、以下の基準に基づいて液晶表示パネルの表示特性を評価した。
○:シール際まで表示機能が発揮されており、表示機能の異常が認められない
△:シール際0.3mm以内の位置で表示機能の異常が認められる
×:シール際0.3mmを超える位置で表示機能の異常が認められる
【0108】
[接着強度]
上記「液晶表示パネルの表示特性」に記載した手順と同様の手順で作製した液晶表示パネルを、高温高湿条件下(70℃、95%RH)で500時間保存した。そして、高温高湿条件下に放置後の液晶表示パネルの二枚のガラス基板の平面引張強度(接着強度)を、引張試験装置(インテスコ社製)を用いて引張速度2mm/分の条件で測定した。そして、以下の基準に基づいて接着強度を評価した。
○:接着強度が20MPa以上
△:接着強度が15MPa以上、20MPa未満
×:接着強度が15MPa未満
【0109】
実施例1〜4及び比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
表1に示されるように、実施例1〜4のシール材は、いずれも粘度安定性、表示特性及び接着強度がいずれも良好であることがわかる。
【0112】
一方、比較例1のシール材は、表示特性が特に低いことがわかる。これは、アクリル変性エポキシ樹脂が水素結合性官能基を有しないことから、液晶材料の汚染を抑制できなかったためであると考えられる。比較例2のシール材は、表示特性だけでなく、接着強度も低いことがわかる。これは、アクリル変性エポキシ樹脂の柔軟性自体が低いだけでなく、柔軟性が低い部分(メタ)アクリル樹脂の含有比率が多いからであると考えられる。比較例3のシール材は、接着強度が低いことがわかる。これは、ウレタンアクリレートの柔軟性が十分でないからであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、例えばシール部材を狭額縁化しても液晶表示パネルの基板に対して高い接着強度を有し、且つ液晶の汚染を抑制できる液晶滴下工法用シール材を提供することができる。