(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記第2の設定画面を用いて前記第1範囲に含まれない設定値が設定される場合に、前記外部機器に所定の通知画面を表示するためのデータを、前記通信手段を通じて前記外部機器に送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
前記制御手段は、前記設定値が前記第1範囲に含まれない場合に、前記外部機器に所定の通知画面を表示するためのデータを前記通信手段を通じて前記外部機器に送信する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
前記制御手段は、前記設定値が前記第1範囲に含まれるか否かの判定を、前記表示装置の電源OFF時、または電源ON時、または前記第1の設定画面の表示時に実行することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の理解を助けるため、特定の構成を有する実施形態について説明するが、本発明は実施形態に開示される特定の構成に限定されない。特許請求の範囲に記載される範囲に含まれる他の様々な構成で本発明を実施可能である。
【0013】
例えば、以下の実施形態では、透過型液晶素子を用いたプロジェクタに本発明を適用した構成について説明する。透過型液晶素子を用いたプロジェクタは本発明を適用可能な投影型の表示装置の単なる一例にすぎない。例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)のような反射型液晶素子を用いたプロジェクタや、DMD(Digital Micromirror Device)のような液晶素子を用いないプロジェクタにも本発明を適用可能である。また、単板式であっても3板式であってもよい。なお、プロジェクタに用いる液晶素子やDMDは、光量調整機能を有するため、ライトバルブや光変調器とも呼ばれる。
【0014】
●(第1実施形態)
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る投影システムの概要を示す図である。投影システムはプロジェクタ100と、外部機器200とを有する。
本実施形態のプロジェクタ100は、3板式の透過型液晶プロジェクタである。主制御部であるCPU110は、例えばROM111に記憶された制御プログラムをRAM112に読み込んで実行し、プロジェクタ100の各部の動作を制御することにより、プロジェクタ100の各種機能を実現する。
【0015】
ROM111は、CPU110が実行する制御プログラムに加え、後述するOSD画面のようなGUIデータ、投影用の各種テストパターンのデータ、各種の設定値などを記憶する。RAM112は、CPU110が制御プログラムを実行する際のワークメモリとして用いられる。また、RAM112の一部はビデオメモリとして用いられてもよい。
【0016】
また、CPU110は、記録再生部191により記録媒体192から再生された静止画データや動画データ、通信部193を通じて受信した静止画データや動画データを一時的にRAM112に記憶して、投影することができる。また、CPU110は、撮像部194により得られた画像データを一時的にRAM112に記憶し、記録媒体192に記録させることができる。
【0017】
操作部113は、例えばスイッチやダイヤル、表示部196上に設けられたタッチパネルなどから構成され、ユーザの指示を受け付ける。操作部113に対する操作は、CPU110で検出される。なお、後述するように、CPU110は、通信部193を通じて外部機器200からユーザ指示を受信することもできる。
【0018】
画像入力部130は画像信号を外部装置から受信するための信号インタフェースである。画像入力部130は入力可能な画像信号に応じた端子、例えば、コンポジット端子、S端子、D端子、コンポーネント端子、アナログRGB端子、DVI−I端子、DVI−D端子、HDMI(登録商標)端子などの1つ以上を含む。また、無線通信による画像信号の入力を受け付ける場合、画像入力部130は無線LAN、近距離無線通信、近接無線通信などの規格に準拠した無線通信インタフェースを有する。画像入力部130が受信可能な(プロジェクタ100が対応する)画像信号フォーマットについては予め定められているものとする。
【0019】
画像入力部130は受信した画像信号をデジタルデータの形式で画像処理部140に供給する。従って、画像入力部130はアナログ画像信号を受信した場合にはA/D変換を行ってから画像処理部140に供給する。なお、画像入力部130が画像信号を受信可能な外部装置に特に制限は無く、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、録画機器、ゲーム機であってよいが、これらに限定されない。
【0020】
画像処理部140は、画像信号に対し、フレーム間引き処理、フレーム補間処理、解像度変換処理、OSD画像の重畳処理、歪み補正処理(キーストン補正処理)、エッジブレンディング処理などの画像処理の1つ以上を適用して、液晶制御部150に送信する。なお、画像処理部140が適用可能な画像処理はこれらに限定されない。画像処理部140は、画像入力部130から供給される画像信号に限らず、例えば記録媒体192から再生された画像信号に対しても上述の画像処理を適用することができる。
【0021】
液晶制御部150は、画像処理部140が出力する画像信号に基づいて、液晶素子151R、151G、151Bの各画素に印加する電圧を制御し、各画素の透過率を調整する。
【0022】
液晶制御部150は、画像処理部140から1フレーム分のカラー画像データを受信する度に、カラー画像データのR(赤)成分値に基づいて液晶素子151Rの各画素に印加する電圧値を決定する。液晶制御部150は例えばR成分値が0である画素については透過率が最低となり、R成分値が255(8ビットの場合)の画素については透過率が最大とするように電圧を決定することができる。液晶素子151Rには光源161の出射光から色分離部162で分離された赤色光が入射するため、液晶制御部150による透過率の制御により、画像データのR成分の大きさに応じた強度の赤色光が液晶素子151Rを透過する。
【0023】
液晶制御部150は、同様に、カラー画像データのG(緑)成分値に基づいて液晶素子151Gの各画素に印加する電圧値を、カラー画像データのB(青)成分値に基づいて液晶素子151Bの各画素に印加する電圧値を決定する。これにより、画像データのG成分の大きさに応じた強度の緑色光が液晶素子151Gを、画像データのB成分の大きさに応じた強度の青色光が液晶素子151Bを透過する。液晶制御部150の動作および液晶素子151R、151G、151Bの構成については、後でさらに説明する。
【0024】
光源制御部160は、光源161のオン/オフおよび光量を制御する。光源161は、スクリーンなどの投影面に画像を投影するための光を出射する。光源161は例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、LEDなどであってよいが、これらに限定されない。
【0025】
色分離部162は、光源161が出射する光から赤色光、緑色光、青色光を抽出し、赤色光で液晶素子151Rを、緑色光で液晶素子151Gを、青色光で液晶素子151Bをそれぞれ照明する。色分離部162は例えば、ダイクロイックミラーやプリズムなどを有する。なお、光源161が赤色光、緑色光、および青色光を独立して出射可能な場合、色分離部162は不要である。
【0026】
色合成部163は、液晶素子151Rを透過した赤色光、液晶素子151Gを透過した緑色光、および液晶素子151Bを透過した青色光を合成し、投影光学系171に出射する。色合成部163は例えば、ダイクロイックミラーやプリズムなどを有する。上述の通り、液晶素子151R、151G、151Bの各画素の透過率は、画像処理部140が出力する画像データの各色成分に応じた値となるように液晶制御部150により制御されている。そのため、色合成部163が出射する合成光を投影光学系171で結像すると、画像処理部140が出力した画像データが表す光学像が形成される。
【0027】
光学系制御部170は、CPU110からの指示に従い、投影光学系171が有する変倍レンズやフォーカスレンズを駆動して、投影光学系171の倍率や合焦距離を制御する。
【0028】
記録再生部191は、CPU110からの指示に従い、例えばメモリカードやUSBメモリなどの記録媒体192に記録された静止画データや動画データを読み出してRAM112に格納する。また、記録再生部191は、撮像部194により得られた画像データや通信部193より受信した画像データをCPU110からの指示に従って記録媒体192に記録する。記録再生部191は、記録媒体192を装着するためのコネクタやスロットと、記録媒体192にアクセスするための回路とを含む。
【0029】
通信部193はUSBやHDMIのような有線通信インタフェース、無線LAN、近距離無線通信、近接無線通信などの規格に準拠した無線通信インタフェースの少なくとも1つを有し、外部機器200と通信を行う。外部機器200は例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、録画機器、ゲーム機であってよいが、これらに限定されない。
【0030】
本実施形態において通信部193を通じて通信する外部機器200は、プロジェクタ100を操作する制御コマンド、例えば電源オン/オフ、入力切替、各種設定値の取得や変更を指示する制御コマンドを送信可能である。従って、ユーザは操作部113を操作する代わりに、外部機器200を操作してプロジェクタ100を遠隔制御することができる。
【0031】
なお、プロジェクタ100と外部機器200との間の通信プロトコルに制限は無いが、例えばプロジェクタ100がWebサーバ機能を有し、外部機器200で稼働するWebクライアント(例えばウェブブラウザ)とHTTPに準拠した通信を行うものとする。なお、Webサーバ機能はCPU110がROM111に記憶されたWebサーバプログラムを実行することで実現できる。この場合、外部機器200のユーザが、外部機器200に表示されている、プロジェクタ100から受信したWebページに含まれるGUIを操作すると、操作に対応した制御コマンドが外部機器200からプロジェクタ100に送信される。なお、外部機器200からプロジェクタ100に画像データを送信することも可能である。また、外部機器200がHDMI(登録商標)を通じてプロジェクタ100と接続される場合、CEC通信を行ってもよい。
【0032】
撮像部194は、投影光学系171の投影方向を撮影するカメラである。撮像部194は、撮影光学系と、撮影光学系が形成する光学像を画像信号に変換する撮像素子、画像信号をA/D変換するA/D変換器、撮影光学系の変倍レンズやフォーカスレンズを駆動するアクチュエータなどを有する。撮像部194の動作はCPU110が制御する。なお、撮像部194の撮影方向は投影光学系171の投影方向に限らず、投影方向と逆方向であってもよい。
【0033】
表示制御部195は、表示部196の表示を制御する。例えば表示制御部195は、CPU110の指示により、表示部196にプロジェクタ100の操作画面や各種のメッセージ画面などを表示させる。
【0034】
表示部196は、例えば液晶ディスプレイのような表示装置を有し、表示制御部195の制御に従って各種の情報を表示する。表示部196はタッチディスプレイであってもよい。また、表示部196は、ドットマトリックスディスプレイの他に、例えば操作部113に含まれるボタンやスイッチに含まれるインジケータや、ボタンやスイッチの近傍に配置されたインジケータなどを有してもよい。
【0035】
なお、本実施形態の画像処理部140、液晶制御部150、光源制御部160、光学系制御部170、記録再生部191、表示制御部195の1つ以上は、1つ以上のマイクロプロセッサで構成されてもよい。あるいは、画像処理部140、液晶制御部150、光源制御部160、光学系制御部170、記録再生部191、表示制御部195の1つ以上は、CPU110がROM111に記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0036】
<基本動作>
図2に示すフローチャートを用いてプロジェクタ100の基本動作を説明する。
図2に示す動作は、基本的にCPU110が、ROM111に記憶されたプログラムに基づいて、各機能ブロックを制御することにより実行されるものである。
図2のフローチャートは、操作部113や外部機器200によりユーザがプロジェクタ100の電源のオンを指示した時点で開始されてよい。
【0037】
S201でCPU110は、電源部からプロジェクタ100の各部に電源を供給するとともに、投影開始処理を実行する。具体的には、CPU110は、光源制御部160に光源161を点灯させたり、液晶制御部150に液晶素子151R、151G、151Bを駆動させたり、画像処理部140の動作設定を行ったりする。また、CPU110は通信部193を通じて外部機器200との通信を確立する。
【0038】
S202でCPU110は、画像入力部130に入力される画像信号に変化があったか否かを判定し、変化があったと判定されればS203に、変化があったと判定されなければS204に処理を進める。
【0039】
S203でCPU110は、画像入力部130に入力される画像信号の解像度、フレームレートなどを検知し、サンプリング(取得)タイミングや適用する画像処理を決定する。そして、CPU110は画像処理部140の設定を必要に応じて変更することで、新たに入力された画像信号に対する投影動作を実行する。
【0040】
S204でCPU110は、操作部113に対するユーザ操作があったか否かを判定し、ユーザ操作があったと判定されればS205に、判定されなければS208に、処理を進める。
S205でCPU110は、ユーザ操作がプロジェクタ100の動作終了を指示する操作(終了操作)か否かを判定し、終了操作と判定されればS206へ、終了操作と判定されなければS207へ、処理を進める。
【0041】
S206でCPU110は投影終了処理を実行し、電源をOFFする。具体的にはCPU110は、光源制御部160に光源161を消灯させたり、液晶制御部150に液晶素子151R、151G、151Bの駆動を停止させたり、電源OFF前に保存が必要な情報を不揮発性メモリ(例えばROM111)に保存したりする。
【0042】
S207でCPU110は、ユーザ操作に応じた処理を実行し、処理をS208に進める。ユーザ操作は例えば、画像処理に関する変更、投影倍率の変更、フォーカスの調整、投影する画像信号の切替(入力切替)などの指示であってよいがこれらに限定されない。
【0043】
S208でCPU110は、通信部193を通じて外部機器200から制御コマンドを受信したか否かを判定し、受信したと判定されればS209に処理を進め、受信したと判定されなければS202へ処理を戻す。
【0044】
S209でCPU110は、受信したコマンドがプロジェクタ100の動作終了を指示するコマンド(終了コマンド)か否かを判定し、終了コマンドと判定されればS206へ、終了コマンドと判定されなければS210へ、処理を進める。
【0045】
S210でCPU110は、受信した制御コマンドに応じた処理を実行し、処理をS20
2に戻す。制御コマンドは例えばプロジェクタ100の情報要求、画像処理に関する変更、投影倍率の変更、フォーカスの調整、投影する画像信号の切替(入力切替)などの指示であってよいがこれらに限定されない。
【0046】
図3は、入力された画像信号に対して画像処理を適用する際の画像処理部140およびCPU110の動作を説明するための模式図である。画像処理部140が有するOSD重畳部310、各種画像処理部320、エッジブレンド部330、変形処理部340は、画像処理部が適用する画像処理を個別の機能ブロックとして表現したものである。
【0047】
元画像信号s301は、画像入力部130、記録再生部191、通信部193、RAM112などから画像処理部140に入力される。タイミング信号s302は、元画像信号s301に同期した垂直同期信号、水平同期信号、クロックなどを示し、元画像信号s301とともに画像処理部140に供給される。画像処理部140内の各ブロックは、タイミング信号s302に基づいて動作してもよいし、画像処理部140の内部で生成した別のタイミング信号に基づいて動作してもよい。
【0048】
CPU110は、投影画像に重畳したOSD画面を表示する場合、OSD画面のデータをROM111から読み出してRAM112の所定領域に保存する。OSD画面は例えばメッセージ画面、メニュー画面、設定画面などであり、操作部113の操作や、プロジェクタ100の動作状況(例えば異常検出時や、ユーザ入力が必要な場合など)に応じてCPU110が表示を決定する。
【0049】
OSD重畳部310は、例えばRAM112の所定領域へのデータ保存を監視するともに、保存されたOSD画面のデータを読み出す。そして、OSD重畳部310はOSD画面が元画像信号s301の画像の所定位置に重畳したOSD重畳信号s303を生成し、各種画像処理部320に出力する。OSD重畳部310は、重畳すべきOSD画面のデータが存在しない場合、元画像信号s301をそのままOSD重畳信号s303として出力してよい。
【0050】
各種画像処理部320は、CPU110の指示に応じて、OSD重畳信号s303に対してさまざまな画像処理を適用し、画像処理信号s304をエッジブレンド部330に出力する。各種画像処理部320が適用する画像処理には、ヒストグラムやAPL(平均画像レベル)などの統計情報算出、IP変換、フレームレート変換、解像度変換、γ変換、色域変換、色補正、エッジ強調などがあるが、これらに限定されない。
【0051】
エッジブレンド部330は、CPU110の指示に応じて、画像処理信号s304に対してエッジブレンド処理を適用し、減光信号s305を変形処理部340に出力する。なお、エッジブレンド処理を適用しない場合、エッジブレンド部330は、画像処理信号s304をそのまま減光信号s305として出力してよい。
【0052】
上述したように、エッジブレンド処理は、他の投影画像と重畳する領域(エッジブレンド領域)の明るさを低減し、投影された画像におけるエッジブレンド領域と非エッジブレンド領域との明るさに不自然な差が生じないようにする処理である。例えば、エッジブレンド部330は、エッジブレンド領域と非エッジブレンド領域との境界から、端部に向かって徐々に明るさが減少するように減光する。
【0053】
エッジブレンド部330による減光処理について、
図4および
図5を用いてさらに説明する。なお、説明を簡単にするために、プロジェクタと投影面(ここではスクリーンとする)が正対しているものとする。
【0054】
図4は水平方向に2台のプロジェクタを設定したマルチ投影システムの概要を示す斜視図である。画像信号源400は、ケーブル410a、410bにより、プロジェクタ420a、420bにそれぞれ接続されている。画像信号源400は、プロジェクタ420a、420bを用いたマルチ投影を実現するため、プロジェクタ420aとプロジェクタ420bとに、隣接部分の内容が一部重複した画像を供給する。
【0055】
プロジェクタ420a、420bは、画像信号源400から供給される画像信号を入力画像信号として投影動作を行う。プロジェクタ420a、420bをスクリーン430上の投影範囲が水平方向に一部重複するように配置する。例えば、画像信号源400から供給される画像信号の重複範囲と、投影範囲の重複範囲とを対応させることにより、プロジェクタ420a、420bの投影画像A、Bが連続した1つの画像として視認される。この際、重複して投影される範囲の明るさをエッジブレンド処理で調整する。
【0056】
図5(a)はプロジェクタ420aの投影画像500aを示す。投影画像500aは、非重複領域510aと重複領域520aとからなる。また
図5(b)はプロジェクタ420bの投影画像500bを示す。投影画像500bは非重複領域510bと重複領域520bとからなる。
【0057】
図5(c)はエッジブレンド部330が画像処理信号s304に適用するゲインの一例を示し、ゲイン530aはプロジェクタ420a、ゲイン530bはプロジェクタ420bで適用するゲインである。ゲインは信号レベルに適用される係数であり、1未満のゲインが適用されると明るさが減少する。
図5(c)に示した例では、非重複領域510a、510bに相当する画像処理信号に対して適用されるゲインは1.0倍であるため、明るさは変化しない。一方、重複領域520a、520bに対しては非重複領域との境界で1.0倍、投影画像端で0倍となるように水平方向の位置に応じて一定割合で減少するゲインが適用される。これにより、重複領域520a、520bに適用されるゲインの和は1.0倍となり、非重複領域510a、510bに適用されるゲインと等しくなる。なお、重複領域に対応する画像処理信号に適用するゲインを線形に低下させる必要は無く、S字カーブ状に低下させたりしてもよい。
【0058】
図5(d)は位置合わせされた投影画像510a、510bを示す。重複領域540は重複領域520aと520bの両方が投影されているが、エッジブレンド処理によって明るさが調整されているため、投影画像510a、510bの繋ぎ目部分は目立たなくなっている。
【0059】
図3に戻って、変形処理部340は減光信号s305にキーストーン補正のための変形処理を適用し、変形後画像信号s306を出力する。キーストーン補正は射影変換で実現できるため、CPU110から射影変換のためのパラメータを入力する。元画像の座標を(xs,ys)とすると、変形後画像の座標(xd,yd)は以下の式1で表わされる。
【数1】
ここで、Mは3×3行列で、CPU110から入力される元画像から変形後画像への射影変換行列である。xso、ysoは、
図6に実線で示す元画像の1つの頂点の座標であり、xdo、ydoは、
図6に一点鎖線で示す変形後画像の、元画像の頂点(xso、yso)に対応する頂点の座標値である。
【0060】
CPU110から、式1の行列Mの逆行列M
-1とオフセット(xso,yso)、(xdo,ydo)が入力される。変形処理部340は、以下の式2に従って変形後の座標値(xd,yd)に対応する元画像の座標(xs,ys)を求める。
【数2】
式2に基づいて求められた元画像の座標が整数であれば、元画像座標(xs,ys)の画素値をそのまま変換後座標(xd,yd)の画素値としてもよい。しかし、式2に基づいて求められた元画像の座標が整数にならない場合、周辺画素の値を用いて補間することで、変形後座標(xd,yd)の持つ画素値を求める。補間の方法は、バイリニア、バイキュービック、その他の任意の補間方法を用いればよい。また、式2に基づいて求められた元画像の座標が、元画像領域の範囲外である場合、その画素値は黒またはユーザが設定した背景色とする。
【0061】
このようにして、変形処理部340は減光信号s305の全座標について元画像の座標と画素値を求め、変形後画像信号s306を出力する。
ここでは、CPU110から変形処理部340に、行列Mとその逆行列M
-1が入力されるものとしたが、CPU110からは逆行列M
-1のみが入力され、変形処理部340で行列Mを求めてもよい。同様に、CPU110からは行列Mのみが入力され、変形処理部340で逆行列M
-1を求めてもよい。
【0062】
変形処理部340が出力する変形後画像信号s306は、黒浮き処理部350に供給される。プロジェクタでは漏れ光により黒浮きが発生するため、
図5(d)の重複領域540における黒浮き量は、非重複領域510a、510bにおける黒浮き量の合計となる。そのため、エッジブレンド処理を行っても、重複領域540の黒は非重複領域510a、510bの黒よりも明るく表示されてしまう。そのため、黒浮き処理部350は、非重複領域に対応する変形後画像信号s306に対し、重複領域と同等の黒となるように信号処理を適用し、黒浮き補正後画像信号s307を出力する。
黒浮き補正後画像信号s307は、前述の通り、液晶制御部150に供給され、液晶素子151R、151G、151Bに表示される。
【0063】
本実施形態においてCPU110は、通信部193を通じた外部機器200からのアクセスに対し、プロジェクタ100を外部機器200から遠隔制御するための外部機器用メニューをWebページとして生成し、通信部193を介して外部機器200に送信する。外部機器200ではWebクライアントがWebページをレンダリングして外部機器200の表示部にメニュー画面を表示する。なお、外部機器用メニューは、外部機器200で稼働するアプリケーションが生成してもよい。例えばプロジェクタ100から機種情報を外部機器200に送信し、外部機器200に予め記憶されている機種ごとのメニュー画面情報に基づいて外部機器200が外部機器用メニュー画面を表示することができる。
【0064】
投影画像にOSD画面として重畳表示したメニュー画面(以下、本体メニューと呼ぶ)を操作部113やリモコンなどによって操作することによってもプロジェクタ100の設定を行うことができる。しかしながら、投影画像に関する設定変更は本体メニューの表示にも反映されるため、本体メニューから設定可能な値の範囲は、本体メニューの視認性に影響を与えない範囲に設定項目ごとに予め制限され、例えばROM111に保存されている。本実施形態では、外部機器の表示装置に表示される外部機器用メニューの視認性は投影画像に関する設定変更による影響を受けないことに着目し、本体メニューよりも設定可能な項目を多くしたり、設定可能な値の範囲を広くしたりする。これにより、OSD画面を利用する場合よりも柔軟で自由度の高い設定を可能にする。
【0065】
図7を用いて、本体メニューから設定可能な値の範囲の制限について説明する。
図7(a)、(b)は、本体メニューがOSD画面として重畳された後、左右の重複領域610a、610bにエッジブレンド処理が適用された状態を模式的に示している。
図7(a)では、重複領域610aが本体メニュー620の表示領域を含むように設定されているため、重複領域610aに適用されたエッジブレンド処理によって本体メニュー620の一部が見えなくなっている。この状態では本体メニュー620からの設定が実質的にできないため、本体メニューからは本体メニュー620の表示領域に重複しない範囲でのみ重複領域(エッジブレンド領域)を指定可能とする。ここで、
図7(b)に示すように、投影領域の左端のx座標を0、横方向の解像度をxとして、本体メニュー620の表示領域の
左端の水平座標がxml、右端の水平座標がxmrとする。このとき、本体メニューから設定可能な左側エッジブレンド領域の幅はxml以下、右側エッジブレンド領域の幅は(x−xmr)以下とする。なお、本体メニュー620の表示位置が可変の場合、左右のエッジブレンド領域の幅の和≦(x−(xmr−xml))を満たす範囲で左右のエッジブレンド領域の幅を本体メニュー620から設定可能とすればよい。
【0066】
また、コントラスト、色別ゲイン、γ変換など、本体メニューの視認性を低下させる可能性のある設定項目に関しては、エッジブレンド処理の場合と同様に、本体メニューから設定可能な値の範囲が項目ごとに予め定められてROM111に保存されている。
【0067】
このように、外部機器用メニューの方が本体メニューよりも広範囲な設定が可能な場合、外部機器用メニューで設定した設定値を本体メニューで変更できない、あるいは困難となることが生じうる。例えば、外部機器用メニューから、本体メニューがほとんど見えなくなるような画像処理の適用が設定された場合、その設定を本体メニューから解除するのは容易でない。プロジェクタを使用する際に外部機器用メニューを利用可能な外部機器が必ず存在するとは限らないため、前回の設定によってはプロジェクタ本体で設定を元に戻したり変更したりすることが容易でない状況が発生しうる。本実施形態では、このような状況の発生を抑制するための構成を提供する。
【0068】
ここで、外部機器用メニューを利用可能な外部機器200について説明する。
外部機器200は通信部193を通じてプロジェクタ100と通信可能であり、外部機器200の操作によってプロジェクタ100を遠隔操作可能である。プロジェクタ100を外部機器200から遠隔操作するためのユーザインタフェースや、要求や応答などの情報の送受信に関する機能は、外部機器200で稼働するWebクライアントアプリケーションや遠隔操作アプリケーションによって提供することができる。外部機器200は例えば携帯電話機、メディアプレーヤ、タブレットデバイス、パーソナルコンピュータ、ゲーム機など、表示機能および通信機能を有する任意の電子機器であってよい。
【0069】
図8は、外部機器200の機能構成例を示すブロック図である。外部機器200は、プロジェクタ100の通信部193と通信可能な通信部208を備える。通信部193と通信部208との通信に用いる媒体は、無線媒体、有線媒体のどちらでもよいが、ここでは無線媒体であるものとする。
【0070】
外部機器200は表示部206を有し、表示部206にプロジェクタ100を遠隔操作するための外部機器用メニューを表示する。外部機器用メニューは例えばHTMLで記述され、Webクライアントがレンダリングすることにより操作(クリックまたはタップ)可能なGUIを含んだメニュー画面が表示される。GUI操作はプロジェクタ100が有するWebサーバに通知される。
【0071】
制御部201は、例えば1つ以上のプログラマブルプロセッサ(以下、便宜上CPUと呼ぶ)を有する。不揮発性メモリ203に記憶されたプログラムを読み込んで制御部201のCPUで実行することにより、プロジェクタ100との通信を始め、外部機器200の各種機能を実現する。不揮発性メモリ203は、制御部201が実行するプログラム(OSおよびアプリケーション)、各種設定値、GUIデータなどを記憶する。なお、制御部201が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが分担して外部機器200の全体を制御してもよい。
【0072】
なお、プロジェクタ100の遠隔制御に関する外部機器200の動作は、遠隔操作アプリケーション(またはWebブラウザアプリケーション)として不揮発性メモリ203に記憶されたプログラムを制御部201で実行することによって実現される。遠隔操作アプリケーションは、プロジェクタ100への制御コマンドの送信、プロジェクタ100から受信した情報の解釈や実行、GUIの表示や、GUI操作に応じた処理の実行などを実現する。外部機器200で稼働するOSが本実施形態における外部機器200の動作を実現するためのプログラムを含んでいてもよい。
【0073】
撮像部202は撮像部194と同様のカメラモジュールであり、撮影光学系および撮像素子を備え、制御部201の指示に基づく撮影によって得られた画像データを制御部201に出力する。制御部201は、画像データに一般的なデジタルカメラと同様の処理を適用し、作業用メモリ204に一時的に保存する。その後、画像データは予め定められた記録形式に応じた画像ファイルに格納されて記録媒体207に記録される。
【0074】
作業用メモリ204は、撮像部202で生成された画像データを一時的に保存するバッファメモリとして、また、表示部206の表示用メモリ(ビデオメモリ)として、さらには制御部201の作業領域などとして使用される。
【0075】
操作部205は、外部機器200に対してユーザが指示を入力するための入力デバイス群である。操作部205には例えば、電源スイッチ、撮像部202のシャッターボタン、表示部206に形成されるタッチパネルなどが含まれる。
【0076】
表示部206は、撮像部202で得られた画像データや、対話的な操作のためのユーザインタフェース、テキストメッセージ、通話に関する情報などの表示に用いられる。なお、表示部206は必ずしも外部機器200が内蔵する必要はない。外部機器200は表示部206と接続可能で、表示部206の表示制御機能を有していればよい。
【0077】
記録媒体207は、例えばメモリカードのような不揮発性の記憶媒体であり、撮像部202で得られた画像データを始め、外部機器200で受信したデータやアドレス帳などを記録することができる。記録媒体207は、外部機器200に着脱可能な構成であってもよいし、外部機器200に内蔵されていてもよい。すなわち、外部機器200は少なくとも記録媒体207にアクセス可能であればよい。
【0078】
通信部208は、プロジェクタ100の通信部193と無線通信を行うためのインタフェースである。制御部201は、通信部208を制御することでプロジェクタ100との無線通信を実現する。マイク209およびスピーカ210は、音声信号の入力と出力を行う。接続部211は、外部装置と接続するためのインターフェースである。
【0079】
電源制御部212は、電源部213の装着状態、種類、残量、充放電回数、電圧などを検出する。また、電源制御部212は、検出結果及び制御部201の指示に基づいて、必要な電圧を必要な期間、各部へ供給する。電源部213は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる。
【0080】
次に、
図9〜
図13を用いて、本実施形態のプロジェクタ100の外部機器用動作について説明する。外部機器用動作は、通信部193を通じて外部機器200との接続を確立した際、あるいは接続後の任意のタイミングで実行される。ここでは、外部機器200との接続が確立した状態で、外部機器200で稼働するWebクライアントもしくはWebクライアント機能を有する遠隔操作アプリケーションから、CPU110が実施するWebサーバへのアクセスがなされたものとする。
【0081】
例えばWebサーバのデフォルトのURLにアクセスされると、S701でCPUは、外部機器200で外部機器用メニューを表示するためのHTMLデータをROM111から読み出し、通信部193を介して外部機器200に送信する。あるいは、外部機器用メニューのデータをプロジェクタの識別情報と関連付けて外部機器200に予め保持しておき、プロジェクタ100からは機種の識別情報を外部機器200に送信するようにしてもよい。外部機器200の制御部201は、通信部208を通じて受信した外部機器用メニューのデータをレンダリングして、表示部206に外部機器用メニューを表示する。
図10(a)に、外部機器200の表示部206に外部機器用メニューの一例としてのエッジブレンド設定画面820を表示した状態の例を示す。
【0082】
エッジブレンド設定画面820において、設定ボタン821が操作されると、制御部201はその時点で画面に入力されていた設定値を含んだ設定コマンドを、通信部208を通じてプロジェクタ100に送信する。また、終了ボタン822が操作されると制御部201は入力内容を破棄して外部機器用メニューの表示を終了するとともに、外部機器用メニューの終了コマンドをプロジェクタ100に送信する。また、戻るボタン823が操作されると、制御部201は1つ上の階層のメニューに表示を切り替える。なお、1つ上の階層のメニューのデータが外部機器200に存在しない場合、制御部201はメニューデータの要求コマンドをプロジェクタ100に送信する。なお、
図10に示したエッジブレンド設定画面は外部機器用メニューの一例であり、含まれるGUIの種類や操作によって送信される制御コマンドの種類などに制限はない。
【0083】
S702でCPU110は、通信部193を通じた外部機器200からの制御コマンド受信を監視し、制御コマンドを受信すると、受信した制御コマンドが外部機器用メニューの終了コマンドであれば、外部メニュー処理を終了する。また、別メニューの要求コマンドであれば、CPU110はS701に処理を戻し、要求されたメニューのデータを外部機器200に送信する。一方、受信した制御コマンドが設定コマンドであれば、CPU110は処理をS703に進め、設定値をチェックする。
【0084】
具体的にはCPU110はROM111を参照し、設定コマンドに含まれる設定項目と設定値の組み合わせが、本体メニューから設定可能な設定項目と設定値の範囲に含まれるか否かを判定する。CPU110は、範囲に含まれると判定された場合にはS704に、範囲に含まれると判定されなければS705に、処理を進める。
【0085】
S704でCPU110は、設定コマンドに従って設定を変更し、処理をS702に戻す。
S705でCPU110は、外部機器200に、本体メニューの視認性が悪くなる設定値である旨を通知する警告画面のデータを送信する。
図10(b)に外部機器200に表示された警告画面830の例を示す。警告画面830のOKボタン831またはキャンセルボタン832が操作されると、制御部201は操作されたボタンに応じた応答コマンドを送信する。
【0086】
S706でCPU110は、警告画面に対する応答コマンドの受信を待機し、応答コマンドを受信すると、応答内容に応じて処理を分岐させる。CPU110は、設定を実行する旨の応答であればS704へ処理を進めて設定を実行し、設定を取りやめる旨の応答であれば設定を行わずに処理をS702に戻す。
【0087】
ここではエッジブレンドの設定に関する動作について説明したが、コントラストや色別ゲイン、γ変換のような、投影画像に対する画像処理に関する設定を行う設定画面を含め、いかなる設定画面についても同様の処理を行うことができる。
なお、警告画面は、外部機器200で表示するだけでなく、プロジェクタ100で投影するようにしても良い。
【0088】
図11は、プロジェクタ100の電源OFF時にCPU110が実行する動作に関するフローチャートである。本実施形態のプロジェクタ100は、電源OFF時における設定値を保存し、次回起動時には保存された設定値を用いる。
図11に示す処理は、
図2のS206の投影終了処理の一部として実行される。
【0089】
S901でCPU110は、現在の設定値を例えばRAM112から取得する。
S902でCPU110は、S901で取得した設定項目と設定値の組み合わせが、本体メニューから設定可能な設定項目と設定値の範囲に含まれるか否かをS703と同様に判定する。CPU110は、範囲に含まれると判定された場合にはS903に、範囲に含まれると判定されなければS904に、処理を進める。
【0090】
S903でCPU110は、現在の設定値でROM111の設定値を更新し、処理を終了する。
S904でCPU110は、S705と同様に、警告画面のデータを外部機器200に送信し、警告画面に対する応答コマンドの受信を待機する。応答コマンドを受信すると、CPU110はS905で応答内容に応じて処理を分岐させる。CPU110は、現在の設定値を維持する旨の応答(OKボタン831の操作)であればS903へ処理を進めて設定を実行し、設定を取りやめる旨の応答(キャンセルボタン832の操作)であれば処理をS906に進める。
ここでも、警告画面は、外部機器200で表示するだけでなく、プロジェクタ100で投影するようにしても良い。
【0091】
S906でCPU110は、設定値変更用の画面データを外部機器200に送信する。この画面データは、S902で現在の設定値が本体メニューで設定可能な範囲に含まれないと判定された設定項目の設定画面のデータであってよい。例えばエッジブレンド設定の左側の幅の設定値が本体メニューで設定可能な範囲に含まれていないと判定された場合に送信される画面データは、外部機器200で
図10(c)の様に表示される。
【0092】
設定値変更用の画面では、変更を要する項目および設定値が850に示すようにハイライト(強調)表示される。ハイライト表示の方法に制限はなく、表示色の変更、点滅表示などであってもよい。
【0093】
S907でCPU110は、外部機器200から設定コマンドを受信すると、現在の設定値を受信した設定コマンドに従って更新したのち、処理をS902に戻し、再度設定値のチェックを行う。以後、CPU110は、最初にS902を実行した際に本体メニューで設定可能な範囲に含まれないと判定された設定値の全てについてS904以降の処理を実行したら、処理をS903に進める。
【0094】
図12は、CPU110が本体メニューの表示および操作に関して実行する動作に関するフローチャートである。
図12に示す動作は、操作部113やリモコンによってメニュー画面の表示が指示された際に開始される。
【0095】
S1001でCPU110は、現在の設定値を例えばRAM112から取得する。
そして、S1002でCPU110は、現在の設定値について、S703やS902と同様にチェックする。
【0096】
CPU110は、全ての設定値が本体メニューから設定可能な値の範囲に含まれると判定されればS1008に、判定されなければS1003に、処理を進める。
S1003でCPU110は、本体メニューから設定可能な範囲に含まれない設定値に関し、本体メニューから設定可能な範囲内の仮設定値を画像処理部140に設定する。仮設定値は例えばデフォルト値であってもよいし、本体メニューから設定可能な範囲の上限または下限のうち、現在の設定値に近い値であってもよい。後者の場合、例えば
図7(a)の左側のエッジブレンド幅が本体メニューから設定可能な範囲に含まれない場合、エッジブレンドの幅の仮設定値をxmlとする。コントラスト、色別ゲイン、γ変換など、他の設定値についても同様に処理する。仮設定値を用いることで、投影画像は
図13(a)のようになる。
【0097】
S1004でCPU110は、現在の設定値を使用すると本体メニューの使用に支障が出ることを報知するとともに、現在の設定値を本体メニューの使用に適した設定値に変更することの可否をユーザに問い合わせる。具体的には、これらの報知メッセージや問い合わせメッセージを含むガイド画面のデータをROM111から読み出してRAM112の所定領域に書き込む。これにより、OSD重畳部310がガイド画面1110をOSD画面として重畳した画像が投影される(
図13(b))。
【0098】
S1005でCPU110は、ガイド画面1110に対する応答コマンドの受信を待機する。応答コマンドを受信すると、CPU110は応答内容に応じて処理を分岐させる。CPU110は、現在の設定値を変更することを許可する旨の応答(OKボタン831の操作)であればS1006へ、現在の設定値を使用する旨の応答(キャンセルボタンの操作)であれば処理をS1007に進める。
【0099】
S1007でCPU110は、仮設定値を元の(現在の)設定値に戻し、本体メニューを表示せずに処理を終了する。なお、使用に支障があっても本体メニューを表示するかどうかをさらにユーザに問い合わせた上で処理を終了するようにしてもよい。仮にユーザが表示を希望する場合、CPU110は処理をS1008に進める。
【0100】
S1006でCPU110は、仮設定値を現在の設定値として保存して、処理をS1008に進め、本体メニューをOSD画面として表示させる。本体メニュー620を表示した状態の投影画像の例を
図13(c)に示す。この状態では、本体メニューの視認性が低下することはないため、ユーザは容易にメニュー操作することができる。
【0101】
S1009でCPU110は、操作部113を通じたメニュー操作に応じて処理を分岐させる。CPU110は、メニュー表示の終了操作であれば処理を終了し、別メニューの要求操作であればS1008に処理を戻し、要求されたメニューをOSD画面として表示する。また、設定操作であればCPU110は処理をS1010に進め、入力された設定値を現在の設定値として保存するとともに画像処理部140に設定し、処理をS1009に戻す。
【0102】
なお、本実施形態では、電源OFF時に警告画面を表示するようにしたが、これに限るものではない。例えば、電源ON時に警告画面を表示するようにしてもよい。この場合、例えば、前回の電源OFF時の設定項目と設定値の組み合わせが本体メニューから設定可能な設定項目と設定値の範囲に含まれない場合に、次回の電源ON時に警告画面を表示することができる。
【0103】
以上説明したように本実施形態によれば、投影される設定画面を用いて設定可能な範囲よりも広い範囲で投影画像を調整可能な外部機器を用いるようにしたので、外部機器を用いない場合よりも調整の自由度を高くすることができる。換言すれば、投影画像に適用される画像処理の影響を受けない設定画面を外部機器に表示し、外部機器からの設定を可能とすることで、投影画像に設定画面を含める場合の制限を考慮する必要が無い。また、外部機器を用いずに調整可能な範囲を超えた設定がなされている場合には、ユーザに警告したり、設定を自動的に変更したりするようにすることで、外部機器がない環境においてもユーザは支障なく調整を行うことができる。
【0104】
●(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して説明する。第1実施形態では、本体メニュー表示時に、本体メニューから設定可能な範囲に含まれない値が設定されていた場合、ユーザに通知し、承認が得られれば設定値を本体メニューから設定可能な範囲の値に戻した。本実施形態では、本体メニューを表示する間は一時的に本体メニューから設定可能な範囲内の設定値を使用し、本体メニューの表示を終了する際に元の設定値に戻す。
【0105】
図14は、CPU110が本体メニューの表示および操作に関して実行する動作に関するフローチャートである。
図14に示す動作は、操作部113やリモコンによってメニュー画面の表示が指示された際に開始される。また、
図14において、第1実施形態と同様の処理については
図12と同じ参照数字を付し、重複する説明を省略する。
【0106】
図12と
図14との比較から分かるように、本実施形態ではS1003で仮設定値に変更した後、CPU110はユーザに警告や設定変更に関する問い合わせを行わずに処理をS1008に進め、本体メニューを表示させる。そして、S1009で、本体メニュー表示中にメニュー表示の終了操作が検出されると、CPU110はS1201に処理を進める。なお、本実施形態で表示する本体メニューにおいては、ハイライト表示や強調表示などにより、仮設定値に変更されている値をユーザが識別できるようにしてもよい。
【0107】
S1201でCPU110は、本体メニューの表示を終了させるとともに、本体メニューを通じて変更された設定値を除き、仮設定値を元の(現在の)設定値に戻して処理を終了する。
【0108】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、現在の設定値を強制的に変更することなく、ユーザは本体メニューを使用した設定が可能となる。
【0109】
●(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に関して説明する。第2実施形態では、本体メニュー表示時に、本体メニューから設定可能な範囲に含まれない値が設定されていた場合、本体メニューから設定可能な範囲の仮設定値に変更して本体メニューを表示した。本実施形態では、本体メニューから設定可能な範囲に含まれない値が特定色のレベルに関する場合に、特定色を他の色に置換して本体メニューを表示する点で第2実施形態と異なる。
【0110】
図15は、CPU110が本体メニューの表示および操作に関して実行する動作に関するフローチャートである。
図15に示す動作は、操作部113やリモコンによってメニュー画面の表示が指示された際に開始される。また、
図15において、第1実施形態と同様の処理については
図12と同じ参照数字を付し、重複する説明を省略する。
【0111】
S1002において、現在の設定値に本体メニューから設定可能な範囲に含まれないものがあると判定された場合、CPU110は処理をS1301に進める。
S1301でCPU110は、本体メニューから設定可能な範囲に含まれない設定値が色調整に関する設定値だけか否かを判定し、色調整に関する設定値だけと判定されればS1302へ、判定されなければS1003へ処理を進める。本体メニューから設定可能な範囲に含まれない設定値に、エッジブレンド領域の設定値のような色調整以外の項目の設定値が含まれる場合には、以後第2実施形態と同様に処理を行う。
【0112】
S1302でCPU110は、本体メニューから設定可能な範囲に含まれない設定値の項目に応じて、本体メニュー用の配色(表示色)を変更する。
図16(a)は、色番号と色定義との対応を示す。ここでは、色をR,G,B成分の値(0〜255)によって定義するものとし、色番号は、0が黒、1が赤、2が緑、3が青、4が黄色、5がマゼンタ、6がシアン、7が白に対応する。
図16(b)は、色調整に関する設定項目の例と、設定項目によって影響を受ける色(色番号)との対応例を示す。これらの対応は、例えばROM111に保存されおり、RAM112にロードして用いる。
【0113】
図16(c)は、S1302において変更された、設定項目と色番号との対応例を示す。例えば、赤ゲイン、赤オフセット、赤ガンマのように、赤色(色番号1)の視認性に影響する項目の設定値が本体メニューから設定可能な範囲に含まれないと判定されたとする。この場合、S1302による配色の変更により、本体メニューのOSD画面において色番号1(赤)で表示する部分が色番号6(シアン)で表示されるようになる。他の設定項目に関しても、視認性が低下する色を他の色で表示するように配色を変更する。
【0114】
S1008以降は第2実施形態と同様に処理を行い、S1009で、本体メニュー表示中にメニュー表示の終了操作が検出されると、CPU110はS1303に処理を進める。なお、本実施形態で表示する本体メニューにおいても、ハイライト表示や強調表示などにより、仮設定値に変更されている値をユーザが識別できるようにしてもよい。
【0115】
S1303でCPU110は、本体メニューの表示を終了させるとともに、RAM112に格納されている、本体メニューの配色の定義が変更されていれば元に戻す。また、CPU110は、本体メニューを通じて変更された設定値を除き、仮設定値を元の(現在の)設定値に戻し、処理を終了する。
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果を実現することができる。
【0116】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。