(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンテンツを実際に表示した前記サイネージ装置の台数、および前記サイネージ装置で前記コンテンツを実際に表示した表示時間に基づいて、課金料金を算出する会計管理部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、複数のサイネージ装置と接続され、前記サイネージ装置でのコンテンツの表示を制御する制御装置であって、前記サイネージ装置から送信されるセンサー情報を受信する受信部と、前記センサー情報に基づいて、トリガーとなる特定物を検知する特定物検知部と、前記特定物と前記コンテンツとの対応関係に関する情報を記憶する記憶部と、前記特定物検知部で前記特定物が検知されると、その特定物に対応する前記コンテンツを選択するとともに、前記特定物が検知された前記センサー情報の送信元である前記サイネージ装置を含む所定の範囲内に位置する複数の前記サイネージ装置を選択する選択部と、前記選択部で選択された前記サイネージ装置を対象にして、前記選択部で選択された前記コンテンツを表示させる指示を送信する送信部と、を備える構成とする。
【0014】
これによると、所定の範囲内に位置する複数のサイネージ装置で一斉に同一のコンテンツが表示され、いわゆるジャック状態となり、また、トリガーとなる特定物の出現に合わせて、その特定物に対応するコンテンツがサイネージ装置で表示される。このため、サイネージ装置を見る人物に大きなインパクトを与えることができ、例えば、特定物が広告を目的とするものであれば、高い広告効果を得ることができる。
【0015】
また、第2の発明は、前記センサー情報は、前記サイネージ装置の周辺を撮影した撮影画像であり、前記記憶部は、前記特定物の外見に関する特定画像を記憶し、前記特定物検知部は、前記撮影画像と前記特定画像とを照合して、前記特定物を検知する構成とする。
【0016】
これによると、特定物を精度よく検知することができる。
【0017】
また、第3の発明は、前記センサー情報は、前記特定物から送信されて前記サイネージ装置で受信した信号情報であり、前記記憶部は、前記特定物の識別情報を記憶し、前記特定物検知部は、前記サイネージ装置で受信した信号情報と前記特定物の識別情報とを照合して、前記特定物を検知する構成とする。
【0018】
これによると、特定物を精度よく検知することができる。
【0019】
また、第4の発明は、前記記憶部は、前記コンテンツを表示させる前記サイネージ装置の予定台数に関する情報を記憶し、前記選択部は、前記特定物が検知された前記センサー情報の送信元である前記サイネージ装置を基点として、前記予定台数に達するまで前記サイネージ装置を選択する構成とする。
【0020】
これによると、顧客との利用契約などにより規定された予定台数分だけ、サイネージ装置にコンテンツを表示させることができる。
【0021】
また、第5の発明は、前記特定物は、複数の前記サイネージ装置の近傍を順次通過する特定移動体であり、前記選択部は、前記特定移動体の移動に追従して前記サイネージ装置で前記コンテンツが表示されるように、前記サイネージ装置を選択する構成とする。
【0022】
これによると、特定移動体の移動に追従してサイネージ装置でコンテンツを表示されるため、高い広告効果を得ることができる。
【0023】
また、第6の発明は、前記コンテンツの表示を指示された前記サイネージ装置から、当該コンテンツを実際に表示した表示時間に関する情報を受信する構成とする。
【0024】
これによると、サイネージ装置でコンテンツを実際に表示した表示時間を取得することができる。これにより、コンテンツの実際の表示状況に応じた適切な課金を行うことができる。
【0025】
また、第7の発明は、前記コンテンツの表示を指示された前記サイネージ装置に、当該コンテンツを表示する表示時間に関する情報を送信する構成とする。
【0026】
これによると、コンテンツを表示する表示時間をサイネージ装置に指示することができる。これにより、顧客との利用契約などにより規定された表示時間だけ、サイネージ装置にコンテンツを表示させることができる。
【0027】
また、第8の発明は、前記コンテンツを実際に表示した前記サイネージ装置の台数、および前記サイネージ装置で前記コンテンツを実際に表示した表示時間に基づいて、課金料金を算出する会計管理部をさらに備える構成とする。
【0028】
これによると、制御装置で課金料金が算出されるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0029】
また、第9の発明は、前記会計管理部は、前記サイネージ装置の設置位置に応じた重み付けを行って前記課金料金を算出する構成とする。
【0030】
これによると、サイネージ装置の設置位置に応じて広告効果が異なるため、サイネージ装置の設置位置に応じた重み付けを行って課金料金を算出することで、実際の広告効果に応じた適切な課金を行うことができる。
【0031】
また、第10の発明は、前記サイネージ装置の周辺における人物の滞留状況に関する滞留情報を取得する滞留情報取得部をさらに備え、前記会計管理部は、前記滞留情報に応じた重み付けを行って前記課金料金を算出する構成とする。
【0032】
これによると、サイネージ装置の周辺における人物の滞留状況に応じて広告効果が異なるため、滞留情報に応じた重み付けを行って課金料金を算出することで、実際の広告効果に応じた適切な課金を行うことができる。
【0033】
また、第11の発明は、前記選択部は、前記所定の範囲内に位置する複数の前記サイネージ装置の前記センサー情報に基づいて、複数の前記特定物が検知された場合に、所定の選択条件に基づいて、複数の前記特定物の各々に対応する複数コンテンツを、複数の前記サイネージ装置に割り振る構成とする。
【0034】
これによると、複数の特定物が検知された場合でも、サイネージ装置に適切にコンテンツを表示させることができる。
【0035】
また、第12の発明は、自装置の周辺をセンシングするセンサーと、コンテンツを表示する表示部と、前記センサーの検出結果に関するセンサー情報を制御装置に送信する送信部と、前記制御装置において前記センサー情報からトリガーとなる特定物が検知された場合に、前記制御装置から送信される、前記特定物に対応する前記コンテンツの表示に関する指示を受信する受信部と、前記受信部で受信した前記指示で指定されたコンテンツを他のコンテンツよりも優先して前記表示部に表示する制御部と、を備え、前記受信部で受信した前記指示は、所定の範囲内に位置する他のサイネージ装置と同一のコンテンツを表示させるものである構成とする。
【0036】
これによると、第1の発明と同様に、サイネージ装置を見る人物に大きなインパクトを与えることができ、例えば、特定物が広告を目的とするものであれば、高い広告効果を得ることができる。
【0037】
また、第13の発明は、複数のサイネージ装置と、前記サイネージ装置と接続し前記サイネージ装置でのコンテンツの表示を制御する制御装置を備えるサイネージシステムであって、前記制御装置は、前記サイネージ装置から送信されるセンサー情報を受信する受信部と、前記センサー情報に基づいて、トリガーとなる特定物を検知する特定物検知部と、前記特定物と前記コンテンツとの対応関係に関する情報を記憶する記憶部と、前記特定物検知部で前記特定物が検知されると、その特定物に対応する前記コンテンツを選択するとともに、前記特定物が検知された前記センサー情報の送信元である前記サイネージ装置を含む所定の範囲内に位置する複数の前記サイネージ装置を選択する選択部と、前記選択部で選択された前記サイネージ装置を対象にして、前記選択部で選択された前記コンテンツを表示させる指示を送信する送信部と、を備え、前記サイネージ装置は、自装置の周辺をセンシングするセンサーと、前記コンテンツを表示する表示部と、前記センサーの検出結果に関するセンサー情報を制御装置に送信する送信部と、前記制御装置において前記センサー情報からトリガーとなる特定物が検知された場合に、前記制御装置から送信される、前記特定物に対応する前記コンテンツの表示に関する指示を受信する受信部と、前記受信部で受信した前記指示で指定されたコンテンツを他のコンテンツよりも優先して前記表示部に表示する制御部と、を備える構成とする。
【0038】
これによると、第1の発明と同様に、サイネージ装置を見る人物に大きなインパクトを与えることができ、例えば、特定物が広告を目的とするものであれば、高い広告効果を得ることができる。
【0039】
また、第14の発明は、複数のサイネージ装置と接続され、前記サイネージ装置でのコンテンツの表示を制御する表示制御方法であって、前記サイネージ装置から送信されるセンサー情報を受信し、前記センサー情報に基づいて、トリガーとなる特定物を検知し、前記特定物が検知されると、前記特定物と前記コンテンツとの対応関係に関する情報に基づいて、その特定物に対応する前記コンテンツを選択するとともに、前記特定物が検知された前記センサー情報の送信元である前記サイネージ装置を含む所定の範囲内に位置する複数の前記サイネージ装置を選択し、選択された前記サイネージ装置を対象にして、選択された前記コンテンツを表示させる指示を送信する構成とする。
【0040】
これによると、第1の発明と同様に、サイネージ装置を見る人物に大きなインパクトを与えることができ、例えば、特定物が広告を目的とするものであれば、高い広告効果を得ることができる。
【0041】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0042】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るサイネージシステムの全体構成図である。
【0043】
このサイネージシステムは、複数のサイネージ装置1と、サーバ装置2と、を備えている。サイネージ装置1とサーバ装置2とはネットワークを介して接続されている。
【0044】
サイネージ装置1は、いわゆるデジタルサイネージ(電子看板)であり、サーバ装置2から配信されるコンテンツを表示する。
【0045】
サーバ装置2は、サイネージ装置1に表示させるコンテンツをサイネージ装置1に配信する。また、サーバ装置2は、サイネージ装置1でのコンテンツの表示を制御する。
【0046】
次に、サイネージ装置1について説明する。
図2は、サイネージ装置1を示す斜視図である。
【0047】
サイネージ装置1は、道路上に設置された路上設置物3に併設される。この路上設置物3は、電力線の地中化(無電柱化)にともない、従来、電柱に取り付けられていた機器(変圧器や開閉器など)を道路上に設置したものである。この路上設置物3は、電力線31が埋設された道路に沿って、例えば20m〜40mの間隔をおいて、点在するように設置される。したがって、サイネージ装置1も、道路に沿って点在するように設置される。
【0048】
このサイネージ装置1には、ディスプレイ11(表示部)が設けられている。このディスプレイ11は、液晶表示パネルなどからなり、サーバ装置2から配信されたコンテンツを表示する。また、このディスプレイ11は歩道側に設けられており、歩道を歩行する人物が、ディスプレイ11に表示されたコンテンツを閲覧することができる。
【0049】
また、サイネージ装置1の上部には、カメラ12が設けられている。このカメラ12は、サイネージ装置1の周辺を撮影する。本実施形態では、カメラ12が、360度の範囲を撮影する全方位カメラであり、車道側および歩道側を撮影することができる。このカメラ12で撮影された撮影画像内の車道側には、車道を走行する車両が映り、撮影画像内の歩道側には、歩道を歩行する人物が映る。
【0050】
このサイネージ装置1には、道路に埋設された電力線31から電力を供給することができる。また、電力線31に併走するように通信線32を道路に埋設することで、この通信線32を経由して、サイネージ装置1をサーバ装置2に接続することができ、また、サイネージ装置1を相互に接続することもできる。
【0051】
なお、本実施形態では、ディスプレイ11にコンテンツの映像を表示するようにしたが、このディスプレイ11とともに、あるいはディスプレイ11の代わりに、道路上にコンテンツの映像を投影するプロジェクターをサイネージ装置1に設けるようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、カメラ12を全方位カメラとしたが、全方位カメラの代わりに、車道側を撮影する第1のカメラと、歩道側を撮影する第2のカメラとをサイネージ装置1に設けるようにしてもよい。
【0053】
次に、サイネージ装置1の配置状況について説明する。
図3は、サイネージ装置1の配置状況を示す説明図である。
【0054】
サイネージ装置1は、路上設置物3(
図2参照)に併設された状態で、道路に沿って点在するように設置される。このため、道路を歩行する人物は、サイネージ装置1に表示されるコンテンツを順次閲覧することができる。
【0055】
さて、本実施形態では、所定の範囲内に存在する複数のサイネージ装置1で一斉に同一コンテンツを表示する、いわゆるジャックが実施される。
【0056】
このジャックは、トリガーとなる特定移動体が検知されると開始され、所定の表示時間が経過するか、あるいは、特定移動体を検知できなくなると終了する。本実施形態では、サイネージ装置1の周辺を撮影するカメラ12(
図2参照)がサイネージ装置1に設けられており、カメラ12の撮影画像から特定物を検知する。
【0057】
また、本実施形態では、トリガーとなる特定物を、道路上を移動する特定移動体とする。この特定移動体には、特定車両と特定人物とがある。特定車両は、ロゴマークなどの広告用のラッピングなどが車体に施された広告車両(ラッピングカー)や、救急車両、消防車両および警察車両などの緊急車両などである。特定人物は、広告用のコスチュームや着ぐるみなどを着用した広告人物などである。
【0058】
また、ジャックでは、トリガーとなる特定移動体に対応するコンテンツがサイネージ装置1に表示される。特定移動体が広告車両や広告人物であれば、その広告車両や広告人物に対応する広告コンテンツがサイネージ装置1に表示される。また、特定移動体が緊急車両であれば、その緊急車両に対応する緊急コンテンツ、例えば、緊急車両の通行に対する注意喚起を行うコンテンツがサイネージ装置1に表示される。
【0059】
また、サイネージ装置1では、通常時には、予め設定されたスケジュールに基づいて種々のコンテンツが表示されており、トリガーとなる特定移動体が検知されて、ジャックが実施されると、通常時のコンテンツに割り込むように、特定移動体に対応するコンテンツが優先して表示される。また、緊急コンテンツは広告コンテンツより優先され、緊急コンテンツが表示されている状態で、広告車両や広告人物が検知されても、緊急コンテンツが継続して表示され、広告コンテンツが表示されている状態で、緊急車両が検知されると、広告コンテンツから緊急コンテンツに切り換えられる。
【0060】
また、ジャックは、エリア単位で実施される。このエリアは、ジャックを実施する際の範囲を規定するものであり、ジャック時には、同一のエリアに位置するサイネージ装置1で一斉に同一コンテンツが表示される。すなわち、エリア内の1つのサイネージ装置1の撮影画像から特定移動体が検知されると、そのエリア内の全てのサイネージ装置1で同一コンテンツが表示される。なお、表示されるコンテンツは完全に同一でなくても、表示内容の一部が同一など関連性のあるものであってもよい。また、コンテンツの表示は完全に同じタイミングでなくてもよい。
【0061】
図3に示す例では、交差点を挟んでエリアA、エリアB、エリアCおよびエリアDの4つのエリアが設定されている。
【0062】
なお、エリアの大きさは、車両を目視で確認することができる範囲に設定し、あるいは、車両から出力される音声を聞き取ることができる範囲に設定するようにしてもよい。また、特定車両と特定人物とでは移動速度が大きく異なり、この特定移動体の移動速度に応じて、特定移動体がエリアを通過する時間が異なる。このため、特定移動体の通行に合わせて適切な時間だけコンテンツが表示されるように、特定移動体の移動速度に応じてエリアの大きさを変更するようにしてもよい。
【0063】
また、1つのエリア内のサイネージ装置1を分割したグループが設定される。本実施形態では、道路の両側に並んだ複数のサイネージ装置1を含むようにエリアが設定され、道路の上りおよび下りの各車線にそれぞれ対応するように、エリアを道路で分割した態様で、グループが設定される。なお、他のグループの設定としては、道路の上り方向、下り方向の前後で分割した態様としてもよい。
【0064】
図3に示す例では、エリアを道路で分割した態様であり、エリアA内のサイネージ装置1(A−1〜A−6)が、グループA01(A−1〜A−3)およびグループA02(A−4〜A−6)の2つのグループに分割されている。
【0065】
このグループも、ジャックを実施する際の範囲を規定するものである。本実施形態では、基本的にエリア単位でジャックを実施するが、顧客がエリアを分割したグループ単位(
図3では片側の歩道のみ)でよい場合に、グループ単位で契約を行うことができる。
【0066】
また、1つのエリアで2台の特定車両が出現した場合に、その2台の特定車両が走行する車線が異なると、グループ単位でジャックを実施することで、一方の車線側のサイネージ装置1と他方の車線側のサイネージ装置1とに異なるコンテンツを割り振ることができる。これにより、歩道にいる人物は、手前側の車線を走行する特定車両に対応するコンテンツを閲覧することができる。あるいは、その2台の特定車両が同一の車線を前後して走行している場合は、道路の進行方向の前後で分割したグループ単位でジャックを実施することで、前方側のサイネージ装置1と後方側のサイネージ装置1とに異なるコンテンツを割り振ることができる。これにより、歩道にいる人物は、より近くを走行する特定車両に対応するコンテンツを閲覧することができる。
【0067】
なお、ジャック時には、ジャック用のコンテンツとして予め用意されたものを表示する他に、通常時のコンテンツの画像を画像処理してジャック用のコンテンツに変更して表示するようにしてもよい。この場合、例えば、通常時のコンテンツの画像内の背景の画像領域または人物の画像領域を、広告対象のロゴマークが描画されたものに置き換える画像処理を行うようにしてもよい。また、カメラ12の撮影画像に映る人物をアバターに置き換えた画像を、通常時のコンテンツとして表示している最中に、ジャック状態に移行すると、アバターの衣装を広告対象のロゴマークが描画されたものに置き換える画像処理を行うようにしてもよい。
【0068】
次に、特定車両の通行に伴う複数のエリアでのジャックの実施状況について説明する。
図4は、特定車両の通行に伴う複数のエリアでのジャックの実施状況を示す説明図である。
【0069】
ジャックは、特定移動体がエリアに近づいて、そのエリア内のサイネージ装置1の撮影画像から特定移動体が検知されたことをトリガーとして実施される。
図4に示す例では、特定車両4が道路を走行しており、この特定車両4が、道路に沿って並んで設置された複数のサイネージ装置1の近傍を順次通過する。このとき、エリアの端に位置するサイネージ装置1の撮影画像により、エリアに近づく特定車両4が検知されると、そのエリアでジャックが開始され、この特定車両4の検知に応じたジャックが複数のエリアで順次実施される。
【0070】
すなわち、特定車両4が最初のエリアAに近づくと、そのエリアAでジャックが実施され、特定車両4が次のエリアBに近づくと、そのエリアBでジャックが実施され、さらに、特定車両4が次のエリアCに近づくと、そのエリアCでジャックが実施される。このように本実施形態では、特定車両4の移動に追従するようにジャックが実施される。
【0071】
また、ジャックが開始されてから所定の表示時間が経過するか、あるいは、1つのエリア内の全てのサイネージ装置1の撮影画像により特定車両4が検知できなくなると、そのエリアのジャックが終了する。
【0072】
次に、サイネージ装置1の概略構成について説明する。
図5は、サイネージ装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0073】
サイネージ装置1は、ディスプレイ11およびカメラ12の他に、通信部13(受信部および送信部)と、制御部14と、記憶部15と、を備えている。
【0074】
通信部13は、サーバ装置2から配信されるコンテンツを受信する。また、通信部13は、サーバ装置2から配信されるコンテンツの表示に関する指示(開始指示や終了指示など)を受信する。また、通信部13は、カメラ12から出力される撮影画像を所定の周期で定期的にサーバ装置2に送信する。
【0075】
制御部14は、ディスプレイ11、カメラ12、および通信部13を制御する。本実施形態では、サーバ装置2から送信されるコンテンツの表示に関する指示を受信すると、その指示で指定されたコンテンツを他のコンテンツ、すなわち、スケジュールで予め設定された通常時のコンテンツよりも優先してディスプレイ11に表示する制御を行う。
【0076】
次に、サーバ装置2の概略構成について説明する。
図6は、サーバ装置2の概略構成を示すブロック図である。
【0077】
サーバ装置2は、通信部21(受信部および送信部)と、制御部22と、記憶部23と、を備えている。
【0078】
通信部21は、サイネージ装置1から定期的に送信される撮影画像を受信する。また、通信部21は、コンテンツをサイネージ装置1に配信する。また、通信部21は、コンテンツの表示に関する指示(開始指示や終了指示など)をサイネージ装置1に送信する。なお、コンテンツを表示させる指示を兼ねるようにコンテンツを配信するようにしてもよい。また、特定移動体(広告車両や広告人物)の通行スケジュールに合わせて、コンテンツを事前に配信するようにしてもよい。
【0079】
記憶部23は、特定移動体の外観に関する特定画像を記憶する。この特定画像には、事前に特定移動体を撮影した撮影画像を用いればよい。特定画像は、特定移動体の外観の一部であってもよい。また、記憶部23は、特定移動体とコンテンツとの対応関係に関する情報を記憶する。
【0080】
制御部22は、特定物検知部25と、選択部26と、表示制御部27と、会計管理部28と、を備えている。この制御部22はプロセッサで構成され、制御部22の各部は、記憶部23に格納されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
【0081】
特定物検知部25は、通信部21で受信した撮影画像と、記憶部23に記憶された特定画像とを照合して、特定移動体を検知する。この特定物検知では、撮影画像と特定画像を照合する画像照合が行われる。この画像照合では、例えば、撮影画像から動体を検知して、撮影画像から動体の画像領域を切り出し、次に、この動体の画像領域から特徴量を抽出して、この特徴量と特定画像の特徴量とを比較することで、撮影画像内の動体が特定移動体であるか否かを判定する。この画像照合を特定移動体ごとの特定画像で行うことで、特定移動体を識別して移動体IDを取得する。
【0082】
ここで、サイネージ装置1から取得した撮影画像(全方位画像)内の車道側の画像領域には、車道を走行する車両が映っており、これにより特定車両(広告車両や緊急車両)を検知することができる。また、撮影画像内の歩道側の画像領域には、歩道を歩行する人物が映っており、これにより特定人物(広告用のコスチュームや着ぐるみを着用した人物)を検知することができる。
【0083】
選択部26は、特定物検知部25で特定移動体が検知されると、記憶部23に記憶された特定移動体とコンテンツとの対応関係に関する情報に基づいて、特定物検知部25で検知された特定移動体に対応するコンテンツを選択する。
【0084】
また、選択部26は、特定移動体の出現が検知された撮影画像の送信元であるサイネージ装置1を含む所定の範囲内、すなわち、ジャックの実施単位となる1つのエリアまたは1つのグループに含まれる複数のサイネージ装置1を選択する。本実施形態では、記憶部23に、コンテンツを表示させるサイネージ装置の予定台数(予定サイネージ数)に関する情報が記憶され、選択部26は、特定移動体が検知された撮影画像の送信元であるサイネージ装置1を基点として、予定台数に達するまでサイネージ装置を選択する。なお、予定サイネージ数ではなく、表示するエリア数であってもよい。
【0085】
表示制御部27は、サイネージ装置1でのジャック用のコンテンツの表示を制御する。すなわち、ジャックの開始タイミングおよび終了タイミングを制御する。ジャックの開始タイミングは、特定物検知部25で特定移動体が検知されたときであり、特定移動体が検知されると、選択部26で選択されたサイネージ装置1を対象にして、選択部26で選択されたコンテンツを表示させる開始指示を通信部21から送信させる。
【0086】
一方、ジャックの終了タイミングは、時間制御と検知制御とで異なる。時間制御では、ジャックが開始されてから所定の表示時間が経過すると、ジャック用のコンテンツの表示を終了させる終了指示を通信部21から送信させる。また、検知制御では、エリア内の全てのサイネージ装置1の撮影画像から特定車両が検知できなくなると、終了指示を通信部21から送信させる。
【0087】
会計管理部28は、コンテンツを実際に表示したサイネージ装置1の台数、およびサイネージ装置1でコンテンツを実際に表示した表示時間に基づいて、課金料金を算出する。
【0088】
なお、本実施形態では、サイネージ装置1から撮像画像を定期的にサーバ装置2に送信して、サーバ装置2において、特定移動体の外観に関する特定画像と撮像画像との間での画像照合により、特定移動体を検知するようにしたが、特定移動体の検知をサイネージ装置1で行うようにしてもよい。この場合、特定移動体の外観に関する特定画像をサイネージ装置1に予め配信して、その特定画像を記憶部15に記憶させておけばよい。
【0089】
次に、サーバ装置2で運用されるサイネージ管理データベースについて説明する。
図7は、サイネージ管理データベースに登録される情報を示す説明図である。
【0090】
サーバ装置2では、サイネージ装置1に関する情報を管理するサイネージ管理データベースが運用される。このサイネージ管理データベースに登録される情報(サイネージ管理情報)は、記憶部23に記憶される。
【0091】
このサイネージ管理データベースには、エリアID、グループID、サイネージID、位置情報、課金重み付け、ステータスの各項目に関する情報が登録されている。
【0092】
エリアIDは、ジャックの実施単位となる各エリアに付与した識別情報である。グループIDは、エリアを分割した各グループに付与した識別情報である。サイネージIDは、各サイネージ装置1に付与した識別情報である。位置情報は、各サイネージ装置1の位置情報である。課金重み付けは、課金料金を算出する際の重み付けに関する情報であり、具体的には、広告効果に応じた重み付けの係数が登録される。ステータスは、各サイネージ装置1の現在の状態、すなわち、コンテンツの表示の有無、および表示中のコンテンツに関する情報である。
【0093】
次に、サーバ装置2で運用される顧客管理データベースについて説明する。
図8は、顧客管理データベースに登録される情報を示す説明図である。
【0094】
サーバ装置2では、サイネージ装置1に関する利用契約を締結した顧客との契約により規定された情報を管理する顧客管理データベースが運用される。この顧客管理データベースに登録される情報(顧客管理情報)は、記憶部23に記憶される。
【0095】
この顧客管理データベースには、顧客ID、移動体ID、種別、画像情報、コンテンツ、表示時間、予定サイネージ数、企業名の各項目に関する情報が登録されている。
【0096】
顧客IDは、各顧客に付与した識別情報である。移動体IDは、広告ジャックを実施する際のトリガーとなる特定移動体に付与した識別情報である。種別は、特定移動体の種別(大型バス、ミニバン、バイク、人物など)に関する情報である。画像情報は、特定移動体の外観に関する特定画像に関する情報である。コンテンツは、特定移動体に対応するコンテンツ(動画、静止画)に関する情報である。表示時間は、ジャック時にサイネージ装置1にコンテンツを表示させる時間に関する情報である。予定サイネージ数は、ジャック時にコンテンツを表示させるサイネージ装置1の予定台数に関する情報である。
【0097】
図8に示した例では、1つのエリアに6台のサイネージ装置1が設置され、1つのエリアでジャックを実施する場合には、予定サイネージ数が6となり、2つのエリアでジャックを実施する場合には、予定サイネージ数が12となり、エリアを2分割したグループの1つでジャックを実施する場合には、予定サイネージ数が3となる。また、特定移動体の種別が人物である場合には、移動速度が遅いため、表示時間が長く設定されている。
【0098】
次に、サーバ装置2で運用される会計管理データベースについて説明する。
図9は、会計管理データベースに登録される情報を示す説明図である。
【0099】
サーバ装置2では、サイネージ装置1でのコンテンツの表示に係る課金に必要な情報を管理する会計管理データベースが運用される。この会計管理データベースに登録される情報(会計管理情報)は、記憶部23に記憶される。
【0100】
この会計管理データベースには、顧客ID、企業名、移動体ID、年月日、開始時間、終了時間、使用サイネージID、使用サイネージ数、課金料金の各項目に関する情報が登録されている。
【0101】
ここで、移動体IDは、撮影画像から検知された特定移動体の移動体IDである。また、年月日はコンテンツを実際に表示した日付である。また、開始時間はコンテンツの表示を開始した時刻であり、終了時間は、コンテンツの表示を終了した時刻である。また、使用サイネージIDは、コンテンツを実際に表示したサイネージ装置1のサイネージIDである。また、使用サイネージ数は、コンテンツを実際に表示したサイネージ装置1の台数である。
【0102】
サーバ装置2では、会計管理データベースに登録される情報(会計管理情報)に基づいて顧客に対する課金を行う。会計管理データベースから開始時間、終了時間、および使用サイネージ数を取得し、開始時間および終了時間から、コンテンツを実際に表示した表示時間をサイネージ装置1ごとに算出して、その表示時間と、使用サイネージ数に基づいて課金料金を算出する。
【0103】
サイネージ装置1が故障した場合、特定移動体が重複して検知された場合、緊急車両が通行した場合など、種々の理由でコンテンツの表示を契約で予定した通りに実施することができない場合があり、このような場合に、前記のように課金料金を算出することで、サイネージ装置1でコンテンツを実際に表示した状況に応じた適切な課金を行うことができる。
【0104】
また、本実施形態では、サイネージ管理データベース(
図7参照)において課金重み付けの項目で設定された係数に基づいて料金を算出する。この課金重み付けでは、サイネージ装置1の位置に応じて、課金に重み付けを行う、すなわち、単価(時間当たりの金額)を変更する。例えば、普段から多数の人物が滞留する場所では、広告効果が大きいため、その他の場所よりも単価を高く設定する、例えば標準の単価の1.5倍に設定する。
図7に示す例では、交差点の付近に位置するA−3,A−6,B−1のサイネージ装置1で重み付けの係数が大きく設定されている。
【0105】
次に、サイネージ装置1およびサーバ装置2の動作について説明する。なお、以下には、特定移動体としての広告車両を検知した場合の例について説明するが、広告人物も広告車両と同様のものとして処理すればよい。
【0106】
本実施形態では、広告ジャックの開始タイミングを、トリガーとなる広告車両を検知したときとして、広告車両を検知すると、広告ジャックを開始する。一方、広告ジャックの終了タイミングは、時間制御と検知制御とで異なる。なお、いずれの制御を実施するかはユーザが適宜に選択することができるようにすればよい。
【0107】
時間制御では、広告ジャックの終了タイミングを、予め設定された表示時間(例えば10分間)が経過したときとしており、広告車両を検知してから表示時間が経過すると、広告ジャックを終了する。
【0108】
また、検知制御では、広告ジャックの終了タイミングを、エリア内の全てのサイネージ装置1の撮影画像から広告車両を検知することができなくなったときとしており、広告車両を検知することができなくなると、広告ジャックを終了する。
【0109】
まず、時間制御について説明する。
図10は、時間制御でのサイネージ装置1の動作手順を示すフロー図である。
図11は、時間制御でのサーバ装置2の動作手順を示すフロー図である。
【0110】
図10に示すように、サイネージ装置1では、まず、カメラ12から出力される撮影画像を通信部13からサーバ装置2に送信する(ST101)。次に、サーバ装置2から送信される開始指示を通信部13で受信すると(ST102でYes)、制御部14において、受信した開始指示で指定されたコンテンツの表示を開始する(ST103)。このとき、開始指示を兼ねて配信されるコンテンツを表示させればよいが、事前に配信されたコンテンツの中から、開始指示で指定されたコンテンツを選択してコンテンツを表示するようにしてもよい。
【0111】
そして、サーバ装置2から送信される終了指示を受信しない間は(ST104でNo)、開始指示で指定されたコンテンツの表示が継続される。一方、サーバ装置2から送信される終了指示を受信すると(ST104でYes)、制御部14において、表示中のコンテンツを終了する(ST105)。
【0112】
また、サーバ装置2から送信される開始指示を受信しない場合には(ST102でNo)、通常時のスケジュールに基づくコンテンツを表示し、サーバ装置2から指定されたコンテンツの表示を終了すると(ST105)、通常時のスケジュールに基づくコンテンツに戻る。
【0113】
なお、カメラ12の撮影画像は、表示するコンテンツに関係なく、継続してサーバ装置2に送信される。
【0114】
図11に示すように、サーバ装置2では、まず、サイネージ装置1から送信される撮影画像を通信部21で受信する(ST201)。次に、制御部22において、受信した撮影画像と、顧客管理データベースに登録された特定画像との照合により、特定物検知部25で撮影画像から広告車両を検知できるか否かを判定する(ST202)。
【0115】
ここで、広告車両を検知できた場合には(ST202でYes)、次に、広告車両に対応するコンテンツよりも優先表示されるべき緊急コンテンツを表示中か否かを判定する(ST203)。
【0116】
ここで、緊急コンテンツを表示中でない場合には(ST203でNo)、サイネージ管理データベースを参照して、広告車両が検知された撮影画像の送信元であるサイネージ装置1のサイネージIDから、広告ジャックの対象となるエリアを特定する(ST204)。
【0117】
次に、顧客管理データベースを参照して、検知された広告車両に基づいて、コンテンツ表示条件(予定サイネージ数および表示時間)を取得する(ST205)。また、選択部26において、サイネージ管理データベースを参照して、検知された広告車両に対応するコンテンツを選択し、また、広告ジャックの対象とするエリアに位置するサイネージ装置1を予定サイネージ数分だけ選択する(ST206)。
【0118】
そして、表示制御部27において、選択されたサイネージ装置1に対して、選択されたコンテンツの開始指示を通信部21から送信する(ST207)。このとき、開始指示を兼ねて、選択したコンテンツを配信すればよいが、事前にコンテンツを配信しておいて、開始指示のみを送信するようにしてもよい。
【0119】
次に、表示タイマーによる計時を開始する(ST208)。そして、顧客管理データベースに登録された表示時間が経過すると(ST209でYes)、サイネージ装置1に終了指示を通信部21から送信する(ST210)。
【0120】
また、広告車両を検知できない場合には(ST202でNo)、特別な処理は行われない。また、緊急コンテンツを表示中である場合には(ST203でYes)、特別な処理は行われず、そのまま緊急コンテンツの表示を継続する。
【0121】
なお、計時の開始(ST208)から表示時間が経過するまで(ST209でYes)の間に、緊急車両を検知した場合は、計時を一時的に停止して、表示中のコンテンツの中止指示と緊急コンテンツの開始指示とをサイネージ装置1に送信する。これにより、サイネージ装置1では、広告車両に対応する広告コンテンツから緊急コンテンツに切り換えられる。そして、緊急車両を検知することができなくなると、緊急コンテンツの終了指示と中止した広告コンテンツの再開指示とをサイネージ装置1に送信する。これにより、サイネージ装置1では、緊急コンテンツから広告車両に対応する広告コンテンツに切り換えられる。このとき、広告コンテンツが動画であれば、中止した再生位置から継続して再生すればよい。
【0122】
また、本実施形態では、広告車両が検知されると、開始指示をサイネージ装置1に送信し、表示時間が経過すると、終了指示をサイネージ装置1に送信するようにしたが、終了指示の送信を行わず、開始指示を送信する際に、表示時間に関する情報をサイネージ装置1に送信して、サイネージ装置1において、表示タイマーにより表示時間が経過すると、表示を終了するようにしてもよい。この場合、サイネージ装置1から終了報告をサーバ装置2に送信するようにするとよい。
【0123】
次に、検知制御について説明する。
図12は、検知制御時のサイネージ装置1の動作手順を示すフロー図である。
図13は、検知制御時のサーバ装置2の動作手順を示すフロー図である。
【0124】
図12に示すように、サイネージ装置1では、
図10に示した例と同様に、カメラ12から出力される撮影画像を通信部13からサーバ装置2に送信し(ST101)、サーバ装置2から送信される開始指示を通信部13で受信すると(ST102でYes)、制御部14において、コンテンツの表示を開始する(ST103)。そして、自身のサイネージIDと表示開始時刻を含む開始報告を通信部13からサーバ装置2に送信する(ST121)。
【0125】
また、サーバ装置2から送信される終了指示を通信部13で受信すると(ST104でYes)、制御部14において、表示中のコンテンツを終了する(ST105)。そして、自身のサイネージIDと表示終了時間を含む終了報告を通信部13からサーバ装置2に送信する(ST122)。
【0126】
図13に示すように、サーバ装置2では、まず、
図11に示した例と同様の処理(ST201〜ST207)が行われる。
【0127】
そして、サイネージ装置1から送信される開始報告を通信部21で受信すると(ST221)、次に、サーバ装置2で指定したコンテンツを表示中のすべてのサイネージ装置1から送信される撮影画像から広告車両を検知できなくなったか否かを判定する(ST222)。
【0128】
ここで、広告車両を検知できる場合には(ST222でNo)、特別な処理は行わず、サイネージ装置1では継続してコンテンツが表示される。一方、広告車両を検知できなくなった場合には(ST222でYes)、コンテンツの表示を終了させるサイネージ装置1を選択して、そのサイネージ装置1に通信部21から終了指示を送信する(ST223)。
【0129】
次に、サイネージ装置1から送信される終了報告を通信部21で受信すると(ST224)、開始報告および終了報告に含まれるサイネージID、表示開始時間および表示終了時間を取得して、これらの情報を会計管理データベースに登録する(ST225)。
【0130】
このようにして、課金に必要な情報が会計管理データベースに登録されると、適宜なタイミングで、あるいはユーザの操作に応じて、会計管理部28において、表示開始時間および表示終了時間からコンテンツの表示時間を算出して、その表示時間に基づいて料金を算出する。
【0131】
次に、複数の広告車両が重複して検知された場合について説明する。
【0132】
本実施形態では、エリア単位またはグループ単位で広告ジャックが実施される。このため、1つのサイネージ装置1の撮影画像から複数の広告車両が検知された場合はもとより、同一のエリアまたはグループに含まれる複数のサイネージ装置1のいずれかの撮影画像から複数の広告車両が検知された場合にも、複数の広告車両にそれぞれ対応するコンテンツのいずれをサイネージ装置1に表示させればよいか判断できない。
【0133】
そこで、本実施形態では、複数の広告車両が検知された場合に、以下に説明するように、先行優先制御、エリア分割制御、順次選択制御、時間配分制御、および顧客属性制御のいずれかを実施することができる。なお、いずれの制御を実施するかはユーザが適宜に選択することができるようにすればよい。
【0134】
先行優先制御では、先に検知された広告車両を優先する。この場合、後から別の広告車両が検知されても、先に検知された広告車両に対応するコンテンツを、対象となるエリアの全てのサイネージ装置1に表示させた状態が継続される。
【0135】
エリア分割制御では、対象となるエリアを複数の分割エリアに分割して、各分割エリア内のサイネージ装置1に、先に検知された広告車両に対応するコンテンツと、後から検知された広告車両に対応するコンテンツとを割り振る。このエリア分割制御は、複数の広告車両が離れて存在する場合や走行する車線が異なる場合に有効である。
【0136】
ここで、先に検知された特定車両と後から検知された特定車両とで走行する車線が異なる場合には、車線ごとに設定されたグループ単位で、先に検知された特定車両に対応するコンテンツと、後から検知された特定車両に対応するコンテンツとを割り振る。この場合、一方の特定車両が走行する車線に近いグループのサイネージ装置1に、一方の特定車両に対応するコンテンツを表示させ、他方の特定車両が走行する車線に近いグループのサイネージ装置1に、他方の特定車両に対応するコンテンツを表示させる。
【0137】
一方、先に検知された特定車両と後から検知された特定車両とで走行する車線が同一である場合には、先に検知された特定車両の前方にあるサイネージ装置1には、先に検知された特定車両に対応するコンテンツを表示させ、先に検知された特定車両の後方にあるサイネージ装置1には、後から検知された特定車両に対応するコンテンツを表示させるようにしてもよい。
【0138】
順次選択制御では、複数のサイネージ装置1に、順次、複数の広告車両にそれぞれ対応する複数のコンテンツを割り振る。すなわち、道路に沿って1方向に並んで設置された複数のサイネージ装置1に、先に検知された広告車両に対応するコンテンツと、後から検知された広告車両に対応するコンテンツとを交互に割り振る。この場合、隣り合う2つのサイネージ装置1で異なるコンテンツが表示される。この順次選択制御は、複数の広告車両が近くに存在する場合に有効である。
【0139】
時間配分制御では、複数の広告車両にそれぞれ対応する複数のコンテンツを時間配分し、各サイネージ装置1で、複数の広告車両に対応する異なるコンテンツを順番に表示する。すなわち、1台のサイネージ装置1で、先に検知された広告車両に対応するコンテンツと、後から検知された広告車両に対応するコンテンツとを、所定の時間(例えば5秒間)で交互に表示する。この時間配分制御は、複数の広告車両が近くに存在する場合に有効である。
【0140】
顧客属性制御では、顧客の属性に応じて広告車両に優先度を設定して、優先度が高い広告車両を優先する。例えば、契約料が高い顧客の広告車両に優先度を高く設定する。この場合、後から検知された広告車両が検知されても、その広告車両より先に検知された広告車両の優先度が高い場合には、先に検知された広告車両に対応するコンテンツを、エリアの全てのサイネージ装置1に表示させた状態が継続される。一方、先に検知された広告車両より後から検知された広告車両の優先度が高い場合には、エリアの全てのサイネージ装置1において、表示されるコンテンツが、後から検知された広告車両に対応するものに切り換えられる。
【0141】
このような、複数の広告車両が重複して検知された制御では、複数の広告車両の重複状態が解消される、すなわち、1つの広告車両のみしか検知できなくなると、対象となるエリアの全てのサイネージ装置1に、検知できる広告車両に対応するコンテンツを表示させる。このとき、エリア内の全部または一部のサイネージ装置1では、表示するコンテンツが切り換えられる場合がある。
【0142】
次に、複数の広告車両が検知された場合におけるサーバ装置2の動作手順について説明する。
図14は、複数の広告車両が重複して検知された場合におけるサーバ装置2の動作手順を示すフロー図である。
【0143】
サーバ装置2では、まず、
図11に示した例と同様の処理(ST201〜ST205)が行われる。
【0144】
そして、制御部22において、広告ジャックの対象となるエリアで既に広告ジャックを実施中か否かを判定する(ST231)。ここで、既に広告ジャックを実施中でない場合には(ST231でNo)、
図11に示した例と同様の処理(ST206〜ST210)が行われる。
【0145】
一方、既に広告ジャックを実施中である場合には(ST231でYes)、選択部26において、重複時の選択条件に基づいて、後から検知された広告車両に対応するコンテンツを表示させるサイネージ装置1を選択するとともに、先に検知された広告車両に対応するコンテンツを表示させるサイネージ装置1を選択し直す。すなわち、広告ジャックの対象となるエリアに位置する複数のサイネージ装置1に、先に検知された広告車両に対応するコンテンツと、後から検知された広告車両に対応するコンテンツとのいずれかを割り振る(ST232)。
【0146】
ここで、複数の広告車両が検知されたときの制御には、前記のように、先行優先制御、エリア分割制御、順次選択制御、時間配分制御、および顧客属性制御があり、各々の制御に応じた選択条件に基づいて、各広告車両に対応するコンテンツを表示させるサイネージ装置1を選択する。なお、先行優先制御では、後から検知された広告車両に対応するコンテンツを表示させるサイネージ装置1は選択されない。また、顧客属性制御では、先に検知された広告車両に対応するコンテンツと、後から検知された広告車両に対応するコンテンツとのいずれかの一方のみを表示させるサイネージ装置1が選択される。
【0147】
次に、選択されたサイネージ装置1に対して、選択されたコンテンツの開始指示を送信する(ST207)。このとき、表示させるコンテンツが、先に検知された広告車両に対応するものから、後から検知された広告車両に対応するものに変更されたサイネージ装置1では、表示させるコンテンツを切り換える切換指示が送信される。
【0148】
以降の処理(ST208〜ST210)は、
図11に示した例と同様である。
【0149】
なお、
図14には、
図11に示した例と同様に、時間制御の場合を示したが、
図13に示した例と同様に、検知制御の場合には、
図13に示した例と略同様の手順で行えばよいが、この場合、一方の広告車両を検知できなくなると、他方の広告車両に対応するコンテンツのみをサイネージ装置1に表示させるように、サイネージ装置1に切換指示が送信される。
【0150】
また、ここでは主に、先に検知された広告車両と後から検知された広告車両との2つの広告車両が検知された場合について説明したが、広告車両が3つ以上検知される場合も同様の手順で行えばよい。
【0151】
また、以上のサイネージ装置1およびサーバ装置2の動作の説明では、特定移動体としての広告車両(広告人物も同様)を検知した場合について説明したが、緊急車両を検知した場合の制御は、検知制御(
図13参照)となり、トリガーとなる緊急車両を検知すると、緊急コンテンツによるジャックを開始し、エリア内の全てのサイネージ装置1の撮影画像から緊急車両を検知することができなくなると、緊急コンテンツによるジャックを終了する。
【0152】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図15は、第2実施形態に係るサイネージ装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0153】
第1実施形態では、カメラ12の撮像画像と特定画像との照合により特定車両を検知するようにしたが、本実施形態では、特定車両4から送信されるビーコン信号に基づいて特定車両を検知する。
【0154】
特定車両4は、特定車両4であることを示すビーコン信号を送信するビーコン送信部41を備えている。一方、サイネージ装置1は、特定車両4から送信されるビーコン信号を受信するビーコン受信部16を備えている。ビーコン信号には移動体ID(特定車両4の識別情報)が含まれ、サーバ装置2では、サイネージ装置1で受信した信号情報と、顧客管理データベースに登録された移動体IDとを照合して、特定車両4を検知する。
【0155】
この場合、ビーコン信号の通信には、適宜な無線通信を用いればよく、近距離通信、例えばWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)を用いるようにしてもよい。また、電波の他に赤外線などを用いて通信を行うようにしてもよい。
【0156】
なお、歩道側に存在する特定人物を検知するためにカメラ12が必要であるが、この場合、歩道側のみ撮影すればよいため、カメラ12に全方位カメラを採用しなくてもよい。
【0157】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図16は、第3実施形態に係るサーバ装置2の概略構成を示すブロック図である。
【0158】
第1実施形態では、サーバ装置2において、サイネージ装置1のカメラ12による撮影画像をサイネージ装置1から取得して、その撮影画像における歩道側の画像領域から特定人物を検知するようにしたが、本実施形態では、サイネージ装置1から取得した撮影画像から、サイネージ装置1の周辺における人物の滞留状況に関する滞留情報を取得する。
【0159】
サーバ装置2の制御部22は、滞留情報取得部29を備えている。この滞留情報取得部29は、サイネージ装置1から取得した撮影画像から、サイネージ装置1の周辺に滞留する人物を検出して、その人物検出結果に基づいて、サイネージ装置1の周辺における人物の滞留状況に関する滞留情報を取得する。本実施形態では、滞留情報として、滞留人数(検出された人物の人数)、および滞留時間(検出された人物がサイネージ装置1の周辺に滞留している時間)を取得する。
【0160】
ここで、サイネージ装置1のカメラ12で撮影された撮影画像は、所定の周期で定期的にサイネージ装置1からサーバ装置2に送信される。したがって、サーバ装置2では、常時、最新の滞留情報(滞留人数および滞留時間)をサイネージ装置1ごとに取得することができる。
【0161】
このようにして取得した滞留情報(滞留人数および滞留時間)は、以下に示すように、様々な用途に用いることができる。
【0162】
まず、サイネージ装置1ごとの現在の滞留人数に基づいて、周辺により多くの人物が滞在するサイネージ装置1を特定して、そのサイネージ装置1の位置情報を、セルラー通信などの適宜な通信媒体を用いて、広告車両に搭載された車載端末装置や、運転手が所持する携帯端末装置に送信することで、人物が多く滞在するエリアに広告車両を誘導することができる。この場合、車載端末装置や携帯端末装置のアドレスを通知先として顧客管理データベース(
図8参照)に登録しておけばよい。
【0163】
この場合、多くの人物が滞在するサイネージ装置1の位置情報を車載端末装置からカーナビゲーション装置に出力して、カーナビゲーション装置において、目的地となるサイネージ装置1までの経路を案内するようにしてもよい。また、滞留人数が多いサイネージ装置1を複数選択して、その複数のサイネージ装置1の位置情報を車載端末装置からカーナビゲーション装置に出力して、カーナビゲーション装置において、多くの人物が滞在するサイネージ装置1の近傍を順に通過する経路を案内するようにしてもよい。
【0164】
また、サイネージ装置1の周辺における滞留人数が多い場合や滞留時間が長い場合には、サイネージ装置1で表示されるコンテンツの広告効果が大きくなる。そこで、滞留人数および滞留時間に基づいて、広告効果の大小を表す評価情報を出力する。例えば、評価情報として、課金の重み付けに関する係数を出力する。これにより、広告効果に応じて課金に重み付けを行うことができる。また、滞留情報(滞留人数や滞留時間)や評価情報を顧客に提供するようにしてもよい。
【0165】
なお、本実施形態では、カメラ12による撮影画像から、サイネージ装置1の周辺に滞留する人物を検出するようにしたが、このカメラ12の代わりに、人物を検知するレーダーを設けるようにしてもよい。なお、レーダーは、単に人物と想定される動体を検出するだけであり、滞留情報の取得に利用することができるが、特定人物(広告用のコスチュームや着ぐるみを着用した人物)を検知するにはカメラが必要である。
【0166】
また、本実施形態では、サーバ装置2において、サイネージ装置1のカメラ12による撮影画像をサイネージ装置1から取得して、その撮影画像に対して人物検出を行って滞留情報(滞留人数や滞留時間)を取得するようにしたが、サイネージ装置1において、撮影画像に対して人物検出を行って、その人物検出結果をサーバ装置2に提供したり、人物検出結果から求められる滞留情報をサーバ装置2に提供したりするようにしてもよい。
【0167】
ところで、クーポン(各種の料金の割引や特典の付与)などに関する情報を含むプッシュ通知を、サイネージ装置1の周辺に存在する携帯端末装置に送信するようにしてもよい。このプッシュ通知は、サーバ装置2から送信するようにしてもよく、また、サイネージ装置1から送信するようにしてもよい。これにより、サイネージ装置1の周辺に滞留して、サイネージ装置1に表示されるコンテンツを見た人物に、そのコンテンツに関する詳細な情報を提供することができる。
【0168】
また、サイネージ装置1に、光ID信号(可視光信号)を送信する光ID通信部を設けて、サイネージ装置1の周辺に滞留する人物が、携帯端末装置のカメラをサイネージ装置1に向けることで、広告情報を取得することができるようにしてもよい。光ID信号には、詳細な広告情報を提示するWebサイトのURL情報が含まれており、携帯端末装置で光ID信号を受信すると、Webサイトの画面が表示される。これにより、サイネージ装置1に表示されるコンテンツに関心を示した人物が、詳細な広告情報を閲覧することができる。
【0169】
この場合、Webサイトへのアクセス数で、光ID信号の受信数を把握することができ、この光ID信号の受信数により、サイネージ装置1に表示されるコンテンツの広告効果を把握することができる。また、Webサイトにアクセスした際に、携帯端末装置の位置情報をWebサーバに送信することで、光IDを受信したサイネージ装置1を特定することができ、これにより、サイネージ装置1ごとの広告効果を把握することができ、さらに、広告効果に応じて課金に重み付けを行うことができる。
【0170】
また、Webサイトでは、サイネージ装置1に表示されるコンテンツに関連する詳細な広告情報などを表示すればよいが、ジャックが実施されているエリアをWebサイトで提示して、ジャックが実施されているエリアに人物を誘導するようにしてもよい。
【0171】
また、携帯端末装置で光ID信号を受信した人物を対象にして抽選で景品を提供するようにしてもよい。この場合、Webサイトにアクセスした際に、携帯端末装置の端末IDを取得することで、Webサイトから退出した後に抽選の当落を携帯端末装置に通知することができる。また、Webサイトにアクセスした際に、その場で抽選を行って抽選の当落を携帯端末装置に表示するようにしてもよい。
【0172】
なお、広告車両に、光ID信号(可視光信号)を送信する光ID通信部を設けるようにしてもよい。
【0173】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0174】
例えば、前記の実施形態では、ジャックを開始するトリガーとなる特定物を、特定移動体(特定車両や特定人物)としたが、特定物はこのような移動体に限定されない。例えば、ビルの壁面に設置された大型ビジョンに特定物が表示されると、その大型ビジョンに表示された特定物に対応するコンテンツが、大型ビジョンの周辺に設置されたサイネージ装置1で一斉に表示されるようにしてもよい。
【0175】
また、前記の実施形態では、特定移動体として、特定車両や特定人物の例について説明したが、特定移動体はこのような道路上の移動体に限定されない。例えば、飛行船やドローンなどの飛行体を特定移動体としてもよい。
【0176】
また、前記の実施形態では、サイネージ装置1でのコンテンツの表示を制御する制御装置として、サイネージ装置1とネットワークを介して接続されたサーバ装置2の例について説明したが、所定の範囲内に位置する複数のサイネージ装置1の1つが制御装置となり、サイネージ装置1を相互に接続して、同一のコンテンツを表示する連携動作を複数のサイネージ装置1に行わせるようにしてもよい。
【0177】
また、前記の実施形態では、センサー情報として、サイネージ装置1の周辺をカメラで撮影した撮影画像や、特定移動体から送信される信号の例について説明したが、センサー情報はこれらに限定されない。例えば、特定移動体から出力される音声をセンサー情報として検出するようにしてもよい。