(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記箱体は、前記上部箱体の奥行よりも前記下部箱体の奥行が小さい奥行相違構造を有し、かつ前記上部箱体における正面側部分よりも前記下部箱体における正面側の下部正面パネルが後退し、該下部正面パネルの手前側に高圧キャビネットを収容し得る大きさのキャビネットスペースが設けられている請求項1記載のキュービクル式受変電設備。
前記箱体は、前記上部箱体の奥行よりも前記下部箱体の奥行が小さい奥行相違構造を有し、かつ前記上部箱体における前記正面扉よりも前記下部箱体における正面側の下部正面パネルが後退し、さらに、高圧キャビネットが固定されるキャビネット台座部を有するベース台座に前記下部箱体が固定されたときに、前記高圧キャビネットを収容し得る大きさのキャビネットスペースが、前記上部箱体における前記底部の下側であって、前記キャビネット台座部の上側であり、かつ前記下部正面パネルの手前側に設けられる請求項1記載のキュービクル式受変電設備。
前記箱体は、前記上部箱体の奥行よりも前記下部箱体の奥行が小さい奥行相違構造と、前記上部箱体と前記下部箱体とが前記開口部を介して連通している上下連通構造とを有し、かつ前記負荷開閉器または遮断器と、前記変圧器とともに計器用変流変圧器が収容され、
前記上部箱体は、前記開口部に前記計器用変流変圧器が固定されるVCT台座が形成され、かつ該VCT台座に前記計器用変流変圧器が固定され、
前記下部箱体は、正面側に配置されている下部正面パネルを有し、該下部正面パネルの手前側で、かつ前記底部の下側に高圧キャビネットの外形寸法に応じたキャビネットスペースが設けられ、かつ該キャビネットスペースに臨む前記下部正面パネルの手前側に前記高圧キャビネットが固定されるキャビネット台座部が配置され、さらに該キャビネットスペースの背面側に前記変圧器が収容されている請求項1記載のキュービクル式受変電設備。
前記キャビネット台座部に前記高圧キャビネットが固定されることによって、該高圧キャビネットが組み込まれたキャビネット組込構造を有する請求項4または5記載のキュービクル式受変電設備。
前記下部箱体の側面に下部側面扉が形成され、かつ前記VCT台座に応じた大きさの上部側面扉が前記上部箱体の側面における前記VCT台座に応じた位置に配置されている請求項5記載のキュービクル式受変電設備。
前記下部箱体に前記変圧器および低圧設備が収容され、前記上部箱体に前記負荷開閉器または遮断器を含む高圧設備が収容された設備の区分け収容構造を有する請求項1〜7のいずれか一項記載のキュービクル式受変電設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のキュービクル式受変電設備では、キュービクルの中に変圧器(トランス)に加え、各種の設備、例えば、LBS(高圧交流負荷開閉器)または遮断器(例えば、VCB(真空遮断器))と、VCT(計器用変圧変流器)またはCT(変流器)、VT(計器用変圧器)といった設備が設置されなければならなかった。
【0008】
この点、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されているキュービクル式受変電設備のように、変圧器と、VCTやLBSといった変圧器以外の各種設備とがキュービクルの中で高さ方向に並べられると、キュービクル式受変電設備の設置スペースをいっそう省力化できるのではないかと考えられる。
【0009】
しかし、このような従来のキュービクル式受変電設備では、次のような課題が解決されていなかった。キュービクル式受変電設備において、内部設備の点検や交換はキュービクル前面(または側面)の開閉扉を通して行わねばならなかった。とりわけ、変圧器の点検・交換作業では、前面(または側面)の開閉扉を開放して、変圧器をキュービクルの外に運び出す必要があった。
【0010】
ところが、変圧器の重量が数100kgにもなるため、変圧器の点検・交換作業では、重量物の運搬労力を提供する特別の作業員を確保しなければならなかった。それが不可能の場合は、キュービクルの上面部を外した上で、クレーンを用いて変圧器を吊り上げる必要がある。この場合、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されているキュービクル式受変電設備では、キュービクルの内側において、VCTやLBSといった各種設備が変圧器の上側に配置されている。そのため、各種設備につながる配線をはずした上で、いったんその各種設備をキュービクルの外に運び出し、その後、クレーンを用いて変圧器を吊り上げなければならなかった。したがって、特許文献1、特許文献2に開示されているキュービクル式受変電設備では、保守・点検作業に非常に時間がかかり、手間もかかるという課題があった。
【0011】
このように、従来、キュービクル式受変電設備において、設置スペースを省力化することだけではなく、それに加えて、保守・点検作業に要する負担をできるだけ軽減することが望まれ、係るキュービクル式受変電設備に潜在的な需要があると考えられていた。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、設置スペースを省力化することだけではなく、それに加えて保守・点検作業に要する負担軽減を実現できるようにしたキュービクル式受変電設備およびそれに用いられるキュービクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、金属製の箱体に、少なくとも負荷開閉器または遮断器と、変圧器とが収容されているキュービクル式受変電設備であって、箱体は、下部箱体の上に上部箱体が重なり、かつその下部箱体とその上部箱体とが着脱可能な二層構造を有し、下部箱体は、上部が開放された開口部として形成され、かつ内側に変圧器が収容され、上部箱体は、負荷開閉器または遮断器が内側に固定され
、上部箱体は、正面側に正面扉が設けられ、かつ正面側に配置されている底部と、その底部の背面側に配置されている開口部とを備えた部分有底構造を有するキュービクル式受変電設備を特徴とする。
【0014】
また、本発明は、金属製の箱体に、少なくとも負荷開閉器または遮断器と、変圧器とが収容されているキュービクル式受変電設備であって、箱体は、下部箱体の上に上部箱体が重なり、かつその下部箱体とその上部箱体とが着脱可能な二層構造を有し、下部箱体は、上部が開放された開口部として形成され、かつ内側に変圧器が収容され、上部箱体は、負荷開閉器または遮断器が内側に固定され、箱体は、上部箱体の奥行よりも下部箱体の奥行が小さい奥行相違構造を有し、かつ上部箱体における正面側部分よりも下部箱体における正面側の下部正面パネルが後退し、その下部正面パネルの手前側に高圧キャビネットを収容し得る大きさのキャビネットスペースが設けられているキュービクル式受変電設備を提供する。
【0015】
また、箱体は、上部箱体の奥行よりも下部箱体の奥行が小さい奥行相違構造を有し、かつ上部箱体における正面側部分よりも下部箱体における正面側の下部正面パネルが後退し、その下部正面パネルの手前側に高圧キャビネットを収容し得る大きさのキャビネットスペースが設けられていることが好ましい。
【0016】
さらに、箱体は、上部箱体の奥行よりも下部箱体の奥行が小さい奥行相違構造を有し、かつ上部箱体における正面扉よりも下部箱体における正面側の下部正面パネルが後退し、さらに、高圧キャビネットが固定されるキャビネット台座部を有するベース台座に下部箱体が固定されたときに、高圧キャビネットを収容し得る大きさのキャビネットスペースが、上部箱体における底部の下側であって、キャビネット台座部の上側であり、かつ下部正面パネルの手前側に設けられることが好ましい。
【0017】
さらにまた、箱体は、上部箱体の奥行よりも下部箱体の奥行が小さい奥行相違構造と、上部箱体と下部箱体とが開口部を介して連通している上下連通構造とを有し、かつ負荷開閉器または遮断器と、変圧器とともに計器用変流変圧器が収容され、上部箱体は、開口部に計器用変流変圧器が固定されるVCT台座が形成され、かつそのVCT台座に計器用変流変圧器が固定され、下部箱体は、
正面側に配置されている下部正面パネルを有し、その下部正面パネルの手前側で、かつ底部の下側に高圧キャビネットの外形寸法に応じたキャビネットスペースが設けられ、かつそのキャビネットスペースに臨む下部正面パネルの手前側に高圧キャビネットが固定されるキャビネット台座部が配置され、さらにそのキャビネットスペースの背面側に変圧器が収容されていることが好ましい。
【0018】
上記キュービクル式受変電設備は、キャビネット台座部に高圧キャビネットが固定されることによって、その高圧キャビネットが組み込まれたキャビネット組込構造を有するようにすることができる。
【0019】
また、下部箱体の側面に下部側面扉が形成され、かつVCT台座に応じた大きさの上部側面扉が上部箱体の側面におけるVCT台座に応じた位置に配置されているようにすることができる。
【0020】
上記キュービクル式受変電設備は、下部箱体に変圧器および低圧設備が収容され、上部箱体に負荷開閉器または遮断器を含む高圧設備が収容された設備の区分け収容構造を有することが好ましい。
【0021】
そして、本発明は、少なくとも負荷開閉器または遮断器と、変圧器とが収容されているキュービクル式受変電設備を構成するキュービクルであって、そのキュービクルは、下部箱体の上に上部箱体が重なり、かつその下部箱体とその上部箱体とが着脱可能な二層構造を有し、その下部箱体は、上部が開放された開口部として形成され、かつ変圧器が固定されるトランス台座が内側に形成され、上部箱体は、正面側に正面扉が設けられ、かつ正面側に配置されている底部と、その底部の背面側に配置されている開口部とを備えた部分有底構造を有するキュービクルを提供する。
【発明の効果】
【0022】
以上詳述したように、本発明によれば、設置スペースを省力化することだけではなく、それに加えて、保守・点検作業に要する負担軽減を実現できるようにしたキュービクル式受変電設備およびそれに用いられるキュービクルが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0025】
(キュービクル式受変電設備の構成)
まず、本発明の実施の形態に係るキュービクル式受変電設備101の構成について、
図1〜
図9を参照して説明する。ここで、
図1は、キュービクル式受変電設備101の正面図、
図2は右側面図、
図3は左側面図である。
図4は、キュービクル式受変電設備101の上部箱体31の正面扉開放状態を示す斜視図、
図5は
図4の5−5線断面図、
図6は上部箱体31と、下部箱体1の要部を示す斜視図である。
【0026】
キュービクル式受変電設備101は、
図1〜
図6に示されているキュービクル100と、
図7〜
図9に示されているように、そのキュービクル100内に収容されている変圧器51、高圧交流負荷開閉器(LBS)65と、VCT(計器用変圧変流器)61といった受変電設備とを有している。図示したキュービクル式受変電設備101は、PF−S形(パワーヒューズ・スイッチ形)であり、キュービクル100内には、高圧の負荷電流の開閉を行う主遮断装置として、高圧交流負荷開閉器(LBS)65が収容されている。
【0027】
キュービクル100は、
図1〜
図3に示すように、金属製の箱体であって、下部箱体1と上部箱体31とを有している。下部箱体1の底部に配置された底部台座5がベース台座90に固定され、上部箱体31の上部には着脱可能な天井パネル91が取り付けられている。キュービクル100は、下部箱体1の上に上部箱体31が重なり、かつ下部箱体1と上部箱体31とが着脱可能な二層構造を有している。
【0028】
また、キュービクル100は、
図2に詳しく示すように、上部箱体31の奥行D31よりも下部箱体1の奥行D1が小さい構造(奥行相違構造)を有している。
【0029】
キュービクル式受変電設備101は設備の区分け収容構造を有している。この区分け収容構造は、下部箱体1の内側に変圧器1のほかに主に低圧設備が収容され、上部箱体31の内側に主に高圧設備が収容されていることによって、キュービクル100に収容されている受変電設備が下部と上部の2つに区分けされている構造を意味している。本実施の形態において、低圧設備は、後述するLCユニット56や、MCCB(配線用遮断器)74といった低圧(100ボルトまたは200ボルト)で作動させる設備に相当する。高圧設備とは、VCT61、電力量計63、高圧交流負荷開閉器(LBS)65、避雷器67といった高圧(6600ボルト)で作動させる設備に相当する。
【0030】
下部箱体1は、下部正面パネル2と、下部右側面扉3と、下部左側面扉4と、底部台座5と、背面パネル6とを有している。下部正面パネル2と、背面パネル6は金属板状のパネル体であり、箱体を構成している図示しない金属フレームに溶接等によって固定されている。その下部正面パネル2の下部右側面扉3側に正面右扉2bが設けられ、上部箱体31側に正面上扉2c、2dが設けられている。また、下部箱体1は、上部(上部箱体31に最も近い部分)が開放された(閉鎖されていない)上部開口部1a(
図6参照)となっている。この上部開口部1aと、上部箱体31の後述する下部開口部38とを介して、下部箱体1の内部と上部箱体31の内部とが連通している。下部箱体1の内部と上部箱体31の内部が双方の開口部を介して連通している構造が上下連通構造に相当する。
【0031】
そして、下部正面パネル2が後述する上部正面右扉32,上部正面左扉33よりも、背面パネル6側に(後述する底板36の奥行に相当する大きさで)後退した位置に配置されている。また、
図2に示すように、底部台座5がベース台座90に固定されたときに、底板36の下側であって、ベース台座90(後述するキャビネット台座部90a)の上側であり、かつ下部正面パネル2の手前側に空間が設けられる。その空間は、高圧キャビネット120を収容し得る大きさのキャビネットスペース12となっている。キャビネットスペース12は、高圧キャビネット120の外形寸法と同等ないし幾分大きな大きさを有するため、
図2、
図3に想像線で示すように、高圧キャビネット120が配置される。その背面側の下部箱体1の中に変圧器51が収容されている。
【0032】
底部台座5は、複数のC形チャネル材をくみ上げて形成され、下部箱体1の底部を構成している。その各C形チャネル材には、
図2に示すように複数の換気孔5bが形成されている。底部台座5は、ベース台座90に固定される。また、底部台座5には、平板状のトランス台座5c(
図7参照)が下部箱体1の内側に固定されている。そのトランス台座5cに変圧器51が固定されている。底部台座5には図示しないケーブルホールが確保され、その中に後述する高圧ケーブル52と低圧ケーブル72が挿通されている。
【0033】
ベース台座90も、複数のC形チャネル材をくみ上げて形成されている。ベース台座90は、キャビネット台座部90aを有している。キャビネット台座部90aは、前述のようにして底部台座5がベース台座90に固定されたときの下部正面パネル2の手前側に配置される部分である。そのキャビネット台座部90aに高圧キャビネット120が固定される。そして、高圧キャビネット120がキャビネット台座部90aに固定されることによって、キュービクル式受変電設備101は、高圧キャビネットが組み込まれたキャビネット組込構造(キャビネットビルトイン構造)を備えることになる。
【0034】
下部右側面扉3と、下部左側面扉4は、それぞれ下部箱体1の正面からみて右側、左側に配置されている。下部右側面扉3と、下部左側面扉4は、それぞれ金属フレームの右側面部9a,9bに開閉自在に装着されている。また、それぞれのドアハンドル3a、4aの操作によって、それぞれの図示しない係合部が作動し、その係合部が金属フレームの図示しない係止穴に係合する。下部右側面扉3と下部左側面扉4は、ともに二つ折り構造を有していて、開放する際に幅方向中央部分で二つ折りになる。
【0035】
下部右側面扉3または下部左側面扉4が開放されると、
図8に示すように、下部箱体1の側面開口部3bが現れる。その側面開口部3bを通じて変圧器51と、LCユニット56やMCCB(配線用遮断器)74といった低圧設備が視認される。
【0036】
そして、
図6に示すように、下部箱体1の金属フレーム上面の正面側、背面側および左右両側面側にそれぞれ張出部10が形成されている。各張出部10は、下部箱体1の内側に向かって張り出した小突起部である。各張出部10にはボルト孔10aが形成されている。また、各張出部10を含む金属フレーム上面にゴム等からなる防水パッキン11が固着されている。また、金属フレーム上面の左右両側面側に吊り上げフック10bが形成されている。
【0037】
上部箱体31は、上部正面右扉32,上部正面左扉33と、上部右側面扉34と、上部左側面扉35と、右側面パネル35c、左側面パネル35dと、底板36と、VCT台座37と、設備固定部材39a、39bと、背面パネル40とを有している。上部箱体31は、底板36が底部となり、その背面側が下部開口部38になっていることによる部分有底構造を有している。右側面パネル35c、左側面パネル35dと、背面パネル40とは金属板状のパネル体であり、箱体を構成している金属フレーム45に溶接等によって固定されている。右側面パネル35c、左側面パネル35dには、開口部35eが形成されている。開口部35eは,
図8に示すように、上部左側面扉35を開放したときに現れる。図示はされていないが、上部右側面扉34を開放したときも開口部35eが現れる。
【0038】
上部正面右扉32と、上部正面左扉33とは、それぞれ上部箱体31の正面からみて右側、左側に配置されている。上部正面右扉32と、上部正面左扉33とは、金属フレーム45の正面部44に開閉自在に装着されている。それぞれのドアハンドル32a、33aの操作によって、それぞれの図示しない係合部が作動し、その係合部が金属フレーム45の係止穴44bに係合する。上部正面右扉32と、上部正面左扉33には、それぞれ監視窓43a、43bが形成されている。
【0039】
上部右側面扉34と、上部左側面扉35は、金属フレーム45に開閉自在に装着されている。また、それぞれのドアハンドル34a、35aの操作によってそれぞれの図示しない係合部が作動し、その係合部が金属フレームの図示しない係止穴に係合する。上部右側面扉34と上部左側面扉35は、ともに二つ折り構造を有していて、開放する際に幅方向中央部分で二つ折りになる。上部右側面扉34と、上部左側面扉35は、後述するVCT台座37の長さ(正面側から背面側に向かう方向の長さ)に応じた横幅であって、VCT台座37に応じた大きさを有し、VCT台座37の固定位置に応じた位置に配置されている。
【0040】
そして、上部箱体31は、
図4に示すように、右側面パネル35c、左側面パネル35dの底部正面側に底板36が固定されている(
図4のドットを付した部分)。底板36の背面側は、開放状態の下部開口部38になっていて、その下部開口部38の上部左側面扉35側の位置にVCT台座37が形成されている。また、底板36に設備固定部材39a,39bが固定されている。
【0041】
底板36は、上部箱体31の底部の概ね半分ないし4割程度の大きさを有していて、表面が平坦な金属板材であり、上部箱体31の底部を構成している。底板36の左右幅方向の両端部が右側面パネル35cと、左側面パネル35dとに溶接等により固定されている。また、底板36には、通気孔36aが形成されている。こうして、上部箱体31では、底部の正面側部分が概ね閉鎖された(開放されていない)状態の閉鎖底部となっている。
【0042】
VCT台座37は、2本の細長い板材を用いて形成されている。各板材は表面が平坦であり、それぞれの長さ方向両端部が底板36と背面パネル40とに溶接等により固定されている。各板材は、収容されているVCT61の外形寸法に応じた間隔を隔てて配置されている。VCT台座37と、左側面パネル35dとの間、右側面パネル35cとの間は、開放状態の隙間になっている。VCT台座37にはVCT61が固定されている。
【0043】
そして、設備固定部材39a,39bは金属板を折り曲げ、固定板部とそれよりも長さの長い取付板部とを形成した概ねL字状の部材である。設備固定部材39a,39bは、それぞれの取付板部が底板36の概ね垂直方向に起立するように、その固定板部が底板36上に固定されている。設備固定部材39bがVCT台座37の手前側に配置され、その右側に設備固定部材39aが配置されている。
【0044】
設備固定部材39a、39bの取付板部は、上部箱体31の8割程度の高さを有している。設備固定部材39aの取付板部に後述する高圧交流負荷開閉器(LBS)65が固定されている。
【0045】
また、設備固定部材39bの取付板部に電力量計(Wh)63が固定されている。電力量計(Wh)63は監視窓43bを通じて外部から視認される。さらに、底板36には、
図8に示すように、避雷器(LA)67が固定されている。
【0046】
そして、
図6に示したように、上部箱体31の金属フレーム45の底面(下部開口部38を囲む部分)に複数の張出部47が形成されている。各張出部47は、下部箱体1の各張出部10に対応した位置に形成され、各張出部10と同様の小突起部である。各張出部47には、ボルト孔47aが形成されている。そのそれぞれのボルト孔47aと、各張出部10のボルト孔10aとにボルトが挿通、ナットが締結されることによって、下部箱体1と上部箱体31とが固着一体化され、ボルト・ナットを取り外すことによって、上部箱体31と下部箱体1との固着一体化が解除される。
【0047】
続いて、キュービクル100内に収容されている変圧器51と、低圧設備および高圧設備とについて、主に
図7〜
図9を参照して説明する。
図7は、キュービクル100の下部正面パネル2、正面右扉2b、正面上扉2c、2dおよび上部正面右扉32,上部正面左扉33を外して主要部を示したキュービクル式受変電設備101の正面図、
図8は下部左側面扉4および上部左側面扉35を開放して内部の主要部を示したキュービクル式受変電設備101の左側面図、
図9は下部箱体1と上部箱体31との固着一体化を解除して、上部箱体31を天井パネル91とともに吊り上げた状態の一部省略した
図8と同様の左側面図である。
【0048】
図7に示すように、下部箱体1には、地中から
図3に示されたハンドホールHを介して高圧ケーブル(6600ボルト)52が引き込まれる。高圧ケーブル52は、底部台座5の図示しないケーブルホールを介して引き込まれている。なお、
図7では、図示の都合上、高圧ケーブル52が変圧器51の右側に描かれているが、
図8に示すように、高圧ケーブル52は変圧器51の背面側から引き込まれている。変圧器51の右側には、
図7に示すように、各種ブレーカが固定されたブレーカパネル59が配置されている。その正面側に正面右扉2bが配置されているため、正面右扉2bを開放することで各種ブレーカを操作できる。
【0049】
そして、
図8に示すように、高圧リード線57が下部箱体1から上部開口部1aと下部開口部38を通って上部箱体31に入り、その高圧リード線57によって、高圧ケーブル(6600ボルト)52とVCT61の一次側端子61aとが接続されている。また、VCT61の二次側端子61bが高圧リード線62を介してLBS65の図示しない電源側端子に接続されている。また、その電源側端子は、図示しない断路器(DS)を介して避雷器67にも接続されている。なお、VCT61は、7芯ケーブルを介して電力量計63にも接続されている。
【0050】
LBS65では、電力用ヒューズ65aを介して図示しない負荷側端子が形成されているが、その負荷側端子が高圧リード線66に接続されている。高圧リード線66は、上部箱体31から下部開口部38と上部開口部1aを通って下部箱体1に入っている。こうして、高圧リード線66は、LBS65の負荷側端子と変圧器51の高圧側端子51aとを接続している。
【0051】
一方、下部箱体1において、変圧器51の低圧側端子51bが低圧リード線71を介してLCユニット56に接続されている。LCユニット56は、直列リアクトルとコンデンサを一体化した構造の進相装置であって、下部箱体1内に収容されている。また、低圧側端子51bは低圧リード線71を介して、MCCB(配線用遮断器)74、低圧側VT(計器用変成器)およびCT(計器用変流器)75と、ブレーカパネル59(詳しくは各種ブレーカ)にも接続されている。その低圧側電圧計・電流計73および高圧側電圧計69a、高圧側電流計69bの正面側に正面上扉2c,2dが配置される。さらに、MCCB74の出力端子が低圧リード線72に接続されている。低圧リード線72がキュービクル100の外部に接続されている。低圧側電圧計・電流計73、MCCB74、低圧側VT(計器用変圧器)およびCT(計器用変流器)75、ブレーカパネル59、高圧側電圧計69a、高圧側電流計69bはいずれも下部箱体1内に収容されている。
【0052】
そして、以上のようなキュービクル式受変電設備101では、変圧器51の保守・点検、交換作業が次のようにして行われる。
【0053】
まず、上部箱体31に収容されている高圧設備と、下部箱体1に収容されている低圧設備とをつないでいるケーブルをはずす。キュービクル式受変電設備101の場合は、
図9に示すように、少なくとも高圧リード線57、高圧リード線66の接続と、図示しないアース線(接地線)とを外せばよい。
【0054】
キュービクル式受変電設備101は、設備の区分け収容構造を有しているので、上部箱体31と下部箱体1には、それぞれ主に高圧設備、低圧設備が収容されている。これとは異なり、もし、低圧設備が上部箱体31と、下部箱体1の双方に分散して収容されていた、例えば、低圧側電圧計・電流計73が上部箱体31に収容され、MCCB74が下部箱体1に収容されていた場合を考える。すると、その上部箱体31に収容された低圧設備(低圧側電圧計・電流計73)と変圧器51の低圧側端子51bとをつなぐ配線(追加低圧配線ともいう)が必要となり、これは、高圧リード線57、66と同様、上部箱体31、下部箱体1の双方を通る。変圧器51の保守・点検、交換作業では、この追加低圧配線も外す必要があるため、その分、保守・点検作業に時間と手間を要する。
【0055】
しかし、キュービクル式受変電設備101は、追加低圧配線のような配線は不要である。したがって、キュービクル式受変電設備101は、設備の区分け収容構造を有していない場合に比べて、上部箱体31と、下部箱体1との間をつなぐ配線の本数が少なくなっている。
【0056】
すると、例えば、キュービクル式受変電設備101では、
図8、
図9の場合のように、高圧リード線57と、高圧リード線66の接続を外せば、下部箱体1と上部箱体31との電気的な接続が解消され、下部箱体1から上部箱体31を取り外せるようになる。前述したように、キュービクル式受変電設備101は、設備の区分け収容構造を有していることによって、上部箱体31と、下部箱体1との間を往来するケーブル等の本数が必要最小限になっている。そのため、このようなケーブルの切り離しと、接続を元に戻す作業に要する時間と手間を省力化でき。保守・点検作業に要する負担軽減を実現することができる。
【0057】
また、ケーブルの本数が多いと、ケーブルの接続を元に戻す作業の際に、ケーブルを本来とは別の設備に接続するなどしてつなぎ間違いを起こす可能性もある。しかしながら、キュービクル式受変電設備101では、このような間違えを起こす可能性も極めて低くなっている。
【0058】
続いて、上部箱体31の張出部47のボルト孔47aと、下部箱体1の張出部10のボルト孔10aとに挿通されているボルトを外す。その後、天井パネル91の引き上げフック91aにワイヤーを取り付け、図示しないクレーンで上部箱体31を吊り上げる。すると、上部箱体31には、VCT61、電力量計63、LBS65といった高圧設備が収容されているところ、それらがすべて上部箱体31に固定されているので、VCT61等の高圧設備を上部箱体31とともに一度にまとめて別の場所に移動させることができる。こうすると、VCT61、電力量計63、LBS65などを個別に移動させる場合に比べて移動に要する手間と時間を大幅に軽減できる。また、収容されている高圧設備の個数が増えると、それに応じて移動に要する手間と時間が増えるおそれがあるが、その場合でも、キュービクル式受変電設備101では、移動に要する手間と時間は変わらない。
【0059】
続いて、変圧器51につながるケーブルの接続を解除し、ボルトを外す等してトランス台座5cへの固定を解除したうえで、下部箱体1の上部開口部1aからクレーンのフックとワイヤーを落とし込み、そのフックを変圧器51にかけて、変圧器51を吊り上げる。すると、下部箱体1には、上部開口部1aが形成され、上部が開放されているので、変圧器51を下部箱体1の外に運び出すことができる。
【0060】
このように、キュービクル式受変電設備101では、変圧器51の保守・点検交換を行うにあたり、重量物の運搬労力を提供する特別の作業員は不要である。そのうえ、キュービクル式受変電設備101では、キュービクル101が下部箱体1と上部箱体31の2層構造を有し、その上部箱体31の中に高圧設備が収容されているので、その高圧設備を上部箱体31とともに一度にまとめて別の場所に移動させることができる。変圧器51の運び出しの際に邪魔になりそうな設備を事前に移動させることができる。
【0061】
したがって、キュービクル式受変電設備101では、設備の保守・点検作業に要する負担軽減を実現することができる。もちろん、キュービクル式受変電設備101は、キュービクル100が下部箱体1と上部箱体31とが重なった縦型構造を有し、その中で受変電設備が高さ方向に並べられているので、設置スペースを省力化することができる。
【0062】
また、上部箱体31が底板36と下部開口部38とによる部分有底構造を有しているから、高圧設備を上部箱体31の内側に固定して上部箱体31とともに一体的に動かせるようにしながら、下部箱体1との連通を確実に確保できる。それにより、上部箱体31と下部箱体1とが別々の箱体でありながらキュービクル式受変電設備101が上下連通構造を備えることができ、それによって、上部箱体31内の高圧設備と、下部箱体1の低圧設備との接続が確実に得られる。
【0063】
さらに、キュービクル式受変電設備101は、下部正面パネル2の手前側にキャビネットスペース12が設けられ、そのキャビネットスペース12に高圧キャビネット120を配置することができる。
【0064】
従来のキュービクル式受変電設備では、キュービクル式受変電設備の設置スペースとともに、高圧キャビネットの設置スペースも別途確保しなければならなかった。そのため、たとえキュービクル式受変電設備の設置スペースを省力化できたとしても、高圧キャビネットの設置スペースまでも省力化することは不可能であった。
【0065】
これに対し、本発明の実施の形態に係るキュービクル式受変電設備101は、キャビネットスペース12に高圧キャビネット120を配置することができるため、高圧キャビネット120の設置スペースを別途確保する必要がない。そのため、キュービクル式受変電設備101そのもの自体の設置スペースを省力化するだけではなく、高圧キャビネットの設置スペースまでも省力化することができ、キュービクル式受変電設備101、高圧キャビネット120全体の設置スペースを省力化できる。したがって、キュービクル式受変電設備101によって、従来に比べてより一層の設置スペース省力化を実現できる。
【0066】
そのうえ、キュービクル式受変電設備101では、底部台座5がベース台座90に固定されたときに、下部正面パネル2の手前側にキャビネットスペース12が確保され、そのキャビネット台座部90aに高圧キャビネット120を固定して、キャビネットビルトイン構造にすることができる。すると、キュービクル式受変電設備101と高圧キャビネット120とを予めベース台座90に固定しておき、ベース台座90ごとその両者を設置することができる。こうすることで、キュービクル式受変電設備と高圧キャビネットとを別々に設置する場合に比べ、現場での設置作業が省力化されるので、キュービクル式受変電設備101により、現場施工の省力化も実現できる。
【0067】
しかも、キュービクル式受変電設備101のベース台座90への固定状態を解除(底部台座5とベース台座90との固定状態を解除)すれば、高圧キャビネット120を残したままキュービクル式受変電設備101だけを移動させて撤去することもできる。
【0068】
一方、キュービクル式受変電設備101がキャビネットビルトイン構造になった場合、下部正面パネル2の手前側に高圧キャビネット120が配置される。高圧キャビネット120が正面右扉2b、正面上扉2c、2dの正面側に配置されていない(高圧キャビネット120が正面右扉2b、正面上扉2c、2dを避けるようにして配置される)場合には、正面右扉2b、正面上扉2c、2dを通じて下部箱体1内部の保守・点検作業を正面側から行えるが、下部箱体1内部全体の保守・点検作業は困難である。
【0069】
しかし、キュービクル式受変電設備101では、下部箱体1の側面に下部右側面扉3と、下部左側面扉4が配置されているため、それらを開放することで、下部箱体1内部全体の保守・点検作業を行うことができる。また、上部箱体31の側面におけるVCT台座37より(背面パネル40側)に上部右側面扉34と、上部左側面扉35が形成されているから、VCT61の保守・点検・交換作業が簡易に行える。下部右側面扉3と、下部左側面扉4が二つ折り構造を有しているため、キュービクル式受変電設備101の左右外側におけるスペースの余裕が少なくても、下部右側面扉3と下部左側面扉4を開放できる。
【0070】
また、VCT台座37が上部左側面扉35側に寄せて配置されているため、上部左側面扉35のすぐ内側にVCT61が配置される。そのため、電力会社がVCT61を上部箱体31の中に設置する場合や、その保守・点検、交換を行う場合の作業負担を軽減することもできる。
【0071】
一方、キュービクル式受変電設備101がVCT台座37を備えているが、そのVCT台座37が底板36よりも背面パネル40側に配置されている。上部箱体31の中に収容されている高圧設備の中でも、VCT61は外形寸法が比較的大きく、重量は数10kgにもなる。そのため、上部箱体31の中で下部箱体1よりも張り出した部分(底板36が形成されている部分)にVCT61が固定されていると、上部箱体31の中で正面側部分の重量が重くなる。それにもかかわらず、その下側はキャビネットスペース12であるが故に支えがなく、したがって、重量バランスが悪化して、キュービクル100が正面側に傾きやすい。この点、キュービクル式受変電設備101のように、VCT台座37が底板36よりも背面パネル40側に配置され、そこにVCT61が固定されていれば、その下側には下部箱体1の支えがあるため、重量バランスが悪化するおそれはない。
【0072】
(変形例1)
続いて、変形例1にかかるキュービクル式受変電設備201について、
図10〜
図13を参照して説明する。キュービクル式受変電設備201は、キュービクル式受変電設備101と比較して、キュービクル200を有する点で相違している。キュービクル200は、キュービクル100と比較して、下部箱体1、上部箱体31の代わりに下部箱体111、上部箱体131を有する点で相違している、
【0073】
下部箱体111は、下部箱体1と比較して、下部右側面扉3と、下部左側面扉4の代わりに右側面扉103と、左側面扉104を有している点で相違している。右側面扉103は、下部右側面扉3と上部右側面扉34に相当する大きさを有し、左側面扉104は、下部左側面扉4と上部左側面扉35に相当する大きさを有している。右側面扉103、左側面扉104によって、それぞれ一枚だけで、下部箱体1の側面開口部3bと、上部箱体31の開口部35eとを開閉できる。右側面扉103、左側面扉104も二つ折り構造を有している
【0074】
そのため、キュービクル式受変電設備201は、キュービクル式受変電設備101よりも扉の開閉回数を減らすことができる。そのうえ、扉の装着箇所を減らすこともできるから、製造に要する負担(費用および時間)も軽減できる。そのほか、キュービクル式受変電設備201は、キュービクル式受変電設備101と同じ構成を有するから、キュービクル式受変電設備101と同様の作用効果を奏する。
【0075】
(変形例2)
続いて、変形例2にかかるキュービクル式受変電設備101Aについて、
図14を参照して説明する。キュービクル式受変電設備101Aは、キュービクル式受変電設備101と比較して、キュービクル100Aを有する点で相違している。キュービクル100Aは、キュービクル100と比較して、下部箱体1、上部箱体31の代わりに下部箱体1A、上部箱体31Aを有する点で相違している。
【0076】
下部箱体1Aは、下部箱体1と比較して、下部右側面扉3、下部左側面扉4の形状が相違している。この場合の下部右側面扉3、下部左側面扉4は、上端部分の中央部分がその両側部分よりも上向きに突出していて凹凸構造を有している。上部箱体31Aは、下部箱体31と比較して、上部右側面扉34、上部左側面扉35の形状が相違している。この場合の上部右側面扉34、上部左側面扉35は、下部右側面扉3、下部左側面扉4における中央部分の突出に合わせて、中央部分が凹んでいる。下部右側面扉3、下部左側面扉4、上部右側面扉34、上部左側面扉35は、二つ折り構造ではなく、それぞれ一枚のパネル状構造を有している。
【0077】
このようなキュービクル式受変電設備100Aも、キュービクル式受変電設備101と同じ構成を有するから、キュービクル式受変電設備101と同様の作用効果を奏する。なお、図示はしないが、下部右側面扉3、下部左側面扉4、上部右側面扉34、上部左側面扉35だけでなく、これらと同様の凹凸構造を下部箱体1A、上部箱体31Aのフレームが有していてもよい。
【0078】
(変形例3)
続いて、変形例3にかかるキュービクル式受変電設備101Bについて、
図15を参照して説明する。キュービクル式受変電設備101Bは、キュービクル式受変電設備101と比較して、キュービクル100Bを有する点で相違している。キュービクル100Bは、キュービクル100と比較して、下部箱体1の代わりに下部箱体113を有する点で相違している。
【0079】
下部箱体113は、下部箱体1と比較して、下部正面パネル2が後退してなく、キャビネットスペース12が設けられていない点で相違している。このようなキュービクル式受変電設備101Bでも、下部箱体113と、上部箱体31とによるキュービクル式受変電設備101と同様の二層構造を有するから、キュービクル式受変電設備101と同様にして変圧器51の保守・点検、交換作業を行える。したがって、キュービクル式受変電設備101Bでも、設備の保守・点検作業に要する負担軽減を実現することができる。
【0080】
(変形例4)
続いて、変形例4にかかるキュービクル式受変電設備101Cについて、
図16を参照して説明する。キュービクル式受変電設備101Cは、キュービクル式受変電設備101と比較して、キュービクル100Cを有する点で相違している。キュービクル100Cは、キュービクル100と比較して、底部台座5の代わりに底部台座25を有している。前述したキュービクル式受変電設備101の底部台座5は、キャビネット台座部を有していなかったが、キュービクル100Cの底部台座25はキャビネット台座部5aを有している。底部台座25は、底部台座5よりも奥行が大きく、その下部正面パネル2よりも手前側に張り出した部分がキャビネット台座部5aとなっている。
【0081】
そして、キュービクル式受変電設備101Cは、キャビネット台座部5aに高圧キャビネット120が固定されることで、キャビネットビルトイン構造を備えることになる。キュービクル式受変電設備101では、キュービクル100と、高圧キャビネット120とがベース台座90を介して一体化されるが、キュービクル式受変電設備101Cは、キュービクル100Cと高圧キャビネット120とがベース台座90がなくても一体化される。
【0082】
上記の実施の形態では、PF−S形のキュービクル式受変電設備101を例にとって説明しているが、本発明は、CB(サーキットブレーカ形)のキュービクル式受変電設備についても適用がある。前者は、主に容量が300kVA以下の場合、後者は300kVAを超える場合に用いられる。CB(サーキットブレーカ形)のキュービクル式受変電設備の場合は、高圧の負荷電流の開閉を行う主遮断装置として、遮断器が収容され、それによって、高圧の電路、機器での過負荷、短絡等の事故時における電路の遮断が行われる。遮断器として、例えば、真空遮断機(VCB)、磁気遮断器(MBB)、ガス遮断器(GCB)、油遮断器(OCB)がある。
【0083】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【0084】
例えば、上記の実施の形態において、変圧器51が収容される箱体が下部箱体1であり、LBS65、VCT61等その他の設備が収容される箱体が上部箱体31であるが、その下部箱体1、上部箱体31のいずれか少なくとも一方が上下に分割された2層構造になっていてもよい(図示せず)。この場合、キュービクル100は、全体としては3層以上の構造になるが、下部箱体1の上に上部箱体31が重なった構造を有するので、本発明における二層構造に含まれる。
【0085】
キュービクル式受変電設備101では、高圧ケーブル52が地中から下部箱体1の中に引き込まれているが、上部箱体31の上側から上部箱体31の中に引き込まれていてもよい。上部箱体31において、底板36に設備固定部材39aが固定され、それに高圧交流負荷開閉器(LBS)65が固定されているが、設備固定部材39aとは別の図示しない固定部材が上部箱体31の内側(例えば、側面部分)に固定(または形成)され、それに高圧交流負荷開閉器(LBS)65が固定されていてもよい。
【0086】
上記の実施形態では、キュービクル式受変電設備101がVCT台座37を備え、そこにVCT61が固定されている場合を例にとって説明しているが、VCT61をキュービクル式受変電設備101の中に収容せずに外部(例えば電柱上など)に設置してもよい。この場合、上部箱体31がVCT台座37を備えていない構造することができる。
【0087】
また、キュービクル式受変電設備101において、下部箱体1の背面パネル6と、上部箱体31の背面パネル40とが段差のない平坦に接続されているが、双方に段差があるように接続されていてもよい。例えば、キュービクル式受変電設備101の設置場所の関係で、下部箱体1の背面側の壁面が上部箱体31の壁面よりも突出している場合などでは、その突出に応じて下部箱体1の背面パネル6を上部箱体31の背面パネル40よりも手前側にずらし、それに伴い双方の間に段差が形成されていてもよい(図示せず)。