特許第6793517号(P6793517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793517
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】シート状プリプレグ
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20201119BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20201119BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20201119BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20201119BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   C08J5/24CFC
   C08G59/14
   H01L23/30 R
   C09K3/10 L
   C09K3/10 Q
   C09K3/10 R
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-203799(P2016-203799)
(22)【出願日】2016年10月17日
(65)【公開番号】特開2018-65892(P2018-65892A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 弘人
(72)【発明者】
【氏名】堤 聖晴
(72)【発明者】
【氏名】家城 良典
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−231222(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/018364(WO,A1)
【文献】 特開2007−326929(JP,A)
【文献】 特開2015−052070(JP,A)
【文献】 特開2001−288247(JP,A)
【文献】 特開2014−005345(JP,A)
【文献】 特開2015−050447(JP,A)
【文献】 特開2015−153853(JP,A)
【文献】 特開2011−256372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00− 5/24
C08G 59/00− 59/72
C08K 3/00− 13/08
H01L 23/28− 23/30
C09K 3/10− 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースからなるシート状多孔性支持体の孔内が下記硬化性組成物で充填された構成を有するシート状プリプレグであり、当該シート状プリプレグの硬化物のガラス転移温度が−60℃以上、100℃以下である、シート状プリプレグ。
硬化性組成物:硬化性化合物(A)と、硬化剤(B)及び/又は硬化触媒(C)とを含む組成物であって、(A)全量の50重量%以上がエポキシ当量が140〜3000g/eqのエポキシ化合物である組成物
【請求項2】
硬化性組成物が硬化性化合物(A)と硬化剤(B)とを、前記(A)における硬化性基1モルに対して(B)における前記(A)の硬化性基との反応性基が0.8〜1.2モルとなる割合で含有する、請求項1に記載のシート状プリプレグ。
【請求項3】
硬化性組成物が硬化性化合物(A)と硬化触媒(C)とを、前記(A)100重量部に対して(C)0.1〜10重量部の割合で含有する、請求項1又は2に記載のシート状プリプレグ。
【請求項4】
硬化性組成物に含まれる、全ての硬化性化合物(A)(硬化剤(B)も含有する場合は、全ての硬化性化合物(A)と全ての硬化剤(B))の官能基当たりの分子量の加重平均値が180〜1000g/eqである、請求項1〜3の何れか1項に記載のシート状プリプレグ。
【請求項5】
硬化性組成物の硬化物の熱線膨張係数が100ppm/K以上であり、且つ、シート状プリプレグの硬化物の熱線膨張係数が55ppm/K以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載のシート状プリプレグ。
【請求項6】
硬化性組成物がフィラー(D)を硬化性化合物(A)100重量部に対して1〜50重量部含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載のシート状プリプレグ。
【請求項7】
シート状多孔性支持体の厚みが5〜500μmである、請求項1〜6の何れか1項に記載のシート状プリプレグ。
【請求項8】
圧縮成形用封止材である、請求項1〜7の何れか1項に記載のシート状プリプレグ。
【請求項9】
ファン−アウトウェハレベルパッケージ用封止材である、請求項1〜7の何れか1項に記載のシート状プリプレグ。
【請求項10】
厚み100μm以下の、薄化シリコンチップ又は薄化基板の反り防止材である、請求項1〜7の何れか1項に記載のシート状プリプレグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン−アウトウェハレベルパッケージ用封止材や基板の反り防止材として利用可能な、シート状プリプレグに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの新しい技術・製造方法であるファン−アウトウェハレベルパッケージ(FOWLP:Fan Out Wafer Level Package)は、半導体ウェハの状態で再配線層を形成し、封止してから個片化するパッケージの製造方法である。
【0003】
前記封止方法としてはエポキシ樹脂を使用した樹脂封止が主流である。しかし、樹脂封止では、樹脂の硬化収縮や熱膨張によりパッケージング後に反りが発生することが問題であった。これは封止樹脂の熱線膨張係数がチップのそれに比べて大きいために引き起こされる。
【0004】
封止樹脂の熱線膨張係数を低減して反りを防止する方法として、封止樹脂に多量のフィラーを添加する方法が知られている(特許文献1)。しかし、多量のフィラーを添加すると封止樹脂の溶融粘度が著しく上昇し、使用性が低下することが問題であった。また、封止樹脂の柔軟性が低下して硬く脆くなるためクラックが発生し易くなることも問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−56141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、低熱線膨張係数と高柔軟性とを併せ持ち、反り防止性及び耐クラック性に優れるシート状プリプレグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、熱線膨張係数が低い素材からなるシート状多孔性支持体に、エポキシ当量が140〜3000g/eqのエポキシ化合物を含有する硬化性組成物を充填して得られるシート状プリプレグの硬化物は、熱による収縮率や膨張率が小さく、且つ適度な柔軟性を有すること、そのため前記硬化物は反り防止性及び耐クラック性に優れることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、熱線膨張係数が10ppm/K以下である素材からなるシート状多孔性支持体の孔内が下記硬化性組成物で充填された構成を有するシート状プリプレグであり、当該シート状プリプレグの硬化物のガラス転移温度が−60℃以上、100℃以下である、シート状プリプレグを提供する。
硬化性組成物:硬化性化合物(A)と、硬化剤(B)及び/又は硬化触媒(C)とを含む組成物であって、(A)全量の50重量%以上がエポキシ当量が140〜3000g/eqのエポキシ化合物である組成物
【0009】
本発明は、また、硬化性組成物が硬化性化合物(A)と硬化剤(B)とを、前記(A)における硬化性基1モルに対して(B)における前記(A)の硬化性基との反応性基が0.8〜1.2モルとなる割合で含有する、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0010】
本発明は、また、硬化性組成物が硬化性化合物(A)と硬化触媒(C)とを、前記(A)100重量部に対して(C)0.1〜10重量部の割合で含有する、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0011】
本発明は、また、硬化性組成物に含まれる、全ての硬化性化合物(A)(硬化剤(B)も含有する場合は、全ての硬化性化合物(A)と全ての硬化剤(B))の官能基当たりの分子量の加重平均値が180〜1000g/eqである、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0012】
本発明は、また、硬化性組成物の硬化物の熱線膨張係数が100ppm/K以上であり、且つ、シート状プリプレグの硬化物の熱線膨張係数が55ppm/K以下である、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0013】
本発明は、また、硬化性組成物がフィラー(D)を硬化性化合物(A)100重量部に対して1〜50重量部含有する、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0014】
本発明は、また、シート状多孔性支持体の厚みが5〜500μmである、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0015】
本発明は、また、圧縮成形用封止材である、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0016】
本発明は、また、ファン−アウトウェハレベルパッケージ用封止材である、前記のシート状プリプレグを提供する。
【0017】
本発明は、また、厚み100μm以下の、薄化シリコンチップ又は薄化基板の反り防止材である、前記のシート状プリプレグを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシート状プリプレグは、熱硬化により、適度な柔軟性を有し、且つ熱による収縮率や膨張率が低い、優れた反り防止性及び耐クラック性を発揮することができる硬化物を形成することができる。そのため、本発明のシート状プリプレグは、FOWLP用封止材や基板の反り防止材として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明のシート状プリプレグを用いたFOWLPの製造方法の一例を示す模式図である。
図2図2は、反り量の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[シート状プリプレグ]
本発明のシート状プリプレグは、熱線膨張係数が10ppm/K以下である素材からなるシート状多孔性支持体の孔内が下記硬化性組成物で充填された構成を有するシート状プリプレグであり、当該シート状プリプレグの硬化物のガラス転移温度が−60℃以上、100℃以下であることを特徴とする。
硬化性組成物:硬化性化合物(A)と、硬化剤(B)及び/又は硬化触媒(C)とを含む組成物であって、(A)全量の50重量%以上がエポキシ当量が140〜3000g/eqのエポキシ化合物である組成物
【0021】
[シート状多孔性支持体]
本発明におけるシート状多孔性支持体(以後、「多孔性支持体」と略称する場合がある)は、熱線膨張係数[例えば−20℃〜300℃(好ましくは−10〜300℃、特に好ましくは0〜300℃、最も好ましくは0〜250℃)における熱線膨張係数]が10ppm/K以下(好ましくは7ppm/K以下、特に好ましくは5ppm/K以下)である素材からなる。本発明のシート状プリプレグは熱線膨張係数が10ppm/K以下である素材からなる多孔性支持体を使用するため硬化収縮率及び熱線膨張係数を小さく抑制することができ、熱衝撃付与による反りを抑制することができると共にクラックの発生を抑制することができる。
【0022】
熱線膨張係数が10ppm/K以下である素材としては、例えば、紙、セルロース、ガラス繊維、液晶材料等が挙げられる。本発明においては、なかでも、紙、セルロース、ガラス繊維が好ましく、特に軽量であり入手が容易な点でセルロースが好ましい。
【0023】
多孔性支持体の空隙率は、例えば90〜10vol%、好ましくは80〜30vol%、特に好ましくは70〜30vol%、最も好ましくは70〜50vol%である。空隙率が上記範囲を下回ると、後述の硬化性組成物の十分量を含浸することが困難となり、表面平滑性が得られにくくなる傾向がある。一方、空隙率が上記範囲を上回ると、多孔性支持体による補強効果が十分に得られず、硬化収縮率及び熱線膨張係数を小さく抑制することが困難となる傾向がある。
【0024】
尚、本明細書における「空隙率」とは、多孔性支持体中における空隙の体積率を示す。多孔性支持体の空隙率は、10cm×10cmのサンプルについて、その表面の面積、厚み、及び質量を測定し、下記式から算出することができる。ここで、Arは多孔性支持体の面積(cm2)、tは厚み(cm)、Wは多孔性支持体の質量(g)、Mは多孔性支持体の素材の密度である。多孔性支持体の厚み(t)は、膜厚計(PEACOK社製PDN−20)を用いて、多孔性支持体の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
空隙率(vol%)={1−W/(M×Ar×t)}×100
【0025】
多孔性支持体の厚みは、例えば5〜500μmである。下限は、好ましくは10μm、特に好ましくは15μm、最も好ましくは20μmである。また、上限は、好ましくは300μm、より好ましくは200μm、特に好ましくは100μm、最も好ましくは75μmである。多孔性支持体の厚みは上記範囲において適宜調整することができ、例えば硬化性組成物単独の硬化物のTgが低めの場合は多孔性支持体を薄くすることで、硬化収縮率を小さく抑制することができる。硬化性組成物単独の硬化物のTgが高めの場合は多孔性支持体を厚くすることで、熱線膨張係数を小さく抑制することができる。多孔性支持体の厚みが上記範囲を上回ると、電子機器の小型化、軽量化の要求に対応することが困難となる傾向がある。一方、厚みが上記範囲を下回ると、十分な強靱性を得ることが困難となり、例えばFOWLP用封止材として使用する場合、パッケージングにより高強度化することが困難となり、反り防止剤として使用しても、薄化されたシリコンチップや基板の反りを防止することが困難となる傾向がある。
【0026】
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物(A)と、硬化剤(B)及び/又は硬化触媒(C)とを含む組成物であって、(A)全量の50重量%以上がエポキシ当量が140〜3000g/eqのエポキシ化合物である。
【0027】
(硬化性化合物(A))
硬化性化合物(A)は、エポキシ当量(g/eq)が140〜3000(好ましくは170〜1000、より好ましくは180〜1000、特に好ましくは180〜500)のエポキシ化合物を(A)全量の50重量%以上(好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。尚、上限は100重量%である)含む。エポキシ当量が上記範囲を外れる化合物を過剰に含有すると、硬化性組成物単独の硬化物の柔軟性が低下し、耐クラック性が低下するため好ましくない。
【0028】
エポキシ化合物には、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、及び脂肪族エポキシ化合物等が含まれる。
【0029】
<脂環式エポキシ化合物>
上記脂環式エポキシ化合物としては、分子内に1個以上の脂環と1個以上のエポキシ基とを有する公知乃至慣用の化合物が含まれるが、以下の化合物等が好ましい。
(1)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物
(2)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)
【0030】
上述の(1)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(i)で表される化合物等が挙げられる。
【化1】
【0031】
式(i)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの[ ]内(外側の角括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(i)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
【0032】
上述の(2)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルが挙げられる。より詳しくは、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン等のビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン等のビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物を水素化した化合物等が挙げられる。
【0033】
<芳香族エポキシ化合物>
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;後述の変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、かつこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等が挙げられる。
【0034】
前記変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物が挙げられる。下記式中、R1〜R4は同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。kは1以上の整数を示す。L1は低極性結合基を示し、L2は柔軟性骨格を示す。
【化2】
【0035】
前記炭化水素には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの結合した基が含まれる。
【0036】
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルキニル基等を挙げることができる。
【0037】
脂環式炭化水素基としては、3〜10員の脂環式炭化水素基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の3〜8員(好ましくは5〜8員)程度のシクロアルキル基等を挙げることができる。
【0038】
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14(好ましくは6〜10)の芳香族炭化水素基が好ましく、例えば、フェニル基等を挙げることができる。
【0039】
前記R1〜R4としては、なかでも、脂肪族炭化水素基(特に、アルキル基)が好ましい。
【0040】
前記L1は低極性結合基を示し、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基等の、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を挙げることができる。
【0041】
前記L2は柔軟性骨格を示し、例えば、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を挙げることができる。具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基等が挙げられる。
【0042】
変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は上記構成を有するため、硬化性組成物に添加すると耐クラック性を向上する効果が得られる。
【0043】
前記変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、下記式(ii-1)で表される化合物を好適に使用することができる。本発明においては、例えば、商品名「EPICLON EXA−4850−1000」(エポキシ当量:350、DIC社製)や、商品名「EPICLON EXA−4850−150」(エポキシ当量:433、DIC社製)等の市販品を使用することができる。
【化3】
【0044】
<脂肪族エポキシ化合物>
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、q価の環状構造を有しないアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等が挙げられる。尚、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
【0045】
(硬化剤(B))
本発明の硬化性組成物を構成する硬化剤(B)は、エポキシ化合物を硬化させる役割を担う化合物である。
【0046】
硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができる。例えば、酸無水物、ジカルボン酸、アミン、ポリアミド樹脂、イミダゾール、ポリメルカプタン、フェノール、ポリカルボン酸、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。本発明においては、なかでも信頼性に優れる点で、酸無水物(b-1)、ジカルボン酸(b-2)、アミン(b-3)、及びフェノール(b-4)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0047】
硬化剤(B)の官能基当たりの分子量は、例えば10〜10000g/eq(好ましくは20〜8000g/eq、より好ましくは20〜7000g/eq、更に好ましくは20〜5000g/eq、特に好ましくは20〜2000g/eq、最も好ましくは20〜1000g/eq)である。
【0048】
酸無水物(b-1)としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、取り扱い性の観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。酸無水物系硬化剤としては、耐クラック性に特に優れる点で、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。
【0049】
酸無水物(b-1)としては、例えば、商品名「リカシッドMH700F」(新日本理化(株)製)、商品名「HN−5500」(日立化成工業(株)製)等の市販品を好適に使用することができる。
【0050】
ジカルボン酸(b-2)としては、例えば、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族系ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族系ジカルボン酸;酸無水物とポリオール化合物とを反応させて得られるエステル型ジカルボン酸;等が挙げられる。これらの中でも、酸無水物とポリオール化合物とを反応させて得られるエステル型ジカルボン酸が好ましい。
【0051】
前記エステル型ジカルボン酸の合成に用いる酸無水物としては、脂環族酸無水物が好ましく、なかでも4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
【0052】
ポリオール化合物としては、2価又は3価の脂肪族アルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロパン、ポリC1-5アルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)の等の2価の脂肪族アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価の脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0053】
これらの中でも、2価の脂肪族アルコールが好ましく、特にポリC1-5アルキレングリコールがより好ましい。前記ポリC1-5アルキレングリコールの重量平均分子量は、例えば500〜2000、好ましくは600〜1600である。
【0054】
酸無水物とポリオール化合物とを反応させて得られるエステル型ジカルボン酸としては、下記式(b-2-1)で表される化合物が好ましい。
【化4】
【0055】
式(b-2-1)中、R5、R6は同一又は異なって炭素数1〜5のアルキル基を示し、なかでもメチル基又はエチル基が好ましい。m1、m2は同一又は異なって0〜4の整数を示す。Lはポリオール化合物から2つの水酸基を除いた基(2価の基)であり、なかでも、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールから2つの水酸基を除いた基が好ましい。
【0056】
ジカルボン酸(b-2)としては、例えば、商品名「リカシッドHF−08」(新日本理化(株)製)等の市販品を好適に使用することができる。
【0057】
アミン(b-3)としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリプロピレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−3,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環式ポリアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、トリレン−2,4−ジアミン、トリレン−2,6−ジアミン、メシチレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,6−ジアミン等の単核ポリアミン、ビフェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ナフチレンジアミン、2,6−ナフチレンジアミン等の芳香族ポリアミン等が挙げられる。
【0058】
フェノール(b-4)としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、p−キシリレン変性フェノール樹脂、p−キシリレン・m−キシリレン変性フェノール樹脂等のアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールプロパン等が挙げられる。
【0059】
(硬化触媒(C))
本発明の硬化性組成物は、上述の硬化剤(B)の代わりに若しくは上述の硬化剤(B)と共に、硬化触媒(C)を含んでいてもよい。硬化触媒(C)を用いることにより、エポキシ化合物の硬化反応を進行させ、硬化物を得ることができる。上記硬化触媒(C)としては、特に限定されないが、例えば、紫外線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、重合を開始させることができるカチオン触媒(カチオン重合開始剤)を1種又は2種以上使用することができる。
【0060】
紫外線照射によりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩等が挙げられる。上記カチオン触媒としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製)、商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製)、商品名「イルガキュア264」(チバ・ジャパン(株)製)、商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)等の市販品を使用することができる。
【0061】
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等が挙げられる。上記カチオン触媒としては、例えば、商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上、(株)ADEKA製)、商品名「FC−509」(スリーエム製)、商品名「UVE1014」(G.E.製)、商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」、「サンエイド SI−150L」(以上、三新化学工業(株)製)、商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン(株)製)等の市販品を使用することができる。上記カチオン触媒としては、さらに、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物等を用いることもできる。
【0062】
(フィラー(D))
本発明の硬化性組成物は、更にフィラー(D)を1種又は2種以上含有していてもよい。フィラー(D)を含有することにより、硬化収縮率及び熱線膨張係数を一層小さく抑制することができ、反りの抑制効果を向上することができる。また、硬化性組成物がフィラー(D)を含有すると、多孔性支持体の孔内に充填された硬化性組成物が孔外へ流出するのを抑制する効果も得られる。
【0063】
前記フィラー(D)としては、例えば、シリカ(例えば、天然シリカ、合成シリカ等)、酸化アルミニウム(例えば、α−アルミナ等)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;マイカ、タルク、カオリン、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、ゼオライト、ハイドロタルサイト、フライアッシュ、脱水汚泥、ガラスビーズ、ガラスファイバー、ケイ藻土、ケイ砂、カーボンブラック、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、水和石膏、ミョウバン、三酸化アンチモン、マグネシウムオキシサルフェイト、シリコンカーバイド、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、銅、鉄等が挙げられる。また、炭素材料である単層或いは多層カーボンナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン等も使用することができる。上記フィラーは、中実構造、中空構造、多孔質構造等のいずれの構造を有していてもよい。また、上記フィラーは、例えば、オルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物等の周知の表面処理剤により表面処理されたものであってもよい。
【0064】
フィラー(D)の形状は、特に限定されないが、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等を挙げることができる。
【0065】
フィラー(D)の平均粒子径は、例えば5nm〜100μm、好ましくは50nm〜50μm、特に好ましくは100nm〜30μmである。平均粒子径が上記範囲を下回ると、粘度の上昇が著しく、取り扱いが困難となる傾向がある。一方、平均粒子径が上記範囲を上回ると、耐クラック性が低下する傾向がある。また、上記範囲内のサイズのフィラーを2種以上混合して使用しても良く、それにより粘度と物性をコントロールすることが可能となる。尚、無機フィラーの平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によるメディアン径(d50)である。
【0066】
(硬化促進剤)
本発明の硬化性組成物は、硬化剤(B)と共に硬化促進剤を含有していても良い。硬化剤(B)と共に硬化促進剤を含有することにより、硬化速度を促進する効果が得られる。硬化促進剤としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の第3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;リン酸エステル、トリフェニルホスフィン(TPP)等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレート等のホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛等の有機金属塩;金属キレート等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
硬化促進剤としては、例えば、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 18X」、「U−CAT 12XD)」(以上、サンアプロ(株)製)、商品名「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製)、商品名「PX−4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を好適に使用することができる。
【0068】
本発明の硬化性組成物全量における、硬化性化合物(A)の含有量は例えば30〜98重量%である。また、本発明の硬化性組成物全量における、芳香族エポキシ化合物(例えば、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂から選択される化合物)の含有量は、例えば30〜98重量%である。更に、本発明の硬化性組成物全量における、芳香族エポキシ化合物以外のエポキシ化合物の占める割合は、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
【0069】
本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物全量における、芳香族エポキシ化合物(例えば、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂から選択される化合物)の占める割合は、例えば60重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。尚、上限は100重量%である。従って、本発明の硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物全量における、芳香族エポキシ化合物以外のエポキシ化合物の占める割合は、例えば40重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
【0070】
硬化剤(B)の含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性基(例えば、エポキシ基)1モルに対して(B)における前記(A)の硬化性基との反応性基が例えば0.8〜1.2モルとなる割合である。
【0071】
本発明の硬化性組成物(フィラー(D)を除く)全量における、硬化性化合物(A)及び硬化剤(B)の合計含有量の占める割合は、例えば80重量%以上、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
【0072】
硬化剤(B)の含有量が上記範囲を下回ると、硬化が不十分となり、硬化物の強靱性が低下する傾向がある。一方、硬化剤(B)の含有量が上記範囲を上回ると、硬化性組成物単独の硬化物の極性が増大し、水分の影響を受けやすくなり、信頼性の低下に繋がる場合がある。
【0073】
本発明の硬化性組成物に含まれる、全ての硬化性化合物(A)(硬化剤(B)も含有する場合は、全ての硬化性化合物(A)と全ての硬化剤(B))の官能基当たりの分子量の加重平均値(含有割合を加重)(g/eq)は、例えば180〜1000、好ましくは200〜700、特に好ましくは200〜500、最も好ましくは250〜450、とりわけ好ましくは300〜450である。本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物(A)(硬化剤(B)も含有する場合は、硬化性化合物(A)と硬化剤(B))を、加重平均値が上記範囲となるように選択して含有することが、架橋点間距離を適度に有することにより、柔軟性を有し、耐クラック性に優れる硬化物が得られる点で好ましい。加重平均値が上記範囲を下回ると、柔軟性が低下し、耐クラック性が低下する傾向がある。一方、加重平均値が上記範囲を上回ると、硬化樹脂の密度が低く、十分な強靭さや耐候性を得ることが困難となる傾向がある。尚、エポキシ化合物の官能基当たりの分子量とはエポキシ当量である。また、硬化剤としての酸無水物(b-1)の官能基当たりの分子量とは酸無水物基当量、ジカルボン酸(b-2)の官能基当たりの分子量とはカルボキシル基当量、アミン(b-3)の官能基当たりの分子量とはアミン当量、フェノール(b-4)の官能基当たりの分子量とは水酸基当量のことである。
【0074】
硬化触媒(C)の含有量は、特に限定されないが、硬化性組成物中に含まれる硬化性化合物(A)100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部の割合で含有することが好ましく、硬化性組成物中に含まれるエポキシ化合物の全量(100重量部)に対して、例えば0.01〜15重量部、好ましくは0.01〜12重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。硬化触媒(C)を上記範囲内で使用することにより、耐熱性、耐候性に優れた硬化物を得ることができる。
【0075】
フィラー(D)の含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(2種以上含有する場合はその総量)100重量部に対して、例えば50重量部以下(例えば、1〜50重量部)、好ましくは45重量部以下、特に好ましくは40重量部以下である。フィラー(D)の含有量が過剰となると、硬化性組成物単独の硬化物のTgが高くなり、柔軟性が低下して、耐クラック性が低下する傾向がある。
【0076】
硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、硬化性組成物中に含まれるエポキシ化合物100重量部に対して、例えば3重量部以下(例えば0.1〜3重量部)、好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。
【0077】
(その他の成分)
本発明の硬化性組成物は上記成分以外にも、必要に応じて他の成分を1種又は2種以上含有していても良い。
【0078】
本発明の硬化性組成物はエポキシ化合物以外の硬化性化合物を含有していても良く、例えば、オキセタン化合物等のカチオン硬化性化合物、(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレート等のラジカル硬化性化合物を含有することができる。
【0079】
本発明の硬化性組成物は、更に、例えば、希釈剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、イオン吸着体、蛍光体等を含有することができる。
【0080】
また、硬化剤(B)として酸無水物を使用する場合は、酸無水物と共に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の水酸基含有化合物を使用することが、硬化反応を促進する効果が得られる点で好ましい。水酸基含有化合物の含有量は、酸無水物100重量部に対して、例えば、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0081】
本発明の硬化性組成物は上記成分を混合することにより調製できる。混合には、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用することができる。また、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
【0082】
本発明の硬化性組成物単独の硬化物(多孔性支持体を含まない)の、ガラス転移温度(Tg)は例えば−60〜100℃(Tgの上限は、好ましくは50℃、特に好ましくは40℃、最も好ましくは25℃である。Tgの下限は、好ましくは−40℃、より好ましくは−30℃、更に好ましくは−20℃、更に好ましくは−10℃、特に好ましくは0℃、最も好ましくは5℃、とりわけ好ましくは10℃である)であり、前記ガラス転移温度以上の温度(例えば−10〜220℃、好ましくは0〜220℃、特に好ましくは10〜200℃、最も好ましくは20〜220℃、とりわけ好ましくは50〜220℃)の範囲の少なくとも1点における、本発明の硬化性組成物単独の硬化物(多孔性支持体を含まない)の熱線膨張係数は、例えば100ppm/K以上(例えば100〜700ppm/K、好ましくは200〜500ppm/K、特に好ましくは300〜500ppm/K)である。
【0083】
[シート状プリプレグ]
本発明のシート状プリプレグは、上記多孔性支持体の孔内が上記硬化性組成物で充填された構成を有する。本発明において使用する硬化性組成物単体の硬化物は上述の通りガラス転移温度が低く柔らかいため、耐クラック性に優れる。また、前記の柔らかい(特に100℃以上の高温領域において柔らかい)硬化物を形成する硬化性組成物は、多孔性支持体の孔内に充填された構成を有するが、前記硬化性組成物が多孔性支持体を押しのけて膨張することができない為か、結果的に熱線膨張係数を小さく抑制することができ、反りの発生を防止することができる。
【0084】
本発明のシート状プリプレグは、例えば、上記硬化性組成物を溶剤(例えば、2−ブタノン等)で希釈したものを上記多孔性支持体に含浸させ、その後、乾燥させて溶剤を除去し、さらに必要に応じて半硬化(硬化性化合物の一部を硬化)させることにより製造することができる。
【0085】
硬化性組成物を含浸させる方法としては特に制限がなく、例えば、硬化性組成物中に多孔性支持体を浸漬する方法等を挙げることができる。浸漬時温度は、例えば25〜60℃程度である。浸漬時間は、例えば30秒〜30分程度である。浸漬は減圧又は加圧環境下で行うことが、起泡の残存を抑制し、硬化性組成物の充填を促進する効果が得られる点で好ましい。
【0086】
含浸後の乾燥、及び半硬化の条件は使用する硬化剤の種類によって適宜変更して行うことが好ましい。例えば、硬化剤として酸無水物、又はフェノールを使用する場合、100℃未満(例えば25℃以上、100℃未満)の温度で、1分〜1時間程度加熱することにより行うことができる。硬化剤としてアミンを使用する場合は、より低温で行うことが好ましい。加熱温度や加熱時間が上記範囲を上回ると、多孔性支持体に充填された硬化性組成物の硬化反応が進行し過ぎることにより、封止材としての使用が困難となる場合がある。
【0087】
本発明のシート状プリプレグ全体積における、多孔性支持体の占める割合は、例えば10〜90vol%、好ましくは20〜70vol%、特に好ましくは30〜70vol%、最も好ましくは30〜50vol%である。すなわち、本発明のシート状プリプレグ全体積における、硬化性組成物の占める割合は、例えば10〜90vol%、好ましくは30〜80vol%、特に好ましくは30〜70vol%、最も好ましくは50〜70vol%である。多孔性支持体の占める割合が上記範囲を上回ると、上記硬化性組成物の十分量を含浸することが困難となり、表面平滑性が得られにくく成る傾向がある。一方、硬化性組成物が上記範囲を上回ると、多孔性支持体による補強効果が十分に得られず、硬化収縮率及び熱線膨張係数を小さく抑制することが困難となる傾向がある。
【0088】
本発明のシート状プリプレグは、加熱処理を施すことにより硬化物を形成する。加熱処理条件は、特に限定されないが、加熱温度は40〜300℃が好ましく、より好ましくは60〜250℃である。また、加熱時間は、加熱温度に応じて適宜調節可能であり、特に限定されないが、1〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜5時間である。上記加熱処理において、加熱温度は一定とすることもできるし、連続的又は段階的に変更することもできる。
【0089】
本発明のシート状プリプレグの硬化物のガラス転移温度(Tg)は−60℃以上、100℃以下(−60〜100℃)であり、好ましくは0〜90℃、より好ましくは5〜80℃、更に好ましくは10〜75℃、特に好ましくは10〜60℃、最も好ましくは10〜50℃、更に好ましくは10〜40℃、とりわけ好ましくは15〜40℃である。本発明のシート状プリプレグの硬化物は上記Tgを有するため、適度な柔軟性を有し、耐クラック性に優れる。尚、硬化物のガラス転移温度は実施例に記載の方法で求められる。
【0090】
本発明のシート状プリプレグの硬化物の熱線膨張係数[例えば−20℃〜300℃、好ましくは−10〜300℃、特に好ましくは0〜300℃)における熱線膨張係数]は、例えば55ppm/K以下(例えば、−1〜55ppm/K)、好ましくは50ppm/K以下、より好ましくは45ppm/K以下、更に好ましくは25ppm/K以下、特に好ましくは20ppm/K以下である。そのため、熱による膨張及び収縮が抑制され、反りの発生を抑制することができる。すなわち、反り防止性に優れる。
【0091】
本発明のシート状プリプレグは、圧縮成形用封止材(特に、FOWLP用封止材)として好適に使用することができる。
【0092】
本発明のシート状プリプレグを用いたFOWLPの代表的な製造方法は下記の通りである(図1参照)。
工程I:支持体に仮止めテープをはりつけ、前記仮止めテープを介して支持体に半導体チップを貼付する
工程II:本発明のシート状プリプレグを用いて半導体チップを封止する
工程III:支持体を剥離する
工程IV:再配線、電極形成、及びダイシングを行って半導体パッケージを得る
【0093】
前記工程IIにおける、本発明のシート状プリプレグを用いてチップを封止する方法としては、例えば、チップに本発明のシート状プリプレグを貼り合わせ、表面平坦化用基板等を用いて圧縮(例えば0.1〜5MPaで押圧)し、上記方法により加熱処理を施すことにより行うことができる。
【0094】
工程IVにおける再配線や電極形成は、周知慣用の方法で行うことができる。再配線や電極形成は、約200℃の高温環境下で行われるが、本発明のシート状プリプレグの硬化物は、熱線膨張係数が上記範囲であるため、半導体チップの熱膨張率との差を抑制することができ、半導体チップの熱膨張率との差に由来する応力によって引き起こされる反りやクラックを抑制することができる。
【0095】
また、本発明のシート状プリプレグを、例えば100μm以下にまで薄化したシリコンチップや基板の少なくとも一方の面に貼り合わせ、硬化することにより、シリコンチップや基板の反りを防止する効果を発揮することができる。従って、本発明のシート状プリプレグは、薄化シリコンチップや薄化基板の反り防止材としても有用である。
【実施例】
【0096】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0097】
調製例1:支持体の調製(セルロース不織布の調製)
微小繊維セリッシュKY110N((株)ダイセル製)のスラリーを0.2重量%に希釈し、減圧装置付き抄紙マシーン(東洋精機製作所(株)製、標準角型マシン)を用いて、No.5C濾紙を濾布として抄紙して、湿潤状態のセルロース不織布を得た。
得られた湿潤状態のセルロース不織布の両面に吸い取り紙を重ね、0.2MPaの圧力で1分間プレスした。次いで、0.2MPaの圧力で1分間プレスし、更に、表面温度が100℃に設定されたドラムドライヤ(熊谷理機工業(株)製)に貼り付けて120秒間乾燥して、セルロース不織布(空隙率:60vol%、坪量9.9g/m2、熱線膨張係数:5ppm/K、厚み25μm)を得た。
【0098】
実施例1,2,3,9,10(実施例10は参考例とする),比較例1〜3
(シート状プリプレグの製造)
表1に記載の処方にて硬化性組成物を調製した。
得られた硬化性組成物中に、減圧下、調製例1で得られたセルロース不織布を浸漬し、セルロース不織布に硬化性組成物を含浸させて、シート状プリプレグ(硬化性組成物の占める割合:65vol%)を作成した。尚、実施例9では調製例1と同様の方法で得られたセルロース不織布(空隙率:60vol%、坪量9.9g/m2、熱線膨張係数:5ppm/K、厚み50μm)を使用した。また、実施例10では、セルロース不織布に代えて、ガラスクロスを使用した。
また、実施例1で使用する硬化性組成物を単独で硬化させて得られた硬化物について、下記方法によりガラス転移温度、及び熱線膨張係数を測定したところ、Tg:17.5℃、熱線膨張係数(α1):65.8ppm/K、熱線膨張係数(α2):466.8ppm/Kであった。
【0099】
(シート状プリプレグの評価)
得られたシート状プリプレグを離型剤を塗布したガラスに挟み込み、表1に記載の硬化条件で加熱して硬化物を得、得られた硬化物のガラス転移温度、及び熱線膨張係数を下記方法で測定した。
また、50mm角のガラス基板上に10mm角のシリコンチップを4個再配置し、上記シート状プリプレグをで覆い、コンプレッションモールディング(表1に記載の初期硬化条件に加熱した状態で、1MPaで押圧)することによりシリコンチップの封止を行った。その後、基板からシリコンチップを内包する半導体パッケージを剥がし、その反り防止性と耐クラック性を下記方法で評価した。
【0100】
実施例4,5,6,7,8
表1に記載の処方にて硬化性組成物を調製し、固形分濃度が40%になるようにメチルエチルケトンを混合して、硬化性組成物を得た。
当該硬化性組成物を調製例1で得られたセルロース不織布に含浸させ、減圧下、溶媒を除去してシート状プリプレグを作成した。
得られたシート状プリプレグについて、実施例1と同様の方法で評価した。
【0101】
実施例11,12
表1に記載の処方にてフィラーとエポキシ樹脂とを、擂潰機((株)石川工場製)に仕込み、30分間混練し、フィラーを高分散させたエポキシ樹脂を得た。次いで、酸無水物加え、エチレングリコール及び触媒を加えて混練を行った。最後に、固形分濃度が40%になるようにメチルエチルケトンを添加して硬化性組成物を得た。
当該硬化性組成物を調製例1で得られたセルロース不織布に含浸させ、減圧下、溶媒を除去してシート状プリプレグを作成した。
得られたシート状プリプレグについて、実施例1と同様の方法で評価した。
【0102】
(ガラス転移温度(Tg)、Tgより低い温度領域での熱線膨張係数(α1)、Tgより高い温度領域での熱線膨張係数(α2))
硬化物のガラス転移温度、及び熱線膨張係数は、下記条件で測定した。尚、いずれも2nd−heatingでの測定値を採用した。
試験片サイズ:初期長さ10mm×幅3.5mm×厚み0.035mm
測定装置:熱機械的分析装置(Exstar TMA/SS7100、(株)日立ハイテクノロジーズ製)
測定モード:引張、定荷重測定(40mN)
測定雰囲気:窒素
温度条件:1st−heating −60℃から120℃、5℃/min
cooling 120℃から−60℃、20℃/min
2nd−heating −60℃から220℃、5℃/min
【0103】
(反り防止性)
25℃、150℃、275℃における半導体パッケージの反り量を測定し(図2参照)、下記基準で反り防止性を評価した。
○:25℃、150℃、275℃の何れにおいても、反り量が10μm以下
△:25℃、150℃、275℃の少なくとも1つにおいて、反り量が10μmを超え、50μm以下
×:25℃、150℃、275℃の少なくとも1つにおいて、反り量が50μm超
【0104】
(耐クラック性)
半導体パッケージを、−25℃〜100℃のヒートショックテスト(100回)に付し、テスト実施後の半導体パッケージについて、クラックの有無を目視で観察し、下記基準で耐クラック性を評価した。
○:クラック無
×:クラック有
【0105】
【表1】
【0106】
<エポキシ化合物>
・YD−128:ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ当量190、粘度13600mPa・s/25℃)、エポキシ当量188.6、新日鉄住金化学(株)製
・セロキサイド2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量130、(株)ダイセル製
・EXA−4850−150:変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量:433、商品名「EPICLON EXA−4850−150」、DIC社製
・EXA−4850−1000:下記式(ii-1)で表される変性エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量:350、商品名「EPICLON EXA−4850−1000」、DIC社製
【化5】
<硬化剤>
・リカシッドMH−700:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、酸無水物基当量164.5、新日本理化(株)製
・リカシッドHF−08:脂環族酸無水物とポリアルキレングリコ−ルとのエステル(ジカルボン酸)、カルボキシル基当量672.7、新日本理化(株)製
・TD2091:フェノールノボラック、水酸基当量104.0、DIC社製
・TETA:トリエチルテトラミン、アミン当量23.4、三井化学ファイン(株)製
・D−400:ポリオキシアルキレンジアミン、アミン当量107.0、三井化学ファイン(株)製
<希釈剤>
・EG:エチレングリコール、和光純薬工業(株)製
<硬化促進剤>
・U−CAT 12XD:特殊アミン型触媒、サンアプロ(株)製
・TPP:トリフェニルホスフィン、和光純薬工業(株)製
<硬化触媒>
・2E4MIZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール、和光純薬工業(株)製
<フィラー>
・シリカフィラー:粒子径3μm以下、日本電気硝子(株)製
・カーボンナノチューブ:長さ:10μm以上、直径:20〜45nmφ、GLONATECH社製
<多孔性支持体>
・ガラスクロス:空隙率:62vol%、坪量24g/m2、熱線膨張係数:3ppm/k、厚み25μm、商品名「1037」、東洋紡(株)製
【符号の説明】
【0107】
1 支持体
2 仮止めテープ
3 チップ
4 シート状プリプレグ
5 表面平坦化用基板
6 半導体パッケージ
7 反り量
図1
図2