(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0019】
<概要>
各実施の形態では、生体情報の指標を示す生体データ5に関連するデータを格納するための関連領域(メタデータ領域E1)に、生体情報を測定する時の前後で発生したイベントを示すイベントデータ8を格納する。
【0020】
上記の構成によれば、イベントデータ8は関連領域に格納されることにより、イベントデータ8を格納するための特別の領域を設ける必要はない。したがって、生体データを記憶する領域を節約することができる。
【0021】
各実施の形態では、被測定者から測定される生体情報として、被測定者の生体の状態を示す情報および被測定者の身体の活動(動き)を示す情報を含み得る。また、生体情報の指標を示す生体データは、血圧値、脈拍(心拍)数、血糖値、排泄量、発汗量、肺活量、睡眠量、呼吸数、体組成値(身体の体重、身長、筋肉量、骨量、脂肪量など身体の組成を示す値)を含み得る。
【0022】
また、身体の活動を示す情報の指標を示す活動量として、歩行時の「歩数」、消費熱量である「消費カロリー」などを含み得る。身体の活動量は、これらに限定されず、昇降数、姿勢、咀嚼数、運動や生活活動(たとえば、掃除機をかける、荷物運び、炊事など)全般の活動量とすることができる。また、身体の活動を示す情報の指標として不活動量を用いても良い。不活動量は、身体不活動の時間、たとえばデスクワークまたはテレビ視聴時間などの座位(sedentary)活動の時間により示される。
【0023】
被測定者の生活活動において発生した「イベント」は、投薬(服薬)、食事、運動、喫煙、睡眠、排泄などを含み得るが、これらに限定されない。
【0024】
また、実施の形態では、測定機器のユーザ(被測定者)は1人としているが、複数の被測定者により共用されてもよい。
【0025】
[実施の形態1]
<システム構成>
図1は、実施の形態1に従う情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【0026】
情報処理システム1は「生体データ処理システム」の一実施例である。
図1を参照して、情報処理システム1は、被測定者(ユーザともいう)が使用する端末装置10A,10Bと、被測定者の生体情報を測定する機能を備える血圧計21、睡眠計22、歩数計23、体重・体組成計24および体温計25と、サーバ30と、ネットワーク41,43とを含む。以下では、説明の便宜上、主に端末装置10Aについて説明するが、端末装置10Aと端末装置10Bは同様の機能を有する。説明の便宜上、端末装置10Aと端末装置10Bを「端末装置10」とも総称する場合がある。
【0027】
生体情報の測定機器は、血圧計21、睡眠計22、歩数計23、体重・体組成計24および体温計25に限られず、ユーザの生体情報を測定するための機器であればよい。たとえば、生体情報の測定機器は、活動量計であってもよい。以下では、説明の便宜上、血圧計21、睡眠計22、歩数計23、体重・体組成計24および体温計25を「測定機器20」とも総称する場合がある。
【0028】
ここで、実施の形態1に従う血圧計21は、本体とカフ(腕帯)とが一体となった腕時計型の血圧計である。血圧計21は、腕時計のように長時間腕に装着して、24時間連続して脈動を1拍ごとに測定する機能や、常時装着して測定開始ボタンを押すだけで測定できる機能などを有する。これにより、血圧計21は、ユーザの血圧の常時測定が可能となっている。また、血圧計21は、後述するように歩数の計測機能も備える。このように測定機器20は、複数種類の生体情報を測定する機能を備えて構成され得る。
【0029】
端末装置10は、たとえば、タッチパネルを備えるスマートフォンである。以下では、スマートフォンを「端末装置」の代表例として説明を行なう。ただし、端末装置は、折り畳み式携帯電話、タブレット端末装置、PC(personal computer)、PDA(Personal Data Assistance)などのような他の端末装置であってもよい。
【0030】
ネットワーク41は、端末装置10Aと、端末装置10Bと、サーバ30と互いに接続するために、インターネット、移動体端末通信網などの各種ネットワークを含む。端末装置10Bと測定機器20とを接続するためのネットワーク43は、近距離無線通信方式を採用しており、典型的には、BLE(Bluetooth(登録商標) low energy)が採用される。ただし、ネットワーク43は、これに限られず、有線通信方式を採用してもよいし、無線LAN(local area network)などのその他の無線通信方式を採用してもよい。
【0031】
サーバ30は、記憶領域の一例であるデータベース32を備える。サーバ30は、各端末装置10から送信されたデータを受信し、受信したデータをデータベース32に格納する。具体的には、サーバ30は、受信データを送信元の端末装置10の識別情報(端末ID)と関連付けてデータベース32に格納する。
【0032】
端末装置10、測定機器20およびサーバ30は、「データ処理装置」の一実施例である。
【0033】
<測定機器20の構成>
実施の形態1にかかる測定機器20の代表例として血圧計21の構成を、
図2を参照して説明する。
図2は、実施の形態1にかかる血圧計21の構成図である。
図2を参照して、血圧計21は、CPU(Central Processing Unit)を含む制御部101、液晶などのディスプレイを含む表示部102、血圧計21に対するユーザの操作を受付けるためのキー・ボタンを含む操作部103、メモリ部104、タイマ105、メモリカードなど各種の記録媒体に対して情報の読書きを行なうカードR/W(Read/Write)部106、端末装置10を含む外部の情報処理装置と通信するための通信部107、および電源部108を含む。
【0034】
メモリ部104は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどによって実現される。メモリ部104の記憶領域には、CPU101によって実行されるプログラム、またはCPU101によって用いられるデータなどが格納される。
【0035】
操作部103は、ユーザが生活活動において「イベント」が発生したときにユーザが操作するボタン157を含む。ボタン157の操作により「イベント」が発生したことが指示される。「イベント」は、血圧計21が測定する生体情報に関連する種類のイベントを含み得る。より特定的には、生体情報の変動要因となり得るイベントを含み得る。ここでは、例えばイベントの種類は「服薬」とするが「服薬」に限定されない。
【0036】
さらに、血圧計21は、加速度センサ110、および血圧を測定するための回路からなる血圧測定部111を含む。加速度センサ110は、血圧計21にかかる加速度を測定する。血圧測定部111は圧力センサ111A、弁111B、ポンプ111Cおよび測定部位(腕)に装着されるカフ111Dを含む。血圧測定時には、ポンプ111Cはカフ111D内に空気を供給して、カフ111Dを膨張させる。カフ111Dの膨張により測定部位が加圧される。また、加圧後に弁111Bを開くことによりカフ111D内から排気がなされて測定部位が減圧される。圧力センサ111Aは、この加圧過程または減圧過程におけるカフ111Dの内圧であるカフ圧を測定し、制御部101に出力する。血圧測定時のカフ圧は、非侵襲に測定された動脈圧(生体の状態を示す情報)に相当する。制御部101は、血圧測定部111からのカフ圧に基づき、例えばオシロメトリック法に従い、血圧値(たとえば、収縮期血圧SYSおよび拡張期血圧DIAなどの指標)を算出する。なお、血圧値として平均血圧値が算出されてもよく、また脈拍数が算出されてもよい。
【0037】
また、加速度センサ110は、血圧計21にかかる加速度を測定し、測定された加速度を制御部101に出力する。この加速度は、ユーザが歩行した場合に血圧計21かかる加速度成分(身体の活動を示す情報)に相当する。制御部101は、加速度センサ110からの加速度成分を解析して、解析結果に基づき歩数を算出する。ここでは、例えば1時間分の歩数が算出されて、1時間分の歩数が端末装置10に送信される。
【0038】
なお、他の測定機器20は、生体情報の測定機能を除いた基本的な構成は、血圧計21と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0039】
<端末装置10の構成>
図3は、実施の形態1にかかる端末装置10の構成図である。
図3を参照して、端末装置10は、主たる構成要素として、CPU152、タイマ153、メモリ154、端末装置10に対するユーザの操作を受付ける操作部156、ディスプレイ158、アンテナ162を介した無線のための通信部160、メモリインターフェイス(I/F)164、通信インターフェイス(I/F)166、音声出力のためのスピーカ168および音声入力のためのマイク170とを含む。
【0040】
CPU152は、メモリ154に記憶されたプログラムを実行することにより、各部を制御する。
【0041】
メモリ154の記憶領域は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク装置などにより構成される。メモリ154には、CPU152によって実行されるプログラム、またはCPU152によって用いられるデータなどが格納される。
【0042】
操作部156は、端末装置10に対する操作入力を受付ける。典型的には、操作部156は、タッチパネルを含んで実現される。タッチパネルは、ディスプレイ158上に設けられる。また、操作部156は、スイッチ・ボタンなどを含んでもよい。
【0043】
通信部160は、アンテナ162を介して移動体通信網に接続し無線通信のための信号を送受信する。これにより、端末装置10は、たとえば、LTE(Long Term Evolution)などの移動体通信網を介して他の通信装置(たとえば、サーバ30、他の端末装置10)との通信が可能となる。
【0044】
メモリインターフェイス164は、外部の記憶媒体165からデータを読出す。CPU152は、メモリインターフェイス164を介して記憶媒体165に格納されているデータを読出して、当該データをメモリ154に格納する。CPU152は、メモリ154からデータを読出して、メモリインターフェイス164を介して当該データを外部の記憶媒体165に格納する。
【0045】
記憶媒体165は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカードなどの不揮発的にプログラムまたはデータを格納する媒体を含む。
【0046】
通信インターフェイス(I/F)166は、端末装置10と測定機器20との間で各種データをやり取りするための通信インターフェイスであり、アダプタやコネクタなどによって実現される。本実施の形態では、通信方式として、BLE(Bluetooth(登録商標) low energy)が採用される。ただし、通信方式は、無線LANなどによる無線通信方式であってもよいし、USB(Universal Serial Bus)などを利用した有線通信方式であってもよい。
【0047】
<サーバ30の構成>
図4は、実施の形態1にかかるサーバ30の構成図である。
図4を参照して、サーバ30は、CPUを含む制御部501、情報を出力するための出力部503、およびサーバ30に対するユーザ操作を受付けるためのボタン・スイッチなどを含む操作部504を備える。サーバ30は、さらに、ネットワーク41を介して端末装置10などと通信するための通信部506、プログラムおよびデータを格納するROM、RAMなどを含むメモリ部505、およびデータベース32などの各種データを格納するためのHDD(Hard Disc Drive)507を備える。
【0048】
<測定データの送信>
血圧計21の制御部101は、血圧測定または歩数の生体データ5を生成し、通信部107を介して端末装置10に送信する。また、制御部101は、イベントが発生したときイベントデータ8を生成し、通信部107を介して端末装置10に送信する。生体データ5は、血圧値または歩数と測定時間(日/時/分)とを含む。また、イベントデータ8は、イベント発生のフラグとイベント発生時間(日/時/分)を含む。イベント発生のフラグはイベントの種類(たとえば服薬)を示し得る。イベント発生時間はボタン157が操作された時間を示す。
【0049】
実施の形態1では、血圧計21は、血圧測定または歩数算出がなされる毎に生体データ5を端末装置10に送信し、または、イベントが発生する毎にイベントデータ8を端末装置10に送信する。なお、血圧計21は、定期的に生体データ5またはイベントデータ8を送信するとしてもよい。実施の形態1では、血圧計21は生体データ5およびイベントデータ8をパケット形式で端末装置10に送信するが、フレーム形式で送信してもよい。
【0050】
<端末装置10の機能構成>
図5は、実施の形態1にかかる端末装置10の機能構成を模式的に示す図である。
図5の機能は、主に制御部101のCPU152が実行するプログラムまたはプログラムと回路の組合せにより実現される。CPU152は、メモリ154を用いてデータを管理するデータ管理部120およびメモリ154のデータを処理するデータ処理部125を備える。データ処理部125は、CP152がメモリ154のアプリケーションプログラムを実行することにより実現される。なお、アプリケーションプログラムは、外部の情報処理装置(たとえば、サーバ30など)からメモリ154にダウンロードされ得る。
【0051】
データ管理部120は、データ取得部121、イベント取得部122、判断部123、およびメモリ154へのデータの格納を制御する格納制御部124を備える。データ取得部121およびイベント取得部122は、通信部160を介して血圧計21から受信するデータのうちから生体データ5およびイベントデータ8のそれぞれを取得する。たとえば、データ取得部121およびイベント取得部122は、血圧計21から受信するパケットのヘッダに基づき、生体データ5またはイベントデータ8を当該パケットから抽出する。
【0052】
判断部123は、イベント取得部122によりイベントデータ8が取得された場合に、イベントデータ8が示すイベント発生時間の前後において生体情報が測定されているか否かを判断する。格納制御部124は、判断部123の判断の結果に基づき、生体データ5またはイベントデータ8をメモリ154に、たとえば測定レコードR1の形式で格納する。判断部123の判断処理については
図6で後述し、格納制御部124の格納処理については
図6で後述する。実施の形態1では、生体データ5と対応のイベントデータ8とをレコード形式で関連付けたが、両データを関連付けて格納可能な形式であれば、レコード形式に限定されない。
【0053】
<判断部123の判断処理>
図6を参照して、判断部123の判断処理を説明する。
図6は、実施の形態1にかかる生体データ5の測定時間とイベントデータ8の発生時間とを時系列に示す図である。
図6では、時間の経過を示す時間軸上に、生体データ5の測定時間T1、T2、T4およびT6と、イベントデータ8のイベント発生時間T3とT5が示されている。
【0054】
(生体データ5が血圧値である場合の判断処理)
判断部123は、データ取得部121から受付けた生体データ5を、各生体データ5の測定時間T1、T2、T4およびT6に従い時系列に管理する。同様に、イベント取得部122から受付けた各イベントデータ8を、イベント発生時間T3およびT5に従い時系列に管理する。
【0055】
判断部123は、イベント取得部122からのイベントデータ8を受付ける毎に、受付けたイベントデータ8のイベント発生時間に基づき、上記の時系列の生体データ5を検索する。検索の結果に基づき、当該イベント発生時間の「前」を示す測定時間を有した生体データ5が取得されているかを判断する。より特定的には、判断部123は、時系列の生体データ5のうち、直前に受付けたイベントデータ8のイベント発生時間の「後」から今回受付けたイベントデータ8のイベント発生時間の間における測定時間を示す生体データ5があるか否かを判断する。
【0056】
図6の場合で説明すると、判断部123が、たとえば、イベント発生時間T3のイベントデータ8を受付けた場合は、時間T3に基づき、時系列の生体データ5を検索する。判断部123は、検索の結果に基づき、時間T3の「前」を示す測定時間T2を有した生体データ5が取得されていると判断する。同様にイベント発生時間T5のイベントデータ8を受付けた場合は、判断部123は、時間T5の「前」の測定時間T4を有した生体データ5が取得されていると判断する。
【0057】
これに対して、
図6によれば、仮に、イベント発生時間T1のイベントデータ8を受付けた場合は、判断部123は、時間T1に基づき、時系列の生体データ5を検索しても時間T1の「前」を示す測定時間を有した生体データ5が取得されていないと判断する。
【0058】
(生体データ5が歩数データである場合の判断処理)
実施の形態1では、血圧計21は、歩数の生体データ5を1時間毎に端末装置10に送信する。その場合は、判断部123は、上記に述べた血圧値と同様に、イベント取得部122からのイベントデータ8を受付ける毎に、受付けたイベントデータ8のイベント発生時間に基づき、上記の時系列の生体データ5を検索する。検索の結果に基づき、当該イベント発生時間の「前」を示す測定時間を有した生体データ5は取得されているか否かを判断する。
【0059】
図6の下段には、判断部123が、データ取得部121から1時間(1HR)毎に受付ける歩数の生体データ5を、時系列に従い管理する状態が示されている。
図6によれば、判断部123は、イベント発生時間T3のイベントデータ8を受付けたときは当該時間T3の「前」を示す5時間(5HR)目の歩数の生体データ5が取得されていると判断する。同様に、イベント発生時間T5のイベントデータ8を受付けたときは当該時間T5の「前」を示す9時間(9HR)目の歩数の生体データ5が取得されていると判断する。
【0060】
これに対して、
図6によれば、仮に、イベント発生時間T1のイベントデータ8を受付けた場合は、判断部123は、時間T1に基づき、時系列の生体データ5を検索しても時間T1よりも「前」を示す測定時間を有した生体データ5は取得されていないと判断する。
【0061】
なお、
図6では、判断部123は、イベントデータ8のイベント発生時間の「前」に測定された生体データ5が有るか否かを判断する構成としたが、イベントデータ8のイベント発生時間の「後」に測定された生体データ5が有るか否かを判断する構成としてもよい。または、判断部123は、「前」と「後」の両方について生体データ5が有るか否かを判断する構成であってもよい。
【0062】
<格納制御部124の格納処理>
図7は、実施の形態1にかかる格納制御部124によるメモリ154におけるデータの格納例を示す図である。ここでは、説明を簡単にするために、血圧値の生体データ5の格納例を示す。格納制御部124は、
図6で説明した判断部123の判断の結果に従い測定レコードR1を生成し、メモリ154に格納する。
【0063】
図7を参照して、メモリ154は、複数の測定レコードR1を格納する領域を有する。測定レコードR1は、血圧計21による測定データを格納するためにメタデータ領域E1と生体データ領域E2を含む。生体データ領域E2は、データ取得部121により取得される生体データ5を格納するための領域である。メタデータ領域E1は、生体データ領域E2に格納される生体データ5に関連するデータを格納するための関連領域に相当する。関連するデータは、生体データ5を補足するための補足データ6を含む。補足データ6は、生体データ領域E2の生体データ5を識別するためのID7を含む。ID7は、典型的には被測定者の識別子を含むが、これに限定されない。ユーザ毎に血圧計21および端末装置10が所有される場合には、ID7は血圧計21の識別子、端末装置10の識別子を含み得る。
【0064】
格納制御部124は、判断部123が、イベントデータ8を受付けたときに、
図6で説明したように、当該イベント発生時間の「前」において測定された生体データ5が有ると判断したときは、測定レコードR1の生体データ領域E2に「前」において測定された生体データ5を格納し、当該イベントデータ8をメタデータ領域E1にID7とともに格納する。
【0065】
イベントデータ8は、たとえばイベント種類を示し得るフラグ81、直前のイベント発生時間からの経過時間82および当該イベントの発生時間83を含む。なお、経過時間82を利用することにより、直前のイベントの発生時間83と経過時間82とから、今回のイベントの発生時間83を算出することが可能となる。これにより、メタデータ領域E1においてイベントの発生時間83を省略(格納しない)することが可能となり、メモリを節約することができる。
【0066】
また、判断部123が、「前」において測定された生体データ5は無いと判断したときは、格納制御部124は、イベントデータ8を測定レコードR1のメタデータ領域E1に格納するが、生体データ領域E2には生体データ5を格納しないとしてもよい。したがって、この測定レコードR1のメタデータ領域E1にはイベントデータ8とID7が格納されて、生体データ領域E2はデータが格納されない。または、格納制御部124は、イベントデータ8をイベント発生時間の直近(前後)の測定時間を示す生体データ5の測定レコードR1のメタデータ領域E1に格納するとしてもよい。
【0067】
このように、メモリ154において、イベントデータ8を、イベント発生時間よりも「前」に測定される生体データ5と紐付けて管理することが可能となる。
【0068】
<測定装置の処理フロー>
図8は、実施の形態1にかかる測定機器20の処理のフローチャートである。
図8の処理フローは、プログラムとしてメモリ部104に格納される。制御部101のCPUがプログラムを読出し、実行することにより、処理が実現される。
【0069】
図8を参照して、CPUは、血圧測定部111、加速度センサ110または操作部103からの出力を割込みとして処理する。CPUは、血圧測定部111または加速度センサ110からの生体情報を入力したとき(ステップS3で“測定”)、CPUは血圧測定部111または加速度センサ110からの生体情報(カフ圧または加速度成分)に基づき、生体データ5(血圧値または歩数)を取得し、取得された生体データ5を格納する(ステップS5)。
【0070】
CPUは、操作部103の出力からボタン157の操作内容を受付けたとき(ステップS3で“イベント”)、CPUはイベントデータ8を取得し、取得されたイベントデータ8を格納する(ステップS7)。
【0071】
<測定装置と端末装置の通信処理>
図9は、実施の形態1にかかる測定装置と端末装置の通信処理のフローチャートである。
図9の測定機器20側の処理フローは、プログラムとしてメモリ部104に格納される。制御部101のCPUがプログラムを読出し、実行することにより、処理が実現される。また、端末装置10側の処理フローは、プログラムとしてメモリ154に格納される。CPU152がプログラムを読出し、実行することにより、処理が実現される。両者の処理は、所定時間間隔で繰返し実施される。
【0072】
なお、測定機器20と端末装置10とはペリング処理を実施することにより、両者の間で通信が可能となる。ここでは、測定機器20として、血圧計21を説明する。
【0073】
まず、血圧計21の処理を説明する。
図9を参照して、血圧計21のCPUは、
図8で格納された生体データ5またはイベントデータ8を端末装置10に送信する時期であるか否かを判断する(ステップS11)。実施の形態1では、生体情報が測定される毎に、またはイベントが発生する毎に、送信時期であると判断する(ステップS11でYES)。CPUは、送信時期と判断しないときは(ステップS11でNO)、ステップS11を繰返す。
【0074】
CPUは、ステップS5,S7において格納された生体データ5またはイベントデータ8を読出し(ステップS13)、読出されたデータから送信データを生成し(ステップS15)、通信部107を介して端末装置10に送信する(ステップS17)。CPUは、処理を終了するか否かを判断する(ステップS19)。たとえば、CPUは、血圧計21の電源がオフされた時などは、処理を終了すると判断するが(ステップS19でYES)、処理を終了すると判断しない場合は(ステップS19でNO)、ステップS11に戻る。
【0075】
次に、端末装置10の処理を説明する。
図9を参照して、端末装置10のデータ管理部120は、通信部160を介して血圧計21から生体データ5またはイベントデータ8を受信するか否かを判断する(ステップS21)。データ管理部120は、生体データ5またはイベントデータ8を受信しないと判断するときは(ステップS21でNO)、ステップS21の処理を繰返す。
【0076】
一方、データ管理部120が、生体データ5またはイベントデータ8を受信したと判断したとき(ステップS21でYES)、データ取得部121またはイベント取得部122は、通信部160を介して受信したデータから、生体データ5またはイベントデータ8をそれぞれ取得する(ステップS23)。判断部123は、取得された生体データ5またはイベントデータ8を時系列に管理する。
【0077】
判断部123は、ステップS23で生体データ5が取得された場合には、
図6で説明した判断処理を実施する(ステップS25)。これにより、取得されたイベントデータ8のイベント発生時間の「前」に測定された生体データ5が有るか否かが判断される。
【0078】
格納制御部124は、判断部123がイベントデータ8の「前」に測定された生体データ5が有ると判断したときは、測定レコードR1の生体データ領域E2に生体データ5を格納し、対応のメタデータ領域E1にイベントデータ8を格納する(ステップS29)。一方、判断部123がイベントデータ8の「前」に測定された生体データ5は無いと判断したときは、格納制御部124は
、測定レコードR1のメタデータ領域E1にイベントデータ8を格納する(ステップS29)。この測定レコードR1の生体データ領域E2には、生体データ5は格納されない。または、イベントデータ8をイベント発生時間の直近(前後)の測定時間を示す生体データ5の測定レコードR1のメタデータ領域E1に格納するとしてもよい。
【0079】
データ管理部120は、処理を終了するか否かを判断する(ステップS31)。たとえば、端末装置10の電源がオフされた時などは、データ管理部120は、処理を終了すると判断するが(ステップS31でYES)、処理を終了すると判断しない場合は(ステップS31でNO)、ステップS21に戻る。
【0080】
なお、データ管理部120は、メモリ154の測定レコードR1のデータを暗号化処理するとしてもよい。この場合は、データ処理部125の各アプリケーションプログラムは、サーバ30から復号キーを受信し、受信した復号キーによりメモリ154のデータを読出し復号処理する。
【0081】
<表示例>
図10は、実施の形態1にかかるディスプレイ158の表示例を示す図である。
図10を参照して、データ処理部125は、測定レコードR1の生体データ領域E2の生体データ5を、対応のメタデータ領域E1に格納されるイベントデータ8と関連付けてディスプレイ158に表示する。
【0082】
具体的には、データ処理部125は、メモリ154の測定レコードR1を読出し、読出された測定レコードR1の内容に従い表示データを生成する。データ処理部125は、表示データに基づきディスプレイ158を駆動する。これにより、ディスプレイ158には、表示データに従う画像が表示される。
【0083】
図10のディスプレイ158の画面の上側の領域には、測定レコードR1の生体データ5と紐付けされたイベントデータ8とが、時系列に並んだリスト形式で表示される。また、同一画面の下側領域には、上側領域とは異なる態様でデータが表示される。具体的には、下側領域では、血圧値(収縮期血圧SYS、拡張期血圧DIA)が時系列に従う折れ線グラフで示されるとともに、折れ線グラフに関連づけて、イベント発生したタイミングにおいてイベントのマーク(薬のカプセルのマーク)が表示される。
【0084】
なお、上側領域の画像と、下側領域の画像とは異なる画面に表示されてもよい。なお、表示の態様は、生体データ5とイベントデータ8を測定時間(イベント発生時間)に従い関連付けて表示可能な態様であれば、リスト形式または折れ線グラフに限定されない。
【0085】
図10の画面によれば、服薬した後に測定される血圧値は比較的低いことが報知される。また、ユーザは、画面の情報から、処方箋に従って服薬していることを確認することができるとともに、服薬のし忘れの有無を確認することもできる。
【0086】
実施の形態1によれば、
図7で示されたように、端末装置10は、測定レコードR1においてイベントデータ8と、そのイベント発生時間の「前」において測定された生体データ5とを格納することにより、両者を紐付けて管理することができる。また、本来は補足データ6を格納するためのメタデータ領域E1に、イベントデータ8を格納することにより、イベントデータ8を格納するための領域を特別に準備する必要はなくなり、端末装置10のメモリ154を節約することができる。
【0087】
[実施の形態2]
実施の形態2は、実施の形態1の変形例を示す。実施の形態1では、端末装置10のデータ管理部120がイベントデータ8を生体データ5と紐付けるようにして管理したが、実施の形態2では、血圧計21のデータ管理部120Aが当該管理を実施する。
【0088】
図11は、実施の形態2にかかる血圧計21のデータ管理部120Aの構成を示す図である。
図11を参照して、制御部101のCPUは、データ管理部120Aとデータ処理部125Aを備える。
図11の各部の機能は、主に制御部101のCPUが実行するプログラムまたはプログラムと回路の組合せにより実現される。CPUは、メモリ部104を用いてデータを管理するデータ管理部120Aおよびメモリ部104のデータを処理するデータ処理部125Aを備える。データ処理部125Aは、メモリ部104に格納されているアプリケーションプログラムがCPUにより実行されることにより実現される。なお、アプリケーションプログラムは、外部の情報処理装置(たとえば、サーバ30など)から端末装置10を経由してメモリ部104に格納される。または、カードR/W部106を経由して外部の記憶媒体からメモリ部104に格納される。
【0089】
データ管理部120Aは、データ取得部121A、イベント取得部122A、判断部123A、およびメモリ部104へのデータの格納を制御する格納制御部124Aを備える。
【0090】
データ取得部121Aは、血圧計21から出力される生体情報(カフ圧または加速度成分)から、生体データ(血圧値または歩数)5を取得する。イベント取得部122Aは、操作部103からの操作内容に従い、ボタン157が操作されたときイベントデータ8を取得する。
【0091】
判断部123Aは、イベント取得部122Aによりイベントデータ8が取得された場合に、
図6で示したような時系列に管理される生体データ5に従い、当該イベントデータ8が示すイベント発生時間の「前」において測定された生体データ5が有るか否かを判断する。
【0092】
格納制御部124Aは、判断部123Aの判断結果に基づき、
図7で説明した手順に従う測定レコードR1を生成し、生成された測定レコードR1をメモリ部104に格納する。
【0093】
データ処理部125は、メモリ部104から測定レコードR1のデータを読出し、読出された生体データを処理する。この場合は、読出されたデータまたは処理結果は、通信部107を介して端末装置10に送信される、または表示部102を介して表示される(
図10参照)。
【0094】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、本来は補足データ6を格納するための測定レコードR1のメタデータ領域E1に、イベントデータ8を格納することにより、イベントデータ8を格納するための特別な領域を不要とすることができて、メモリを節約することができる。
【0095】
[実施の形態3]
実施の形態3では、上記の各実施の形態の変形例を説明する。上記の各実施の形態では、ユーザはボタン157を操作してイベント発生を指示したが、イベント発生の指示はボタン157の操作に限定されない。
【0096】
実施の形態3では、端末装置10はディスプレイ158にアイコンを表示する。ユーザがイベント発生時にアイコンをタッチすると、端末装置10に対してイベント発生を指示することができる。これにより、端末装置10は、アイコンがタッチされたときイベントデータ8を生成する。判断部123(123A)は、アイコンのタッチによる生成されたイベントデータ8を血圧計21から受信する生体データ5と紐付けする。このように、ディスプレイ158のアイコンをタッチする方法であっても、各実施の形態と同様の測定レコードR1を生成して格納することができる。
【0097】
[実施の形態4]
実施の形態4では、上記の各実施の形態の変形例を説明する。上記の各実施の形態では、イベントの種類は「服薬」の1種類であったが、実施の形態4では、複数種類のイベントデータ8を生体データ5に紐付ける。実施の形態4においても、ユーザは、イベントの発生を指示する場合に、イベントが発生する毎にボタン157を操作する。
【0098】
端末装置10のデータ管理部120(120A)は、複数種類のイベントを管理する。たとえば、処方箋に従い、ユーザは食後に服薬して血圧測定する場合には、データ管理部120には「食事」→「服薬」の‘順番データ’が登録される。判断部123(123A)は、イベントデータ8を取得した場合に、当該イベントデータの時系列に従い上記の‘順番データ’に基づき、イベントの種類を判断し、判断した種類(「食事」または「服薬」)のイベントデータ8として格納する。
【0099】
また、たとえば、ユーザは運動後に食事をするとの習慣があり、また処方箋に従い食後に服薬して血圧測定する場合には、データ管理部120(120A)には、「運動」→「食事」→「服薬」の‘順番データ’が登録される。判断部123(123A)は、イベントデータ8を取得した場合に、当該イベントデータの時系列に従い上記の‘順番データ’に基づき、イベントの種類を判断し、判断した種類(「運動」または「食事」または「服薬」)のイベントデータ8として格納する。
【0100】
なお、データ管理部120(120A)は、操作部156を介して受付けたユーザ操作内容から、上記の‘順番データ’を取得することができる。
【0101】
[実施の形態5]
実施の形態5では、複数種類のイベントが発生する場合に、判断部123(123A)は、データ取得部122(122A)によりイベントデータ8が取得される毎に、イベントデータ8のイベント発生時間の前後において測定された生体データ5のうち、当該イベントデータ8の種類に対応の生体データ5が測定されているか否かを判断する。
【0102】
この判断のために、ユーザは、操作部156(103)を操作して、生体データ5の種類と、イベント種類の対応付けの情報を端末装置10(血圧計21)に設定する。対応付け情報は、例えば「服薬」と「喫煙」のイベント種類に対応した生体データ5の種類として「血圧」を含む。また、「食事」のイベント種類に対応した生体データ5の種類として「歩数」を含む。
【0103】
実施の形態5では、判断部123(123A)は、イベント取得部122(122A)により「服薬」または「喫煙」にイベントデータ8が取得されると、上記の対応付け情報に従い、生体データ5として「血圧」が測定されているか否かを判断する。
【0104】
また、判断部123(123A)は、イベント取得部122(122A)により「食事」のイベントデータ8が取得されると、上記の対応付け情報に従い、生体データ5として「歩数」が測定されているか否かを判断する。
【0105】
[実施の形態6]
実施の形態6では、サーバ30のデータベース32において、生体データ5はイベントデータ8と紐付けて管理される。実施の形態6では、サーバ30のCPU301は、データ管理部120(120A)と同様の機能を備える。CPU301は、端末装置10を経由して、血圧計21から生体データ5またはイベントデータ8を受信すると、受信した生体データ5を、上記の各実施の形態と同様の形式(
図7参照)に従い、両者を紐付けてデータベース32に格納する。
【0106】
データベース32のデータは、端末装置10のデータ処理部125により、ブラウジング処理されて、ディスプレイ158に表示(
図10参照)され得る。
【0107】
[実施の形態7]
上述したフローチャートを用いて説明したイベントデータ8を生体データ5と紐付けて管理する方法は、プログラムとして提供することもできる。この方法を実現するためのプログラムは、血圧計21(測定機器20)のメモリ部104、端末装置10のメモリ154、サーバ30のメモリ部505に格納されており、CPUがメモリから当該プログラムを読出し、命令コードを実行することにより処理が実現される。
【0108】
血圧計21の場合、このプログラムは、通信部107を介して、通信回線を経由し、外部の情報処理装置(端末装置10など)からメモリ部104にダウンロードされることにより供給される。または、カードR/W106を介して外部の記憶媒体からメモリ部104にロードされる。
【0109】
端末装置10の場合、このプログラムは、通信部160を介して、通信回線を経由し、外部の情報処理装置(サーバ30など)からメモリ154にダウンロードされることにより供給される。または、メモリI/F164を介して記憶媒体165からメモリ154にロードされる。
【0110】
サーバ30の場合、このプログラムは、通信部506を介して、通信回線を経由し、外部の情報処理装置からメモリ部505にダウンロードされることにより供給される。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。