(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記凸条部は上記電子部品の押圧面が断面円弧状に形成され、上記凹条部は上記基板を支持する底面が断面円弧状に形成されている請求項1又は2に記載の接続体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術が適用された接続体の製造方法、接続方法、接続装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本技術は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0022】
[接続装置]
図1、
図2に示すように、本技術が適用された接続装置1は、基板上に未硬化の接着剤を介して略矩形状の電子部品が搭載された仮接続体を熱加圧することにより、当該接着剤を介して電子部品が回路基板上に接続された接続体を形成するものであり、仮接続体が載置されるステージ2と、ステージ2上に載置された仮接続体の電子部品を加熱押圧する熱圧着ヘッド3とを備える。以下では、電子部品として矩形状のICチップ11を用い、電子部品が実装される回路基板としてガラス基板12を用いた場合を例に説明するが、本技術は、これに限らず、COG、FOG、COB、COF、FOB等のその他の実装にも適用することができる。
【0023】
[熱圧着ヘッド]
ICチップ11を熱加圧する熱圧着ヘッド3は、例えばステンレス等の金属材料からなるもので、その内部には図示しないヒーターが設けられており、ステージ2に対して上下動するように構成されている。
【0024】
また、熱圧着ヘッド3は、ICチップ11の幅方向にわたって隆起する凸条部5がICチップ11の長手方向に沿って連続して設けられている。凸条部5は、ICチップ11の被押圧面11aを押圧する側の面が円弧状に形成されている。また、凸条部5は、断面視で左右対称の稜線形状を有していてもよい。
【0025】
なお、熱圧着ヘッド3の凸条部5の大きさ(押圧方向についての面積)は、ICチップ11の被押圧面11aの大きさ(面積)より若干大きくなるように設定されている。また、凸条部5の高さHは、特に限定されることはないが、0.1〜100μmとすることが好ましい。ここで、凸条部5の高さとは、
図2に示すように、ICチップ11の被押圧面11a側に向けられ断面円弧状の押圧面を有する凸条部5の基部5bから頂部5aまでの高さをいう。また、凸条部5の幅は、ICチップ11の幅と同じ幅でもよいが、ICチップ11の幅以上であることが好ましい。より好ましくは、ICチップの幅に対して100%より大きく300%以下である。300%より大きくすると、接続時のICチップ11と凸条部5との位置調整が困難になる。また、熱圧着ヘッド3の熱やICチップ11に伝わる熱が安定しないことが懸念される。これは連続的に接続する際に特に懸念され、接続体の生産の上では好ましくない。凸条部5の曲率は特に制約はないが、凸条部5の曲率と後述する凹条部6の曲率を同一としてもよい。熱圧着ヘッド3は、凸条部5の曲率が大きくなるにつれて、仮接続体7をより深く押し込むことができる。
【0026】
[ステージ]
ステージ2は、例えばステンレス等の金属材料からなるもので、所定の位置に設置固定されている。また、ステージ2の熱圧着ヘッド3と対向する側の部位には、平面状に形成された上側面2aの例えば中央部分に、凹溝形状の凹条部6が設けられている。凹条部6は、凸条部5の長手方向(
図1中矢印L1方向)と平行に形成された長方形状で、底面が円弧状に形成されている。また、凹条部6は、断面視で左右対称に形成してもよい。
【0027】
また、凹条部6の大きさ(押圧方向についての面積)は、電子部品11の被押圧面11aの大きさ(面積)より若干大きくなるように設定されている。また、凹条部6の深さDは、特に限定されることはないが、0.1〜20μmとすることが好ましい。
【0028】
なお、凹条部6は、熱圧着ヘッド3の凸条部5が嵌合するように凸条部5と相似形状とすることが好ましく、熱圧着ヘッド3による押圧時に仮接続体7のガラス基板12が凹条部6に支持されるように、凹条部6の深さと凸条部5の高さとが略同等となることが好ましい。
【0029】
なお、凹条部6は、仮接続体が載置される上側面がフラットであるステージを加工することで容易に作成することができる。
【0030】
このような接続装置1は、ステージ2の凹条部6上に、ICチップ11の長手方向を凹条部6の長手方向(
図1中矢印L2方向)と平行となるように仮接続体7が配置され、熱圧着ヘッド3の凸条部5でICチップ11を長手方向にわたって加熱押圧することにより接続体10を形成することができる。
【0031】
[接続体]
次いで、接続装置1によって製造される接続体10について説明する。
図3に示すように、接続体10は、ICチップ11等の電子部品をガラス基板12等の回路基板上に異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)30等の導電粒子を含有した接着剤を介して接続した接続体である。接続体10は、緩衝材13を介してICチップ11を熱圧着ヘッド3によってガラス基板12上に加熱押圧することにより、ICチップ11の実装面に設けられた入出力バンプ14,15とガラス基板12に設けられた入出力端子16,17とを導電接続したものである。
【0032】
ここで、電子部品とは、熱圧着ヘッド3によって押圧される側に配置される電子部品を指し、一般的にICチップやLSIチップ、FPC等である。回路基板とはステージ2に配置され電子部品からの加圧を受けるものであり、一般的に回路を備えたガラス基板やプラスチック基板、ガラスエポキシ基板等である。ガラス基板やプラスチック基板などの透明基板であれば、基板側から光を照射することもできる。なお、接続体としての性能が満足できて撓むことが可能であれば、回路基板の材質に制限はない。従って、回路基板はセラミック基板であってもよい。また、接続体10としては、同一の回路を備えた電子部品(基板)同士を接続したものでもよいため、回路基板がICチップ11であってもよい。また、回路基板を多層化して接続してもよい。例えば、回路基板として、ICチップ11を多層にスタックしたものを用いてもよい。
【0033】
[ICチップ]
ICチップ11は、一面11aが入出力バンプ14,15が配列され異方性導電フィルム30を介してガラス基板12へ実装される実装面とされ、一面11aと反対側の他面11bが熱圧着ヘッド3によって加熱押圧される押圧面とされる。
【0034】
ICチップ11は、例えばシリコン基板からなる基板に半導体回路が形成されるとともに、基板の一面に入出力バンプ14,15が形成された素子である。ICチップ11は、シリコンウェハ上に複数形成され、ダイシングによって個片化されることにより形成される。また、ICチップ11は、ガラスエポキシやセラミック基板等の絶縁基板上に回路が形成されたパッケージ部品でもよい。
【0035】
図4に示すように、ICチップ11は、略矩形状をなし、長さ方向となる相対向する一対の側縁11c,11dに沿って、出力バンプ14が配列された出力バンプ領域20及び入力バンプ15が配列された入力バンプ領域21が形成されている。ICチップ11は、出力バンプ領域20がICチップ11の一方の側縁11c側に形成され、入力バンプ領域21がICチップ11の他方の側縁11d側に形成されている。これにより、ICチップ11は、幅方向に亘って出力バンプ領域20と入力バンプ領域21とが離間して形成され、中央部にバンプが形成されていないバンプ間領域22が設けられている。
【0036】
出力バンプ領域20には、複数の出力バンプ14がICチップ11の長手方向に沿って配列されることにより、例えば一方の側縁11c側から順に2列の出力バンプ列14A、14Bが形成されている。また、各出力バンプ列14A、14Bの出力バンプ14は、千鳥状に配列されている。
【0037】
また、入力バンプ領域21には、例えば複数の入力バンプ15が、ICチップ11の長手方向に沿って1列で配列された入力バンプ列15Aが形成されている。なお、入力バンプ15は、出力バンプ14よりも大きく形成されている。これにより、ICチップ11は、出力バンプ領域20と入力バンプ領域21とが面積差を有するとともに、非対称に配置されている。なお、入出力バンプ14,15は、互いに同一サイズ、同一面積で形成してもよく、対称に配置されていてもよい。
【0038】
入出力バンプ14,15は、例えば銅バンプや金バンプ、あるいは銅バンプに金メッキを施したもの等が好適に用いられる。また、入出力バンプ14,15は、ガラス基板12に設けられている入出力端子16,17に応じた配置で設けられ、ICチップ11がガラス基板12に位置合わせされて接続されることにより、異方性導電フィルム30を介して入出力端子16,17と接続される。
【0039】
なお、入出力バンプ14,15の配列は、
図4に示す以外にも、一方の側縁に一又は複数列で配列され、他方の側縁に一又は複数列で配列されるいずれの構成であってもよい。また、入出力バンプ14,15は、一列配列の一部が複数列となってもよく、複数列の一部が一列となってもよい。さらに、入出力バンプ14,15は、複数列の各列が平行且つ隣接する電極端子同士が並列するストレート配列で形成されてもよく、あるいは複数列の各列が平行且つ隣接する電極端子同士が均等にズレる千鳥配列で形成されてもよい。
【0040】
なお、近年の液晶表示装置その他の電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に伴い、ICチップ1等の電子部品も小型化、低背化、低コスト化が求められ、入出力バンプ14,15も、その高さが低くなっている(特に限定されないが、例えば3〜15μm)。
【0041】
[回路基板]
ガラス基板12は、接続体10の用途に応じて選択されるものであり、例えば、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、フレキシブル基板等、その種類は問わない。ガラス基板12は、ICチップ11に設けられた入出力バンプ14,15と接続される入出力端子16,17が形成されている。入出力端子16,17は、入出力バンプ14,15の配列と同じ配列を有する。
【0042】
[アライメントマーク]
なお、ICチップ11及びガラス基板12は、重畳させることによりガラス基板12に対するICチップ11のアライメントを行う図示しないアライメントマークが設けられている。基板側アライメントマーク及びIC側アライメントマークは、組み合わされることによりガラス基板12とICチップ11とのアライメントが取れる種々のマークを用いることができる。ガラス基板12の入出力端子の配線ピッチやICチップ11の入出力バンプ14,15のファインピッチ化が進んでいることから、ICチップ1とガラス基板12とは、高精度のアライメント調整が求められることが多い。
【0043】
[ダミーバンプ]
また、ICチップ11は、バンプレイアウトや製造工数の制約が許せば、出力バンプ領域20と入力バンプ領域21との間に、信号等の入出力には使用しないいわゆるダミーバンプを適宜設けてもよい。但し、ダミーバンプを設ける工数が増えるためコストの上昇にはつながる。これは、過度な押圧による電子部品のたわみを防止するためである。本発明では、たわみを制御させるため、このようなダミーバンプを設けることを抑制できる効果が期待できる。即ち、電子部品、特に比較的高価なICチップに対してのコスト上昇を抑制できる。
【0044】
[接着剤]
ICチップ11をガラス基板12に接続する接着剤としては、異方性導電フィルム30を好適に用いることができる。異方性導電フィルム30は、
図5(A)に示すように、通常、基材となるベースフィルム31上に導電粒子32を含有するバインダー樹脂33が積層されたものである。異方性導電フィルム30は、
図1に示すように、ガラス基板12とICチップ11との間にバインダー樹脂33を介在させることで、ガラス基板12とICチップ11とを接続させるとともに、入出力バンプ14,15と入出力端子16,17とで導電粒子32を挟持させ、導通させるために用いられる。このような用途における接着剤としては、異方性導電フィルム30の他、バインダー樹脂に導電粒子を含有した、異方性導電ペーストが好ましい。また、異方性接続に用いない場合には、導電粒子を含有させる必要はない。
【0045】
バインダー樹脂33の接着剤組成物は、例えば膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダー成分からなる。
【0046】
膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が好ましい。
【0047】
熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば市販のエポキシ樹脂やアクリル樹脂等を用いることができる。
【0048】
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0049】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、加熱硬化型の硬化剤が挙げられる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、熱、光、加圧等の用途に応じて選択される各種のトリガにより活性化し、反応を開始する。熱活性型潜在性硬化剤の活性化方法には、加熱による解離反応などで活性種(カチオンやアニオン、ラジカル)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤を高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる溶出・硬化方法等が存在する。熱活性型潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等や、これらの変性物があり、これらは単独でも、2種以上の混合体であってもよい。ラジカル重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、中でも有機過酸化物を好ましく使用することができる。
【0051】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0052】
[導電粒子]
バインダー樹脂33に含有される導電粒子32としては、異方性導電フィルムにおいて使用されている公知の何れの導電粒子を挙げることができる。すなわち、導電粒子としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。導電粒子32の大きさは1〜10μmが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0053】
バインダー樹脂33を構成する接着剤組成物は、このように膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する場合に限定されず、通常の異方性導電フィルムの接着剤組成物として用いられる何れの材料から構成されるようにしてもよい。
【0054】
バインダー樹脂33を支持するベースフィルム31は、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等にシリコーン等の剥離剤を塗布してなり、異方性導電フィルム30の乾燥を防ぐとともに、異方性導電フィルム30の形状を維持する。
【0055】
異方性導電フィルム30は、何れの方法で作製するようにしてもよいが、例えば以下の方法によって作製することができる。膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤、導電粒子32等を含有する接着剤組成物を調整する。調整した接着剤組成物をバーコーター、塗布装置等を用いてベースフィルム31上に塗布し、オーブン等によって乾燥させることにより、ベースフィルム31にバインダー樹脂33が支持された異方性導電フィルム30を得る。
【0056】
なお、異方性導電フィルム30の形状は、特に限定されないが、例えば、
図5(A)に示すように、巻取リール37に巻回可能な長尺テープ形状とし、所定の長さだけカットして使用することができる。また、異方性導電フィルム30はバインダー樹脂33のベースフィルム31に支持されていない面に図示しない剥離フィルムが積層されていてもよい。
【0057】
[導電粒子非接触型ACF・配置型ACF]
ここで、異方性導電フィルム30は、平面視において、バンプ面積やレイアウトに応じて互いに非接触で独立して存在した導電粒子32が遍在されているものを用いてもよい。また、このような導電粒子32が互いに非接触で独立して存在する状態は、導電粒子32を意図的に所定の距離以上(例えば導電粒子径の0.5倍以上)で離間させたものでもよく、あるいは規則的に配置して作成してもよい。なお、導電粒子32は複数個で接触又は配列したユニットを形成していてもよく、この導電粒子ユニットは単一の導電粒子と同様に、他のユニットに対して互いに非接触で独立して配置される。これら導電粒子32や導電粒子ユニットの規則的な配置の一例として、正方格子状や斜方格子形状、六方格子状等が挙げられるが、規則的な配置はこれに限定されるものでもない。
【0058】
このように導電粒子が非接触して個々に独立して存在している、もしくは配置されている場合、バンプ毎における導電粒子の押し込みの状態は容易に把握しやすくなる。そのためこのような異方性導電フィルムを用いることで接続条件の事前準備(条件出し)が容易になる効果が期待できる。
【0059】
導電粒子32が平面視において互いに非接触で独立して存在することにより、異方性導電フィルム30は、導電粒子32がバインダー樹脂中に混練りされてランダムに分散されて、導電粒子の分布に疎密が生じている場合に比して、個々の導電粒子32の捕捉される確率が向上するため、同一の高集積なICチップ11を異方性接続する場合、導電粒子32の配合量を減少させることができる。これにより、導電粒子32がバインダー樹脂中に混練りされてランダムに分散される場合は、導電粒子数が一定量以上必要になることから接続後では隣接する入力バンプ3間や出力バンプ5間のスペースにおいて導電粒子の個数密度が局所的に高くなった集合体を形成することで、ごくごくまれではあるがバンプ間スペースにおける連結の発生が懸念されていた。しかし、平面視において互いに非接触で独立した状態にすることで、導通に必要な数だけ導電粒子を設ければよいので、このようなバンプ間ショートの発生を抑制させることができ、また入出力バンプ14,15と入出力端子16,17間の導通に寄与しない導電粒子32の数を低減させることができる。また、導電粒子の個数を減らせればコスト削減の効果が期待できる。
【0060】
また、導電粒子32の粒子個数密度を低くすることができることから、ICチップ11は、入出力バンプ14,15の高さを低くすることができ、さらなる小型化、薄型化を実現することができる。すなわち、接続体10は、導電粒子32の粒子個数密度が低くなることから、接続後では狭小化された隣接する入出力バンプ14,15間のスペースにおいても、バンプ間ショートの発生リスクを低減させることができる。また、入出力バンプ14,15の低背化に応じてバインダー樹脂33の厚みを薄くでき、ICチップ11の押し込み量及び押圧に要する力を低減できることから、導電粒子32の配列への影響を抑えることができる。したがって、接続体10は、導電粒子32の流動が抑えられほぼ配列パターンの通りに押圧されるため、ファインピッチ化された入出力バンプ14,15及び入出力端子16,17間においても、粒子を捕捉できるとともに、バンプ間ショートの発生を低減させることができる。
【0061】
また、異方性導電フィルム30は、平面視において互いに非接触で独立した導電粒子32が遍在することにより、バインダー樹脂33に高密度に充填した場合にも、フィルム面内における導電粒子32の疎密の発生が防止されている。したがって、導電粒子32が互いに非接触で独立して配列された異方性導電フィルム30によれば、接続後ではファインピッチ化された入出力端子16,17や入出力バンプ14,15においても導電粒子32の捕捉率を向上することができる。
【0062】
このような異方性導電フィルム32は、例えば、延伸可能なシート上に粘着剤を塗布し、その上に導電粒子32を単層配列した後、当該シートを所望の延伸倍率で延伸させてバインダー樹脂33に転写する方法、導電粒子32を基板上に所定の配列パターンに整列させた後、ベースフィルム31に支持されたバインダー樹脂33に導電粒子32を転写する方法、あるいはベースフィルム31に支持されたバインダー樹脂33上に、配列パターンに応じた開口部が設けられた配列板を介して導電粒子32を供給する方法等により製造することができる。なお、異方性導電フィルム32の製法は、特に限定されるものではない。
【0063】
[積層ACF]
ここで、本技術に係る異方性導電フィルムは、
図5(B)に示すように、バインダー樹脂33のみからなる絶縁性接着剤層34と導電粒子32を含有したバインダー樹脂33からなる導電粒子含有層35とを積層した構成としてもよい。
図5(B)に示す異方性導電フィルム36は、ベースフィルム31に絶縁性接着剤層34が積層され、絶縁性接着剤層34に導電粒子含有層35が積層され、導電粒子含有層35側をガラス基板12に貼付し、絶縁性接着剤層34側からICチップ11が搭載される。なお、異方性導電フィルム36は、導電粒子含有層35に図示しない剥離フィルムが積層され、リール状に巻回されて用いられる。
【0064】
異方性導電フィルム36は、例えば絶縁性接着剤層34の最低溶融粘度が導電粒子含有層35の最低溶融粘度より低い等により、絶縁性接着剤層34の流動性が導電粒子含有層35の流動性よりも高い。したがって、異方性導電フィルム36は、ガラス基板12とICチップ11との間に介在され、熱圧着ヘッド3によって加熱押圧されると、先ず溶融粘度の低い絶縁性接着剤層34がガラス基板12とICチップ11との間に充填される。溶融粘度の高い導電粒子含有層35は流動性が低いため、加熱押圧によりバインダー樹脂33がガラス基板12とICチップ11との間で溶融した場合にも、導電粒子32の流動が抑制される。また、先に流動しガラス基板12とICチップ11との間に充填された絶縁性接着剤層34が硬化反応を開始することによっても導電粒子32の流動が抑制される。したがって、接続体10は、導電粒子32の個数密度が隣接する出力バンプ14の間や入力バンプ15の間で局所的に高くなることなくバンプ間ショートの発生を低減させることができる。
【0065】
絶縁性接着剤層34、導電粒子含有層35、及び異方性導電フィルム36の最低溶融粘度範囲の一例を挙げると、絶縁性接着剤層34の最低溶融粘度範囲は1〜1×10
4Pa・S、導電粒子含有層35の最低溶融粘度範囲は10〜1×10
5Pa・S、異方性導電フィルム36全体の最低溶融粘度範囲は10〜1×10
5Pa・Sである。もちろん絶縁性接着剤層34、導電粒子含有層35、及び異方性導電フィルム36の最低溶融粘度範囲は、ここにあげた範囲に限定されるものではない。
【0066】
なお、異方性導電フィルム36は、導電粒子含有層35のみが積層されたものであってもよい。この場合、各導電粒子含有層35の流動性は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0067】
なお、異方性導電フィルム36においても、導電粒子含有層35に導電粒子32を平面視において互いに非接触で独立して配列させることにより、接続後ではファインピッチ化された入出力バンプ14,15及び入出力端子16,17間においても、粒子捕捉率を向上させるとともに、導電粒子32の個数密度が隣接する出力バンプ3の間や入力バンプ5の間で局所的に高くなることなくバンプ間ショートの発生を低減させることができる。
【0068】
なお、上述の実施の形態では、異方性導電接着剤として、バインダー樹脂33に適宜導電粒子32を含有した熱硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形した異方性導電フィルム30,36を例に説明したが、本技術に係る接着剤は、これに限定されず、例えばバインダー樹脂33のみからなる絶縁性接着フィルムでもよい。また、異方性導電接着剤は、このようなフィルム成形されてなる接着フィルムに限定されず、バインダー樹脂組成物に導電粒子32が分散された導電性接着ペースト、あるいはバインダー樹脂組成物のみからなる絶縁性接着ペーストとしてもよい。本技術に係る異方性導電接着剤は、上述したいずれの形態をも包含するものである。
【0069】
[接続工程]
次いで、ガラス基板12にICチップ11を接続する接続工程について説明する。先ず、ガラス基板12の入出力端子16,17が形成された実装面上に異方性導電フィルム30を仮貼りする。次いで、このガラス基板12を図示しない接続装置のステージ上に載置し、ガラス基板12の実装面上に異方性導電フィルム30を介してICチップ11を配置し、仮接続体7を形成する。
【0070】
導電粒子含有層35と絶縁性接着剤層34とが積層された異方性導電フィルム36を用いる場合は、導電粒子含有層35側をガラス基板12に貼付し、縁性接着剤層34側からICチップ1を配置して仮接続体7を形成する。
【0071】
次いで、
図1、
図2に示すように、ICチップ11の長手方向を凹条部6の長手方向と平行となるように仮接続体7を凹条部6上に配置する。このとき、仮接続体7は、ガラス基板12がステージ2の上側面2aに載置され、ICチップ11の実装部位が凹条部6の両側にわたって支持される。
【0072】
次いで、
図6に示すように、バインダー樹脂33を硬化させる所定の温度に加熱された熱圧着ヘッド3によって、緩衝材13を介してICチップ11の押圧面となる他面11b上を所定の圧力、時間で熱加圧する。仮接続体7は、ICチップ11の被押圧面11aが凸条部5によって長手方向にわたって加熱押圧され、ICチップ11の幅方向にわたって円弧状に撓まされる。これにより、仮接続体7は、ICチップ11及びガラス基板12が、ICチップ11の幅方向の両側においても略平行に熱加圧され、ICチップ11の幅方向の内外にわたって略均一に押圧される。
【0073】
また、異方性導電フィルム30のバインダー樹脂33は流動性を示し、ICチップ11とガラス基板12の間から流出するとともに、バインダー樹脂33中の導電粒子32は、出力バンプ14と出力端子16との間、及び入力バンプ15と入力端子17との間に挟持されて押し潰される(
図3参照)。
【0074】
また、絶縁性接着剤層34と導電粒子含有層35とが積層された異方性導電フィルム36では、低溶融粘度の絶縁性接着剤層34が先にICチップ11とガラス基板12との間に充填し、導電粒子32の流動を抑制する。これにより、接続後の導電粒子32がファインピッチ化された入出力バンプ14,15と入出力端子16,17との間に捕捉されるとともに、隣接する入出力バンプ14,15間のスペースにおいても個数密度が局所的に高くなることなく、バンプ間ショートが防止される。
【0075】
その結果、入出力バンプ14,15と入出力端子16,17との間で導電粒子32を挟持することによりICチップ11とガラス基板12とが電気的に接続され、この状態で熱圧着ヘッド3によって加熱されたバインダー樹脂33が硬化し、接続体10が形成される。
【0076】
接続体10は、入出力バンプ14,15とガラス基板12の入出力端子16,17との間にない導電粒子32がバインダー樹脂33に分散されており、電気的に絶縁した状態を維持している。これにより、ICチップ11の入出力バンプ14,15とガラス基板12の入出力端子16,17との間のみで電気的導通が図られる。なお、バインダー樹脂として、ラジカル重合反応系の速硬化タイプのものを用いることで、短い加熱時間によってもバインダー樹脂を速硬化させることができる。
【0077】
接続装置1を用いて製造された接続体10は、ICチップ11及びガラス基板12がICチップ11の幅方向にわたって凹条部6側に撓まされることにより、ICチップ11の長手方向にわたる反りも抑制される。したがってガラス基板12が例えばLCDパネル等の表示パネルの透明基板を構成する場合においても、液晶表示部に対する反りの影響が抑えられ、表示ムラを防止することができる。
【0078】
また、ガラス基板12にICチップ11が異方性導電接続された接続体10は、ICチップ11及びガラス基板12がICチップ11の幅方向にわたって凹条部6側に撓まされることから、出力バンプ列14A,14Bの各出力バンプ14が均一の圧力で押圧されている。したがって、接続体10は、ICチップ11の幅方向の外側に設けられた出力バンプ列14Aにおける圧痕と、内側に設けられた出力バンプ列14Bにおける圧痕が略同等に現れ、接続信頼性が維持されていることが分かる。
【0079】
また、仮接続体7は、熱圧着ヘッド3の加熱押圧による割れを防止する観点から、回路基板としてガラス基板12を用いる場合、基板厚みを1.1mm以下とすることが好ましく、また、ICチップ11の厚みを0.5mm以下とすることが好ましい。
【0080】
また、凹条部6は、ICチップ11の幅よりも幅広とすることにより、ICチップ11の幅方向の外側縁に配列された出力バンプ14まで均一に押圧することができる。ICチップ11の幅に対して凹条部6の幅は100%より大きくすることが好ましく、上限は特にないが、ガラス基板のみでステージ2に設置できることが好ましいため、凹条部6上に架け渡されるガラス基板12の(架け渡される)辺の長さより小さいことが実用上は好ましい。ただし、ガラス基板12は、必ずしも凹条部6の両側に架け渡されている必要はなく、ICチップ11の熱加圧時等にガラス基板の一方の端部が凹条部6内に入り込んでもよい。
【0081】
また、仮接続体7は、ステージ2へ載置された際に、凹条部6への撓みを加味したうえで、熱圧着ヘッド3による加熱押圧によってもステージ2の上側面2aにガラス基板12の端部が載置され凹条部6に脱落しないようなステージ2への載置スペースを有することが好ましい。また、ガラス基板12の端部には、当該載置スペースとして機能する、FPC等が実装される実装部を設けてもよい。なお、凹条部6とICチップ11の中心がそれぞれに合致していれば実用上問題はない。
【0082】
[凹条部の深さ]
なお、凹条部6の深さDは、凸条部6の高さHよりも深くしてもよいが、熱圧着ヘッド3による加熱押圧時には、ガラス基板12は凹条部6に接することが好ましい。このようにすることで、バンプの端部にまで加圧が十分にかかり、導電粒子の挟持状態が均一になり易い。
【0083】
すなわち、接続体10は、ICチップ11が接続された領域がステージ2によって接続前は接触して支持されていないため、ステージ2からの余熱の影響が排除されることになる。また、熱圧着ヘッド3による加熱押圧時の温度プロファイルの計測もステージ2からの余熱の影響を排除した形で行うこともできる。これらのことから、接続を連続して行う場合には、個々の接続状態が安定する効果が見込める。
【0084】
[光照射装置]
また、
図7に示すように、異方性導電フィルム30,36としては、熱硬化型に限らず、加圧接続を行うものであれば、光硬化型もしくは光熱併用型の接着剤を用いるとともに、凹条部6の底面に光照射装置9を設け、熱圧着ヘッド3による熱加圧時とともに、ガラス基板12の裏面側から光を照射して、異方性導電フィルム30,36のバインダー樹脂を硬化させてもよい。
【実施例】
【0085】
次いで、本技術の実施例について説明する。本実施例では、接続装置として、凸条部が設けられた熱圧着ヘッド及び凹条部が設けられたステージを備えた接続装置(
図1参照)と、押圧面がフラットな熱圧着ヘッド及び載置面がフラットなステージを備えた接続装置(
図8参照)を用いて接続体を製造し、ICチップの幅方向の端部に配列された2つのバンプ列間における圧痕の均一性、ガラス基板の反りの程度及び割れの発生の有無について評価した。
【0086】
[異方性導電フィルム]
評価用ICの接続に用いる異方性導電フィルムのバインダー樹脂層は、フェノキシ樹脂(商品名:PKHH、巴化学工業株式会社製)25質量部、液状エポキシ樹脂(商品名:4032D、DIC株式会社製)10質量部、シランカップリング剤(商品名:A−187、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)33質量部、アミン系硬化剤(商品名:PHX3941HP、旭化成株式会社製、イミダゾール硬化剤)2質量部を溶剤に加えたバインダー樹脂組成物を調整し、このバインダー樹脂層に、導電粒子(平均粒径3μm、Niメッキ樹脂粒子)を所定の粒子密度(約50000個/mm
2)で分散させた後、このバインダー樹脂組成物を剥離フィルム上に塗布、70℃オーブンにて乾燥することにより厚さ20μmに形成した。
【0087】
[評価用IC]
評価素子として、外形;1.4mm×20mm、厚み0.2mm、バンプ(Au‐plated);幅15μm×長さ100μm、高さ12μm、バンプピッチ14μmの評価用ICを用いた。評価用ICは、略矩形状をなし、長さ方向となる相対向する一対の側縁に沿って、バンプが配列されたバンプ列が設けられている。また、一方の側縁側には、2列のバンプ列が幅方向に並列して設けられている。
【0088】
[評価用ガラス基板]
評価用ICが接続される評価用ガラス基板として、外形;30mm×50mm、厚み0.5mmのAlコートガラスを用いた。
【0089】
この評価用ガラス基板に異方性導電フィルムを仮貼りした後、評価用ICを搭載し、熱圧着ヘッドにより200℃、60MPa、5secの条件で熱圧着することにより接続体サンプルを作成した。
【0090】
評価用ICを接続した各接続体サンプルについて、評価用ガラス基板の裏面から金属顕微鏡により目視で観察し、一方の側縁側に幅方向に並列された2列のバンプ列における圧痕の均一性を評価した。圧痕が均一に現れている場合をOK、圧痕が不均一に現れている場合をNGとした。圧痕の均一性は、接続後に導電粒子が十分に押し込まれ導通性を確保されているか否かを検査するものであり、評価用ガラス基板に現れる導電粒子の押圧痕を評価用ガラス基板の裏面から目視で観察する外観検査により行い、一方の側縁側に幅方向に並列された2列のバンプ列における圧痕を比較して、略同様の状態となっているか否かにより評価した。
【0091】
また、各接続体サンプルについて、評価用ガラス基板の長辺方向にわたる反り量(μm)を表面粗さ測定機(小坂研究所製)によって測定した。反り量が25μm未満をOK、反り量が25μ以上をNGと評価した。
【0092】
さらに、各接続体サンプルについて、評価用ガラス基板の割れの有無を評価した。評価用ガラス基板に割れが生じなかった場合をOK、割れが生じた場合をNGと評価した。
【0093】
[実施例1]
実施例1では、凸条部が設けられた熱圧着ヘッド及び凹条部が設けられたステージを備えた接続装置を用いた。凸条部の高さは0.1μm、凹条部の深さは0.1μmである。評価用IC及び評価用ガラス基板の各厚みは0.3mmである。
【0094】
[実施例2]
実施例2では、凸条部の高さが20μm、凹条部の深さが1μmの接続装置を用いた他は実施例1と同じ条件とした。
【0095】
[実施例3]
実施例3では、凸条部の高さが100μm、凹条部の深さが20μmの接続装置を用いた他は実施例1と同じ条件とした。
【0096】
[実施例4]
実施例4では、凸条部が設けられた熱圧着ヘッド及び凹条部が設けられたステージを備えた接続装置を用いた。凸条部の高さは10μm、凹条部の深さは10μmである。また、評価用ICの厚みは0.3mm、評価用ガラス基板の厚みは0.1mmである。
【0097】
[比較例1]
比較例1では、凸条部の高さが200μm、凹条部の深さが50μmの接続装置を用いた他は実施例1と同じ条件とした。
【0098】
[比較例2]
比較例2では、凸条部の高さが0.05μm、凹条部の深さが0.05μmの接続装置を用いた他は実施例1と同じ条件とした。
【0099】
[比較例3]
比較例3では、ICチップの押圧面がフラットに形成された熱圧着ヘッド及びガラス基板の載置面がフラットに形成されたステージを備えた接続装置を用いた。また、評価用ICの厚みは0.5mm、評価用ガラス基板の厚みは0.5mmである。
【0100】
[比較例4]
比較例4では、評価用ICの厚みが0.3mm、評価用ガラス基板の厚みが0.3mmである他は、比較例3と同じ条件とした。
【0101】
【表1】
【0102】
表1に示すように、実施例1〜4に係る接続体サンプルでは、評価用ICの幅方向の側縁側に並列された2列のバンプ列の各バンプ間における圧痕が均一に現れ、均等に押圧されていることが分かった。また、実施例1〜4に係る接続体サンプルでは、長辺方向にわたる反り量が25μm未満であり、ガラス基板の割れも発生しなかった。
【0103】
これは、熱圧着ヘッドにICチップの幅方向にわたって隆起する凸条部を設けるとともに、ステージに熱圧着ヘッドの凸条部に対応してICチップの幅方向にわたって凹む凹条部を設けているため、ICチップが凸条部によって長手方向にわたって加熱押圧され、ICチップの幅方向にわたって円弧状に撓まされる。これにより、実施例1〜4に係る仮接続体は、ICチップ及びガラス基板が、ICチップの幅方向の両側においても略平行に熱加圧され、ICチップの幅方向の内外にわたって略均一に押圧されたことによる。
【0104】
なお、評価用ICの長手方向にわたる一方の側縁側に配列されたバンプと他方の側縁側に配列されたバンプについて、長手方向の略同じ位置における圧痕を比較検査したところ、両側縁のバンプ間においても圧痕が略均一に現れた。すなわち、実施例1〜4に係る接続体サンプルでは、評価用ICの幅方向の両側縁にわたっても、均等に押圧されていることが分かる。
【0105】
また、実施例1〜4に係る接続体サンプルでは、凸条部の高さを100μm以下、凹条部の深さを20μm以下としているため、ガラス基板が過剰に屈曲されることなく、基板割れは発生しなかった。
【0106】
一方、比較例1では、凸条部の高さを200μm、凹条部の深さを50μmとしたため、熱圧着ヘッドによって加熱押圧された際に、ガラス基板が過剰に屈曲され、基板割れが生じた。
【0107】
また、比較例2では、凸条部の高さ及び凹条部の深さがいずれも0.05μmで、ほぼフラットな状態と変わらない程度であったことから、ICチップの幅方向の外側における圧痕が内側の圧痕よりも薄くなり、不均一に現れた。また、ガラス基板の長辺方向にわたって25μm以上の反りが発生した。
【0108】
また、比較例3及び比較例4では、押圧面がフラットな熱圧着ヘッド及び載置面がフラットなステージを備えた接続装置を用いたため、ICチップの幅方向の外側における圧痕が内側の圧痕よりも薄くなり、不均一に現れた。また、ガラス基板の長辺方向にわたって25μm以上の反りが発生した。