(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用者からの設定温度入力を含む操作入力により運転する空調機器に対して通信回線を介して接続され、少なくとも1日の中の時間帯別の前記空調機器の推奨設定温度を含む第一運転条件を情報記憶部に記憶し、前記第一運転条件に応じて前記空調機器に制御指令を送信する制御部を備えた遠隔制御装置において、
前記制御部は、前記空調機器に対して設定タイミングで通信を行って、その通信時点での前記空調機器の設定温度を含む運転条件を現状運転条件として取得し、
前記制御部は、前記現状運転条件のエネルギー消費量が前記第一運転条件のエネルギー消費量以下である場合に、前記第一運転条件のエネルギー消費量未満かつ前記現状運転条件のエネルギー消費量未満になる第二運転条件を求め、前記第一運転条件を前記第二運転条件に書き換えて前記情報記憶部に記憶する、遠隔制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に図面を参照して本発明に係る遠隔制御装置について説明する。
図1は、遠隔制御装置10が運用されるシステムの構成を示す図である。このシステムは、少なくとも冷房モード及び暖房モードを含む複数の運転モードで運転または停止される複数の空調機器31と、それらの空調機器31の管理者が操作する管理者端末20と、空調機器31及び管理者端末20に対して電気通信回線N(通信回線)を介して接続される遠隔制御装置10とを備える。
【0036】
この遠隔制御装置10は、少なくとも空調機器31に対してあらかじめパトロール時刻として定められた設定タイミングで通信を行って、その通信時点での空調機器31の設定温度を含む運転条件を現状運転条件として取得し、あらかじめ定めた推奨設定温度を含む第一運転条件に応じた制御指令を空調機器31に送信する、「パトロール」動作を行う、パトロール機能を備えている。
【0037】
管理者は、
図1に例示するようなビル30の所有者または管理者であり、そのビル30に設置されている複数の空調機器31の管理を行う。本発明に係る遠隔制御装置10は、それらの空調機器31の管理を行うために用いられる。遠隔制御装置10及び管理者端末20は、コンピュータなどの情報処理機能を備えた装置で実現できる。
図1では、ビル30を1棟だけ記載しているが、空調機器31が電気通信回線Nに接続されているのであれば、複数棟のビルなどに分散して設置された空調機器31の管理を行うことも同様に可能である。
【0038】
空調機器31は、室外機34と室内機33と入力部32とを備える。入力部32は、空調機器31に対して各別に設定温度入力を含む運転条件などの各種の情報の入力などを使用者が行う際に用いる装置である。
【0039】
管理者は、遠隔制御を行って空調機器31の省エネルギー運転を推進するために、空調機器31の無駄な運転を抑制するために、或いは、空調機器31の使用者にとって必要な運転を提供するためなどに、遠隔制御装置10を用いる。具体的には、遠隔制御装置10は、運転条件受付部19と制御部11と情報記憶部15を備える。
遠隔制御装置10が備える運転条件受付部19と制御部11とは、いわゆるコンピュータなどに備えられている機能及び機器によって実現できる。
また、遠隔制御装置10が備える情報記憶部15は、いわゆるコンピュータなどに備えられている記憶装置(メモリ、ハードディスクなど)によって実現できる。
【0040】
空調機器31は、電気通信回線Nに接続されているので、使用者が入力部32で入力した情報、室内機33の運転状況に関する情報(空調機器31の設定温度など)は、電気通信回線Nを介して遠隔制御装置10で取得できる。空調機器31は、室内機33が設置されている場所の実際の温度を検出する室内温度計35と、室外機34が設置されている場所の実際の温度を検出する室外温度計36とを備えている。空調機器31は、自身の運転制御にその温度の検出結果を利用できる。
【0041】
運転条件受付部19は、複数の空調機器31のそれぞれに対して、少なくとも1日の中の時間帯別に、空調機器31の運転または停止の種別、運転モードの種別、その運転モードでの推奨設定温度を含む第一運転条件の入力を管理者端末20から受け付けて情報記憶部15に記憶する。
図2は、管理者端末20における表示画面40の表示例を示す図である。
【0042】
図2に示すように、管理者は、適用日設定部41において、空調機器31の遠隔制御を行う適用日を設定できる。例えば、管理者は、遠隔制御の適用日を、月日、曜日、祝祭日の属性から設定でき、ある1ヶ月間の全曜日を遠隔制御の適用日として設定することや、ある1ヶ月の祝祭日を除く平日を遠隔制御の適用日として設定することもできる。
図2中において月日はプルダウンメニュー形式で選択でき、曜日の指定及び「祝祭日を除く」の指定はチェックボックスにチェックを入れることで設定できる。
【0043】
また、
図2に示すように、管理者は、パトロール時刻設定部42において、空調機器31のパトロール及び遠隔制御を行う時間帯及び間隔を設定できる。例えば、管理者は、遠隔制御の開始時刻及び終了時刻で規定される時間帯を設定でき、及び、遠隔制御を行う間隔(タイミング)を設定できる。
図2中において、遠隔制御の開始時刻、終了時刻、及び、遠隔制御を行う間隔はプルダウンメニュー形式で選択できる。
【0044】
更に、
図2に示すように、管理者は、メニュー欄44から46が設けられている詳細条件設定部43において、空調機器31の推奨設定条件を設定できる。この推奨設定条件は、本例の第一運転条件の概念に含まれる。
図2に示す例では、推奨設定条件はプルダウンメニュー形式で設定可能である。
例えば、メニュー欄44では、空調機器31の状況が「運転」であるのかまたは「停止」であるのか(即ち、空調機器31の運転または停止の種別)を指定できる。
メニュー欄45では、空調機器31の運転モードが「冷房」であるのかまたは「暖房」であるのか(即ち、運転モードの種別)を指定できる。
メニュー欄46では、設定温度を指定できる。
【0045】
図2に示した例では、空調機器31を「運転」状態とし、「暖房モード」で、設定温度を「25」℃にするという条件の入力を行える。
【0046】
以上のような、複数の空調機器31のそれぞれに対して、パトロール時刻設定部42で設定されるパトロール時間帯(開始時刻及び終了時刻)及びパトロール間隔についての情報、及び、詳細条件設定部43で設定される設定温度などの情報は、「第一運転条件」の概念に含まれる。
【0047】
図2の対象機器表示欄51では、遠隔制御の対象とする空調機器31を指定できる。例えば、選択チェックボックス52にチェックを入れることで、その空調機器31を遠隔制御の対象とすることができる。
【0048】
以上のように、管理者が管理者端末20を用いて適用日設定部41、パトロール時刻設定部42、詳細条件設定部43及び対象機器表示欄51への入力を行った後、設定ボタン53を選択入力すると、入力した内容が管理者端末20から遠隔制御装置10に電気通信回線Nを介して伝送される。
【0049】
遠隔制御装置10の運転条件受付部19は、複数の空調機器31のそれぞれに対して、少なくとも1日の中の時間帯別に、上述したような空調機器31の運転または停止の種別、運転モードの種別、その運転モードでの推奨設定温度を含む第一運転条件の入力を管理者端末20から受け付けて情報記憶部15に記憶する。
【0050】
遠隔制御装置10の制御部11はパトロールとして、複数の空調機器31に対して、パトロール時刻設定部42に入力された設定タイミングで定期的に通信を行って、その通信時点での、空調機器31の運転または停止の種別、空調機器31が運転されている場合の運転モードの種別、空調機器31が運転されている場合のその運転モードでの設定温度を含む運転状況に関する情報を取得して、現状運転条件として情報記憶部15に記憶する。
【0051】
制御部11は、取得した運転状況に関する情報が、上記第一運転条件と相違するか否かを判定する。
制御部11は、この判定結果に基づいて、複数の空調機器31のうち、現状運転条件が第一運転条件と相違する空調機器31に対して、第一運転条件に従った運転を行わせる制御指令を送信する。
【0052】
なお、空調機器31の実際の使用者は、上記制御指令によって空調機器31の設定温度などの運転状況が変更されたとしても、入力部32を用いて更に設定温度などを変更することも可能である。
【0053】
本例の遠隔制御装置10は、さらに、使用者にとって、現状運転条件が十分に快適であり、さらに省エネルギーな運転条件に変更する余地が存在する場合には、あらかじめ設定された第一運転条件に関わらず省エネルギーを実現できる、自動調整を行う第一自動調整モードを備えている。
【0054】
本例の遠隔制御装置10は、さらに、使用者が快適な範囲で省エネルギーを実現できる第二自動調整モードを備えている。
【0055】
通常は、第一自動調整モードと、第二自動調整モードは、同時に実行可能とする。
しかし、第一自動調整モード、もしくは第二自動調整モードのみを選択的に実行させることももちろん可能である。
【0056】
図2の対象機器表示欄51では、メニュー欄54において、空調機器31毎に自動調整の有効もしくは無効を設定できる。この自動調整の有効もしくは無効は、例えばプルダウンメニュー形式で選択するようにもできる。
以下、第一自動調整モードと、第二自動調整モードとについて、順に詳述する。
【0057】
まず、第一自動調整モードについて説明する。
第一自動調整モードとは、省エネルギーに設定したつもりの第一運転条件で空調機器31を運転された場合に、使用者が感じる快適さにおいて、空調機器31の空調出力が十分であるか、むしろ空調出力が過剰な場合に、第一運転条件をより省エネルギーな運転条件に自動的に変更する機能である。
【0058】
第一自動調整モードでの動作が有効とされた場合に、制御部11がどのように空調機器31の運転条件の制御を行うのかについて、以下、具体的に説明していく。
【0059】
第一自動調整モードの動作を説明する。
制御部11は、本例では、第一自動調整モードにおいて以下の動作を行う。
すなわち、制御部11は、空調機器31に対して設定タイミングで通信を行って、その通信時点での空調機器31の設定温度T1を含む運転条件を現状運転条件として取得する。
【0060】
さらに制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、空調機器31のエネルギー消費量が、第一運転条件のエネルギー消費量未満かつ現状運転条件のエネルギー消費量以下になる第二運転条件を求め、第二運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する動作を行う。そして、第一運転条件を第二運転条件に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
ここで、第一運転条件のエネルギー消費量とは、第一運転条件で空調機器を運転した場合の空調機器31のエネルギー消費量のことを言う。
【0061】
なお、制御部11は、通信を所定の回数行って、それぞれの通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、第二運転条件を求め、第二運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0062】
たとえば制御部11は、通信を1回ずつ行って、その通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、第二運転条件を求め、第二運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0063】
もしくは制御部11は、通信を2回ずつ行って、それぞれの通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、第二運転条件を求め、第二運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0064】
もしくは制御部11は、通信を一日間継続して行って、その一日を通じて現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、第二運転条件を求め、翌日に第一運転条件を第二運転条件に書き換えて、第二運転条件に従った運転を、翌日以降に行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0065】
第二自動調整モードについて説明する。
第二自動調整モードとは、省エネルギーに設定された第一運転条件で空調機器が運転されたが、使用者にとっては第一運転条件で空調機器31が運転されると暖房時寒かったり、冷房時暑かったりなどして快適ではない場合において、使用者が、空調機器31の現状運転条件を、使用者自身が快適に感じる運転条件になるよう変更するために、入力部32を介して空調機器31に操作入力した場合に、その使用者の操作入力を考慮して、省エネルギー性と、使用者の快適さのバランスを取る運転条件に、第一運転条件を自動的に変更して最適化する機能である。
【0066】
第二自動調整モードでの動作が有効とされた場合に、制御部11がどのように空調機器31の運転条件の制御を行うのかについて、以下、具体的に説明していく。
【0067】
まず、第二自動調整モードの動作を説明する。
制御部11は、本例では、第二自動調整モードにおいて以下の動作を行う。
すなわち、制御部11は、空調機器31に対して設定タイミングで通信を行って、その通信時点での空調機器31の設定温度T1を含む運転条件を現状運転条件として取得する。
【0068】
さらに制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、空調機器31のエネルギー消費量が、現状運転条件のエネルギー消費量以下であり第一運転条件のエネルギー消費量を超えるエネルギー消費量になる第三運転条件、すなわち現状運転条件のエネルギー消費量と第一運転条件のエネルギー消費量との間のエネルギー消費量になる第三運転条件を求め、第三運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器に送信する動作を行う。そして、第一運転条件を第三運転条件に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
【0069】
一方制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より小さいと判定する場合に、現状運転条件を第三運転条件として定め、第一運転条件を、現状運転条件と同じ値に設定された第三運転条件に書き換えて情報記憶部に記憶する。
【0070】
なお、制御部11は、通信を所定の回数行って、それぞれの通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、第三運転条件を求め、第三運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0071】
たとえば制御部11は、通信を1回ずつ行って、その通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、第三運転条件を求め、第三運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0072】
もしくは制御部11は、通信を2回ずつ行って、それぞれの通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、第三運転条件を求め、第三運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0073】
もしくは制御部11は、通信を一日間継続して行って、それぞれの通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、第三運転条件を求め、翌日に第一運転条件を第三運転条件に書き換えて、第三運転条件に従った運転を、翌日以降に行わせる制御指令を空調機器31に送信することができる。
【0074】
以下ではさらに、遠隔制御装置10の動作の具体例を説明していく。
まず、本例の遠隔制御装置10の基本的な動作を、説明する。
この説明では、運転モードが暖房である場合を説明するが、冷房の場合でも、温度設定の大小が逆転するのみで、その概念は同様である。
推奨設定条件には、あらかじめ管理者端末20における表示画面40で入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件が設定されている。
【0075】
〔事例1〕
まず、省エネルギー運転が実現される場合を説明する。
たとえば、推奨設定条件として、あらかじめ管理者端末20における表示画面40で入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件が設定されている。本例では、暖房モードで26℃が設定されている。つまり、設定温度T2が26℃に設定されている。
以下、現状運転条件として、設定温度T1が30℃に設定されている場合を例示する。
【0076】
制御部11はパトロールとして、空調機器31に対して、時刻tm(mは1以上の整数)に通信を行って、その時刻tm時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
【0077】
たとえば、時刻tmにおいて空調機器31が運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1が30℃に設定されていると、時刻tmの時点で、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは相違する。また、設定温度T1の値が設定温度T2よりも高いため、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合である。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、推奨設定条件すなわち第一運転条件に従った運転として、設定温度T1の設定値を26℃に変更する制御指令を送信することができる。
したがって、空調機器31の設定温度T1が30℃から26℃に変更されて省エネルギー運転が実現される。
【0078】
〔事例2〕
次に、省エネルギー運転が実現されない場合を説明する。
たとえば、推奨設定条件として、あらかじめ管理者端末20における表示画面40で入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件が設定されている。本例では、暖房モードで28℃が設定されている。つまり、設定温度T2が28℃に設定されている。
以下、現状運転条件として、設定温度T1が27℃に設定されている場合を例示する。
【0079】
制御部11はパトロールとして、空調機器31に対して、時刻tm(mは1以上の整数)に通信を行って、その時刻tm時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
たとえば、時刻tmにおいて空調機器31が運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1が27℃に設定されていると、時刻tmの時点で、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは相違する。しかし、設定温度T1が設定温度T2よりも小さいため、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より小さいと判定する場合である。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、推奨設定条件すなわち第一運転条件に従った運転として、設定温度T1の設定値を28℃に変更する制御指令を送信しない。
したがって、空調機器31の設定温度T1が27℃から変更されず、現状運転条件に対してさらに省エネルギー運転が実現されることはない。
なお、以下の事例では、各運転条件におけるエネルギー消費量の大小の判定は、各運転条件における設定温度の大小で判定する場合を説明している。それぞれの場合での大小の判定に係る説明は以下省略する。
【0080】
図3に例示する具体的な値を基にして説明する。
図3中、「時刻」は、パトロール時刻設定部42に入力された設定タイミングで通信を行う時刻である。本例では1時間ごとに定められた時刻tmである。
図3中、「現状運転条件」は、空調機器31の現在の運転状況である。すなわち、制御部11が、空調機器31に対して設定タイミングで通信を行って、その通信時点での空調機器31の設定温度T1を含む運転条件を現状運転条件として取得し、情報記憶部15に記憶した値である。
また、
図3中、「推奨設定条件」は第一運転条件である。
図3の例の場合、時刻t1から時刻t9において、設定温度T1は常に27℃であるから、設定温度T2が28℃に設定されている場合は、制御部11は、設定温度T1の設定値を28℃に変更する制御指令を送信しない。
【0081】
〔事例3〕
以下では、本例の遠隔制御装置10が第一自動調整モードで動作する場合を説明する。
この説明では、運転モードが暖房である場合を説明するが、冷房の場合でも、温度設定の大小が逆転するのみで、その概念は同様である。
たとえば、推奨設定条件として、あらかじめ管理者端末20における表示画面40で入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件が設定されている。本例では、暖房モードで28℃が設定されている。つまり、設定温度T2が28℃に設定されている。
【0082】
以下の例示では、制御部11は、通信を一日間継続して行って、その一日を通じて現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、第二運転条件を求め、翌日に第一運転条件を第二運転条件に書き換えて、第二運転条件に従った運転を、翌日以降に行わせる制御指令を空調機器31に送信する場合を説明する。
【0083】
一日目の動作は、事例2の場合と同じである。
すなわち、制御部11はパトロールとして、空調機器31に対して、時刻tm(mは1以上の整数)毎に通信を行って、それぞれの時刻tm時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
制御部11は、この通信を一日間継続して行うが、
図3の場合には、この一日を通じて現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下である。
【0084】
したがって制御部11は、第一運転条件のエネルギー消費量未満かつ現状運転条件のエネルギー消費量以下になる第二運転条件を求め翌日に第一運転条件を第二運転条件に書き換えて、第二運転条件を新たな第一運転条件として、第二運転条件に従った運転を、翌日以降に行わせる制御指令を空調機器31に送信する。そして制御部11は、推奨設定条件(第一運転条件)の設定温度T2を、当該第二運転条件に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
【0085】
制御部11は、設定温度T2未満かつ設定温度T1以下の温度として、設定温度T1よりも所定温度だけ小さい値を求める。
例えば制御部11は、設定温度T2未満かつ設定温度T1以下の温度として、設定温度T1よりも所定温度として3℃だけ小さい値を求める。
【0086】
本例の場合は、制御部11は、設定温度T2の28℃未満かつ設定温度T1の27℃以下の温度として、設定温度T1の27℃よりも3℃小さい、24℃を求め、翌日の設定温度T2を24℃に書き換える制御指令を空調機器31に送信する。
【0087】
〔事例4〕
以下では、事例3の後、第二自動調整モードで動作しない場合を説明する。
本例の遠隔制御装置10の通常の動作を、
図4に例示する具体的な値を基にして説明する。この説明では、運転モードが暖房である場合を説明するが、冷房の場合でも、温度設定の大小が逆転するのみで、その概念は同様である。
図3と同様に、
図4中、「時刻」は、時刻tmであり、「現状運転条件」は、空調機器31の現在の運転状況であり、「推奨設定条件」は第一運転条件である。
【0088】
なお、以下では、事例3の後、第二自動調整モードで動作しない場合を説明するのであるが、たとえば、推奨設定条件として、あらかじめ管理者端末20における表示画面40で入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件が、暖房モードで24℃に設定されている場合も本例と同じである。
【0089】
制御部11は最初のパトロールとして、空調機器31に対して、時刻t1に通信を行って、その時刻t1時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図4の例では、時刻t1において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は27℃に設定されていた。
時刻t1の推奨設定条件には、あらかじめ情報記憶部15に記憶した第一運転条件が設定されている。本例では、暖房モードで24℃が設定されている。
時刻t1の時点では、現状運転条件と推奨設定条件とは相違する。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、推奨設定条件すなわち第一運転条件に従った運転を行わせる制御指令を送信する。
【0090】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t2に通信を行って、その時刻t2時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図4の例では、時刻t2において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は24℃に設定されていた。
時刻t2の時点では、現状運転条件と推奨設定条件とは一致する。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、制御指令を送信しない。
しかし本例では、その後使用者が、快適でないと感じ、空調機器31の設定温度T1を、32℃に変更した。空調機器31の設定温度T1が24℃に設定されると、使用者は寒いと感じるためである。
【0091】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t3に通信を行って、その時刻t3時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図4の例では、時刻t3において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は32℃に設定されていた。
時刻t3の時点では、現状運転条件と推奨設定条件とは相違する。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、推奨設定条件すなわち第一運転条件に従った運転を行わせる制御指令を送信する。
しかし本例では、使用者が、やはり快適でないと感じ、空調機器31の設定温度T1を、32℃に変更した。空調機器31の設定温度T1が24℃に設定されると、使用者は寒いと感じるためである。
【0092】
時刻t4以降、同様に制御部11は空調機器31に対して通信を行って、第一運転条件に従った運転を行わせる制御指令を送信するが、使用者が、やはり快適でないと感じ、空調機器31の設定温度T1を、第一運転条件に従った運転よりも高い温度に変更してしまう。
本例では、一定間経過後、使用者は設定温度T1をくりかえし28℃に設定し、制御部11は設定温度T1をくりかえし24℃に設定する状態を繰り返す状態に収束した(時刻t6以降)。
以後、遠隔制御装置10は、同様の動作を、あらかじめ情報記憶部15に記憶されていた第一運転条件にしたがって、繰り返す。
【0093】
したがって、本例では、空調機器31の推奨設定温度は24℃と定められていたが、当該推奨設定温度とした場合には、使用者が快適でないと感じるため、設定温度T1を高い温度に設定し、結果としては空調機器31は、概ね設定温度T1が28℃に定められて運転されたため、期待通りの省エネは図れていない。また、使用者にとっても、空調機器31が24℃と定められるたびに寒いと感じるため、必ずしも快適とは言えない状態であり、好ましくない。
【0094】
〔事例5〕
以下では、事例3の後、第二自動調整モードで動作する場合を説明する。
本例の遠隔制御装置10の通常の動作を、
図5に例示する具体的な値を基にして説明する。この説明では、運転モードが暖房である場合を説明するが、冷房の場合でも、温度設定の大小が逆転するのみで、その概念は同様である。
【0095】
また、以下では、事例3の後、第二自動調整モードで動作する場合を説明するのであるが、たとえば、推奨設定条件として、あらかじめ管理者端末20における表示画面40で入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件が、暖房モードで24℃に設定されている場合も本例と同じである。
【0096】
図5は、あらかじめ情報記憶部15に記憶されていた第一運転条件にしたがって、制御部11が空調機器31の動作を、第二自動調整モードを実行しつつ制御する一例を示している。
図5中、「時刻」は、パトロール時刻設定部42に入力された設定タイミングで通信を行う時刻である。本例では1時間ごとに定められた時刻t1および時刻tn(nは2以上の整数)に通信を行うよう設定されている。以下、t2は、二回目の時刻を意味し、n−1回目、n+1回目の時刻はそれぞれ、時刻tn−1、時刻tn+1と表す。
【0097】
「現状運転条件」は、空調機器31の現在の運転状況である。すなわち、制御部11が、空調機器31に対して設定タイミングで通信を行って、その通信時点での空調機器31の設定温度T1を含む運転条件を現状運転条件として取得し、情報記憶部15に記憶した値である。
【0098】
「設定指令条件」は、制御部11が空調機器31の運転条件として、使用者の快適さと、省エネ性がバランスする運転条件であると、時刻tn時点で新たに判断した運転条件であり、時刻tn時点で求めた第三運転条件が設定される。
「設定温度」の初期値(時刻t1の時の設定値)は、あらかじめ入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件である。
【0099】
「推奨設定条件」には、第一運転条件が設定される。
「推奨設定条件」の初期値(時刻t1の時の設定値)は、あらかじめ情報記憶部15に記憶されていた第一運転条件が用いられる。時刻tn時点での第一運転条件としては、時刻tn−1の時点で求めた第三運転条件を新たな第一運転条件として設定する。
つまり時刻tn−1の時点で導いた、第三運転条件を、時刻tnの時点での第一運転条件として書き換えて設定する。
【0100】
以下で説明する動作例では、制御部11は現状運転条件、推奨設定条件(第一設定条件)、設定指令条件(第二設定条件)のそれぞれの運転条件のうち、設定温度T1、T2、T3をエネルギー消費量の判定に用いる判定パラメータとして参照し、自動調整を行っている。つまり、エネルギー消費量の大小の判定を、設定温度T1、T2、T3の大小で判定する場合を説明している。それぞれの場合での大小の判定に係る説明は以下省略する。
ここで、設定温度T1、T2、T3はそれぞれ、現状運転条件、推奨設定条件(第一設定条件)、設定指令条件(第二設定条件)に含まれる。
すなわち本例では、制御部11は、空調機器31に対して設定タイミングである時刻tnごとに通信を一回行って、その時刻tnでの空調機器の設定温度T1を現状運転条件として取得する。また、時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2を取得する。
【0101】
さらに制御部11は、時刻tnごとに通信を1回行った場合に、時刻tn時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合は、設定指令条件(第三運転条件)を求め、設定指令条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する。
【0102】
つまり本例では、制御部11は、時刻tnでの空調機器の設定温度T1が時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2より大きい場合に、時刻tnでの空調機器の現状運転条件の設定温度T1と時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2との「間の温度」を時刻tnでの設定指令条件の設定温度T3として求め、当該設定温度T3で運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する動作を行う。
【0103】
ここで、設定温度T1と設定温度T2との「間の温度」として求められる設定温度T3は、設定温度T2より大きく、設定温度T1以下の値に定められる。
つまり、時刻tnでの設定温度T1の値が大きくなるに応じて大きくなる現状運転条件のエネルギー消費量が、設定温度T2の値が大きくなるに応じて大きくなる第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、空調機器31のエネルギー消費量が、現状運転条件のエネルギー消費量以下であり第一運転条件のエネルギー消費量を超えるエネルギー消費量になる第三運転条件、すなわち現状運転条件のエネルギー消費量と第一運転条件のエネルギー消費量との間のエネルギー消費量になる第三運転条件の設定温度T3を、設定温度T1と設定温度T2との「間の温度」として求めているのである。
【0104】
そして制御部11は、時刻tn+1時点での推奨設定条件の設定温度T2を、当該設定温度T3に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
一方制御部11は、時刻tnでの空調機器の設定温度T1が時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2より小さい場合に、時刻tn+1時点での推奨設定条件の設定温度T2を、時刻tnでの空調機器31の設定温度T1に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
【0105】
時刻tnでの設定温度T3を求める方法について補足する。
たとえば、設定温度T3は時刻tnでの空調機器の設定温度T1と時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2との相加平均を用いることができる。
また、設定温度T3は時刻tnでの空調機器の設定温度T1と時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2の範囲内で、設定温度T2に対して所定の温度を追加して求めてもよい。例えば、所定の温度の追加として、1℃追加として求めてもよい。
【0106】
以下、
図5の具体的な値を用いて、第二自動調整モードの動作の具体例を説明する。この説明では、運転モードが暖房である場合を説明するが、冷房の場合でも、温度設定の大小が逆転するのみで、その概念は同様である。
図5の例では、制御部11は、時刻tnでの空調機器の設定温度T1が、時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2より大きい場合に、時刻tnでの設定温度T3は、時刻tnでの空調機器の設定温度T1と時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2と、の間の温度として、設定温度T2に対して1℃追加した値を求めている。
【0107】
制御部11は最初のパトロールとして、空調機器31に対して、時刻t1に通信を行って、その時刻t1時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t1において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は27℃に設定されていた。
時刻t1と時の推奨設定条件と設定指令条件には、あらかじめ管理者端末20における表示画面40で入力して情報記憶部15に記憶した第一運転条件が用いられる。本例では、それぞれ、暖房モードで24℃が設定されている。
時刻t1の時点では、現状運転条件と推奨設定条件とは相違する。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、設定指令条件すなわち第一運転条件に従った運転を行わせる制御指令を送信する。
【0108】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t2に通信を行って、その時刻t2時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t2において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は24℃に設定されていた。
【0109】
時刻t2の時点では、推奨設定条件の設定温度T2は24℃に設定されているため、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは一致する。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、制御指令を送信しない。
しかし本例では、その後使用者が、快適でないと感じ、その後、空調機器31の設定温度T1を、32℃に変更した。空調機器31の設定温度T1が24℃に設定されると、使用者は寒いと感じるためである。
【0110】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t3に通信を行って、その時刻t3時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t3において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は32℃に設定されていた。
【0111】
時刻t3の時点では、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは設定温度T1が設定温度T2よりも大きい状態で相違する。したがって、制御部11は、設定温度T1と設定温度T2の間の温度を求め、設定指令条件の設定温度T3を求める。この例では、設定温度T3は、設定温度T2にプラス1℃の値を定める。すなわち、設定温度T3として、25℃を定めて情報記憶部15に記憶する。
さらに制御部11は、当該設定温度T3で運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する。
【0112】
そして制御部11は、時刻t4時点での推奨設定条件の設定温度T2を、時刻t4時点での設定温度T3にと同じ値に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
しかし本例では、使用者が、やはり快適でないと感じ、その後、空調機器31の設定温度T1を、30℃に変更した。空調機器31の設定温度T1が25℃に設定されると、使用者は少々寒いと感じるためである。
【0113】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t4に通信を行って、その時刻t4時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t4において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は30℃に設定されていた。
【0114】
時刻t4の時点では、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは設定温度T1が設定温度T2よりも大きい状態で相違する。したがって、制御部11は、設定温度T1と設定温度T2の間の温度を求め、設定指令条件の設定温度T3を求める。この例では、設定温度T3は、設定温度T2にプラス1℃の値を定める。すなわち、設定温度T3として、26℃を定めて情報記憶部15に記憶する。
さらに制御部11は、当該設定温度T3で運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する。
【0115】
そして制御部11は、時刻t5時点での推奨設定条件の設定温度T2を、時刻t4時点での設定温度T3にと同じ値に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
しかし本例では、使用者が、なんとなく快適でないと感じ、その後、空調機器31の設定温度T1を、27℃に変更した。空調機器31の設定温度T1が26℃に設定された段階で、使用者はまだ少し寒い気がしたためである。
【0116】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t5に通信を行って、その時刻t5時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t5において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は27℃に設定されていた。
【0117】
時刻t5の時点では、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは設定温度T1が設定温度T2よりも大きい状態で相違する。したがって、制御部11は、設定温度T1と設定温度T2の間の温度を求め、設定指令条件の設定温度T3を求める。この例では、設定温度T3は、設定温度T2にプラス1℃の値を定める。すなわち、設定温度T3として、27℃を定めて情報記憶部15に記憶する。
さらに制御部11は、当該設定温度T3で運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する。
【0118】
そして制御部11は、時刻t6時点での推奨設定条件の設定温度T2を、時刻t5時点での設定温度T3にと同じ値に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
本例では、使用者が、そろそろ快適だと感じ、空調機器31の設定温度T1をその後変更しなかった。
【0119】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t6に通信を行って、その時刻t6時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t6において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は27℃に設定されていた。
【0120】
時刻t6の時点では、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは一致する。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、制御指令を送信しない。
しかし本例では、使用者が、なんとなく快適でないと感じ、その後、空調機器31の設定温度T1を、26℃に変更した。空調機器31の設定温度T1が持続的に27℃に設定された場合に、使用者はむしろ暑く感じたためである。
【0121】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t7に通信を行って、その時刻t7時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t7において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は26℃に設定されていた。
【0122】
時刻t7の時点では、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは設定温度T1が設定温度T2よりも小さい状態で相違する。したがって、制御部11は、設定温度T3として、時刻t7時点での設定温度T1と同じ値の26℃に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
この場合、制御部11は、当該設定温度T3で運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する必要は無い。
【0123】
さらに制御部11は、時刻t8時点での推奨設定条件の設定温度T2を、時刻t7時点での設定温度T1と同じ値の26℃に書き換えて情報記憶部15に記憶する。
本例では、使用者が、快適だと感じ、空調機器31の設定温度T1をその後変更しなかった。
【0124】
制御部11は空調機器31に対して、時刻t8に通信を行って、その時刻t8時点での、空調機器31の現状運転条件を取得する。
図5の例では、時刻t8において空調機器31は、運転状態にあり、暖房モードで運転され、空調機器31の設定温度T1は26℃に設定されていた。
【0125】
時刻t8の時点では、推奨設定条件の設定温度T2は26℃に設定されているため、現状運転条件(設定温度T1)と推奨設定条件(設定温度T2)とは一致する。したがって、制御部11は、空調機器31に対して、制御指令を送信しない。
さらに、制御部11は空調機器31に対して、時刻t9に通信を行った場合も、時刻t8に通信を行った場合と同様である。
本例では、使用者が、空調機器31の設定温度T1が持続的に26℃に設定された場合に、十分快適に感じたためである。
【0126】
このように、遠隔制御装置10が第二自動調整モードを備える場合には、空調機器31の推奨設定温度(第一運転条件)は26℃に収束した。
したがって時刻t1の時点より省エネ運転とすることに成功した。
さらに、遠隔制御装置10が第二自動調整モードを備えない場合(事例4の場合)は、概ね設定温度T1が28℃に定められて運転されたのであるが、第二自動調整モードを備える場合には、空調機器31の推奨設定温度(第一運転条件)は26℃に収束し、使用者が快適な範囲で省エネルギーを実現できた。
【0127】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、制御部11は、時刻tnごとに通信を1回行った場合に、時刻tn時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合は、設定指令条件(第三運転条件)を求め、設定指令条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する例を示したが、制御部11は、所定の回数、たとえば時刻tnおよび時刻tn+1の時点の合計二回、それぞれ通信を行って、それぞれの通信時点で現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、設定指令条件(第三運転条件)を求め、設定指令条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信してもよい。
【0128】
〔事例6〕
具体的にはたとえば、制御部11は、時刻tnおよび時刻tn+1の時点の合計2回通信を行って、2回連続してそれぞれの時点での現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、設定指令条件(第三運転条件)を求め、設定指令条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信することもできる。
【0129】
この場合の具体例を
図6に示す。
基本的な動作は
図5で例示した上述の実施形態と同様である。
図6中、時刻t3および時刻t4の時点において、2回連続して設定温度T1が設定温度T2よりも高いため、時刻t4の時点で設定指令条件(第三運転条件)であるT3を新たに26℃として求め、空調機器31に送信している。
また、
図6中、時刻t4および時刻t5の時点において、2回連続して設定温度T1が設定温度T2よりも高いため、時刻t5の時点で設定指令条件(第三運転条件)であるT3を新たに27℃として求め、空調機器31に送信している。
【0130】
(2)上記実施形態では、制御部11は現状運転条件、推奨設定条件(第一設定条件)、設定指令条件(第二設定条件)のそれぞれの運転条件のうち、設定温度T1、T2、T3をエネルギー消費量の判定パラメータとして参照し、自動調整を行う場合を示したが、現状運転条件、推奨設定条件(第一設定条件)、設定指令条件(第二設定条件)のそれぞれの運転条件として参照する判定パラメータには、さらに湿度に係る情報やパラメータを含めてもよい。この場合、第一運転条件として推奨設定湿度を含めて参照し、現状運転条件として設定湿度を含めて参照すればよい。湿度に係る情報やパラメータを基にしてエネルギー消費量の大小を判定する方法は、公知の方法を用いればよい。
【0131】
(3)上記実施形態では、暖房の場合の第二自動調整モードを説明したが、冷房の場合にも第二自動調整モードは行える。
冷房の場合、例えば制御部11は以下のように動作する。
制御部11は、時刻tnでの空調機器の設定温度T1が時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2より小さい場合に、時刻tnでの空調機器の現状運転条件の設定温度T1と時刻tn時点での推奨設定条件の設定温度T2との「間の温度」を時刻tnでの設定指令条件の設定温度T3として求め、当該設定温度T3で運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する動作を行う。
この場合、設定温度T3は、設定温度T2より小さく、設定温度T1以上の値に定められる。
【0132】
つまり、時刻tnでの設定温度T1の値が小さくなるに応じて大きくなる現状運転条件のエネルギー消費量が、設定温度T2の値が小さくなるに応じて大きくなる第一運転条件のエネルギー消費量より大きいと判定する場合に、空調機器31のエネルギー消費量が、現状運転条件のエネルギー消費量と第一運転条件のエネルギー消費量との間のエネルギー消費量になる第三運転条件の設定温度T3を、設定温度T1と設定温度T2との「間の温度」として求めればよい。
【0133】
(4)上記実施形態では、制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、空調機器31のエネルギー消費量が、第一運転条件のエネルギー消費量未満かつ現状運転条件のエネルギー消費量以下になる第二運転条件を求め、第二運転条件に従った運転を行わせる制御指令を空調機器31に送信する動作を行い、そして、第一運転条件を第二運転条件に書き換えて情報記憶部15に記憶する例を示した。
しかし、制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する場合に、第一運転条件を、現在の第一運転条件のエネルギー消費量未満になる運転条件に一旦書き換えて情報記憶部15に記憶してもよい。
【0134】
この場合、第一運転条件のエネルギー消費量未満になる運転条件は、たとえば第二運転条件よりも、エネルギー消費量が多い運転条件でもよい。また、第一運転条件のエネルギー消費量未満になる運転条件は、現状運転条件のエネルギー消費量よりもエネルギー消費量が多い運転条件でもよい。
【0135】
たとえば、制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量よりも非常に少ないと判定する場合に、第一運転条件を、現在の第一運転条件のエネルギー消費量未満であり、現状運転条件のエネルギー消費量よりもエネルギー消費量が多い運転条件になる運転条件に一旦書き換えて情報記憶部15に記憶する場合がある。
【0136】
具体例として、たとえば暖房モードにおいて、第一運転条件として設定温度T2が32℃に設定されており、現状運転条件として、設定温度T1が24℃に設定されている場合を例示する。この場合、制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量以下であると判定する。さらに、設定温度T1が設定温度T2に対して非常に低いため、制御部11は、現状運転条件のエネルギー消費量が第一運転条件のエネルギー消費量よりも非常に少ない場合であると判定する。
したがって、制御部11は、第一運転条件としての設定温度T2を、第一運転条件のエネルギー消費量未満であり、現状運転条件のエネルギー消費量よりもエネルギー消費量が多い運転条件になる運転条件となる設定温度に一旦書き換えて情報記憶部15に記憶する。たとえば、第一運転条件としての設定温度T2を、28℃に設定する。
【0137】
この例では、第二運転条件を求め、第一運転条件を当該第二運転条件に書き換えた場合、例えば第一運転条件である設定温度T2は24℃に設定されることになる。しかし、このように第一運転条件を一度に非常に大きく変化させると、使用者が不快に感じる場合も起こりうる。
しかし、第一運転条件を、第一運転条件のエネルギー消費量未満であり、現状運転条件のエネルギー消費量よりもエネルギー消費量が多い運転条件になる運転条件に一旦書き換えて、現状運転条件と第一運転条件とを少しずつ近づけて第一運転条件の変化量を小さくすると、使用者が不快に感じる場合を回避することができる。
【0138】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0139】
本発明は、遠隔制御の対象とする空調機器の管理者にとって利便性の高い遠隔制御装置を提供するために利用できる。