(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、吸収性紙製品および吸収性紙製品の製造方法に関する。本発明による吸収性紙製品は、当技術分野で知られている他の紙製品よりも優れている特性の卓越した組合せを有する。一部の具体的な実施形態において、本発明による紙製品は、吸収性ハンドタオルに特によく適した特性の組合せを有する。
【0014】
用語「紙製品」は、本明細書で使用される場合、主要構成要素としてセルロースを有する製紙用繊維を組み込んでいるいかなる製品も包含する。これには、例えば、紙タオル、トイレットペーパー、化粧紙などとして市販される製品が含まれる。製紙用繊維には、バージンパルプもしくは再生利用(二次)セルロース系繊維、またはセルロース系繊維を含む繊維混合物が含まれる。木材繊維には、例えば、北部および南部針葉樹クラフト繊維などの針葉樹繊維、ならびにユーカリ、メープル、カバノキ、アスペンなどの広葉樹繊維を含めて、落葉樹および針葉樹から得られるものが含まれる。本発明の製品を製造するのに適した繊維の例には、非木材繊維、例えば、綿繊維または綿誘導体、アバカ、ケナフ、サバイグラス、フラックス、エスパルトグラス、ストロー、ジュートヘンプ、バガス、トウワタフロス繊維、およびパイナップル葉繊維が含まれる。
【0015】
「完成紙料」および同様の用語は、製紙用繊維、および任意選択により、紙製品を製造する湿潤強度樹脂、剥離剤などを含む水性組成物を指す。様々な完成紙料が本発明の実施形態において使用され得る。一部の実施形態において、完成紙料は、米国特許第8,080,130号(この開示は、その全体を引用して援用する)に記載された明細書にしたがって使用される。この特許における完成紙料は、とりわけ、少なくとも約15.5mg/100mmの粗度を有するセルロース系長繊維を含む。完成紙料の例はまた、以下で検討される製品例において具体化される。
【0016】
本明細書で使用される場合、製紙プロセスにおいて完成製品に乾燥される初期繊維と液体との混合物は、「ウェブ」および/または「発生期ウェブ」と称される。製紙プロセスからの乾燥された、単一のプライ製品は、「ベースシート」と称される。さらに、製紙プロセスの製品は、「吸収性シート」と称されてもよい。この点で、吸収性シートは、単一ベースシートと同じであってもよい。代替として、吸収性シートは、マルチプライ構造におけるように、複数のベースシートを含んでもよい。さらに、吸収性シートは、変換されたベースシートから最終紙製品を形成するために、初期ベースシート形成プロセスで乾燥された後に、追加の加工を受けていてもよい。「吸収性シート」は、例えば、ハンドタオルとして市販される商品を含む。
【0017】
製品の第1のプライおよび第2のプライに関連して使用される場合の用語「直接に付着している」は、2枚のプライがいかなる中間プライもなしで互いに付着していることを意味する。第1のプライはそれによりシートの第1の表面を形成し、第2のプライはそれによりシートの第2の表面を形成する。この点で、「プライ(ply)」は、主要構成要素としてセルロースを有する製紙用繊維から作られているシート構造を指し、例えば、2枚のプライを一緒に直接付着させるために使用される接着剤(glue)を包含しない。当業者は、2枚以上のプライを紙製品に一緒に直接付着させるための多数の技術を理解している。
【0018】
本明細書で本発明を記載する場合、用語「流れ方向」(MD)および「幅方向」(CD)は、当技術分野でそれらの良く理解された意味にしたがって使用される。すなわち、ファブリックまたは他の構造体のMDは、構造体が製紙プロセスにおいて製紙機上で移動する方向を指し、一方CDは、構造体のMDと交差する方向を指す。同様に、紙製品を参照する場合、紙製品のMDは、製品が製紙プロセスにおいて製紙機上を移動する製品上の方向を指し、製品のCDは、製品のMDと交差する方向を指す。
【0019】
図1は、本発明による紙製品を製造するために使用され得る製紙機10の例を示す。製紙機10は、構造化ファブリック48が紙製品の三次元構造を形成するために使用される通気乾燥(TAD)製紙プロセスのために構成される。プロセスを開始するために、ヘッドボックス20を介して供給される完成紙料は、形成ファブリック24と転送ファブリック28との間に形成されるニップ中にジェットで方向付けられる。形成ファブリック24および転送ファブリック28は、形成ロール32とブレストロール36との間を通過し、次いで、形成ロール32とブレストロール36との間を通過後に分散する。この時点で、完成紙料は、転送ファブリック28上で発生期ウェブに形成されている。次いで、転送ファブリック28は、吸引ボックス44がウェブおよび転送ファブリック28から水分を除去する脱水ゾーン40を通過し、それにより、ウェブのコンシステンシーを、例えば、構造化ファブリック48へのウェブの転送前に約10%から約25%に増加させる。一部の場合において、特に、転送ファブリック28が構造化ファブリック48よりも早く移動す定規ッシュ転送により、相当量のファブリッククレープが転送ゾーン56でウェブに付与される場合、転送ゾーン56で真空補助ボックス52を介して真空をかけることが有利である。
【0020】
ウェブは、構造化ファブリック48に転送されるときに、なお高い水分含有量を有するので、ウェブは変形可能であり、その結果、ウェブの部分は、構造化ファブリック48を構成するヤーン間に形成されたポケットに引き入れることができる。(構造化ファブリック中のポケットは、以下に詳細に記載される。)構造化ファブリック48が乾燥機60および乾燥機64を通って回って通過する際に、ウェブのコンシステンシーは、例えば、約60%から約90%に増加する。ウェブは、それにより、ウェブが構造化ファブリック48のポケットに引き込まれるところで形成されるドームを含む構造化ファブリック48によって形状を多かれ少なかれ永続的に付与される。したがって、構造化ファブリック48は、ウェブに三次元形状を与え、これにより、ドーム構造を有する紙製品がもたらされる。
【0021】
紙形成プロセスを完了するために、ウェブは、構造化ファブリック48からヤンキー乾燥機68に転送される。転送は、ウェブをヤンキー乾燥機68の上に噴霧される接着剤と接触させることによって、ウェブの特性の大きな劣化なしに転送を達成することができる。ウェブが約96%またはそれを超えるコンシステンシーに達した後、さらなるクレーピングが使用されて、ヤンキー乾燥機68からウェブを取り外し、次いで、ウェブはリール70により巻き取られる。リール70の速度は、ヤンキー乾燥機68の速度に対して制御されて、さらなるクレーブを調整することができ、これは、ウェブがヤンキー乾燥機68から取り出される際にウェブに適用される。
【0022】
次いで、リール70上のベースシートは、ベースシートを具体的な製品に変換するために、当技術分野で公知の、さらなる加工を施されてもよい。例えば、ベースシートはエンボス加工されてもよく、2枚のベースシートは、マルチプライ製品に合わせることができる。このような変換の詳細は、本発明による製品の具体的試験例と関連して以下に検討される。
【0023】
図1は、構造化ファブリックが、紙製品に3次元形状を付与するために使用されるプロセスの1つのタイプを実証するが、構造化ファブリックが使用される多数の代替の製紙プロセスがある。例えば、構造化ファブリックは、通気乾燥(TAD)を用いない製紙プロセスで使用されてもよい。このような「非TAD」プロセスの例は、米国特許第7,494,563号に開示されており、その開示はその全体を引用して援用する。当業者によって理解されるように、本明細書で開示される発明は、必ずしもいずれかの特定の製紙プロセスに限定されるわけではない。
【0024】
図2Aおよび
図2Bは、
図1に示す製紙機10において構造化ファブリック48として使用され得るタイプの構造化ファブリックの拡大写真である。これらの図は、製紙プロセスでウェブと接触するファブリックの表面を示す。
図2Aおよび
図2Bは、当技術分野で周知である従来の構造化ファブリックである。構造化ファブリックの本体を構成する縦糸および横糸を
図2Aおよび
図2Bで見ることができる。
【0025】
図3は、本発明による製品を形成するための構成を有する構造化ファブリックのウェブ接触側の部分の詳細図である。ファブリックは、ファブリックが製紙プロセスで使用される場合に流れ方向(MD)で走行する縦ヤーン202、およびファブリックが製紙プロセスで使用される場合に幅方向(CD)で走行する横ヤーン204を含む。縦ヤーン202および横ヤーン204は、一緒に織られて、ファブリックの本体を形成する。ファブリックの実際の接触表面は、ナックル(knuckle)206により形成され、これは、縦ヤーン202上で形成されるが、横ヤーン204上では形成されない。すなわち、ナックル206は、ファブリックの接触表面を構成する面にある。ポケット210(
図3中で輪郭を描いた領域として示す)は、ナックル206間の領域で画定される。製紙運転の間、ウェブの部分は、ポケット210に引き込まれ得、これは、ポケット210に引き込まれるウェブの部分であり、上に記載したとおりに、得られる紙製品に存在するドーム構造体をもたらす。
【0026】
また上に記載されたように、柔軟性、吸収性、およびキャリパは、吸収性紙製品の多くのタイプにとっての3つの重要な特性である。本発明者らは、これらの特性の3つすべてが、製品を形成するためにこのプロセスで使用される構造化ファブリックの構成により影響され得ることを見出した。特に、本発明者らは、吸収性紙製品の柔軟性、吸収性、およびキャリパが、構造化ファブリックの接触領域、すなわち、ウェブが製紙プロセスで接触する構造化ファブリックのナックル表面により形成される領域の量により影響され得ることを見出した。得られる紙製品の柔軟性、吸収性、およびキャリパはまた、構造化ファブリックにおけるナックル間のポケットのサイズにより影響され得る。これらの所見を考慮して、本発明者らは、
図2A、
図2B、および
図3に示すファブリックなどの構造化ファブリックを特徴付ける非常に有用な方式が、「平面容積指数」の観点にあることを見出した。平面容積指数は、2つの可変要素、すなわち、接触面積比(CAR)および有効ポケット容積(EPV)を含む。接触面積比は、ナックルにより形成される接触面積と構造化ファブリックのウェブ接触側における開放面積(open area)との比と定義される。有効ポケット容積は、ウェブのセルロース系繊維が製紙運転の間にその中に移動し得る構造化ファブリックにおけるポケットの平均容積と定義される。平面容積指数は、接触面積比(CAR)に、有効ポケット容積(EPV)を乗じ、100を乗じたもの、すなわち、CAR×EPV×100と定義される。以下でさらに詳細に検討されるように、本発明製品を形成するために使用され、かつ本明細書で開示される本発明方法を実施するために使用される構造化ファブリックは、当技術分野で公知の他のファブリックよりも相当に高い平面容積指数を有する。
【0027】
構造化ファブリックについての平面容積指数を計算するために、接触面積比および有効ポケット容積が測定されなければならない。当業者は、様々な技術が構造化ファブリックの平面容積指数を構成するパラメータを測定するために使用されてもよいことを理解する。構造化ファブリックの接触面積比および有効ポケット容積を計算するために本発明者らが使用する具体的な技術の例が、以下に記載される。
【0028】
ファブリックの接触面積は、以下に記載される技術によって測定されてもよい。米国特許出願公開第2014/0133734号;同第2014/0130996号;および同第2014/0254885号(これらの開示は、その全体を引用して援用する)にも記載されている以下の技術のさらなる詳細が、以下に記載される。
【0029】
接触面積比の測定は、構造化ファブリックのウェブ接触側のナックルおよびポケットの表示物を形成することで始まる。表示物の1つのタイプは、構造化ファブリックのプリント(print)である。これに関連して、ファブリックのナックルにより形成される接触表面のプリントを形成するための装置および技術を
図4Aおよび
図4Bに示す。
図4Aは、接触表面プリンティング装置300の側面図であり、
図4Bは、接触表面プリンティング装置300の正面図である。このプリンティング装置300は、第1のアーム303および第2のアーム305を有するいC形フレーム302を含む。第1のプレート304は、第1のアーム303により移動可能に支持され、固定された第2のプレート306は、第2のアーム305により支持される。ファブリックのナックルのプリントは、以下に詳細に記載されるように、第1のプレート304と第2のプレート306との間で形成される。
【0030】
第1のプレート304は、第1のプレート304を第2のプレート306の方に移動させるための手動油圧ポンプ308に動作可能に接続される。ポンプ308は、第1のプレート304が第2のプレート306から後退することを可能にするための開放弁を有する。しかしながら、ポンプ308は、第1のプレート304の移動を行うために多くの他の形態を取り得る。ポンプ308は、第1のプレート304が第2のプレート306に押し付けられる際に、第1のプレート304にポンプ308によりかけられる圧力を測定するためのトランスデューサおよびトランスデューサ指示器310に接続されてもよい。具体例として、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAuctuant Corp.によるENERPAC(登録商標)油圧ハンドポンプモデルCST−18381を使用することができる。圧力トランスデューサの具体例として、カルフォルニア州テメキュラのTrasducer Techniques,Inc.により製造された、対応する指示器の付いたTransducer Techniques Load CellモデルDSM−5Kを使用することができる。当然ながら、他の実施形態において、ポンプ308、圧力トランスデューサ、およびトランスデューサ指示器310は、単一ユニットに組み合わされてもよい。
【0031】
接触表面プリンティング装置300のフレーム302は、フレーム302の前部に隣接するホイール311、ならびにポンプ308および/またはトランスデューサ指示器310を保持するために使用されてもよい取付け部313を含む。フレーム302に設けられた1つ以上のホイール311は、フレーム302が動くのをより容易にする。本発明の実施形態によれば、接触表面プリンティング装置300の有利な特徴は、その携帯性である。例えば、
図4Aおよび
図4Bに示すとおりの構成で、プリンティング装置300は、製紙機上に取り付けられたファブリックの部分の周囲に容易に動かされてもよい。当業者によって確かに理解されるように、ファブリックが製紙機に取り付けられていながら、ファブリックの接触表面のプリントを形成し、したがって、以下に記載される技術に従ってファブリックを特徴付ける能力は、非常に多くの利益をもたらす。ほんの一例として、製紙機上のファブリックの擦り減りは、接触表面プリンティング装置300を使用して、製紙機の運転の異なる期間後のファブリックのナックルのプリントを取ることによって、容易にモニターすることができる。
【0032】
図4Aおよび
図4Bに示す接触表面プリンティング装置300は、第1のプレート304および第2のプレート306と接続するフレーム構造302を含む一方で、他の実施形態において、接触表面プリンティング装置300は、このような単一フレーム構造302を含む必要がない。代わりに、第1のプレート304および第2のプレート306は、ファブリックのプリントを形成するために個別に並べられている非接続構造であってもよい。さらに他の実施形態において、プレート304およびプレート306は、
図4Aおよび
図4Bに描いたものと非常に異なる形態を取ってもよい。例えば、プレート304およびプレート306の一方は、拡張表面として形成することができ、一方で他方のプレートは、その拡張表面にわたって回転される円形構造体として形成される。本明細書で使用される場合の用語「プレート」は、ファブリックのプリントを作成するための構成要素と接触しおよび/またはそれを支持するために十分ないかなる構造体も包含する広義の用語である。さらに、上記記載から明らかであるように、いずれの実施形態における第1のプレート304および第2のプレート306の相対動作は、逆にすることができ、その結果、第2のプレート306は、移動可能にされるが、一方で第1のプレート304は、固定されて保持される。
【0033】
図5は、
図4Aに示す接触表面プリンティング装置300の断面Aの詳細図であり、プリンティング装置300は、構造化ファブリック312の断面のプリントを作成するように設置されている。構造化ファブリック312は、プレート304とプレート306の間に位置付けられ、一片の圧力測定フィルム314は、構造化ファブリック312に対して位置付けられる。圧力測定フィルム314と第1のプレート304の間に、1枚以上の紙316がある。構造化ファブリック312と第2のプレート306の間に、一片のゴム318がある。
【0034】
圧力測定フィルムは、フィルム上への力の印加が、フィルム中のマイクロカプセルを破裂させ、フィルムの接触領域で瞬間的および永続的な、高解像度画像を生成するように構造化されている材料である。このような圧力測定フィルムの一例は、日本国東京のFujifilm Holdings CorporationによりPrescaleフィルムとして販売されている。圧力測定フィルムの別の例は、ニュージャージー州マジソンのSensor Products,Inc.によるPressurex−micro(登録商標)である。当業者は、他の種類の圧力測定フィルムが、本明細書で記載されるプリンティング技術で使用され得ることを理解している。これに関連して、以下に記載する解析技術について、圧力測定フィルムは、フィルムにファブリックにより印加される実際の圧力の表示を与える必要がないことが留意されるべきである。代わりに、圧力測定フィルムは、ファブリックのナックルにより形成される接触表面を示すプリント画像を与えることのみが必要である。
【0035】
圧力測定フィルム314上のファブリック312のプリントを形成する場合に第1のプレート304に印加される圧力は、実際の製紙プロセスにおいてファブリック312に対してウェブに印加される圧力をシミュレートするように選択することができる。すなわち、ポンプ308を使用して、製紙プロセスにおいてファブリック312に対してウェブに印加される圧力をシミュレートする圧力(トランスデューサによって測定される)を第1のプレート304に生じさせることができる。
図1に関連して上に記載した製紙プロセスにおいて、シミュレートされた圧力は、ヤンキー乾燥機68へのファブリック48に対してウェブに印加される圧力である。前述の米国特許第7,494,563号のような、一部の製紙プロセスにおいて、ファブリック48に対してウェブに印加される圧力は、一般的には600psiの範囲である。したがって、この製紙プロセスをシミュレートするために、圧力測定フィルム314でファブリック312のナックルの画像を形成する場合に600psiの圧力が第1のプレート304に対して油圧ポンプ308により印加される。このような操作の場合、FujiFilmによる中間圧力10〜50MPaのPresclaceフィルムが、構造化ファブリックのナックルの良好な画像を与え得ることがわかった。
【0036】
再び
図5を参照して、紙316は、クッションとして作用して、圧力測定フィルム314上に形成されるファブリック312のプリントを向上させる。すなわち、紙316は、圧縮性および滑らかな表面を与え、その結果、ファブリック312のナックルは、圧力測定フィルム314の中に「沈み」、そして次に、これは、圧力測定フィルム314にナックルの高解像度画像を形成する。これらの特性を与えるために、コンストラクション(construction)およびクラフト紙は、フィルム314に使用され得る紙の種類の例である。
【0037】
一片のゴム318は、ファブリック312を支持するための平らな接触表面を作出する。本発明の実施形態において、プレート304およびプレート306は、金属材料、例えば、鋼から作られている。鋼プレートは、圧力測定紙316に形成されるファブリック312のナックルのプリントの品質を低下させる欠陥を最も有しそうである。しかしながら、プレート304とプレート306の間で使用される紙316およびゴム318、ならびに圧力測定フィルム314およびファブリック312は、金属製のプレート304およびプレート306の表面よりもより平らな接触表面を与え、それにより、圧力測定フィルム314に形成されるより良好な画像をもたらす。当業者は、紙316およびゴム318に対する他の代替の材料が、プリンティング装置300のプレート304とプレート306の間に平らな表面を与える構造体として使用されてもよいことを理解している。
【0038】
他の実施形態において、プリントは、圧力測定フィルム以外の材料でファブリックのナックルから作成される。ファブリックのプリントを形成するために使用され得る材料の別の例は、ろう紙(wax paper)である。ファブリックの接触表面のプリントは、ろう紙にファブリックの接触表面を押し付けることによって、ろう表面で作成されてもよい。ろう紙におけるプリントは、上に記載されたプリント装置300におけるプレート304およびプレート306を使用して、または他のプレートの構成によって作成され得る。次いで、ろう紙プリントは、以下に記載されるように、圧力測定フィルムプリントと同じ方式で解析され得る。
【0039】
図6Aから
図6Dは、接触表面プリンティング装置300を使用して圧力測定フィルムに形成されたナックルのプリントの例を示す。これらのプリントでは、ファブリックのナックルの独特の形状およびパターンを見ることができる。上で検討されたように、ナックルは、ファブリックについて接触表面を形成する。したがって、
図6Aから
図6Dまでで示すもののような、圧力測定フィルムにおけるナックルの高解像度プリントは、ファブリックの接触表面の優れた表示物を与える。
【0040】
次に、
図6Aから
図6Dまでで示すような、ナックルのプリントを解析する為のシステムが記載される。このシステムでは、グラフ解析は、従来のコンピュータシステム上で行われる。このようなコンピュータシステムは、例えば、通信インフラ(例えば、通信バス、クロスオーバーバーデバイス、またはネットワーク)に接続されている少なくとも1つのコンピュタープロセッサ(例えば、中央処理装置または多重処理装置)などの、周知の構成要素を含む。コンピュータシステムのさらなる構成要素は、ビデオグラフィックス、テクストなどをディスプレイまたはディスプレイスクリーンのために転送するディスプレイインターフェース(または他の出力インターフェース)である。コンピュータシステムは、キーボード、マウス装置、主メモリ、ハードディスクドライブ、リムーバブル記憶装置、ネットワークインターフェースなどのような通常の構成要素をさらに含んでもよい。
【0041】
解析における第1のステップとして、ファブリックのナックルの接触領域のプリントは、フォトスキャナを使用してコンピュータ可読画像に変換される。いかなるタイプのフォトスキャナも、コンピュータ可読画像を生成させるために使用されてもよく;しかしながら、インチ当たり少なくとも2400ドット(dpi)を有するフォトスキャナが、解析のために良好な画像を与えることがわかった。画像の走査の解像度とともに、画像解析プログラムは、画像に対して正確な縮尺を適用することができ、正確な縮尺が、構造化ファブリックの表面特性の計算に使用される(以下に記載するとおりに)。
【0042】
走査画像は、以下に記載する解析を容易にするために非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。非一時的コンピュータ可読媒体は、本明細書で使用される場合、一次的な伝播シグナルを除いてコンピュータ可読媒体のすべてを含む。非一時的コンピュータ可読媒体の例には、例えば、ハードディスクドライブおよび/またはリムーバブル記憶ドライブが含まれ、ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどが代表的である。
【0043】
走査画像、および以下に記載される技術に従って決定される接触表面走査画像の特性は、データベースと関連させてもよい。本明細書で使用される場合の「データベース」は、コンピュータプログラムがデータベースを構成するデータの所望の部分を迅速に選択し得るように編成されたデータの収集物を意味する。一例は、電子ファイリングシステムである。一部の実施において、用語「データベース」は、「データベース管理システム」に対する省略表現として使用されてもよい。
【0044】
走査プリント画像の定量的解析を行うために、画像解析プログラムは、ファブリックのナックルの走査画像を用いて使用される。このような画像解析プログラムは、例えば、グラフ画像で働く計算ソフトウェアを用いて開発されている。このような計算開発ソフトウェアの一例は、イリノイ州シャンペーンのWolfram Research,Inc.によるMATHEMATICA(登録商標)である。以下に記載されるように、画像解析プログラムは、構造化ファブリックのファブリックプリント画像中のナックルを具体的に特定するために使用され、ファブリックプリント画像の公知の縮尺を用いて、画像解析プログラムは、ナックルのサイズを計算し、ポケットのサイズを推定することができる。
【0045】
走査画像を解析する場合、複数のナックルおよびポケットを含む任意のサイズ領域を以下に記載される解析のために使用することができる。具体的な実施形態において、ファブリックの画像の1.25インチ×1.25インチの領域により、本明細書で記載される技術を使用して、ポケットサイズなどの特性の良好な推定が可能になることがわかった。特に、2400dpi解像度(上で検討された)で画像を形成し、かつ解析のために、1.25インチ×1.25インチの領域の画像を使用する場合、接触表面の良好な特徴付けを行うことができることがわかった。当然ながら、他の解像度および/または領域も、良好な結果を与え得る。
【0046】
図7Aから
図7Eまでは、画像解析プログラムを使用してプリントの走査画像の拡大部分におけるナックルを特定するステップを表す。最初に、
図7Aに示すように、画像600の拡大部分は、解析プログラムを実行するコンピュータシステムのディスプレイスクリーン上で見ることができる。上に記載されたプリント技術を使用して形成されてもよい、画像600は、ナックル602を示す。解析プログラムによる画像600の使用とともに、画像600の縮尺は、解析プログラムに入力され得る。このような縮尺は、例えば、2400dpiとして入力されてもよく、それから解析プログラムは、画像600に縮尺SCを適用することができる。次いで、解析プログラムは、その縮尺を使用して、以下に記載されるとおりに、ナックルのサイズおよび位置を計算する。
【0047】
図7Bおよび
図7Cは、解析プログラムを使用して、具体的なナックル602Aを特定するためのステップを示す。ナックル602Aは、拡大画像600の中心部位におけるその位置に基づいて初期に選択される。このステップにおいて、ナックル602Aのおよその輪郭線図が適用される。解析プログラムにおける記憶形状であってもよい、長方形ボックス604は、ナックル特定プロセスを開始するためにナックル602Aの周囲に最初に適用される。次いで、初期長方形ボックス604の形状は、
図7Cに示されるように、ナックル602Aの形状に適合させるためにより精密に精緻化されてもよい。この場合、端部606および端部608は、より丸めるように再形成され、したがって、それらは、ナックル602Aの端部により精密に対応する。示されないが、十分な適合がなされるまで、ナックル602Aの輪郭線図に対してさらなる精緻化を行うことができる。このような精緻化は、画像600をさらに拡大することによって行うことができる。
【0048】
図7Dに示されるように、ナックル602Aが輪郭線図により特定された後、案内線610および案内線612が引かれる。案内線610および案内線612は、それぞれ、ナックル602Aの中心を通り、他のナックルの中心を通って直線で伸ばすように引かれる。特に、案内線610および案内線612はまた、ナックルの群間の領域に対応することが公知であるポケットがファブリックで形成される領域を横切らないように引かれる。案内線610および案内線612をナックルの中心間で真っすぐに引くことによって、案内線610および案内線612は、ナックル間に形成されるポケットの領域を横切らない。
【0049】
案内線610および案内線612が引かれた後、
図7Eに示すように、さらなる案内線が引かれる。これらの案内線は、案内線610および案内線612と同様に、すなわち、ナックルの中心を通って、かつポケットが形成される領域を通らないで引かれる。案内線を引くプロセスを補助するために、より低い倍率が使用されてもよい。案内線によって、座標系は、事実上、ナックルの位置に対して確立される。したがって、解析プログラムは、今や、輪郭線図に基づいてナックルのサイズおよび形状を特定することができ、かつ案内線が交差する点により決定されるナックルの位置を特定することができる。解析プログラムは、画像600入力の縮尺SCをさらに有する。その結果として、解析プログラムは、輪郭線図ナックル602A、およびナックル位置付けに対して縮尺を適用して、ナックルの実際のサイズおよび間隔を計算することができることになる。同様に、解析プログラムは、単位長さ当たりに案内線612が案内線610と交差する回数などの案内線の頻度を計算し得ることに留意されたい。案内線610および案内線612の各組の頻度は、以下に説明するとおりに、ファブリックの特性の計算で、および本発明の他の態様において使用される。
【0050】
図7Dおよび
図7Eに示すように、ナックルは、すべてほぼ同じサイズ、すべてほぼ同じ形状であり、ナックルは、案内線に沿って規則的に間隔が空けられていることに留意されるべきである。これは、製紙機用の大部分のファブリックが非常に一貫したヤーンパターンで製造されている限り、驚くべきことでなく、これは、非常に一貫したナックルのサイズおよび位置をもたらす。ナックルのサイズ、形状、および配置における一貫性は、単一の選択されたナックル、または限定数の特定されたナックルに基づいてファブリックの接触表面上のナックルすべてのサイズおよび形状の正確な推定を可能にし、ナックルのサイズおよび位置の精密な推定を、各ナックルを特定することなしに達成することができる。当然ながら、なおさらなる正確さを達成するために、2以上のナックルを特定することができ、ならびに輪郭線図および案内線を、画像の異なる部分で引くことができる。
【0051】
図7Eに示すように、案内線610および案内線612は、複数の単位セルを画定する。特定の単位セル613が、案内線セグメント610A、610B、612A、および612B間で示される。単位セル613は、事実上、ファブリックにおける最小繰り返しパターン、および最大許容ポケットサイズを示す。
図7Aから
図7Eまでで示すファブリックは、単位セル当たりほぼ1つの縦糸ナックルを有する一方で、他のファブリックは、単位セル当たり2つ以上の縦糸ナックルおよび/または2つ以上の横糸ナックルを有してもよいことが留意されるべきである。言い換えれば、ナックルパターンにより画定される単位セルは、種々のファブリックパターンによって変わる。
【0052】
当業者に容易に明らかであるように、
図7Aから
図7Eまでに示すステップのいずれかまたはすべては、ディスプレイスクリーン上で使用者によって行うことができるか、または代替として、解析プログラムの実行後に行われるように自動化されてもよい。すなわち、解析プログラムは、画像の暗い部位としてナックルを自動的に特定し、ナックルの輪郭を描き、次いで、上に記載された方式で特定されたナックルに基づいて案内線を引くように構成されてもよい。
【0053】
選択されたナックルが特定された後、および案内線がナックルを通って確立された後、ファブリックの多様な特性が、解析プログラムにより決定されたナックルのサイズおよび位置を使用して計算されてもよい。このような計算を行うために、ナックルのサイズおよび位置決めデータを解析プログラムから慣用の表計算プログラムにエクスポートして、ファブリックの特性を計算することができる。解析プログラムによりなされた決定およびこのような決定から続く計算の例は、表1に示す。
【0055】
画像600がそれから得られるファブリックは、縦糸上にナックル602しか含まなかった。しかしながら、
図6Bおよび
図6Dでプリントを形成したファブリックなどの他のファブリックは、横糸上にナックルを含んでもよい。このようなファブリックに関して、横糸上のナックルは、上に記載した輪郭線を描く技術を使用して特定することができ、案内線は、上に記載した技術を使用して横糸ナックルを通って引くことができる。
【0056】
ファブリックの接触表面は、例えば、接触表面プリンティング装置300により形成されるファブリックのナックルのプリントを使用することによって特徴付けられてもよいが、他の実施形態において、ファブリックの接触表面の画像は、異なる方式で得られてもよい。ファブリックのナックルのプリントを形成するための代替は、ファブリックのナックルの写真を撮り、次いで、写真から形成される画像を解析するために上記手順および技術を使用することである。これに関連して、2400dpiを有する写真は、本明細書で記載される技術によって解析されるために十分に高く、および低い解像度を与えることがわかった。
【0057】
ナックルを有する製紙用ファブリックの部分の写真700の例が
図8Aに示され、写真700から生成された画像に対する解析的上記技術の適用は、
図8Bおよび
図8Cに示す。
図8Aにおける写真700は、定規Rの次のファブリック701を示す。写真700が、解析プログラムによる使用のために画像に変換される場合、画像700Aについての縮尺は、写真に撮られた定規Rに基づいて入力することができる、すなわち、写真700における定規Rは、解析がそれから縮尺を画像に適用し得る入力値を与える。表示された画像700Aは、縮尺SCとともに、
図8Bに示す。
【0058】
ファブリックの写真から得られた画像中のナックルのサイズおよび位置を特定するために、ファブリックのプリントからの画像を使用して上に記載された同じ技術が、その写真に使用されてもよい。例えば、輪郭線で描かれたナックル702Aならびに案内線710および案内線712は、
図8C中の画像700Aで示される。解析プログラムからのナックルのサイズ決定および位置データによって、上記計算のすべては、写真に撮られたファブリックの接触表面を特徴付けするために行われてもよい。
【0059】
上記技術は、特に、案内線セグメントにより形成された単位セルの形状が実質的に長方形である場合、ファブリックの特性の良好な推定値を与える。しかしながら、案内線により形成された単位セルの形状が非長方形の平行四辺形である場合、代替技術が使用されて、ファブリックの特性のより正確な推定値を与えてもよい。この代替技術の一例は、
図8Aに示され、これは、上記画像解析プログラムを使用してファブリックの表面の写真から生成された画像である。この図において、単位セル813は、案内線セグメント810A、810B、812A、および812Bにより画定される。案内線セグメント810A、810B、812A、および812Bにより形成される単位セル813は、実質的に非長方形の平行四辺形の形状である。この平行四辺形において、角度θは、案内線セグメント810Aおよび案内線セグメント812Bが交差する角Aにおいて規定され、角度θはまた、案内線セグメント810Bおよび案内線セグメント812Aが交差する角Bにおいて規定される。この角度θは、案内線の配向角度における差に基づいて画像解析プログラムを使用して容易に決定され得る。さらに、画像解析プログラムにより、上に一般的に記載された方式で画像の縮尺に基づいて、案内線セグメント810Aと案内線セグメント810Bとの間の距離(「DIST1」)および案内線セグメント812Aと案内線セグメント812Bとの間の距離(「DIST2」)も決定することができる。交差角度θ、DIST1、およびDIST2を決定してしまうと、単位セルの面積(UCA)は、式(1)または式(2):
UCA=(DIST1/sinθ)×DIST2 (1)
UCA=(DIST2/sinθ)×DIST1 (2)
のいずれかを使用して計算することができる。式(1)および式(2)は、平行四辺形の面積を計算するための標準式、すなわち、面積=底辺長さ×高さから誘導され、ここで、DIST1またはDIST2は、平行四辺形の高さとして使用され、次いで、底辺長さは、角度θのサインとDIST1またはDIST2の他方とから計算される。
【0060】
表2は、非長方形の平行四辺形単位セル面積計算に基づいて代替技術を使用する場合の解析プログラムによりなされる決定、およびこのような決定から続く計算の例を示す。
【0062】
表2における特性の一部は、表1で上に記載されたものと同じ方式で決定または計算されるが、一方でナックル密度、縦糸または横糸ナックル合計接触面積、接触面積比、面積寄与パーセント、ポケット面積推定値、およびポケット密度特性は、表2において表1におけるのとは異なって計算される。単位セルの非長方形の平行四辺形の形状を説明することによって、これらの異なる計算は、非長方形の平行四辺形の形状の単位セルを有するファブリックの特性のより正確な推定を与える。
【0063】
構造化ファブリックのポケットの有効容積を計算するための技術が、これから記載される。ポケットの有効容積は、構造化ファブリックの表面におけるポケットの(すなわち、ナックル表面間の)断面積と、製紙プロセスの間にウェブ中のセルロース系繊維がその中に移動し得るポケットの深さとの積である。ポケットの断面積は、上の表1および表2で記載されたとおりに、ポケット面積の推定値と同じである。構造化ファブリックのポケットの深さは、以下のとおりに決定され得る。
【0064】
図10は、構造化ファブリックの拡大写真を示す。写真を用いて、および上に記載された画像解析プログラムを使用して、4つのナックルK1からナックルK4が特定される。平行四辺形は、ナックルK1からナックルK4を接続する方式で引かれており、平行四辺形の線は、ナックルK1からナックルK4間で形成されるポケット領域を通らないように引かれている。引かれた平行四辺形によって、ナックルK1から、ポケットの中心を通って、ナックルK3まで通るプロファイル方向線PLを引くことができる。プロファイル方向線PLは、以下に記載されるとおりに、デジタル顕微鏡を使用してポケット深さを決定するために使用される。ナックルK1およびナックルK3からのプロファイル方向線PLは、ポケットの中心を通ることに留意されたい。以下に記載されるように、構造化ファブリックのポケット深さは、セルロース系繊維が製紙プロセスにおいてそれに貫通することができるポケットにおける深さとして決定される。
図10に示されるファブリックの場合、最大繊維移動深さは、ポケットの中心におけるものである。その結果として、プロファイル方向線は、代替として、ポケットの中心を通ってナックルK2からナックルK4に引かれ、代替のプロファイル方向線は、以下に記載されるポケット深さ決定のために使用することができる。当業者は、種々の構造化ファブリックが、ナックルおよびポケットの種々の構成を有するが、プロファイル方向線は、プロファイル方向線が
図10で決定されるのと同じ方式で種々の構造化ファブリックについて容易に決定され得ることを理解している。
【0065】
図11は、
図10に示した構造化ファブリックのポケットのプロファイルを決定するために使用したプログラムのスクリーンショットである。スクリーンショットは、日本国大阪のKeyence Corporationにより製造されたVHX−1000デジタル顕微鏡を使用して形成した。顕微鏡は、やはりKeyence Corporationにより供給されたVHX−H3Mアプリケーションソフトウェアを備えていた。ポケットの顕微鏡画像を
図11の上部に示す。この画像において、ナックルK’1およびナックルK’3ならびにナックル間のポケットは、容易に見ることができる。深さ決定線DLは、点Dから点Cに引かれており、深さ決定線DLは、ナックルK’1およびナックルK’3、ならびにポケットの中心を通る。深さ決定線DLは、
図10に示すプロファイル決定線PLに密接に接近するように引かれる。すなわち、
図10に示すナックルおよびポケット画像を使用して生成された深さ決定線DLの検査に基づいて、使用者Fは、
図11に示す顕微鏡画像において深さ決定線DLを引くことができ、深さ決定線DLは、ナックルK’3およびナックルK’1ならびにポケットの中心部分に対応する領域を通る。
【0066】
次いで、引かれた深さ決定線DLを用いて、デジタル顕微鏡は、
図11の下部に示すとおりに、深さ決定線DLに沿ってポケットの深さプロファイルを計算するように指示されることができる。ポケットのプロファイルは、ナックルK’3およびナックルK’1に対応する領域で最も高く、プロファイルは、ポケットの中心で最も低い点へと下がる。ポケット深さについては、このプロファイルから、ナックルK’3およびナックルK’1の最高点が始端として決定され、これは深さプロファイル上の線Aにより示される。この精度まで測定された構造化ファブリックの任意の2つのナックルと同様に、ナックルK’3およびナックルK’1は、正確に同じ最高点を有しない。したがって、最高点Aは、ナックルK’3およびナックルK’1の2つの最高点間の平均として決定される。ポケット深さについては、深さプロファイル上の線Bにより示された、深さプロファイルの最低点の直ぐ上の点が終端として決定される。当業者は理解するように、線Aから線Bまでのポケットの深さは、ウェブ中のセルロース系繊維が製紙プロセスにおいてその中に移動し得るポケットの深さにおおよそ対応する。VHX−H3Mソフトウェア(上で検討した)は、ファブリックの厚さ方向における複数の薄片から完全な深さプロファイルを形成することに留意されたい。また、深さプロファイルを形成する際に、VHX−H3Mソフトウェアは、フィルタリング機能を用いて、厚さ薄片から形成される深さプロファイルを滑らかにすることに留意されたい。
【0067】
測定されたポケット深さは、ファブリック中のポケットからポケットでわずかに変わることに留意されるべきである。しかしながら、本発明者らは、構造化ファブリックのための5つの測定ポケット深さの平均が、ポケット深さの良好な特徴付けを与えることを見出した。したがって、本明細書におけるポケット深さの測定値、および平面容積指数などの、ポケット深さの測定から続く測定値は、構造化ファブリックについての5つの測定ポケットにわたっての平均である。
【0068】
上述の技術を使用して、構造化ファブリックについての平面容積指数は、接触面積比(CAR)に有効ポケット容積(EPV)を乗じ、100を乗じたものとして容易に計算されてもよく、ここで、EPVは、ポケット面積推定値(上の表1におけるPA)と測定ポケット深さとの積である。さらに、非長方形の平行四辺形平面容積指数は、接触面積比(CAR)に有効ポケット容積(EPV)を乗じ、100を乗じたものとして計算することができ、ここで、CARおよびEPVは、上に記載した非長方形の平行四辺形単位セル面積計算手法を使用して計算される(EPVは、上の表2におけるポケット面積推定値PAと測定ポケット深さの積である)。本発明による吸収性紙製品を形成するために使用される構造化ファブリックについての平面容積指数および非長方形の平行四辺形平面容積指数は、以下に記載される。比較の構造化ファブリックについての平面容積指数および非長方形の平行四辺形平面容積指数も、以下に記載される。
【0069】
耐久性は、製紙プロセスで使用される構造化ファブリックに関する別の重要な側面である。特に、構造化ファブリックにおけるナックルにより形成されるウェブ接触表面は、構造化ファブリックが製紙機で使用されるにつれて磨耗する。磨耗は、ナックルのサイズを増加させる効果を有し、そして次に、これは、構造化ファブリックの接触面積を増加させる効果を有する。同時に、磨耗は、ポケット深さを減少させることによってポケット容積を減少させる効果も有する。その結果、接触面積が増加し、ポケット深さが減少するにつれて、構造化ファブリックについての平面容積指数および調整平面容積指数は変化することになる。平面容積指数および調整平面容積指数の変化は、例えば、得られる紙製品に形成されるドーム構造のサイズを変化させることによって、得られる紙製品の特性に影響を与える。
【0070】
構造化ファブリックの接触表面のサンディング(sanding)は、製紙プロセスの間に生じる構造化ファブリック上での磨耗をシミュレートするための有効な方法である。特定量の接触表面をサンディング除去して、製紙機での異なる量の運転後の構造化ファブリック上での磨耗をシミュレートすることができる。サンディング実験を、
図3に示すファブリックで行って、ファブリック上での磨耗をシミュレートした。表3は、構造化ファブリックの特性を示すことによりサンディング実験の結果を示し、特性は、上記技術、特に表1に記載する技術に従って決定した。より具体的には、表3は、ファブリック参照Aと称される
図3に示すファブリックの初期のサンディングされていない特性を示す。ファブリック参照Bでは、0.109mmの接触表面がサンディングにより除去され、ファブリック参照Cでは、0.139mmの接触表面がサンディングにより除去され、ファブリック参照Dでは、0.178mmの接触表面がサンディングにより除去された。
【0072】
表3のデータからわかるように、接触面積は、サンディングが構造化ファブリックに適用されるにつれて有意には増加しなかった。理論により拘束されないが、表3について試験した特定のファブリックの場合のように、比較的に一定の接触面積は、実質的に平坦な形状を有する構造化ファブリックの縦ヤーンから生じることができると考えられる。表2に示すデータも、ポケット深さが、ファブリックの接触表面がサンディングされるにつれて有意には減少しなかったことを示す。接触面積およびポケット深さが比較的に一定のままであることによって、平面容積指数も、ファブリックにより多くのサンディングが施されるにつれて比較的に一定のままであったということになる。一定の平面容積指数は、ファブリックが製紙機でファブリックの寿命を通して一貫した特性を有する紙製品をもたらすようであることを示す。これらの線に沿って、ファブリック参照Bに関してサンディング試験で除去された0.109mmの表面は、(上に記載されたとおりに)
図1に示す構成を有する製紙機でのTADプロセスの間の約950,000サイクルの運転に密接に対応することがわかった。このような多数のサイクルの運転後の構造化ファブリックにおける接触面積およびポケット深さの比較的小さい変化は、注目に値する。
【0073】
図3に示され、表3に示し、参照Aとして特徴付けされたサンディングされていないファブリックは、平面容積指数などの卓越した特性を有するにもかかわらず、製紙運転でファブリックを使用する前にファブリックのウェブ接触表面をサンディングすることが依然としてしばしば望ましいことが留意されるべきである。例えば、サンディングは、製紙運転におけるその初期の使用前にファブリックの接触表面をより平坦にするために使用されてもよい。本明細書で使用される場合の用語「サンディング」は、ファブリックの表面からの少量の材料の除去を示すことが意図される一般用語であることも留意されるべきである。サンディングという用語は、材料を除去するためのいかなる特定の技術にも限定されないことを意味する。例えば、サンディングは、「研磨」、「研削」などと呼ばれてもよい操作を包含する。
【0074】
参照Aから参照Dまでの構造化ファブリックについての計算した平面容積指数および非長方形の平行四辺形平面容積指数を、
図12Aに示す。比較のファブリックについての平面容積指数および非長方形の平行四辺形平面容積指数も、
図12Aに、同様に
図12Bから
図12Dまでにおいても示す。比較のファブリックは、当技術分野で公知である構造化ファブリックである。ナックルおよびポケット構造を示すファブリックのプリントも、
図12Aから
図12Dまでにおいて示す。
【0075】
図12Aから
図12Dまでのデータは、参照Aから参照Dまでの構造化ファブリックと比較のファブリック1からファブリック10までとの平面容積指数間の実質的な差を示す。参照Aから参照Dにおける平面容積指数は、約26〜約30であり、一方で比較のファブリック1からファブリック10における平面容積指数ははるかに低い。同様に、参照Aから参照Dにおける非長方形の平行四辺形平面容積指数は、約27〜約31.5であり、一方で比較のファブリック1からファブリック10における非長方形の平行四辺形平面容積指数は、はるかに低い。当業者は、参照Aから参照Dにおける構造化ファブリックの平面容積指数および非長方形の平行四辺形平面容積指数により定量化される接触面積比とポケット容積との組合せの多くの利点を理解する。例えば、接触面積が大きければ大きいほど、製紙プロセスの間にウェブにより多くの支持表面を与え、事実、ほとんどベルト様の形成表面を与える。別の例として、ポケット深さが大きければ大きいほど、有効使用にとって磨耗し過ぎるようになるまでファブリックが走行する期間をより長くすることが可能になる。すなわち、初期に深いポケットは、接触表面が製紙プロセスの間に実質的に磨耗した後でも有効深さを依然として有する。深いポケットは、より大きいキャリパ製品を形成させ得る。より具体的には、得られる製品のキャリパは、製紙プロセスの間にポケット中に移動するウェブの部分により形成される製品のドーム構造に部分的に関係する。より大きいポケットを与えることによって、参照Aから参照Dまでの構造化ファブリックは、より大きなドームを与え、そして次に、これは、最終紙製品においてより大きいキャリパを与える。理論に拘束されないが、参照Aから参照Dまでの構造化ファブリックの平面容積指数および非長方形の平行四辺形平面容積指数に由来するこれらの側面は、以下に詳細に記載される本発明による製品の卓越した特性の、少なくとも部分的な原因であると考えられる。
【0076】
特に、参照Aから参照Dまでのファブリックについての平面容積指数および非長方形の平行四辺形平面容積指数は、上に記載された狭い範囲内にある。上で検討したように、参照Aから参照Dまでは、
図1に示すとおりの製紙機でその運転の間のファブリック上での磨耗をシミュレートし、ファブリック参照Bは、製紙機での約950,000サイクルの運転に相関することがわかった。したがって、構造化ファブリックでのセルロース系ウェブの非圧縮的脱水および乾燥を含めて、上に記載されたとおりの製紙プロセスで使用される場合、参照Aから参照Dまでのファブリックは、製紙機の950,000サイクルの運転を通して、少なくとも約26の平面容積指数、および少なくとも約27の非長方形の平行四辺形平面容積指数を有する。
【0077】
図3および
図12Aならびに表3で示され、かつ特徴付けされるファブリックは、ハンドタオルの形態の吸収性シートなどの、紙製品を形成するために使用することができる。本発明者らは、構造化ファブリックで製造されたこのような紙製品が卓越した特性の組合せを有することを見出した。これらの特性、続いて、構造化ファブリックで製造された製品の具体例をこれから説明する。
【0078】
上で一般的に検討されたように、任意の紙製品の1つの重大な側面は、製品のキャリパである。一般的に言えば、キャリパが大きいほど、より良好である。本発明の一部の実施形態において、吸収性シートなどの2プライ紙製品は、少なくとも約255ミル/8シートのキャリパを有する。本発明のなおさらなる実施形態において、2プライ紙製品は、少なくとも約260ミル/8シートのキャリパを有し、さらには、2プライ製品は、少なくとも265ミル/8シートのキャリパを有する。これらの製品の2プライは、上で検討したように、中間のプライなしに直接付着していることに留意されるべきである。当業者は、2プライ製品についてのこのようなキャリパが、それら自体として、卓越していることを理解している。
【0079】
また上で検討されたものは、紙製品の、特に吸収性ハンドタオルなどの製品における吸収性の重要性である。本発明の紙製品は、飽和(SAT)容量により定量化される、並外れた吸収性を有する。SAT容量は、簡単な吸収性試験機を用いて測定される。この試験において、直径2.0インチ(5.08cm)の試料製品を上部平坦プラスチックカバーと底部溝付き試料プレートとの間に取り付ける。試料を1/8インチ(0.32cm)の広い周辺フランジ領域により適所に保持する。試料は、ホルダーによって圧縮されていない。3mm直径の導管を通して底部試料プレートの中心部において、73°F(22.8℃)の脱イオン水を試料へと導入する。この水は、マイナス5mmの水圧ヘッドにある。機器機構により測定の開始時に導入されたパルスにより流れを開始させる。したがって、水は、毛細管作用により放射状に外側にこの中心入口点から試料により吸収される。水吸収の速度が5秒当たり0.005g未満の水に低下するときに、試験を終了する。貯槽から除かれた、および試料により吸収された水の量を秤量し、試料1グラム当たりまたは試料1平方メートル当たりの水のグラム数として報告する。吸収された量(g/m
2)は、SAT変換減量を計算する目的に使用する。マルチプライタオルについてベースシートを試験する場合、タオルで使用されるプライの数を試験する。例えば、2プライのベースシートを積層し、試験し、次いで、SAT変換減量を決定する目的のためにベースシートから製造された2プライ完成製品と比較する。実際に、マサチュセッツ州ダンバーズのM/K Systems Inc.により製造された重量測定吸収性試験システムを使用する。水吸収性容量(SAT)は、実際には機器それ自体により決定される。SATは、重量対時間のグラフが「ゼロ」勾配を有する、すなわち、試料が吸収を止めた点として定義される。試験の終了基準は、固定期間にわたって吸収された水重量の最大変化で表される。これは基本的には重量対時間グラフに関するゼロ勾配の推定値である。プログラムは、「緩やかなSAT(Slow SAT)」が指定されていない限り、終了基準として5秒の時間間隔にわたって0.005gの変化を使用し、指定されている場合は、カットオフ基準は25秒で1mgである。
【0080】
本発明の実施形態において、2プライ紙製品は、少なくとも約650g/m
2のSAT容量を有する。本発明のさらなる実施形態において、2プライ紙製品は、少なくとも約675g/m
2のSAT容量を有する。上に記載した2プライ製品についてのキャリパと同様に、2プライ紙製品についてのこれらのSAT容量は、それら自体で、卓越している。事実、以下に記載される具体例で実証されるように、本発明による2プライ紙製品についてのキャリパとSAT容量との組合せは、従来の紙製品では見られない。
【0081】
本発明による紙製品の別の重大な側面は、製品の引張り強さおよび伸張の比に関する。乾燥引張り強さ(MDおよびCD)ならびに破断時伸張は、標準的なInstron(登録商標)試験装置または様々な方式で構成されていてもよい他の適切な伸び引張り強さ試験機によって、典型的には、50%相対湿度で23°±1℃(73.4°±1°F)の雰囲気で2時間調整した、ティシュペーパーまたはタオルの3インチ(76.2mm)または1インチ(25.4mm)の幅広い細片を使用して測定する。引張り強さ試験は、2インチ/分(50.8mm/分)のクロスヘッド速度で実験する。紙製品の引張り強さ比は、製品のMDにおける製品の引張り強さとCDにおける製品の引張り強さとの比である。同様に、紙製品の伸張比は、製品の破断時MD伸張と破断時CD伸張との比である。
【0082】
本発明の実施形態において、約1.1未満の引張り強さ比を有する紙製品が提供され、なおさらなる実施形態において、約1.0未満の引張り強さ比を有する紙製品が提供される。当業者によって理解されるように、これらの引張り強さ比は、当技術分野で公知の他の製品についての引張り強さ比よりも小さい。その結果、本発明による紙製品は、当技術分野で公知の他の紙製品よりも大きいCD引張り強さを示すことになる。この結果は、本発明による紙製品が、すべての方向でより一貫した引張り強さを有する、すなわち、引張り強さは、製品のMDおよびCD方向においてほぼ同じである。
【0083】
キャリパ、吸収性、および引張り強さ特性に加えて、紙製品にとって重要である他の特性がある。例えば、上で検討したように、吸収性ハンドタオルなどの紙製品の知覚柔軟性は非常に望ましい。しかし、同時に、柔軟性は、通常は紙製品の吸収性およびキャリパに逆比例する。本発明による紙製品は比較の紙製品よりも高い吸収性およびキャリパを有する一方で、この紙製品は他の紙製品と比較して柔軟性が大きくは低下していない。これは、紙製品に対して行なわれた感覚柔軟性試験で見ることができる。紙製品の感覚柔軟性は、TAPPI規格(71.2°F〜74.8°Fの温度、48%〜52%の相対湿度)に調整した試験領域における訓練されたヒト対象のパネルを使用することによって決定することができる。柔軟性評価は、試験を行なった場合にそれぞれの訓練された対象に常に利用可能である所定の柔軟性値を有する一連の物理的基準に依存する。訓練された対象は、試験試料を物理的基準と直接比較して、試験試料の柔軟性レベルを決定する。次いで、訓練された対象は、特定の紙製品に数字を割り当て、感覚柔軟性の数字がより高いほど、知覚柔軟性がより高いことを示す。以下に記載される本発明による紙製品の具体例で実証されるように、本発明の製品は他の公知の紙製品よりも高いキャリパおよび吸収性を有するにもかかわらず、本発明の紙製品の感覚柔軟性は非常に良好である。
【0084】
当業者は、坪量または嵩高さ、伸張、引張りモジュラス、SAT速度、幾何平均(GM)破断および引張りモジュラスなどの、紙製品の様々な他の重要な特性があることを理解している。特に、紙製造の経済性にとっての坪量または嵩高さの重要性は、上で検討されている。本発明による紙製品の追加の特性は、以下に記載される具体的な実施例に対して与えられる。
【0085】
本発明による紙製品の優れた特性を実証するために、製品を、
図1に示され、かつ上に記載された全体的な構成を有する製紙機でTADプロセスを使用して製造した場合の試験を行った。これらの試験では、
図3に示されるとおりの、かつ
図12Aおよび表3で特徴付けられた特性を有する構造化ファブリックを製紙機で使用した。試験についての具体的な実験条件を表4に示す。
【0088】
試験Aから試験Eまでにおいて作製したベースシートを、標準的な変換装置を使用して2プライ吸収性シートに変換した。変換プロセスは、米国意匠特許第648,137号(この開示は、その全体を引用して援用する)に示されたパターンを使用するエンボス加工を含んだ。エンボス侵入は、一部の試験について0.075インチ、および他の試験について0.120インチに設定した。具体的な変換プロセスパラメータを表5に示す。
【0090】
次いで、試験の一部からの変換された2プライ吸収性シートを、SAT容量、キャリパ、引張り強さ比、伸張比、および感覚柔軟性を含めて、シートの特性を決定するために試験した。決定された特性を表6および表7に示す。表6および表7における表示「N/D」は、特定の試験についてそのパラメータが測定されなかったという表示であることに留意されたい。
【0093】
本発明による紙製品の高いキャリパと良好な吸収性との組合せは、当技術分野で公知の他の紙製品では見られない。この証拠は、
図13に見ることができ、これは、上に記載した技術に従って製造した製品についてキャリパとの関連でSAT容量を示す。
図13は、本出願の譲受人により、および他の製造業者により製造された比較の2プライおよび比較の3プライ吸収性製品も示す。比較の2プライおよび3プライ製品は、構造化ファブリックを用いて製紙プロセスで製造された製品、および構造化ファブリックの代わりに構造化ベルトを用いて製造された2プライ製品を含む。このデータから見ることができるように、本発明による試験製品はすべて、キャリパとSAT容量との卓越した組合せを有した。具体的には、2プライ試験製品は、少なくとも約255ミル/8シートのキャリパおよび少なくとも約650g/m
2のSAT容量を有した。さらに、試験製品の一部は、700g/m
2を超えるSAT容量を有し、4つの試験製品は、265ミル/8シートを超えるキャリパを有した。他方で、2プライの比較製品は、2プライ試験製品のキャリパとSAT容量との組合せを有したものはなかった。SAT容量とキャリパとの組合せを有した唯一の製品は、3プライの比較製品であった。当然ながら、当業者によって理解されるように、3プライ製品の製造に伴うコストは、2プライ製品についてのものよりも相当に大きい。
【0094】
上で詳細に検討したように、紙製品の吸収性およびキャリパは、一般には、紙製品の知覚柔軟性に逆に関係する。
図13に示すデータと組み合わせて、表6および表7のデータは、本発明の製品についての吸収性、キャリパ、および柔軟性の卓越した組合せを実証する。本発明の紙製品は高い吸収性およびキャリパを実証する一方で、紙製品の柔軟性は、表6および表7で示される感覚柔軟性値で示されるように、依然として比較的高い。比較のために、同様の市販のハンドタオルは、一般的に5.1〜6.8の感覚柔軟性を有し得る。
【0095】
図14は、本発明による試験製品のさらなる特性、ならびに比較の2プライおよび3プライ製品の追加の特性を示す。具体的には、
図14は、試験製品および
図13に示した同じ比較の製品についての引張り強さ比とキャリパとの関係を示す。試験製品のすべては、少なくとも約650g/m
2のSAT容量とともに、約1.00未満の引張り強さ比を有した。より具体的には、試験製品は、約0.85〜約1.0の引張り強さ比を有した。他方で、比較製品のほとんどは、1.00を超える引張り強さ比を有した。上で検討したように、試験製品の範囲の引張り強さ比は、すべての方向でより一貫した強さを有する製品を与える。1.0を相当に超える引張り強さ比を有する比較製品は、すべての方向では一貫した強さを有しないが、むしろ、CDにおけるよりもMDで相当により大きい強さを示す。
【0096】
本発明による製品のさらなる独特な特性は、
図15から
図17までに見ることができる。
図15は、本発明による試験製品および比較の紙製品についての引張り強さ比の関数としてのSAT容量を実証する。上で検討したように、2プライ試験製品は、少なくとも約650g/m
2のSAT容量および約0.85〜約1.0の引張り強さ比を有した。
図15から明らかなように、SAT容量と引張り強さ比とのこの組合せは、試験製品を2プライおよび3プライの比較製品と異なるものにする。
図16および
図17は、本発明による試験製品および比較製品についての、それぞれ、SAT容量およびキャリパとの関連で伸張比を示す。再度、試験製品は、比較製品のいずれにも見られない特性の独特の組合せを有したことを見ることができる。
【0097】
前述の製品の具体例は、一般的には、ハンドタオルなどの、特定の市販製品をもたらす、例えば、坪量、吸収性、キャリパなどのパラメータの狭い範囲を有したが、本明細書で開示される技術および方法を使用して、様々な製品を製造することができることが当業者によって理解される。本発明の広い範囲を実証するために、
図1に示す構成を有する製紙機でのTADプロセスを含めた、上に記載した技術を使用し、且つ、
図3および
図12Aならびに表3および表4で特徴付けした構造化ファブリックを使用して、様々なベースシートを製造した。これらのベースシートの特性を表8に示す。
【0099】
表8における結果は、本発明による製品に付与され得る、坪量、キャリパ、およびCD湿潤引張り強さを含む、広範囲の特性を実証する。理論によって拘束されないが、これらの特性は、本製品を形成するために使用した構造化ファブリックの独特の性質によって少なくとも部分的に可能にされていると考えられる。例えば、上で検討したように、構造化ファブリックの平面容積指数は、製品の特性に対して相当な効果を有し、構造化ファブリックの平面容積指数は、当技術分野で公知の他の構造化ファブリックの平面容積指数とは非常に異なる。
【0100】
本発明をある特定の具体的な例示的実施形態で説明してきたが、多くの追加の変更および変形が、この開示を考慮すると当業者に明らかである。したがって、本発明は、具体的に記載されたのものとは別の方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明の例示的実施形態は、すべての点で、例証的であって、制限的ではなく、本発明の範囲は、前述の説明によってよりもむしろ、本出願およびその均等物により支持可能ないずれかの特許請求項によって決定されるべきある。