特許第6793558号(P6793558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6793558水上風力発電施設支持構造物およびその施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793558
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】水上風力発電施設支持構造物およびその施工方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20201119BHJP
【FI】
   F03D13/25
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-8523(P2017-8523)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2018-115636(P2018-115636A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107272
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 敬二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109140
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 研一
(72)【発明者】
【氏名】三好 俊康
(72)【発明者】
【氏名】田中 智宏
【審査官】 井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−120470(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0252580(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102008046601(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/25
F03D 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上風力発電施設を支持する着床式の構造物であって、
鉄筋コンクリート底版と、
前記鉄筋コンクリート底版により支持されるとともに前記鉄筋コンクリート底版から鉛直上方に延びて前記水上風力発電施設を支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、
内周筒部と、
前記内周筒部の外周に位置する外周筒部と、
前記内周筒部と前記外周筒部との間の空間に鉛直方向に延びるように配置される複数の第1鋼管と、
隣り合う前記第1鋼管の間に配置され前記第1鋼管よりも小径の複数の第2鋼管と、を有し、
前記第1鋼管は、隣接する前記第2鋼管と連結し、かつ、前記内周筒部の外面に連結している、水上風力発電施設支持構造物。
【請求項2】
前記外周筒部は複数枚の鋼板から構成される請求項1に記載の水上風力発電施設支持構造物。
【請求項3】
前記第1鋼管内、前記第2鋼管内、前記内周筒部内、および、前記外周筒部と前記内周筒部との間の空間が充填材料により充填された充填構造を備える請求項1または2に記載の水上風力発電施設支持構造物。
【請求項4】
水上風力発電施設を支持する着床式の構造物を施工する方法であって、
前記構造物は、鉄筋コンクリート底版と、前記鉄筋コンクリート底版により支持されるとともに前記鉄筋コンクリート底版から鉛直上方に延びて前記水上風力発電施設を支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、内周筒部と、前記内周筒部の外周に位置する外周筒部と、前記内周筒部と前記外周筒部との間の空間に鉛直方向に延びるように配置される複数の第1鋼管と、隣り合う前記第1鋼管の間に配置され前記第1鋼管よりも小径の複数の第2鋼管と、を有し、
前記内周筒部を構成する中央鋼管の周囲に前記第1鋼管と前記第2鋼管とを交互に配置し、
前記第1鋼管と前記中央鋼管の外面とを結合し、前記第1鋼管と隣接する前記第2鋼管とを結合し、
前記複数の第1鋼管を取り巻くように鋼板を配置し固定することで前記外周筒部を構成する、水上風力発電施設支持構造物の施工方法。
【請求項5】
前記鉄筋コンクリート底版を形成するための型枠を前記水上風力発電施設の設置位置に配置し、
前記支持部を運搬し、前記型枠内に配置し、コンクリートを打設する請求項4に記載の水上風力発電施設支持構造物の施工方法。
【請求項6】
前記鉄筋コンクリート底版により支持された前記支持部を陸上で製作し、
前記支持部を運搬し、前記水上風力発電施設の設置位置に設置する請求項4に記載の水上風力発電施設支持構造物の施工方法。
【請求項7】
前記支持部において前記第1鋼管内、前記第2鋼管内、前記中央鋼管内、および、前記外周筒部と前記中央鋼管との間の空間に充填材料を充填する請求項4乃至6のいずれか1項に記載の水上風力発電施設支持構造物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上風力発電施設を支持する構造物およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー政策の一環として再生可能エネルギーが注目されている昨今、風力発電は重要な電源確保の策の一つとして位置付けられている。また、洋上風力発電は、陸上立地に比べて風況が良好であることや、居住区域から離れているため騒音等環境負荷が少ないことなどから、港湾区域を中心に洋上風力発電の導入が進みつつある。こうした洋上風力発電施設の支持構造物形式としては、一般に水深60m程度まで着床式、水深60m以深では浮体式が用いられている。この内、着床式に関してはケーソン式、モノパイル式、杭ジャケット式等があり、地盤条件や施工条件に応じて適用されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。また、近年では鉄筋コンクリート底版とジャケット方式のハイブリッドタイプが採用されている。
【0003】
こうした洋上風力発電施設は、離岸距離1km以上の沖合では、定格出力2MW程度のものが実証事業として設置され、風車中心高さは海面より60m以上の高さとなっている。また、今後の再生可能エネルギーへの注目が高まる中、平成27年(2015年)に電気事業法が改正され、風力発電施設導入の気運が高まっている。こうした状況の中、洋上風力発電洋上風力発電ウインドファームとして商用展開することを考えると、施設1基あたりの定格出力は2MW以上となることが予想されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4696854号公報
【特許文献2】特許第4645300号公報
【特許文献3】特開2006-84660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
平成27年電気事業法の一部が改正され、洋上風力発電施設を含む風力発電施設は電気事業法の下で構造性能が評価されることとなったが、構造性能は建築基準法に従うことを基本としている。また、洋上風力発電施設は建築基準法では煙突や遊戯施設等の工作物として取り扱われるが、高さ60mを超える工作物は、高層ビル等の建築物と同様の構造性能評価が求められる。地震が多発する日本において、前記建築物および前記工作物の内、高さ60mを超えるものに対しては、レベル1地震動およびレベル2地震動を用いた時刻歴応答解析の実施により、動的特性を評価した上で構造性能が確保されているかどうか検討することが求められている。ここで、時刻歴応答解析とは、図1のように、大規模な地震波等により建築物に生じる力・変形の変化を、時々刻々と、コンピュータによりシミュレーションし、建築物の耐震安全性等を検証する構造計算の手法である。
【0006】
一方、設置地点の地盤は地域によっては砂質土層や粘性土層が主体となるところもあれば、岩盤が主体となるところもある。地盤が岩盤主体である設置地点に対して、支持構造物が杭ジャケット式やトリポッド、トリパイルなどの杭を併用する支持構造物を適用する場合、構造性能確保のために杭径が大口径となることや、杭本体が非常に長くなることがある。前者は杭に作用する外力に抵抗するための必要な断面確保が目的であり、後者の場合は杭に作用する押込み力や引抜き力に抵抗するための杭長確保が目的である。そのため、岩盤の強度が過大で削孔が不可能になる等、杭施工自体が不可となる場合は重力式支持構造物の適用が考えられる。支持構造物を重力式とする場合には、海底地盤上に予め設けた捨石マウンドに支持構造物を据え付けることになるが、重力式支持構造物の検討にあたっては、港湾施設での検討と同様に滑動、転倒、支持力といった安定性検討が必要となる(例えば、風力発電設備支持構造物構造設計指針・同解説、2010年版、土木学会編)。しかしながら、安定性検討では「剛体であること」が前提条件となっており、その判断にあたり、所定の剛体判定の式による剛体判定が必要となる。
【0007】
商用展開を考えると施設1基あたりの定格出力が既往事例の2MW以上の風車設置が主体となると予想されるが、定格出力が大きくなるほど施設頂部の風車重量は重くなる。
【0008】
沖合展開を想定すると、実証事業-15m程度より水深は-20mから-30m程度へ一層深くなることから支持構造物の大型化が必須となる。重力式支持構造物の内、ケーソン式の場合は水深増大に伴い、寸法も増えるため重量が課題となる。ケーソン式より重量が比較的軽いハイブリッド重力式の場合では据付作業に作業船を用いたが、底版重量が約3000t程度と重いことから浮力を利用した半没水状態で据付位置まで曳航した。したがって、ケーソン式と同様に水深増大に伴い、重量が増大することが予想される。
【0009】
洋上風力発電施設は、頂部から支持構造物の接合部まで鋼管製タワーで構成されており、鋼管系も最頂部で1m前後から接合部まで5m前後へ漸増しており、接合部から下は例えば同等径の鋼管が用いられることから、フーチング上に設置されたトップヘビーのカンチレバー構造と見なせる。こうした構造を対象に構築した3次元骨組構造解析モデルを用いて予め固有値解析を実施するが、カンチレバー構造物であることから時刻歴応答解析では材料非線形性を考慮しない。そのため時刻歴応答解析の結果は固有値解析で得られる振動モードの重ね合わせで推定可能である。高層建築物の場合は1次モードの振幅が卓越し、2次以降の高次モードにおける振幅は比較的小さく高次モードの影響はほとんど無い。しかしながら、この場合は、高次モード振幅が1次モードと同程度であるため、応答加速度が増大する等、振動性状が複雑になる傾向となることが予想される。安定性検討では骨組構造モデルの各節点位置における応答加速度に質量を乗じて得られる慣性力を用いて、滑動作用力および転倒作用力(曲げモーメント)を用いるが、上記解析結果から作用力が大きくなることが考えられる。さらに、カンチレバー脚部における作用力も過大となることが予想される。
【0010】
ケーソン式支持構造物ではケーソン本体の重量が重いことから慣性力が大きく、滑動抵抗性の確保ならびに転倒への対応により、ケーソン本体の寸法を大きくせざるを得ない状況になり、結果的に製作後の設置が困難となることが考えられる。
【0011】
鉄筋コンクリート底版とジャケット構造を併用した場合においても同様であり、かつ水深増大に伴いジャケット部の構造が複雑化し、コスト増大の要因となることが考えられる。
【0012】
以上を鑑みると、洋上風力発電施設の支持構造物およびその施工については次の問題が存在する。
(1)定格出力増大および設置位置水深増大に伴い、ジャケット式やトリポッド、トリパイル等の杭式では耐震性など構造性能確保のため、杭部断面諸元が施工不可能な程度となる恐れがある。
(2)重力式への転換を考えた場合も、定格出力増大ならびに設置位置水深増大に伴い、ケーソンや鉄筋コンクリート底版のサイズが増大し、結果的に施工が困難となる恐れがある。
(3)重力式の場合、カンチレバー構造となるため、その脚部に過大な断面力が作用することが考えられるため、構造性能確保が困難となる場合があると考えられる。
【0013】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、定格出力増大や設置位置水深増大に対応できる構造性能を確保するとともに施工可能な水上風力発電施設支持構造物およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための水上風力発電施設支持構造物は、水上風力発電施設を支持する着床式の構造物であって、鉄筋コンクリート底版と、前記鉄筋コンクリート底版により支持されるとともに前記鉄筋コンクリート底版から鉛直上方に延びて前記水上風力発電施設を支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、内周筒部と、前記内周筒部の外周に位置する外周筒部と、前記内周筒部と前記外周筒部との間の空間に鉛直方向に延びるように配置される複数の第1鋼管と、隣り合う前記第1鋼管の間に配置され前記第1鋼管よりも小径の複数の第2鋼管と、を有し、前記第1鋼管は、隣接する前記第2鋼管と連結し、かつ、前記内周筒部の外面に連結している。
【0015】
この水上風力発電施設支持構造物によれば、内周筒部の外周に位置する外周筒部により、剛性確保のために必要な径を確保でき、また、内周筒部と外周筒部との間の空間に大径の第1鋼管と小径の第2鋼管とを交互に配置し、第1鋼管を隣接する第2鋼管と連結しかつ内周筒部の外面に連結させることで剛性を確保できるので、定格出力増大や設置位置水深増大に対応できる構造性能を確保することができる。
【0016】
上記水上風力発電施設支持構造物において前記外周筒部は複数枚の鋼板から構成されることで、外周筒部の径が大きくなっても、外周筒部を構成できる。
【0017】
なお、前記第1鋼管と前記第2鋼管とが継手等により連結されていることが好ましい。また、第1鋼管と内周筒部の外面とが継手等により連結されることが好ましい。また、前記内周筒部が前記外周筒部よりも鉛直上方に突き出ていることで、支持構造物の必要な高さを確保できる。また、前記内周筒部と前記第1鋼管と前記第2鋼管とが載るように配置された底板と、前記鉄筋コンクリート底版との接合のために前記底板の外周から突き出るようにして設けられた接合板と、を備えることが好ましい。底板により充填材料が充填されたときの受け部を構成できる。
【0018】
また、前記第1鋼管内、前記第2鋼管内、前記内周筒部内、および、前記外周筒部と前記内周筒部との間の空間が充填材料により充填された充填構造を備えることで、支持部において必要な剛性および重量を確保できる。
【0019】
上記目的を達成するための水上風力発電施設支持構造物の施工方法は、水上風力発電施設を支持する着床式の構造物を施工する方法であって、
前記構造物は、鉄筋コンクリート底版と、前記鉄筋コンクリート底版により支持されるとともに前記鉄筋コンクリート底版から鉛直上方に延びて前記水上風力発電施設を支持する支持部と、を備え、前記支持部は、内周筒部と、前記内周筒部の外周に位置する外周筒部と、前記内周筒部と前記外周筒部との間の空間に鉛直方向に延びるように配置される複数の第1鋼管と、隣り合う前記第1鋼管の間に配置され前記第1鋼管よりも小径の複数の第2鋼管と、を有し、
前記内周筒部を構成する中央鋼管の周囲に前記第1鋼管と前記第2鋼管とを交互に配置し、前記第1鋼管と前記中央鋼管の外面とを結合し、前記第1鋼管と隣接する前記第2鋼管とを結合し、前記複数の第1鋼管を取り巻くように鋼板を配置し固定することで前記外周筒部を構成する。
【0020】
この水上風力発電施設支持構造物の施工方法によれば、内周筒部を構成する中央鋼管の周囲に第1鋼管と第2鋼管とを交互に配置し、第1鋼管と中央鋼管の外面とを結合し、第1鋼管と隣接する第2鋼管とを結合し、複数の第1鋼管を取り巻くように鋼板を配置し固定することで外周筒部を構成することで、剛性確保のために必要な径を確保する外周筒部を製作できるとともに、内周筒部と外周筒部との間の空間に大径の第1鋼管と小径の第2鋼管とを交互に配置し、第1鋼管を隣接する第2鋼管と連結しかつ内周筒部の外面に連結させることで、必要な剛性を確保する構造を施工することができる。
【0021】
上記水上風力発電施設支持構造物の施工方法において、前記鉄筋コンクリート底版を形成するための型枠を前記水上風力発電施設の設置位置に配置し、前記支持部を運搬し、前記型枠内に配置し、コンクリートを打設することが好ましい。あるいは、前記鉄筋コンクリート底版により支持された前記支持部を陸上で製作し、前記支持部を運搬し、前記水上風力発電施設の設置位置に設置するようにしてもよい。
【0022】
また、前記支持部において、前記第1鋼管内、前記第2鋼管内、前記中央鋼管内、および、前記外周筒部と前記中央鋼管との間の空間に充填材料を充填することで、支持部において必要な剛性および重量を確保できる。
【0023】
なお、前記第1鋼管と前記第2鋼管とを継手等により連結することが好ましい。また、前記中央鋼管と前記複数の第1鋼管と前記複数の第2鋼管とを底板に載せ、接合することが好ましい。また、前記底板に、前記鉄筋コンクリート底版との接合のために前記底板の外周から突き出るように接合板を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、定格出力増大や設置位置水深増大に対応できる構造性能を確保可能で施工可能な水上風力発電施設支持構造物およびその施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態による洋上風力発電施設支持構造物を示す縦方向要部断面図(a)およびB-B線方向に切断して見た横方向断面図(b)である。
図2図1(b)の大径の第1鋼管と小径の第2鋼管との連結のための継手構造例を示す部分図(a)、他の構造例を示す部分図(b)およびさらに他の構造例を示す部分図(c)である。
図3】本実施形態による支持構造物の施工方法の主要な工程を説明するためのフローチャートである。
図4図1のタワー支持部を施工するために鉄筋コンクリート底板型枠上に内周円筒部を建て込んだ状態を示す上面図(a)および縦方向断面図(b)である。
図5図4の状態から内周円筒部の周囲に大径の第1鋼管,小径の第2鋼管を鉄筋コンクリート底板型枠31上に継手を用いて建て込んだ状態を示す上面図(a)および縦方向断面図(b)である。
図6図5の状態から外周円筒部用鋼板を第1鋼管13,13間に設置する状態を示す上面図(a)および縦方向断面図(b)である。
図7図6の状態からリング板を外周円筒部の周囲に配置し、リブとリブの上端に別の接合板を設置した状態を示す上面図(a)、縦方向断面図(b)および方向Cから見た部分図(c)である。
図8図7のタワー支持部の周囲に鉄筋コンクリート底版を構築する状態を示す上面図(a)および縦方向断面図(b)である。
図9図8の支持構造物を設置位置に据え付けた状態を示す縦方向要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による洋上風力発電施設支持構造物を示す縦方向断面図(a)およびB-B線方向に切断して見た横方向断面図(b)である。
【0027】
図1(a)のように、本実施形態による洋上風力発電施設支持構造物(以下、「支持構造物」という。)1は、鉄筋コンクリート底版2と、鉄筋コンクリート底版2により支持されるとともに鉄筋コンクリート底版2から鉛直方向に延びるようにして直立するタワー支持部3と、から構成され、風車タワー20を支持する。支持構造物1は、鉄筋コンクリート底版2が海底に捨石により構築された基礎マウンドMの上に載るようにして設置される。
【0028】
風車タワー20は、支持構造物1の上端のトランジッションピース10に鉛直上方に延びるようにして設置される。風車タワー20は、必要な高さを確保するように鉛直上方に延びるタワー部21と、タワー部21の上端に配置され発電機やインバータ等の各種装置を収容する風車ナセル22と、風車ナセル23の一端に取り付けられ風を受けて回転する風車ブレード23と、を備える。
【0029】
ここで、たとえば、風車タワー20のタワー部21の最下端の鋼管直径を5m、鉄筋コンクリート底版2のサイズを幅30m×長さ30m×高さ3m、鉄筋コンクリートのヤング係数を2.8×107(kN/m2)、タワー支持部3の鋼管径をタワー部21の最下端に合わせて5mとし、基礎マウンドMの変形係数を50,000(kN/m2)とし、剛体判定の式により剛体判定をすると、不可となる。一方、剛体判定を可とするためのタワー支持部3の径を算定すると、9.5mとなるため、タワー支持部3は、タワー部21の下端における鋼管径よりも大きい寸法を必要とする。しかしながら、製造可能な鋼管径には限界があり9.5mといった大口径の鋼管の製作はほぼ不可能である。そこで、本実施形態では、タワー支持部3を次のような構造としている。
【0030】
すなわち、図1(b)のように、タワー支持部3は、中央に配置されて鋼管からなる内周円筒部11と、内周円筒部11を包囲するように位置する外周円筒部12と、内周円筒部11と外周円筒部12との間に長手方向に延びるように配置される複数の第1鋼管13と、第1鋼管13,13の間に長手方向に延びるように配置され第1鋼管13よりも小径の複数の第2鋼管14と、を有する。第1鋼管13は、隣接する第2鋼管14,14に継手15,15により連結され、かつ、内周円筒部11の外面に継手16により連結される。
【0031】
図1(b)の継手15について図2を参照して説明する。図6は、図1(b)の大径の第1鋼管と小径の第2鋼管との連結のための継手構造三例を示す部分図(a)(b)(c)である。
【0032】
図2(a)の継手15の構造例は、鋼管14よりも小径の鋼管15a,15bを第1鋼管13の外周と第2鋼管14の外周に溶接等で取り付け、縦方向に形成された切り込みを用いて鋼管15aと鋼管15bとを互いにかみ合わせた構造としたもので、鋼管矢板の結合に用いられるP-P型継手と同様の構成である。鋼管15a,15bの内部は、モルタルやコンクリート等の充填材料により充填される。
【0033】
図2(b)の継手15Aの構造例は、鋼管14よりも小径の鋼管15cを第1鋼管13の外周に溶接等で取り付け、第2鋼管14の外周に溶接等で取り付けられたT継手15dを鋼管15cの長手方向に形成された切り込みを用いて鋼管15c内に収めた構造としたもので、鋼管矢板の結合に用いられるP-T型継手と同様の構成である。鋼管15cの内部は、モルタルやコンクリート等の充填材料により充填される。
【0034】
図2(c)の継手15Bの構造例は、鋼板15eを第1鋼管13の外周と第2鋼管14の外周に溶接等で取り付けたものである。なお、第1鋼管13と内周円筒部11の外面との間に配置される継手16も、図2(a)〜(c)と同様に構成できる。
【0035】
図1(b)のタワー支持部3の寸法等の構成例について説明すると、内周円筒部11を径5500mmの鋼管、第1鋼管13を径2000mmの鋼管、第2鋼管14を径1000mmの鋼管から構成し、外周円筒部12を径9656mmとする。外周円筒部12は、円弧状または直線状の複数枚の鋼板から構成し、かかる鋼板を隣り合う第1鋼管13,13間に配置し溶接により接合する。なお、これらの寸法は一例であって、適宜変更可能である。
【0036】
上述のタワー支持部3によれば、中央に配置される鋼管からなる内周円筒部11の周囲に、複数の第1鋼管13と複数の小径の第2鋼管14とを交互に配置し、第1鋼管13と第2鋼管14とを相互に結合し、内周円筒部11と第1鋼管13とを相互に結合し、複数枚の鋼板を第1鋼管13,13間に固定して外周円筒部12に構成するという構造によって剛体判定上必要となるタワー支持部3の径を確保できるとともに、全体の剛性を高くすることができる。
【0037】
タワー支持部3が鉄筋コンクリート底版2と接合されて支持構造物1が構成され、支持構造物1は、第1鋼管13内、第2鋼管14内、および、内周円筒部11と外周円筒部12との間の空間内にコンクリート等の充填材料が充填される充填構造を備えることで、重量および完成時に必要な剛性を確保することができる。
【0038】
次に、図1(a)(b)の支持構造物1の施工方法について図2図8を参照して説明する。図3は、本実施形態による支持構造物の施工方法の主要な工程S01〜S11を説明するためのフローチャートである。図4図9図3の各工程における支持構造物の各部分を示す図である。
【0039】
まず、陸上の工場等において、図4(a)(b)のように、鋼板からなる円形の鉄筋コンクリート底板型枠(以下、「底板型枠」という。)31を設置し(S01)、底板型枠31の上に鋼管からなる内周円筒部11を建て込み、溶接により接合する(S02)。底板型枠31には、鉄筋コンクリート底版2との接合のために、その外周から半径方向に突き出るように、鋼板からなる矩形状の複数の接合板32が溶接により接合されている。なお、内周円筒部11の建て込みは、接合板32を底板型枠31に接合してから行うことで安定性を確保できる。また、底板型枠31の径は、外周円筒部12の外径に合わせて決められる。
【0040】
次に、図5(a)(b)のように、内周円筒部11の周囲に、第1鋼管13,小径の第2鋼管14を、底板型枠31上において、図2(a)のような継手15,16を用いて建て込み、第1鋼管13,第2鋼管14を底板型枠31に溶接により接合する(S03)。なお、継手15または継手16として、図2(b)(c)の継手15A,15Bを用いて建て込むようにしてもよい。
【0041】
次に、図6(a)(b)のように、円弧状または直線状の外周円筒部用鋼板12aを第1鋼管13,13間に溶接により設置する(S04)。鋼板12aは底板型枠31にも溶接により接合される。複数枚の鋼板12aを設置することで最外周に外周円筒部12を構成する。これにより、タワー支持部3が構築される。
【0042】
次に、図7(b)(c)のように、鋼板からなるリブ33を底板型枠31上から接合板32上に延びて外周円筒部12の外周面から半径方向に突き出るようにして配置し、溶接により設置する(S05)。複数のリブ33が各接合板32に設置される。
【0043】
次に、図7(a)〜(c)のように、鋼板からなるドーナッツ状のリング板34を外周円筒部12の上端からはめ込むようにしてリブ33の上端33aに当接させて配置し、溶接によりリブ33,外周円筒部12の外周面に溶接により固定し設置する(S06)。また、リング板34の外周には各リブ33の上端33aに当接するようにして矩形状の複数の接合板35を溶接により設置する。複数の接合板32,35と複数のリブ33とリング板34とは、タワー支持部3と鉄筋コンクリート底版2との一体化を図るための部材である。なお、ドーナッツ状のリング板34は、切断加工により鋼板から構成できるが、サイズ等によっては扇状等の分割形状とした複数枚の鋼板から溶接により接合して構成してもよい。
【0044】
上述のようにして、図7(a)〜(c)のタワー支持部3を構築するが、このステップS06までは、陸上の工場等での施工である。なお、図4図7では、内周円筒部11は、外周円筒部12,第1鋼管13,第2鋼管14と同じ高さにしたが、図8(b)の破線のように、外周円筒部12等よりも長く構成されている。
【0045】
次に、図7(a)(b)のタワー支持部3を、浮力を活かしながら半没水状態とし、作業船上に設置したクレーンまたはクレーン作業船による吊り上げにより設置位置まで運搬する(S07)。
【0046】
一方、図1(a)のように、洋上風力発電施設の設置位置において、水底に構築された基礎マウンドM上に図8(a)の鉄筋コンクリート底版2の形成のために側面型枠を設置することで型枠(図示省略)を設置しておく(S08)。型枠内には、図8(b)のように、複数の鉄筋36が水平方向に配置され、鉄筋36,36に結合するように複数の鉄筋37が鉛直方向に配置される。なお、型枠は、別途、陸上の工場等で製作され、運搬されて設置される。
【0047】
次に、図8(a)(b)のように、タワー支持部3を型枠内に設置し(S09)、次に、型枠内にコンクリートを打設する(S10)。これにより、図8(a)(b)のようにタワー支持部3の周囲に鉄筋コンクリート底版2が構築され、鉄筋コンクリート底版2とタワー支持部3とが一体化される。なお、鉄筋コンクリート底版2の平面形状は、図8(a)のように矩形であるが、これに限定されず、円形等の形状であってもよい。
【0048】
次に、内周円筒部11内、外周円筒部12と内周筒部11との間の空間内、第1鋼管13内、第2鋼管14内に充填材料としてコンクリートを充填する(S11)。この充填構造により、支持構造物1において剛性および重量を確保することができる。
【0049】
上述のようにして、図9のように水底の基礎マウンドM上に鉄筋コンクリート底版2とタワー支持部3とから構成される支持構造物1を据え付け設置することができる。なお、図9のように内周円筒部11の上端には、トランジッションピース10が取り付けられる。
【0050】
なお、図3では、タワー支持部3を設置位置まで運搬し、設置位置に形成された型枠内に設置し、型枠へのコンクリート打設により鉄筋コンクリート底版2とタワー支持部3とを一体化したが、本発明は、これに限定されず、鉄筋コンクリート底版2とタワー支持部3との一体化までの各工程を陸上の製作ヤードで実施し、この一体化された鉄筋コンクリート底版2とタワー支持部3とを、設置位置まで運搬し、設置位置に据え付けるようにしてもよい。
【0051】
以上のように、本実施形態による支持構造物によれば、支持対象の風車タワー20がカンチレバー構造物であるが、このカンチレバー構造物を支持するために必要な断面を確保できるとともに、ケーソン式よりも軽量な鉄筋コンクリート底版による支持構造を実現できる。
【0052】
すなわち、本実施形態による支持構造物は、図1(b)のタワー支持部3の構造によって剛体判定上必要となる径を確保できかつ全体の剛性を大きくでき、さらに、タワー支持部3と鉄筋コンクリート底版2とが接合し、タワー支持部3の内部をコンクリート等の充填材料が充填された充填構造とすることで、重量および必要な剛性を確保することができる。したがって、風力発電施設の定格出力が増大し、設置位置水深が増大した場合でも、耐震性などの構造性能を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態による支持構造物の施工方法によれば、剛性確保のために必要な径を確保する外周円筒部を製作でき、必要な剛性を確保する構造の施工が可能である。
【0054】
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、図2(a)(b)の継手15,15Aを施工する場合、鋼管15a,15bまたは鋼管15cの内部への充填材料の充填は、図7の工程S109と同時期に行ってよいが、工場等において前もって行ってもよい。
【0055】
また、本実施形態では、風力発電施設を海上に設置するものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、たとえば、湖上等に設置されてもよいことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の水上風力発電施設支持構造物およびその施工方法によれば、定格出力増大や設置位置水深増大に対応できる構造性能を確保でき、この支持構造物を施工できるので、水上風力発電施設の大型化に対応できる。
【符号の説明】
【0057】
1 洋上風力発電施設支持構造物、支持構造物
2 鉄筋コンクリート底版
3 タワー支持部、支持部
11 内周円筒部、内周筒部
12 外周円筒部、外周筒部
12a 外周円筒部用鋼板
13 第1鋼管
14 第2鋼管
15,16 継手
20 風車タワー
31 底板
32、35 接合板
33 リブ
34 リング板
36,37 鉄筋
M 基礎マウンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9