(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸着用磁石装置は、前記下部フレームの互いに対向する箇所に移動調節可能に結合された2つの結合部と、前記各結合部から下方に垂設され各結合部により回転可能に支持された軸部と、前記軸部で支持された直方体状の磁石とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の充填形鋼管コンクリート柱の管理装置。
前記アームは、直線状に延在しその延在方向の中間部が前記アーム支持部で支持された第1アーム部と、前記第1アーム部の先端から上方に直線状に延在しその先端に前記吊り下げ用プーリが設けられた第2アーム部とを有し、
前記第1アーム部の基端に前記ケーブル巻き取り機構から繰り出される前記ケーブルが巻装された巻き取り用プーリが設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の充填形鋼管コンクリート柱の管理装置。
前記吸着用磁石装置は、前記下部フレームを前記上端開口よりも上方に位置させ、かつ、平面視した場合に前記下部フレームの一部を前記上端開口の内側に位置させた状態で前記鋼管に取り付ける、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の充填形鋼管コンクリート柱の管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態の管理装置について説明する。
まず、
図1を参照して充填形鋼管コンクリート柱10の施工方向について説明する。
充填形鋼管コンクリート柱10は、建築構造物の柱部材を構成するものである。
鋼管12の内部空間にコンクリート14を圧入充填し、固化することで充填形鋼管コンクリート柱10が構築される。
ここで使用される鋼管12は四角筒状で複数階に亘り延在する長さを有し、この鋼管12の内部には、圧入されたコンクリート14が通過する打設孔を有する複数の補強板(ダイヤフラム板)が鋼管12の全長に亘り一定の間隔で固設されている。複数の補強板は本実施の形態では、階床毎に設けられている。
さらに、鋼管12の側壁には、各階床に対応してコンクリート圧入口1202が設けられている。このコンクリート圧入口1202は、コンクリート14が圧入充填された後に塞ぎ鋼板により閉塞されるものである。
本実施の形態では、
図1に示すように、鋼管12の上端開口1203は屋上の床面RF上に突出している。
また、
図3に示すように、鋼管12の上端開口1203はトッププレート1204で閉塞され、トッププレート1204の中央には円形のトッププレート開口1206が形成されている。トッププレート1204は複数の補強板のうちの1つである。
このような鋼管12は、地上に構築された基礎部2上に立設される。そして、鋼管12内には、建築構造物の地上階に相当する搬入階F1に搬入されたコンクリート圧送用ポンプ車16からコンクリート14がコンクリート圧入口1202を通して圧入充填される。
また、鋼管12の各階床に対応する箇所には梁部材が連結されている。
【0009】
次に、本実施の形態の充填形鋼管コンクリート柱10の管理装置20(以下管理装置20という)について説明する。
なお、本実施の形態において、鋼管12に対してコンクリート圧送用ポンプ車16などが搬入される階床を搬入階F1とし、鋼管12のコンクリート圧入口1202にコンクリート圧送用ポンプ車16のコンクリート輸送管1602が接続されるコンクリート圧入階床を搬入階F1よりも上層の階床F2〜Fnとし、各階床F2〜Fnに対応した鋼管12部分にコンクリート14が充填される毎に、コンクリート圧入階床は1階ずつ順次上方階へ移行される。
【0010】
また、管理装置20は屋上に配置されている。
管理装置20は、カメラユニット22と、ケーブル24と、ケーブル案内機構26と、ケーブル巻き取り機構28と、パーソナルコンピュータ30などを含んで構成されている。
【0011】
図2(A)、(B)に示すように、カメラユニット22は、照明装置32と、撮像装置34と、レーザ距離計36と、電源回路38(
図6)と、ケース40とを備えている。
本実施の形態では、カメラユニット22が、鋼管12内部の情報を検出する検出部を構成している。
【0012】
照明装置32は、鋼管12内部を照明する照明手段として機能する。
本実施の形態では、照明装置32は、発光ダイオードで構成されており、電源回路38から供給される電力によって点灯する。
【0013】
撮像装置34は、鋼管12内部を撮像して画像情報を生成する撮像手段として機能する。
撮像装置34は、撮像光学系と、撮像光学系によって捉えられた被写体像を撮像して画像情報を生成する撮像素子と、撮像素子を駆動すると共に、撮像素子から送出される画像情報をケーブル24を介してパーソナルコンピュータ30に送出する信号処理部などを含んで構成されている。
撮像装置34は、ケース40がケーブル24に吊り下げられた状態で撮像光学系の光軸が鉛直方向の下方を向くように構成されている。
撮像装置34は、電源回路38から供給される電力によって動作する。
なお、撮像装置の撮像光学系は、鋼管12の内部を効率的に監視することができればよく、従来公知の様々な構成のものが使用可能である。
なお、撮像光学系として、180度の画角を有し、光軸を中心とする360度の範囲を撮像可能で、かつ、光軸を含む平面内で光軸を中心として180度の範囲で撮像が可能に構成された魚眼レンズを使用してもよい。
この場合は、撮像装置で得られる画像情報をそのままディスプレイ装置30H(
図7)などで表示すると歪曲した画像が表示されてしまうため、従来公知の画像変換処理を行うことにより歪曲しない自然な画像を表示させればよい。
このような魚眼レンズを用いると、鋼管12の内部や打設されたコンクリート14の状況を広範囲にわたって監視する上で有利となる。
【0014】
レーザ距離計36は、鋼管12内部に配置され鋼管12内部に充填されたコンクリート14の天端14A(
図1)からの鉛直方向における距離を測定し第1の距離情報を生成する第1の距離測定手段として機能する。
レーザ距離計36は、天端14Aに対してレーザ光を照射し、天端14Aで反射されたレーザ光を受信し、レーザ光が天端14Aで反射して戻ってくるまでの時間からレーザ距離計36と天端14Aとの間の距離を測定し、この測定結果を第1の距離情報としてケーブル24を介してパーソナルコンピュータ30に送出する。
レーザ距離計36は、電源回路38から供給される電力によって動作する。
【0015】
電源回路38は、後述するインターフェースユニット60(
図6)の電源回路6002からケーブル24を介して供給される電力を、照明装置32と、撮像装置34と、レーザ距離計36とに供給するものである。
【0016】
ケース40は、鋼管12内部に昇降可能に配置され、照明装置32と、撮像装置34と、レーザ距離計36と、電源回路38を収容保持するものである。
本実施の形態では、ケース40は、両端が閉塞された円筒状を呈し、ケース40の内部は密閉されている。ケース40の材料は、耐衝撃性を有する金属材料や合成樹脂材料など従来公知の様々な材料が使用可能である。
ケース40の上部は、ケーブル24の一端が挿入された状態でケーブル24に取着されている。
ケース40の下部は、透明なアクリルなどの合成樹脂材料で形成された窓部4002が設けられている。
窓部4002の外面には、窓部4002を保護する平面視Y字状を呈するフレーム4004が取着されている。
窓部4002は、フレーム4004によって周方向に3つの領域に分割されており、各領域に対向して照明装置32と撮像装置34とレーザ距離計36とが配置されている。
【0017】
なお、本実施の形態では、検出部を構成するカメラユニット22が、鋼管12内部の情報として、撮像装置34で撮像された画像情報と、レーザ距離計36で測定された鋼管12内部に充填されたコンクリート14の天端14A(
図1)からの鉛直方向における距離を検出する場合について説明した。
しかしながら、鋼管12内部の情報として何を検出するかは任意であり、検出部の構成は、検出すべき鋼管12内部の情報に応じて適宜決定される。
【0018】
ケーブル24は、鋼管12の上端開口1203を介して鋼管12外部から鋼管12内部に導入されケース40(カメラユニット22)を吊り下げるものである。
本実施の形態では、ケーブル24は、撮像装置34からの画像情報およびレーザ距離計36からの第1の距離情報をパーソナルコンピュータ30に伝送する信号ケーブルと、照明装置32、撮像装置34およびレーザ距離計36に電源回路6002(
図6)からの電力を供給する電源ケーブルとして機能している。
なお、本実施の形態では、ケーブル24は、信号ケーブル、電源ケーブルを兼用しているが、信号ケーブル、電源ケーブルとは別のケーブルを設けても良い。この場合、ケーブルとは、ケース40を吊り下げることができ、また、後述するケーブルドラム2804(
図5)により巻き取り、繰り出し可能なものであればよく、合成樹脂製、または、金属製のロープやワイヤなど従来公知のさまざまな吊り下げ用の部材が使用可能である。
【0019】
図4(A)に示すように、ケーブル24の表面には、その延在方向に沿って予め定められた基準間隔で指標25が形成されている。
指標25は、後述する指標検出器58(
図4(A))で検出可能であればどのような形態であってもよい。
例えば、指標25は、ケーブル24の周方向にわたって均一幅の線が印刷により、あるいは塗料を塗布されることにより形成することができる。
【0020】
図3、
図4(A)、(B)に示すように、ケーブル案内機構26は、ケーブル24を鋼管12の上端開口1203から鋼管12内部に案内するものである。
ケーブル案内機構26は、アーム42と、吊り下げ用プーリ44A、2つの中間プーリ44B、44C、巻取り用プーリ44Dと、下部フレーム46と、吸着用磁石装置48と、上部フレーム50と、アーム支持部54とを含んで構成されている。
【0021】
アーム42は、直線状に延在する第1アーム部4202と、第1アーム部4202の先端から上方に直線状に延在する第2アーム部4204とを備えている。
第1アーム部4202の中間部の両側に2つの取付金具4206がそれぞれ取着されている。
吊り下げ用プーリ44Aは、第2アーム部4204の先端に回転可能に設けられ、ケーブル24が巻装されている。
巻取り用プーリ44Dは、第1アーム部4202の基端に回転可能に設けられ、ケーブル巻き取り機構28から繰り出されるケーブル24が巻装されている。
2つの中間プーリ44B、44Cのうちの一方の中間プーリ44Bは、第1アーム部の先端に回転可能に設けられ、他方の中間プーリ44Cは、第1アーム部4202の中間部に回転可能に設けられている。
それら中間プーリ44B、44Cには、吊り下げ用プーリ44Aと巻き取り用プーリ44Dとの間のケーブル24が巻装される。
図4(B)において、符号45A、45Bは、ケーブル24を中間プーリ44C、巻取り用プーリ44Dのそれぞれに向けて押圧するローラである。
【0022】
下部フレーム46は、枠状に延在形成されており、本実施の形態では、下部フレーム46は円環状を呈している。
下部フレーム46には、下部フレーム46の延在方向に沿って延在する半円弧状の下部案内溝4602が2つ設けられ、それら下部案内溝4602は下部フレーム46を上下方向に貫通している。
なお、下部フレーム46の形状は三角枠、矩形枠、多角形枠、楕円枠など従来公知の様々な枠形状が使用可能である。
しかしながら、本実施の形態のように下部フレーム46を円環状に形成すると、吸着用磁石装置48、上部フレーム50の移動を簡単な構成で円滑に行なう上で有利となる。
【0023】
吸着用磁石装置48は、下部フレーム46の延在方向に沿って移動可能に配置され鋼管12の外周面に吸着可能に構成されている。
吸着用磁石装置48は、下部フレーム46をほぼ水平にした状態で上端開口1203よりも上方に位置させ、かつ、平面視した場合に下部フレーム46の一部を上端開口1203の内側に位置させた状態で鋼管12に取り付けるものである。
本実施の形態では、吸着用磁石装置48は、2つの結合部4802と、軸部4804と、磁石部4806とを含んで構成されている。
結合部4802は、下部フレーム46の互いに対向する箇所に移動調節可能に結合されている。
本実施の形態では、結合部4802は、下部フレーム46の下部案内溝4602の上方から挿入された不図示のボルトと、下部フレーム46の下方に配置され前記ボルトが螺合される雌ねじを有する本体部材4803とを含んで構成されている。
結合部4802は、ボルトを緩めた状態で下部案内溝4602に沿って本体部材4803が移動され、ボルトを締結することで本体部材4803が下部フレーム46に固定される。
このように吸着用磁石装置48を構成することで吸着用磁石装置48の簡素化を図る上で有利となる。
【0024】
軸部4804は、各本体部材4803から下方に垂設され各本体部材4803により回転可能に支持されている。
磁石部4806は、軸部4804で支持され直方体状を呈している。
磁石部4806は、つまみ4808の回転操作により永久磁石を回転させることで磁性体である鋼管12に吸着する励磁状態と、鋼管12に吸着しない非励磁状態とに切り替え可能に構成されている。
【0025】
上部フレーム50は、下部フレーム46の互いに対向する箇所に移動調節可能に結合され、下部フレーム46の互いに対向する箇所から上方に凸状に延在している。
本実施の形態では、上部フレーム50は、上方に凸の半円弧状を呈しており、上部フレーム50の半径は、下部フレーム46の半径とほぼ同一である。
上部フレーム50にはその延在方向に沿って上部案内溝5002が形成され、上部案内溝5002は上部フレーム50を貫通している。
なお、上部フレーム50の形状は、三角形枠、矩形枠、多角形枠、楕円枠など従来公知の様々な枠形状が使用可能である。
しかしながら、本実施の形態のように上部フレーム50が上方に凸の半円弧状を呈していると、アーム支持部54の移動を円滑に行なう上で有利となる。
【0026】
上部フレーム50の長手方向の両端には不図示の雌ねじが形成されている。
下部フレーム46の下部案内溝4602に下方から挿入された不図示のボルトが上部フレーム50の雌ねじに螺合されている。
したがって、上部フレーム50は、ボルトを緩めた状態で下部案内溝4602に沿って移動され、ボルトを締結することで上部フレーム50が下部フレーム46に固定される。
【0027】
アーム支持部54は、上部フレーム50の延在方向に移動調節可能に設けられ平面視した場合に吊り下げ用プーリ44Aを上端開口1203の内側に位置させた状態でアーム42の長手方向の中間部を支持するものである。
図3、
図4(A)に示すように、本実施の形態では、アーム支持部54は、一対の取付金具4206と、一対の連結片5402とを含んで構成されている。
一対の連結片5402は上下に細長形状を呈し、それら連結片5402は一対の取付金具4206の先端屈曲部4206Aに取着され、第1アーム部4202の両側に配置されている。
各連結片5402の上端はボルト43Aを介して取付金具4206の先端屈曲部4206Aに取着されている。
各連結片5402の下端と上部フレーム50の上部案内溝5002にわたってボルト43Bが挿通され、このボルト43Bに螺合されるナットを介して各連結片5402の下端は上部案内溝5002に沿って移動調節可能に支持されている。
すなわち、ボルト43Bに螺合された不図示のナットを緩めることで各連結片5402の上部案内溝5002に沿った移動が許容され、ナットを締結することで各連結片5402の位置が固定され、すなわち、アーム42が上部フレーム50に移動調節可能に配置されている。
【0028】
図3に示すように、ケーブル案内機構26は、第2アーム部4204の上端に設けられた吊り下げ用プーリ44Aが鋼管12の上端開口1203の上方に位置し、第1アーム部4202が水平方向に延在した状態となるように、励磁状態とされた吸着用磁石装置48を介して鋼管12の壁部に取着される。
この状態で、ケーブル24は、各プーリ44A〜44Dに巻装されることにより繰り出し、巻き取り可能に配置される。
したがって、ケーブル案内機構26は、ケーブル案内機構26が下部フレーム46と上部フレーム50を介して鋼管12に取着された状態でカメラユニット22を吊り下げたケーブル24を各プーリ44A〜44Dを用いて繰り出し、巻き取り可能に案内するものである。
【0029】
図4(B)に示すように、ロータリーエンコーダ56は、フレキシブルカップリング57を介して他方の中間プーリ44Cと一体的に回転するように第1アーム部4202に取着されている。
したがって、ロータリーエンコーダ56は、中間プーリ44Bと巻取り用プーリ44Dとの間のケーブル24の移動量に相当する中間プーリ44Cの回転量を検出し、その検出結果である回転量情報をパーソナルコンピュータ30に供給する。
図4(A)に示すように、指標検出器58は、第1アーム部4202に取着されている。指標検出器58は、ケーブル24の指標25を検出して指標検出情報をパーソナルコンピュータ30に供給する指標検出手段として機能するものである。このような指標検出器58として、検出光をケーブル24の表面に照射しその反射光の光量の変化によって指標25の有無を判定する光センサなど従来公知のさまざまなセンサが使用可能である。
【0030】
図1に示すように、ケーブル巻き取り機構28は、ケーブル案内機構26を介してケーブル24の巻き取りおよび繰り出しを行なうことでケース40を鋼管12内部で昇降させるものである。
図5(A)、(B)に示すように、ケーブル巻き取り機構28は、基台2802、ケーブルドラム2804、ハンドル2806、動力伝達部2808などを含んで構成されている。
基台2802は、屋上の床面FRに固定されるものである。
ケーブルドラム2804は、基台2802に回転可能に支持されており、ケーブル案内機構26から導出されたケーブル24の巻き取り、繰り出しを行うものである。
ハンドル2806は、基台2802に対して回転可能に支持されている。
動力伝達部2808は、ハンドル2806とケーブルドラム2804との間に設けられ、ハンドル2806の回転力をケーブルドラム2804に伝達することでケーブルドラム2804を巻き取り方向、繰り出し方向に回転させるものである。動力伝達部2808は、歯付ベルトと複数のギアを組み合わせるなど従来公知のさまざまな機構が使用可能である。
なお、ケーブルドラム2804は、摩擦板が押し付けられることで回転位置が保持されるように構成されている。したがって、ハンドル2806の回転操作によりカメラユニット22を任意の位置に移動させたのち、ハンドル2806から手を離してもカメラユニット22の位置が保持されるようになっている。
したがって、ケーブル巻き取り機構28のハンドル2806を正逆方向に回転させることでケーブル24の巻き取り、繰り出しがなされ、これによりケーブル案内機構26を介してケーブル24が移動されることによってカメラユニット22が鋼管12内部で昇降される。そして、ハンドル2806の回転を停止することにより、カメラユニット22の位置が決定される。
【0031】
図中、符号2810は、基台2802とケーブルドラム2804との間に設けられケーブル24に電気的に接続されたスリップリングである。
スリップリング2810とパーソナルコンピュータ30との間を接続するインターフェースユニット60が基台2802に取着されている。
図6に示すように、インターフェースユニット60は、電源回路6002と、マイクロコンピュータ6004と、USBインターフェース6006とを備えている。
電源回路6002は、商用電源に接続されたACアダプタ62から供給される電力によって機能するものであり、スリップリング2810、ケーブル24を介してカメラユニット22側の電源回路38に電力を供給する。
マイクロコンピュータ6004は、レーザ距離計36からケーブル24、スリップリング2810を介して供給される第1の距離情報と、ロータリーエンコーダ56から供給される回転量情報と、指標検出器58から供給される指標検出情報をパーソナルコンピュータ30で処理可能な形式に変換するものである。
USBインターフェース6006は、マイクロコンピュータ6004とパーソナルコンピュータ30との通信をUSBで行うためのものである。
なお、撮像装置34からケーブル24、スリップリング2810を介して供給される画像情報は、マイクロコンピュータ6004、USBインターフェース6006を介してパーソナルコンピュータ30に供給されるものとしたが、画像情報を別途設けたカメラサーバを介してモニタ装置やパーソナルコンピュータ30に配信するようにするなど任意である。
【0032】
図1に示すように、パーソナルコンピュータ30は、屋上の床面FRに設置されている。
パーソナルコンピュータ30は、
図7に示すように、CPU30Aと、ROM30B、RAM30C、ハードディスク装置30D、ディスク装置30E、キーボード30F、マウス30G、ディスプレイ装置30H、プリンタ装置30I、入出力インターフェース30Jなどを有している。
ROM30Bは所定のデータやプログラムなどを格納し、RAM30Cはワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置30Dは、管理装置20の機能を実現するための制御プログラムを格納している。
【0033】
ディスク装置30EはCDやDVDなどの記録媒体に対してデータの記録、再生を行うものである。
なお、本実施の形態において、上記データは、画像情報、天端14Aの高さなどを含む。
キーボード30Fおよびマウス30Gは、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ装置30Hはデータを表示出力するものである。
プリンタ装置30Iはデータを印刷出力するものである。
入出力インターフェース30Jは、インターフェースユニット60を介して撮像装置34、レーザ距離計36、ロータリーエンコーダ56、指標検出器58との間でデータの授受を行うものである。
【0034】
パーソナルコンピュータ30は、CPU30Aが前記の制御プログラムを実行することによって、
図8に示すように、表示手段64と、第2の距離測定手段66と、天端高さ算出手段68とを実現する。
【0035】
表示手段64は、撮像装置34から供給される画像情報に基づいて画像を表示するものであり、本実施の形態では、CPU30Aおよびディスプレイ装置30Hによって構成されている。
また、表示手段64は、天端高さ算出手段68で算出される鋼管12に充填されたコンクリート14の天端高さに基づいて鋼管12の全高に対する天端高さの割合を、
図9に示す図形70を用いてリアルタイムに表示するものである。
この場合、表示される図形70は、鋼管12に対応する鋼管12の断面形状に対応する鋼管表示部70Aと、各階のスラブに対応するスラブ表示部70Bと、天端14Aの上昇に伴い一次元的に変化する棒グラフとして表示されるコンクリート表示部70Cとで構成されている。
したがって、天端14Aの位置を直感的に把握する上で有利となっている。
【0036】
第2の距離測定手段66は、予め定められた基準位置とレーザ距離計36との間の鉛直方向における距離を測定し第2の距離情報を生成するものである。
本実施の形態では、基準位置は、例えば、基礎部2(
図1)の位置である。
本実施の形態では、第2の距離測定手段66は、ロータリーエンコーダ56と、指標検出器58とに加えて、補正手段67を含んで構成されている。
補正手段67は、ロータリーエンコーダ56で検出された回転量情報、すなわち、ケーブル24の移動量に基づいて第2の距離情報を生成すると共に、指標検出器58により指標25が検出される毎に基準間隔を用いて第2の距離情報を補正するように構成されている。
【0037】
天端高さ算出手段68は、第1の距離情報と、補正手段67で補正された第2の距離情報とに基づいて基準位置からのコンクリート14の天端14Aの高さを算出するものである。
【0038】
なお、本実施の形態では、
図1に示すように、各コンクリート圧入階F2〜Fn、搬入階F1にもパーソナルコンピュータ72、74が設置されており、これらパーソナルコンピュータ72、74と管理装置10のパーソナルコンピュータ30とはLAN76によって通信可能に接続されている。
そして、監視装置の表示手段64で表示される情報がLAN76を介して各コンクリート圧入階F2〜Fn、搬入階F1のパーソナルコンピュータ72、74に供給されることで、それら他のパーソナルコンピュータ72、74においても管理装置10の表示手段64の表示内容と同一の表示内容が表示されるように構成されている。
さらに、上記LAN76をインターネット78に接続しており、インターネット78を介して現場から離れた事務所や施設、顧客のパーソナルコンピュータ80、82、84にも上記と同様に表示内容を配信できるように構成されている。
【0039】
次に、本実施の形態の管理装置20の使用方法について説明する。
まず、屋上の床面FRにケーブル巻き取り機構28を設置すると共に、屋上の床面FRに位置する鋼管12に下部フレーム46と上部フレーム50を介してケーブル案内機構26を取着し、鋼管12の上端開口1203からケーブル24を介してカメラユニット22を吊り下げる。本実施の形態では、トッププレート開口1206からケーブル24を介してカメラユニット22を吊り下げる。
具体的に説明すると、まず、各プーリ44A〜44Dにケーブルが巻装されていない状態でケーブル案内機構26を下部フレーム46と上部フレーム50を介して鋼管12の外周面に取り付ける。
すなわち、下部フレーム46を鋼管12の上端開口1203よりも上方で水平に位置させ、かつ、平面視した場合に下部フレーム46の一部を上端開口1203の内側に位置させた状態とし、この状態で、吸着用磁石装置48の磁石部4806が鋼管12の外周面に重ね合わされるように、磁石部4806の位置を下部案内溝4602に沿って移動させて位置決めする。
吸着用磁石装置48が鋼管12の外周面に重ね合わされたならば、つまみ4808の回転操作により各磁石部4806を非励磁状態から励磁状態に切り替えて吸着用磁石装置48を鋼管12の外周面に吸着させる。
次いで、吸着用磁石装置48の本体部材4803に対してボルトを締結することで結合部4802を下部フレーム46に固定する。これにより、下部フレーム46が吸着用磁石装置48を介して鋼管12の外周面に固定される。
【0040】
次いで、アーム42の第2アーム部4204の先端の吊り下げ用プーリ44Aが上端開口1203の上方に位置するように、本実施の形態では、トッププレート開口1206の上方に位置するように、上部フレーム50の下部フレーム46の延在方向に沿った移動調節と、アーム支持部54の上部フレーム50の延在方向に沿った移動調節を行ない、アーム42の水平方向、垂直方向の位置あるいは傾きを調整する。上部フレーム50およびアーム42の調節がなされたならば、それぞれボルトを締結することで上部フレーム50およびアーム42の位置を固定する。
【0041】
次いで、各プーリ44A〜44Dにケーブル24を巻装し、カメラユニット22(ケース40)を鋼管12の上端開口1203から鋼管12の内部に挿入し、ケーブル巻き取り機構28のハンドル2806を回して、ケーブル巻き取り機構28からケーブル24を繰り出してカメラユニット22(ケース40)を下方に下ろしていく。
この際、ケーブル24によって吊り下げられたカメラユニット22(ケース40)が、トッププレート開口1206の縁部、あるいは、鋼管12の補強板の打設孔の縁部に接触して引っ掛かる場合には、再度、ケーブル案内機構26の水平方向、垂直方向の位置あるいは傾きを調整してケース40と補強板の打設孔の縁部とが干渉しないようする。
すなわち、上部フレーム50を下部フレーム46に固定しているボルト、および、アーム支持部54を上部フレーム50に固定しているボルトをいったん緩める。
そして、上部フレーム50の下部フレーム46の延在方向に沿った移動調節と、アーム支持部54の上部フレーム50の延在方向に沿った移動調節を行ない、アーム42の水平方向、垂直方向の位置あるいは傾きを調整する。
上部フレーム50およびアーム42の調節がなされたならば、それぞれボルトを締結することで上部フレーム50およびアーム42の位置を固定する。
このようにケーブル案内機構26の水平方向、垂直方向の位置あるいは傾きを調整することにより、カメラユニット22の昇降動作の円滑化、鋼管12の内部の監視の効率化が図られている。
【0042】
ケーブル案内機構26の水平方向、垂直方向の位置あるいは傾きの調整が完了したならば、ケーブル巻き取り機構28のハンドル2806を回して、コンクリート14の充填が撮像可能で、レーザ距離計36による天端位置の測定が可能な位置にカメラユニット22を降下させ、カメラユニット22の高さを決める。
このとき、第2の距離測定手段66により、ロータリーエンコーダ56で検出されたケーブル24の移動量に基づいて第2の距離情報が生成されると共に、指標検出器58により指標25が検出される毎に基準間隔を用いて第2の距離情報が補正されることにより、基準位置に対するレーザ距離計36の距離である第2の距離情報が正確に得られる。
そのため、中間プーリ44Cがケーブル24に対してスリップするなどして、ケーブル24の移動量に対するロータリーエンコーダ56の回転量に誤差が生じたとしても、その誤差を補正することにより第2の距離情報を正確に得ることができる。
したがって、天端14Aの高さを正確に得ることができ、コンクリート14の天端14Aの高さを的確に管理する上で有利となる。
【0043】
次に、搬入階F1に乗り入れたコンクリートミキサー車から生コンクリートをコンクリート圧送用ポンプ車16の投入口に順次投入する。
同時にコンクリート圧送用ポンプ車16を起動することにより、生コンクリート14をコンクリート輸送管1602を通して鋼管12のコンクリート圧入口1202から鋼管12の内部空間内に圧入する。
【0044】
コンクリート14が鋼管12の内部空間内に圧入充填され続けると、その天端14Aは内部空間内を
図1の矢印に示すように上昇する。
レーザ距離計36によって天端14Aまでの距離である第1の距離情報がリアルタイムに計測される。
天端高さ算出手段68は、リアルタイムに得られた第1の距離情報と、第2の距離情報とに基づいて基準位置からのコンクリート14の天端14Aの高さをリアルタイムに算出する。
【0045】
ディスプレイ装置には、
図9に示す管理画面が表示される。
管理画面には、(1)撮像装置34によって得られた鋼管12内部での天端14Aの状況を示す画像情報D1と、(2)コンクリート14の天端高さに基づいて鋼管12の全高に対する天端高さの割合示す図形70とが表示される。
なお、画像情報のうち、符号1210は鋼管12内部に形成された補強板、符号1212は補強板に形成された打設孔を示す。
したがって、天端高さに基づいて鋼管12の全高に対する充填されたコンクリート14の天端高さの割合を、図形を用いてリアルタイムに表示するようにしたので、天端14Aの高さを直感的に把握する上で有利となる。
さらに、図形は、鋼管12の断面形状に対応する鋼管表示部70Aと、各階のスラブに対応するスラブ表示部70Bと、天端14Aの上昇に伴い一次元的に変化する棒グラフとして表示されるコンクリート表示部70Cとで構成されているため、天端14Aとスラブとの位置関係も直感的に把握することができコンクリート14の天端14Aの高さを的確に管理する上でより有利となる。
【0046】
また、
図9に示す管理画面として、符号D3に示すような時間経過に伴うコンクリート天端高さの上昇速度を示す速さグラフ、符号D4に示すような時間経過に伴うコンクリート天端高さの位置を示す高さグラフを表示させるようにしてもよい。これらのグラフは、天端高さ算出手段68で算出されたコンクリート14の天端高さに基づいてパーソナルコンピュータ30によりリアルタイムに生成すればよい。
また、搬入階F1に、撮像装置を設置しておき、その撮像装置で撮像された搬入階F1の状況を示す画像情報をLAN76によって管理装置20のパーソナルコンピュータ30に伝送し、符号D5に示すように、搬入階F1の状況を示す画像として表示させるようにしてもよい。
【0047】
本実施の形態によれば、吸着用磁石装置48の位置を下部フレーム46の延在方向に沿って移動させることができるため、鋼管12の形状や大きさに拘わらず吸着用磁石装置48を鋼管12の外周面に吸着させてケーブル案内機構26を鋼管12に簡単に取り付ける上で有利となる。
また、上部フレーム50が下部フレーム46の延在方向に沿って移動調節できると共に、アーム支持部54が上部フレーム50の延在方向に沿って移動調節できるため、鋼管12の形状や大きさに拘わらず、ケーブル24によって吊り下げられたカメラユニット22(ケース40)が、鋼管12の補強板の打設孔の縁部に接触して引っ掛かることがないように、ケーブル案内機構26の水平方向、垂直方向の位置あるいは傾きを容易に調整する上で有利となる。
したがって、従来のように、鋼管12の形状や大きさに応じてケーブル案内機構26をその都度製作する必要がなく、ケーブル案内機構26のコストおよびケーブル案内機構26の設置に要するコストを低減する上で有利となる。
また、ケーブル案内機構26の取付作業およびケーブル案内機構26の水平方向、垂直方向の位置あるいは傾きの調整作業が容易に行えるため、管理対象となる鋼管12の上端が建築物の高所で外側近傍に位置している場合であっても、ケーブル案内機構26を安全かつ簡単に設置する上で有利となる。
【0048】
また、本実施の形態では、吸着用磁石装置48は、下部フレーム46を上端開口1203よりも上方に位置させ、かつ、平面視した場合に下部フレーム46の一部を上端開口1203の内側に位置させた状態で鋼管12に取り付ける。
したがって、カメラユニット22を吊り下げたケーブル24が上端開口1203の内側に案内されるように、上部フレーム50の下部フレーム46の延在方向に沿った移動調節を円滑に行なう上で有利となる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、アーム42は、直線状に延在しその延在方向の中間部がアーム支持部54で支持された第1アーム部4202と、第1アーム部4202の先端から上方に直線状に延在しその先端に吊り下げ用プーリ44Aが設けられた第2アーム部4204とを有し、第1アーム部4202の基端にケーブル巻き取り機構28から繰り出されるケーブル24が巻装された巻き取り用プーリ44Dが設けられている。
したがって、アーム42の延在方向の両端に吊り下げ用プーリ44Aと巻き取り用プーリ44Dが設けられ、アーム42の延在方向の中間がアーム支持部54で支持されている。
そのため、ケーブル24を介して吊り下げ用プーリ44Aと巻き取り用プーリ44Dに加わるカメラユニット22の荷重は、アーム42の延在方向の何れか一方に偏って加わることがないため、アーム42およびアーム支持部54にバランスよく荷重が加わりことにより、アーム42およびアーム支持部54の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、第1アーム部4202の先端に吊り下げ用プーリ44Aと巻き取り用プーリ44Dとの間のケーブル24が巻装される中間プーリ44Cが設けられ、中間プーリ44Cと巻取り用プーリ44Dとの間のケーブル24の移動量を検出するロータリーエンコーダ56が第1アーム部4202に設けられている。
したがって、アーム42の限られたスペースを利用してロータリーエンコーダ56を配設できるため、ケーブル案内機構26の省スペース化を図る上で有利となる。
【0051】
なお、本実施の形態では、ロータリーエンコーダ56をアーム42に設けた場合について説明したが、ロータリーエンコーダはケーブル24の移動量を検出できればよく、その設置場所は限定されない。
例えば、以下のようにロータリエンコーダをケーブル巻き取り機構28の基台2802に設けてもよい。
すなわち、ケーブルドラム2804から繰り出され、あるいは、巻き取られるケーブル24に巻装されるプーリと、プーリと一体に回転するフレキシブルカップリングと、このフレキシブルカップリングを介してプーリと一体的に回転するロータリーエンコーダとを基台2802に設ける。
この場合、基台2802のデッドスペースを利用してロータリーエンコーダを配設できるため、ケーブル案内機構26の簡素化、省スペース化を図る上で有利となる。
【0052】
また、本実施の形態では、
図10(A)に示すように、鋼管12が四角筒状であり、平面視した状態でケーブル案内機構26が下部フレーム46と吸着用磁石装置48と上部フレーム50とを介して鋼管12の4つの側面のうちの1つの側面に取り付けられた場合について説明した。
しかしながら、下部フレーム46は枠状に延在し、上部フレーム50は上方に凸状に延在しているので、
図10(B)に示すように、平面視した状態でケーブル案内機構26を鋼管12の角部に取り付けることもできる。
この場合、吸着用磁石装置48の2つの磁石部4806は鋼管12の角部を挟む2つの側面にそれぞれ吸着される。
また、下部フレーム46は枠状に延在し、上部フレーム50は上方に凸状に延在しているので、
図10(C)に示すように、鋼管12が円筒である場合であっても、ケーブル案内機構26を鋼管12の外周面に取り付けられることができる。
このように鋼管12の断面形状に拘わらず、ケーブル案内機構26を鋼管12に取り付けることができる。