(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る電子機器用ケースについて、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、本発明の電子機器用ケースを、飲食店でのオーダーエントリ業務に用いる例について説明するが、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る電子機器用ケース10の構成の一例を示す図である。電子機器用ケース10は、電子機器20を収納するためのケースである。電子機器20は、前面にディスプレイ(タッチパネル)が配置された、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の電子機器である。なお、電子機器20は、店舗の従業員が私用で所持するものであってもよいし、店舗から各従業員に配布されるものであってもよい。
【0010】
電子機器20は、
図1に示すように、略長方体形状の筐体21を有する。電子機器20の前面側には、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部22が配置され、この表示部22の面上にタッチパッド23が配置されている。表示部22には各種の情報が表示される。タッチパッド23は、表示部22の画面上に対する指の操作位置を検出可能なタッチパネルであり、例えば、静電容量式のタッチセンサで構成される。
【0011】
電子機器20の側面には、microUSB(Universal Serial Bus)等のコネクタや、コントローラ等を備えた接続部24が設けられている。電子機器20は、接続部24を介して、外部装置(例えば、電子機器用ケース10)と電気的に接続される。
【0012】
電子機器用ケース10は、
図1に示すように、電子機器20を着脱可能に取り付けることが可能な本体部11と、この本体部11に回動支持部12によって接続されたカバー部13とを備える。回動支持部12は、例えばヒンジ等であり、当該回動支持部12を介してカバー部13は本体部11に対して回動可能に接続される。
【0013】
本体部11は、電子機器20が取り付けられた状態で電子機器20の裏面に対向する底面部111と、当該底面部111の周縁に立設された側壁部112とを有する。底面部111は、電子機器20の形状に応じた略長方形状を有する。側壁部112は、電子機器20の厚みに応じた高さを有し、電子機器20を側面から支持する。
【0014】
また、側壁部112の内壁面、つまり電子機器20と接触する面側には、電子機器20の接続部24に対応する位置に、接続部113(
図3参照)が設けられている。接続部113は、接続部24のコネクタ形状に対応したコネクタ等を有し、本体部11に電子機器20が取り付けられる際に、電子機器20の接続部24と電気的に接続される。
【0015】
また、側壁部112の外壁面、つまり側壁部112の内壁面に対向する面側には、サイドキー114が設けられている。サイドキー114は、第2操作部の一例であり、データ入力用の各種の操作子を有する。サイドキー114は、例えば上下方向を指示するための方向キーや確定キー等のオーダーエントリ業務に係る各種の操作子を有する。なお、サイドキー114が設けられる位置は特に問わないものとするが、本体部11を把持した際に、親指等の指が位置するあたりに設けることが好ましい。
【0016】
また、側壁部112の外壁面には、電源接続部115が設けられる。電源接続部115は、受電用のコネクタを備え、図示しないケーブル等を介して外部電源に接続される。
【0017】
カバー部13は、本体部11に取り付けられた電子機器20の前面を開閉可能に構成されている。カバー部13の電子機器20の前面に対向する面側には、データ入力用のメインキー131が設けられている。メインキー131は、第1操作部の一例であり、例えば、数値を入力するためのテンキー、各種のメニューを選択するためのメニューキー、トッピング等を選択するためのオプションメニューキー等のオーダーエントリ業務に係る各種の操作子を有する。なお、各キーには、当該キーの機能を表す名称等を表記しておくことが好ましい(
図2参照)。
【0018】
上記構成の電子機器用ケース10において、従業員等のユーザは、電子機器20の前面を上に向けた状態で、当該電子機器20を底面部111及び側壁部112が形成する凹部D1に嵌め込むことで、電子機器20を本体部11に取り付けることができる。
【0019】
図2は、電子機器用ケース10に電子機器20を取り付けた状態を示す図である。ここで、
図2(a)は、カバー部13を閉めた状態(閉状態)を示している。また、
図2(b)は、電子機器用ケース10に電子機器20を取り付けた状態を示す図であり、カバー部13を開けた状態(開状態)を示している。
【0020】
電子機器用ケース10では、
図2(a)に示すように、カバー部13を閉状態とすることで、電子機器20の表示画面をカバー部13で保護することができる。また、電子機器用ケース10では、
図2(b)に示すように、カバー部13を開状態とすることで、メインキー131に対する操作を行うことができる。なお、サイドキー114は、カバー部13が開状態であることを条件に、メインキー131やサイドキー114に対する操作を有効化する構成としてもよい。この場合、例えば、カバー部13の開閉状態を検知する開閉センサを電子機器用ケース10に設け、開閉センサの検知結果に基づいて操作の有効/無効を切り替える構成としてもよい。
【0021】
図3は、電子機器用ケース10と電子機器20とのハードウェア構成を模式的に示す図である。電子機器用ケース10は、
図3に示すように、上述した接続部113、サイドキー114、電源接続部115及びメインキー131の他、記憶部14を備える。
【0022】
電源接続部115は、外部電源から供給された電力を電子機器用ケース10の各部に供給する。
【0023】
接続部113は、電気的に接続された電子機器20との間で、電力の授受や各種情報の授受を行う。具体的には、接続部113は、電源接続部115を介して供給された電力を、電子機器用ケース10の各部に供給する。これにより、電子機器20は、電子機器用ケース10を取り付けた状態で、充電などのため外部電源から電力の供給を受けることができる。
【0024】
また、接続部113は、電子機器20から供給された電力を電子機器用ケース10の各部に供給する。具体的には、接続部113は、電源接続部115に外部電源が接続されていない場合に、電子機器20から供給された電力を電子機器用ケース10の各部に供給する。
【0025】
また、接続部113は、サイドキー114やメインキー131に対するキー操作を受け付けると、そのキー操作に応じた情報(操作信号)を、電子機器20に出力する。
【0026】
また、接続部113は、電子機器20に対し記憶部14に記憶されたアプリケーション(プログラム)や設定情報等を実行可能(読み出し可能)に提供する。
【0027】
記憶部14は、例えば、本体部11(底面部111)に内蔵され、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体を備える。記憶部14は、電子機器用ケース10の動作に係る各種のデータを、接続部113に接続された電子機器20から読み出し可能に記憶する。
【0028】
具体的には、記憶部14は、接続された電子機器20に実行させるためのプログラムを記憶する。係るプログラムは、電子機器用ケース10に収納された電子機器20を、オーダーエントリ用のハンディターミナルとして機能させるためのプログラムを有する。
【0029】
例えば、記憶部14は、サイドキー114及びメインキー131による操作入力を可能とするための第1のプログラム(デバイスドライバ等)を記憶する。
【0030】
また、記憶部14は、電子機器20が備える無線通信部205を、LAN(Local Area Network)等の店舗に設けられたネットワーク(以下、店舗内ネットワークという)に接続させるための第2のプログラムを記憶する。なお、店舗内ネットワークには、注文情報を管理するためのオーダステーション(図示せず)が接続されているものとする。
【0031】
また、記憶部14は、電子機器20をオーダーエントリ用のハンディターミナルとして機能させるための第3のプログラムを記憶する。第3のプログラムは、例えば、各種メニューのオーダーを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示部22に表示させるための機能を有する。また、第3のプログラムは、例えば、サイドキー114やメインキー131を介して入力されたメニューを示す注文情報を、無線通信部205を介してオーダステーション(図示せず)に無線送信させるための機能を有する。
【0032】
また、記憶部14は、電子機器20が予め備える機能を無効化するための第4のプログラムを記憶する。無効化の対象となる機能は特に問わないものとするが、例えばモバイル通信機能等、オーダーエントリ業務に不要な機能を対象とすることが好ましい。
【0033】
また、記憶部14は、上記した各プログラムの実行に係る各種の設定情報を記憶する。例えば、記憶部14は、サイドキー114やメインキー131のキー配列や、各キーに割り当てられた機能等が設定された設定情報を記憶する。また、記憶部14は、店舗内ネットワークに接続するためのパスワードや、オーダステーション(図示せず)のIPアドレス等、無線通信に係る設定情報を記憶する。
【0034】
一方、電子機器20は、
図3に示すように、上述した表示部22、タッチパッド23及び接続部24とともに、CPU201、ROM202、RAM203、記憶部204、無線通信部205、モバイル通信部206、音声入出力部207、二次電池208等を備える。
【0035】
CPU201は、電子機器20の各部の動作を制御する。ROM202は、CPU201が実行するプログラムを記憶している。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。記憶部204は、フラッシュメモリやSSD等の記憶媒体であって、CPU201が実行するプログラムやオペレーティングシステム等を記憶する。
【0036】
無線通信部205は、WiFi等の無線通信を行うことが可能な通信インタフェースである。モバイル通信部206は、第4世代等のモバイル通信を行うことが可能な通信インタフェースである。音声入出力部207は、マイクロフォンやスピーカ等を有する。
【0037】
二次電池208は、接続部24を介して外部電源から供給される電力を蓄電(充電)する。また、二次電池208は、蓄電した電力を電子機器20の各部に供給する。
【0038】
上記した構成において、電子機器20のCPU201は、接続部24を介して電子機器用ケース10の記憶部14に記憶されたプログラムを実行することで、オーダーエントリ業務に係る各種の機能を実現する。
【0039】
次に、
図4を参照して、電子機器用ケース10及び電子機器20の動作の一例について説明する。
図4は、電子機器用ケース10と電子機器20との動作の一例を示すシーケンス図である。
【0040】
電子機器用ケース10に電子機器20が取り付けられ、接続部113と接続部24とが電気的に接続されると(ステップS11)、接続部113は、電子機器20に対し記憶部14をアクセス可能な状態とする(ステップS12)。
【0041】
続いて、電子機器20のCPU201は、電子機器用ケース10の記憶部14にアクセスし、記憶部14に記憶されたプログラム及び設定情報を読み出す(ステップS13)。
【0042】
次いで、電子機器20のCPU201は、読み出したプログラムを設定情報に基づいて実行することで(ステップS14)、オーダーエントリ業務に係る各種機能を実現させる(ステップS15)。
【0043】
具体的には、電子機器20のCPU201は、第1のプログラムを実行することで、サイドキー114及びメインキー131を介した操作入力を受け付け可能な状態とする。また、電子機器20のCPU201は、第2のプログラムを実行することで、無線通信部205を店舗内ネットワークに接続させる。また、電子機器20のCPU201は、第3のプログラムを実行することで、オーダーエントリ用のGUIを表示部22に表示させる。そして、電子機器20のCPU201は、第4のプログラムを実行することで、オーダーエントリ業務に不要なモバイル通信部206等の機能部を停止させる。
【0044】
以上の処理により、電子機器20では、電子機器用ケース10に設けられたサイドキー114及びメインキー131を、入力デバイスとして使用することが可能となる。これにより、客から受け付けたメニュー等の入力をサイドキー114及びメインキー131のキー操作で行うことができるため、メニュー画面を切り替えながらメニューを入力する操作方法と比較し、オーダーエントリ業務を容易かつ効率的に行うことができる。すなわち、電子機器用ケース10に電子機器20を取り付けることで、当該電子機器用ケース10及び電子機器20を、オーダーエントリ用の専用端末(ハンディターミナル)と同様に使用することができる。
【0045】
また、電子機器用ケース10は、オーダーエントリ業務に係るプログラムや設定情報を記憶し、電子機器20に対し読み取り可能に提供するため、電子機器20において、オーダーエントリ業務用の準備を容易かつ効率的に行うことができる。また、電子機器用ケース10では、メニュー等のGUIの表示機能や店舗内ネットワークとの通信機能を、電子機器20を用いて実現できるため、オーダーエントリ業務用の専用端末と比較し、製造コストを削減することができる。また、電子機器用ケース10では、電子機器20が具備する機能のうち、オーダーエントリ業務に不要な機能を無効化することができるため、例えば、従業員が所持するスマートフォン等の汎用の電子機器20を、有効に活用することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば、上記実施形態では、電子機器20のCPU201は、電子機器用ケース10に記憶されたプログラムを読み出して実行する構成としたが、この構成に限らないものとする。具体的には、電子機器20のCPU201は、電子機器用ケース10の記憶部14から読み出したプログラムを自装置に導入(インストール)することで、当該プログラムを自装置の記憶部204に保持する構成としてもよい。この場合、例えば電子機器20のCPU201は、電子機器用ケース10との初回の接続時に、電子機器用ケース10の記憶部14に記憶されたプログラムや設定情報を、自装置の記憶部204にインストール又はコピーを行う。また、次回以降の接続時には、電子機器20のCPU201は、電子機器用ケース10の記憶部14に記憶されたプログラムや設定情報のバージョンを参照し、自装置に導入されたバージョンよりも新しい場合に更新する構成としてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、メインキー131をハードウェアキーとしたが、これに限らず、例えば、電子ペーパーやタッチパネル技術等を用いることで、ソフトウェアキーで構成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、本体部11の側壁部112とカバー部13とのそれぞれに操作部(サイドキー114、メインキー131)を設けた構成としたが、操作部を設ける位置や個数はこれに限らないものとする。ここで、
図5は、電子機器用ケース10の他の構成例を示す図であり、第3の操作部を備えた例を示している。この
図5では、電子機器用ケース10の本体部11において、電子機器20(表示部22)の下方となる位置に、データ入力用のサブキー116を設けた例を示している。サブキー116は、例えばテンキー等のオーダーエントリ業務に係る各種の操作子を有する。このように、電子機器用ケース10を把持した際に、キー操作を容易に行うことが可能な位置にサブキー116を設けることが好ましい。なお、サブキー116のキー配列や各キーに割り当てられた機能は、設定情報に設定されるものとする。
【0050】
また、上記実施形態では、電子機器用ケース10は、電子機器20又は外部電源からの供給電力で動作する構成を説明したが、これに限らず、電子機器用ケース10が二次電池を備え、当該二次電池からの供給電力で動作する構成としてもよい。
【0051】
図6は、電子機器用ケース10の他の構成例を示す図であり、カバー部13を閉じて、本体部11の底面を上に向けた状態を示している。
図6(a)に示すように、本体部11は、二次電池117を着脱可能に取り付けるための凹部D2を備える。凹部D2の壁面には、電源端子(図示せず)が設けられている。二次電池117は、
図6(b)に示すように本体部11の凹部D2に嵌め込まれることで、本体部11に取り付けられる。二次電池117は、電源接続部115を介して外部電源から供給される電力を蓄電(充電)する。また、二次電池117は、外部電源との接続が切断されると、蓄えた電力を電子機器用ケース10の各部に供給する。なお、接続部113は、二次電池117から供給される電力を電子機器20に供給する構成としてもよい。
【0052】
図6の構成を採用した場合、電子機器用ケース10単体で、駆動電力を賄うことができるため、電子機器20の電力消費量を抑えることができる。また、電子機器20や二次電池117の蓄電量が低下した場合には、別途充電された二次電池117と取り替えることで、オーダーエントリ業務に使用可能な時間を延長することができる。