(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送路は、前記搬送方向から見て、前記トウバンドの幅方向に延びる波形流路断面に形成され且つ前記トウバンドの幅方向における前記搬送路の寸法が前記搬送方向の上流側から下流側に向けて減少する波形領域を有し、
前記粒状物が、前記波形領域の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記トウバンドに添加される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品製造装置。
ベール状のトウバンドを気体により開繊する開繊室を有し且つ前記トウバンドを予め定められた搬送方向に搬送する搬送路が、内部に形成された気体開繊装置と、前記トウバンドに粒状物を添加する添加装置とを用い、
前記搬送路の前記開繊室の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記トウバンドの第1面を鉛直方向と平行又は鉛直方向上方に配置した状態で、前記トウバンドの前記第1面とは反対側に位置する前記第2面側から、前記添加装置により前記トウバンドに前記粒状物を添加する、吸収性物品の製造方法。
前記搬送路は、前記搬送方向から見て、前記トウバンドの幅方向に延びる波形流路断面に形成され且つ前記トウバンドの幅方向における前記搬送路の寸法が前記搬送方向の上流側から下流側に向けて減少する波形領域を有し、
前記粒状物を、前記波形領域の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記トウバンドに添加する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粒状物が添加された吸収体を製造する場合、吸収性物品の使用時に水分が吸収体に最初に接触する吸収体の面(以降、この面を吸収体の上面と称する。)よりも下方の内部に粒状物を偏在させた吸収体を製造できれば、吸収体の上面よりも下方の内部で粒状物の特性を発現させると共に、吸収体の上面に粒状物の特性とは異なる特性を発現させることができるため、吸収体の設計自由度を向上できる。しかしながら、このような吸収体を効率よく製造することは困難である。
【0006】
そこで本発明は、吸水性の粒状物が添加された吸収体を備える吸収性物品を製造する場合において、吸収体の上面よりも下方の内部に粒状物を偏在させた吸収性物品を効率よく製造可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る吸収性物品製造装置は、ベール状のトウバンドを気体により開繊する開繊室を有し且つ前記トウバンドを予め定められた搬送方向に搬送する搬送路が、内部に形成された気体開繊装置と、前記トウバンドに粒状物を添加する添加装置とを備え、前記搬送路の前記開繊室の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記トウバンドの第1面が鉛直方向と平行又は鉛直方向上方に配置された状態で、前記トウバンドの前記第1面とは反対側に位置する前記第2面側から、前記添加装置が前記トウバンドに前記粒状物を添加する。
【0008】
上記構成によれば、ベール状のトウバンドの第1面が鉛直方向と平行又は鉛直方向上方に配置された状態で、トウバンドの第1面とは反対側に位置する第2面側から、トウバンドに粒状物が添加されることにより、粒状物が、トウバンドの内部に第2面側から入り込む。このとき、トウバンドの複数本の繊維によって、粒状物が、トウバンドの内部を第2面側から第1面側に移動するのが抑制されると共に、粒状物が、トウバンドの第2面側から第1面側に重力により落下するのが抑制される。これにより、粒状物をトウバンドの第1面よりも下方の内部に偏在させた吸収体を得ることができる。
【0009】
よって、上記のように粒状物を添加したトウバンドの第1面を吸収体の上面に配向させ、トウバンドの第2面を吸収体の下面に配向させることで、吸収体の上面よりも下方の内部に粒状物を偏在させた吸収性物品を効率よく製造できる。
【0010】
前記トウバンドの前記第1面が鉛直方向上方に配置され、前記搬送路は、前記開繊室の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記搬送方向の上流側から下流側に向けて下り勾配に延びる勾配領域を有し、前記粒状物が、前記勾配領域において前記トウバンドに添加されてもよい。
【0011】
これにより、搬送路の勾配領域において、搬送方向に搬送されるトウバンドを開繊室で開繊しながら、重力を利用して、トウバンドの第2面側からトウバンドの上面よりも下方の内部に粒状物を分散させ易くできる。
【0012】
前記添加装置は、前記粒状物を貯留する貯留部と、一端が前記貯留部に接続され、他端が前記搬送路に接続された供給管とを有し、前記供給管が、前記一端から前記他端に向けて下り勾配に延び、前記粒状物が、前記貯留部から前記搬送路へ向けて前記供給管を流通してもよい。これにより、重力を利用して粒状物を供給管に流通させることができるので、粒状物をトウバンドに第2面側から供給し易くでき、添加装置の構成を簡素化及びコンパクト化できる。
【0013】
前記搬送路は、前記搬送方向から見て、前記トウバンドの幅方向に延びる波形流路断面に形成され且つ前記トウバンドの幅方向における前記搬送路の寸法が前記搬送方向の上流側から下流側に向けて減少する波形領域を有し、前記粒状物が、前記波形領域の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記トウバンドに添加されてもよい。
【0014】
これにより、搬送路の波形領域において、搬送されるトウバンドが波形に成型されてトウバンドの幅方向寸法が縮小されると共に粒状物がトウバンドに添加されるので、トウバンドの繊維間隙を縮小し、トウバンドの所定位置の繊維間隙に粒状物を均一に保持した状態で、トウバンドを開繊できる。
【0015】
本発明の一態様である吸収性物品の製造方法は、ベール状のトウバンドを気体により開繊する開繊室を有し且つ前記トウバンドを予め定められた搬送方向に搬送する搬送路が、内部に形成された気体開繊装置と、前記トウバンドに粒状物を添加する添加装置とを用い、前記搬送路の前記開繊室の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記トウバンドの第1面を鉛直方向と平行又は鉛直方向上方に配置した状態で、前記トウバンドの前記第1面とは反対側に位置する前記第2面側から、前記添加装置により前記トウバンドに前記粒状物を添加する。
【0016】
前記トウバンドの前記第1面を鉛直方向上方に配置し、前記搬送路は、前記開繊室の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記搬送方向の上流側から下流側に向けて下り勾配に延びる勾配領域を有し、前記粒状物を、前記勾配領域において前記トウバンドに添加してもよい。
【0017】
前記添加装置は、前記粒状物を貯留する貯留部と、一端が前記貯留部に接続され、他端が前記搬送路に接続された供給管とを有し、前記供給管を、前記一端から前記他端に向けて下り勾配に延ばし、前記粒状物を、前記貯留部から前記搬送路へ向けて前記供給管に流通させてもよい。
【0018】
前記搬送路は、前記搬送方向から見て、前記トウバンドの幅方向に延びる波形流路断面に形成され且つ前記トウバンドの幅方向における前記搬送路の寸法が前記搬送方向の上流側から下流側に向けて減少する波形領域を有し、前記粒状物を、前記波形領域の出口よりも前記搬送方向の上流側において、前記トウバンドに添加してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の各態様によれば、吸水性の粒状物が添加された吸収体を備える吸収性物品を製造する場合において、吸収体の上面よりも下方の内部に粒状物を偏在させた吸収性物品を効率よく製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、各実施形態について図を参照して説明する。以下に言及する上流側は、トウバンド60の搬送方向Pの上流側を指し、下流側は、トウバンド60の搬送方向Pの下流側を指す。
【0022】
(第1実施形態)
[吸収性物品製造装置]
図1は、第1実施形態に係る吸収性物品製造装置1(以下、単に製造装置1と称する。)の概略図である。製造装置1の近傍には、梱包容器50が配置される。梱包容器50には、複数本の繊維を含むトウバンド60がベール状に折り畳まれ、且つ圧縮されて梱包されている。
図1の梱包容器50は、断面構造を示している。
【0023】
トウバンド60に含まれる繊維は、セルロースアセテートトウの長繊維であるが、これ以外の材質からなる繊維であってもよい。一例として製造装置1では、トウバンド60は、幅方向が水平に保たれながら、予め定められた搬送方向Pに搬送される。
【0024】
製造装置1は、第1製造部2と第2製造部3とを備える。第1製造部2は、第1拡幅装置4、ガイド5、第2拡幅装置6、第1開繊ロール対7、第2開繊ロール対8、気体開繊装置9、添加装置10、搬送ロール対11、及び複数のフリーロール12を有する。
【0025】
第1拡幅装置4は、梱包容器50の内部から繰り上げられたトウバンド60を、幅方向に拡幅する。ガイド5は、第1拡幅装置4を通過したトウバンド60を、第2拡幅装置6へ向けてガイドする。第2拡幅装置6は、ガイド5を通過したトウバンド60を、更に幅方向に拡幅する。一例として、第1拡幅装置4と第2拡幅装置6とは、同様の構成を有する。第1拡幅装置4と第2拡幅装置6とは、バンディングジェット装置とも称する。
【0026】
第1開繊ロール対7と第2開繊ロール対8とは、気体開繊装置9よりも上流側において、第2拡幅装置6を通過したトウバンド60を更に開繊する。第2開繊ロール対8は、第1開繊ロール対7よりも下流側に配置されている。第1開繊ロール対7は、互いの周面を対向させて配置された一対のロール13,14を有する。第2開繊ロール対8は、互いの周面を対向させて配置された一対のロール15,16を有する。第2開繊ロール対8は、第1開繊ロール対7の周速度よりも早い周速度で回転する。
【0027】
第2拡幅装置6を通過したトウバンド60は、一対のロール13,14の間と、一対のロール15,16の間とに挿通される。トウバンド60は、ロール13〜16の各周面と接触しながら、第1開繊ロール対7と第2開繊ロール対8とにより搬送方向Pに張力を与えられ、嵩高く開繊される。
【0028】
一対のロール13,14の一方のロール、又は、一対のロール15,16の一方のロールとの周面には、トウバンド60を幅方向に開繊するための溝部をロール軸周りに螺旋状に形成してもよい。
【0029】
気体開繊装置9は、ベール状のトウバンド60を気体Gにより開繊する開繊室43aを有し且つトウバンド60を搬送方向Pに搬送する搬送路9aが、内部に形成されている。本実施形態の気体開繊装置9では、搬送方向Pの上流側から下流側に向けて、搬送路9aが下り勾配に配置されている。気体開繊装置9の上流側と下流側とには、複数のフリーロール12が配置されている。第2開繊ロール対8を通過したトウバンド60は、複数のフリーロール12により案内され、気体開繊装置9に導入される。
【0030】
気体開繊装置9は、導入部17、ジェット発生部18、開繊成型部19、及び滞留部20を有する。一例として搬送路9aは、後述する導入部17の内部空間27と、ジェット発生部18の内部空間40及びトウバンド導入路42と、開繊成型部19の内部空間43と、滞留部20の滞留室44とを含む。
【0031】
導入部17は、ジェット発生部18の上流側に取り付けられている。導入部17は直方体状に形成され、搬送方向Pに延びる内部空間27が内部に形成されている。導入部17は、第2開繊ロール対8を通過したトウバンド60をガイドしながら、内部空間27に流通させ、ジェット発生部18に導入する。内部空間27には、導入部17の側部から、添加装置10により吸水性の粒状物28が供給される。
【0032】
ジェット発生部18は、開繊成型部19の上流側に取り付けられている。ジェット発生部18は円筒状であり、搬送方向Pに延びる内部空間40が形成されている。ジェット発生部18は、内部空間40において、外部から導入される気体Gによりジェットを発生させ、トウバンド60と粒状物28とを混合する。ジェット発生部18は、トウバンド60と粒状物28とを開繊成型部19に導入する。
【0033】
開繊成型部19は筒状であり、内部に搬送方向Pに延びる内部空間43が形成されている。内部空間43は、開繊室43aを有する。開繊成型部19は、ジェット発生部18を通過したトウバンド60、粒状物28、及び気体Gを内部空間43に搬送しながら混合し、開繊室43aにおいて、トウバンド60を開繊して成型すると共に、トウバンド60の内部の所定領域に粒状物28を分散して配置する。
【0034】
滞留部20は、開繊成型部19の下流側に取り付けられている。滞留部20は、搬送方向Pに延びる滞留室44が形成されている。滞留部20は、内部空間43を通過したトウバンド60を滞留室44に一時的に滞留させる。これにより滞留部20は、トウバンド60の膨張を抑制すると共に、トウバンド60の嵩又は繊維密度を調整する。滞留部20は、複数の長尺部材32を有する。複数の長尺部材32は、搬送路9aの周方向で互いに間隔をおきながら、開繊成型部19から下流側へ向けて延設されている。長尺部材32の上流端部は、開繊成型部19の下流端部に接続されている。複数の長尺部材32の下流端部は、上流側から下流側に進むにつれて互いに接近している。開繊室43aの出口を通過したトウバンド60は、滞留室44を搬送方向Pに通過する。
【0035】
添加装置10は、トウバンド60に粒状物28を添加する。添加装置10は、搬送路9aの開繊室43aの出口よりも上流側において、トウバンド60の第1面60aが鉛直方向と平行又は鉛直方向上方に配置された状態(本実施形態では、トウバンド60の第1面60aが鉛直方向上方に配置された状態)で、トウバンド60の第1面60aとは反対側に位置する第2面60b側から(
図3参照)、トウバンド60に粒状物28を添加する。ここで第1面60aは、後述する吸収性物品62の使用時に水分がトウバンド60に最初に接触するトウバンド60の面である。
【0036】
粒状物28は、一例として高吸水性樹脂からなる。本実施形態では、トウバンド60の鉛直方向下方に配置された第2面60b側から、添加装置10により粒状物28がトウバンド60に添加される。
【0037】
具体的に添加装置10は、貯留部21と供給管22とを有する。貯留部21には、粒状物28が貯留される。供給管22の一端は、貯留部21に接続されている。供給管22の他端は、搬送路9aに接続されている。供給管22は、前記一端から前記他端に向けて下り勾配に延びている。添加装置10は、貯留部21に貯留された粒状物28を供給管22に流通させ、内部空間27でトウバンド60に添加する。
【0038】
搬送路9aは、開繊室43aの上流側又は下流側に配置されたその他の開繊室を有していてもよい。この場合、添加装置10は、複数の開繊室のうち、搬送方向Pの最も下流側における開繊室の出口よりも上流側に位置する添加位置で、粒状物28をトウバンド60に添加すればよい。またこの場合、添加位置は、例えば、複数の開繊室のうち、最も上流側における開繊室の入口よりも上流側に位置していてもよい。
【0039】
搬送ロール対11は、気体開繊装置9を通過したトウバンド60を下流側に搬送する。搬送ロール対11は、平行に軸支された一対の搬送ロール(引取ロールとも称する。)30,31を有する。トウバンド60は、一対の搬送ロール30,31の間に挿通される。トウバンド60は、一対の搬送ロール30,31に引き取られ、一対の搬送ロール30,31により厚み方向に押圧される。これにより吸収体61が製造される。吸収体61は、搬送ロール対11の下流側に配置された第2製造部3に搬送される。
【0040】
第2製造部3は、吸収体61に対して、バックシート63とトップシート64とを重ねて配置する。第2製造部3は、第1供給装置24、シート搬送装置25、第2供給装置26、添着装置29、シート成型ロール対37、及び、貼着装置38を有する。
【0041】
第1供給装置24は、第1シートロール66から帯状のバックシート63を繰り出して、予め定められた搬送ラインL上に供給する。シート搬送装置25は、バックシート63を搬送ラインLに搬送する。バックシート63の上には、吸収体61が供給される。第2供給装置26は、第2シートロール67から帯状のトップシート64を繰り出して、バックシート63とトップシート64との間で吸収体61を挟み込むように、トップシート64を搬送ラインL上に供給する。
【0042】
添着装置29は、第2シートロール67とシート成型ロール対37との間において、トップシート64に接着剤を添着する。シート成型ロール対37は、重ねられたバックシート63、吸収体61、及びトップシート64をシート状に成型しながら下流側に搬送する。貼着装置38は、バックシート63とトップシート64とを厚み方向に押圧して、バックシート63とトップシート64とを、吸収体61を挟んだ状態で、接着剤により貼着する。製造装置1では、貼着装置38により貼着されたバックシート63、吸収体61、及び、トップシート64が所定寸法に切断され、吸収性物品62が製造される。
【0043】
なお吸収性物品62は、本実施形態ではおむつ用途であるが、当然ながらこれ以外の用途でもよく、例えば、尿漏れ防止用パッド用途であってもよい。吸収性物品62が、尿漏れ防止用パッド用途等である場合、バックシート63は、省略してもよい。また例えば、吸収体61の上面におけるトウバンド60の複数本の繊維が、可塑剤や接着剤等のバインダにより互いに結合される場合、トップシート64は、省略してもよい。
【0044】
[気体開繊装置及び添加装置]
図2は、
図1の気体開繊装置9と添加装置10とのトウバンド60の幅方向から見た鉛直断面図である。導入部17の下流端部は、導入部17の搬送方向Pの内方へ向けて窪んでいる。導入部17は、トウバンド導入口17aとトウバンド排出口17bとを有する。トウバンド導入口17aは、導入部17の上流端面に設けられている。本実施形態では、トウバンド導入口17aは、搬送方向Pから見て、トウバンド60の幅方向を長辺方向とし、トウバンド60の厚み方向を短辺方向とする長方形状の周縁形状に形成されている。トウバンド排出口17bは、導入部17の下流端面に設けられている。導入部17の下流端部には、ジェット発生部18の上流端部が差し込まれている。内部空間27は、導入部17の内部で搬送方向Pに延びている。内部空間27は、ジェット発生部18のトウバンド導入路42に対して滑らかに接続されている。
【0045】
ジェット発生部18は、混合部35とノズル部36とを有する。混合部35は、搬送方向Pに延びる管状部である。混合部35は、気体導入口35a、トウバンド導入口35b、及びトウバンド排出口35cを有する。気体導入口35aは、混合部35の上流側の側部に配置されている。トウバンド導入口35bは、混合部35の上流端部に配置されている。トウバンド排出口35cは、混合部35の下流端部に配置されている。
【0046】
気体導入口35aは、加圧された気体G(一例として空気)を内部空間40に導入する。本実施形態では、トウバンド60に対する粒状物28の添加位置は、気体導入口35aよりも上流側に位置している。トウバンド導入口35bは、トウバンド60を内部空間40に導入する。内部空間40は、ジェット発生部18の内部で搬送方向Pに延びている。混合部35の下流端部は、開繊成型部19に差し込まれている。
【0047】
ノズル部36は、内部空間40の上流側に設けられている。ノズル部36の下流側の先端には、テーパー部36aが形成されている。テーパー部36aは、上流側から下流側に向けて先細りとなる形状を有する。
【0048】
テーパー部36aの外周面と対向する混合部35の内周面は、テーパー部36aの外周面と離隔しながら、上流側から下流側に向けて縮径されている。これにより、テーパー部36aの外周面と混合部35の内周面との間には、ジェット流路41が形成されている。ジェット流路41は、環状断面を有する。ジェット流路41は、気体導入口35aから内部空間40へ導入される気体Gにより、ジェットを発生させて内部空間40に噴出させる。
【0049】
ノズル部36の内部には、トウバンド導入路42が形成されている。トウバンド導入路42は、トウバンド導入口35bから下流側に延びている。トウバンド導入路42は、ジェット発生部18の内部で搬送方向Pに延びている。トウバンド導入路42の出口は、気体導入口35aよりも下流側に配置されている。トウバンド導入路42を通過したトウバンド60は、ジェット流路41を通過した気体Gと混合されて内部空間40を流通する。
【0050】
なお気体Gは、空気以外の気体でもよい。また、トウバンド導入路42の出口と気体導入口35aとは、側方から見て重なる位置に配置されていてもよい。また、トウバンド導入路42の出口は、気体導入口35aよりも上流側に配置されていてもよい。
【0051】
開繊成型部19の上流端部と下流端部とは、開繊成型部19の搬送方向Pの内方へ向けて窪んでいる。開繊成型部19は、トウバンド導入口19aとトウバンド排出口19bとを有する。トウバンド導入口19aとトウバンド排出口19bは、搬送方向Pに離隔している。トウバンド導入口19aは、開繊成型部19の上流端面に配置されている。トウバンド排出口19bは、開繊成型部19の下流端面に配置されている。開繊成型部19の上流端部に混合部35の下流端部が差し込まれることにより、内部空間40は、内部空間43に対して滑らかに接続されている。
【0052】
本実施形態では、トウバンド60の第1面60aが鉛直方向上方に配置されているため、搬送路9aは、開繊室43aの出口よりも上流側において、上流側から下流側に向けて下り勾配に延びる勾配領域を有する。本実施形態では、搬送路9aの全体領域が勾配領域に相当する。粒状物28は、この搬送路9aの勾配領域においてトウバンド60に添加される。
【0053】
開繊室43aは、内部空間43の長手方向に延びている。本実施形態では、トウバンド導入口19aが開繊室43aの入口に相当し、トウバンド排出口19bが開繊室43aの出口に相当する。開繊成型部19の下流端部には、複数本の長尺部材32の上流端部が差し込まれている。
【0054】
一例として、開繊室43aの出口の流路断面形状は、トウバンド60の幅方向を長軸方向とする略楕円形であるが、これに限定されず、例えば、円形、矩形、及び多角形のいずれでもよい。また搬送路9aは、開繊室43aの流路断面積が、上流側から下流側へ向けて増大する領域を有していてもよい。
【0055】
滞留部20に形成された滞留室44は、滞留部20の内部で搬送方向Pに延びている。滞留室44の流路断面積は、上流側から下流側へ向けて漸減している。滞留室44において、トウバンド60が長尺部材32から受ける押圧力は、上流側から下流側へ進むにつれて増大する。これによりトウバンド60は、複数の長尺部材32により圧縮されて繊維密度が増加する。開繊成型部19から排出された気体Gは、複数の長尺部材32の間隙から滞留室44の外部に放散される。
【0056】
長尺部材32は、一例として棒状部材で構成されているが、これに限定されず、例えば板部材でもよい。長尺部材32を板部材で構成する場合は、板部材の板面をトウバンド60に面接触させるように長尺部材32を配置する。
【0057】
搬送路9aは、気体開繊装置9の内部で搬送方向Pに延びている。本実施形態では、搬送路9aは、上流側から下流側に向けて、搬送方向Pと平行に、下り勾配に直線状に延びている。本実施形態では、粒状物28の添加位置と開繊室43aの出口との間において、搬送路9aは、その出口から搬送方向Pに沿って離れる方向と、前記出口から水平面に沿って離れる方向との間の角度(言い換えると、搬送路9aの下流側から上流側へ向かう方向と水平面との間のトウバンド60の第2面60b側の角度)θ1が、0°以上90°以内の範囲の値に設定される。角度θ1は、45°以上85°以下の範囲の値であることが更に望ましく、ここでは80°に設定されている。
【0058】
また本実施形態では、供給管22は、導入部17の内部において、貯留部21側から搬送路9a側に向けて、下り勾配に直線状に延びている。導入部17の内部において、供給管22は、搬送路9aとの合流位置から供給管22の長手方向に沿って離れる方向と、前記合流位置から水平面に沿って離れる方向との間の角度(言い換えると、導入部17の内部における供給管22の水平方向に対する下り勾配角度)θ2が、45°以上50°以下の範囲の値に設定される。角度θ2は、ここでは48°に設定されている。一例として、角度θ2は、角度θ1よりも小さい値に設定できる。
【0059】
トウバンド60が開繊室43aを搬送される際、トウバンド60は、開繊室43aの流路断面形状に対応して膨張し、複数本の繊維が嵩高に絡み合いながら開繊されると共に、粒状物28が、トウバンド60の繊維間隙に分散して配置される。トウバンド60は、開繊成型部19の内周面に押し付けられ、開繊室43aの出口における流路断面形状に成型される。
【0060】
なお一例として、開繊室43aの流路断面積と滞留室44の流路断面積とを縮小することで、気体開繊装置9を通過するトウバンド60の搬送方向Pに垂直な断面積を縮小し、トウバンド60の繊維密度を向上できると共に、トウバンド60の内部において、トウバンド60の複数本の繊維により、粒状物28を所定位置で保持し易くできる。また、トウバンド60の繊維密度を向上させることで、吸収体61の良好な触感を得ることができる。
【0061】
ここで製造装置1では、搬送路9aにおいて、第2面60b側からトウバンド60に粒状物28が添加されることにより、粒状物28が、第2面60b側からトウバンド60の内部に入り込む。
【0062】
製造装置1では、供給管22の他端からトウバンド60の第2面60bに向けて粒状物28が排出される排出方向の一成分が、搬送方向Pの上流側から下流側へ向かう方向と一致している。粒状物28は、トウバンド60の複数本の繊維により、第2面60b側から第1面60a側に移動するのが抑制されると共に、トウバンド60の第2面60b側から第1面60a側に重力により落下するのが抑制される。粒状物28は、搬送路9aにおいて、トウバンド60の内部を重力により落下しながら、トウバンド60の第1面60aよりも下方の内部に偏在するように配置される。
【0063】
このように本実施形態では、気体開繊装置9と添加装置10とを用い、搬送路9aの開繊室43aの出口よりも上流側において、トウバンド60の第1面60aを鉛直方向と平行又は鉛直方向上方に配置した状態で、トウバンド60の第2面60b側から、添加装置10によりトウバンド60に粒状物28を添加する。
【0064】
また、粒状物28を、搬送路9aの勾配領域においてトウバンド60に添加する。また供給管22を、前記一端から前記他端に向けて下り勾配に延ばし、粒状物28を、貯留部21から搬送路9aへ向けて供給管22に流通させる。なお搬送路9aは、上流側から下流側に向けて、搬送方向Pと平行に、上がり勾配に直線状に延びていてもよい。
【0065】
[トウバンド及び吸収性物品]
図3は、
図1の滞留部20を通過し且つ搬送ロール対11より上流側を搬送されるトウバンド60の搬送方向Pから見た鉛直断面図である。
図3に示すように、粒状物28は、トウバンド60の第1面60aよりも下方の内部に分散して偏在している。
【0066】
また製造装置1において、全ての開繊ロール対(本実施形態では、第1開繊ロール対7と第2開繊ロール対8)によりトウバンド60を開繊した後、気体開繊装置9によりトウバンド60を開繊したことにより、トウバンド60が開繊されて嵩高に膨らんだ状態が維持されつつ、粒状物28が、トウバンド60の繊維間隙に保持されている。
【0067】
図4は、
図1の製造装置1により製造された吸収性物品62の搬送方向Pから見た鉛直断面図である。
図4に示すように、吸収性物品62は、吸収体61の下方にバックシート63が配置され、吸収体61の上方にトップシート64が配置された構造を有する。吸収体61の上面(トウバンド60の第1面60a)よりも下方の内部には、粒状物28が偏在している。
【0068】
これにより吸収性物品62では、吸収体61の上面よりも下方の内部に偏在する粒状物28により、良好な吸水性能を発揮できる。また、吸収体61の上面に粒状物28が配置されていないため、吸収性物品62の使用時に粒状物28のざらざらした感触が肌に伝わるのが防止されると共に、吸水後の吸収性物品62の上面がべたつきを生じるのが防止される。よって、吸収性物品62の触感を吸水後でも良好に保つことができる。
【0069】
また、吸収体61の上面に粒状物28が配置されていないことにより、例えば、トウバンド60の第1面60aにおける複数本の繊維をバインダを用いて互いに結合させ、トウバンド60の第1面60aを不織布化し易くすることができる。
【0070】
また、吸収体61の上面に粒状物28が配置されていないことにより、例えば、吸収体61の上面に親水性の添加剤を付着させた場合でも、吸水した粒状物28によって当該添加剤が流されて消失するのを防止でき、添加剤の効果を持続できる。
【0071】
吸収体61の粒状物28が配置されている領域の深さ寸法は、例えば、搬送路9aにおけるトウバンド60の搬送速度や、添加装置10からの粒状物28の供給速度及び添加量等を調節することで、適宜設定が可能である。一例として、角度θ1又はθ2を大きく設定すると、吸収体61の粒状物28が配置されている領域の深さ寸法を増大できる。また、角度θ2を大きく設定すると、トウバンド60への粒状物添加量を増大できる。
【0072】
一例として、吸収体61の粒状物28が配置されている領域は、吸収体61の上面からの最大深さ寸法を100%とするとき、吸収体61の上面からの深さが5%以上100%未満の範囲の領域であることが最も望ましい。なお、吸収体61の粒状物28が配置されている領域は、例えば、吸収体61の上面からの深さが10%以上100%未満の範囲の領域であってもよいし、吸収体61の上面からの深さが20%以上100%未満の範囲の領域であってもよい。
【0073】
以上に説明したように、製造装置1によれば、ベール状のトウバンド60の第1面60aが鉛直方向と平行又は鉛直方向上方に配置された状態で、トウバンド60の第2面60b側から、トウバンド60に粒状物28が添加されることにより、粒状物28が、トウバンド60の内部に第2面60b側から入り込む。このとき、トウバンド60の複数本の繊維によって、粒状物28が、トウバンド60の内部を第2面60b側から第1面60a側に移動するのが抑制されると共に、粒状物28が、トウバンド60の第2面60b側から第1面60a側に重力により落下するのが抑制される。これにより、粒状物28をトウバンド60の第1面60aよりも下方の内部に偏在させた吸収体61を得ることができる。
【0074】
よって、上記のように粒状物28を添加したトウバンド60の第1面60aを吸収体61の上面に配向させ、トウバンド60の第2面60bを吸収体61の下面に配向させることで、吸収体61の上面よりも下方の内部に粒状物28を偏在させた吸収性物品62を効率よく製造できる。
【0075】
また本実施形態のように、トウバンド60の第1面60aが鉛直方向上方に配置され且つ第2面60bが鉛直方向下方に配置された状態で、トウバンド60に粒状物28を添加する場合、トウバンド60に第2面60b側から添加された粒状物28が、重力によってトウバンド60の内部を第1面60a側に移動するのが更に抑制され、吸収体61の上面よりも下方の内部に粒状物28を偏在させ易くできる。
【0076】
また粒状物28が、搬送路9aの勾配領域においてトウバンド60に添加されるので、搬送路9aの勾配領域において、搬送方向Pに搬送されるトウバンド60を開繊室43aで開繊しながら、重力を利用して、トウバンド60の第2面60b側からトウバンド60の上面よりも下方の内部に粒状物28を分散させ易くできる。
【0077】
また、供給管22が前記一端から前記他端に向けて下り勾配に延び、粒状物28が、貯留部21から搬送路9aへ向けて供給管22を流通するので、重力を利用して粒状物28を供給管22に流通させることができるので、粒状物28をトウバンド60に第2面60b側から供給し易くできると共に、添加装置10の構成を簡素化及びコンパクト化できる。従って、例えば、既存のスペースに添加装置10を効率よく配置して、製造装置1をコンパクト化することもできる。
【0078】
また、供給管22の前記他端からトウバンド60の第2面60bに向けて粒状物28が排出される排出方向の一成分が、上流側から下流側へ向かう方向と一致しているので、供給管22からトウバンド60に向けて排出された粒状物28を、搬送方向Pに沿ってトウバンド60の内部にスムーズに入り込ませることができる。よって、吸収体61の上面よりも下方の内部に粒状物28を効率よく偏在させることができる。以下、その他の実施形態について、第1実施形態との差異を中心に説明する。
【0079】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る導入部117の入口117a側から見た正面図である。
図5に示すように、気体開繊装置の搬送路109aは、搬送方向Pから見て、トウバンド60の幅方向に延びる波形流路断面に形成された波形領域を有する。一例として波形領域は、導入部117における内部空間127の全体領域が相当する。
【0080】
波形領域は、複数の山部117cと、複数の谷部117dとを有する。山部117cと谷部117dとは、トウバンド60の幅方向に交互に配置されている。山部117cは、トウバンド60の第1面60a側に配置されている。谷部117dは、トウバンド60の第2面60b側に配置されている。内部空間127では、トウバンド60の幅方向における搬送路109aの寸法(幅方向寸法Dと称する。)が、上流側から下流側に向けて減少している。第2実施形態では、供給管22を流通した粒状物28が、搬送路109aの波形領域(内部空間127)の出口よりも上流側において、トウバンド60に第2面60b側から添加される。
【0081】
このように第2実施形態では、波形領域の出口よりも上流側において、トウバンド60に粒状物28を添加することで、搬送路109aの波形領域において、搬送されるトウバンド60が波形に成型されてトウバンド60の幅方向寸法Dが縮小されると共に粒状物28がトウバンド60に添加されるので、トウバンド60の繊維間隙を縮小し、トウバンド60の所定位置の繊維間隙に粒状物28を均一に保持させた状態で、トウバンド60を開繊できる。
【0082】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る気体開繊装置209と添加装置210との概略図である。気体開繊装置209は、角度θ1が0°に設定されている。
図6に示すように、搬送路209aは、水平方向と平行に延びるように配置されている。
【0083】
添加装置210の供給管222は、導入部217の下方に接続されている。供給管222の途中には、補助ジェット発生部223が設けられている。補助ジェット発生部223は、外部から導入される気体Gによりジェットを発生させ、このジェットにより、粒状物28のトウバンド60への添加を補助する。
【0084】
添加装置210は、補助ジェット発生部223により粒状物28を搬送路209aに強制的に送り込むことで、ジェット発生部218の内部を流れる別のジェットにより粒状物28が逆流するのを防止すると共に、トウバンド60の鉛直方向下方に配置された第2面60b側から、トウバンド60に粒状物28を添加可能にする。このような気体開繊装置209と添加装置210とを用いても、第1実施形態の吸収性物品62と同様の吸収性物品を得ることができる。
【0085】
なお供給管222は、導入部217の内部において、貯留部21側から搬送路209a側に向けて上がり勾配に直線状に延びているが、これに限定されず、導入部217の内部において、貯留部21側から搬送路209a側に向けて鉛直方向と平行に直線状に延びていてもよい。また補助ジェット発生部223の代りに、例えばスクリューフィーダを供給管222に設け、このスクリューフィーダにより、粒状物28のトウバンド60への添加を補助してもよい。
【0086】
(確認試験)
第1実施形態の製造装置1を用いて、添加装置10により粒状物28を添加され且つ気体開繊装置9を通過し、搬送ロール対11よりも上流側を搬送されるトウバンド60(以下、成型品と称する)を実施例1の成型品として製造した。実施例1では、角度θ1を80°、角度θ2を48°、搬送方向寸法1m当たりのトウバンド60の重量を5.7g、搬送方向寸法1m当たりのトウバンド60に対する粒状物添加量を3.3g、成型品の幅寸法を40mm、成型品の厚み寸法を25mmにそれぞれ設定した。
【0087】
また角度θ1を90°、角度θ2を58°に設定したこと以外は実施例1と同様の条件で、実施例2の成型品を製造した。また、第1実施形態の導入部17の代りに第2実施形態の導入部117を用いたこと以外は実施例1と同様の条件で、実施例3の成型品を製造した。
【0088】
また、角度θ1を0°に設定し、導入部117の内部空間127において、トウバンド60の第1面60a側からトウバンド60に粒状物28を添加したこと以外は実施例3と同様の条件で、比較例1の成型品を製造した。また、角度θ1を80°、角度θ2を48°に設定したこと以外は比較例1と同様の条件で、比較例2の成型品を製造した。また、滞留部20と搬送ロール対11との間において、トウバンド60の第1面60a側からトウバンド60に粒状物28を添加したこと以外は比較例1と同様の条件で、比較例3の成型品を製造した。
【0089】
各成型品の幅方向における粒状物28の分布を調べるため、搬送方向寸法を10cmに切断した各成型品を、更に幅方向中央で切断した。この切断片を用いて、各成型品の幅方向の一方側と他方側とに含まれる粒状物量の割合(重量%)を算出した。
【0090】
また、成型品の深さ(厚み)方向における粒状物28の分布を調べるため、搬送方向寸法を2cmに切断した各成型品を、更に鉛直方向中央で上下に切断した。この切断片を用いて、各成型品の上側部分と下側部分とに含まれる粒状物量の割合(重量%)を算出した。
【0091】
また、以下の方法により成型品の上部から脱落する粒状物量の割合を調べた。搬送方向寸法を30cmに切断した各成型品を上下逆にして配置したときの動作前後において、成型品に含まれる粒状物量を測定し、成型品を上下逆に配置したときに成型品の上部から脱落した粒状物量の割合(重量%)を算出した。
【0092】
また、以下の方法により成型品の下部から脱落する粒状物量の割合を調べた。滞留部20の下流端部から一定距離だけ下流側に離隔した位置において、搬送方向Pの寸法を30cmに切断した各成型品に含まれる粒状物量を測定することにより、トウバンド60に添加された後に各成型品の下部から脱落した粒状物量の割合(重量%)を算出した。また目視確認により、各成型品の内部における粒状物28の配置状態を確認した。これらの結果を表1及び2に示す。
【0095】
表1及び2に示すように、実施例1〜3及び比較例1〜3では、成型品の幅方向における粒状物28の分布については差が見られなかった。しかしながら、成型品の上部及び下部からの粒状物28のこぼれ量と、粒状物28の配置状態の確認とにより、比較例1及び2では、成型品の内部に粒状物28が均一に分散して配置され、比較例3では、成型品の上面とその付近に粒状物28が偏在していることが分かった。
【0096】
比較例1〜3の結果から、トウバンド60の第1面60aを鉛直方向上方に配置した状態で、トウバンド60に第1面60a側から粒状物28を添加する場合には、ジェット発生部18の上流側又は下流側のいずれでトウバンド60に粒状物28を添加しても、トウバンド60の第1面60aよりも下方の内部に粒状物28を偏在させることは困難であると考えられる。
【0097】
実施例1〜3では、成型品の下部からの粒状物28のこぼれ量は、比較例1〜3に比べてわずかに多いが、成型品の上部からの粒状物28のこぼれは皆無であった。これにより実施例1〜3では、粒状物28は成型品の上部に配置されておらず、成型品の内部に配置されていることが分かった。また実施例1〜3では、目視確認により、成型品の上面よりも下方の内部に粒状物28が偏在していることが確認された。
【0098】
このように実施例1〜3において、成型品の内部に粒状物28が偏在した理由として、第2面60b側からトウバンド60に粒状物28を添加したことにより、粒状物28が第2面60b側から第1面60a側に移動するのがトウバンド60の複数本の繊維により抑制されたことが考えられる。また実施例1及び3では、トウバンド60の第1面60aを鉛直方向上方に配置した状態で、第2面60b側からトウバンド60に粒状物28を添加したことにより、トウバンド60に添加された粒状物28が、第2面60b側から第1面60a側に重力により落下するのが防止されたことが考えられる。
【0099】
また実施例2では、角度θ1が90°に設定されているが、粒状物28の配置状態を目視確認したところ、実施例1及び3と同等に、粒状物28が第1面60a側に移動するのが抑制されていることが分かった。この結果から、トウバンド60の第1面60aが鉛直方向と平行に配置された状態で、トウバンド60の第2面60b側からトウバンド60に粒状物28を添加しても、トウバンド60の第1面60aよりも下方の内部に粒状物28を偏在させられることが確認された。
【0100】
また実施例3では、実施例1に比べて、成型品の下部からの粒状物28の脱落量が低減した。この理由として、実施例3では、搬送路109aの波形領域の出口よりも上流側において、トウバンド60に粒状物28が添加されたことにより、実施例1に比べて、トウバンド60の繊維間隙が縮小され、トウバンド60の繊維間隙に粒状物28が保持され易くなったことが考えられる。
【0101】
本発明は、各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成及び方法を変更、追加、又は削除できる。各実施形態は、互いに任意に組み合わせてもよく、例えば1つの実施形態中の一部の構成または方法を、他の実施形態と組み合わせてもよい。