特許第6793624号(P6793624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793624
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   G01L19/14
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-218309(P2017-218309)
(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-90651(P2019-90651A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和哉
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−264093(JP,A)
【文献】 特開2006−145468(JP,A)
【文献】 特開2002−333377(JP,A)
【文献】 特開2004−012142(JP,A)
【文献】 特開2005−188958(JP,A)
【文献】 特開2004−205514(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0146689(US,A1)
【文献】 特開2001−242031(JP,A)
【文献】 特開2002−162305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管から流体が導入される流路、及び、圧力室が形成される継手部と、
前記圧力室に導入された前記流体の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部の前記圧力室に対向する側に配置された筒形状を有するケース部と、
前記ケース部の内部に配置され、前記圧力検出部から外部に圧力信号を送出するケーブルを含む導通部材によって外部に信号を送出する信号送出部と
を備える圧力センサにおいて、
前記ケース部の内部に配置されたインナーキャップを更に備え、
前記インナーキャップには、
前記圧力検出部側に形成された内部空洞と、
前記内部空洞と外部との間に設けられた少なくとも1つの開口部と
が形成され、
前記内部空洞には、前記導通部材が配置され、前記少なくとも1つの開口部には前記ケーブルを含む導通部材が貫通配置され、
前記開口部の前記ケーブルの周囲、及び、前記インナーキャップの外周と前記ケース部の内周との間のそれぞれに、封止接着剤が封入され、
前記信号送出部は、
前記圧力検出部に接続される接続基板と、
前記接続基板と前記ケーブルを接続する電気コネクタとを更に含み、
前記電気コネクタは、前記インナーキャップに一体として固定される
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記インナーキャップは、前記ケース部のかしめ加工により固定され、前記かしめ加工された部分の全周に亘り封止接着剤が封入されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記継手部と、前記ケース部が一体として形成されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記接続基板が、樹脂コーティングにより保護されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記圧力検出部は、オイル封入タイプであることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記圧力検出部は、静電容量検出タイプであることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項7】
配管から流体が導入される流路、及び、圧力室が形成される継手部と、
前記圧力室に導入された前記流体の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部の前記圧力室に対向する側に配置された筒形状を有するケース部と、
前記ケース部の内部に配置され、前記圧力検出部から外部に圧力信号を送出するケーブルを含む導通部材によって外部に信号を送出する信号送出部と
を備える圧力センサにおいて、
前記ケース部の内部に配置されたインナーキャップを更に備え、
前記インナーキャップには、
前記圧力検出部側に形成された内部空洞と、
前記内部空洞と外部との間に設けられた少なくとも1つの開口部と
が形成され、
前記内部空洞には、前記導通部材が配置され、前記少なくとも1つの開口部には前記ケーブルを含む導通部材が貫通配置され、
前記開口部の前記ケーブルの周囲、及び、前記インナーキャップの外周と前記ケース部の内周との間のそれぞれに、封止接着剤が封入され、
前記圧力検出部のハウジングの前記内部空洞側が樹脂コーティングにより保護されている
ことを特徴とする圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関し、特に防水性及び気密性が要求される圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧検出用の圧力センサとして、冷凍、冷蔵、空調機器用の冷媒用圧力センサ等のように、防水性及び気密性が要求される圧力センサが従来から知られている。
【0003】
このような圧力センサとして、従来から、図8に示すオイル封入型圧力センサ800、及び、図9に示す静電容量検出型圧力センサ900が知られている。以下、これら従来の圧力センサ800、900について説明する。
【0004】
図8において、従来のオイル封入型圧力センサ800は、圧力導入部810と、圧力検出部820と、信号送出部830とを備える。
【0005】
圧力導入部810は、配管に接続され、圧力検出されるべき冷媒などの流体を導入する継手811と、継手811に接続され、お椀形状を有するロアカバー812と、継手811、ロアカバー812、及び、後述するダイヤフラム823により区画される圧力室813とを備える。
【0006】
圧力検出部820は、主に、半導体センサチップ821と、液封室822と、ダイヤフラム823と、金属製のハウジング824等を備える。圧力検出部820では、配管から継手811を介して圧力室813に導入された冷媒等の流体の圧力を、ダイヤフラム823及び液封室822を介して、半導体センサチップ821により検出する。圧力検出部820の詳細な説明は、当業者に周知なため省略する。
【0007】
信号送出部830は、半導体センサチップ821に電気的に接続される接続基板831と、接続基板831に接続される結線材及びコンタクトピン等832と、接続基板831及びコンタクトピン等832を絶縁して保持する本体833と、圧力検出部820と接続基板831との間の絶縁を確保するスペーサ834と、圧力検出部820及び本体833の外周を固定するケース835と、本体833とケース835との間に挟まれ防水性を確保する大気側Oリング836とを備える。
【0008】
次に、図9において、従来の静電容量検出型圧力センサ900は、圧力導入部910と、圧力検出部920と、信号送出部930とを備える。
【0009】
圧力導入部910は、保護カバー911と、冷媒等の流体の圧力をシールするOリング912と、圧力室913とを備える。保護カバー911は、継手部911a、圧力室凹部911b、ケース部911c、及び、かしめ部911dを有するように一体として成形されるが、これには限定されず、継手部911a、圧力室凹部911b、及び、ケース部911cをそれぞれ別々に、又は、いずれかの組み合わせとして成形して、接着剤又は溶接等により接続してもよい。圧力室913は、後述するセンサエレメント921と保護カバー911の圧力室凹部911bとの間に形成される。
【0010】
圧力検出部920は、静電容量検出式のセンサエレメント921と、絶縁材で形成され、保護カバー911のケース部911cに配置されるスペーサ922とを備える。センサエレメント921では、圧力室913に導入された冷媒等の流体の圧力を、電極の変動による電極間の静電容量の変化として読み取り、圧力信号として外部に送出する。センサエレメント921は、主に、2枚の電極、2枚の電極間に配置される絶縁体、2枚の電極に接続されるリード線、接着剤、電極間のギャップを確保する部材などから構成されるが、詳細な説明は当業者に周知であるため省略する。
【0011】
信号送出部930は、センサエレメント921に電気的に接続される接続基板931と、接続基板931に接続される結線材及びコンタクトピン等932と、接続基板931及びコンタクトピン等932を絶縁して保持する本体933と、本体933と保護カバー911のケース部911cとの間に挟まれ防水性を確保する大気側Oリング936とを備える。
【0012】
このような従来の圧力センサ800、900では、防水性及び気密性を達成するために、上述のように大気側Oリング836、936、又は、その他のパッキングが使用されていた。しかしながらOリングやパッキングによる気密構造では、水中ヒートショック、及び、凍結/解凍を繰り返すことにより、Oリングやパッキングの材質が収縮・膨張し、隙間が生じ水分が内部に侵入し不具合が生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2014−98685号公報
【特許文献2】特開平6−129928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1には、Oリングやパッキングを使用せずに、複雑な構成を使用することなく、コストを低減しつつ、上述の問題を解消できる圧力センサを提供するために、継手部材側から装着され、一方が開口し、他方側の基端部が継手部材と当接するカバー部材を備え、このカバー部材内部に封止接着剤が充填される圧力センサの発明が開示されている。
【0015】
しかしながら、特許文献1に示す防水構造では、封止接着剤をカバー部材内部全体に充填させていたため、全体に行き渡るように接着剤を流し込む必要があるために作業工数が増加し、さらにこの封止接着剤を固める工程が必要となり、工数短縮の余地があった。
【0016】
従って、本発明は、Oリングやパッキングを使用することなく、防水性及び気密性を高めるために封止接着剤を使用し、更に作業工数を下げるために、この封止接着剤の使用量を削減することができる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、本発明の圧力センサは、配管から流体が導入される流路、及び、圧力室が形成される継手部と、前記圧力室に導入された前記流体の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部の前記圧力室に対向する側に配置された筒形状を有するケース部と、前記ケース部の内部に配置され、前記圧力検出部から外部に圧力信号を送出するケーブルを含む導通部材によって外部に信号を送出する信号送出部とを備える圧力センサにおいて、前記ケース部の内部に配置されたインナーキャップを更に備え、前記インナーキャップには、前記圧力検出部側に形成された内部空洞と、前記内部空洞と外部との間に設けられた少なくとも1つの開口部とが形成され、前記内部空洞には、前記導通部材が配置され、前記少なくとも1つの開口部には前記ケーブルを含む導通部材が貫通配置され、前記開口部の前記ケーブルの周囲、及び、前記インナーキャップの外周と前記ケース部の内周との間のそれぞれに、封止接着剤が封入され、前記信号送出部は、前記圧力検出部に接続される接続基板と、前記接続基板と前記ケーブルを接続する電気コネクタとを更に含み、前記電気コネクタは、前記インナーキャップに一体として固定されることを特徴とする。
【0018】
また、前記インナーキャップは、前記ケース部のかしめ加工により固定され、前記かしめ加工された部分の全周に亘り封止接着剤が封入されるものとしてもよい。
【0023】
また、前記継手部と、前記ケース部が一体として形成されるものとしてもよい。
【0024】
また、前記接続基板が、樹脂コーティングにより保護されるものとしてもよい。
【0025】
また、前記圧力検出部は、オイル封入タイプであるものとしてもよい。
【0026】
また、前記圧力検出部は、静電容量検出タイプであるものとしてもよい。
また、上述の課題を解決するために、本発明の圧力センサは、配管から流体が導入される流路、及び、圧力室が形成される継手部と、前記圧力室に導入された前記流体の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部の前記圧力室に対向する側に配置された筒形状を有するケース部と、前記ケース部の内部に配置され、前記圧力検出部から外部に圧力信号を送出するケーブルを含む導通部材によって外部に信号を送出する信号送出部とを備える圧力センサにおいて、前記ケース部の内部に配置されたインナーキャップを更に備え、前記インナーキャップには、前記圧力検出部側に形成された内部空洞と、前記内部空洞と外部との間に設けられた少なくとも1つの開口部とが形成され、前記内部空洞には、前記導通部材が配置され、前記少なくとも1つの開口部には前記ケーブルを含む導通部材が貫通配置され、前記開口部の前記ケーブルの周囲、及び、前記インナーキャップの外周と前記ケース部の内周との間のそれぞれに、封止接着剤が封入され、前記圧力検出部のハウジングの前記内部空洞側が樹脂コーティングにより保護されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の圧力センサによれば、Oリングやパッキングを使用せずに、封止接着剤を使用して防水性及び気密性を高め、更にこの封止接着剤の使用量を削減することにより、作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1(a)は、本発明の第1の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサを示す縦断面図であり、図1(b)は図1(a)に示す圧力センサの上面図である。
図2】本発明の第2の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサを示す縦断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサを示す縦断面図である。
図4】本発明の第4の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサを示す縦断面図である。
図5】本発明の第5の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサを示す縦断面図である。
図6】本発明の第6の実施形態の圧力センサとして静電容量検出型圧力センサを示す縦断面図である。
図7】本発明の第7の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサを示す縦断面図である。
図8】従来のオイル封入型圧力センサを示す縦断面図である。
図9】従来の静電容量検出型圧力センサを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
尚、以下の説明における上下方向、又は、左右方向の概念は、添付の図1(a)等の図面における上下左右に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0031】
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0032】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ100を示す縦断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す圧力センサ100の上面図である。
【0033】
図1(a)及び図1(b)において、圧力センサ100は、圧力導入部110と、圧力検出部120と、信号送出部130とを備える。
【0034】
圧力導入部110は、配管に接続され、圧力検出されるべき冷媒等の流体を導入し、例えば真鍮等の金属材料で成形される継手111と、継手111に接続され、お椀形状を有し、例えばステンレス等の金属材料で成形されるロアカバー112と、継手111、ロアカバー112、及び、後述するダイヤフラム123により区画される圧力室113とを備える。なお、継手部は、継手111と、ロアカバー112とから構成される。
【0035】
圧力検出部120は、主に、半導体センサチップ121と、オイル等が充填された液封室122と、上述の圧力室113を区画するダイヤフラム123と、金属製のハウジング124等を備える。圧力検出部120では、圧力室113に導入された冷媒等の流体の圧力を、ダイヤフラム123を介して、オイル等が充填された液封室122に配置された半導体センサチップ121により検出する。オイル封入型の圧力センサ100の圧力検出部120の詳細な動作については、当業者に周知であり、例えば特許文献1等の記載を参照し、詳細な説明を省略する。
【0036】
信号送出部130は、接続基板131と、電気コネクタ132、132Aと、ケーブル133と、スペーサ134と、ケース135と、インナーキャップ136と、封止接着剤137とを備える。
【0037】
接続基板131は、圧力検出部120の半導体センサチップ121とリードピン及びワイヤボンディング等を介して電気的に接続され、電気コネクタ132、132A及びケーブル133を介して外部に圧力検出信号を送出する。なお、接続基板131を特に用意せずに、半導体センサチップ121に内蔵されているものとしてもよい。
【0038】
電気コネクタ132、132Aは、接続基板131に実装されるレセプタクル側電気コネクタ132と、ケーブル133に接続されレセプタクル側電気コネクタ132に挿抜可能に配置されるプラグ側電気コネクタ132Aとから構成される。
【0039】
ケーブル133は、後述するインナーキャップ136の開口部136bから外部に引き出される。なお、ケーブル133は、図1(b)に示すように、3本(VCC、GND、VOUT)の3本が引き出される。
【0040】
スペーサ134は、例えば樹脂等の絶縁材で形成され、圧力検出部120と接続基板131との間に配置され接続基板131等の絶縁を確保する。
【0041】
ケース135は、円柱形状を有し圧力検出部120の圧力室113に対向する側に配置される。ケース135の材質としては、金属材料が使用され、金属製のハウジング124に溶接されるのが望ましく、特に後述する封止接着剤137との接着性のよい、真鍮、銅、鉄ニッケルが望ましい。さらに接合を確実に行うため溶接部に突起(プロジェクション)を設けてもよい。なお、ケース135は、ケース部を構成する。
【0042】
インナーキャップ136は、ケース135の内部に配置され、例えば樹脂等の絶縁材で形成される。インナーキャップ136には、圧力検出部120側に形成された内部空洞136aと、内部空洞136aと外部との間に設けられた少なくとも1つの開口部136bとが形成される。内部空洞136aには、信号送出部130のケーブル133、電気コネクタ132、132A等の導通部材が配置され、少なくとも1つの開口部136bには、信号送出部130のケーブル133が貫通配置される。なお、本実施形態では、インナーキャップ136に、図1(b)に示すように、3本のケーブル133を引き出すための1つの開口部136bが形成されるが、これには限定されずケーブル133の本数に合わせて複数の開口部136bが設けられてもよい。また、本実施形態では、インナーキャップ136は、ケース135にかしめ加工により固定されるものとしたが、これには限定されず、その他の方法で固定されるものとしてもよい。
【0043】
封止接着剤137は、図1(b)に示すように、インナーキャップ136の開口部136bのケーブル133の周囲、及び、インナーキャップ136の外周とケース135の内周との間のそれぞれに封入される。なお、図1(a)に示すように、インナーキャップ136の外周とケース135のかしめ加工された部分の内周との間の全周に亘り封止接着剤137が封入されるようにすれば、高い防水性を維持したまま、封止接着剤137の使用量が削減され、コストダウンできる。また、封止接着剤137の材質としては、シリコーン系、エポキシ系、ウレタン系、フッ素系、アクリル系の接着剤を使用することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、外装を構成する部品として、全て別部材である継手111、ロアカバー112、圧力検出部120のハウジング124、及び、ケース135が用意され、これらが溶接等により一体とされるものとしたが、これには限定されず、後述する図5に示すように、これら全ての形状を有し、真鍮等の金属材料で一体として成形された保護カバー511等を使用するものとしてもよい。
【0045】
以上のように、本発明の第1の実施形態の圧力センサ100によれば、Oリングやパッキングを使用せず、防水性及び気密性を高めるために、封止接着剤137を使用し、更にインナーキャップ136を使用することにより、防水性及び気密性を高く維持したまま封止接着剤137を削減することができ、作業性を改善することができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0047】
図2は、本発明の第2の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ200を示す縦断面図である。
【0048】
図2において、圧力センサ200は、図1に示す圧力センサ100と比較して、信号送出部230の接続基板231にケーブル233の半田接続部233aにより半田接続される点が異なり、その他の点は圧力センサ100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0049】
以上のように、本発明の第2の実施形態の圧力センサ200によれば、第1の実施形態の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、電気コネクタ132、132Aを取り除くことができ、コストダウンができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0051】
図3は、本発明の第3の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ300を示す縦断面図である。
【0052】
図3において、圧力センサ300は、図1に示す圧力センサ100と比較して、信号送出部330のインナーキャップ336にプラグ側電気コネクタ332Aが一体として固定される点が異なり、その他の点は圧力センサ100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0053】
以上のように、本発明の第3の実施形態の圧力センサ300によれば、第1の実施形態の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、インナーキャップ336とプラグ側電気コネクタ332Aを同時に取り付けることができ、作業工数を削減できる。
【0054】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0055】
図4は、本発明の第4の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ400を示す縦断面図である。
【0056】
図4において、圧力センサ400は、図3に示す圧力センサ300と比較して、接続基板131に、樹脂コーティング438が施され、結露による絶縁低下を防止している点、及び、圧力検出部120のハウジング124にも、樹脂コーティング439が施され、半導体センサチップ121の静電気耐力を上昇させている点が異なり、その他の点は圧力センサ300と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
以上のように、本発明の第4の実施形態の圧力センサ400によれば、第3の実施形態の圧力センサ300と同様の作用効果を奏することができる。さらに、樹脂コーティング438により、結露による絶縁低下を防止でき、また、樹脂コーティング439により、半導体センサチップ121の静電気耐力を上昇させることができる。
【0058】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0059】
図5は、本発明の第5の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ500を示す縦断面図である。
【0060】
図5において、圧力センサ500は、図1に示す圧力センサ100と比較して、継手111、ロアカバー112、圧力検出部120のハウジング124、及び、ケース135の代わりに、継手部511a、圧力室凹部511b、ケース部511c、及び、かしめ部511dを有するように一体として例えば真鍮等の金属材料で成形された保護カバー511と、Oリング512とを備え、圧力室凹部511bと、ダイヤフラム123により圧力室513を区画している点が異なり、その他の点は圧力センサ100と同じである。なお、Oリング512は、冷媒などのシールのために使用されるので、水中ヒートショック、及び、凍結/解凍を繰り返すなどの従来の問題は生じない。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
以上のように、本発明の第5の実施形態の圧力センサ500によれば、第1の実施形態の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、圧力センサ500の外装を構成する保護カバー511を一部品とできるので、作業工数を削減でき、気密性防水性も向上する。
【0062】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0063】
図6は、本発明の第6の実施形態の圧力センサとして静電容量検出型圧力センサ600を示す縦断面図である。
【0064】
図6において、圧力センサ600は、圧力導入部610と、圧力検出部620と、信号送出部630とを備える。圧力センサ600は、図5に示す圧力センサ500と比較して、オイル封入型の圧力検出部120の代わりに、静電容量検出型の圧力検出部620を使用している点が異なり、その他の点は圧力センサ500と概ね同様である。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
静電容量検出型の圧力検出部620は、静電容量検出式のセンサエレメント621と、絶縁材で形成され、Oリング612を保持するために保護カバー611のケース部611cに挿入される絶縁スペーサ622とを備える。センサエレメント621では、圧力室613に導入された冷媒等の流体の圧力を、電極の変動による電極間の静電容量の変化として読み取り、圧力信号として外部に送出する。センサエレメント621は、主に、2枚の電極、2枚の電極間に配置される絶縁体、2枚の電極に接続されるリード線、接着剤、電極間のギャップを確保する部材などから構成されるが、詳細な説明は当業者に周知であり、例えば特許文献2等の記載を参照し、詳細な説明を省略する。なお、Oリング612は、冷媒などのシールのために使用されるので、水中ヒートショック、及び、凍結/解凍を繰り返すなどの従来の問題は生じない。
【0066】
以上のように、本発明の第6の実施形態の静電気容量検出型の圧力センサ600によっても、第1の実施形態のオイル封入型の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
【0068】
図7は、本発明の第7の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ700を示す縦断面図である。
【0069】
図7において、圧力センサ700は、図2に示す圧力センサ200と比較して、ケース135の代わりに、ロアカバー112、圧力検出部120、及び、インナーキャップ136の周囲を覆う形状を有するかしめ板735が設けられている点が異なり、その他の点は圧力センサ200と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
かしめ板735は、金属材料等で略円柱形状に形成され、圧力導入部110側の端部には、内周側に屈曲されたフランジ部735bが形成される。かしめ板735は、例えば、ロアカバー112と、金属製のハウジング124とが溶接により固定された後、ロアカバー112にフランジ部735bが接触するように配置され、例えば溶接または圧入等によりロアカバー112に固定される。
【0071】
かしめ板735のフランジ部735bに対向する側には、インナーキャップ136をかしめ加工により固定するためのかしめ部735aが形成される。また、図7に示すように、圧力センサ700では、図2に示す圧力センサ200と同様の位置に封止接着剤137が封入されるが、更に、ロアカバー112の外周とフランジ部735bの内周の間に737が封入されるものとしてもよい。封止接着剤737の材質は、封止接着剤137と同じ材質でも、別の材質でも構わない。
【0072】
以上のように、本発明の第7の実施形態の圧力センサ700によれば、第2の実施形態の圧力センサ200と同様の作用効果を奏することができる。さらに、ロアカバー112、圧力検出部120、及び、インナーキャップ136の周囲を覆う形状を有するかしめ板735を設けることにより作業工数を上げることなく防水性能を高めることができる。
【0073】
以上説明したように、本発明の圧力センサによれば、Oリングやパッキングを使用せず、防水性及び気密性を高めるために封止接着剤を使用し、更にインナーキャップを使用することにより、防水性及び気密性を高く維持したまま封止接着剤を削減することができ、作業性を改善することができる。
【符号の説明】
【0074】
100、200、300、400、500、600、700 圧力センサ
110、510、610 圧力導入部
111 継手
112 ロアカバー
113、513、613 圧力室
120、520、620 圧力検出部
121 半導体センサチップ
122 液封室
123 ダイヤフラム
124、524 ハウジング
130、230、330、430、530、630、730 信号送出部
131、231、631 接続基板
132、132A、332A、632、632A 電気コネクタ
133、233、633 ケーブル
134 スペーサ
135 ケース
136、336、536、636 インナーキャップ
137、737 封止接着剤
233a 半田接続部
438、439 樹脂コーティング
511、611 保護カバー
511a、611a 継手部
511b、611b 圧力室凹部
511c、611c ケース部
511d、611d、735a かしめ部
512、612 Oリング
621 センサエレメント
622 検出部スペーサ
735 かしめ板
735b フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9