特許第6793657号(P6793657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793657
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】置換三環式ヘテロ環式化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20201119BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20201119BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20201119BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20201119BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   C07D471/14 102
   C07D471/14CSP
   A61K31/437
   A61K31/506
   A61K31/5377
   A61P1/04
   A61P11/00
   A61P11/06
   A61P13/12
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P19/02
   A61P19/06
   A61P25/00
   A61P29/00
   A61P29/00 101
   A61P37/02
   A61P37/06
   A61P43/00 111
【請求項の数】6
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2017-549092(P2017-549092)
(86)(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公表番号】特表2018-508553(P2018-508553A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】US2016022737
(87)【国際公開番号】WO2016149436
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月15日
(31)【優先権主張番号】62/134,769
(32)【優先日】2015年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】ハイ−ユン・シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ティ・ジー・ムラリ・ダール
(72)【発明者】
【氏名】ジンウー・ドワン
(72)【発明者】
【氏名】ビン・ジアン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジェイ・テベン
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−123991(JP,A)
【文献】 特表2010−531312(JP,A)
【文献】 特表2003−512467(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/186229(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/00−471/22
A61K 31/00−31/80
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
〔式中、
XがNであり;
Wが−CR−であり;
がフェニル、ピラゾリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、各々−CH、−C(CH)OH、−OCH、モルホリニル、メチルピペラジニルおよびカルボキシメチルピペラジニルから選択される0〜1置換基で置換されており;
がHであり;
各Rが独立してH、Fまたは−OHであり;
がF、−CH、−CF、−OCH、−OCHF、−OCFまたはシクロプロピルから独立して選択される0〜2置換基で置換されているフェニルであり;
がHであり;
がHである
の化合物またはその塩。
【請求項2】
2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(1);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(2);8−(2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(3);8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(4);8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(2−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(5);8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(2−モルホリノピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(6);2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−8−(2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(7);8−(2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(8);8−(2−シクロプロピルフェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(9);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(2−モルホリノピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(10);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(2−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(11);2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−8−(2−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(12);8−(5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(13);2−(4−(6−フルオロ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(14);2−(4−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(15);2−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(16);4−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)モルホリン(17);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−2−(6−メトキシピリジン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(18);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(19);2−(5−(8−(2,5−ジメチルフェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(20);2−(4−(8−(2−シクロプロピルフェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(21);2−(4−(6−フルオロ−8−(2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(22);2−(4−(6−フルオロ−8−(2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(23);2−(4−(6−フルオロ−8−(5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(24);2−(4−(8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(25);2−(4−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(26);2−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(27);4−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)モルホリン(28);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(6−メトキシピリジン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(29);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(30);2−(4−(8−(2−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(31);2−(4−(8−(2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(32);2−(4−(8−(2−シクロプロピルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(33);2−(4−(8−(5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(34);2−(4−(5−(8−(2−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)酢酸(35);(R)−2−(5−(8−(2,5−ジメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(36);(R)−2−(4−(8−(2,5−ジメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(37);(R)−8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(38);(R)−8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(6−メトキシピリジン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(39);または(R)−8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(40)である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
1以上の請求項1または2に記載の化合物またはその塩;および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物またはその塩を含む、炎症性または自己免疫性疾患を処置するための、医薬組成物。
【請求項5】
疾患がクローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、慢性閉塞性肺疾患、グレーブス病、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、皮膚ループス、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クリオピリン関連周期性症候群、TNF受容体関連周期熱症候群、家族性地中海熱、成人発症スチル病、全身発症若年性特発性関節炎、多発性硬化症、神経障害性疼痛、痛風および痛風関節炎から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
炎症性または自己免疫性疾患の処置用医薬の製造における、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月18日出願の米国出願番号62/134,769号の利益を主張し、その全体を、引用により本明細書に包含させる。
【0002】
発明の記載
本発明は、一般にTNFαシグナル伝達のモジュレーターとして有用な置換三環式ヘテロ環式化合物に関する。ここに提供されるのは、置換三環式ヘテロ環式化合物、そのような化合物を含む組成物およびそれらの使用法である。本発明は、さらに、炎症性および自己免疫性障害を含む、TNFα活性と関連する状態の処置に有用な、少なくとも一つの本発明の化合物を含む、医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
TNFαは、TNFスーパーファミリー(TNFSF)のリガンドの最初のかつ原型的なメンバーである。TNFSFリガンドは、細胞分化、細胞生存、細胞死および炎症を含む、いくつかの重要な生物学的過程の制御に関与する。TNFスーパーファミリーのリガンドは、複数レベルで免疫および炎症性応答の制御および組織化に中心的役割を演ずる。TNFSFリガンドの共通する構造特性は、特異的TNFSF受容体と結合し、活性化できる三量体複合体の形成である。いくつかの他のファミリーメンバーと同様、TNFαはII型膜貫通タンパク質であり、これは、メタロプロテアーゼによるタンパク質分解切断後、可溶性形態として分泌され得る。TNFαの膜貫通形態および可溶性形態の両者が、TNF受容体1および2を経てシグナルを伝達する生物学的に活性な三量体複合体を形成する。TNFαは、TNFRを介して複数の細胞型(T細胞、単球、内皮細胞)に作用し、免疫系の活性化、炎症性サイトカインの産生、破骨細胞形成および細胞死を誘発できる。
【0004】
その生理学的および病態生理学的機能に基づき、TNFおよびTNFSFリガンドは、多数の炎症性および自己免疫性障害の病因と結びつけられている(例えば、Keystone, E.C. et al., J. Rheumatol., 37:27-39 (2010);およびSedger, L.M. et al., Cytokine Growth Factor Rev., 25(4):453-472 (2014)参照)。今日まで、多数のTNFα調節剤が開発され、商業的に利用可能となっている。TNFαに対する臨床的に証明されたタンパク質ベースの治療剤の作用機序は、TNFR1およびTNFR2へのTNFαの結合を阻害する競合的アンタゴニストとして作用することである。これらの薬剤は、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴルおよびインフリキシマブを含む、TNFαに特異的な抗体を含む。TNFα介在障害の処置について承認された他の薬剤は、免疫グロブリン分子とTNFR2エクトドメインのキメラであるエタネルセプトであり、これはまたTNFαが細胞受容体に結合することを阻止する。
【0005】
ヒトTNFα活性のモジュレーターとして、置換三環式ヘテロ環式化合物は、多数のヒト疾患の処置および/または予防に有益である。これらは、炎症性および自己免疫性障害、神経および神経変性障害、疼痛および侵害受容性障害、心血管障害、代謝障害、眼障害ならびに腫瘍障害を含む。
【0006】
WO2013/186229号、WO2014/009295号およびWO2014/009296号は、TNFαのモジュレーターとして有用な化合物を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
TNFの調節が関与する処置により利益が得られると考えられる多くの状態から、TNFαのシグナル伝達を調節できる新規化合物およびこれらの化合物を使用する方法が、広範な患者に相当な治療的利益を提供するに違いないことが明らかである。
【0008】
本発明は、有効なTNFα活性の阻害剤であることが判明した、新規置換三環式ヘテロ環式化合物群に関する。これらの化合物は、薬物化(drugability)に重要である望ましい安定性、バイオアベイラビリティ、治療指数および毒性値を有する医薬として提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
本発明は、TNF阻害剤αとして有用であり、かつ炎症性および自己免疫性障害、神経および神経変性障害、心血管障害、代謝障害、眼障害ならびに腫瘍障害の処置に有用な式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
【0010】
本発明はまた、薬学的に許容される担体および少なくとも一つの式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む、医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、処置を必要とする宿主に、少なくとも一つの式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を投与することを含む、TNFαの調節のための方法も提供する。
【0012】
本発明はまた、処置を必要とする宿主に、少なくとも一つの式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を投与することを含む、増殖性、代謝性、アレルギー性、自己免疫性および炎症性疾患の処置のための方法も提供する。
【0013】
ある態様は、炎症性および自己免疫性疾患の処置のための方法を提供する。特定の、炎症性および自己免疫性疾患は、全身性エリテマトーデス、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、慢性閉塞性肺疾患、グレーブス病、リウマチ性関節炎、ループス腎炎、皮膚ループス、強直性脊椎炎、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、TNF受容体関連周期熱症候群(TRAPS)、ウェゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、家族性地中海熱(FMF)、成人発症スチル病、全身発症若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、多発性硬化症、神経障害性疼痛、痛風および痛風関節炎を含むが、これらに限定されない。
【0014】
本発明はまた、治療に使用するための、本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグも提供する。
【0015】
本発明はまた、炎症性および自己免疫性疾患の処置用医薬の製造のための、本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用も提供する。
【0016】
本発明はまた、式(I)の化合物または医薬組成物の使用指示書を添付した、キットにおける該化合物または組成物も提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの製造のための方法および中間体も提供する。
【0018】
本発明のこれらおよび他の特徴は、開示の進行に従って、さらに広い形態で示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明を、下に説明する添付する図面を引用して説明する。
図1】式(I)、式(I−a)、式(I−b)、式(I−c)、式(I−d)、式(I−e)、式(I−f)、式(I−g)、式(I−h)、式(I−i)、式(I−j)および式(I−k)の化合物の構造を示す。
図2】式(II−a)および式(II−b)の化合物;式(III−a)、式(III−b)および式(III−c)の化合物;ならびに式(IV−a)、式(IV−b)、式(IV−c)および式(IV−d)の化合物の構造を示す。
図3】式(V−a)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)、式(V−e)および式(V−f)の化合物の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な記載
本発明の第一の側面は、少なくとも一つの式(I)
【化1】
〔式中、
XはNであり;
Wは
(i)−(CR)1−4−;
(ii)−(CR)−Y−(CR)−;または
(iii)−Y−(CR)−Y−であり;
各Yは独立してO、NRまたはS(O)であり;
xは0、1、2または3であり;
yは0、1、2または3であるが、ただし、(x+y)は0、1、2または3であり;
はH、R1a、C1−6ハロアルキル、0〜6個のR1aで置換されているC2−6アルケニル、0〜4個のR1aで置換されているC2−6アルキニル、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)であり;
はH、ハロ、−CN、−CF、−OCF、−NO、0〜6個のR1aで置換されているC1−6アルキル、−(CR)OR、−(CR)NR、−(CR)S(O)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環式ヘテロアリール)であり;
各Rは独立してH、ハロ、−CN、−OH、−OCF、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−(CR)C(O)R、−(CR)C(O)OR、−(CR)C(O)NR、−(CR)OR、−(CR)OC(O)R、−(CR)OC(O)NR、−(CR)OC(O)OR、−(CR)NR、−(CR)NRC(O)R、−(CR)NRC(O)OR、−(CR)NRC(O)NR、−(CR)NRS(O)、−(CR)S(O)、−(CR)S(O)NR、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)であるか;または2個のRは、それらが結合している炭素原子と一体となってC=O、C=NOR、スピロカルボシクリル環またはスピロヘテロシクリル環を形成し;
各Rは独立してH、0〜6個のR1aで置換されているC1−6アルキル、0〜6個のR1aで置換されているC3−7シクロアルキル、−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、−S(O)、−S(O)NR、−S(O)OR、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環式ヘテロアリール)であり;
は−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜10員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)であり;
はH、C1−6アルキルまたはC1−6ハロアルキルであるか;
またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって5〜6員スピロカルボシクリル環またはスピロヘテロシクリル環を形成し、各々0〜6個のR5aで置換されており;
各R5aは独立してH、ハロ、−CN、−OH、C1−3アルキル、C1−3フルオロアルキルまたはC1−3アルコキシから選択されるか;またはスピロ炭素環式またはスピロヘテロ環式環の隣接炭素原子に結合している2個のR5aは、それらが結合している炭素原子と一体となってベンゾ環を形成し、該ベンゾは、0〜4個のRで置換されているか;またはスピロ炭素環式環またはスピロヘテロ環式環の同じ炭素原子に結合した2個のR5aは=Oを形成し;
はH、ハロ、−CN、C1−6ハロアルキルまたはC1−3アルコキシであり;
各R1aは独立してF、Cl、−CN、0〜6個のRで置換されているC1−6アルキル、0〜6個のRで置換されているC3−6シクロアルキル、0〜6個のRで置換されているC1−3アルコキシ、C1−3ハロアルコキシ、0〜6個のRで置換されているヘテロシクロアルキル、0〜6個のRで置換されているアリール、0〜6個のRで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリール、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−OC(O)OR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRC(O)NR、−NRS(O)NR、−S(O)、−S(O)NRまたは−C(O)NR(CH)1−3NRであり;
各Rは独立してハロ、−CN、−OH、−NO、−NH、C1−3アルキル、C1−3フルオロアルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−3アルコキシ、C1−3フルオロアルコキシ、−C(O)OH、−C(O)(C1−3アルキル)、−C(O)O(C1−4アルキル)、−OC(O)(C1−3アルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−N(C1−3アルキル)、−C(O)NH(C1−3アルキル)、−OC(O)NH(C1−3アルキル)、−NHC(O)NH(C1−3アルキル)、−C(=NH)(NH)、C3−7カルボシクリル、アリール、5〜7員ヘテロシクリル、単環または二環式ヘテロアリール、−O(アリール)、−O(ベンジル)、−O(ヘテロシクリル)、−S(C1−3アルキル)、−S(アリール)、−S(ヘテロシクリル)、−S(O)(アリール)、−S(O)(ヘテロシクリル)、−S(O)2(アリール)、−S(O)(ヘテロシクリル)、−NHS(O)(アリール)、−NHS(O)(ヘテロシクリル)、−NHS(O)NH(アリール)、−NHS(O)NH(ヘテロシクリル)、−NH(アリール)、−NH(ヘテロシクリル)、−NHC(O)(アリール)、−NHC(O)(C1−3アルキル)、−NHC(O)(ヘテロシクリル)、−OC(O)(アリール)、−OC(O)(ヘテロシクリル)、−NHC(O)NH(アリール)、−NHC(O)NH(ヘテロシクリル)、−OC(O)O(C1−3アルキル)、−OC(O)O(アリール)、−OC(O)O(ヘテロシクリル)、−OC(O)NH(アリール)、−OC(O)NH(ヘテロシクリル)、−NHC(O)O(アリール)、−NHC(O)O(ヘテロシクリル)、−NHC(O)O(C1−3アルキル)、−C(O)NH(アリール)、−C(O)NH(ヘテロシクリル)、−C(O)O(アリール)、−C(O)O(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)S(O)(アリール)、−N(C1−3アルキル)S(O)(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)S(O)NH(アリール)、−N(C1−3アルキル)S(O)NH(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)(アリール)、−N(C1−3アルキル)(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)C(O)(アリール)、−N(C1−3アルキル)C(O)(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)C(O)NH(アリール)、−(CH)0−3C(O)NH(ヘテロシクリル)、−OC(O)N(C1−3アルキル)(アリール)、−OC(O)N(C1−3アルキル)(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)C(O)O(アリール)、−N(C1−3アルキル)C(O)O(ヘテロシクリル)、−C(O)N(C1−3アルキル)(アリール)、−C(O)N(C1−3アルキル)(ヘテロシクリル)、−NHS(O)N(C1−3アルキル)(アリール)、−NHS(O)N(C1−3アルキル)(ヘテロシクリル)、−NHP(O)N(C1−3アルキル)(アリール)、−NHC(O)N(C1−3アルキル)(アリール)、−NHC(O)N(C1−3アルキル)(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)S(O)N(C1−3アルキル)(アリール)、−N(C1−3アルキル)S(O)N(C1−3アルキル)(ヘテロシクリル)、−N(C1−3アルキル)C(O)N(C1−3アルキル)(アリール)、−N(C1−3アルキル)C(O)N(C1−3アルキル)(ヘテロシクリル)または−Si(C1−3アルキル)であり;
各Rは独立してH、0〜6個のRで置換されているC1−6アルキル、0〜6個のRで置換されているC3−7シクロアルキル、0〜6個のRで置換されているヘテロシクロアルキル、0〜3個のRで置換されているアリールまたは0〜3個のRで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリールであり;
各Rは独立してH、0〜6個のRで置換されているC1−6アルキル、0〜6個のRで置換されているC3−7シクロアルキル、0〜6個のRで置換されているヘテロシクロアルキル、0〜3個のRで置換されているアリールまたは0〜3個のRで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリールであるか;または同じ窒素に結合しているとき、2個のRは、それらが結合している窒素原子とともに、場合によりRで置換されていてよい4〜8員ヘテロ環式環を形成し;
各Rは独立してH、0〜6個のRで置換されているC1−6アルキル、0〜6個のRで置換されているC3−7シクロアルキル、0〜6個のRで置換されているヘテロシクロアルキル、0〜3個のRで置換されているアリールまたは0〜3個のRで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリールであり;
各Rは独立してH、0〜6個のRで置換されているC1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、0〜6個のRで置換されているC3−7シクロアルキル、0〜6個のRで置換されているヘテロシクロアルキル、0〜3個のRで置換されているアリールまたは0〜3個のRで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリールであり;
各Rは独立してH、ハロ、−OH、−CN、0〜6個のRで置換されているC1−6アルキル、C1−3アルコキシ、0〜6個のRで置換されているC3−7シクロアルキル、0〜6個のRで置換されているヘテロシクロアルキル、0〜3個のRで置換されているアリールまたは0〜3個のRで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリールであり;
各Rは独立してH、F、−OH、−CN、C1−3アルキル、−CFまたはフェニルであり;
各pは独立して0、1または2であり;
各rは独立して0、1、2、3または4である。〕
の化合物またはその塩に関する。
【0021】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−CR−であり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(II−a)の化合物の構造を有する。
【0022】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、WはYであり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(II−b)の化合物の構造を有する。
【0023】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−であり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(III−a)の化合物の構造を有する。
【0024】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(III−b)の化合物の構造を有する。
【0025】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(III−c)の化合物の構造を有する。
【0026】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−であり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−a)の化合物の構造を有する。
【0027】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−b)の化合物の構造を有する。
【0028】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−CR−Y−CR−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−c)の化合物の構造を有する。
【0029】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−d)の化合物の構造を有する。
【0030】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−であり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(V−a)の化合物の構造を有する。
【0031】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(V−b)の化合物の構造を有する。
【0032】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−CR−Y−(CR)−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(V−c)の化合物の構造を有する。
【0033】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−CR−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(V−d)の化合物の構造を有する。
【0034】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(V−e)の化合物の構造を有する。
【0035】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(V−f)の化合物の構造を有する。
【0036】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)1−4−であり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(II−a)、式(III−a)、式(IV−a)および式(V−a)の構造を有する。
【0037】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−(CR)−であり;X、Y、R、R、R、R、R、R、xおよびyは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(II−b)、式(III−b)、式(III−c)、式(IV−b)、式(IV−c)、式(IV−d)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)および式(V−e)の構造を有する。
【0038】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−CR−または−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(II−a)および式(II−b)の化合物である。
【0039】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−、−Y−CR−または−CR−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(III−a)、式(III−b)および式(III−c)の化合物である。
【0040】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−、−Y−(CR)−、−CR−Y−CR−または−(CR)−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(IV−a)、式(IV−b)、式(IV−c)および式(IV−d)の化合物である。
【0041】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−、−Y−(CR)−、−CR−Y−(CR)−、−(CR)−Y−CR−、−(CR)−Y−または−Y−(CR)−Y−であり;X、Y、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(V−a)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)、式(V−e)または式(V−f)の化合物である。
【0042】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−(CR)−であり;YはOであり;X、R、R、R、R、R、R、xおよびyは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(II−b)、式(III−b)、式(III−c)、式(IV−b)、式(IV−c)、式(IV−d)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)および式(V−e)の構造を有する。
【0043】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−(CR)−であり;YはNRであり;X、R、R、R、R、R、R、R、xおよびyは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(II−b)、式(III−b)、式(III−c)、式(IV−b)、式(IV−c)、式(IV−d)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)および式(V−e)の構造を有する。
【0044】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−(CR)−であり;YはS(O)であり;X、R、R、R、R、R、R、p、xおよびyは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(II−b)、式(III−b)、式(III−c)、式(IV−b)、式(IV−c)、式(IV−d)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)および式(V−e)の構造を有する。この態様に含まれるのは、YがS(O)である化合物である
【0045】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−Y−であり;各YはOであり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−f)の構造を有する。
【0046】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−Y−であり;各YはNRであり;X、R、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−f)の構造を有する。
【0047】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−Y−であり;各Yは独立してOまたはNRであり;X、R、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−f)の構造を有する。
【0048】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−Y−(CR)−Y−であり;各Yは独立してS(O)であり;X、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様の化合物は、式(IV−f)の構造を有する。
【0049】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはH、R1a、C1−6ハロアルキル、0〜6個のR1aで置換されているC2−6アルケニルまたは0〜4個のR1aで置換されているC2−6アルキニルであり;X、W、R1a、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0050】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはR1aであり;X、W、R1a、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0051】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはF、Cl、Brまたは−CNであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0052】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはC1−6ハロアルキル、0〜6個のR1aで置換されているC2−6アルケニルまたは0〜4個のR1aで置換されているC2−6アルキニルであり;X、W、R1a、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0053】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)であり;X、W、R1a、R、R、R、R、R、Rおよびrは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、rが1である化合物である。またこの態様に包含されるのは、Rが−CH(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−CH(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−CH(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−CH(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)である化合物である。
【0054】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル、0〜3個のR1aで置換されているアリール、0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリルまたは0〜3個のR1aで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリールであり;X、W、R1a、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、Rが0〜3個のR1aで置換されているアリールまたは0〜3個のR1aで置換されている単環もしくは二環式ヘテロアリールである化合物である。
【0055】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは、ピラゾリル、イソオキサゾリル、フェニル、ピリジニル、ピリジノニル、ピリダジニル、ピリミジニル、インドリル、イソインドリノニル、ベンゾイミダゾリルまたはベンゾチアゾリルであり、各々F、Cl、−CN、C1−3アルキル、−CHF、−CF、C1−3シアノアルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、−CHNH、−CHC(O)OH、−CH=CHCH、−OCH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−3アルキル)、−C(O)N(CH)(C1−3アルキル)、−C(O)NH(C1−3シアノアルキル)、−C(O)NH(C1−3ヒドロキシアルキル)、−C(O)NHCHCHCHN(CH)、−C(O)NHCHCH(モルホリニル)、−S(O)(C1−3アルキル)、−S(O)NH、−S(O)NH(C1−2アルキル)、−S(O)NH(C3−6シクロアルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−N(C1−3アルキル)、−NHS(O)(C1−3アルキル)、−C(O)NH((C3−6シクロアルキル)、−C(O)(アゼチジニル)、C3−6シクロアルキル、シアノシクロプロピル、ピペリジニル、ピペラジニル、フェニル、メチルオキサジアゾリル、アミノ−オキサジアゾリルおよびメチルアミノチアジアゾリルから独立して選択される0〜3置換基で置換されており;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0056】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは(i)F、Cl、Br、−CN;または(ii)ピラゾリル、イソオキサゾリル、フェニル、ピリジニル、ピリジノニル、ピリダジニル、ピリミジニル、インドリル、イソインドリノニル、ベンゾイミダゾリルまたはベンゾチアゾリルであり、各F、Cl、−CN、C1−3アルキル、−CHF、−CF、C1−3シアノアルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、−CHNH、−CHC(O)OH、−CH=CHCH、−OCH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−3アルキル)、−C(O)N(CH)(C1−3アルキル)、−C(O)NH(C1−3シアノアルキル)、−C(O)NH(C1−3ヒドロキシアルキル)、−C(O)NHCHCHCHN(CH)、−C(O)NHCHCH(モルホリニル)、−S(O)(C1−3アルキル)、−S(O)NH、−S(O)NH(C1−2アルキル)、−S(O)NH(C3−6シクロアルキル)、−NH(C1−3アルキル)、−N(C1−3アルキル)、−NHS(O)(C1−3アルキル)、−C(O)NH((C3−6シクロアルキル)、−C(O)(アゼチジニル)、C3−6シクロアルキル、シアノシクロプロピル、ピペラジニル、フェニル、メチルオキサジアゾリル、アミノ−オキサジアゾリルおよびメチルアミノチアジアゾリル;フェニル、ピペラジニルおよびピペリジニルから独立して選択される0〜3置換基で置換されており;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0057】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはH、ハロ、−CN、−CF、−OCF、−NOまたは0〜6個のR1aで置換されているC1−6アルキルであり;X、W、R1a、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがH、ハロ、−CN、−CFまたは−OCFである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがHまたはFである化合物である。
【0058】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは−(CR)OR、−(CR)NR、−(CR)S(O)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環式ヘテロアリール)であり;X、W、R、R、R、R、R、R1a、R、R、R、R、pおよびrは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、rが1である化合物である。またこの態様に包含されるのは、Rが−CH(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−CH(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−CH(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−CH(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)である化合物である。
【0059】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはH、ハロ、−CN、−CFまたは−OCFであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがHまたはハロである化合物である。また包含されるのは、RがHまたはFである化合物である。
【0060】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、各Rは独立してH、ハロ、−CN、−OH、−OCF、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−(CR)C(O)R、−(CR)C(O)OR、−(CR)C(O)NR、−(CR)OR、−(CR)OC(O)R、−(CR)OC(O)NR、−(CR)OC(O)OR、−(CR)NR、−(CR)NRC(O)R、−(CR)NRC(O)OR、−(CR)NRC(O)NR、−(CR)NRS(O)、−(CR)S(O)、−(CR)S(O)NR、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)であり;X、W、R、R、R、R、R、R1a、R、R、R、R、R、pおよびrは第一の側面において定義されている。
【0061】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、各Rは独立してH、ハロ、−CN、−OH、−OCF、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがH、−OH、−CN、−OCF、C1−3アルキルまたはC1−3フルオロアルキルである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがH、−OH、−CN、−OCF、−CHおよび−CFである化合物である。
【0062】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、各Rは独立してH、−(CR)C(O)R、−(CR)C(O)OR、−(CR)C(O)NR、−(CR)OR、−(CR)OC(O)R、−(CR)OC(O)NR、−(CR)OC(O)OR、−(CR)NR、−(CR)NRC(O)R、−(CR)NRC(O)OR、−(CR)NRC(O)NR、−(CR)NRS(O)、−(CR)S(O)または−(CR)S(O)NRであり;X、W、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、pおよびrは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、各RがHである化合物である。
【0063】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、各Rは独立してH、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)であり;X、W、R、R、R、R、R、R1a、Rおよびrは第一の側面において定義されている。
【0064】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、2個のRは、それらが結合している炭素原子と一体となってC=O、C=NOR、スピロカルボシクリル環またはスピロヘテロシクリル環を形成し;残りのRはH、−OHまたは−CHであり;X、W、R、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0065】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、各Rは独立してH、−OHまたは−CHであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがHまたは−OHである化合物である。
【0066】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−(CR)−または−Y−(CR)−Y−であり;各Yは独立してO、NRまたはS(O)であるが、ただし、少なくとも一つのYはNRであり;各Rは独立してH、0〜6個のR1aで置換されているC1−6アルキルまたは0〜6個のR1aで置換されているC3−7シクロアルキルであり;X、R、R1a、R、R、R、R、R、p、xおよびyは第一の側面において定義されている。
【0067】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−(CR)−または−Y−(CR)−Y−であり;各Yは独立してO、NRまたはS(O)であるが、ただし、少なくとも一つのYはNRであり;各Rは独立して−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、−S(O)、−S(O)NRまたは−S(O)ORであり;X、R、R、R、R、R、R、R、R、p、xおよびyは第一の側面において定義されている。
【0068】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−(CR)−Y−(CR)−または−Y−(CR)−Y−であり;各Yは独立してO、NRまたはS(O)であるが、ただし、少なくとも一つのYはNRであり;各Rは独立して−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環式ヘテロアリール)であり;X、R、R1a、R、R、R、R、R、R、R、R、p、r、xおよびyは第一の側面において定義されている。
【0069】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)であり;X、W、R、R1a、R、R、R、R、Rおよびrは第一の面に定義される。この態様に含まれるのは、Rが−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているアリール)である化合物である。またこの態様に包含されるのは、各RがHまたは−OHである化合物である。
【0070】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているフェニル)であり;X、W、R、R1a、R、R、R、R、Rおよびrは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、Rが−(CH)(0〜3個のR1aで置換されているフェニル)である化合物である。またこの態様に包含されるのは、Rが0〜3個のR1aで置換されているフェニルである化合物である。
【0071】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜10員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)であり;X、W、R、R1a、R、R、R、R、Rおよびrは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、Rが−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環または二環式ヘテロアリール)である化合物である。またこの態様に包含されるのは、各RがHである化合物である。
【0072】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはHまたはC1−6アルキルであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがHまたはC1−3アルキルである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがHまたはC1−2アルキルである化合物である。
【0073】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはHまたはC1−6ハロアルキルであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがHまたはC1−3フルオロアルキルである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがHまたは−CFである化合物である。
【0074】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはHまたは−CHであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0075】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはHであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0076】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Rは−CHであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0077】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって5〜6員スピロ炭素環式環またはスピロヘテロ環式環を形成し、各々0〜6個のR5aで置換されており;X、W、Y、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(I−a)、式(I−b)、式(I−c)、式(I−d)、式(I−e)、式(I−f)、式(I−g)、式(I−h)、式(I−i)、式(I−j)および式(I−k)の構造を有する化合物である。
【0078】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、0〜6個のR5aで置換されている5〜6員スピロ炭素環式環を形成し;X、W、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(I−a)、式(I−b)、式(I−d)、式(I−f)および式(I−i)の構造を有する化合物である。
【0079】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、0〜6個のR5aで置換されている5〜6員スピロ炭素環式環を形成し、ここで、スピロ炭素環式環の隣接炭素原子に結合している2個のR5aは、それらが結合している炭素原子と一体となってベンゾ環を形成し、該ベンゾは0〜4個のRで置換されており;X、W、R、R、R、R5a、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(I−d)および式(I−i)の構造を有する化合物である。
【0080】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、0〜6個のR5aで置換されている5〜6員スピロヘテロ環式環を形成し;X、W、Y、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、スピロヘテロ環式環が酸素または窒素から選択されるヘテロ原子を含む、化合物である。またこの態様に包含されるのは、スピロヘテロ環式環が酸素ヘテロ原子を含む、化合物である。この態様に含まれるのは、式(I−c)、式(I−e)、式(I−g)、式(I−h)、式(I−j)および式(I−k)の構造を有する化合物である。
【0081】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、0〜6個のR5aで置換されている5〜6員スピロヘテロ環式環を形成し、ここで、スピロヘテロ環式環の隣接炭素原子に結合する2個のR5aは、それらが結合している炭素原子と一体となってベンゾ環を形成し、該ベンゾは0〜4個のRで置換されており;X、W、Y、R、R、R、R5a、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、スピロヘテロ環式環が酸素または窒素から選択されるヘテロ原子を含む、化合物である。またこの態様に包含されるのは、スピロヘテロ環式環が酸素ヘテロ原子を含む、化合物である。この態様に含まれるのは、式(I−e)、式(I−j)および式(I−k)の構造を有する化合物である。
【0082】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはH、ハロまたは−CNであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがH、F、Clまたは−CNである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがH、Fまたは−CNである化合物である。
【0083】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはH、C1−6ハロアルキルまたはC1−3アルコキシであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがH、C1−3ハロアルキルまたはC1−3アルコキシである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがC1−6ハロアルキルまたはC1−3アルコキシである化合物である。
【0084】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはH、C1−6フルオロアルキルまたはC1−3アルコキシであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがH、C1−3フルオロアルキルまたはC1−3アルコキシである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがC1−6フルオロアルキルまたはC1−3アルコキシである化合物である。
【0085】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RはH、F、Cl、−CN、C1−2フルオロアルキルまたはC1−3アルコキシであり;X、W、R、R、R、RおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、RがH、F、−CN、−CFまたは−OCHである化合物である。またこの態様に包含されるのは、RがH、Fまたは−CFである化合物である。
【0086】
ある態様は、式(I−a)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。
【0087】
ある態様は、式(I−b)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。
【0088】
ある態様は、式(I−c)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、Y、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。
【0089】
ある態様は、式(I−d)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、R、R、R、R5a、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0090】
ある態様は、式(I−e)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、Y、R、R、R、R5a、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0091】
ある態様は、式(I−f)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。
【0092】
ある態様は、式(I−g)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、Y、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。
【0093】
ある態様は、式(I−h)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、Y、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。
【0094】
ある態様は、式(I−i)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、R、R、R、R5a、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0095】
ある態様は、式(I−j)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、Y、R、R、R、R5a、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0096】
ある態様は、式(I−k)の化合物またはその塩を提供し、ここで、X、W、Y、R、R、R、R5a、RおよびRは第一の側面において定義されている。
【0097】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、0〜6個のR5aで置換されている5〜6員スピロ炭素環式環を形成し、ここで、スピロ炭素環式環またはスピロヘテロ環式環の同じ炭素原子に結合した2個のR5aは=Oを形成し;X、W、R、R、R、R5aおよびRは第一の側面において定義されている。この態様に含まれるのは、式(I−b)、式(I−c)、式(I−d)、式(I−e)、式(I−f)および式(I−g)の化合物である。
【0098】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは(i)−(CR)1−3−;または(ii)−(CR)−Y−(CR)−であり;xは0、1または2であり;yは0、1または2であるが、ただし、(x+y)は0、1または2であり;RはH、R1a、C1−3フルオロアルキル、0〜4個のR1aで置換されているC2−4アルケニル、0〜3個のR1aで置換されているC2−4アルキニル、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜14員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているフェニル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜7員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環式ヘテロアリール)であり;各R1aは独立してF、Cl、−CN、0〜4個のRで置換されているC1−3アルキル、0〜4個のRで置換されているC3−6シクロアルキル、0〜3個のRで置換されているC1−2アルコキシ、C1−2フルオロアルコキシ、0〜3個のRで置換されているヘテロシクロアルキル、0〜3個のRで置換されているフェニルまたは0〜3個のRで置換されている単環式ヘテロアリールであり;各Rは独立してF、Cl、Br、−CN、−OH、−NH、−CHFまたは−CFであり;RはH、F、Cl、Br、−CN、−CF、−OCF、0〜4個のR1aで置換されているC1−3アルキルまたは0〜4個のR1aで置換されているC3−6シクロアルキルであり;各Rは独立してH、F、Cl、−CN、−OH、−OCF、C1−3アルキル、C1−3フルオロアルキルまたはC2−3アルケニルであり;RはH、0〜4個のR1aで置換されているC1−3アルキルまたは0〜4個のR1aで置換されているC3−6シクロアルキルであり:Rは−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている3〜6員カルボシクリル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されているフェニル)、−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている5〜10員ヘテロシクリル)または−(CR)(0〜3個のR1aで置換されている単環式ヘテロアリール)であり;RはH、C1−3アルキルまたはC1−3フルオロアルキルであり;RはH、F、Cl、Br、−CN、C1−3フルオロアルキルまたはC1−3アルコキシであり;各rは独立して0、1または2であり;X、Y、Rおよびpは第一の側面において定義されている。
【0099】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、Wは−CR−であり;Rは、フェニル、ピラゾリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、各々−CH、−C(CH)OH、−OCH、モルホリニル、メチルピペラジニルおよびカルボキシメチルピペラジニルから選択される0〜1置換基で置換されており;RはHであり;各Rは独立してH、Fまたは−OHであり;RはF、−CH、−CF、−OCH、−OCHF、−OCFまたはシクロプロピルから独立して選択される0〜2置換基で置換されているフェニルであり;RはHであり;RはHであり;Xは第一の面に定義される。この態様に含まれるのは、Wが−CH−、−CHF−または−CH(OH)−である化合物である。
【0100】
ある態様は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、該化合物は2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(1);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(2);8−(2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(3);8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(4);8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(2−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(5);8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(2−モルホリノピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(6);2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−8−(2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(7);8−(2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(8);8−(2−シクロプロピルフェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(9);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(2−モルホリノピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(10);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(2−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ピリミジン−5−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(11);2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−8−(2−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(12);8−(5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(13);2−(4−(6−フルオロ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(14);2−(4−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(15);2−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(16);4−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)モルホリン(17);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−2−(6−メトキシピリジン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(18);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−6−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(19);2−(5−(8−(2,5−ジメチルフェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(20);2−(4−(8−(2−シクロプロピルフェニル)−6−フルオロ−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(21);2−(4−(6−フルオロ−8−(2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(22);2−(4−(6−フルオロ−8−(2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(23);2−(4−(6−フルオロ−8−(5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(24);2−(4−(8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(25);2−(4−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(26);2−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(27);4−(5−(8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)モルホリン(28);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(6−メトキシピリジン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(29);8−(2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(30);2−(4−(8−(2−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(31);2−(4−(8−(2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(32);2−(4−(8−(2−シクロプロピルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(33);2−(4−(8−(5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(34);2−(4−(5−(8−(2−メトキシフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)酢酸(35);(R)−2−(5−(8−(2,5−ジメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(36);(R)−2−(4−(8−(2,5−ジメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール(37);(R)−8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(38);(R)−8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(6−メトキシピリジン−3−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(39);または(R)−8−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(40)である。
【0101】
定義
本発明の特性および利点は、次の詳細な説明により、当業者にはより容易に理解され得る。明確性の理由のために、上におよび下に別々の態様の文脈で記載する、本発明のある複数特性を組み合わせて、一つの態様を形成してもよい。逆に、簡潔性のために、単一の態様の文脈で記載されている本発明の種々の特性を組み合わせて、その下位の組み合わせを形成してもよい。ここで例示的または好ましいとして特定する態様は、説明的であることを意図し、限定的ではない。
【0102】
ここで特に断らない限り、単数表現での言及は、複数も含み得る。例えば、“ある”は、1または1以上を意味し得る。
【0103】
ここで使用する用語“化合物”は、少なくとも一つの化合物を示す。例えば、式(I)の化合物は、一つの式(I)の化合物;および2以上の式(I)の化合物を含む。
【0104】
特に断らない限り、非充足原子価を有するあらゆるヘテロ原子は、原子価を充足させるのに十分な水素を有すると見なす。
【0105】
ここに示す定義が、引用により本明細書に包含させるあらゆる特許、特許出願および/または特許出願公開に示される定義よりも優先する。
【0106】
下に、本発明を記載するのに使用する種々の用語の定義を挙げる。これらの定義は、個別的に使用されているか、大きな基の一部として使用されているかにかかわりなく、それらが本明細書で使用されている限り、当該用語に適用される(特定の状況において、異なる定義がされていないなら)。
【0107】
本明細書をとおして、基およびその置換基は、安定な部分および化合物を提供するように当業者により選択され得る。
【0108】
当分野で使用される慣習に従い、ここでの構造式において、
【化2】
は、部分または置換基のコアまたは主鎖構造への結合点を示す使用する。
【0109】
ここで使用する用語“ハロ”および“ハロゲン”は、F、Cl、BrおよびIを指す。
用語“シアノ”は基−CNを指す。
用語“アミノ”は基−NHを指す。
用語“オキソ”は基=Oを指す。
【0110】
ここで使用する用語“アルキル”は、例えば、1〜12炭素原子、1〜6炭素原子および1〜4炭素原子を含む、分枝鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびi−プロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチル)およびペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、3−メチルペンチルおよび4−メチルペンチルを含むが、これらに限定されない。記号“C”の後に下付の数字が存在するとき、下付文字は、特定の基が含み得る炭素原子をより具体的に定義する。例えば、“C1−6アルキル”は、1〜6炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基を意味する。
【0111】
ここで使用する用語“ハロアルキル”は、1以上のハロゲン原子で置換されている分枝鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。例えば、“C1−4ハロアルキル”は、1以上のハロゲン原子で置換されているC、C、CおよびCアルキル基を含むことを意図する。ハロアルキル基の代表例は、−CF、−CCl、−CFClおよび−CHCFを含むが、これらに限定されない。
【0112】
ここで使用する用語“フルオロアルキル”は、1以上のフッ素原子で置換されている分枝鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両者を含むことを意図する。例えば、“C1−4フルオロアルキル”は、1以上のフッ素原子で置換されているC、C、CおよびCアルキル基を含むことを意図する。フルオロアルキル基の代表例は、−CFおよび−CHCFを含むが、これらに限定されない。
【0113】
ここで使用する用語“シアノアルキル”は、1以上のシアノ基で置換されている分枝鎖および直鎖飽和アルキル基を含む。例えば、“シアノアルキル”は、−CHCN、−CHCHCNおよびC1−4シアノアルキルを含む。
【0114】
用語“ヒドロキシアルキル”は、1以上のヒドロキシル基で置換されている分枝鎖および直鎖飽和アルキル基を含む。例えば、“ヒドロキシアルキル”は、−CHOH、−CHCHOHおよびC1−4ヒドロキシアルキルを含む。
【0115】
用語“アルケニル”は、2〜12炭素原子および少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。このような基の例はエテニルまたはアリルを含む。例えば、“C2−6アルケニル”は、2〜6炭素原子を有する、直鎖および分枝鎖アルケニル基を意味する。
【0116】
用語“アルキニル”は、2〜12炭素原子および少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。このような基の例はエチニルを含む。例えば、“C2−6アルキニル”は、2〜6炭素原子を有する、直鎖および分枝鎖アルキニル基を意味する。
【0117】
ここで使用する用語“シクロアルキル”は、飽和環炭素原子からの1水素原子の除去により、非芳香族単環式または多環式炭化水素分子に由来する基を指す。シクロアルキル基の代表例は、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含むが、これらに限定されない。記号“C”の後に下付の数字が存在するとき、下付文字は、特定のシクロアルキル基が含み得る炭素原子の数をより具体的に定義する。例えば、“C3−6シクロアルキル”は、3〜6炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0118】
ここで使用する用語“シクロアルケニル”は、1つの二重結合を有する、非芳香族環状炭化水素環を指す。例えば、C5−6シクロアルケニルは、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを意味する。
【0119】
ここで使用する用語“シクロアルキニル”は、1つの三重結合を有する、非芳香族環状炭化水素環を指す。例えば、C5−6シクロアルキニルは、シクロペンチニルおよびシクロヘキシニルを意味する。
【0120】
ここで使用する用語“アルコキシ”は、酸素原子を介して親分子部分に結合したアルキル基、例えば、メトキシ基(−OCH)を指す。例えば、“C1−3アルコキシ”は、1〜3炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。
【0121】
用語“ハロアルコキシ”および“−O(ハロアルキル)”は、酸素結合(−O−)を介して結合した、上に定義するハロアルキル基を表す。例えば、“C1−4ハロアルコキシ”は、C、C、CおよびCハロアルコキシ基を含むことを意図する。
【0122】
用語“フルオロアルコキシ”および“−O(フルオロアルキル)”は、酸素結合(−O−)を介して結合した、上に定義するフルオロアルキル基を表す。例えば、“C1−4フルオロアルコキシ”は、C、C、CおよびCフルオロアルコキシ基を含むことを意図する。
【0123】
用語“カルボシクロ”、“炭素環式”または“カルボシクリル”は、相互交換可能に使用でき、全環の全原子が炭素である、少なくとも一つの飽和または部分的飽和の非芳香環を有する環状基をいう。カルボシクリル環は、置換されていなくても、原子価が許す限り、1以上の置換基を含んでもよい。それ故に、本用語は、例えば、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニル環のような非芳香環を含む。二環式カルボシクリル基の例は、インダニル、インデニル、ジヒドロナフタレニル、テトラヒドロナフテニル、ヘキサヒドロナフタレニル、オクタヒドロナフタレニル、デカヒドロナフタレニル、ビシクロヘプタニル、ビシクロオクタニルおよびビシクロノナニルを含む。
【0124】
ここで使用する用語“アリール”は、芳香環に結合した1水素の除去により、芳香環含有分子から導かれる、原子団の基をいう。2以上の環を有するアリール基は、芳香環のみを含まなければならない。アリール基の代表例は、フェニルおよびナフチルを含むが、これらに限定されない。アリール環は、置換されていなくても、原子価が許す限り、1以上の置換基を含んでもよい。
【0125】
ここで使用する用語“ベンジル”は、水素原子の一つがフェニル基で置き換わっているメチル基を指す。フェニル環は、置換されていなくても、原子価が許す限り、1以上の置換基を含んでもよい。
【0126】
用語“ヘテロ原子”は、酸素(O)、硫黄(S)および窒素(N)を指す。
【0127】
用語“ヘテロシクロ”、“ヘテロ環式”または“ヘテロシクリル”は、相互交換可能に使用でき、少なくとも飽和または部分的飽和の非芳香環を有する環状基を指し、ここで、環の1以上は少なくとも一つのヘテロ原子(O、SまたはN)を有し、該ヘテロ原子含有環は、好ましくは、O、Sおよび/またはNから独立して選択される1〜3ヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含むこのような基の環は、各環のヘテロ原子の総数が4以下であり、環が少なくとも1個の炭素原子を含む限り、1または2酸素または硫黄原子および/または1〜4窒素原子を含み得る。窒素および硫黄原子は所望により酸化されていてよく、窒素原子は所望により四級化されていてよい。ヘテロシクロ基は、任意の利用可能な窒素または炭素原子で結合し得る。ヘテロシクロ環は、置換されていなくても、原子価が許す限り、1以上の置換基を含んでもよい。
【0128】
単環式ヘテロシクリル基の例は、ピロリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、ジヒドロイソインドリルおよびテトラヒドロキノリニルを含む。
【0129】
用語“ヘテロアリール”は、少なくとも環の一つに少なくとも一つのヘテロ原子(O、SまたはN)を有する、置換および非置換芳香族5員または6員単環式基および9員または10員二環式基を指し、該ヘテロ原子含有環は、好ましくはO、Sおよび/またはNから独立して選択される1、2または3ヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含むヘテロアリール基の各環は、各環のヘテロ原子の総数が4以下であり、各環が少なくとも一つの炭素原子を有する限り、1または2酸素または硫黄原子および/または1〜4窒素原子を含み得る。二環式基を構成する縮合環は芳香族であり、炭素原子のみを含んでよい。窒素および硫黄原子は所望により酸化されていてよく、窒素原子は所望により四級化されていてよい。二環式ヘテロアリール基は、芳香環のみを含まなければならない。ヘテロアリール基は、任意の環の任意の利用可能な窒素または炭素原子で結合し得る。ヘテロアリール環系は、置換されていなくても、1以上の置換基を含んでもよい。
【0130】
単環式ヘテロアリール基の例は、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チオフェニル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルを含む。
【0131】
二環式ヘテロアリール基の例は、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリルおよびピロロピリジルを含む。
【0132】
用語“スピロカルボシクロ”、“スピロ炭素環式”または“スピロカルボシクリル”は、分子部分と共有するカルボシクリル環における炭素原子により、当該分子部分に結合したカルボシクリル環を指す。
【0133】
用語“スピロヘテロシクロ”、“スピロヘテロ環式”または“スピロヘテロシクリル”は、分子部分と共有するヘテロシクリル環における炭素原子により、当該分子部分に結合したヘテロシクリル環を指す。
【0134】
用語“薬学的に許容される”は、ここでは、合理的な利益/リスク比に見合った、堅実な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答または他の問題もしくは合併症なくヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適する化合物、材料、組成物および/または投与形態を指すために用いる。
【0135】
式(I)の化合物は、非晶質固体または結晶固体として提供できる。凍結乾燥を使用して、式(I)の化合物を非晶質固体として提供できる。
【0136】
式(I)の化合物の溶媒和物(例えば、水和物)も、本発明の範囲内であることはさらに理解されるべきである。用語“溶媒和物”は、式(I)の化合物と、有機であれ、無機であれ、1以上の溶媒分子との物理的結合を意味する。この物理的結合は、水素結合を含む。ある場合、例えば、1以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に取り込まれているとき、溶媒和物は単離が可能である。“溶媒和物”は、溶液相および分離可能な溶媒和物を包含する。溶媒和物の例は、水和物、エタノラート、メタノラート、イソプロパノラート、アセトニトリル溶媒和物および酢酸エチル溶媒和物を含む。溶媒和の方法は当分野で知られる。
【0137】
プロドラッグの種々の形態が当分野で周知であり、
a) Wermuth, C.G. et al., The Practice of Medicinal Chemistry, Chapter 31, Academic Press (1996);
b) Bundgaard, H. ed., Design of Prodrugs, Elsevier (1985);
c) Bundgaard, H., Chapter 5: “Design and Application of Prodrugs”, A Textbook of Drug Design and Development, pp. 113-191, Krogsgaard-Larsen, P. et al., eds., Harwood Academic Publishers (1991);および
d) Testa, B. et al., Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism, Wiley-VCH (2003)
に記載されている。
【0138】
さらに、式(I)の化合物は、製造に続いて、単離および精製して、重量で99%以上の量の式(I)の化合物(“実質的に純粋”)を含む組成物を得ることができ、これを、その後ここに記載するように使用または製剤できる。このような“実質的に純粋”な式(I)の化合物も、ここで本発明の一部として意図される。
【0139】
“安定な化合物”および“安定な構造”は、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離操作で壊れず、有効な治療剤に製剤するのに十分強固である化合物を示すことを意図する。本発明は、安定な化合物の具現化を意図する。
【0140】
“治療有効量”は、TNFα阻害剤として作用するのに有用なまたは多発性硬化症およびリウマチ性関節炎のような自己免疫性および/または炎症性疾患状態の処置もしくは予防に有効な、本発明の化合物単独の量または複数の本発明化合物の組み合わせの量または本発明の化合物と他の活性成分の組み合わせの量を含むことを意図する。
【0141】
ここで使用する“処置”または“処置する”は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患状態の処置を包含し、(a)哺乳動物において疾患状態が生じるのを、特に、このような哺乳動物が該疾患状態の素因があるが、まだ有していると診断されていないとき、予防する;(b)疾患状態を阻止する、すなわち、その進展を停止させる;および/または(c)疾患状態を軽減する、すなわち、疾患状態の回復をもたらすことを含む。
【0142】
本発明の化合物は、本化合物に存在する原子の全ての同位体を含むことを意図する。同位体は、同じ原子数を有するが、質量数が異なる原子を含む。一般的例として、限定はしないが、水素の同位体は重水素(D)およびトリチウム(T)を含む。炭素の同位体は13Cおよび14Cを含む。同位体標識した本発明の化合物は、一般に、当業者に知られる慣用の技術によりまたはここに記載のものに準ずる方法により、他の場合に用いた非標識反応材の代わりに、適切な同位体標識した反応材を使用して、製造できる。例えば、メチル(−CH)はまた、−CDのような重水素化メチル基も含む。
【0143】
式(I)の化合物を、送達すべき式(I)の化合物の部位特異的処置または量の必要性に依存し得る、処置すべき状態に適するあらゆる手段で投与できる。
【0144】
本発明にまた包含されるのは、式(I)の化合物および1以上の非毒性の薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/またはアジュバント(ここでは集合的に“担体”物質と称する)および、所望により、他の活性成分を含む、医薬組成物群である。式(I)の化合物は、任意の適当な経路で、好ましくは、そのような経路に適合させた医薬組成物の形でおよび意図する処置に有効な用量で投与され得る。本発明の化合物および組成物は、例えば、経口的に、粘膜にまたは血管内、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内および胸骨内を含む非経腸的に、慣用の薬学的に許容される担体、アジュバントおよび媒体を含む投与量単位製剤で、投与され得る。例えば、医薬担体は、マンニトールまたはラクトースおよび微結晶セルロースの混合物を含み得る。混合物は、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびクロスポビドンのような崩壊剤のような付加的成分を含み得る。担体混合物を、ゼラチンカプセルに充填しても、錠剤として圧縮してもよい。医薬組成物は、例えば、経口投与量形態または点滴として投与され得る。
【0145】
経口投与について、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、液体カプセル剤、懸濁液剤または液剤の形であり得る。医薬組成物は、好ましくは活性成分を特定量含む、投与量単位の形に製造する。例えば、医薬組成物は、約0.1〜1000mg、好ましくは約0.25〜250mgおよびより好ましくは約0.5〜100mgの範囲の量の活性成分を含む、錠剤またはカプセル剤として提供し得る。ヒトまたは他の哺乳動物のための適当な一日用量は、患者の状態および他の因子により広範に変わり得るが、日常的な方法を使用して決定できる。
【0146】
ここで企図されるあらゆる医薬組成物は、例えば、あらゆる許容されるおよび適当な経口製剤により、経口的に送達され得る。経口製剤の例は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性および油性懸濁液剤、分散性散剤または顆粒剤、エマルジョン剤、硬および軟カプセル剤、液体カプセル剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含むが、これらに限定されない。経口投与のために企図される医薬組成物は、経口投与のために企図される医薬組成物の製造について当分野で知られるあらゆる方法により製造できる。摂取し易い製剤を提供するために、本発明の医薬組成物は、甘味剤、風味剤、着色剤、粘滑剤、抗酸化剤および防腐剤から選択される少なくとも一つの薬剤を含み得る。
【0147】
錠剤は、例えば、少なくとも一つの式(I)の化合物と、錠剤の製造に適する少なくとも一つの非毒性の薬学的に許容される添加物の混合により製造できる。添加物の例は、例えば、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムおよびリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;例えば、微結晶セルロース、ナトリウムクロスカルメロース、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸のような造粒および崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドンおよびアカシアのような結合剤;および例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクのような滑沢剤を含むが、これらに限定されない。さらに、錠剤は、非被覆であるかまたは不快な味の薬物の悪い味をマスクし、もしくは消化管における活性成分の溶出および吸収を遅延させ、それにより活性成分の効果を長時間持続するための既知技術により被覆され得る。水可溶性味マスキング物質の例は、ヒドロキシプロピル−メチルセルロースおよびヒドロキシプロピル−セルロースを含むが、これらに限定されない。時間遅延物質の例は、エチルセルロースおよび酢酸酪酸セルロースを含むが、これらに限定されない。
【0148】
硬ゼラチンカプセル剤は、例えば、少なくとも一つの式(I)の化合物と、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびカオリンのような少なくとも一つの不活性固形希釈剤の混合により製造できる。
【0149】
軟ゼラチンカプセル剤は、例えば、少なくとも一つの式(I)の化合物と、例えば、ポリエチレングリコールのような少なくとも一つの水可溶性担体;および例えば、ピーナツ油、液体パラフィンおよびオリーブ油のような少なくとも一つの油性媒体の混合により、製造できる。
【0150】
水性懸濁液は、例えば、少なくとも一つの式(I)の化合物と、水性懸濁液の製造に適する少なくとも一つの添加物の混合により製造できる。水性懸濁液の製造に適する添加物の例は、例えば、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムのような懸濁化剤;例えば、天然に存在するフォスファチド、例えば、レシチンのような分散剤または湿潤剤;例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレンのような、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合産物;例えば、ヘプタデカエチレン−オキシセタノールのような、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合産物;例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのような、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール由来部分エステルの縮合産物;および例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートのような、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物由来部分エステルの縮合産物を含むが、これらに限定されない。水性懸濁液はまた例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルおよびp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルのような少なくとも一つの防腐剤;少なくとも一つの着色剤;少なくとも一つの風味剤;および/または例えば、スクロース、サッカリンおよびアスパルテームを含むが、これらに限定されない少なくとも一つの甘味剤も含み得る。
【0151】
油性懸濁液は、例えば、少なくとも一つの式(I)の化合物を、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油およびココナッツ油のような植物油または例えば、液体パラフィンのような鉱油に懸濁させることにより、製造できる。油性懸濁液はまた、例えば、蜜蝋、硬パラフィンおよびセチルアルコールのような少なくとも一つの濃化剤も含み得る。のみやすい油性懸濁液を提供するために、上記の甘味剤の少なくとも一つおよび/または少なくとも一つの風味剤を油性懸濁液に添加できる。油性懸濁液は、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびアルファ−トコフェロールのような、例えば、抗酸化剤を含むが、これらに限定されない少なくとも一つの防腐剤をさらに含み得る。
【0152】
分散性散剤および顆粒剤は、例えば、少なくとも一つの式(I)の化合物と、少なくとも一つの分散および/または湿潤剤;少なくとも一つの懸濁化剤;および/または少なくとも一つの防腐剤の混合により、製造できる。適当な分散剤、湿潤剤および懸濁化剤は、既に上に記載している。防腐剤の例は、例えば、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸を含むが、これに限定されない。さらに、分散性散剤および顆粒剤はまた例えば、甘味剤、風味剤および着色剤を含むが、これらに限定されない少なくとも一つの添加物も含み得る。
【0153】
少なくとも一つの式(I)の化合物のエマルジョンは、例えば、水中油型エマルジョンとして製造できる。式(I)の化合物を含むエマルジョンの油相は、既知方法における既知成分から構成され得る。油相は、例えば、限定されないが、例えば、オリーブ油および落花生油のような植物油、例えば、液体パラフィンのような鉱油およびこれらの混合物により、提供され得る。該相は単に乳化剤を含んでもよいが、少なくとも一つの乳化剤と、脂肪もしくは油とのまたは脂肪と油両者との混合物を含み得る。適当な乳化剤は、例えば、天然に存在するフォスファチド、例えば、大豆レシチン;例えば、ソルビタンモノオレエートのような、脂肪酸およびヘキシトール無水物由来のエステルまたは部分エステル;および例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物を含むが、これらに限定されない。好ましくは、親水性乳化剤は、安定化剤として働く親油性乳化剤と共に含まれる。油と脂肪の両者を含むのも好ましい。まとめて、安定化剤を伴うまたは伴わないで、乳化剤はいわゆる乳化蝋を構築し、該蝋が油および脂肪と共に、いわゆる乳化軟膏基剤を構築し、これは、クリーム製剤の油性分散相を形成する。エマルジョンはまた甘味剤、風味剤、防腐剤および/または抗酸化剤も含み得る。本発明の製剤で使用するのに適する乳化剤およびエマルジョン安定化剤は、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ジステアリン酸グリセリル単独または蝋もしくは当分野で周知の他の物質との併用を含む。
【0154】
式(I)の化合物は、薬学的に許容されかつ適当な注射可能形態により、例えば、また静脈内、皮下および/または筋肉内にも送達され得る。注射可能形態の例は、例えば、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液のような、許容される媒体および溶媒を含む無菌水溶液;無菌水中油型マイクロエマルジョン;および水性または油性懸濁液を含むが、これらに限定されない。
【0155】
非経腸投与製剤は、水性または非水性等張無菌注射溶液または懸濁液の形であり得る。これらの溶液および懸濁液は、経口投与用製剤における使用について記載した担体または希釈剤の1以上を使用してまたは他の適当な分散もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、無菌粉末または顆粒から製造され得る。化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、ピーナツ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントガムおよび/または種々の緩衝液に溶解され得る。他のアジュバントおよび投与方式は、医薬分野で、十分かつ広範に知られる。活性成分はまた、食塩水、デキストロースもしくは水を含む適当な担体またはシクロデキストリン(すなわち、CAPTISOL(登録商標))、共溶媒可溶化剤(すなわち、プロピレングリコール)またはミセル可溶化(すなわち、Tween 80)との組成物として注射によりまた投与され得る。
【0156】
無菌注射可能製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒における無菌注射可能溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としてであり得る。とりわけ、許容され、使用できる媒体および溶媒は、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の固定油は、通常、溶媒または懸濁媒体として用いられる。この目的で、合成モノまたはジグリセライドを含む、あらゆる無刺激固定油を用い得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能剤の製剤に有用である。
【0157】
無菌注射可能水中油型マイクロエマルジョンは、例えば、1)少なくとも一つの式(I)の化合物を、例えば、ダイズ油およびレシチンの混合物のような油相に溶解し;2)式(I)含有油相と、水およびグリセロール混合物を合わせ;そして3)この組み合わせを加工して、マイクロエマルジョンを形成することにより、製造できる。
【0158】
無菌水性または油性懸濁液を、当分野で既に知られる方法により製造できる。例えば、無菌水溶液または懸濁液を、例えば、1,3−ブタンジオールのような非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒で製造でき、そして無菌油性懸濁液を、例えば、無菌固定油、例えば、合成モノまたはジグリセライドのような無菌非毒性の許容される溶媒または懸濁媒体および例えば、オレイン酸のような脂肪酸で製造できる。
【0159】
本発明の医薬組成物において使用し得る薬学的に許容される担体、アジュバントおよび媒体は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、d−アルファ−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネートのような自己乳化薬物送達システム(SEDDS)、Tweens、CREMOPHOR(登録商標)界面活性剤(BASF)のようなポリエトキシル化ヒマシ油または他の類似する重合性送達マトリクスのような医薬投与形態で使用される界面活性剤、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセライド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよびラノリンを含むが、これらに限定されない。アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンまたは2−および3−ヒドロキシプロピル−シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンまたは他の可溶化誘導体のような、シクロデキストリンの化学修飾誘導体もまた、ここに記載する式の化合物の送達増強に有利に用いられ得る。
【0160】
医薬組成物を、式(I)の化合物を含む1以上の単位投与形態を含み得る、パックまたは分配デバイスで提供できる。パックは、ブリスターパックのような、例えば、金属またはプラスチックホイルを含み得る。パックまたは分配デバイスは、投与のための指示書を伴い得る。
【0161】
本発明の薬学的に活性化合物は、ヒトおよび他の哺乳動物を含む患者に投与するための薬剤を製造する製剤の慣用法により製造できる。医薬組成物は、滅菌のような慣用の医薬操作に付してよく、また防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液などの慣用の補助剤を含んでよい。錠剤および丸剤は、さらに腸溶性コーティングを施し得る。このような組成物は、湿潤剤、甘味剤、風味剤および芳香剤のようなアジュバントも含み得る。
【0162】
本発明の化合物および/または組成物を用いて疾患状態を処置するための投与すべき化合物の量および投与方式は、対象の年齢、体重、性別、医学的状態、疾患のタイプ、疾患の重症度、投与の経路および頻度ならびに用いる特定の化合物を含む、種々の因子に依存する。それ故に、投与方式は広範に変わり得るが、標準法を使用して、常套的に決定され得る。約0.001〜100mg/kg体重、好ましくは約0.0025〜約50mg/kg体重、最も好ましくは約0.005〜10mg/kg体重の1日用量が適当であり得る。1日用量を、1日1〜4回で投与できる。他の投薬スケジュールは、週1回投与や2日に1回投与サイクルを含む。
【0163】
治療目的で、本発明の活性化合物を、通常意図する投与経路に適する1以上のアジュバントと組み合わせる。経口で投与するならば、化合物を、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混合し、次いで、投与に便利なように打錠するかカプセル封入し得る。このようなカプセル剤または錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物を分散させて提供され得るような制御放出製剤を含み得る。
【0164】
本発明の医薬組成物は、少なくとも一つの式(I)の化合物および所望によりあらゆる薬学的に許容される担体、アジュバントおよび媒体から選択される添加剤を含む。本発明の他の組成物は、ここに記載する式(I)の化合物またはそのプロドラッグおよび薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体を含む。
【0165】
医薬組成物は他の治療剤を含んでよく、例えば、慣用の固体または液体媒体または希釈剤ならびに所望の投与方式に適切な医薬添加剤(例えば、添加物、結合剤、防腐剤、安定化剤、風味剤など)を用いて、医薬製剤の分野で周知のもののような技術により製剤し得る。
【0166】
有用性
本発明の化合物はTNFαの活性を調節する。したがって、式(I)の化合物は、TNFαの調節と関係する状態の処置における有用性がある。
【0167】
本発明の化合物は、種々のヒトの病気の処置および/または予防に有益である。本発明の化合物は、単独の治療としても、治療的に大きな利益を提供する他の治療剤と組み合わせても有益であり得る。本発明における化合物が有益である病気は、自己免疫性および炎症性障害;神経および神経変性障害;疼痛および侵害受容性障害;心血管障害;代謝障害;眼障害;ならびに腫瘍障害を含む。
【0168】
炎症性および自己免疫性障害は、全身性自己免疫性障害、自己免疫性内分泌障害および臓器特異的自己免疫性障害を含む。全身性自己免疫性障害は、全身性エリテマトーデス、乾癬、乾癬性関節症、脈管炎、多発性筋炎、強皮症、多発性硬化症、全身性硬化症、強直性脊椎炎、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、非特異的炎症性関節炎、若年性炎症性関節炎、若年性特発性関節炎(その少数関節および多関節形態を含む)、慢性疾患の貧血、スチル病(若年性および/または成人発症)、ベーチェット病およびシェーグレン症候群を含む。自己免疫性内分泌障害は甲状腺炎を含む。臓器特異的自己免疫性障害は、アジソン病、溶血性または悪性貧血、急性腎臓傷害、糖尿病性腎症、閉塞性尿路障害(シスプラチン誘発閉塞性尿路障害を含む)、糸球体腎炎(グッドパスチャー症候群、免疫複合体介在糸球体腎炎および抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連糸球体腎炎を含む)、ループス腎炎、微小変化型疾患、グレーブス病、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、分類不能腸炎および嚢炎を含む)、天疱瘡、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性間質性肺炎、自己免疫性心炎、重症筋無力症、自然発症不妊症、骨粗鬆症、骨減少症、侵食性骨疾患、軟骨炎、軟骨変性および/または破壊、線維化障害(多様な形態の肝臓および肺線維症を含む)、喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、呼吸器窮迫症候群、敗血症、発熱、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィーを含む)および臓器移植片拒絶(腎臓同種移植片拒絶反応を含む)を含む。
【0169】
神経および神経変性障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、虚血、卒中、筋萎縮性側索硬化症、脊髄傷害、頭部外傷、発作およびてんかんを含む。
心血管障害は、血栓症、心肥大、高血圧、心臓の不規則収縮(例えば、心不全における)および心筋梗塞を含む。
代謝障害は、糖尿病(インスリン依存性糖尿病および若年性糖尿病を含む)、異脂肪血症およびメタボリック症候群を含む。
【0170】
眼障害は、網膜症(糖尿病性網膜症、増殖性網膜症、非増殖性網膜症および未熟児網膜症を含む)、黄斑浮腫(糖尿病性黄斑浮腫を含む)、加齢黄斑変性症、血管新生(角膜血管新生および新血管新生を含む)、網膜静脈閉塞症および種々の形態のブドウ膜炎および角膜炎を含む。
【0171】
急性または慢性の腫瘍障害は、増殖性障害、特に癌および癌関連合併症(骨格合併症、カヘキシーおよび貧血を含む)を含む。癌の特定のカテゴリーは、造血器腫瘍(白血病およびリンパ腫を含む)および非造血器腫瘍(固形腫瘍癌、肉腫、髄膜腫、神経膠芽腫多形、神経芽腫、黒色腫、胃癌および腎細胞癌)を含む。慢性白血病は骨髄性またはリンパ性であり得る。
【0172】
ある態様は、処置を必要とする哺乳動物患者に、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、自己免疫性および炎症性障害;神経および神経変性障害;疼痛および侵害受容性障害;心血管障害;代謝障害;眼障害;ならびに腫瘍学的障害から選択される障害を処置する方法を提供する。好ましくは、患者はヒトである。例えば、障害の処置のための治療有効量を、本態様の方法において投与し得る。
【0173】
ある態様は、処置を必要とする哺乳動物患者に、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、TNFαの活性と関連する疾患または障害を処置する方法を提供する。好ましくは、患者はヒトである。例えば、障害の処置のための治療有効量を、本態様の方法で投与し得る。
【0174】
ある態様は、治療に使用するための式(I)の化合物を提供する。本態様において、治療における使用は、式(I)の化合物の治療有効量の投与を含み得る。
【0175】
本発明はまた、アレルギー性障害および/または自己免疫性および/または炎症性疾患の処置または予防用医薬の製造における、式(I)の化合物の使用も提供する。本態様において、医薬の製造のための使用は、アレルギー性障害および/または自己免疫性および/または炎症性疾患の処置または予防のための式(I)の化合物の治療有効量の投与を含み得る。
【0176】
本発明はまた、癌の処置用医薬の製造のための、式(I)の化合物の使用も提供する。本態様において、医薬の製造のための使用は、癌の処置のための式(I)の化合物の治療有効量の投与を含み得る。
【0177】
本発明は、新規薬剤の探索または新規生物学的アッセイの開発における、薬理学的ツールとしての式(I)の化合物の使用を提供する。ある態様において、式(I)の化合物は、放射性リガンドとして有用でありまたはフルオロフォアと連結して、薬理学的活性化合物の同定のためのアッセイに利用できる。
【0178】
ある態様において、式(I)の化合物は、TNF誘発HEK−Blueアッセイで測定して、TNFα機能活性を10μM未満、例えば、0.001〜10μM未満のIC50値で阻害する。好ましくは、式(I)の化合物は、TNFα機能活性を1μM未満、例えば、0.001〜1μM未満のIC50値で阻害する。他の好ましい化合物は、TNFα機能活性を100nM以下、例えば、1〜100nMのIC50値で阻害する。
【0179】
下記“実施例”の部分に特定する式(I)の化合物の例は、下記アッセイの1以上で試験している。
【0180】
製造法
本発明の化合物は、有機化学の当業者に利用可能な多くの方法により合成できる。本発明の化合物を製造するための一般的合成スキームを下に記載する。これらのスキームは説明的であり、当業者がここに開示する化合物の製造に使用し得る可能性のある技術を限定する意図はない。本発明の化合物を製造するための異なる方法が、当業者には明らかである。さらに、所望の化合物または化合物群を得るために、合成における種々の工程を別の順番で実施してよい。一般的スキームに記載した方法により製造した本発明の化合物の例を、以下の製造および例示部分において示す。ホモキラル例の製造は、当業者に知られる技術により実施し得る。例えば、ホモキラル化合物は、キラル相分取HPLCによる、ラセミ生成物の分離により製造し得る。あるいは、例示化合物を、エナンチオマー的に富化させた生成物をもたらすことが知られる方法により製造し得る。
【0181】
この部分に記載する反応および技術は、使用する反応材および物質に適し、実施する変換に適当な溶媒中で行う。また、下に記載する合成法の記載において、溶媒、反応雰囲気、反応温度、反応時間および後処理法の選択を含む、全ての提案される反応条件は、当業者には容易に認識されるべき、その反応のための標準の条件として選択されることは理解される。分子の種々の位置に存在する官能基は、提案される反応材よび反応と適合性でなければならないことは、有機合成の当業者が理解している。反応条件と適合性であるべき置換基に対するこのような制限は、当業者には容易に明らかであり、必要ならば代替法を使用すべきである。これは、所望の本発明の化合物を得るための合成工程の順番の修飾または、他よりもある特定の工程スキームを選択するとの判断を必要とすることがある。この分野で何らかの合成経路の計画における他の主要な考慮は、本発明において記載する化合物に存在する反応性官能基の保護に使用する保護基の適切な選択であることも認識される。熟練した実施者へ多くの代替技術を示す権威ある解説書は、Greene et al.(Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, Wiley and Sons (1999))である。
【0182】
スキーム1は、化合物7の一般的合成を説明する。適切に官能化されたピリジン−1,2−ジアミン1を、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中、BOPのようなカップリング剤を使用して官能化ケト酸2と反応させて、アミド中間体3を得る。3からベンゾイミダゾール4への環化は、HClのような酸を用いて達成できる。化合物4を、NaBHのような還元剤を用いて、アルコール5に変換する。アルコール5を、THFのような溶媒中、トリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボキシレートで処理して、所望の三環式化合物6を得る。RがBrまたはClであるとき、化合物6は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、O−置換またはN−置換アナログ7に、文献で十分に確立された合成プロトコールを用いて、変換する − 例えば、アリール基およびヘテロアリール基導入のための鈴木−宮浦クロスカップリング反応(Chem. Soc. Rev., 42:5270 (2013));アルキル基を、Greg Fu修飾鈴木−宮浦クロスカップリング法を使用して導入(J. Am. Chem. Soc., 124:13662 (2002)およびJ. Am. Chem. Soc., 126:1340 (2004));O−およびN−置換アナログは、例えば、ブッフバルト・ハートウィグプロトコールを使用して導入(Aldrichimica Acta, 45:59 (2012)およびSynlett, 268 (2011))または求核性置換による付加。スキーム1における2のタイプの化合物は、例えば、(a)置換または非置換コハク酸無水物とアリールまたはヘテロアリール部分のフリーデル・クラフツ反応(R=アリールまたはヘテロアリール)または(b)置換または非置換コハク酸無水物へのグリニャール試薬(R−MgBr)またはR−Liとの反応を用いて、製造する。
【0183】
【化3】
【0184】
スキーム2は、15のタイプの化合物の合成のための位置選択的アプローチを説明する。適切に官能化されたアルデヒド類またはケトン類8を、エルマンプロトコールを用いてアミン類9に変換する(Chem. Rev., 110:3600 (2010)) − スルフィンアミドイミン形成、グリニャール反応および加水分解を含む。アミン9を、置換ジブロモニトロピリジンと反応させて、化合物10を得る。化合物10を、オゾン分解またはNMO/OsO/NaIO方法によりアルデヒド11に酸化する。アルデヒド11のSnClでの処理により、一工程で三環式化合物12を得る。あるいは、塩化ルテニウム(III)存在下の過ヨウ素酸ナトリウムによる化合物10における二重結合の酸化、続く粗製生成物の塩化スズ(II)還元およびインサイチュ環化により、三環式イミダゾール化合物12を得る。化合物12からボロン酸エステル12aへの変換、続く12aと臭化アリールのカップリングにより、アリールまたはヘテロアリール化合物15を得る。さらに、化合物12を、スキーム1に記載したプロトコールを用いてアルキル、O−置換またはN−置換アナログ14に変換する。
【0185】
【化4】
【0186】
スキーム3は、環置換三環式化合物の合成のためのアプローチを説明する。アルデヒドまたはケトン8を、アンモニア存在下アリルボロン酸エステルと反応させて、アミン16を得、これを適切に置換されたフルオロニトロベンゼンと反応させて、化合物17を得る。化合物17からアルデヒド18への変換は、四酸化オスミウム存在下でのNMOによる処理、続く過ヨウ素酸ナトリウム処理により行う。ヨウ化亜鉛存在下のアルデヒド18のトリメチルシリルシアニドでの処理により、シアノヒドリン生成物19を得、これを、ニトロ基の還元に付して、一工程でヒドロキシ三環式イミダゾール20を得る。アルコール20の官能基変換により、スキーム3に示すように、置換三環式アナログ(例えば、21〜29)を得る。
【0187】
【化5】
【0188】
スキーム4は、置換三環式化合物の合成の別アプローチを説明する。文献に広く記載されている方法を用いて、化合物23のカルボニル基の隣を官能化できる。例えば、化合物23のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのような強塩基およびアルキル化剤での処理により、Q、Q’がアルキル基であるタイプ28の化合物を得る。あるいは、α−ヒドロキシケトン類(Q=H、Q’=OH)を、ルボトム酸化を用いるか(Tetrahedron Lett., 15:4319 (1974))またはデーヴィスオキサジリジン試薬を用いて(Synlett, 23:2572 (2012))合成できる。α−アミノケトン類を、類似の方法で合成する(J. Am. Chem. Soc., 135:16074 (2013))。α−アリールまたはヘテロアリールケトン類(Q=H、Q’=アリールまたはヘテロアリール)を、ブッフバルトプロトコールを用いて合成する(J. Am. Chem. Soc., 119:11108 (1997))。化合物28のカルボニル基を、クレメンゼン還元またはウォルフ・キッシュナー還元を用いてまたはジチアン中間体を経て脱酸素して、タイプ29の化合物を得て、続いてラネイ−NiまたはPMHSおよびFeClを使用して処理するか(Synlett, 276 (2009))またはヒドロキシル基に還元し、続いて、例えば、バートン・マクコンビー反応(J. Chem. Soc. Perkin 1, 1574 (1975)および関連方法(Angew. Chem. Int. Ed., 51:2907-2911 (2012))を使用して、脱酸素化する。ケトン28の官能基変換は、スキーム4に示すような、置換三環式アナログ(例えば、30〜35)を提供する。
【0189】
【化6】
【0190】
スキーム5は、ラクタム部分を有する一連の三環式化合物合成のアプローチを説明する。アジ化水素酸および硫酸のような条件下の30のシュミット転位は、二つの可能な転位生成物36および37を与える。あるいは、30を、ヒドロキシルアミンを使用してオキシム38に変換し、これを、ベックマン転位条件に付して、同じ生成物36および37を得る。36および37の両者を、水素化ナトリウムのような塩基性条件下R−Brと反応させることにより、さらにアミド位置を誘導体化し、39および40を得る。
【0191】
【化7】
【0192】
スキーム6は、代替合成経路を説明し、これは、いくつかの例では、キラルアミノアリールアルカン酸またはエステル類41(市販されているかまたはキラルラクタム類42の加水分解により容易に製造可能(J. Org. Chem., 78:3647-3654 (2013))な適切な出発物質を使用して、キラル化合物を得る。41を2,6−ジブロモニトロピリジンと反応させて、43を得、これをラクタム44に環化し、これを、還元的環化により45に変換する。あるいは、ラクタム44を、ラクタム42と2,6−ジブロモニトロピリジンの銅介在カップリングにより製造する(J. Org. Chem., 3863-3867 (2007))。周知の鈴木−宮浦クロスカップリング法による45のさらなる官能化により、46を得る。
【0193】
【化8】
【0194】
略語
【表1】
【実施例】
【0195】
次の実施例は、本発明の特定かつ好ましい態様を説明し、本発明の範囲を限定するものではない。特に断らない限り、化学的略語および記号ならびに科学的略語および記号は、通常かつ習慣的な意味を有する。実施例および本明細書の他の箇所で使用するさらなる略語は、上に定義する。共通中間体は、一般に、1を超える実施例化合物の製造に有用であり、連続的に(例えば、中間体1、中間体2など)と特定し、Int. 1、Int. 2などと略す。実施例の化合物は、それらが製造された実施例および工程(例えば、“1−A”は、実施例1、工程Aを意味する)または化合物が表題化合物である実施例番号のみ(例えば、“1”は実施例1の表題化合物を意味する)により特定する。中間体または実施例化合物の他の製造を記載する場合がある。しばしば合成の分野の知識がある化学者は、別の製造を考案でき、これは、短い反応時間、安価な出発物質、操作の容易さ、触媒での処理可能性、有毒反応材の回避、特殊化された器具類の利用可能性および直線的工程数の低減のような1以上の考察に基づく望ましいものである。別法を記載する意図は、本発明の実施例化合物の製造をさらに可能とするためである。ある場合、概要を述べた実施例および特許請求の範囲におけるある官能基を、当分野で周知の生物学的等価性置換、例えば、カルボン酸基のテトラゾールまたはリン酸部分での置換により置き換える。
【0196】
HPLC条件
条件A:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。
条件B:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。
【0197】
実施例1
2−(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール
【化9】
【0198】
中間体1A:1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブト−3−エン−1−アミン
【化10】
水酸化アンモニウム水溶液(28〜30重量%)(15.5mL、399mmol)を、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(2.0g、11.49mmol)のエタノール(46mL)溶液に、室温でN下添加し、黄色となった(発熱無し)。撹拌を、55分、室温で続けた。反応フラスコを、0℃氷浴に浸した。次に、2−アリル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(2.32g、13.79mmol)をゆっくり添加し、最初の黄色が、濁り、薄くなった。氷浴を除き、混合物を室温に戻し、撹拌を16時間続けた。反応混合物は、反応が進むにつれて、淡黄色溶液から濁った白色溶液となった。
16時間後のLCMSは、反応がほぼ完了したことを示した。さらに水酸化アンモニウムを添加し(4.0当量、4.0mL)、撹拌を30分続けた。さらに2−アリル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランも添加し(0.39g、0.20当量)、撹拌を2.5時間続けた。反応混合物を真空下濃縮した。EtOAc(100mL)および水(50mL)を添加した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出し、合わせたEtOAc層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、3.38gの淡黄色油状物を得た。
粗製生成物をCHClに溶解し、3滴のNHOHを添加した。1分後、沈殿した白色固体を濾過により除去した。白色固体の大部分は濾液に出て、濾過により再び除去した。水酸化アンモニウムを濾液に添加し(3滴)、粗製生成物を、次いでシリカゲル(Teledyne-Isco REDISEP(登録商標)Rf 80gカラム)でフラッシュクロマトカラムに付し、ヘキサン中5〜100%EtOAcの27分勾配で溶出して、1.70gの明黄色油状物を得た(77%)。LCMS: m/z 216.1 (M+H), 431.1 (2M+H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.87 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.76-7.57 (m, 2H), 7.52-7.21 (m, 1H), 5.77 (ddt, J = 17.1, 10.2, 7.1 Hz, 1H), 5.17-4.86 (m, 2H), 4.32-4.05 (m, 1H), 3.92 (s, 1H), 2.42-2.13 (m, 2H)
【0199】
中間体1B:6−ブロモ−3−ニトロ−N−(1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブト−3−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン
【化11】
炭酸ナトリウム(1.75g、16.48mmol)を、撹拌中の中間体1A(1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブト−3−エン−1−アミン)(1.50g、6.97mmol)および2,6−ジブロモ−3−ニトロピリジン(1.8g、6.34mmol)のエタノール(63.4mL)溶液に、室温で、窒素を通気した密閉バイアル中、添加した。得られた混合物を、60℃で16時間撹拌した。さらに中間体1Aを添加し(0.20g、0.15当量)、60℃での加熱を3時間10分続けた。反応温度を75℃まで上げ、撹拌を20時間続け、その時点で反応は、LCMSで完了したと判断された(所望の生成物について、m/z 416.0および418.0、M+H)。エタノールを減圧した除去した。EtOAc(100mL)および水(50mL)を添加した。層を分離し、EtOAc層を50mLの水、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、2.85gの黄色粘性油状物を得て、これは固化し始めた。フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(Teledyne-Isco REDISEP(登録商標)Rf 80gカラム)で、最初に100%ヘキサンで5分保持を伴う、ヘキサン中0〜40%EtOAcで28分勾配で溶出して、2.04gの派手な黄色の固体を得た。LCMS、クロマトグラフした生成物:m/z 417.9.0 (M+H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.78 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.73 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.64 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.53-7.38 (m, 1H), 6.94 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.84 (ddt, J = 17.1, 10.1, 7.0 Hz, 1H), 5.57 (t, J = 10.1 Hz, 1H), 5.26 (dd, J = 17.1, 1.9 Hz, 1H), 5.20-5.06 (m, 1H), 2.86-2.72 (m, 1H), 2.64-2.54 (m, 1H)
【0200】
中間体1C:4−((6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)アミノ)−4−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン−1,2−ジオール
【化12】
NMO(50%水溶液)(2.0mL、9.69mmol)および四酸化オスミウム(t−BuOH中2.5重量%)(1.8mL、0.140mmol)を、撹拌中の中間体1B(6−ブロモ−3−ニトロ−N−(1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブト−3−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン)(2.02g、4.84mmol)のTHF(28mL)溶液に、0℃で、N下添加した。氷浴を除き、撹拌を5.5時間続けた。反応混合物は、徐々に黄色から橙色に変わった。この時点でのLCMSは、反応完了を示した(所望の生成物についてm/z 449.9 w/Br−パターン、M+H)。EtOAc(100mL)および水(50mL)を添加した。層を分離し、塩水添加後、水層を50mLのEtOAcで抽出し、合わせたEtOAc層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、2.05gの、橙色の、いくぶん粘性の固体を得た(94%)。LCMS: m/z 449.9. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.84 (d, J = 6.5 Hz, 0.50 H), 9.51 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 8.27 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 0.50 H), 7.79-7.66 (m, 2H), 7.62-7.54 (m, 1H), 7.51-7.35 (m, 1H), 6.88 (dd, J = 8.6, 1.1 Hz, 1H), 5.85-5.71 (m, 1H), 5.49-5.35 (m, 1H), 5.26 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 5.15 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 3.39-3.28 (m, 1H), 3.24-3.13 (m, 1H), 2.08-1.99 (m, 1H), 1.92-1.72 (m, 1H)
【0201】
中間体1D:3−((6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)アミノ)−3−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパナール
【化13】
過ヨウ素酸ナトリウム(3.90g、18.23mmol)を、撹拌中の中間体1C(4−((6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)アミノ)−4−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタン−1,2−ジオール)(2.05g、4.56mmol)のTHF(26.3mL)および水(25.5mL)中の溶液(部分溶解)に、室温でN下添加した。少量の過ヨウ素酸ナトリウム以外全てが溶解し、次いで黄色の沈殿が生じ、わずかに発熱した。懸濁液を2時間撹拌した。EtOAc(100mL)および水(50mL)を添加した。層を分離し、水層を25mLのEtOAcで抽出し、合わせたEtOAc層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、1.83gの橙色粘性油状物を得た。粗製生成物をTHF(26.3mL)に溶解した。水(25.5mL)、続いて1.0当量の過ヨウ素酸ナトリウム(0.975g)を添加した。撹拌を1.5時間続けた。50分後のLCMSでは、変化がないことが示された。上記後処理を繰り返した。収量:1.80gの粘性橙色油状物(94%)。LCMS: m/z 420.0 w/Br-パターン(M+H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.69 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.93 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 7.8Hz, 1H), 7.73 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.65 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 7.9, 6.2 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.06 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 3.55 (ddd, J = 18.2, 10.3, 1.5 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 18.1, 3.1 Hz, 1H)
【0202】
中間体1E:4−((6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)アミノ)−2−ヒドロキシ−4−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタンニトリル
【化14】
濁った中間体1D(3−((6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)アミノ)−3−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパナール)(1.79g、4.28mmol)、アセトンシアノヒドリン(2.0mL、21.40mmol)およびトリエチルアミン(7.76μl、0.056mmol)のジクロロメタン(9mL)溶液を、室温でN下、30分撹拌した。さらにトリエチルアミン(8μL、0.056mmol)を添加し、撹拌を45分続け、続いて2回目のトリエチルアミン(8μL、0.056mmol)を添加し、撹拌を16時間続けた。16時間後にLCMSを実施し、その時点で反応は不完全であると判断された。さらにトリエチルアミン(8μL、0.056mmol)を添加し、撹拌を2時間続け、その時点で反応は完了したと判断された(1.5時間後のLCMSは、所望の生成物についてm/z 445/447.0、M+Hを示した)。揮発物を減圧下除去し、EtOAc(100mL)および水(25mL)を添加した。層を分離し、水層をさらにEtOAc(20mL)で抽出した。合わせたEtOAC層を水、塩水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下濃縮して、1.8ggの暗色油状物を得た。粗製生成物を最少量のCHClに溶解し、ヘキサン中0〜60%EtOAcの27分勾配で溶出する、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(Teledyne-Isco REDISEP(登録商標)Rf 80gカラム)で精製した。収量:1.49gの黄色油状物/固体(78%)。LCMS: m/z 446.9 w/Br-パターン(M+H)。LCMSは、デュアルピークを示した((ジアステレオマー混合物)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.19 (d, J = 7.0 Hz, 0.5H), 9.07 (d, J = 7.1 Hz, 0.5H), 8.29 (d, J = 2.2 Hz, 0.5H), 8.27 (d, J = 2.2 Hz, 0.5H), 7.88 (d, J = 7.8 Hz, 0.5H), 7.79 (d, J = 7.9 Hz, 0.5H), 7.72 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.65 (td, J = 7.3, 3.1 Hz, 0.5H), 7.52-7.43 (m, 0.5H), 6.94 (dd, J = 8.5, 6.3 Hz, 0.5H), 6.75 (d, J = 5.7 Hz, 0.5H), 6.71 (d, J = 6.2 Hz, 0.5H), 5.89-5.79 (m, 1H), 4.77 (dt, J = 8.4, 5.8 Hz, 0.5H), 4.72-4.59 (m, 0.5H), 2.75-2.57 (m, 0.5H), 2.22-2.04 (m, 0.5H)
【0203】
中間体1F:4−((3−アミノ−6−ブロモピリジン−2−イル)アミノ)−2−ヒドロキシ−4−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタンニトリル
【化15】
塩化アンモニウム(1.62g、30.3mmol)の水(3.4mL)溶液を、激しく撹拌している中間体1E(4−((6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)アミノ)−2−ヒドロキシ−4−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタンニトリル)(1.35g、3.03mmol)のエタノール(13mL)およびTHF(6.72mL)溶液に、0℃で添加し、続いて亜鉛(薄片)(1.98g、30.3mmol)を添加した。0℃での撹拌を20分続けた。5分後のLCMSは、反応の完了を示した(所望の生成物についてm/z 415.0/417.0、M+H)。MgSO(1.5g)を添加し、0℃での撹拌をさらに1分続けた。反応混合物を次いでセライト(登録商標)で濾過し、その後数回エタノールで濯いだ。濾液を、減圧下濃縮乾固した。EtOAcおよび飽和水性NaHCOを添加した。層を分離し、EtOAc層を飽和NaHCO水溶液、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、1.12gの橙色油性泡状物を得た(89%)。LCMS: m/z 415.0/417.0 (M+H). UPLC:93.495〜95.291%純度生成物(2つの密集したピーク、ジアステレオマー). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.71-7.66 (m, 1H), 7.64-7.58 (m, 1H), 7.45-7.38 (m, 1H), 6.63 (d, J = 2.1 Hz, 0.5H), 6.62-6.60 (m, 0.5H), 6.57-6.51 (m, 1H), 6.46 (d, J = 5.3 Hz, 0.5H), 6.44 (d, J = 5.4 Hz, 0.5H), 6.41 (s, 2H), 5.52 (q, J = 8.4 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.89-4.60 (m, 1H), 2.36-1.97 (m, 2H)
【0204】
中間体1G:2−ブロモ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール
【化16】
中間体1F、4−((3−アミノ−6−ブロモピリジン−2−イル)アミノ)−2−ヒドロキシ−4−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)ブタンニトリル(1.11g、2.67mmol)のエタノール(27mL)および硫酸(0.4mL、6.68mmol)溶液を、120℃で、N下、1.5時間加熱した。さらに硫酸(0.4mL、6.68mmol)を添加し、120℃での加熱を4時間続け、次いで週末の間室温で撹拌し続けた。この時点で反応をLCMSで分析し、不完全であると判断された。さらに硫酸(0.2mL)を添加し、120℃での加熱を7.5時間続け、この時点で反応は完了したと判断された(4時間15分後のLCMSは所望の生成物についてm/z 399.9 w/Br−パターン、M+Hを示した)。エタノールを減圧した除去した。飽和NaHCO水溶液を添加し、続いて短く超音波処理した。沈殿を濾過により回収し、水で濯ぎ、減圧下乾燥させて、0.927gの淡褐色固体を得た(86%)。LCMS: m/z 397.9 w/Br-パターン(M+H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.09 (d, J = 5.9 Hz, 0.5H), 8.06 (d, J = 6.0 Hz, 0.5H), 7.90-7.81 (m, 1H), 7.66-7.52 (m, 2H), 7.46 (d, J = 4.2 Hz, 0.5H), 7.44 (d, J = 4.3 Hz, 0.5H), 7.07 (d, J = 7.5 Hz, 0.5H), 6.91 (d, J = 6.2 Hz, 0.5H), 6.21 (d, J = 5.6 Hz, 0.5H), 6.15 (d, J = 6.8 Hz, 0.5H), 6.06 (t, J = 6.4 Hz, 0.5H), 5.92-5.82 (m, 0.5H), 5.32 (td, J = 7.0, 4.2 Hz, 0.5H), 5.27-5.17 (m, 0.5H), 3.57-3.45 (m, 0.25H), 3.01-2.91 (m, 0.25H), 2.78 (dt, J = 13.2, 6.6 Hz, 0.25H), 2.30-2.17 (m, 0.25H)。
【0205】
実施例1
中間体1G、2−ブロモ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(30.0mg、75μmol)および(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)ボロン酸(16.3mg、90μmol)のジオキサン(753μl)懸濁液およびリン酸三カリウム(2.0M水溶液)(113μl、226μmol)をNで数分脱気した。なお脱気しながら、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(1.825mg、2.80μmol)を添加した。バイアルを密閉し、90℃で1時間加熱し、その時点で反応をLCMSにより分析し、不完全と判断された。さらにボロン酸(7.0mg、0.52当量)を室温で添加し、反応混合物を脱気し、さらに1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(1.8mg、2.80μmol)を添加した。バイアルを密閉し、撹拌しながら、90℃でさらに1時間加熱した。この時点で反応をLCMSで分析し、反応が完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 454.1、M+H)。反応混合物を室温に冷却し、揮発物を減圧下除去し、反応混合物を室温でメタノールで希釈し、0.45μナイロン膜を備えた13mmシリンジフィルターで濾過した。濾液を、次の条件を用いる分取LC/MSで精製した:カラム:XBridge C18、19×200mm、5μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;勾配:19分かけて20〜60%B、次いで100%Bに5分保持;流速:20mL/分。所望の生成物を含むフラクションを合わせ、遠心蒸発により乾燥させた。収量:4エナンチオマーの混合物として25mg。
【0206】
物質をキラル分離によりさらに精製した。約25mgサンプルを分割した。フラクション(“ピーク−1”、“ピーク−2”、“ピーク−3”および“ピーク−4”)をメタノール中に集めた。各フラクションの立体異性純度は、分取SFCクロマトグラムに基づき、99.0%より大きいと概算された。
分取クロマトグラフィー条件:装置:Waters SFC-100 MS。カラム:Lux Cellulose 4 25×3cm ID、5mm。流速:100mL/分。移動相:70/30 CO/メタノール。検出器波長:220nm。サンプル調製および注入体積:3.5mLのメタノール/アセトニトリルに溶解した25mgの1000mL溶液。
分析的クロマトグラフィー条件:装置:Aurora analytical SFC。カラム:Lux Cellulose 4 250×4.6mm ID、5mM。流速:2.0mL/分。移動相:70/30 CO/メタノール。
【0207】
個々のエナンチオマーの収率(絶対立体化学未決定):
実施例1、エナンチオマー1(最初に溶出したピーク) 3.9mg(9.93%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.60-7.55 (m, 1H), 7.55-7.49 (m, 1H), 7.45 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.97-5.86 (m, 1H), 5.29 (br. s., 1H), 3.59-3.47 (m, 1H), 2.36-2.23 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0208】
実施例1、エナンチオマー2(二番目に溶出したピーク) 2.9mg(7.05%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.60-7.55 (m, 1H), 7.55-7.49 (m, 1H), 7.45 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.97-5.86 (m, 1H), 5.29 (br. s., 1H), 3.59-3.47 (m, 1H), 2.36-2.23 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0209】
実施例1、エナンチオマー3(三番目に溶出したピーク) 3.5mg(10.24%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.11 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.89-7.83 (m, 1H), 7.79 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.61-7.49 (m, 3H), 7.45 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.02 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.09 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 5.35 (br. s., 1H), 3.01-2.95 (m, 1H), 2.88-2.80 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0210】
実施例1、エナンチオマー4(四番目に溶出したピーク) 2.6mg(7.38%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.11 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.89-7.83 (m, 1H), 7.79 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.61-7.49 (m, 3H), 7.45 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.02 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.09 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 5.35 (br. s., 1H), 3.01-2.95 (m, 1H), 2.88-2.80 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0211】
下記表1の実施例化合物は、実施例1に記載の一般法を使用し、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを、中間体1Aの製造において記載する適切な市販のアルデヒドに置き換え、(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)ボロン酸を、実施例1の化合物の製造の最終工程で記載するような適切なボロン酸またはボロン酸エステルに置き換えて製造した。ジアステレオマー混合物は‘DM’として示す。エナンチオマーを単離した場合、各々の分析データを、それぞれ‘e1’、‘e2’、‘e3’および‘e4’として示す。
【0212】
【表2】
【表3】
【0213】
実施例14
2−(4−(6−フルオロ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール
【化17】
【0214】
中間体14A:2−ブロモ−6−フルオロ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【化18】
三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)(0.060mL、0.452mmol)を2−ブロモ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(0.10g、0.251mmol)のアセトニトリル(2.51mL)懸濁液に、0℃で、N下滴加した。すぐに褐色−橙色溶液が形成された。0℃での撹拌を45分続けた。反応を25分後LCMSで分析し、反応が完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 399.9 w/Br−パターン、M+H)。なお0℃で、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液をゆっくり添加した。層を分離し、EtOAc層を飽和NaHCO水溶液で2回、そして塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、0.11gの橙色固体を得た。LCMS: m/z 401.9 w/Br-パターン(M+H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.22 (d, J = 8.6 Hz, 0.5H), 8.19 (d, J = 8.6 Hz, 0.5H), 7.89 (d, J = 2.4 Hz, 0.5H), 7.88-7.85 (m, 0.5H), 7.64-7.58 (m, 2H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 0.5H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 0.5H), 7.03 (d, J = 6.4 Hz, 0.5H), 6.83 (d, J = 6.1 Hz, 0.5H), 6.44 (dd, J = 6.7, 2.3 Hz, 0.25H), 6.33-6.26 (m, 0.25H), 6.21-6.12 (m, 0.25H), 6.05 (br. s., 0.25H), 3.80-3.61 (m, 0.5H), 3.44-3.34 (m, 0.5H), 3.08-2.89 (m, 0.5H), 2.66-2.56 (m, 0.5H)。生成物を、さらに精製することなく次工程でそのまま使用した。
【0215】
実施例14
撹拌中の中間体14A、2−ブロモ−6−フルオロ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(45mg、0.112mmol)および(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)ボロン酸(26mg、0.146mmol)のジオキサン(1.1mL)およびリン酸三カリウム(2.0M水溶液)(169μl、0.337mmol)溶液をNで数分脱気した。なお脱気しながら、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(7.30mg、0.0112mmol)mmol)を添加した。バイアルを密閉し、90℃で70分加熱し、その時点で反応混合物をLCMSにより分析し、反応が完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 456.0、M+H)。揮発物を減圧下除去し、反応混合物をメタノールで希釈し、0.45μナイロン膜を備えた13mmシリンジフィルターで室温で濾過した。濾液を、次の条件を用いる分取LC/MSで精製した:カラム:XBridge C18、19×200mm、5μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;勾配:20分かけて30〜70%B、次いで100%Bに5分保持;流速:20mL/分。所望の生成物を含むフラクションを合わせ、遠心蒸発により乾燥させた。
【0216】
物質をキラル分離によりさらに精製した。15.5mgサンプルを分割した。フラクション(“ピーク−1”、“ピーク−2”、“ピーク−3”および“ピーク−4”)をMeOH中に集めた。フラクションの立体異性純度は、分取SFCクロマトグラムに基づき、95%より大きいと概算された。分取クロマトグラフィー条件:装置:Berger Prep SFC MGII (LVL-L4021 Lab)。カラム:キラルOD 25×3cm、5μm。流速:85.0mL/分。移動相:85/15 CO/MeOH。検出器波長:220nm。サンプル調製および注入体積:2.5mL MeOHに溶解した15.5mgの500μL溶液。
分析的クロマトグラフィー条件:装置:Aurora analytical SFC装置:Aurora analytical SFC(LVL-L4021 Lab)。装置:Aurora analytical SFCカラム:キラルOD 250×4.6mm ID、5μm。流速:2.0mL/分。移動相:85/15 CO/MeOH。分離を並行SFC系で実施した。
【0217】
個々のエナンチオマーの収率(絶対立体化学未決定):
3.9mg(9.93%)、エナンチオマー1、最初に溶出するピーク。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.23 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.91-7.89 (m, 1H), 7.87 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.62-7.55 (m, 2H), 7.46 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.13 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 6.46 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 6.18 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 3.48-3.29 (m, 1H), 3.13-2.94 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0218】
2.9mg(7.05%)、エナンチオマー2、二番目に溶出するピーク。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.23 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.91-7.89 (m, 1H), 7.87 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.62-7.55 (m, 2H), 7.46 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.13 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 6.46 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 6.18 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 3.48-3.29 (m, 1H), 3.13-2.94 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0219】
3.5mg(10.24%)、エナンチオマー3、三番目に溶出するピーク。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.26 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.89-7.86 (m, 1H), 7.82 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.62-7.52 (m, 2H), 7.49 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.92 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.30 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.18 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 6.09 (br. s., 1H), 3.86-3.62 (m, 1H), 2.74-2.60 (m, 1H), 1.41 (s, 6H)
【0220】
2.6mg(7.38%)、エナンチオマー4、四番目に溶出するピーク。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.26 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.89-7.86 (m, 1H), 7.82 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.62-7.52 (m, 2H), 7.49 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.92 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.30 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.18 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 6.09 (br. s., 1H), 3.86-3.62 (m, 1H), 2.74-2.60 (m, 1H), 1.41 (s, 6H)
【0221】
下記表2の実施例化合物は、実施例1に記載の一般法を使用し、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを、中間体1Aの製造において記載する適切な市販のアルデヒドに置き換え、実施例14に記載の一般法を使用し、(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)ボロン酸を、実施例14の化合物の製造の最終工程で記載するような適切な市販のボロン酸またはボロン酸エステルに置き換えて製造した。ジアステレオマー混合物は‘DM’として示す。エナンチオマーを単離した場合、各々の分析データを、‘e1’、‘e2’、‘e3’および‘e4’として示す。
【0222】
【表4】
【表5】
【0223】
実施例25
2−(4−(8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−オール
【化19】
【0224】
中間体25A:2−ブロモ−6−クロロ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【化20】
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.603mmol)を、2−ブロモ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−オール(0.12g、0.301mmol)のPOCl(1.7mL、18.08mmol)懸濁液に、室温で添加した。バイアルをNで通気し、密閉した。撹拌中の溶液を60℃で75分加熱した。1時間後、反応混合物をLCMSにより分析し、反応は完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 435.9、2ジアステレオマーピーク、M+H)。反応混合物を、減圧下濃縮乾固して、黄褐色−褐色油状物を得た。粗製生成物をCHClに溶解し、CHCl中0〜5%メタノールの12分勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(Teledyne-Isco REDISEP(登録商標)Rf 12gカラム)で精製した。収量:90.7mgの黄褐色−褐色固体(72.2%)。LCMS:2ジアステレオマーピーク、各m/z 433.9/435.9 (M+H)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (d, J = 8.4 Hz, 0.50H), 8.08 (d, J = 8.4 Hz, 0.50H), 7.82-7.76 (m, 1H), 7.76-7.67 (m, 1H), 7.55 (dt, J = 12.1, 7.5 Hz, 1H), 7.47 (t*, J = 8.4 Hz, 1H), 6.14 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.05-5.94 (m, 2H), 5.79 (dd, J = 8.7, 6.0 Hz, 2H), 3.79-3.66 (m, 2H)。*未分割ジアステレオマーダブレット。
【0225】
中間体25−B:2−ブロモ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【化21】
中間体25A、(2−ブロモ−6−クロロ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン)(90mg、0.217mmol)溶液を、エタノール中のラネイニッケル懸濁液(2.2mL)に添加した。混合物を、H充填バルーン下、室温で20時間撹拌し、その時点でLCMSは反応の完了を示した(所望の生成物についてm/z 383.9 w/Br−パターン、M+H)。反応混合物を0.45μナイロン膜を備えた25mmシリンジフィルターで濾過し、濾液を真空下濃縮して、90.2mgの淡黄褐色固体を得た(109%)。LCMS: m/z 382.0 w/Br-パターン(M+H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.87 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.67-7.51 (m, 3H), 7.41 (br. s., 1H), 6.89 (br. s., 1H), 5.99 (br. s., 1H), 3.27-3.06 (m, 2H), 2.45-2.29 (m, 2H)。粗製生成物をさらに精製することなく次工程で使用した。
【0226】
実施例25
中間体25B(2−ブロモ−8−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン)(35.0mg、92μmol)および(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)ボロン酸(19.8mg、110μmol)のジオキサン(1mL)およびリン酸三カリウム(2.0M水溶液)(140μl、275μmol)をNで数分脱気した。なお脱気しながら、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(1.8mg、2.80μmol)mmol)を添加した。バイアルを密閉し、90℃で撹拌しながら70分加熱した。反応混合物をこの時点でLCMS分析により分析し、不完全であると判断された。さらにボロン酸(9.0mg、0.54当量)を室温で添加し、反応混合物を脱気し、さらに1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(1.8mg、2.80μmol)を添加し、バイアルを密閉し、撹拌しながら90℃での加熱を30分実施し、その時点で反応をLCMSにより分析し、反応が完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 438.3、M+H)。反応混合物をメタノールで希釈し、0.45μナイロン膜を備えた13mmシリンジフィルターで濾過し、濾液を次の条件下、分取LC/MSで精製した:カラム:XBridge C18、19×200mm、5μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;勾配:19分かけて20〜60%B、次いで100%Bに5分保持;流速:20mL/分。所望の生成物を含むフラクションを合わせ、遠心蒸発により乾燥させた。
【0227】
物質を次の条件の分取LC/MSでさらに精製した:カラム:XBridge C18、19×200mm、5μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;勾配:19分かけて30〜70%B、次いで100%Bに5分保持;流速:20mL/分。所望の生成物を含むフラクションを合わせ、遠心蒸発により乾燥させた。
生成物の収量は17.8mg(44%収率)であった。2回の分析的LC/MS注入を、最終純度決定に使用した。注入1条件:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。注入2条件:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。プロトンNMRを、重水素化DMSO中で獲得した。
【0228】
約14.6mgサンプルをキラルクロマトグラフィーにより分割した。フラクション(“ピーク−1”および“ピーク−2”)をMeOH中に集めた。各フラクションの立体異性純度は、分取SFCクロマトグラムに基づき、99.0%より大きいと概算された。
分取クロマトグラフィー条件:装置:Berger Prep SFC MGII (LVL-L4621 Lab)。カラム:Lux Cellulose 4 25×3cm ID、5m。流速:85.0mL/分。移動相:70/30 CO/MeOH 検出器波長:220nm サンプル調製および注入体積:2mL MeOH/ACNに溶解した14.6mgの1500μL溶液。分析的クロマトグラフィー条件:装置:Aurora analytical SFC(LVL-L4021 Lab)。カラム:Lux Cellulose 4 250×4.6mm ID、5m。流速:2.0mL/分移動相:70/30 CO/MeOH 分離を並行SFC系で実施した。保持時間は、流速の小さな変化によりわずかに変化し得る。
【0229】
個々のエナンチオマーの収率(絶対立体化学未決定):
7.5mg(9.93%)、99%純度、エナンチオマー1。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) d 8.03 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.2 Hz, 3H), 7.59-7.50 (m, 2H), 7.45 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.99 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.00 (br. s., 1H), 5.07 (s, 1H), 3.32-3.21 (m, 2H), 3.20-3.07 (m, 1H), 2.48-2.41 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0230】
8.3mg(7.05%)、93%純度、エナンチオマー2。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) d 8.03 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.2 Hz, 3H), 7.59-7.50 (m, 2H), 7.45 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.99 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.00 (br. s., 1H), 5.07 (s, 1H), 3.32-3.21 (m, 2H), 3.20-3.07 (m, 1H), 2.48-2.41 (m, 1H), 1.40 (s, 6H)
【0231】
2回の分析的LC/MS注入を、最終純度決定に使用した。
注入1条件:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。
注入2条件:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。
【0232】
下記表3の実施例化合物は、実施例1に記載の一般法を使用し、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを、中間体1Aの製造において記載する適切なアルデヒドに置き換え、実施例25に記載の一般法を使用し、(4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)ボロン酸を、工程25−Cに記載する適切な市販のボロン酸またはボロン酸エステルに置き換えて、製造した。ラセミ混合物は、‘rac’として示す。エナンチオマーを単離した場合、各々の分析データを、‘e1’および‘e2’として示す。
【0233】
【表6】
【表7】
【0234】
実施例36
(R)−2−(5−(8−(2,5−ジメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール
【化22】
【0235】
中間体36A:(R)−4−((6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル)アミノ)−4−(2,5−ジメチルフェニル)ブタン酸
【化23】
炭酸ナトリウム(0.68g、6.39mmol)を、激しく撹拌している2,6−ジブロモ−3−ニトロピリジン(0.50g、1.774mmol)および(R)−4−アミノ−4−(2,5−ジメチルフェニル)ブタン酸HCl(0.48g、1.95mmol)のエタノール(18mL)溶液に、N下、室温で7.5時間添加した。数分後、沈殿が生じ、これは時間が経つに連れてより広範となった。この時点でのLCMSは、反応がゆっくり進行したことを示した。反応混合物を次いで、一夜、40℃で撹拌した。翌朝、油浴温度を50℃に上げ、撹拌を9時間続けた。この時点でLCMSによる反応混合物の分析は、反応が不完全であったことを示唆した。さらに酸(22mg、0.05当量)を添加し、50℃での撹拌を16時間続け、加熱を60℃で3時間続け、この時点で反応混合物をLCMSにより分析し、反応が完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 407.9 w/Br−パターン、M+H)。室温に冷却後、揮発物を減圧下除去した。反応混合物を1N HCl(約15mL)で酸性化し、その際いくらか沈殿が生じた。EtOAcを添加し、層を分離し、EtOAc層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、0.78gの油性黄色固体を得た。ヘキサン中0〜100%EtOAcの15分勾配で溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(Teledyne-Isco REDISEP(登録商標)Rf 40gカラム)により、0.61gの黄色固体を得た(84%)。LCMS: m/z 409.8 w/Br-パターン(M+H). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.19 (br. s., 1H), 8.77 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.27 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.04 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.46-5.30 (m, 1H), 2.46 (s, 3H), 2.36-2.28 (m, 2H), 2.23 (s, 3H), 2.27-2.16 (m, 1H), 2.07-1.86 (m, 1H)
【0236】
中間体36B:(R)−1−(3−アミノ−6−ブロモピリジン−2−イル)−5−(2,5−ジメチルフェニル)ピロリジン−2−オン
【化24】
(R)−4−((3−アミノ−6−ブロモピリジン−2−イル)アミノ)−4−(2,5−ジメチルフェニル)ブタン酸(51mg、0.134mmol)、BOP(120mg、0.268mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(904μl、0.535mmol)のDMF(1339μl)溶液を、室温でN下、50分撹拌した。この時点でLCMSによる反応混合物の分析後、反応は完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 362.0 w/Br−パターン、M+H)。揮発物を減圧下除去し、EtOAcおよび10%LiCl水溶液を添加し、層を分離し、EtOAc層を10%LiCl水溶液、飽和NaHCO水溶液、塩水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、0.82gの黄褐色−褐色固体を得た。ヘキサン中0〜100%EtOAcの12分勾配で溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(Teledyne-Isco REDISEP(登録商標)4gカラム)により、31.6mgの黄褐色油状物を得た。油状物をヘキサン上に週末の間保存した。ヘキサンを傾捨し、残存ヘキサンを、減圧下クロマトグラフした生成物から除去した。収量:32.0mgの黄褐色−褐色油状物(65.5%)。LCMS: m/z 362.0 w/Br-パターン(M+H)。生成物を、さらに精製することなく次で使用した。
【0237】
中間体36C:(R)−2−ブロモ−8−(2,5−ジメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【化25】
(R)−1−(3−アミノ−6−ブロモピリジン−2−イル)−5−(2,5−ジメチルフェニル)ピロリジン−2−オン(31.8mg、0.088mmol)の酢酸(1.2mL)溶液と、8.21マイクロリットルの濃HSOを、80℃で20分加熱した。基質の酢酸溶液は最初は緑色であったが、硫酸を添加直後、黄褐色に変わった。反応を、10分後LCMSで分析し、不完全であると判断された。加熱ブロック温度を120℃に上げ、撹拌を45分続けた。この時点で反応混合物をLCMSにより分析し、反応完了したと判断された(所望の生成物についてm/z 242.0 w/Br−パターン、M+H)。反応混合物を高真空下、濃縮乾固した。EtOAcおよび飽和NaHCO水溶液を添加し、層を分離し、EtOAc層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、14.3mgの黄褐色油状物を得た(47.3%)。LCMS: m/z 342.0 w/Br-パターン(M+H)。粗製生成物を、そのまま次工程で使用した。
【0238】
実施例36
(R)−2−ブロモ−8−(2,5−ジメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピロロ[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]ピリジン(13.6mg、0.040mmol)および2−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オール(12.6mg、0.048mmol)のジオキサン(0.4mL)およびリン酸三カリウム(2.0M水溶液)(54.0μl、0.108mmol)溶液をNで数分脱気した。なお脱気しながら、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(2.6mg、3.97μmol)を添加した。バイアルを密閉し、90℃で1時間/15分加熱した。この時点で反応をLCMSにより分析し、不完全であると判断された。さらにボロン酸(6.3mg、0.60当量)を室温で添加し、脱気後、さらに1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(2.6mg、3.97μmol)も添加した。バイアルを密閉し、90℃で45分加熱した。この時点で反応混合物をLCMSにより分析し、最初の分析から変化が観察されなかったため、反応は完了したと判断した。主成分は所望の生成物であった(m/z 400.1、M+H)。反応混合物を冷却し、メタノールで希釈し、0.45μナイロン膜を備えた13mmシリンジフィルターで濾過し、濾液を次の条件下に精製した:
カラム:XBridge C18、19×200mm、5μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;勾配:19分かけて20〜60%B、次いで100%Bで4分保持;流速:20mL/分。所望の生成物を含むフラクションを合わせ、遠心蒸発により乾燥させた。
【0239】
生成物の収量は9.6mgであり、LCMSによるその概算純度は97%であった。2回の分析的LC/MS注入を、最終純度決定に使用した。
注入1条件:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。
注入2条件:カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm粒子;移動相A:5:95アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;移動相B:95:5アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸含有水;温度:50℃;勾配:3分かけて0〜100%B、次いで100%Bで0.75分保持;流速:1.0mL/分;検出:220nmでのUV。
【0240】
LCMS、精製生成物:m/z 400.1 (M+H), 799.2 (2M+H). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.21 (s, 2H), 8.16 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.02 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.70 (s, 1H), 6.03-5.88 (m, 1H), 3.42-3.32 (m, 1H), 3.30-3.20 (m, 2H), 3.19-3.12 (m, 1H), 2.11 (s, 3H), 1.50 (s, 6H)
【0241】
下記表4の実施例化合物は、実施例36に記載の一般法を使用し、2−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2−イル)プロパン−2−オールを、実施例36の化合物の製造の最終工程で記載するような適切な市販のボロン酸またはボロン酸エステルに置き換えて製造した。
【0242】
【表8】
【0243】
生物学的アッセイ
本発明の化合物の薬理学的性質を、多数の生物学的アッセイにより確認し得る。次の例示的生物学的アッセイを、本発明の化合物を用いて実施している。
【0244】
TNFまたはCD40L誘発HEK−Blueアッセイ
DMSO中連続希釈した試験化合物を、アッセイプレート(Labcyte, Cat. #LP-0200)に、0.004μM〜25μM範囲の最終濃度でプレーティングした。アッセイ緩衝液[DMEM、4.5g/lグルコース(Gibco, Cat. 21063-029)、10%FBS(Sigma、F4135)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco, Cat. 15140-122)、1%Anti-Anti(Gibco, Cat. 15240-112)および2mM L−グルタミン(Gibco, Cat. 25030-081)]中のTNFα(最終濃度0.5ng/ml)またはCD40L(最終濃度30ng/ml)を、次いでアッセイプレートに添加した。37℃および5%COでの30分プレインキュベーション後、NF−κB駆動分泌型アルカリホスファターゼレポーター遺伝子を含むHEK−Blue−CD40L細胞(InvivoGen, Cat. Code hkb-cd40)を、20,000細胞/ウェル密度でアッセイプレートに播種した。このプレートを、18時間、37℃および5%COでインキュベートした。分泌型アルカリホスファターゼ発現を、製造業者の明細に従いQUANTI-Blue(InvivoGen, Cat. Code rep-qb1)を使用して測定し、アッセイプレートをPerkinElmer Envisionで620nmで読んだ。
【0245】
一定範囲濃度の試験化合物の阻害データを、試験化合物の阻害パーセンテージとしてプロットした(100%=最大阻害)。IC50値を、背景に対して補正後に決定し[(サンプル読取値−低対照平均/(高対照平均−低対照平均)]、ここで、低対照は刺激非存在下のDMSOであり、高対照は刺激存在下のDMSOである。IC50は、50%阻害を生じる試験化合物の濃度として定義し、データに適合させるための4パラメータロジスティック方程式を使用して定量化した。
【0246】
表5は、本発明の実施例1〜40の化合物について、TNF誘発HEK−Blueアッセイにおいて測定したIC50値を記載する。表5における結果は、“A”は、1μM未満のIC50値を表し、“B”は1μM〜10μM未満の範囲のIC50値を表し、“C”は10μM〜25μMの範囲のIC50値を表すとして記載する。実施例1〜40により例示される本発明の化合物は、TNF誘発HEK−Blueアッセイで測定して、25μM以下のIC50値を示した。
【表9】
【表10】
図1
図2
図3