(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の第1〜第3の実施形態による燃料レールアッセンブリの構成及び作用効果について説明する。なお、以降の図は説明のため寸法を誇張して描いており、実際の縮尺とは異なる。
【0014】
(第1の実施形態)
最初に、
図1〜
図4を用いて本発明の第1の実施形態による燃料レールアッセンブリの全体構成について説明する。
図1は燃料レールアッセンブリを示し、
図2はそのアッセンブリ前の状態を示す。
【0015】
燃料レール本体1の端部又は途中には、高圧ポンプ(不図示)から高圧パイプ(不図示)を通してレール内部の中心孔2に高圧燃料を供給する入口となるインレット(不図示)が取り付けられる。燃料レール本体1の反対側の端部、又は燃料レール本体1の途中には、中心孔2内の燃料圧力を測定する圧力センサ(不図示)が取り付くセンサボス(不図示)が取り付けられる。これらは、それぞれ燃料レール本体1に一体に形成され、或いは、ねじ込み、ろう付け、溶接等でシールして形成され、固定される。
【0016】
燃料レール本体1にはエンジンの気筒分に相当するインジェクタ取付け部3が燃料レール本体1と一体に形成されている。インジェクタ取付け部3は、パイプ挿入部31、ストッパ部4、内周面6、取付ねじ部32(締付ねじ部)を持つ。燃料通路33は、パイプ挿入部31と中心孔2の間を連通している。また、燃料レール本体1には、ブラケット11が溶接等で一体化される。その取付面35とインジェクタ取付け部3のストッパ部4の間にインジェクタ10の軸方向の所定長さが確保される。ブラケット11は、レールアッセンブリをエンジンに取り付けるためのボルト穴34を持つ。
【0017】
図2に示すように、インジェクタ10は、燃料をインジェクタ10内部に供給するインジェクタ挿入部5を持つ。この入口側には、平面部を持つ挿入部端12が形成される。挿入部端12からインジェクタ先端24までの距離は所定の寸法になる。また、インジェクタ挿入部5は概ねストレートに形成される。詳細には、インジェクタ挿入部5は、インジェクタ10の内部部品と一体であるハウジング固定部15の位置までストレートに形成され、或いは途中で溶接等で接合されてストレートとなっている。このインジェクタ挿入部5の板厚tは、インジェクタ挿入部5の外径Dの1/4以下の厚みとなっている。
【0018】
上記燃料レール本体1とインジェクタ10のインジェクタ挿入部5の外径部には、シール部材7、押付部材8、及び締付部材9が別体で設けられている。ここで、シール部材7は、先端に先端シール部36を持つ。押付部材8は、
図3に示すように、シール部材7をインジェクタ挿入部5とレール側の内周面6の隙間に押付ける。締付部材9は、
図2に示すように、シール部材7と押付部材8を、取付ねじ部32を介して押付ける。これらは、インジェクタ10も含めてエンジンの気筒数分準備される。
【0019】
インジェクタ10の挿入部端12(燃料入口端)を燃料レール本体1のインジェクタ取付け部3のストッパ部4に突き当てた状態で、インジェクタ挿入部5の外周に挿入したシール部材7、押付部材8に押付け荷重を加えるべく締付部材9を所定トルクで締め付ける。シール部材7の先端シール部36はインジェクタ挿入部5外周とインジェクタ取付け部3の内周面6の隙間に挿入され、押し当てられ、所定面圧を加えられる。
【0020】
換言すれば、
図1に示すように、インジェクタ取付け部3(取付部)のパイプ挿入部31(取付孔)の内周側はインジェクタ取付け部3の軸方向位置を決定するストッパ部4を有し、インジェクタ挿入部5(挿入部)の挿入部端12(先端)がストッパ部4に突き当てられることで位置決めされる。
【0021】
ストッパ部4により、インジェクタ先端24までの距離があらかじめ設定された距離に収まるため、ブラケット11の取付面35からストッパ部4までのインジェクタ軸方向の寸法と合わせて、取付面35からインジェクタ先端24の位置までの距離が一定に保たれ、燃焼室25へ均一の燃料噴霧を送ることが出来、燃焼が安定し、所定の燃焼ガス性能が得られる。
【0022】
シール部材7は締付部材9が締めつけられる際に締付部材9とシール部材7との間に配置される押付部材8により締め付け方向に付勢され、押付部材8はシール部材7及び締付部材9とは別体に構成される。
【0023】
これにより、押付部材8でシール部材7の求心性を高めつつ、シールすることができる。
【0024】
締付部材9で燃料レール本体1にシール固定されたインジェクタ10のインジェクタ挿入部5の挿入部端12からシール部材7でシールされたシール位置までの距離D1と、シール位置からハウジング固定部15までの距離D2の関係は、距離D1よりも距離D2の方が長い設定である。なお、距離D2は、シール位置から板厚がインジェクタ挿入部5の外径の1/4以下となっている部分に設けられたつば状部5aまでの距離ということもできる。
【0025】
このように、本実施形態では、
図1に示すように、燃料レール本体1(燃料レール)のインジェクタ取付け部3(取付部)に取り付けられるインジェクタ10は、インジェクタ取付け部3のパイプ挿入部31(取付孔)に挿入され、シール部材7によりシールされるインジェクタ挿入部5(挿入部)を備える。
【0026】
インジェクタ挿入部5はシール部材7と反対側でハウジング14に固定される。インジェクタ挿入部5は、インジェクタ挿入部5の端(挿入部端12)からシール部材7によるシール位置P1までの距離D1に対し、シール位置P1からハウジング14との固定位置であるハウジング固定位置P2までの距離D2が長くなるように構成される。詳細には、
図2に示すように、インジェクタ挿入部5(挿入部)の厚みはインジェクタ挿入部5の径に対し4分の1以下となる。
【0027】
シール位置よりもインジェクタ側のパイプ状の部分が長く、t<(D/4)を満足することにより、シールを損なうことなくインジェクタ側のパイプの変形が可能で、レール本体、エンジン側のボルト取付け部、及びインジェクタ挿入部の寸法ばらつきから来るインジェクタへの芯ズレを吸収することができる。
【0028】
また、インジェクタ挿入部5の先端は、パイプ挿入部31(取付孔)の底面に突き当てられる。
【0029】
これにより、ストッパ部4からインジェクタ先端24までの距離があらかじめ設定された距離に収まるため、ブラケット11の取付面35からストッパ部4までのインジェクタ軸方向の寸法と合わせて、取付面35からインジェクタ先端24の位置までの距離が一定に保たれ、燃焼室25へ均一の燃料噴霧を送ることが出来、燃焼が安定、所定の燃焼ガス性能が得られる。
【0030】
アッセンブリ後、インジェクタ挿入部5は、パイプ挿入部31の入口側端面16よりも燃料レール本体1(燃料レール)の側の全域において、入口側端面16の内周側に位置する。すなわち、入口側端面16は円環状になるが、インジェクタ挿入部5はその内側に位置する。
【0031】
これにより、インジェクタ挿入部5をインジェクタ取付け部3内部に挿入でき、シール、挿入端の位置出しが可能となる。
【0032】
インジェクタ挿入部5(挿入部)は、円筒状に形成される金属パイプである。インジェクタ挿入部5をパイプ状とすることにより、取付け時の芯ズレが吸収されやすくなる。
【0033】
燃料レールアッセンブリは、
図4に示すように、燃料レール本体1に溶接等で固定されたブラケット11を介して、ボルト21でエンジンに固定される。ブラケット11の取付面35からインジェクタ取付け部3のストッパ部4までの距離、及びインジェクタ10の挿入部端12からインジェクタ先端24までの距離は、それぞれ所定の寸法になる。燃料レールアッセンブリは、このように設定された寸法でエンジンヘッドへ取り付けられる。
【0034】
換言すれば、インジェクタ10と燃料レール本体1(燃料レール)を備えた燃料レールアッセンブリにおいて、燃料レール本体1に取り付けられたブラケット11の取付面35(端面)をエンジンヘッド取り付け端面に固定し、インジェクタ10の先端位置を内燃機関の燃焼室25に対し所定の位置に固定する。
【0035】
これにより、燃料レールアッセンブリをエンジンヘッドに取付けることができ、インジェクタ先端位置の距離が一定に保たれ、燃焼室25へ均一の燃料噴霧を送ることが出来る。その結果、燃焼が安定し、所定の燃焼ガス性能が得られる。
【0036】
高圧ポンプ、高圧パイプから供給された燃料は、高圧の燃料圧力を維持しながら、インレットを介して燃料レール本体1の中心孔2内に供給され、燃料通路33及びインジェクタ挿入部5内部を通して、インジェクタ10内部へ供給され、インジェクタ10の開弁に合わせてエンジンへ供給される。
【0037】
第1の実施形態では、
図1、2に示すように、燃料レール本体1、インジェクタ10、シール部材7、押付部材8、締付部材9は別体に形成され、燃料レール本体1のインジェクタ取付け部3のパイプ挿入部31にインジェクタ挿入部5が挿入され、挿入部端12はインジェクタ取付け部3のストッパ部4、に押付けられた状態で取り付けられる。このときに一緒にシール部材7、そのシール部材7の先端シール部36を前記インジェクタ挿入部5と内周面6の隙間へ所定の面圧で押付けるべく締付部材9で締め付け、燃料のシールを可能とする。
【0038】
すなわち、
図3に示すように、締付部材9が締めつけられる際に締め付け方向に付勢され、かつインジェクタ挿入部5(挿入部)の外周面とパイプ挿入部31(取付孔)の内周面6との間に形成される隙間に挿入され、この隙間をシールするシール部材7によりインジェクタ挿入部5の外周面とパイプ挿入部31の内周面6とがシールされる。
【0039】
これにより、インジェクタ挿入部5とインジェクタ取付け部3の内周面6の隙間がシール部材7でシールされる。
【0040】
詳細には、シール部材7の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって内周側に傾斜するように形成され、締付部材9が締めつけられる際に締め付け方向に付勢されることで、シール部材7の先端シール部36(先端部)がインジェクタ挿入部5(挿入部)の外周面とパイプ挿入部31(取付孔)の内周面6との間に形成される隙間に挿入され、該隙間を埋める。
【0041】
換言すれば、シール部材7の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって内周側に傾斜するように形成されるとともに、インジェクタ取付け部3(取付部)のパイプ挿入部31(取付孔)の内周面6は締め付け方向に向かって内周側に傾斜するように形成される。締付部材9が締めつけられる際に締め付け方向に付勢されることで、シール部材7の外周面がパイプ挿入部31の内周面6と接触するように構成される。
【0042】
内周面6がテーパとなっていることにより、シール部材7が隙間を埋め易くなり、シールが容易になる。
【0043】
燃料は中心孔2、燃料通路33を通過し、インジェクタ10のインジェクタ挿入部5内部へ流入する。シール部材7の先端シール部36を所定の面圧で押付けるため、インジェクタ挿入部5の外周と内周面6間の隙間を通って外部へもれる通路が形成されず、外部への燃料漏れを防ぐことが出来る。ここで、押付部材8は締付部材9のねじによる不均一荷重を均一にシール部材7へ伝えるために使われる。押付部材8を使わずに、シール部材7のみの場合も全体の面圧を大きくすればシールは可能である。
【0044】
インジェクタ10は、インジェクタ挿入部5の挿入部端12をインジェクタ取付け部3のストッパ部4に押付けた状態で前記のシール部材7を押付け固定する。そのため、あらかじめ設定された、ブラケット11の取付面35からストッパ部4までのインジェクタ軸方向の寸法、及び、インジェクタ10の挿入部端12からインジェクタ先端24までの寸法により、取付面35からインジェクタ先端24の位置までの距離が一定に保たれる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、高い燃料圧力下においてシール性能を保持しつつ、製造コストを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、インジェクタ10のインジェクタ挿入部5、インジェクタ挿入部5とは別体のシール部材7、押付部材8及び締付部材9を用いることで、燃料シール、インジェクタ先端24の位置出しをすることができ、簡単な構造で、安価なレールアセンブリを実現できる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、
図5〜
図9を用いて本発明の第2の実施形態による燃料レールアッセンブリの全体構成について説明する。
【0048】
図5は燃料レールアッセンブリを示し、
図6はそのアッセンブリ前の状態を示す。
図7、8は燃料入口パイプ210と締付ナット207の構成及び、一体化状況を示す。
図9はレールアッセンブリのエンジンへの取り付け状態を示す。
【0049】
燃料レール本体201の端部又は途中には、高圧ポンプ(不図示)から高圧パイプ(不図示)を通してレール内部の中心孔202に高圧燃料を供給する入口となるインレット(不図示)が取り付けられる。燃料レール本体1の反対側の端部、又は燃料レール本体201の途中に中心孔202内の燃料圧力を測定する圧力センサ(不図示)が取り付くセンサボス(不図示)が取り付けられる。これらは、それぞれ燃料レール本体201に一体に形成され、或いは、ねじ込み、ろう付け、溶接等でシールして形成され、固定される。
【0050】
燃料レール本体201にはエンジンの気筒分に相当するインジェクタ取付け部203が燃料レール本体201と一体に形成されている。インジェクタ取付け部203は、シールテーパ面206、取付ねじ204を持つ。燃料通路205は、シールテーパ面206と中心孔202の間を連通している。また、燃料レール本体201には、ブラケット235が溶接等で一体化される。その取付面215とインジェクタ取付け部203のシールテーパ面206の間にインジェクタ213の軸方向の所定長さが確保される。ブラケット235は、レールアッセンブリをエンジンに取り付けるためのボルト穴214を持つ。
【0051】
図6に示すように、インジェクタ213は、燃料をインジェクタ213内部に供給する燃料入口パイプ210を持つ。この入口側には、前記シールテーパ面206とシート部を構成する燃料パイプシート面209、224が形成される。燃料入口パイプ210の端部(上端)からインジェクタ先端225までの距離は、所定の寸法になる。また、燃料入口パイプ210はインジェクタ213側に組みつけられる締付ナット207、その締付ナット207で押付けるパイプ肩部212、223、前記シールテーパ面206に押し当てられる燃料パイプシート面209、224を持つ。
【0052】
締付ナット207は、燃料入口パイプ210と一緒にインジェクタ213側に溶接等で燃料レール本体201にアッセンブリする前に接合される(
図7参照)、或いは締付ナット207をインジェクタの燃料入口パイプ210に組み込んだ後に燃料パイプシート面224、パイプ肩部223を成形する(
図8参照)。これらは、インジェクタ213も含めてエンジンの気筒数分準備される。
【0053】
インジェクタ213の燃料パイプシート面209を燃料レール本体201のインジェクタ取付け部203のシールテーパ面206に押し当てた状態で、燃料入口パイプ210の外周に設けた締付ナット207を所定トルクで締め付ける。これにより、所定面圧が加えられシールされる。
【0054】
このように、インジェクタ213は、インジェクタ取付け部203(取付部)に対して締付ナット207(締付部材)が直接、締め付けられることによりインジェクタ取付け部203に固定される。
【0055】
これにより、燃料レール本体201にインジェクタ213が締付ナット207(締付部材)のみで固定される。
【0056】
燃料レールアッセンブリは、
図9に示すように、燃料レール本体201に溶接等で固定されたブラケット235を介して、ボルト226等でエンジンに固定される。ブラケット235の取付面215からインジェクタ取付け部203のシールテーパ面206までの距離、及びインジェクタ213の燃料パイプシート面209の端(上端)からインジェクタ先端225までの距離は、それぞれ所定の寸法になる。燃料レールアッセンブリは、このように設定された寸法でエンジンヘッドへ取り付けられる。
【0057】
高圧ポンプ、高圧パイプから供給された燃料は、高圧の燃料圧力を維持しながら、インレットを介して燃料レール本体201の中心孔202内に供給され、燃料通路205及び燃料入口パイプ210内部を通して、インジェクタ213内部へ供給され、インジェクタ213の開弁に合わせてエンジンへ供給される。
【0058】
第2の実施形態では、
図5、6に示すように、締付ナット207がインジェクタ213に組みつけられ、燃料レール本体201とは別体に構成される。燃料入口パイプ210は入口側にパイプ肩部212と燃料パイプシート面209をもつ。パイプ肩部212と燃料パイプシート面209で形成される拡径部は、締付ナット207の内部に納まる。締付ナット207が燃料レール本体201のインジェクタ取付け部203の取付ねじ204に締付けられると、締付肩部211がパイプ肩部212を押し、燃料パイプシート面209がシールテーパ面206に押付けられる。
【0059】
締付ナット207を所定トルクで締め付けると、シールテーパ面206と燃料パイプシート面209の間に所定の面圧が確保され、燃料のシールを行うことができる。燃料は中心孔202、燃料通路205を通過し、インジェクタ213の燃料入口パイプ210内部へ流入するが、シールテーパ面206と燃料パイプシート面209の間の所定の面圧で、外部への燃料漏れを防ぐことが出来る。
【0060】
インジェクタ213は、燃料入口パイプ210を一体化している。燃料パイプシート面209をインジェクタ取付け部203のシールテーパ面206に押し付け固定するため、あらかじめ設定された、ブラケット235の取付面215からシールテーパ面206までのインジェクタ軸方向の寸法、及び、インジェクタ213の燃料パイプシート面209の端(上端)からインジェクタ先端225までの寸法により、取付面215からインジェクタ先端225の位置までの距離が一定に保たれる。
【0061】
燃料入口パイプ210にはパイプ肩部212と燃料パイプシート面209により拡径部が形成されるため、
図7に示すように、締付ナット207と燃料入口パイプ210を組付けた上でインジェクタ213側に溶接部221に示すように溶接等で固定する。
【0062】
或いは、
図8に示すように、インジェクタ側の燃料入口パイプ210をストレート形状で作っておき、締付ナット207を組付けた後にパイプ肩部223、燃料パイプシート面224を塑性加工で成形することで製作できる。
【0063】
本実施形態によれば、インジェクタ213を締付ナット207のみで燃料レール本体201にシール固定でき、取付面215に対するインジェクタ先端225の位置出しをすることができ、燃焼室228に対する所定の位置に設定できるため、簡単な構造で、安価なレールアセンブリを実現できる。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、
図10〜
図14を用いて本発明の第3の実施形態による燃料レールアッセンブリの全体構成について説明する。本実施形態では、第2の実施形態と比較して、シールテーパ面と締付ナットの取り付けを逆にしている。
【0065】
図10は燃料レールアッセンブリを示し、
図11はそのアッセンブリ前の状態を示す。
図12、13はインジェクタ取付け部103と締付ナット107の構成及び、一体化状況を示す。
図14はレールアッセンブリのエンジンへの取り付け状態を示す。
【0066】
燃料レール本体101の端部又は途中には、高圧ポンプ(不図示)から高圧パイプ(不図示)を通してレール内部の中心孔102に高圧燃料を供給する入口となるインレット(不図示)が取り付けられる。燃料レール本体101の反対側の端部、又は燃料レール本体101の途中に中心孔102内の燃料圧力を測定する圧力センサ(不図示)が取り付くセンサボス(不図示)が取り付けられる。これらは、それぞれ燃料レール本体101に一体に形成され、或いは、ねじ込み、ろう付け、溶接等でシールして形成され、固定される。
【0067】
燃料レール本体101にはエンジンの気筒分に相当するインジェクタ取付け部103が燃料レール本体101と一体に形成されている。インジェクタ取付け部103には、取付けシート面119、131が形成される。ブラケットの取付面115からインジェクタ取付け部103の先端までの距離は所定の寸法になる。また、インジェクタ取付け部103は、インジェクタ113側に締め付ける締付ナット107、その締付ナット107で押付ける取付肩部112、130、インジェクタ側のシールテーパ面109に押し当てられる取付けシート面119、131を持つ。
【0068】
締付ナット107は、インジェクタ取付け部103と一緒に燃料レール本体101側に溶接等でレールアッセンブリする前に接合される(
図12参照)、或いは締付ナット107を燃料レール本体101のインジェクタ取付け部103に組み込んだ後に取付けシート面131、取付肩部130を成形する(
図13参照)。これらは、インジェクタ113も含めてエンジンの気筒数分準備される。
【0069】
燃料通路105は、取付けシート面119と中心孔102の間を連通している。また、燃料レール本体101には、ブラケット135が溶接等で一体化される。その取付面115とインジェクタ取付け部103の取付けシート面119の間にインジェクタ113の軸方向の所定長さが確保される。ブラケット135は、レールアッセンブリをエンジンに取り付けるためのボルト穴136を持つ。
【0070】
インジェクタ113は、燃料をインジェクタ113内部に供給する燃料入口パイプ110を持つ。この入口側には、前記取付けシート面119とシート部を構成するシールテーパ面109が形成される。燃料入口パイプ110の端(上端)からインジェクタ先端125までの距離は、所定の寸法になる。燃料入口パイプ110には、締付ナット107が締めこまれる締付けねじ137が設けられる。
【0071】
インジェクタ113のシールテーパ面109を燃料レール本体101のインジェクタ取付け部103の取付けシート面119に押し当てた状態で、インジェクタ取付け部103の外周に設けた締付ナット107を所定トルクで締め付ける。これにより、所定面圧が加えられシールされる。
【0072】
燃料レールアッセンブリは、
図14に示すように、燃料レール本体101に溶接等で固定されたブラケット135を介して、ボルト126等でエンジンに固定される。ブラケット135の取付面115からインジェクタ取付け部103の取付けシート面119の端(下端)までの距離、及びインジェクタ113のシールテーパ面109の端(上端)からインジェクタ先端125までの距離は、それぞれ所定の寸法になる。燃料レールアッセンブリは、このように設定された寸法でエンジンヘッドへ取り付けられる。
【0073】
高圧ポンプ、高圧パイプから供給された燃料は、高圧の燃料圧力を維持しながら、インレットを介して燃料レール本体101の中心孔102内に供給され、燃料通路105及び燃料入口パイプ110内部を通して、インジェクタ113内部へ供給され、インジェクタ113の開弁に合わせてエンジンへ供給される。
【0074】
第3の実施形態では、シールテーパ面109、締付けねじ137をインジェクタ113側に設け、燃料レール本体1側に締付ナット107、取付肩部112を持たせたもので、第2の実施形態と同じ効果を得ることが出来るものである。
【0075】
締付ナット107が燃料レール本体101側に組みつけられ、インジェクタ113とは別体に構成される。インジェクタ取付け部103は先端側に取付肩部112と取付けシート面119を持つ。取付肩部112と取付けシート面119で形成される拡径部は、締付ナット107の内部に納まる。締付ナット107が燃料入口パイプ110の締付けねじ137に締付けられると、締付肩部111が取付肩部112を押し、取付けシート面119がシールテーパ面109に押付けられる。
【0076】
締付ナット107を所定トルクで締め付けると、シールテーパ面109と取付けシート面119の間に所定の面圧が確保され、燃料のシールを行うことができる。燃料は中心孔102、燃料通路105を通過し、インジェクタ113の燃料入口パイプ110内部へ流入するが、シールテーパ面109と取付けシート面119の間の所定の面圧で、外部への燃料漏れを防ぐことが出来る。
【0077】
燃料レール本体101は、インジェクタ取付け部103を一体化している。取付けシート面119をインジェクタのシールテーパ面109に押し付け固定するため、あらかじめ設定された、ブラケット135の取付面115から取付けシート面119の端(下端)までのインジェクタ軸方向の寸法、及び、インジェクタ113のシールテーパ面109の端(上端)からインジェクタ先端125までの寸法により、取付面115からインジェクタ先端125の位置までの距離が一定に保たれる。
【0078】
インジェクタ取付け部103には取付肩部112と取付けシート面119により拡径部が形成されるため、
図12に示すように、締付ナット107とインジェクタ取付け部103を組付けた上で燃料レール本体101側に溶接等で固定する。
【0079】
或いは、
図13に示すように、インジェクタ取付け部103をストレート形状で作っておき、締付ナット107を組付けた後に取付肩部130、取付けシート面131を塑性加工で成形することで製作できる。
【0080】
本実施形態によれば、インジェクタ113を締付ナット107のみで燃料レール本体101にシール固定でき、取付面115に対するインジェクタ先端125の位置出しをすることができ、燃焼室128に対する所定の位置に設定できるため、簡単な構造で、安価なレールアセンブリを実現できる。
【0081】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。