(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(アレイ・クラスタ)
相互の1対の内側に面したデバイスが完全な双方向通信を提供することを容易にするために、対称的な方法で受信側の検出器の対応するアレイ上に、高出力かつ高速の自由空間レーザービーム(関連出願に記載されているものなど)の小さなクラスタの単一の、二重の、一次元または二次元のアレイを含んだ実施形態が記載されている。クラスタは並列に接続されてもよく、あるいは、個別にかつ並列に駆動するバイナリ重み付けサブグループに分割されてもよい。いずれの場合も、それぞれの個々のクラスタからのビームは、それぞれの対応する検出器の集光レンズに転写するためにコリメータレンズへビーム束を広げる、ホログラフィック光拡散要素を用いて混ぜられてもよい。これは同様に、基板対基板の「デイジーチェーン」スキームが、すべての基板によって共有されるバスのようなデータ構造を可能にするのを容易にする。
【0010】
図1は、
図2または任意の同様の設計のシステムからの、単一の、チャネルが1つの送信機/受信機対を描いている。エミッタは、米国特許番号7,949,024号で説明されている概念に従って処理されたエピタキシャル成長したGaAsウエハからのチップ上にあってもよく、このとき、2以上のVCSEL要素(100)のクラスタは電気的に並列に接続されてもよく、単一の高速ドライバによって駆動されてもよい。1つの実施形態では、要素のそれぞれからのビームは、ホログラフィック光拡散体などの光拡散要素(102)の表面に影響を与える。そのような拡散体は、結果として生じるビームの拡散と高い伝送効率を上回る優れた光パワーの均一性を提供するという長所を有する。VCSEL要素のそれぞれから拡散した光錐は、レンズ(104)の後面に影響を与え、その焦点距離は、レンズの拡散面から主面まで距離のそれと等しい。レンズから現れるビームは、個々の要素からのビームの組み合わせであり、コヒーレントではなく、レーザーのスペックル効果を低下させる。束は光(106)の単一の、半コリメータディスクとして受信機の前に現れる。このディスクがその光パワーと比較して十分な直径を備えていれば、「分散光源」として束を扱うことで、レーザーの安全基準を容易に満たすこともある。
【0011】
受信機の集光レンズ(108)におけるこの束の大きさは、所望の並進公差(translational tolerance)の量に依存して、集光レンズの大きさをアンダーフィル(underfill)し、一致し、または、オーバーフィル(overfill)してもよい。
【0012】
この束が受信機の集光レンズに影響を与えるため、それは、検出器の面で錯乱円(112)を形成するように、検出器(110)の表面の後ろの小さな領域に焦点を合わせる。
これにより、リンクバジェットを満たすために検出器の面に依然として十分な光パワーを供給しながら、送信機の光軸に対する受信機の一定量の傾斜または並進の公差が可能となる。それによって、錯乱円内で十分なリンクバジェットエネルギーを提供するために、角度の公差と光パワーの間でトレードオフを行うことができる。
【0013】
図2は、1つの構成の1対の揃いの多重チャネル送受信機を描いており、それによって、共通の基板(204)上の2以上の検出器/増幅器対の要素(202)の間に、単一のGaAsエミッタ・チップ(200)が位置している。第2の共通の基板(208)を有する同一のエミッター・アレイおよび検出器/増幅器のアレイ(206)は、光軸上であるが、第1の基板(204)から離れた位置で向かい合って面している。送信機と受信機の対称的なシステムは、2つの対称的な向かい合った基板の間で同時の多重チャネル通信を提供するために、このように構築されてもよい。
【0014】
エミッタ・チップ(200)は2つ以上の高速VCSELクラスタで構成され、それぞれのクラスタは、それ自体の高速電流制御回路によって駆動される。
図1に既に例証されたように、送信機のレンズは拡散体の後に位置しており、その結果、それぞれの異なるクラスタは、他のクラスタからのビーム束から角度を変えたそれ自体の半平行ビーム束を作成するようになる。このように、それぞれの束は、対応する受信機の基板の周辺で一致する受信機の集光レンズに向けられてもよい。基板周辺の受信機のレンズは、送信機のビームが対応する基板の中心付近から到着し、基板間の光軸に対して平行ではないという事実を受け入れるために、基板の中心に向かってオフセットしている。その枠組みは二次元まで拡大されてもよく、それによって、エミッターチップがm×nクラスタの二次元アレイであり、検出器/増幅器アレイは、エミッターチップを囲む要素の環である。
【0015】
図3は、32ビット構成を有する揃いの対の1つの平面図を表す。この図は、中央(310)の正方形の領域の周りに形成されたクラスタを備えた正方形のドーナツのように見えるパターンで、チップ(300)上に並べられた32のクラスタ化したエミッタ源を備えた送受信機で可能な密度を例証している。他の多くの構成を本明細書に記載されたように使用することができる。実施形態の例証されたデザインは、高密度であるものの小さなエミッターチップを可能にする。エミッターチップは正方形の領域(310)に位置し、構造物の周辺部のまわりに多くの検出器やサポートチップ(306)を置くことを可能にする。横方向のインピーダンス増幅器のように、サポートチップは、チップレイアウトや集積ハイブリッドチップのレイアウトの当業者に知られている多くの方法で、1つのチップ上に並べられ、検出器に送られ得る。チップは基板の穴を通って接続することもできる。パッシブチップまたはアクティブチップの冷却技術がこの構成とともに使用することができる。
【0016】
図3は、一致する対の1つの送受信機の実施形態を示しており、構成(300)でまとめられた並列に駆動されるクラスタ素子のアレイは、米国特許番号7,949,024号に記載されたようなレーザー光源技術を用いて、対応する検出器アレイ(304)に容易に光学的に伝えられる。素子のそれぞれのクラスタは、それ自体が単一素子(308)のアレイであり、自らの供給源で駆動されるそれぞれのクラスタは強力なレーザー光源を提供し、レーザー光源は、検出器の位置にわたって大きな「不鮮明な」領域(312)を撮像することを可能にする豊富な電力によって、リンクバジェットや関連する公差の設計上の問題を克服し、基板から基板までの緩いアライメント公差を可能にする。このことにより、回路基板間の光通信用のプラグ・アンド・プレイ構造が向上してもよい。
【0017】
(強度変調)
図3のクラスタ(308)のそれぞれの内部で形成された、同一出願人による米国特許公報2011/0148328 A1号に記載された技術からのバイナリ重み付けアレイは、1つのクラスタに合わせて検出器で画像を映すことができる任意の妥当な数のサブクラスタに、デジタル強度変調(Amplitude Shift Keying)を用いることによって、追加データをそれぞれのチャネルにエンコードするために使用されてもよい。したがって、バイナリーデータは、バイナリーデータ中のビット位置に強度レベルを関連付けることによりエンコードされてもよい。1つの実施形態では、最小有効ビット(「LSB」)は最低強度レベルに関係している。したがって、有効にエンコードすることができるビット数は、最小のリンクバジェットよりも大きなLSB信号を有する受信端と、レベル識別回路の制度に主に依存している。上記の拡散素子は、検出器の不鮮明な領域にそれぞれのエミッターサブクラスタの異なる電力レベルを平等に分配するために理想的である。
【0018】
高い周波数応答を有するか、あるいは、パワー・ロールオーバー(power rollover)に近づくまで電流バイアスが増加するにつれ速くなるVCSELは、強度変調を向上させてもよい。VCSELは、高速性能のために完全に作動させることが好ましい。通常、強度変調は、レーザーとは異なる強度レベルを達成するためにアナログ信号レベルを使用することによって達成され、したがって、下位のレベルはデータ送信システム全体を遅らせることになる。異なるアレイを(歪みを減らすために)その最も高いバイアスまでオンにして、選択されたグループを、強度レベルを変更するために使用できるようにすることで、強度変調を用いて非常に高い帯域を達成することが可能となる。
【0019】
図4は、3つの別々のバイナリ重み付けサブクラスタに分けた個々のクラスタグループを示している。それぞれのサブクラスタのレーザー出力は、単一の素子の出力を2倍にすることによって、あるいは、バイナリ法でサブクラスタの出力を高めるために素子の数を調節することによって、バイナリ法で増加する。サブクラスタはそれぞれ、他のサブクラスタとそのドライバから独立したそれ自体のドライバーソースによって制御される。このようにして、ビット(サブクラスタ)の任意の組み合わせは制御することができ、それによって、各クロックパルス中にエンコード可能である。同じパルスタイミング中に異なるサブクラスタまたはその組み合わせをオンにすることは、強度レベルの増加を意味し、これは、レベル識別回路によって、異なるエンコードレベルとして特定され得る。この場合、グループ(400)は2つのVCSELエミッタを有し、グループ(402)は4つのVCSELエミッタを有し、グループ(404)は8つのVCSELエミッタを有している。この例におけるエミッタのそれぞれは、隣接するエミッタと同じ出力に近いと仮定される。ホログラフィック光学素子(406)は、ホット領域を強度の均一な混合ビームに分布させ、レンズ(408)は、単一パルスで作動するアレイのどのグループの出力も半平行にする。
【0020】
様々なグループを作動させるため、検出器が、最小有効ビット(LSB)レベルと最大有効ビット(MSB)の強度レベルの間の差を検出するために、ダイナミックレンジを有しているという条件で、以下のデータ情報をビーム強度レベルによって配向することができる。
000−クロックパルスの間、グループはない
001−クロックパルスの間、グループ(400)だけが作動する。
010−クロックパルスの間、グループ(402)だけが作動する。
011−同じクロックパルスの間、グループ(400)および(402)が作動する。
100−クロックパルスの間、グループ(404)だけが作動する。
101−同じクロックパルスの間、グループ(400)および(402)が作動する。
110−同じクロックパルスの間、グループ(402)および(404)が作動する。
111−同じクロックパルスの間、グループ(400)、(402)、および(404)が作動する。
【0021】
これらの構成は、8つの別々のデータコードを1つのパルスによって中継することを可能にする。好ましい実施形態は、この強度変調技術を使用することができるが、必ずしも必要なわけではない。例えば、グループを定義することなく、あるいは、グループとエミッタで1対1の関係を有することによって、強度変調も達成してもよい。
【0022】
追加の実施形態は、波長分割多重または高密度波長分割多重を採用し、それぞれの特定の波長は、その波長のそれぞれのパルスの各々でエンコードされたビットストリング情報と、データを送信するために多くの近接した直交副搬送波信号が用いられる直交周波数分割多重などの他の光多重化方式を有している。この性質のデバイスは非常に速いデータ転送速度を備えている。さらに、周波数の倍加は本実施形態では必要ではない。長く目に安全な波長を得るために周波数の追加を採用してもよく、これは、高出力のレーザー伝搬が採用される際に重要な因子である。
【0023】
別の実施形態では、高度に分解されたデータパルスを形成するために、任意の数の光源および/またはエミッターチップによって作られた任意の数の波長またはビームが、1つ以上の光学素子によって組み合わされてもよい。そのようなデバイスは、サイズ、焦点距離、結合レンズのみの影響を受けるビット情報容量と、検出のダイナミックレンジの限界に従って定義可能なサブグループの数が潜在的に無制限である。
【0024】
(ビームステアリング)
実施形態において、レンズの後ろのフォトニック素子のアレイまたはクラスタは、フォトニック素子から放射されたビームが様々な位置でレンズに当たるように、指向性を提供する。ビームステアリングは、アレイの素子を選択的に活性化することによって達成されてもよい。これにより、非機械的な光学アライメントを可能にし、それにより、過剰なジンバル移動を減らすか除去し、エネルギーを保存し、そして、信頼性を高める。ビームステアリングはこの技術を駆使して達成されてもよい。一次元および二次元の指向性は、一次元のアレイまたは二次元のアレイをそれぞれ用いることによって、達成されてもよい。
加えて、360°のカバレッジは、マルチセクタ、例えば、外部に面したアレイの六角形、球状、または、他の三次元の配置を採用することで達成されてもよい。
【0025】
(データセンター環境における光スイッチ)
追加の実施形態は、レンズの後ろにフォトニック素子を採用する光スイッチ用途を考慮に入れている。この実施形態では狭いビームは好ましいこともある。データセンターラックでは、この技術を採用する光スイッチが置かれてもよく、その結果、光スイッチから放射された狭いビームは、ラック内の定義された位置に達することがある。例えば、
図5で見られるように、スイッチは、マルチレンズアレイを採用してもよく、ラックの頂部に置かれてもよい。1つの実施形態において、装置ラック(equipment rack)(500)は、ラックの天井であることもある表面(504)に取り付けられた光スイッチ(502)をその内部に含んでもよい。検出器(508)は表面(506)に取り付けられてもよく、表面はラックの内部であるか、または、ラックの壁であってもよい。光スイッチ(502)と検出器(508)は、光スイッチ(502)と検出器(508)の間の光通信が、例えば、光スイッチ(502)と検出器(508)の間の見通し線を維持することで妨害されないように置かれる。この配置により、正確なデータを示すビーム(data shower beams)がラック内の定義された位置でサーバー接続に達し、ケーブルのないラックが可能となる。天井の配置が
図5に例証されているが、光スイッチ(502)は、ラックの床に取り付けることができ、または、ラックの構成と、ラックのどの部分がビームにもっとも明瞭な見通し線を提供したかに依存して、床と天井の中間のどんな場所にも取り付けることができる。
【0026】
他の実施形態は、スタート、デイジーチェーン、リング、メッシュのような様々なリンクジオメトリを採用して、様々なネットワークトポロジーを可能にする。ラックの配置、気流、および電気ケーブルなどの様々な因子が見通し線の障害を形成することもあるが、これらの障害は適切なリンクジオメトリの選択により克服されることもある。適切なリンクジオメトリは、ネットワークトポロジーだけでなく、水平な寸法と垂直な寸法の両方における正確な位置付けを含んでもよい。例えば、
図6に描かれたデバイスは、光子アレイを、ラックの上に適切な距離で位置付けるために採用されてもよい。光スイッチまたは送受信機(600)は、複数面を有する構造(602)に取り付けられてもよい。該構造は、6つの面を有するように示されているが、多くの異なる面を備えた多くの異なる構造を有するように構成可能である。取り付けシステムは、光スイッチまたは送受信機(600)のアライメントまたは再配向をサポートしてもよい。例えば、
図6の下部に示されているように、側方の観点から示されている複数面構造(602)は、回転または高さの調節を可能にする支持構造(604)によって、ラック(606)に接続されてもよい。さらに、光スイッチ(600)は、スイッチ(600)から、検出が見られる特定の位置までビームを放射するよう導くために、サブアレイのグループの前に位置付けられたレンズを備えたサブアレイのアレイから形成されてもよい。これにより、別の自由度が可能となり、ビームの自動アライメントが可能となってもよい。正確なレンズ設計と組み合わせたアレイのこれらのサブグループは、自動化されたビームのアライメントが走査および受信方式によって行われる小さな領域をカバーしてもよい。
【0027】
データセンター内の実施形態を用いることによって、リンクバジェットが改善される。
ビームのより正確なアライメントにより、視野が狭まり電力要件が緩和され、高帯域が可能となる。データセンター内で使用される時、実施形態は、自由空間光通信ネットワーク上で、少なくともギガビット/秒のスループットを達成することができる。
【0028】
マクロスケールでは、すべての周波数が大気中で伝搬するとは限らない。霧、塵、雨、または雪のような浮遊粒子状物質は、光波の伝搬を妨害することもある。しかしながら、データセンターでは、ほとんどの周波数は十分によく伝搬し、粒子状物質は通常問題ではない。
【0029】
40Gb/s以上の高い総帯域幅は、多重化を介して達成されてもよい。波長分割多重により、複数の光波長を同じ光路に置くことができる。ソースの構成が覆われている場合、より大きな出力密度が生じる。ソースの構成は、角度の分離を可能にするタイル状であってもよい。1つの実施形態は、
図7で描かれているように、周波数多重化、または、単一の波長による空間および角度の多重化を採用してもよい。例えば、積み重ねられたエミッター(700)は、多周波でレーザー出力を放出し、レンズ(706)の表面に当たり、光路(708)を辿ってもよい。積み重ねられていないエミッタ(702)および(704)は、同じまたは異なる波長の周波数を放射し、その出力がレンズ(706)に当たり、光路(710)および(712)をそれぞれ辿ってもよい。ビームサイズは空間的なチャネル密度と角度分解能の両方を決定する。
【0030】
(光スイッチのための高速高出力アレイ)
VCSELデバイスのアレイは、高速スイッチマトリックスで使用されてもよい。情報は、100Gb/sのファイバー接続のような単一のソースによって、スイッチに供給されてもよい。ルーティングする必要のある情報のパケットはそれぞれ、パケットを適切な出力チャネルにルーティングする標準的なルーティングチップによって分離される。
【0031】
出力チャネルからの信号は、単一のVCSELデバイスまたはVCSELデバイスのアレイに接続される高速電流ドライバによって増幅されてもよい。これらの各々は大きなアレイの一部であり、その大きさは、どれだけ多くのチャネルが全体的なスイッチネットワークで利用可能であるかを定義するものである。
【0032】
レーザーデバイスの出力は、レンズ、レンズのアレイ、または、光ファイバーなどの光学素子のパターン上に光学素子を介して撮像される、制御された距離によって分けられる。それぞれの小素子の信号はその後、その単一の光チャネルまたはファイバーチャネルに入れられる。様々な目的のためにレーザービームの経路内部で展開可能な追加の光学素子は、少し名前を挙げるとすれば、拡散体、ミラー、およびMEMSデバイスを含んでいる。
【0033】
光チャネルまたはファイバーチャネルはさらにアレイを形成する。このアレイの出力は、少なくとも2つの方法で束ねられてもよい。最初に、アレイの出力は検出器のアレイに向けられてもよく、それぞれの検出器の信号は再変換され光信号になり、ファイバーに注入される。ファイバーは、単一のファイバープラグなどの光プラグ、または、他のタイプの光終端部まで進んでもよい。次に、光スイッチアレイの出力は、光学素子またはファイバーに直接注入されてもよい。
【0034】
検知可能な信号で終わるために、構成のリンクバジェットが分析されなければならない。多くの例において、システムの開始時にパワーが不足している。余分な電力は信号の品質を向上させ、ビットエラーレートを改善するだろう。したがって、それぞれの小素子をできるだけ高い電力レベルで操作することが望ましいこともある。
【0035】
1つの実施形態が
図8に描かれている。多くのVCSELアレイ(802)、(804)が表面(800)に取り付けられてもよい。VCSELアレイ(802)からの出力は、レンズ(806)を通り、ボール・レンズ(808)に当たり、ボール・レンズ(808)は、光ファイバーであってもよい経路(812)につながれることもある。同様に、VCSELアレイ(804)からの出力は、レンズ(806)を通り、ボール・レンズ(808)に当たり、ボール・レンズ(808)は異なるチャネル(810)につながれてもよい。
図8に描かれている線は、出力がレイトレーシングを意味しておらず、むしろ、単に位置上の撮像関係を意味することを表している。
【0036】
(家庭と職場用の目に安全な光ネットワーク)
多くの用途は、自由空間光通信の本明細書に開示された形式を利用してもよい。例えば、出力密度が目に安全な大きな領域にわたって出力密度を広げるための送信機を用いて、1つ以上のエミッタ/受信機がテーブルトップに埋め込まれ、光信号は透明な保護カバーを備えたカウンタまたは表面に達し、その結果、デバイス上のまたはデバイスに埋め込まれたエミッタ/受信機を有するモバイルデバイスが、テーブルトップに配され、および、1Gから10Gのデータソースに自動的につながれるようになる。同じ目的で部屋の他の位置または表面の周りに置かれているエミッタ/受信機を含む、多くの他の物理的な構成も可能である。例えば、レーザー・エミッター・クラスタは、第1の面と第2の面を備えた透明な平面として形作られた光学素子に、レーザービームを放射し、第1の面がレーザービームを受け取り、レーザービームの出力密度を目に安全なレベルまで減らすのに十分な第2の面の領域にわたって、レーザービームの出力を広げる。
【0037】
信号の適用領域が広範囲であるため、いかなるアライメントも必要ないことから、実施形態はこの主の操作を容易にする。加えて、失ったり、押しつぶされたり、盗まれたりする配線で接続された接続部がない。このタイプのパブリックアクセスネットワークは、ケーブルを用いず、ずっと容易である。送信機は、INTELまたは他のプロトコルからのTHUNDERBOLT技術を駆使することができる。これらの送信機は、より広い転送領域のためのより多くの電力を必要とする。
【0038】
1メートルを超える距離の自由空間光通信は、受信の位置決めを容易にするために広範な適用領域と組み合わせて、目に安全な操作用のために制限された光パワー密度を必要とする。これらの要件は、様々な使用分野で必要とされる高出力と高速を提供することができるデバイスを制限している。
【0039】
十分な帯域幅と出力密度が、光信号に様々な使用分野を提供する高出力で高速なデバイスによって可能であるため、単一のリンクは、複数のチャネルを経由してデータを転送し、あるいは、同時に多くのユーザーの役に立っている。レンズの後ろのサブグループのアレイは、別のビームが別の領域に対して位置付けられ得るように、切り替えられてもよい。自由空間光(Free−Space Optical)MIMO(マルチ入力−マルチ出力)検出器とも呼ばれる検出器アレイは、信号をどこに送る必要があるかを特定するために、および、その具体的な領域に信号を送るために並べられてもよい。複数のサブグループアレイは、任意の1つの時系列で機能的であってもよく、これにより、複数のユーザーへの同時通信リンクが可能となる。複数のユーザーのための別の実施形態は、上記と同じMIMO検出器方式によって波長分割多重を採用してもよいが、多波長に高感度なフィルタ処理した入力によって、入力と出力の両方の異なる波長で多重チャネルを用いて感知および反応する
能力を採用してもよい。
【0040】
1つ以上の送信機が、光ファイバーケーブル、高速イーサネット(登録商標)ケーブル、またはビデオソースなどのデータソースに接続されてもよい。
【0041】
送信機は、信号入力インターフェース、パッケージ化VCSELアレイ、VCSELドライバ、および、制御および増幅電子装置からなってもよく、送受信機を作る受信機の部品と電子機器、および、適切なビームを成形する光学系を、1つの共通するハウジング内にすべて含めてもよい。他の部品は、光パワー密度を目に安全なレベルに分散する光学部品と、ビームの直径と自由空間領域中のビームの分散を制御するレンズを含んでもよい。
【0042】
送信機と受信機のハウジングは、単純なプラスチックで成型された眼球型のソケット方式を用いて、互いの方を向いてもよい。送信機または送受信機は、調整可能なグーズネックランプ型の構成によって、受信機または送受信機の方に向けられてもよい。送信機および受信機はそれぞれ、単純な低電圧直流電源から、または、電池からでさえ作動してもよい。送信機/送受信機は、照明、安全センサー/セキュリティセンサー、ビデオカメラ、およびセキュリティクラクションなどの他の天井に備え付けの設備と連結して設置されてもよい。
【0043】
VCSELアレイは、グループ(連動した)として、あるいは、1つ以上のサブアレイ、つまり、1つ以上の素子のそれぞれが独立して信号駆動され、アレイ全体を横切って位置を移動するアドレス指定可能なアレイとして、動作してもよい。
【0044】
送信機は、1つ以上の受信機に、データの幅広ビームを送る「ブロードキャスト」モードで作動してもよい。
【0045】
送信機は、1つ以上の受信機に狭いビームを送る「ビーム放射(beaming)」モードで作動してもよい。
【0046】
送信機は、サブアレイがVCSELアレイ全体で順に動作するパンニングモードで作動してもよく、これが自由空間中の角運動に翻訳される。
【0047】
システムは、単信回線の(一方向性)リンク、または、全二重(双方向)リンクとして構成されてもよい。後者の場合、光リンクの各端部にはVCSELアレイと1つ以上の検出器がある。
【0048】
検出器アレイが用いられる場合、最も強い信号を有する検出器アレイまたはサブアレイは、優先して着目するために、隣接する送信機に対する「ハンドオフ」のために、所望の送信機から離れた受光光学系の角度の軽微なミスアライメントに対応するために、もっとも近い送信機を示すものとして選択されてもよい。
【0049】
送信機は職場の天井に置かれてもよく、各々が距離をおいて配されるため、送信機は信号の過度な重なりがなく、受信機において十分な適用領域を有する。
【0050】
送信機は、照明用ポールなどの垂直な支持部の中央に置かれてもよく、それぞれの送信機は空間のそれ自体角度をなす領域をカバーする。
【0051】
受信機は、集光デバイス、検出器、増幅用の電子機器、および適切な出力インターフェースからなるものであってもよい。
【0052】
集光デバイスは、撮像レンズ、または、円筒状の放物面集光器などの非撮像デバイスであってもよい。
【0053】
受信検出器では、データは、光ファイバー、イーサネット(登録商標)、デジタルビデオケーブル、あるいは、Wi−Fiなどの無線のローカルデータ伝送方式に伝えられてもよい。
【0054】
受信機は、ケーブルまたは無線通信で多くのローカルユーザーに超高帯域幅を分布する、デジタルスイッチまたはルーターへと直接組み込まれてもよい。
【0055】
受信機は、高帯域幅リンクを必要とするコンポーネントに直接一体化されてもよい。
【0056】
ダウンリンク対アップリンクに必要な帯域幅の非対称性の可能性が高いため、代替ケーブルまたは無線通信のアップリンクが使用されてもよい(Wi−Fi、BPL、イーサネット(登録商標)など)。
【0057】
必要とされている送信機の波長以外の他のすべての波長を抑制するために、送信機の波長用の光学フィルタが受信端で使用されてもよい。単一の送信機における多波長リンクが使用されてもよい。
【0058】
浮遊反射信号干渉を除去しやすくするために、偏光したVCSELアレイが受信機の偏光フィルタと連動して使用されてもよい。
【0059】
受信機における光制限経路の目隠しは、入射信号以外の異なる角度で入ってくる浮遊反射信号を除去してもよい。
【0060】
多数の送信機または送受信機は異なる位置から使用されてもよく、最良の信号受信のための三角測量による測位グリッドを可能にし、あるいは、信号のブラックアウトが物体を移動させるのを防ぐ。
【0061】
窓のフィルタは、データが建物から出ないようにするために使用されてもよい。送信機または送受信機は、壁、床、天井、または対象に取り付けられてもよい。送信機または送受信機は、屋根裏の非常に狭い空間に取り付けられてもよく、あるいは、2点間領域にアクセスするのが困難であってもよい。送信機または送受信機はパイプに取り付けられてもよい。送信機または送受信機は、煙突に取り付けられてもよい。
【0062】
(追加の実施形態)
多くの追加の実施形態が可能である。例えば、1から1000までの対の送受信機のそれぞれ一致する対は、任意の数のレイアウト構成でこの技術を駆使してもよい。
【0063】
素子のクラスタは、単一のチャネルとして駆動されてもよく、あるいは、それぞれの送受信機チャネルの強度変調のために構成されてもよい。
【0064】
底部発光アレイ(bottom emitting array)は米国特許番号7,949,024号で開示されている。しかしながら、フリップチップ構成の底部発光アレイ、または、頂部発光アレイ、または、頂部発光アレイのグループは、多素子発光デバイスに使用されてもよい。
【0065】
単一の二重送受信機は、米国特許番号7,949,024号で言及されたアレイVCSEL技術を駆使して、基板対基板の自由空間光通信に使用されてもよい。
【0066】
単なる正方形や長方形のパターンの代わりに、ほとんどの形状の二次元パターンが形成されてもよく、円形の光学素子を用いた方がよりよく機能することもある。
【0067】
任意の数のクラスタまたはエミッタを備えた一次元アレイが、単一のまたは二次元のアレイ以外の構成で使用することができる。
【0068】
クラスタを形成し、同じパターンのアレイに撮像するために、任意の数のパターンを使用することができる。
【0069】
異なるエミッタまたは複数のエミッタを選択して、その選択したチャネルにデータを送信することによって、どのチャネルがデータパルスを受け取るのかを選択するために、一次元または二次元のアレイをバックプレーンとして用いることができる。データを特定のチャネルに送る必要がある場合、アレイ全体の前の撮像レンズまたは投影レンズを介してそのチャネルとすでにアライメントしている適切なエミッタが選択される。実施形態は、適切な撮像光学系による高速データ通信用途に、より長い距離で使用することができる。
【0070】
図3において上で言及したエミッタアレイ(300)は、同じ高速かつ高出力技術から形成することができ、あるいは、上記したように、基板に設計される代わりに、基板にフリップチップされる。
【0071】
フリップチップしたエミッタは、エミッタ向けの波長分割多重能力と、検出器向けの波長の適切なフィルタリングを可能にする、異なる波長であり得る。
【0072】
高出力ビームは、より大きな受信領域に広がることができ、あるいは、多くの検出器がある領域上の他のエミッタービームと重なることができる。これらの重なるビームの信号を異なる波長のエミッタクラスタを区別するために、多波長のエミッターチップと連動して、検出器をカバーするフィルタを使用することができる。
【0073】
送信機または送受信機は、高速の長距離用途に使用されてもよい。
【0074】
送信機または送受信機は、衛星間で使用されてもよい。
【0075】
送信機または送受信機は、電柱、または、建物の屋上に取り付けられてもよい。
【0076】
送信機または送受信機は、よりよい送信角度のために垂直なポールに取り付けられてもよい。
【0077】
送受信機の受信機部分は、レーザービームの束がアライメントを達成しやすくするために1つの領域中の集光レンズと検出器をオーバーフィルするように構成されているとき、可能なすべての光パワーを、あるいは、少なくとも余分なレーザーエネルギーを回復させることができるように、光電池または「太陽電池」を検出器のまわりに有してもよい。
【0078】
上に言及された光起電力デバイスは、出力および/またはデータ通信を送信するために、基地局またはデバイスから光学的に送信される電源であってもよい。
【0079】
1つの実施形態において、任意の数の列を備えた直線アレイがデータ送信に使用されてもよい。たとえパルスが同じまたは同様の波長を有していても、任意の数の列またはすべての列が同時にオンされてもよい。各列の出力位置は、他の列に関連して、波長分割多重または高密度波長分割多重に、次元の要素を加える。
【0080】
別の実施形態において、1次元のアレイが単一の波長パルスを発生させるものとして用いられ、それは、同じまたは異なる波長の他のソースと組み合わされる。組み合わせた波長の出力パルス強度は、垂直および水平に走査され、データの送信を可能にする。
【0081】
別の実施形態では、VCSELアレイの速度とデータ転送速度は、米国特許7,949,024号に記載されているように、フリップチップ技術と、各サブアレイまたは素子のまわりに導波管が形成された高速アレイ用の設計を採用することで、増加させることができる。