特許第6793684号(P6793684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793684
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】電源回路遮断装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20201119BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   H01R13/629
   H01R13/639 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-116169(P2018-116169)
(22)【出願日】2018年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-220327(P2019-220327A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古郡 統
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−006757(JP,A)
【文献】 特開2013−143180(JP,A)
【文献】 特開2012−243559(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/182601(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに嵌合及び離脱される第2コネクタハウジングと、
前記第2コネクタハウジングに回動可能に支持され、離脱操作位置と本嵌合操作位置との間で回動されることにより、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを互いに離脱可能な離脱可能状態と完全嵌合された本嵌合状態とするレバーと、
前記レバーが前記本嵌合操作位置と前記離脱操作位置との間の仮嵌合操作位置に配置されて前記第1コネクタハウジングに対して前記第2コネクタハウジングの一部が嵌合された仮嵌合状態で前記レバーを前記第2コネクタハウジングにロックするサブロック部と、
前記本嵌合状態及び前記仮嵌合状態でオン状態となり、前記離脱可能状態でオフ状態となるメインスイッチ部と、
前記本嵌合状態でオン状態となり、前記仮嵌合状態及び前記離脱可能状態でオフ状態となるサブスイッチ部と、
前記レバーに設けられ、前記サブロック部による前記レバーのロックを解除させるロック解除部と、
を備え、
前記レバーは、一端が前記第2コネクタハウジングの側面に回動可能に支持された一対のアーム部と、前記一対のアーム部の他端側を連結する連結部とを備え、
前記サブロック部は、前記第2コネクタハウジングに形成されたサブロック爪と、前記連結部に形成されて前記仮嵌合操作位置で前記サブロック爪を係止するとともに、前記ロック解除部が押圧されることで前記サブロック爪から離間される係止爪とを備え、
前記ロック解除部は、
前記連結部における前記第2コネクタハウジング側に設けられ、
前記レバーが前記本嵌合操作位置に配置されることで、前記第2コネクタハウジングの側面に近接した対向位置に配置され、
前記レバーが前記仮嵌合操作位置に配置されることで、前記第2コネクタハウジングの上面側に配置されて、前記第2コネクタハウジング側から露出状態となり、前記本嵌合状態において周囲が覆われて非露出とされる
ことを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項2】
前記ロック解除部は、前記レバーにおける前記本嵌合操作位置へ向かう回動方向前方側に設けられ、
前記第1コネクタハウジングは、前記レバーが前記本嵌合操作位置に配置されることで前記ロック解除部が収容される収容部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路遮断装置。
【請求項3】
前記係止爪は、前記ロック解除部の両側に形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源回路遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド車等の車両には、電気系統のメンテナンス等での作業安全性を確保するために、電源と負荷との間の通電を遮断するサービスプラグといわれる電源回路遮断装置が設けられる。この種の電源回路遮断装置としては、電源回路スイッチと信号回路スイッチのオン・オフにタイムラグを持たせ、信号回路スイッチのオフ後の残留電流に起因するスパークやアーク等の発生を抑制するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−62043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコネクタでは、ハウジング同士を着脱させる際に回動操作されるレバーを回動途中で係止させることで、電源回路スイッチがオフ状態となる前に信号回路スイッチをオフ状態とするサブロック部を備えている。
【0005】
しかし、このコネクタでは、サブロック部のロックを解除させるレバーに設けられたロック解除部が常に外部に露出されている。したがって、ハウジング同士を離脱させるべくレバーを回動させる際に、外部に露出されているロック解除部を操作しながらレバーを回動させてしまい、電源回路スイッチと信号回路スイッチのオン・オフに十分なタイムラグが確保されなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、メインスイッチ部とサブスイッチ部とのオン・オフのタイムラグを確実に確保させ、サブスイッチのオフ後の残留電流に起因するスパークやアーク等の発生を良好に抑制できる電源回路遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電源回路遮断装置は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 第1コネクタハウジングと、
前記第1コネクタハウジングに嵌合及び離脱される第2コネクタハウジングと、
前記第2コネクタハウジングに回動可能に支持され、離脱操作位置と本嵌合操作位置との間で回動されることにより、前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを互いに離脱可能な離脱可能状態と完全嵌合された本嵌合状態とするレバーと、
前記レバーが前記本嵌合操作位置と前記離脱操作位置との間の仮嵌合操作位置に配置されて前記第1コネクタハウジングに対して前記第2コネクタハウジングの一部が嵌合された仮嵌合状態で前記レバーを前記第2コネクタハウジングにロックするサブロック部と、
前記本嵌合状態及び前記仮嵌合状態でオン状態となり、前記離脱可能状態でオフ状態となるメインスイッチ部と、
前記本嵌合状態でオン状態となり、前記仮嵌合状態及び前記離脱可能状態でオフ状態となるサブスイッチ部と、
前記レバーに設けられ、前記サブロック部による前記レバーのロックを解除させるロック解除部と、
を備え、
前記レバーは、一端が前記第2コネクタハウジングの側面に回動可能に支持された一対のアーム部と、前記一対のアーム部の他端側を連結する連結部とを備え、
前記サブロック部は、前記第2コネクタハウジングに形成されたサブロック爪と、前記連結部に形成されて前記仮嵌合操作位置で前記サブロック爪を係止するとともに、前記ロック解除部が押圧されることで前記サブロック爪から離間される係止爪とを備え、
前記ロック解除部は、
前記連結部における前記第2コネクタハウジング側に設けられ、
前記レバーが前記本嵌合操作位置に配置されることで、前記第2コネクタハウジングの側面に近接した対向位置に配置され、
前記レバーが前記仮嵌合操作位置に配置されることで、前記第2コネクタハウジングの上面側に配置されて、前記第2コネクタハウジング側から露出状態となり、前記本嵌合状態において周囲が覆われて非露出とされる
ことを特徴とする電源回路遮断装置。
(2) 前記ロック解除部は、前記レバーにおける前記本嵌合操作位置へ向かう回動方向前方側に設けられ、
前記第1コネクタハウジングは、前記レバーが前記本嵌合操作位置に配置されることで前記ロック解除部が収容される収容部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路遮断装置。
(3) 前記係止爪は、前記ロック解除部の両側に形成されている
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の電源回路遮断装置。
(4) 前記本嵌合操作位置に配置された前記レバーを前記第2コネクタハウジングにロックするメインロック部を備える
ことを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つに記載の電源回路遮断装置。
【0008】
上記(1)の構成の電源回路遮断装置によれば、本嵌合操作位置のレバーを離脱操作位置に向かって回動させると、レバーが仮嵌合操作位置でサブロック部によってロックされて回動が規制される。これにより、サブスイッチ部がオフ状態とされた後は、サブロック部によるロックを解除して仮嵌合操作位置のレバーを離脱操作位置へ回動させないとメインスイッチ部をオフ状態とすることができない。したがって、サブスイッチ部がオフ状態とされた直後にメインスイッチ部がオフ状態とされることで生じる残留電流によるアークやスパーク等の発生を抑制することができる。
そして、この本発明の電源回路遮断装置では、サブロック部によるロックを解除させるロック解除部が、本嵌合状態において周囲が覆われて非露出とされる。したがって、本嵌合操作位置のレバーを、ロック解除部を操作しながら回動させることができず、これにより、サブロック部によってレバーの回動を確実に仮嵌合操作位置で規制することができる。よって、メインスイッチ部とサブスイッチ部とのオン・オフのタイムラグを確実に確保させ、サブスイッチ部のオフ後の残留電流に起因するスパークやアーク等の発生を良好に抑制できる。
上記(2)の構成の電源回路遮断装置によれば、レバーを回動させて本嵌合操作位置に配置させることで、第1コネクタハウジングに設けられた収容部にロック解除部を容易に収容させることができる。そして、ロック解除部が収容部に収容されることで、本嵌合状態におけるロック解除部への接触をさらに確実に抑制でき、メインスイッチ部とサブスイッチ部とのオン・オフのタイムラグをさらに確実に確保させることができる。
上記(3)の構成の電源回路遮断装置によれば、本嵌合操作位置にレバーが配置されることで、ロック解除部が第2コネクタハウジングの側面に近接した対向位置に配置されるので、本嵌合状態におけるロック解除部への接触をさらに確実に抑制できる。また、レバーが仮嵌合操作位置に配置されることで、ロック解除部が第2コネクタハウジングの上面側に配置されるので、仮嵌合状態でロック解除部を押圧して係止爪をサブロック爪から離間させて容易にロックを解除させることができる。
上記(4)の構成の電源回路遮断装置によれば、メインロック部を備えることで、レバーの不用意な回動が規制されるので、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが互いに本嵌合した本嵌合状態に維持される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メインスイッチ部とサブスイッチ部とのオン・オフのタイムラグを確実に確保させ、サブスイッチのオフ後の残留電流に起因するスパークやアーク等の発生を良好に抑制できる電源回路遮断装置を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る電源回路遮断装置の第1コネクタハウジング及び第2コネクタハウジングの斜視図である。
図2図2は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが着脱操作状態とされた電源回路遮断装置の斜視図である。
図3図3は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが本嵌合状態とされた電源回路遮断装置の斜視図である。
図4図4は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが仮嵌合状態とされた電源回路遮断装置の斜視図である。
図5図5は、電源回路遮断装置の内部構造を示す図であって、図5(a)は電源回路遮断装置の幅方向に沿う断面図、図5(b)は電源回路遮断装置の長さ方向に沿う一部の断面図である。
図6図6は、レバーのロック機構を示す図であって、図6(a)はメインロック部を示す本嵌合状態の電源回路遮断装置の幅方向に沿う一部の断面図、図6(b)は、レバーを断面視した仮嵌合状態の電源回路遮断装置の側面図である。
図7図7は、本嵌合状態の電源回路遮断装置の長さ方向に沿う一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電源回路遮断装置の第1コネクタハウジング及び第2コネクタハウジングの斜視図である。図2は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが着脱操作状態とされた電源回路遮断装置の斜視図である。図3は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが本嵌合状態とされた電源回路遮断装置の斜視図である。図4は、第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとが仮嵌合状態とされた電源回路遮断装置の斜視図である。
【0013】
図1図4に示すように、本実施形態に係る電源回路遮断装置1は、第1コネクタハウジング10と、第2コネクタハウジング20とを備えている。第2コネクタハウジング20は、第1コネクタハウジング10に対して嵌合及び離脱される。第2コネクタハウジング20は、レバー40を備えている。レバー40は、第2コネクタハウジング20に対して回動可能に設けられており、このレバー40を回動させることで、第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10との間に嵌合力及び離脱力を付与する。そして、このレバー40の回動によって、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とは、挿抜方向Aに沿って移動されて互いに嵌合及び離脱される。
【0014】
この電源回路遮断装置1は、例えば、電気自動車やハイブリッド車などの車両において、電気系統のメンテナンス等での作業安全性を確保するため、電源部と負荷間の通電を遮断する、いわゆるサービスプラグである。具体的には、第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20が接合されることで、電源部と負荷間が通電可能とされ、第1コネクタハウジング10から第2コネクタハウジング20が離脱されることで、電源部と負荷間の通電が遮断される。
【0015】
第1コネクタハウジング10は、絶縁性を有する合成樹脂から成形されている。第1コネクタハウジング10は、外周へ張り出すフランジ部10aを有しており、このフランジ部10aをケースに固定することで電源装置等に取り付けられる。また、第1コネクタハウジング10の一端側には、フランジ部10aに、収容部19が形成されている。
【0016】
第1コネクタハウジング10は、上面が開放された収容筒部12を有している。収容筒部12は、平面視長円形状に形成されている。また、第1コネクタハウジング10の収容筒部12の両側部には、側壁部11が立設されており、これらの側壁部11には、第1コネクタハウジング10の他端寄りに、支点突起11aが形成されている。
【0017】
第2コネクタハウジング20は、絶縁性を有する合成樹脂から成形されたもので、外周筒部21と、外周筒部21の内側の嵌合部22とを有している。第2コネクタハウジング20には、外周筒部21の両側面に、一対の支持軸23が突設されている。第2コネクタハウジング20の外周筒部21の両側面における一端寄りには、一対のメインロック突起28が形成されている。また、第2コネクタハウジング20の外周筒部21の一端には、一対のサブロック爪29が形成されている。これらのサブロック爪29は、第2コネクタハウジング20の上部から外側へ張り出している。
【0018】
第2コネクタハウジング20の嵌合部22は、第1コネクタハウジング10の収容筒部12の外形よりも僅かに小さな平面視長円形状に形成されている。第2コネクタハウジング20は、嵌合部22が第1コネクタハウジング10の収容筒部12に嵌合されるように、収容筒部12の上方から嵌め込まれる。そして、この嵌合部22を収容筒部12に嵌め込むことで、収容筒部12が嵌合部22と外周筒部21との間に入り込む。
【0019】
図5は、電源回路遮断装置の内部構造を示す図であって、図5(a)は電源回路遮断装置の幅方向に沿う断面図、図5(b)は電源回路遮断装置の長さ方向に沿う一部の断面図である。
図5(a)に示すように、第1コネクタハウジング10には、収容筒部12の内部に、導電性金属材料から形成された側面視L字状のバスバーからなる一対のメイン端子13が設けられている。メイン端子13は、その一端部が雄端子部14とされており、雄端子部14に対して直交する方向に延びる他端部が接続部16とされている。それぞれのメイン端子13の雄端子部14は、第1コネクタハウジング10の一部からなる絶縁板部17を挟んで配置されている。メイン端子13の接続部16には、電源装置等からの電源線2が接続されている。
【0020】
第2コネクタハウジング20には、その内部に、導電性金属材料から形成されたメインバスバー24が設けられている。メインバスバー24は、一対の接点板部25を有する側面視略コ字状に形成されている。メインバスバー24の接点板部25の間には、第1コネクタハウジング10のメイン端子13の一対の雄端子部14が挿し込まれる。このメインバスバー24の接点板部25間にメイン端子13の雄端子部14が挿し込まれると、メイン端子13に接続された電源線2同士がメインバスバー24を介して電気的に接続される。
【0021】
図5(b)に示すように、第1コネクタハウジング10には、収容筒部12の内部に、雌端子からなる一対のサブ端子18が設けられている。これらのサブ端子18には、信号線3が接続されている。
【0022】
第2コネクタハウジング20の嵌合部22の内部には、導電性金属材料から形成されたサブバスバー26が設けられている。このサブバスバー26は、一対の雄端子部27を有している。このサブバスバー26の雄端子部27は、第1コネクタハウジング10のサブ端子18に接続可能とされている。このサブバスバー26の雄端子部27がサブ端子18に接続されると、サブ端子18に接続された信号線3同士がサブバスバー26を介して電気的に接続される。
【0023】
このように、電源回路遮断装置1は、メイン端子13とメインバスバー24の接点板部25とからなるメインスイッチ部MSwと、サブ端子18とサブバスバー26の雄端子部27とからなるサブスイッチ部SSwとを備えている。この電源回路遮断装置1を備えた電源装置等では、メインスイッチ部MSwがオン状態とされて電源線2同士が電気的に接続されることで電源回路が形成され、サブスイッチ部SSwがオン状態とされて信号線3同士が電気的に接続されることで信号回路が形成される。そして、電源回路遮断装置1を備えた電源装置等では、メインスイッチ部MSwがオン状態となって電源回路が形成されたとしても、サブスイッチ部SSwがオン状態となって信号回路が形成されない限り電源回路を導通状態としないようになっている。つまり、メインスイッチ部MSwとサブスイッチ部SSwが共にオン状態となって初めて電源回路を導通状態とする。
【0024】
図1図4に示すように、レバー40は、合成樹脂から成形されたもので、一対のアーム部41と、連結部42とを有している。アーム部41は、一端側が連結部42によって連結されており、他端近傍に軸受孔44を有している。アーム部41の軸受孔44には、第2コネクタハウジング20の支持軸23が挿入されており、これにより、レバー40は、第2コネクタハウジング20に対して回動可能に支持されている。レバー40は、アーム部41の他端が湾曲面45を有する押圧部46とされている。
【0025】
第2コネクタハウジング20に回動可能に支持されたレバー40は、挿抜方向Aに沿った離脱操作位置(図1及び図2に示す位置)と、挿抜方向Aに直交する方向に沿う本嵌合操作位置(図3に示す位置)との間で回動する。
【0026】
図6は、レバーのロック機構を示す図であって、図6(a)はメインロック部を示す本嵌合状態の電源回路遮断装置の幅方向に沿う一部の断面図、図6(b)は、レバーを断面視した仮嵌合状態の電源回路遮断装置の側面図である。
図6(a)に示すように、レバー40には、それぞれのアーム部41における第2コネクタハウジング20側にメインロック片51が形成されている。メインロック片51は、アーム部41の延在方向に沿って形成されている。メインロック片51は、レバー40が本嵌合操作位置に配置された状態で、第2コネクタハウジング20のメインロック突起28を係止する。これにより、レバー40は、メインロック片51がメインロック突起28を係止することで、本嵌合操作位置でロックされる。そして、このメインロック突起28とメインロック片51とから、メインロック部MRが構成されている。
【0027】
図6(b)に示すように、レバー40には、連結部42にサブロック板部60が一体に形成されている。サブロック板部60は、ロック解除部61と、一対の係止爪62とを有している。サブロック板部60は、レバー40における離脱操作位置から本嵌合操作位置への回動方向前方側へ突設されている。係止爪62は、ロック解除部61の両側に形成されており、連結部42と反対側に設けられている。このサブロック板部60は、本嵌合操作位置のレバー40が離脱操作位置へ向かって回動される際に、その回動途中で係止爪62が、第2コネクタハウジング20に形成されたサブロック爪29を係止する。これにより、本嵌合操作位置から離脱操作位置へ向かって回動されるレバー40が回動途中で一旦ロックされる。レバー40は、回動途中でロックされる位置が仮嵌合操作位置(図4に示す位置)とされている。そして、このサブロック爪29と係止爪62とから、サブロック部SRが構成されている。また、サブロック板部60は、ロック解除部61を押圧することで弾性変形し、係止爪62がサブロック爪29から離脱して係止状態が解除され、仮嵌合操作位置でのレバー40のロックが解除される。
【0028】
図7は、本嵌合状態の電源回路遮断装置の長さ方向に沿う一部の断面図である。
図7に示すように、サブロック部SRは、レバー40が本嵌合操作位置に配置された状態で、ロック解除部61及び係止爪62を有するサブロック板部60が、第1コネクタハウジング10のフランジ部10aに形成された収容部19内に収容された状態となる。これにより、サブロック部SRは、本嵌合状態において、ロックを解除するために押圧操作されるロック解除部61が電源回路遮断装置1の内部に入り込んで接触できない状態とされる。
【0029】
次に、メインロック部MR及びサブロック部SRを備えた電源回路遮断装置1において、第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20を嵌合及び離脱させる場合について説明する。
【0030】
(嵌合させる場合)
第1コネクタハウジング10に第2コネクタハウジング20を嵌合させるには、第1コネクタハウジング10に対して、レバー40を離脱操作位置に配置させた第2コネクタハウジング20を近接させる。そして、第1コネクタハウジング10の収容筒部12に、第2コネクタハウジング20の嵌合部22が嵌め込まれた着脱操作状態とする(図2参照)。
【0031】
この着脱操作状態において、離脱操作位置のレバー40を本嵌合操作位置へ向かって回動させる。すると、レバー40の押圧部46の湾曲面45が第1コネクタハウジング10の側壁部11に形成された支点突起11aに当接して湾曲面45に対して摺動する。これにより、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に嵌合力が付与され、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10に引き込まれる。
【0032】
レバー40が本嵌合操作位置に達すると、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが互いに本嵌合した本嵌合状態とされる(図3参照)。この本嵌合状態で、レバー40のメインロック片51が第2コネクタハウジング20のメインロック突起28を係止し、レバー40の不用意な回動が規制される。つまり、メインロック部MRによって第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが互いに本嵌合した本嵌合状態に維持される。
【0033】
この本嵌合状態では、メインバスバー24の接点板部25がメイン端子13の雄端子部14に接続される。つまり、メインスイッチ部MSwがオン状態となり、メイン端子13に接続された電源線2同士がメインバスバー24を介して電気的に接続される。また、サブバスバー26の雄端子部27がサブ端子18に接続される。つまり、サブスイッチ部SSwがオン状態となり、サブ端子18に接続された信号線3同士がサブバスバー26を介して電気的に接続される。
【0034】
(離脱させる場合)
第1コネクタハウジング10から第2コネクタハウジング20を離脱させるには、本嵌合操作位置に配置されたレバー40を把持して引き上げる。すると、レバー40のメインロック片51が第2コネクタハウジング20のメインロック突起28から外れ、本嵌合状態を維持するメインロック部MRによるレバー40のロックが解除され、レバー40が離脱操作位置方向へ回動される。
【0035】
レバー40を離脱操作位置へ向かって回動させると、レバー40の回動に伴って、レバー40の押圧部46が第1コネクタハウジング10のフランジ部10aの表面に当接して摺動する。これにより、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に離脱力が付与される。したがって、第1コネクタハウジング10に対して本嵌合状態とされていた第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10から引き離されて離脱する方向へ変位する。
【0036】
回動させているレバー40が仮嵌合操作位置に達すると、サブロック部SRを構成するサブロック板部60の係止爪62が第2コネクタハウジング20のサブロック爪29を係止することで、レバー40が仮嵌合操作位置でロックされて回動が規制される。これにより、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが仮嵌合状態とされる(図4参照)。
【0037】
仮嵌合状態とされることで、サブ端子18からサブバスバー26の雄端子部27が引き抜かれる。つまり、サブスイッチ部SSwがオフ状態とされ、信号線3同士の電気的接続が解除される。なお、この仮嵌合状態では、メインバスバー24の接点板部25がメイン端子13の雄端子部14に接続された状態に維持される。つまり、メインスイッチ部MSwがオン状態のままとなり、電源線2同士の電気的接続状態が維持される。
【0038】
この仮嵌合状態からサブロック部SRのサブロック板部60のロック解除部61を押圧する。すると、ロック解除部61を押圧することでサブロック板部60が弾性変形し、係止爪62がサブロック爪29から離脱して係止状態が解除され、仮嵌合操作位置でのサブロック部SRによるレバー40のロックが解除される。
【0039】
サブロック部SRによるロックを解除したら、回動可能となったレバー40を再び離脱操作位置へ向かって回動させる。すると、レバー40の回動によって第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に再び離脱力が付与され、第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20が引き離され、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが離脱可能状態とされる(図2参照)。
【0040】
このように、仮嵌合状態から第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20が離脱する方向へ変位して離脱可能状態となると、メイン端子13の雄端子部14からメインバスバー24の接点板部25が外れる。これにより、メインスイッチ部MSwがオフ状態とされ、電源線2同士の電気的接続状態が解除される。
【0041】
その後、第1コネクタハウジング10から第2コネクタハウジング20を引き離すと、第2コネクタハウジング20の嵌合部22が第1コネクタハウジング10の収容筒部12から引き抜かれ、第1コネクタハウジング10から第2コネクタハウジング20が離脱される(図1参照)。
【0042】
このように、上記電源回路遮断装置1では、メインスイッチ部MSwは、メインロック部MRでロックされた本嵌合状態及びサブロック部SRでロックされた仮嵌合状態でオン状態とされ、サブスイッチ部SSwは、メインロック部MRでロックされた本嵌合状態でオン状態とされ、サブロック部SRでロックされた仮嵌合状態でオフ状態とされる。したがって、電源回路遮断装置1では、サブスイッチ部SSwがオフ状態とされて信号線3同士の電気的接続状態が解除された後、サブロック部SRによるロックを解除しないとメインスイッチ部MSwをオフ状態として電源線2同士の電気的接続状態を解除することができない。これにより、信号線3同士の接続解除直後に電源線2同士の接続が解除されることで生じる残留電流によるアークやスパーク等の発生を抑制することができる。
【0043】
ところで、サブロック部SRのロックを解除させるロック解除部61が常に外部に露出されていると、本嵌合操作位置のレバー40を離脱操作位置へ向かって回動させる際に、外部に露出されているロック解除部61を操作しながらレバー40を回動させてしまうことがある。すると、レバー40が、仮嵌合操作位置におけるサブロック部SRによる回動の規制が行われず、本嵌合操作位置から離脱操作位置へ回動され、本嵌合状態であった第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とがいきなり離脱可能状態とされてしまう。このため、メインスイッチ部MSwとサブスイッチ部SSwのオン・オフに十分なタイムラグが確保されず、残留電流によるアークやスパーク等の発生の抑制が不十分となるおそれがある。
【0044】
しかし、本実施形態に係る電源回路遮断装置1によれば、サブロック部SRによるロックを解除させるロック解除部61が、本嵌合状態において周囲が覆われて非露出とされる。したがって、本嵌合操作位置のレバー40を、ロック解除部61を操作しながら回動させることができず、これにより、サブロック部SRによってレバー40の回動を確実に仮嵌合操作位置で規制することができる。よって、メインスイッチ部MSwとサブスイッチ部SSwとのオン・オフのタイムラグを確実に確保させ、サブスイッチ部SSwのオフ後の残留電流に起因するスパークやアーク等の発生を良好に抑制できる。
【0045】
また、本実施形態に係る電源回路遮断装置1では、レバー40を回動させて本嵌合操作位置に配置させることで、第1コネクタハウジング10に設けられた収容部19にロック解除部61を容易に収容させることができる。そして、ロック解除部61が収容部19に収容されることで、本嵌合状態におけるロック解除部61への接触をさらに確実に抑制でき、メインスイッチ部MSwとサブスイッチ部SSwとのオン・オフのタイムラグをさらに確実に確保させることができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る電源回路遮断装置1によれば、本嵌合操作位置にレバー40が配置されることで、ロック解除部61が第2コネクタハウジング20の側面に近接した対向位置に配置されるので、本嵌合状態におけるロック解除部61への接触をさらに確実に抑制できる。また、レバー40が仮嵌合操作位置に配置されることで、ロック解除部61が第2コネクタハウジング20の上面側に配置されるので、仮嵌合状態でロック解除部61を押圧して係止爪62をサブロック爪29から離間させて容易にロックを解除させることができる。
【0047】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0048】
例えば、第1コネクタハウジング10側にカム溝を設けるとともに、このカム溝に係合するカムピンをレバー40に形成し、レバー40が回動された際に、カムピンがカム溝に沿って移動することで第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に嵌合力及び離脱力を付与させる構造であってもよい。
【0049】
ここで、上述した本発明に係る電源回路遮断装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 第1コネクタハウジング(10)と、
前記第1コネクタハウジング(10)に嵌合及び離脱される第2コネクタハウジング(20)と、
前記第2コネクタハウジング(20)に回動可能に支持され、離脱操作位置と本嵌合操作位置との間で回動されることにより、前記第1コネクタハウジング(10)と前記第2コネクタハウジング(20)とを互いに離脱可能な離脱可能状態と完全嵌合された本嵌合状態とするレバー(40)と、
前記レバー(40)が前記本嵌合操作位置と前記離脱操作位置との間の仮嵌合操作位置に配置されて前記第1コネクタハウジング(10)に対して前記第2コネクタハウジング(20)の一部が嵌合された仮嵌合状態で前記レバー(40)を前記第2コネクタハウジング(20)にロックするサブロック部(SR)と、
前記本嵌合状態及び前記仮嵌合状態でオン状態となり、前記離脱可能状態でオフ状態となるメインスイッチ部(MSw)と、
前記本嵌合状態でオン状態となり、前記仮嵌合状態及び前記離脱可能状態でオフ状態となるサブスイッチ部(SSw)と、
前記レバー(40)に設けられ、前記サブロック部(SR)による前記レバー(40)のロックを解除させるロック解除部(61)と、
を備え、
前記ロック解除部(61)は、前記本嵌合状態において周囲が覆われて非露出とされる
ことを特徴とする電源回路遮断装置。
[2] 前記ロック解除部(61)は、前記レバー(40)における前記本嵌合操作位置へ向かう回動方向前方側に設けられ、
前記第1コネクタハウジング(10)は、前記レバー(40)が前記本嵌合操作位置に配置されることで前記ロック解除部(61)が収容される収容部(19)を有する
ことを特徴とする[1]に記載の電源回路遮断装置。
[3] 前記レバー(40)は、一端が前記第2コネクタハウジング(20)の側面に回動可能に支持された一対のアーム部(41)と、前記一対のアーム部(41)の他端側を連結する連結部(42)とを備え、
前記サブロック部(SR)は、前記第2コネクタハウジング(20)に形成されたサブロック爪(29)と、前記連結部(42)に形成されて前記仮嵌合操作位置で前記サブロック爪(29)を係止するとともに、前記ロック解除部(61)が押圧されることで前記サブロック爪(29)から離間される係止爪(62)とを備え、
前記ロック解除部(61)は、
前記連結部(42)における前記第2コネクタハウジング(20)側に設けられ、
前記レバー(40)が前記本嵌合操作位置に配置されることで、前記第2コネクタハウジング(20)の側面に近接した対向位置に配置され、
前記レバー(40)が前記仮嵌合操作位置に配置されることで、前記第2コネクタハウジング(20)の上面側に配置される
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の電源回路遮断装置。
【符号の説明】
【0050】
10:第1コネクタハウジング
19:収容部
20:第2コネクタハウジング
29:サブロック爪
40:レバー
41:アーム部
42:連結部
61:ロック解除部
62:係止爪
MR:メインロック部
SR:サブロック部
MSw:メインスイッチ部
SSw:サブスイッチ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7