特許第6793721号(P6793721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793721
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】重車両用の制動装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20201119BHJP
   F16D 66/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B60T17/22
   F16D66/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-513655(P2018-513655)
(86)(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公表番号】特表2018-527244(P2018-527244A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016071865
(87)【国際公開番号】WO2017046265
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年6月26日
(31)【優先権主張番号】102015000052631
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514060514
【氏名又は名称】アイティーティー・イタリア・エス.アール.エル
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファーノ セッラ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエレ ドンゼッリ
(72)【発明者】
【氏名】マッティア ソラリ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ テッラノヴァ
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−063961(JP,U)
【文献】 国際公開第2014/170726(WO,A1)
【文献】 特開昭58−206458(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0192933(US,A1)
【文献】 特開2011−116237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00−17/22
F16D 49/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重車両用の制動装置(1)であって、複数のブレーキを備え、前記ブレーキの各々が、前記重車両の車輪に関連するブレーキディスク又はブレーキドラムに作用する支持体(3)及び摩擦ブロック(4)となるブレーキパッド又はブレーキシュー(2)を含み、
前記制動装置は、前記摩擦ブロック(4)と前記支持体(3)との間に設けられた温度センサ(5)と、前記複数のブレーキの過熱を防止するための安全装置とを備え、
前記安全装置は、アラームの発生手段(10)と、少なくとも前記温度センサ(5)及び前記発生手段(10)と通信する制御手段(11、12)と、を含み、
前記制御手段(11、12)は、少なくとも第1閾値温度を含むメモリ(13)と、比較器(14)とを含み、
前記比較器は、少なくとも前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)で検出された温度が前記第1閾値温度よりも高く、かつ少なくとも別の前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)で検出された温度が前記第1閾値温度よりも低い場合に、前記アラームの発生を有効にするように構成されており
前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)は、前記摩擦ブロック(4)と前記支持体(3)との間に設けられ、かつ前記制御手段(11、12)と通信する少なくとも補助センサ(6)を含み、少なくとも前記補助センサ(6)は少なくとも圧電セラミック圧力センサ及び/又は圧電セラミック剪断センサを含み、
前記比較器(14)は、所定の測定時間間隔において温度信号と少なくとも前記補助センサ(6)によって発生された信号との間に所定の相関がある場合にのみ前記アラームの発生を確認するように構成されていることを特徴とする、重車両用の制動装置(1)。
【請求項2】
少なくとも前記温度センサ(5)は、前記支持体(3)上に一体化された、電気絶縁された電気回路(7)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項3】
前記比較器(14)は、前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)と別の前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)で検出された前記温度間のリアルタイム比較のために構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項4】
前記比較器(14)は、少なくとも一つの前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)で検出された前記温度が前記第1閾値温度よりも高く、かつ残りの別の前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)で検出された前記温度が前記第1閾値温度よりも低い場合に前記アラームの発生を有効にするように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項5】
前記メモリ(13)は、前記第1閾値温度よりも低い少なくとも第2閾値温度を含み、前記制御手段(11、12)は、少なくとも前記ブレーキパッド又はブレーキシュー(2)で検出された前記温度が前記第1閾値温度と前記第2閾値温度との間に含まれる場合にプリアラームの発生を指示するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項6】
前記発生手段(10)は、音響的及び/又は可聴アラームを発生するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項7】
前記制御手段(11、12)は、複数の周辺電子制御ユニット(11)であって、前記周辺電子制御ユニットの各々が関連する前記ブレーキに配置された複数の前記周辺電子制御ユニット(11)と、前記複数の周辺電子制御ユニット(11)及び前記発生手段(10)と通信する中央電子制御ユニット(12)と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項8】
前記制御手段(11、12)は、少なくとも前記温度センサ(5)及び前記発生手段(10)と通信する中央電子制御ユニットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項9】
前記制御手段(11、12)は、車両のCANバス(コントローラエリアネットワーク)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項10】
前記温度センサ及び前記補助センサ(5、6)は、電気絶縁性保護層(9)によって覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【請求項11】
前記制御手段(11、12)は、前記車両の運動からエネルギーを吸収するように構成された電気エネルギーサプライヤを含むことを特徴とする、請求項1に記載の重車両用の制動装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重車両用の制動装置、及び走行重車両のブレーキの過熱を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば連結された車両等の重車両のコンテキストにおいて特に重要な問題は、走行中、特に制動システムを要する条件下で生じる場合がある、最も危険で頻繁な制動システムの故障モードのうちの1つを表す、いわゆる「ホットランナー」の現象に関する。この現象は、望ましくない連続的な制動条件をもたらすディスクに対してロックアップするブレーキキャリパの不具合にあり、制動システムへの極めて重大なダメージ、並びにディスクとブレーキパッドとの間の一定の摩擦により引き起こされる過剰な加熱のためのタイヤの破裂を生じる場合がある。
【0003】
国際公開第2014/170726(A1)号では、車両制動システムは、制動要素、特に感知化されたブレーキパッドを含むことが周知である。ブレーキパッドは、高温で動作し、機械的応力に曝された場合に電気信号を発生するように設計された、少なくとも圧電セラミックセンサを一体化するという特殊性を有する。このように構造化されたブレーキパッドは、外部エネルギー源を要することなく、パッドとブレーキディスクとの間のインターフェースで発生する場合がある機械的応力の存在と程度を、簡単で経済的な方法で検出することができる。このようなブレーキパッドは、最終的に、振動とノイズのような現象を排除するため、かつ異常な動作条件を報告するために制動を調べる可能性を許容する。
【0004】
しかしながら、国際公開第2014/170726(A1)号に記載される制動装置は、「ホットランナー」の現象の検出及び防止には適切でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明により提示する技術的課題は、重車両用の制動装置、及び走行中に重車両のブレーキの過熱を防止する方法を提供することであり、従来技術の技術的欠点を排除することを可能にする。
【0006】
この技術的課題のコンテキストにおいて、本発明の目的は、「ホットランナー」現象を防止する簡単で信頼性のあるシステムを提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、重車両の交通安全を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による技術的課題並びにこれら及び別の目的は、重車両用の制動装置を提供することによって達成され、制動装置は、複数のブレーキであって、それぞれが、支持体と、重車両の車輪に関連するブレーキディスク又はブレーキドラムに作用する摩擦ブロックとを示す少なくともブレーキパッド又はブレーキシューを含み、ブレーキパッド又はブレーキシューは、摩擦ブロックと支持体との間に設けられた少なくとも温度センサを含むことを特徴とする、ブレーキと、ブレーキの過熱を防止するための安全装置であって、安全装置がアラームの発生手段と、少なくともセンサ及び発生手段と通信する制御手段とを含み、制御手段は、少なくとも第1閾値温度を含むメモリと、比較器であって、少なくともブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度が第1閾値温度よりも高く、かつ少なくとも別のブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度が第1閾値温度よりも低い場合にアラームの発生を確認するように構成された比較器と、を含む安全装置とを備える。
【0009】
有利には、温度データはブレーキの非回転パーツから得られ、ブレーキ動作温度を非常によく表すことに加えて、測定を複雑で高価にするディスクブレーキ又はドラムブレーキのような回転体で行われる典型的な測定である他の制限を受けない。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、比較器は、ブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度のリアルタイム比較のために構成される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、比較器は、少なくともブレーキパッドで検出された温度が第1閾値温度よりも高く、かつブレーキパッドの大部分で検出された温度が第1閾値温度よりも低い場合に、アラームの発生を確認するように構成される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、メモリは、第1閾値温度よりも低い少なくとも第2閾値温度を含み、制御手段は、少なくともブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度が第1閾値温度と第2閾値温度との間に含まれる場合にプリアラームの発生を指示するように構成される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、発生手段は音響的及び/又は可聴アラームを発生するように構成される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、制御手段は、各々がそれぞれのブレーキに置かれた周辺電子制御ユニット、及び周辺制御ユニット及び発生手段と通信する中央電子制御ユニットとを含む。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、制御手段は、少なくともセンサ及び発生手段と通信する中央電子制御ユニットを含む。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、制御手段は、車両のCANバス(コントローラエリアネットワーク)に接続される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキパッドは、摩擦ブロックと支持体との間に設けられ、かつ制御手段と通信する少なくとも補助センサを含み、少なくとも補助センサは少なくとも圧力センサ及び/又は1つの剪断センサを含む。
【0018】
圧力センサ及び剪断センサは、そこに加えられたバイアスの方向に関して異なる圧電セラミックセンサである。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、比較器は、所定の測定時間間隔において温度信号と少なくとも補助センサにより発生された信号との間に所定の相関が存在する場合にのみ、アラームの発生を確認するように構成される。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、各センサは電気絶縁性保護層で覆われる。
【0021】
好ましい実施形態では、制御手段は、車両の運動からエネルギーを吸収するように構成された電気エネルギーサプライヤを含む。
【0022】
更に本発明は、重車両のブレーキの過熱を防止する方法を明示し、各ブレーキは、支持体と重車両の車輪に関連するブレーキディスク又はブレーキドラムに作用する摩擦ブロックとを示す少なくともブレーキパッド又はブレーキシューを含み、摩擦ブロックと支持体との間に少なくとも温度センサが設けられ、ブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度をリアルタイムで取得することと、ブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度をリアルタイムで比較することと、少なくともブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度が第1閾値温度よりも高く、かつ少なくとも別のブレーキパッド又はブレーキシューで検出された温度が第1閾値温度よりも低い場合にアラームの発生を確認することと、確認される場合に、音響的及び/又は視覚的アラームを発生することを特徴とする。
【0023】
したがって、本発明は、「ホットランナー」現象の初期段階を、現象に関連する危険を防止するため運転者にタイムリーな警告を供給することで防ぐことが可能な安全システムを明示する。
【0024】
本発明の追加の特徴及び利点は、添付図面の非限定的な例により示された本発明による重車両用の制動装置、及び重車両のブレーキの過熱を防止する方法の、好ましいが排他的ではない実施形態の記載からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】制動装置のブロック図を示す。
図2】ブレーキパッドの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上記引用した図を参照すると、連結車両のような重車両用の制動装置が示され、その全体を参照番号1として表示する。
【0027】
以下に記載する制動装置1は、ブレーキを含み、各ブレーキは、ディスクブレーキ上で作動され得る2つのブレーキパッドを備えるキャリパーを含む。
【0028】
代替的に、制動装置は、ブレーキパッドの代わりに、ディスクブレーキよりもむしろドラムブレーキの上で作動され得るブレーキシューを含むブレーキを含んでもよい。
【0029】
各ブレーキパッド2は、例えば、金属板から形成された支持体3、重車両の車輪の関連するディスクブレーキに作用する支持体3により支持される摩擦材料のブロック4、及び支持体3と摩擦ブロック4との間に介挿される1つ以上のセンサ5、6を有する。
【0030】
センサ5、6は、センサ5、6によって発生された電気信号を取得してリアルタイムで、あるいは後で処理するように設計される、電気絶縁された電気回路7の上に取り付けられる。
【0031】
電気回路7は、好ましくは耐熱性スクリーン印刷技術(ガラスセラミック)の手段により支持体3に一体化される。
【0032】
最小限ブレーキパッド2の構成は、1つのみの温度センサ5を想定するが、好ましくは少なくとも2つの温度センサ5、例えばPT1000センサ、及び例えば1つ若しくは2つの圧電セラミック圧力センサ及び/又は1つ若しくは2つの圧電セラミック剪断センサの、1つ以上の補助センサ6が想定される。
【0033】
センサ5、6及び電気回路7は、保護性電気絶縁性材料9、好ましくはセラミックで覆われる。
【0034】
ブレーキパッド2の構成部品は、少なくとも600℃以上の温度で用いるように設計される。
【0035】
制動装置1は、ブレーキの過熱を防止するため安全装置を含むことが有用である。
【0036】
安全装置は、アラームの発生手段10と、センサ5、6及び発生手段10と通信する制御手段11、12とを含む。
【0037】
制御手段11、12は、少なくとも第1閾値温度を含むメモリ13、及び少なくとも1つのブレーキパッド2で検出された温度が第1閾値温度を超過し、少なくとも1つの別のブレーキパッド2、好ましくは大部分のブレーキパッド2で検出された温度が第1閾値温度よりも低い場合に、アラームを確認するように構成された比較器14を含む。
【0038】
比較器14は、ブレーキパッド2のために検出された温度のリアルタイム比較用に構成され、比較の結果に応じて、アラームの発生の確認等を即時に実行する。
【0039】
制御手段11、12は、確認された場合には、第1アラーム信号を発するために即時に発生手段10を作動する。
【0040】
発生手段10は、車両内で気付くことができる音響的及び/又は可聴アラームを発生するように構成される。
【0041】
例えば、発生装置10は、車両の計器板に特別なLED及び/又はブザーを含んでもよい。
【0042】
代替的に、又は追加的に、発生手段10は、車両の運転者のスマートフォンのユーザインターフェースによって表すことができ、無線通信ハードウェア又はソフトウェアがアラームを生成するために制御手段11、12と共に設置される。
【0043】
この実施形態では、制動装置の動作不具合は運転者により速やかに気付かれ、その後、運転者は、壊滅的な事象が発現する前に不具合を排除するために必要なタイムリーな予防措置を講じることができる。
【0044】
好ましくは、メモリ13はまた、第1閾値温度よりも低い少なくとも第2閾値温度を含む。
【0045】
制御手段11、12はまた、少なくともブレーキパッドで検出された温度が第1閾値温度と第2閾値温度との間に下がる場合、プリアラームの発生を作動するように構成される。
【0046】
制御手段11、12は、各々がそれぞれのブレーキに置かれる周辺電子ユニット11と中央電視制御ユニット12とを含む。
【0047】
周辺制御ユニット11とブレーキパッド2のセンサ5、6は、通信インターフェース8、19の手段によって通信する。
【0048】
インターフェース8は、例えば電気信号を更なる処理のためにブレーキパッド2の外側に送信するように設計される電気回路7の電気コネクタを含む。
【0049】
中央制御ユニット12と周辺制御ユニット11とは、通信インターフェース15、16の手段により通信する。
【0050】
中央制御ユニット12と発生手段10とは、通信インターフェース17、18の手段により通信する。
【0051】
通信インターフェース8と19、15と16、17と18は、配線又は無線であり得る。
【0052】
各周辺制御ユニット11は、メモリ13、プロセッサ20及び電気エネルギーサプライヤ21を含む。
【0053】
各周辺制御ユニット11は、更にセンサ5、6からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dデジタル化ステージ22、及びデジタル信号調整ステージ23を含む。
【0054】
各周辺制御ユニット11のプロセッサ20は、中央制御ユニット12に送信されるアラーム又はプリアラームを生成するために入力のデジタル信号を処理するように設計される。
【0055】
中央制御ユニット12は、作動信号を発生手段10の作動信号に変換するために作動信号を確認するように設計される。
【0056】
中央制御ユニット12はまた、プリアラーム作動信号を発生手段10の作動信号に自動的に変換するように設計される。
【0057】
中央制御ユニット12を用いて、周辺制御ユニット11から受信した情報を集中し、情報を車両のCANバスに送信して車載電子システムと通信することができる。
【0058】
中央制御ユニット12は、周辺制御ユニット11から受信した情報を格納するためのメモリ24と、電気エネルギーサプライヤ29とを有する。
【0059】
これはもちろん、制御手段11、12の様々な可能な構成のうちの1つの例である。別の可能な構成は、全てのブレーキのセンサ5、6を操作するための単一周辺制御ユニット11があること、又は中央制御ユニット12が周辺制御ユニット11の機能を含む全ての機能を統合することを必要とする。
【0060】
最終的には、車両のそれぞれ車輪に各々が置かれた複数の周辺制御ユニット11を備えることができ、又は全ての車輪を管理することによって単一の周辺制御ユニット11が車輪から最短距離に置かれる。
【0061】
更に、車両CANバスは、中央制御ユニット12に加えて、又は中央制御ユニット12の代わりに周辺制御ユニット11に接続され得る。
【0062】
いずれの場合でも、CANバスへの接続は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi、又はRF技術に基づく他の無線プロトコル及びスタンダードのような無線リンクによって達成され得る。
【0063】
電気エネルギーサプライヤ21、29は、好ましくは電気に変換された振動、動力及び熱エネルギーの形態で車両の運動からのエネルギーを吸収するために構成される。
【0064】
好ましくは、センサ5、6に接続された電子機器はまた、車両の運動から吸収されたエネルギーから変換された電気エネルギーにより給電される。
【0065】
以下に、「ホットランナー」の検出方法を示す。
【0066】
この方法は、ブレーキパッド2に取り付けられたセンサ5、6に基づく。
【0067】
測定された温度に関して、ディスクブレーキ上の温度分布と、温度センサ5が設置されるブレーキパッド2との間には非常に強い相関がある。
【0068】
ブレーキディスクの温度(したがってまた、ブレーキパッド温度)は、「ホットランナー」の出現に決定的に影響し、この値の相対的な増加は、「ホットランナー」現象の典型的な付随現象であることが周知である。
【0069】
「ホットランナー」異常の事象において、ブレーキディスクの温度と、したがってブレーキパッド2の温度は、異常に上昇し、かつ限界値(600℃以上であっても)に非常に迅速に上昇する傾向にある。
【0070】
「ホットランナー」を検出するために温度を監視することは適切な選択になる。しかしながら、偽アラームを回避するため、例えば、制動システム自体に実際に異常がなく、非常に高い制動システム温度を伴う、長い山岳路、特に下り坂を走行する場合等の関連する制動システムの長時間使用による温度の正常上昇から「ホットランナー」を識別するより高性能な方法を採用することが有用である。
【0071】
またこれを実行するため、補助圧力センサ6又は剪断センサは、好ましくはリアルタイムでデータの時間的な流れ、及び温度と圧力データ又は制動トルクデータとの間の相関に基づく分析と併用される。
【0072】
詳細には、期間Tは適切に定義され(例えば、10分の長さに等しい)、それは、この期間T内に実行される分析によって識別される現象を、通常は1分足らずの正常な制動の典型であるそれらの現象と混同しないために十分な長さである。
【0073】
一方、この期間Tは、「ホットランナー」の検出が「ホットランナー」に関連するダメージを制限又は無にするのに間に合うことが可能であるように十分に短くなければならない。
【0074】
アラームの作動用ロジックは、2つのロジックサービス関数H(t)及びG(t)の定義に基づく。これらの関数は、期間T内で以下のように定義される。
【0075】
P<P閾値の場合、H(t)=−1
【0076】
その他の場合、H(t)=1
【0077】
T<T閾値1の場合、G(t)=−1
【0078】
その他の場合、G(t)=1
【0079】
式中において、Pは、圧力センサ6により(又は車載の他のセンサにより)測定されるブレーキ圧である。圧力Pの代わりに、トルクτはまた、同一ロジック及び同様の閾値で用いられ得る。
【0080】
Tは、温度センサ5により測定される温度である。
【0081】
示度として、P閾値は通常、10バールのオーダーであり、T閾値1は通常、500又は600℃、すなわち非常に高い温度値である。
【0082】
以下の積分Iによる期間T内での2つの関数の間の相関計算によって、2つの関数G(t)とH(t)の相関に依存する条件を得ることが可能である。
【0083】
【数1】
【0084】
実際に、正常な作業条件下(「ホットランナー」が存在しない)では、2つの関数は高い相関を有することが期待され、これは数値的にはI=1又はそれに非常に近い積分であることを意味する。車輪に「ホットランナー」が存在する場合、Iの積分は一貫して1未満である。実際に、期間Tの間に制動がない場合、I=−1である。したがって、Iが「ホットランナー」の存在に対してアラーム作動信号を生成するための閾値として識別されるのに十分に低い適切な閾値を設定することで、「ホットランナー」の存在に関する条件が定義され得る。合理的な方法で、閾値は次のように設定されてもよい。
【0085】
I閾値<0
【0086】
I閾値<0が真の場合、期間Tの間、「ホットランナー」の存在を識別する。これは、ブレーキパッドの温度と圧力との間の相関なしに、期間Tに沿って50%超の時間を有することを意味する。
【0087】
偽アラームの発生を回避するために、「ホットランナー」事象の存在の中程度の確率を決定するためにファジーロジックを適用してもよい。更に、このロジックは、様々なブレーキパッド間のレベルIの間のクロスチェックを含む。実際に、パッドの全て又は大部分がI閾値を超える場合、「ホットランナー」が存在する可能性は高い。
【0088】
このため、アラームの作動のためのアルゴリズムは以下の通りである。
【0089】
1.少なくとも1つのブレーキパッド2に関して、T>T閾値1が検出される場合、プリアラーム作動信号が生成され、自動的に発生手段10を作動する信号に変換され、プリアラームを発生する。
【0090】
2.少なくとも1つのブレーキパッド2に関して、T>T閾値1及びI<0が検出される場合、アラーム作動信号が生成され、「ホットランナー」の存在を示す。
【0091】
3.アラーム作動信号がブレーキパッド2の大部分で検出されない場合、アラーム作動信号は確認され、発生手段10を作動する信号に変換され、「ホットランナー」の存在を示すアラームを発生する。
【0092】
「ホットランナー」の検出のための代替的なロジックは、温度のみの使用を必要とする。このような場合では、相関は、期間Tの間にブレーキパッド2の温度間で調べられる。
【0093】
この場合では、アラームの作動用のアルゴリズムは以下の通りである。
【0094】
第2閾値温度であるT閾値2<T閾値1が成立する。
【0095】
1.少なくとも1つのブレーキパッド2に関して、T>T閾値2及び<T閾値1が検出される場合、プリアラーム作動信号が生成され、自動的に発生手段10を作動する信号に変換され、プリアラームを発生する。
【0096】
2.少なくとも1つのブレーキパッド2に関して、T>T閾値1が検出される場合、アラーム作動信号が生成され、「ホットランナー」の存在を示す。
【0097】
3.アラーム作動信号がブレーキパッド2の大部分で検出されない場合、アラーム作動信号は確認され、発生手段10を作動する信号に変換され、「ホットランナー」の存在を示すアラームを発生する。
【0098】
このように考えられた制動装置は、本発明の概念の範囲内に含まれる多くの修正及び変形の余地があり、更に全ての構成要素は技術的に同等の要素に置換され得る。
図1
図2