特許第6793764号(P6793764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793764
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】X線診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   A61B6/00 320Z
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-23862(P2019-23862)
(22)【出願日】2019年2月13日
(62)【分割の表示】特願2014-164942(P2014-164942)の分割
【原出願日】2014年8月13日
(65)【公開番号】特開2019-69343(P2019-69343A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年2月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 悟
(72)【発明者】
【氏名】林 由康
(72)【発明者】
【氏名】松本 国敏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄也
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−113209(JP,A)
【文献】 特開2001−037747(JP,A)
【文献】 特開2008−229065(JP,A)
【文献】 特開2014−073165(JP,A)
【文献】 特開2010−046315(JP,A)
【文献】 特開平07−124142(JP,A)
【文献】 特開2014−104008(JP,A)
【文献】 特開平06−292082(JP,A)
【文献】 特開2008−017964(JP,A)
【文献】 特開平03−251232(JP,A)
【文献】 特開2007−068712(JP,A)
【文献】 特開2007−185238(JP,A)
【文献】 特開2012−217572(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3141540(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像モードと対応付けられた用語であってX線診断装置が設置された空間内において術中に使用されない用語を受付け、受付けた用語に対応する撮像モードを特定することで、撮像モードの指定を受付ける受付部と、
撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定する設定部と、
前記設定部によって前記所定のスイッチとの対応付けが設定された撮像モードの種別を表示部に表示させる表示制御部と、
前記所定のスイッチが押下された場合に、前記設定部によって前記所定のスイッチとの対応付けが設定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管を制御する曝射制御部とを備え
前記設定部は、
検査開始の指示を受付けた場合、撮像モードとして透視モードを前記所定のスイッチと対応付け、
前記受付部が撮像モードの指定を受付けた場合、前記受付部によって受付けられた撮像モードを前記所定のスイッチと対応付けることを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記曝射制御部は、前記設定部によって対応付けが設定された後、所定の期間内に前記所定のスイッチが押下された場合に、前記設定部によって前記所定のスイッチとの対応付けが設定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管を制御することを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記曝射制御部は、前記設定部によって対応付けが設定された後、所定の期間が経過後に前記所定のスイッチが押下された場合に、所定の撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記受付部は、音声によって前記用語を受付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記所定のスイッチとしてフットスイッチを1つ備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターベンション用X線診断装置では、フットスイッチでX線曝射が制御される。例えば、シングルプレーン型のX線診断装置では透視用及び撮影用の2つのフットスイッチが設けられ、バイプレーン型のX線診断装置では第1の撮像系による透視用、第2の撮像系による透視用、第1の撮像系及び第2の撮像系による透視用、及び撮影用の4つのフットスイッチが設けられる。
【0003】
そして、操作者は、目的とする撮像モードに応じて、フットスイッチの踏み位置を変える。かかる場合、操作者は、X線曝射の度にフットスイッチの位置を確認してから目的とする撮像モード用のフットスイッチを踏む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―149360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、操作者の負担を軽減することができるX線診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のX線診断装置は、設定部と、表示制御部と、曝射制御部とを備える。設定部は、指定された撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定する。表示制御部は、前記設定部によって前記所定のスイッチとの対応付けが設定された撮像モードを示す情報を表示部に表示させる。曝射制御部は、前記所定のスイッチが押下された場合に、前記指定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置による手技の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るシステム制御部の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る撮像モード判定テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る撮像モード判定テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る表示制御部の処理動作を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るX線診断装置による処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、第1の実施形態の変形例に係る撮像モード判定テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るシステム制御部の構成例を示すブロック図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る撮像モード設定テーブルが記憶する情報の一例を示す図である。
図11図11は、第2の実施形態に係るX線診断装置による処理手順を示すフローチャートである。
図12図12は、第3の実施形態に係るシステム制御部の構成例を示すブロック図である。
図13図13は、第3の実施形態に係るX線診断装置による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係るX線診断装置を説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、高電圧発生器11、X線管12、X線絞り装置13、天板14、X線検出器15、Cアーム16、Cアーム回転・移動機構17、天板移動機構18、Cアーム・天板機構制御部19、絞り制御部20、画像データ生成部21、画像データ記憶部22、画像処理部23、入力部24、表示部25、及びシステム制御部26を有する。
【0010】
高電圧発生器11は、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管12に供給する装置である。また、X線管12は、高電圧発生器11から供給される高電圧を用いてX線を発生するX線源である。ここで、高電圧発生器11は、X線管12に供給する電圧を調整することで、被検体Eに対して照射されるX線量の調整や、被検体EへのX線照射のON/OFFの制御を行なう。
【0011】
X線絞り装置13は、X線管12が発生したX線を被検体Eの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む装置である。例えば、X線絞り装置13は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有し、これら絞り羽根をスライドさせることで、X線管12が発生したX線を絞り込んで被検体Eに照射させる。
【0012】
天板14は、被検体Eが載置されるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。
【0013】
X線検出器15は、被検体Eを透過したX線を検出するための複数のX線検出素子がマトリックス状に配列された装置である。このX線検出器15が有する各X線検出素子は、被検体Eを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を後述する画像データ生成部21に送信する。
【0014】
Cアーム16は、X線管12、X線絞り装置13およびX線検出器15を保持するC字状のアームである。このCアーム16は、被検体Eを挟むように、X線管12およびX線絞り装置13とX線検出器15とを対向させて保持する。なお、Cアーム16と、X線管12と、X線絞り装置13と、X線検出器15とからなる機構を撮影ユニットと呼ぶ。また、以下では、X線診断装置100が、Cアーム16を1つ有するシングルプレーン型のX線診断装置であるものとして説明する。
【0015】
Cアーム回転・移動機構17は、Cアーム16を回転及び移動させる装置である。このCアーム回転・移動機構17は、X線管12とX線検出器15との間を通る回転軸を中心に、Cアーム16を回転させる。
【0016】
天板移動機構18は、天板14を移動させる装置である。Cアーム・天板機構制御部19は、Cアーム回転・移動機構17および天板移動機構18を制御することで、Cアーム16の回転調整および移動調整と、天板14の移動調整とを行なう処理部である。
【0017】
絞り制御部20は、X線絞り装置13が有する絞り羽根の開度を調整することで、X線の照射範囲を制御する処理部である。
【0018】
画像データ生成部21は、X線検出器15によって被検体Eを透過したX線から変換された電気信号を用いてX線画像を生成し、生成したX線画像を画像データ記憶部22に格納する処理部である。具体的には、画像データ生成部21は、X線検出器15から受信した電気信号に対して、電流・電圧変換、A/D変換およびパラレル・シリアル変換を行なってX線画像を生成する。
【0019】
画像データ記憶部22は、画像データ生成部21によって生成されたX線画像を記憶する記憶装置である。例えば、画像データ記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスクなどである。
【0020】
画像処理部23は、画像データ記憶部22が記憶するX線画像に対して各種画像処理を実行する処理部である。例えば、画像処理部23は、X線画像に対してノイズ低減のためのリカーシブフィルタ処理(時間フィルター処理)や等方性拡散フィルター(空間フィルター処理)を実行する。例えば、画像処理部23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、又は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0021】
入力部24は、X線診断装置100を操作する医師や技師などの操作者から各種コマンドを受け付け、受け付けたコマンドをシステム制御部26に転送する入力装置である。例えば、入力部24は、操作者から各種コマンドを受け付けるためのマウス、キーボード、ボタン、トラックボール、ジョイスティックなどを有する。
【0022】
表示部25は、入力部24を介して操作者からコマンドを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像データ記憶部22に記憶されたX線画像、画像処理部23によって画像処理されたX線画像などを表示する表示装置である。例えば、表示部25は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイなどである。表示部25には、撮像中のX線画像を表示するために使用されるリアルタイムモニタ及び過去に撮像したX線画像を表示するために使用される比較用モニタなどが含まれる。
【0023】
システム制御部26は、X線診断装置100全体の動作を制御する処理部である。例えば、システム制御部26は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。そして、このシステム制御部26は、例えば、入力部24から転送された操作者からのコマンドに基づいて、高電圧発生器11、Cアーム・天板機構制御部19、絞り制御部20を制御することで、X線量の調整およびX線照射のON/OFF制御や、Cアーム16の回転・移動の調整、天板14の移動調整などを行なう。
【0024】
また、システム制御部26は、操作者からのコマンドに基づいて、画像データ生成部21における画像生成処理や後述する画像処理部23における画像処理の制御を行なう。また、システム制御部26は、操作者からコマンドを受け付けるためのGUIや、画像データ記憶部22が記憶するX線画像および画像処理部23によって画像処理されたX線画像などを表示部25のモニタに表示するように制御する。
【0025】
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成の一例を説明した。かかる構成のもと、X線診断装置100は、操作者によってインターベンションなどの手技が実行される際に用いられる。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置100を用いて実行される手技の一例を示す図である。操作者によってインターベンションなどの手技が実行される場合、X線診断装置100は、複数の撮像モードの中から操作者が所望する撮像モードでの撮像を行う。例えば、X線診断装置100は、図2に示すように、操作者によってCアーム16の位置が調整された後に、操作者によってX線フットスイッチが押下されることで、Cアーム16から被検体Eに対してX線を曝射させて撮像を行う。
【0026】
ここで、従来のX線診断装置においては、撮像モードに応じたフットスイッチが設けられている。より具体的には、シングルプレーン型のX線診断装置では透視・撮影の2つのフットスイッチが設けられ、バイプレーン型のX線診断装置ではF透視、L透視、BP透視、撮影の4つのフットスイッチが設けられている。そして、操作者は、撮像モードに応じてフットスイッチを踏み分ける。言い換えると、操作者は、X線曝射の度にフットスイッチの位置を確認してから撮像モードに応じたフットスイッチを押下する。
【0027】
しかし、フットスイッチを押下するたびにフットスイッチの位置を確認する作業は、操作者の集中力を殺ぐ。また、フットスイッチの位置を確認する作業は、僅かであるが時間の浪費となる。このため、フットスイッチの位置を確認する作業を術中何度も繰り返すことで、長時間の浪費となる。さらに、操作者は、フットスイッチを踏み変える時には体重を移動させる。また、バイプレーン型のX線診断装置では、フットスイッチが大きいので、操作者にとってフットスイッチを踏みかえる操作が負担になる。また、術中に踏み間違いが発生する場合がある。かかる場合、操作者は、あわてて目的のスイッチを踏み直すことになる。このようなフットスイッチを踏み直す作業は、操作者への大きな心理的或いは体力的な負担となり、また時間の浪費となる。このようなことから、従来のX線診断装置では、フットスイッチによるX線曝射の際に、操作者の負担を軽減することが望まれている。
【0028】
そこで、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、システム制御部26の制御により、指定された撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定する。また、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、所定のスイッチとの対応付けが設定された撮像モードを示す情報を表示部25に表示させる。そして、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、所定のスイッチが押下された場合に、指定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。このように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、撮像開始前に指定された撮像モードとフットスイッチとの対応付を設定することで、1つのフットスイッチで複数の撮像モードの中から所望の撮像モードでの撮像を実行する。すなわち、X線診断装置100の操作者は、フットスイッチを押下するたびにフットスイッチの位置を確認してフットスイッチを踏み分ける作業を省略することができる。次に、図3を用いて、第1の実施形態に係るシステム制御部26の詳細について説明する。
【0029】
図3は、第1の実施形態に係るシステム制御部26の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100のシステム制御部26は、受付部26aと、設定部26bと、曝射制御部26cと、表示制御部26dと、撮像モード判定テーブル26eと、撮像モード設定テーブル26fとを有する。
【0030】
撮像モード判定テーブル26eは、撮像モードの種別ごとに対応するテキストを記憶する。図4は、第1の実施形態に係る撮像モード判定テーブル26eが記憶する情報の一例を示す図である。図4に示すように、撮像モード判定テーブル26eは、撮像モードと、対応テキストとを対応付けた情報を記憶する。
【0031】
ここで、撮像モード判定テーブル26eが記憶する「撮像モード」は、撮像モードの種別を示す。言い換えると「撮像モード」は、撮像モードの選択肢を示す。例えば、「撮像モード」には、画像記録を行う高線量での撮像を示す「撮影」、画像記録を行う低線量での撮像を示す「透視レコード」、画像記録を行わない低線量での撮像を示す「透視」などが記憶される。
【0032】
また、撮像モード判定テーブル26eが記憶する「対応テキスト」は、撮像モードの種別に対応するテキストを示す。例えば、「対応テキスト」には、「ACQ1」、「ACQ2」、「ACQ3」などが記憶される。ここで、「対応テキスト」として記憶されるワードは、検査室内では使用しないワードであることが好ましい。
【0033】
一例をあげると、図4に示す撮像モード判定テーブル26eは、撮像モードが「撮影」に対応するテキストが「ACQ1」であり、撮像モードが「透視レコード」に対応するテキストが「ACQ2」であり、撮像モードが「透視」に対応するテキストが「ACQ3」であることを示す。
【0034】
図3に戻る。撮像モード設定テーブル26fは、フットスイッチと対応付けられた撮像モードを示す情報を記憶する。図5は、第1の実施形態に係る撮像モード設定テーブル26fが記憶する情報の一例を示す図である。図5に示すように、撮像モード設定テーブル26fは、撮像モードと、設定フラグとを対応付けた情報を記憶する。
【0035】
ここで、撮像モード設定テーブル26fが記憶する「撮像モード」は、撮像モード判定テーブル26eが記憶する「撮像モード」と同様である。また、撮像モード設定テーブル26fが記憶する「設定フラグ」は、フットスイッチと対応付けられた撮像モードの種別を示す。例えば、「設定フラグ」には、フットスイッチと対応付けられたことを示す「1」、フットスイッチと対応付けられていないことを示す「0」などが記憶される。
【0036】
一例をあげると、図5に示す撮像モード設定テーブル26fは、フットスイッチが撮像モードの「透視」に対応付けられていることを示す。言い換えると、図5に示す撮像モード設定テーブル26fは、フットスイッチが押下されることで、透視での撮像が行われることを示す。
【0037】
図3に戻る。受付部26aは、撮像モードの指定を受付ける。ここで、受付部26aは、撮像モードと対応付けられた所定の指示を受付け、受付けた所定の指示に対応する撮像モードを特定することで、撮像モードの指定を受付ける。例えば、受付部26aは、音声によって所定の指示を受付ける。
【0038】
より具体的には、受付部26aは、指向性マイクと音声認識機能とを有し、指向性マイクに向かって発音された内容を音声認識機能で認識し、テキストに変換する。そして、受付部26aは、撮像モード判定テーブル26eを参照して、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致するかどうか判定する。
【0039】
受付部26aは、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致すると判定した場合、撮像モードの変更を設定部26bに指示する。また、受付部26aは、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致すると判定しなかった場合、引き続き、指向性マイクに向かって発音された内容を音声認識機能で認識し、テキストに変換した内容が撮像モードの選択肢と一致するかどうか判定する。なお、受付部26aは、X線診断装置100が設置された空間内に置いて、術中に使用されない用語を所定の指示として受付けることが好ましい。より具体的には、操作者は、撮像モード判定テーブル26eの「対応テキスト」が記憶する、例えば「ACQ1」や「ACQ2」などの用語を用いて撮像モードを指示する。このように、撮像モードと対応付けられた所定の指示として術中に頻繁に使用される用語を除外することで、X線診断装置100は、操作者が意図しない撮像モードの設定を防止することができる。
【0040】
設定部26bは、指定された撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定する。例えば、設定部26bは、撮像モードを、受付部26aによって受付けられた撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定する。言い換えると、設定部26bは、受付部26aにより指示された撮像モードと、フットスイッチとの対応付けを設定する。より具体的には、設定部26bは、撮像モード設定テーブル26fにおいて、指示された撮像モードに対応する設定フラグを「1」に設定し、その他の撮像モードに対応する設定フラグを「0」に設定する。
【0041】
一例として、図5に示す撮像モード設定テーブル26fにおいて、撮像モードを「透視」から「撮影」に変更する指示を受付けた場合について説明する。かかる場合、設定部26bは、「撮影」に対応付けられた「設定フラグ」を「1」に設定し、「透視」に対応付けられた「設定フラグ」を「0」に設定する。
【0042】
また、設定部26bは、フットスイッチと対応付けた撮像モードの内容をリアルタイムモニタに表示するように表示制御部26dに指示する。
【0043】
曝射制御部26cは、所定のスイッチが押下された場合に、指定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。
【0044】
例えば、曝射制御部26cは、設定部26bによって対応付けが設定された後、所定の期間内に所定のスイッチが押下された場合に、指定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。また、例えば、曝射制御部26cは、設定部26bによって対応付けが設定された後、所定の期間が経過後に所定のスイッチが押下された場合に、所定の撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。なお、所定の撮像モードとは、デフォルトで設定された撮像モードであり、例えば、透視モードである。
【0045】
また、例えば、曝射制御部26cは、設定部26aによって対応付けが設定されておらず所定のスイッチが押下された場合には、所定の撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。言い換えると、曝射制御部26cは、撮像モードが設定されておらず所定のスイッチが押下された場合には、所定の撮像モードに応じたX線を曝射する。なお、所定の撮像モードとは、デフォルトで設定された撮像モードであり、例えば、透視モードである。
【0046】
表示制御部26dは、設定部26bによって所定のスイッチとの対応付けが設定された撮像モードを示す情報を表示部25に表示させる。例えば、表示制御部26dは、表示部25が有するリアルタイムモニタに所定のスイッチとの対応付けが設定された撮像モードを示す情報を表示させる。
【0047】
図6は、第1の実施形態に係る表示制御部26dの処理動作を説明するための図である。なお、図6では、撮像モードとして「透視レコード」が選択された場合について説明する。例えば、表示制御部26dは、図6に示すように、選択された撮像モードを示す情報として、例えば「透視レコード」をリアルタイムモニタの上部中央に表示する。ここで、表示制御部26dは、操作者が発した音声(例えば、「ACQ1」や「ACQ2」など)をテキスト変換した情報ではなく、「撮影」、「透視レコード」、「透視」のように撮像モードの種別自体をリアルタイムモニタに表示する。これにより、X線診断装置100は、操作者に撮像モードについて勘違いを生じさせないようにすることができる。
【0048】
また、表示制御部26dは、設定された撮像モードを示す情報を一定時間表示し、仮に一定時間内にフットスイッチが押下されない場合は、設定された撮像モードを示す情報を消去して、直近に撮像されたX線画像を表示する。なお、図6では、表示制御部26dが、リアルタイムモニタの上部中央に撮像モードを示す情報を表示する場合について説明したが、設定された撮像モードを示す情報を表示する位置は任意に変更可能である。
【0049】
図7は、第1の実施形態に係るX線診断装置100による処理手順を示すフローチャートである。なお、図7に示す例では、例えば透視モードがデフォルトに設定されており、操作者によって撮像モードが変更される場合について説明する。なお、X線診断装置100は、図7に示す処理手順において、任意のタイミングで検査終了ボタンが押下された場合には、処理を終了するようにしてもよい。
【0050】
図7に示すように、受付部26aは、音声を認識したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、受付部26aが、音声を認識したと判定しなかった場合(ステップS101、No)、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS102)。
【0051】
そして、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定した場合(ステップS102、Yes)、デフォルトで設定された撮像モードで撮像を開始する(ステップS103)。かかる場合、曝射制御部26cは、例えば、デフォルトで設定された透視モードで撮像を開始する。なお、ステップS103の終了後、X線診断装置100は、ステップS101に移行する。一方、曝射制御部26cが、フットスイッチが押下されたと判定しなかった場合(ステップS102、No)、受付部26aは、ステップS101の判定処理を繰り返し実行する。
【0052】
一方、受付部26aは、音声を認識したと判定した場合(ステップS101、Yes)、認識した内容をテキストに変換する(ステップS104)。続いて、受付部26aは、撮像モード判定テーブル26eを参照して、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致するか否かを判定する(ステップS105)。ここで、受付部26aは、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致すると判定しなかった場合(ステップS105、No)、ステップS101に移行する。
【0053】
一方、受付部26aが、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致すると判定した場合(ステップS105、Yes)、設定部26bは、テキストの内容と一致した撮像モードに変更する(ステップS106)。すなわち、設定部26bは、受付部26aによって受付けられた撮像モードとフットスイッチとの対応付けを設定する。また、表示制御部26dは、変更後の撮像モードをリアルタイムモニタに表示する(ステップS107)。これにより操作者は、設定された撮像モードを把握することができる。
【0054】
そして、曝射制御部26cは、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS108)。ここで、曝射制御部26cは、所定の時間が経過したと判定しなかった場合(ステップS108、No)、フットスイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS111)。そして、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定した場合(ステップS111、Yes)、変更後の撮像モードで撮像を開始する(ステップS112)。すなわち、曝射制御部26cは、設定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。曝射制御部26cは、ステップS112の終了後、ステップS108に移行する。なお、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定しなかった場合(ステップS111、No)、ステップS108に移行する。
【0055】
一方、曝射制御部26cが、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS108、Yes)、表示制御部26dは、変更後の撮像モードをリアルタイムモニタから消去し(ステップS109)、元の画像を表示する(ステップS110)。なお、ステップS110の終了後、X線診断装置100は、ステップS101に移行する。
【0056】
上述したように、第1の実施形態に係るX線診断装置100によれば、設定された撮像モードとフットスイッチとの対応付けを設定し、フットスイッチが押下された場合に、設定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。これにより、X線診断装置100の操作者は、従来のようにフットスイッチの位置を確認してフットスイッチを踏み分ける作業を省略することができる。この結果、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、操作者への負担を軽減し、かつ、治療時間及び検査時間を短縮することが可能となる。
【0057】
(第1の実施形態の変形例)
以下では、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0058】
(バイプレーン型のX線診断装置)
上述した第1の実施形態では、X線診断装置100が、Cアーム16を1つ有するシングルプレーン型のX線診断装置であるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置100が、Cアーム16を2つ有するバイプレーン型のX線診断装置であってもよい。なお、以下では、バイプレーン型のX線診断装置におけるCアーム16それぞれを、第1の撮像系(F)及び第2の撮像系(L)として説明する。
【0059】
かかる場合、システム制御部26は、バイプレーン型のX線診断装置における撮像モードそれぞれに対応した撮像モード判定テーブル26eを備える。受付部26aは、受付けた音声を音声認識機能で認識してテキストに変換し、撮像モード判定テーブル26eを用いて、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致するか否かを判定する。
【0060】
図8は、第1の実施形態の変形例に係る撮像モード判定テーブル26eが記憶する情報の一例を示す図である。図8に示すように、第1の実施形態の変形例に係る撮像モード判定テーブル26eは、撮像モードと、対応テキストとを対応付けた情報を記憶する。
【0061】
ここで、第1の実施形態の変形例に係る撮像モード判定テーブル26eが記憶する「撮像モード」は、撮像モードの種別を示す。言い換えると「撮像モード」は、撮像モードの選択肢を示す。例えば、「撮像モード」には、第1の撮像系(F)及び第2の撮像系(L)で画像記録を行う高線量での撮像を示す「BP撮影」、第1の撮像系(F)及び第2の撮像系(L)で画像記録を行う低線量での撮像を示す「BP透視レコード」、第1の撮像系(F)及び第2の撮像系(L)で画像記録を行わない低線量での撮像を示す「BP透視」などが記憶される。
【0062】
同様に、例えば、「撮像モード」には、第1の撮像系(F)で画像記録を行う高線量での撮像を示す「F撮影」、第1の撮像系(F)で画像記録を行う低線量での撮像を示す「F透視レコード」、第1の撮像系(F)で画像記録を行わない低線量での撮像を示す「F透視」などが記憶される。
【0063】
また、同様に、例えば、「撮像モード」には、第2の撮像系(L)で画像記録を行う高線量での撮像を示す「L撮影」、第2の撮像系(L)で画像記録を行う低線量での撮像を示す「L透視レコード」、第2の撮像系(L)で画像記録を行わない低線量での撮像を示す「L透視」などが記憶される。
【0064】
また、撮像モード判定テーブル26eが記憶する「対応テキスト」は、撮像モードの種別に対応するテキストを示す。例えば、「対応テキスト」には、「ACQ1−BP」、「ACQ2−BP」、「ACQ3−BP」などが記憶される。ここで、「対応テキスト」として記憶されるワードは、検査室内では使用しないワードであることが好ましい。
【0065】
一例をあげると、図8に示す撮像モード判定テーブル26eは、撮像モードが「BP撮影」に対応するテキストが「ACQ1−BP」であり、撮像モードが「BP透視レコード」に対応するテキストが「ACQ2−BP」であり、撮像モードが「BP透視」に対応するテキストが「ACQ3−BP」であることを示す。また、図8に示す撮像モード判定テーブル26eは、撮像モードが「F撮影」に対応するテキストが「ACQ1−F」であり、撮像モードが「F透視レコード」に対応するテキストが「ACQ2−F」であり、撮像モードが「F透視」に対応するテキストが「ACQ3−F」であることを示す。また、図8に示す撮像モード判定テーブル26eは、撮像モードが「L撮影」に対応するテキストが「ACQ1−L」であり、撮像モードが「L透視レコード」に対応するテキストが「ACQ2−L」であり、撮像モードが「L透視」に対応するテキストが「ACQ3−L」であることを示す。
【0066】
このような撮像モード判定テーブル26eを参照して、受付部26aが、変換したテキストの内容が撮像モードの選択肢と一致すると判定した場合、設定部26bは、テキストの内容と一致した撮像モードに変更する。また、表示制御部26dは、変更後の撮像モードをリアルタイムモニタに表示する。そして、曝射制御部26cは、所定の時間内にフットスイッチが押下された場合に、設定した撮像モードで撮像を開始する。
【0067】
(ボタンの押下)
また、上述した実施形態では、音声認識機能を利用して撮像モードを設定する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ボタンの押下によって撮像モードを設定するようにしてもよい。より具体的には、1つの所定のボタン押下を押した回数と撮像モードとを対応付けた情報を撮像モード判定テーブル26eに記憶しておき、受付部26aは、ボタンの押下された回数に基づいて選択された撮像モードを判定する。そして、設定部26bは、選択された撮像モードとフットスイッチとの対応付けを設定する。或いは、撮像モードそれぞれに対応したボタンを用意し、受付部26aは、押下されたボタンに応じて選択された撮像モードを判定する。そして、設定部26bは、選択された撮像モードとフットスイッチとの対応付けを設定する。
【0068】
(ジェスチャー)
或いは、ジェスチャーを用いて撮像モードを設定するようにしてもよい。例えば、操作者が着用する手袋にセンサーを備えるようにし、センサーが操作者の指の動きに基づいて、撮像モードを判定するようにしてもよい。より具体的には、小指だけを上に上げた場合は「撮影」、小指と薬指を上に上げた場合は「透視レコード」、小指と薬指、中指を上に上げた場合は「透視」のように撮像モードの切り替えを行ってもよい。なお、X線診断装置100は、操作者の動きをカメラによって検出し、検出した操作者の動きに基づいて、撮像モードを判定するようにしてもよい。
【0069】
(視線方向の検出)
或いは、操作者の視線方向を検出することで、撮像モードを設定するようにしてもよい。例えば、視線認識装置としてのカメラを用いて操作者が注視する注視点を検出し、検出した注視点に基づいて、撮像モードを判定するようにしてもよい。また、操作者が着用するゴーグルにセンサーを備えるようにし、センサーが操作者の目の動きに基づいて、撮像モードを判定するようにしてもよい。
【0070】
(設定手法の組み合わせ)
また、上述した撮像モードの設定手法を組み合わせて利用してもよい。例えば、X線診断装置100は、所定のボタンが押下されている場合に視線方向を検出し、検出した視線方向により特定される撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定するようにしてもよい。また、X線診断装置100は、所定のボタンが押下されている場合に、センサーが操作者の指の動きに基づいて撮像モードを判定し、撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定するようにしてもよい。
【0071】
(デフォルトの撮像モード)
また、設定部26bによって対応付けが設定されていないにもかかわらずフットスイッチが押下された場合には、デフォルトの撮像モードで撮像を開始するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置100は、デフォルトの撮像モードを設定しなくてもよい。かかる場合、X線診断装置100は、フットスイッチが押下された場合、直前の撮影モードで撮影を行っても良い。またフットスイッチが押下されても、撮像を行わないと言う設定でも良い。
【0072】
(設定期間)
また、曝射制御部26cは、設定部26bによって対応付けが設定された後、所定の期間内に所定のスイッチが押下された場合に、指定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、設定部26bは、対応付けを設定した後、1度フットスイッチが押下された後に、デフォルトの撮像モードとフットスイッチとを対応付けて設定するようにしてもよい。
【0073】
また、通常時には頻繁に使用されない機能が選択されている場合がある。例えば、バイプレーン型のX線診断装置では、視野の一部だけを透視する機能は、限定的に使用される。このようなことから、例えば、通常時には頻繁に使用されない機能での撮像が1度実行されたら、設定部26bは、デフォルトの撮像モードとフットスイッチとを対応付けて設定するようにしてもよい。
【0074】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、撮像モードの設定を受付けて、撮像モードを切り替える場合について説明した。ところで、X線診断装置の撮像においては、複数の撮像モードを含んだ撮像プログラムが実行される場合がある。例えば、撮像プログラムとして回転撮影プログラムが実行された場合には、被検体の正面で位置合わせをして透視モードで撮像し、次いで、被検体の側面で位置合わせをして透視モードで撮像した後に、回転撮影を実行する。このため、操作者は、位置合わせをする位置と、回転撮影のスタート位置とで異なる撮像モードでの撮像を行うことになる。かかる場合、操作者は、各々の位置で撮像モードを設定することになる。
【0075】
ここで、位置合わせをする位置と、回転撮影のスタート位置とは異なる。このため、回転撮影のスタート位置では、撮像モードを撮影に設定し、回転撮影のスタート位置以外では、撮像モードを透視に設定してもよいものである。このようなことから、第2の実施形態では、選択された撮像プログラムに含まれる複数の撮像モードと、各撮像モードでの撮像が実行される条件とに基づいて、複数の撮像モードのうちいずれかの撮像モードと、所定のスイッチとの対応付けを設定する場合について説明する。
【0076】
なお、第2の実施形態に係るX線診断装置200の構成例は、システム制御部226の一部の構成が異なる点を除いて、図1に示す第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成例と同様である。このため、第2の実施形態に係るX線診断装置200の図示を省略する。
【0077】
次に、図9を用いて、第2の実施形態に係るシステム制御部226の詳細について説明する。図9は、第2の実施形態に係るシステム制御部226の構成例を示すブロック図である。図9に示すように、第2の実施形態に係るX線診断装置200のシステム制御部226は、受付部226aと、設定部226bと、曝射制御部26cと、表示制御部26dと、撮像モード設定テーブル226fとを有する。なお、第1の実施形態に係るシステム制御部26と同様の機能を有する各部については、同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。
【0078】
第2の実施形態に係る撮像モード設定テーブル226fは、撮像プログラムに含まれる複数の撮像モードと、各撮像モードでの撮像が実行される条件と、フットスイッチと対応付けられた撮像モードを示す情報とを対応付けた情報を記憶する。
【0079】
図10は、第2の実施形態に係る撮像モード設定テーブル226fが記憶する情報の一例を示す図である。図10に示すように、第2の実施形態に係る撮像モード設定テーブル226fは、撮像プログラムと、撮像モードと、撮像条件と、設定フラグとを対応付けた情報を記憶する。
【0080】
ここで、第2の実施形態に係る撮像モード設定テーブル226fが記憶する「撮像モード」及び「設定フラグ」は、第1の実施形態に係る撮像モード設定テーブル26fが記憶する「撮像モード」及び「設定フラグ」と同様である。
【0081】
また、第2の実施形態に係る撮像モード設定テーブル226fが記憶する「撮像プログラム」は、撮像プログラムの種別を示す。例えば、「撮像プログラム」には、「回転撮影」などが記憶される。
【0082】
また、第2の実施形態に係る撮像モード設定テーブル226fが記憶する「撮像条件」は、各撮像モードでの撮像が実行される条件を示す。例えば、「撮像条件」には、「撮影スタート角」、「撮影スタート角以外」等が記憶される。
【0083】
一例をあげると、図10に示す撮像モード設定テーブル226fは、撮像プログラムの種別が「回転撮影」である場合、撮像モードには「撮影」及び「透視」が含まれることを示す。また、図10に示す撮像モード設定テーブル226fは、撮影のスタート角である場合に「撮影」が実行され、撮影のスタート角以外である場合に「透視」が実行されることを示す。そして、図10に示す撮像モード設定テーブル226fは、現在のX線診断装置200において、フットスイッチが撮像モードの「透視」に対応付けられていることを示す。言い換えると、図10に示す撮像モード設定テーブル226fは、フットスイッチが押下されることで、透視での撮像が行われることを示す。
【0084】
図9に戻る。第2の実施形態に係る受付部226aは、複数の撮像モードを含んだ撮像プログラムの選択を更に受付ける。例えば、第2の実施形態に係る受付部226aは、撮像プログラムとして回転撮影プログラムなどを受付ける。
【0085】
第2の実施形態に係る設定部226bは、撮像プログラムに含まれる複数の撮像モードと、各撮像モードでの撮像が実行される条件とに基づいて、複数の撮像モードのうちいずれかの撮像モードと、所定のスイッチとの対応付けを設定する。例えば、第2の実施形態に係る設定部226bは、撮像プログラムとして回転撮影プログラムが選択された場合、X線管12及びX線検出器15を支持するCアーム16の回転角度を取得し、取得した回転角度に基づいて、複数の撮像モードのうちいずれかの撮像モードと、所定のスイッチとの対応付けを設定する。
【0086】
そして、第2の実施形態に係る曝射制御部26cは、フットスイッチが押下された場合に、指定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。また、第2の実施形態に係る表示制御部26dは、設定部226bによってフットスイッチとの対応付けが設定された撮像モードを示す情報を表示部25のリアルタイムモニタに表示させる。
【0087】
図11は、第2の実施形態に係るX線診断装置による処理手順を示すフローチャートである。なお、X線診断装置200は、図11に示す処理手順において、任意のタイミングで検査終了ボタンが押下された場合には、処理を終了するようにしてもよい。
【0088】
図11に示すように、受付部226aは、回転撮影プログラムを受付けたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、受付部226aが、回転撮影プログラムを受付けたと判定した場合(ステップS201、Yes)、設定部226bは、Cアーム16の角度を取得する(ステップS202)。なお、受付部226aは、回転撮影プログラムを受付けたと判定しなかった場合(ステップS201、No)、ステップS201の判定処理を繰り返し実行する。
【0089】
続いて、設定部226bは、取得したCアーム16の角度から回転撮影のスタート位置であるか否かを判定する(ステップS203)。ここで、設定部226bは、スタート位置であると判定した場合(ステップS203、Yes)、回転撮影モードに設定する(ステップS204)。すなわち、設定部226bは、回転撮影モードとフットスイッチとの対応付けを設定する。そして、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS205)。ここで、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定した場合(ステップS205、Yes)、回転撮影を開始し(ステップS206)、撮影終了後に処理を終了する。一方、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定しなかった場合(ステップS205、No)、ステップS202に移行する。
【0090】
また、ステップS203において、設定部226bは、スタート位置であると判定しなかった場合(ステップS203、No)、透視モードに設定する(ステップS207)。すなわち、設定部226bは、透視モードとフットスイッチとの対応付けを設定する。そして、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS208)。ここで、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定した場合(ステップS208、Yes)、透視撮像を実行し(ステップS209)、撮像終了後にステップS202に移行する。また、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定しなかった場合(ステップS208、No)、ステップS202に移行する。
【0091】
上述したように、第2の実施形態に係るX線診断装置200は、選択された撮像プログラムに含まれる複数の撮像モードと、各撮像モードでの撮像が実行される条件とに基づいて、複数の撮像モードのうちいずれかの撮像モードと、所定のスイッチとを対応付ける。これにより、操作者の負担を軽減することができる。
【0092】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、X線診断装置100の操作者又はX線診断装置200の操作者が、例えば検査中に撮像モードを変更する場合を想定して説明した。ところで、X線診断装置を用いた検査では、操作者は、検査の開始時に透視での撮像を行うことが一般的である。このようなことから、X線診断装置は、検査の開始時に、撮像モードを透視に設定してもよいものである。そこで、第3の実施形態では、X線診断装置が、検査の開始を受付けた場合に、最初の撮像時における撮像モードを透視に設定する例を説明する。
【0093】
なお、第3の実施形態に係るX線診断装置300の構成例は、システム制御部326の一部の構成が異なる点を除いて、図1に示す第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成例と同様である。このため、第3の実施形態に係るX線診断装置300の図示を省略する。
【0094】
次に、図12を用いて、第3の実施形態に係るシステム制御部326の詳細について説明する。図12は、第3の実施形態に係るシステム制御部326の構成例を示すブロック図である。図12に示すように、第3の実施形態に係るX線診断装置300のシステム制御部326は、設定部326bと、曝射制御部26cと、表示制御部26dと、撮像モード設定テーブル26fとを有する。なお、第1の実施形態に係るシステム制御部26と同様の機能を有する各部については、同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。
【0095】
第3の実施形態に係る設定部326bは、検査開始の指示を受付けた場合、所定の撮像モードと所定のスイッチとの対応付けを設定する。例えば、第3の実施形態に係る設定部326bは、透視モードとフットスイッチとの対応付けを設定する。
【0096】
そして、第3の実施形態に係る曝射制御部26cは、フットスイッチが押下された場合に、指定された撮像モードに応じた条件でX線を曝射するようにX線管12を制御する。また、第3の実施形態に係る表示制御部26dは、設定部326bによってフットスイッチとの対応付けが設定された撮像モードを示す情報を表示部25のリアルタイムモニタに表示させる。
【0097】
図13は、第3の実施形態に係るX線診断装置300による処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、設定部326bは、検査の開始を受付けたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、設定部326bは、検査の開始を受付けたと判定した場合(ステップS301、Yes)、撮像モードを透視に設定する(ステップS302)。すなわち、設定部326bは、透視モードとフットスイッチとの対応付けを設定する。
【0098】
そして、表示制御部26dは、撮像モードをリアルタイムモニタに表示する(ステップS303)。これにより操作者は、設定された撮像モードを把握することができる。続いて、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたか否かを判定する(ステップS304)。そして、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定した場合(ステップS304、Yes)、透視モードで撮像し(ステップS305)、処理を終了する。
【0099】
なお、設定部326bは、検査の開始を受付けたと判定しなかった場合(ステップS301、No)、ステップS301の判定処理を繰り返し実行する。また、曝射制御部26cは、フットスイッチが押下されたと判定しなかった場合(ステップS304、No)、ステップS304の判定処理を繰り返し実行する。
【0100】
上述したように、第3の実施形態に係るX線診断装置300は、検査の開始を受付けた場合に、最初の撮像時における撮像モードを透視に設定する。これにより、操作者の負担を軽減することができる。
【0101】
なお、第3の実施形態に係るX線診断装置300は、図13に示した処理の実行後、第1の実施形態及び第2の実施形態において説明した処理を実行するようにしてもよい。すなわち、第3の実施形態に係るX線診断装置300は、図13に示す処理によって透視モードがデフォルトの撮像モードとして設定された後、操作者の指示に応じて、撮像モードを変更し、変更後の撮像モードにて撮像を行うようにしてもよい。
【0102】
(その他の実施形態)
【0103】
上述した実施形態においては、フットスイッチが1つである場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、従来のX線診断装置のように、複数のフットスイッチを備えたX線診断装置において、撮像モードごとにフットスイッチを踏み分ける機能と、撮像モードとフットスイッチの対応付けを設定しておき所定のフットスイッチを押下することで対応付けた撮像モードでの撮像を行う機能とを操作者の好みに応じて使い分けてもよい。なお、撮像モードとフットスイッチの対応付けを設定する場合、複数のフットスイッチのうちいずれかのフットスイッチが押下された場合に、撮像を行ってもよく、或いは所定の位置にあるフットスイッチが押下された場合に、撮像を行うようにしてもよい。
【0104】
また、フットスイッチによりX線を曝射させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線曝射用に設けられたスイッチやボタンなど所定のスイッチによりフットスイッチを代替可能である。
【0105】
また、X線診断装置は、撮像モードに関する機能とは独立したファンクションキーを有する場合がある。例えば、ファンクションキーには、撮像したX線画像を再生する際に、コマ送り再生させるボタンが含まれる。このようなことから、X線診断装置は、ファンクションキーを押下する代わりに、フットスイッチでファンクションキーを代替させてもよい。かかる場合、例えば、操作者がフットスイッチを押下している間、X線画像がコマ送り再生される。なお、フットスイッチで代替するファンクションキーはコマ送り機能に限定されるものではなく、例えば、再生スピードを制御するものであってもよい。かかる場合、事前に再生スピードを設定しておき、フットスイッチが押下されると、設定された再生スピードでX線画像が再生される。
【0106】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、操作者の負担を軽減することができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0108】
26 システム制御部
26b 設定部
26c 曝射制御部
100 X線診断装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13