(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド表示制御部は、前記解析結果と前記医用画像診断装置の状態とが合致しない場合には、再度の前記状態管理部による前記医用画像診断装置の状態の把握及び前記判断部による判断を待って前記表示部に対する前記ガイド表示の表示制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の医用画像診断装置。
前記ガイド表示制御部は、前記判断部により前記解析結果と前記医用画像診断装置の状態とが合致した場合に、前記表示部に前記ガイド表示の表示させることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の医用画像診断装置。
前記表示部は、前記被検体に対する検査の状態、前記医用画像診断装置の状態を勘案して、前記被検体が見やすい位置に前記ガイド表示を表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態における医用画像診断装置Aの全体構成を示す全体図である。医用画像診断装置Aは、医用画像診断装置Aを制御する制御装置1と、検査室Rに設置され、検査対象となる被検体Mの内部情報を取得するスキャナ装置2と、被検体Mが載置される寝台装置Bと、から構成される。
【0016】
ここで医用画像診断装置Aは、被検体Mの内部情報を取得して、医用画像を生成する装置である。医用画像診断装置Aとしては上述したような様々な装置(モダリティ)が考えられるが、本発明の実施の形態においては、X線CT装置を例に挙げて以下、説明する。
【0017】
図2は、第1の実施の形態における制御装置1の内部構成を示すブロック図である。制御装置1は、医用画像診断装置Aの装置全体を制御する。
【0018】
制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iと、リムーバブルディスク1jと、駆動部制御部1kとが接続されている。駆動部制御部1kは、後述するスキャナ装置2を構成する各部を駆動する各駆動部の動きを制御する。
【0019】
さらに、入出力インターフェイス1dを介して、センサ10と、ガイド表示内容入力部20と、ガイド表示制御部30が接続されている。
【0020】
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから制御装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、
図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。
【0021】
さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、被検体Mに対するガイドを表示するための処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0022】
入力部1fは、制御装置1の操作者(例えば、医師や検査技師といった医療従事者)が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU31に送信される。
【0023】
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイである。この表示部1gは、CPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、検査中に被検体Mに対して行われる各種ガイド表示、或いはCPU1aの処理結果等を表示する。
【0024】
ここで液晶ディスプレイの代わりに表示部1gの構成として、例えば、プロジェクタ(
図1に示すプロジェクタ1ga,1gb)を利用してスクリーンにガイド表示を表示させる構成を採用しても良い。また、
図1に示す医用画像診断装置Aでは、スキャナ装置2を構成する架台2eの上部に表示部1gcが設けられている。当該表示部1gcは、例えば、モニタであって、医療従事者が自身が出したガイド表示や被検体Mの回答を確認する際に用いられる。
【0025】
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、制御装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0026】
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。また、医用画像診断装置Aで行われる検査に関するスキャンプラン等も記憶されている。
【0027】
リムーバブルディスク1jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0028】
また、医用画像診断装置Aには、被検体Mや医用画像診断装置Aを使用して被検体Mの検査を行う医療従事者の音声や動作を検出するセンサ10が接続されている。センサ10は、例えば、RGBカメラ、深度センサ、マイクロフォン等を備えており、センサ10が検出した情報は、制御装置1に送信される。
【0029】
例えばセンサ10は、赤外線を周囲に照射し、照射波が被検体Mや医療従事者の表面で反射した反射波を受光素子で検知する。そしてセンサ10は、照射波と反射波との位相差や照射から検知までの時間に基づいて、被検体Mや医療従事者とセンサ10との距離を求め、撮影範囲に対応する1フレームの距離画像(センサ10から被検体Mや医療従事者までの距離の情報を持った位置情報(以下、このような位置情報を「距離画像」と表わす))の情報を生成する。
【0030】
この1フレーム分の距離画像情報には、例えば、撮影時刻の情報と撮影範囲に含まれる各画素に、その画素に対応する被検体Mや医療従事者とセンサ10との距離が対応づけられた情報とが含まれる。センサ10は、次々に検知される反射波から連続する複数フレームの距離画像情報を生成することで、撮影範囲を動画撮影する。
【0031】
なお、センサ10が被検体Mや医療従事者の音声や動作を検出する方法については、上述した方法に限られない。例えば、キネクト(Kinect:登録商標)等を利用することができる。
【0032】
ガイド表示内容入力部20は、検査中に操作者である医療従事者の音声や動作に基づいて被検体Mに対して行われるガイド表示を生成させる機能を備えている。
図3は、第1の実施の形態におけるガイド表示内容入力部20の内部構成を示すブロック図である。
【0033】
ガイド表示内容入力部20は、被検体Mに対して表示するガイド表示を生成するに必要な情報を受信する受信部21と、認識部22と、解析部23と、判断部24と、工程作成部25と、状態管理部26と、生成されたガイド表示を表示部1gにおいて表示させるために表示部1gにガイド表示を送信する送信部27とから構成される。なお、これらガイド表示内容入力部20を構成する各部の詳細な働きについては、ガイド表示生成、表示の流れを説明する際に併せて説明する。
【0034】
また、ガイド表示内容入力部20によって生成されたガイド表示は、ガイド表示制御部30へと送信される。ガイド表示制御部30は、受信したガイド表示を表示部1gや架台2eの上部に設けられている表示部1gcに表示等させる。
【0035】
以上、制御装置1の内部構成について説明したが、
図1において制御装置1については破線で示されている。これは、制御装置1は、スキャナ装置2や寝台装置Bが設置されている検査室R内に必ずしも設置されている必要がないからである。従って、制御装置1は、検査室Rに設置されていても、或いは、例えば、検査室Rに隣接する部屋に設置されていてもよい。
【0036】
医用画像診断装置Aは、制御装置1によって制御されるスキャナ装置2を備えている。
図4は、第1の実施の形態における医用画像診断装置のうち、主にスキャナ装置2の内部構成を示すブロック図である。スキャナ装置2は、通常は検査室Rに設置され、被検体Mに関するX線の透過データを生成する。
【0037】
スキャナ装置2は、X線管(X線源)2aと、絞り2bと、X線検出器2cと、DAS(Data Acquisition System)2dと、ガントリ(架台)2eと、高電圧電源2fと、絞り駆動装置2gと、架台駆動装置2hと、天板駆動装置B2とから構成されている。
【0038】
X線管2aは、高電圧電源2fから供給された管電圧に応じて金属製のターゲットに電子線を衝突させることによってX線を発生させ、X線検出器2cに向けて照射する。X線管2aによって照射されるX線によって、ファンビームX線やコーンビームX線が形成される。
【0039】
絞り2bは、絞り駆動装置2gによってX線管2aから照射されるX線のスライス方向の照射範囲を調整する。これによって、スライス方向のX線の照射範囲を任意の向きに変更することができる。
【0040】
X線検出器2cは、X線管2aから照射され、被検体Mを透過したX線を検出する。X線検出器2cは、例えば、チャンネル方向に複数、及び列(スライス)方向に単一の検出素子を有する1次元アレイ型の検出器であっても良い。または、マトリクス状、すなわち、チャンネル方向に複数、及び、列方向に複数の検出素子を有する2次元アレイ型の検出器であっても良い。
【0041】
DAS2dは、X線検出器2cを構成する各X線検知素子が検知する透過データの信号を増幅してデジタル信号に変換する。DAS2dからの出力データは、制御装置1に送信される。
【0042】
架台2eは、X線を被検体Mに照射し透過したX線を検出する。そのため、被検体Mの進入及び退出を可能とするため、架台2eの中央にトンネル状の開口2iが設けられている。また架台2eは、その内部にX線管2a、絞り2b、X線検出器2c及びDAS2dを一体として保持する。
【0043】
ここでX線管2aとX線検出器2cとは、架台2e内において互いに対向する位置に配置される。さらに架台2eは、X線管2a、絞り2b、X線検出器2c及びDAS2dを一体としてその回転中心にいる被検体Mの周りを回転することで撮影を行う。
【0044】
高電圧電源2fは、制御装置1による制御を受けて、X線管2aからのX線の照射に必要な電力をX線管2aへと供給する。
【0045】
絞り駆動装置2gは、絞り2bにおけるX線のスライス方向の照射範囲を調整する機構を備える。絞り駆動装置2gは、制御装置1による制御を受けて照射範囲の調整を行う。
【0046】
架台駆動装置2hは、制御装置1による制御を受けて、架台2eがその内部に保持する機器の位置関係を維持したまま、架台2eの開口2i内において天板B1上に載置されている被検体Mの周りを回転するよう、架台2eを回転させる。
【0047】
また、併せて被検体Mの撮影を行うに当たって最適な位置での撮影を行うべく、架台2eそのものを移動させる。すなわち、本発明の実施の形態における医用画像診断装置Aでは、検査室Rの床面に設置された寝台装置Bを構成する天板B1がスキャナ装置2の開口2iを貫通する構成を採用している。そのため、被検体Mが載置された寝台装置B(天板B1)を移動させて開口2iに侵入、退出させるのではなく、スキャナ装置2自体を、
図1に示す全体図でいえば左右に移動することで、撮影に適した位置へと架台2eを移動させて対応する。
【0048】
寝台装置Bは、天板B1と天板駆動装置B2とから構成される。X線CT装置1を利用して被検体Mの内部情報を取得する際、すなわち撮影する際には被検体Mが天板B1の上に直接接する。被検体Mが天板B1の上に直接接する場合には、横臥する以外の体勢を取っても良い。天板駆動装置B2は、制御装置1による制御を受けて、天板B1の下部に設けられ、架台2eでの撮影の進行に伴って被検体Mを載せる天板B1を高さ方向に沿って昇降させる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態における寝台装置Bの長辺方向の両端部には、表示部1gを構成するプロジェクタ1ga,1gbが設置されている。このプロジェクタ1ga,1gbは、寝台装置B上の被検体Mに対してガイド表示を行う際に利用される。
【0050】
次に、検査を受診する被検体Mに対するガイド表示の流れについて説明する。
図5ないし
図7は、実施の形態における被検体Mに対する検査のガイド表示を行う流れを示すフローチャートである。
【0051】
まず、ガイド表示内容入力部20における工程作成部25は、医用画像診断装置Aの制御装置1にて把握しているスキャンプランを取得する(
図5のST1)。すなわち医用画像診断装置Aでは、被検体Mの検査(スキャン)を行うに当たって予めスキャンプランを定めている。医用画像診断装置Aにおいて定められたスキャンプランは、例えば、記憶部1iに記憶されている。
【0052】
このスキャンプランは、例えば、疾病、検査対象となる部位等、様々な条件を考慮して作成されるものである。或いは、被検体Mの体質等も考慮して、検査の対象となる被検体Mごとに作成されても良い。そして、医用画像診断装置Aを使用しての実際の被検体Mの検査は、当該作成されたスキャンプランに従って行われる。つまり、スキャンプランを参照すれば、検査の全体の流れや個々の処置の内容を把握することができる。そこで、医用画像診断装置Aのガイド表示内容入力部20では、被検体Mに対して行われる検査においてガイド表示を提供するに当たって、当該スキャンプランを利用する。
【0053】
工程作成部25は、記憶部1iに記憶されているスキャンプランを取得し、当該スキャンプランを基に検査の工程を作成する(ST2)。上述したように、当該作成された工程を基に、医用画像診断装置Aが被検体Mに対して音声ガイダンスを行う(ST3)。
【0054】
図8は、実施の形態においてスキャンデータを基に作成される検査工程の一例を示す説明図である。ここでは説明の都合上、説明図のような態様の検査工程を示しているが、工程作成部25は必ずしもこの説明図のような検査工程を作成しなくても良い。
【0055】
図8に示す説明図では、上部に検査全体に関する時間が示されている。すなわち、検査全体に掛かる時間である「検査トータル所要時間」は「26分」と示されている。また、検査の開始予定時刻及び終了予定時刻も示されており、それぞれ「午前10時30分」と「午前10時56分」である。
【0056】
一方、中段以下には、今回の検査で行われる個々の処置がその順番、及び所要時間とともに示されている。すなわち、今回の検査工程においては、まず「スキャノ」が行われ、次に「全身」の撮影が行われる。そして、造影剤が投与される前の撮影(「造影前」)、及び造影剤が投与された後の撮影(「造影後」)が予定されている。それぞれの処置に掛かる時間は、それぞれ、「20秒」、「20秒」、「10秒」、「10秒」である。また、各処置の間の時間(インターバル)は造影剤投与前後の撮影の間が15分である以外はいずれも5分となっている。
【0057】
工程作成部25は、医用画像診断装置Aが備えるスキャンプランを基に、このような検査工程を作成する。また、ガイド表示はこの検査工程も利用して行われる。
【0058】
医用画像診断装置Aにおける被検体Mへの音声ガイダンスが行われると、センサ10が当該ガイダンスを把握する(ST4)。なお、以下においては、このように医用画像診断装置Aが音声ガイダンスという処理を行うことを前提に被検体Mへのガイド表示の流れについて説明する。但し、当該医用画像診断装置Aによる音声ガイダンスがなく、医療従事者が作成された検査の工程に合わせて、自身が直接被検体Mに対して声掛け(ガイダンス)を行い、当該ガイダンスに基づいて表示部1gにおいてガイド表示がなされるような流れを採用しても良い。
【0059】
センサ10において把握されたガイダンスの情報は、ガイド表示内容入力部20の受信部21を介して認識部22に送られ、ガイド表示内容入力部20において医用画像診断装置Aによる音声ガイダンスが認識される(ST5)。認識部22では、さらに解析部23に当該ガイダンスの情報を送り、解析部23が認識されたガイダンスを解析する(ST6)。解析部23では、認識部22で認識された音声ガイダンスを解析して、その内容を把握する。
【0060】
併せて、ガイド表示内容入力部20の状態管理部26では、医用画像診断装置Aの現在の状態を把握する(ST7)。上述したように、医用画像診断装置Aは、スキャンプランに基づいて各部が制御装置1によって制御される。従って、当該制御装置1の制御内容を把握することで、実際に医用画像診断装置Aが現在どのような検査を行い、或いは、当該検査を行うために駆動部等の各部がどのように制御されているかが認識できる。
【0061】
また、状態管理部26は、工程作成部25と連絡を取って、医用画像診断装置Aの状態を把握するための情報を入手しても良い。
【0062】
解析部23において解析された、医用画像診断装置Aのガイダンスの内容と、工程作成部25において作成された検査工程の情報、及び、状態管理部26によって把握された医用画像診断装置Aの現状についての情報は、判断部24に集められる。判断部24では、これらの情報を基に、解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致するか否かを判断する(ST8)。ここでこの判断を行うのは、ガイダンスの内容と医用画像診断装置Aの現状とが一致しない場合、被検体Mに対して適切ではないガイド表示がなされることにつながりかねないからである。
【0063】
判断の結果、解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致しない場合には(ST8のNO)、再度、状態管理部26において、医用画像診断装置Aの現在の状態を把握した上で、判断部24において把握された解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致するか否かを判断する。
【0064】
一方、解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致する場合には(ST8のYES)、判断部24は送信部27を介してガイド表示制御部30に対して解析結果に基づいて医用画像診断装置Aがなしたガイダンスの内容を表示部1gに表示させるよう指示する(ST9)。このような処理が行われることで、医用画像診断装置Aによる音声ガイダンスが表示部1gに文字で表わされたガイド表示となる。
【0065】
医用画像診断装置Aによる音声ガイダンスが文字として表示されることで、被検体Mは現在、或いは、次に行われる検査がどのような内容で、被検体Mに対して、例えばどのような体位を取るよう要求しているかを確認することができる。特に被検体Mが聴覚障害者である場合には、文字によるガイド表示は検査をスムーズに行い、検査中の被検体Mの不安を少しでも軽減することができるツールとなる。
【0066】
図9は、実施の形態における医用画像診断装置Aを構成する表示部1gの配置を示す説明図である。ここでの表示部1gは、例えば、プロジェクタと当該プロジェクタによって投影される表示ガイドを表示させるスクリーンとから構成される。
【0067】
図9に示す説明図には、中央にスキャナ装置2が示されている。すなわち、架台2eが色つきで示されており、開口2iには、天板B1と当該天板B1上に横臥している被検体Mの頭が見えている。すなわち、
図9では、被検体Mの頭から足を向いた方向を見ている図である。被検体Mの頭部近傍であって、天板B1の端部には、プロジェクタ1gaが設置されている(
図1の全体図も参照)。そして例えば、当該プロジェクタ1gaがスクリーン1gdないしプロジェクタ1gfにガイド表示を表示させることで被検体Mに対して必要な情報を提供する。
【0068】
図9においては、医用画像診断装置Aのスキャナ装置2が設置されている検査室Rの天井に1つ、スキャナ装置2を挟んでそれぞれ対向する位置であって、寝台装置B(天板B1)の長手方向に平行となるように2つ、スクリーン1gdないし1gfが設けられている。
【0069】
天井に設けられているスクリーン1gdは、被検体Mが天板B1上に仰向けに横臥している状態にある場合に利用される。ガイド表示がなされた場合、仰向けになっている被検体Mからはちょうど正面にスクリーン1gdが見えることになる。一方、スクリーン1ge,1gfは、例えば、被検体Mがいずれかの方向に向いた状態にある場合に使用される。
【0070】
いずれのスクリーン1gdないし1gfも、天板B1上における被検体Mの様々な体位に対応するべく設けられており、被検体Mはいずれの体位にあってもガイド表示が見やすい位置に表示されることから、ガイド表示を的確に把握することができる。
【0071】
なお、スクリーン1gdないし1gfの設置位置は、被検体Mが検査の際に取り得る体位や検査室Rにおける各種機器の設置状況等を勘案して決められる。また、ここではプロジェクタ1gaとスクリーン1gdないし1gfを例に挙げて説明したが、例えば、スクリーン1gdないし1gfはモニタであっても良い。この場合、寝台装置Bの長手方向両端部に設けられるプロジェクタ1ga,1gbは不要となる。
【0072】
図10及び
図11は、実施の形態において被検体に対して表示されるガイド表示の画面の一例を示す画面例である。なお、ここでは「画面例」と示しているが、表示部1gがスクリーンであってもモニタであっても良い。
【0073】
図10の画面例では、工程作成部25によって作成された検査工程を利用して検査全体の流れと現在は検査全体の流れの中でどの位置にあるのかを示している。全体の画面構成は、
図8で説明した検査工程と略同じである。
【0074】
当該画面例によれば、検査工程の中で、今までに「スキャノ」と「全身」が終了し、現在は「全身」から「造影前」に移行する間にある。なぜならば、当該位置に また検査工程のどこの工程に位置しているかを示す垂直のバーが示されているからである。このバーは、検査が進むにつれて、各処置をつなぐ矢印の方向である画面上右に移動する。なお、全検査工程のいずれの位置に現在あるかを示す表示態様については、自由に設定することが可能である。
【0075】
また「全身」と「造影前」との間は5分のインターバルが設けられているが、その時間は5分である。
図10の画面例では、この「5分」の表示が点滅している。当該点滅表示によって、検査の全工程における現在の位置を把握することができる。なお、ここでは、時間を点滅させることによって現在位置を示しているが、例えば、色を変えて表示する等、表示態様はどのような態様であっても良い。
【0076】
さらに、検査を構成する各処置については、実施中、或いは、終了した処置については実線で、未実施の処置については破線で示されている。従って、「スキャノ」と「全身」については終了していることから実線で囲まれて表示されている。一方、未実施の「造影前」及び「造影後」については破線で囲まれて表示されている。
【0077】
図11は、処置が行われている間に表示される詳細なガイドである。
図11に示す画面例では、「詳細表示」との表示の下に、当該処置において被検体Mに対して要求される対応が示されている。ここでは「息を吸って下さい」、「息を止めて下さい」、及び「楽にして下さい」の3つの対応が示されている。
【0078】
実線で表示されている対応は対応中、或いは、対応終了となった対応であり、破線で表示されている対応は、未対応のものである。各対応は、右から左に向けて進み、
図11の表示を見る限り、現在、被検体Mは「息を吸って下さい」との指示に基づいて息を吸っていることになる。
【0079】
また画面最下段には、対応の進み具合を示すバーが表示されており、三角の表示が左から右に動くことで進み具合が理解できる。また、当該バーと対応の表示との間には時間が示されており、「息を止めている時間」は「10秒」であることがわかる。
【0080】
次にガイド表示内容入力部20は、医療従事者に何らかの動きがあるか否かを確認する(ST10)。ここでの医療従事者の動きは、医用画像診断装置Aの音声ガイダンスが文字情報としてガイド表示されたことに基づくものであり、いわば医用画像診断装置Aが行ったガイド表示に連動するものである。
【0081】
具体的には、センサ10によって医療従事者の動きが把握される(ST11)。なお、ここでの「動き」には、医療従事者が、例えば、腕を振る、手首を返す、といった、いわゆるジェスチャーに関する動きのみならず、例えば、医療従事者が発する音声等も含まれる。
【0082】
センサ10において把握された医療従事者の動きに関する情報は、ガイド表示内容入力部20の受信部21を介して認識部22に送られ、ガイド表示内容入力部20において医療従事者の動きが認識される(ST12)。認識部22では、さらに解析部23に当該動きの情報を送り、解析部23が認識部22において認識された動きを解析する(
図6のST13)。解析部23では、医療従事者の動きを解析して、その内容を把握する。
【0083】
ここでポイントになるのは、医療従事者の動き、特に医療従事者が声に出して指示した(ガイドした)内容については、解析部23においてその内容が略そのまま把握される点にある。
【0084】
すなわち、これまでは、例えば、医療従事者の動きに合わせて予め用意されている定型の表示内容が都度選択され、機械的に表示されるのみであった。これは医療従事者が、例えばボタンを押すことによってガイド表示を表示させる場合も同様である。
【0085】
定型のガイド表示は、ガイド表示の対象となる被検体を選ばない、という点にメリットがある一方、医療従事者が考える内容をその細かなニュアンスまで表示させることまではできない。被検体にもよるが、特に聴覚障害者の方が被検体となる場合、医療従事者からの指示は、基本的に表示部1gに表示される文字からのみとなる可能性がある。このような場合に定型のガイド表示だけでは被検体が医療従事者によるガイドの意味を十分に把握することができないことも考えられる。
【0086】
そこで本発明の実施の形態においては、医療従事者が表現した内容を、定型ではなくできるだけその意図をずらすことなく表示させることとしている。そのため、医療従事者の表現内容を表示部1gにおいて自由に記述させ表示させるべく、解析部23は医療従事者の動きを解析する。
【0087】
なお、例えば、医療従事者の動きにある特定のガイド表示を予め割り当てるような場合には、ガイド表示は定型にならざるを得ず、このような場合まで自由な表示がなされるわけではない。ただできるだけ医療従事者の表現内容を自由に記述させ表示させる、ということである。
【0088】
このように医療従事者の動きから定型ではないガイド表示を行うことが可能とされていることで、被検体Mに対してより適切に医療従事者の意図を伝えることができる。また被検体Mとしてもその意図を汲み取りやすくなる。
【0089】
ガイド表示内容入力部20の状態管理部26では、併せて、医用画像診断装置Aの現在の状態を把握する(ST14)。
【0090】
解析部23において解析された、医療従事者の動きに関する情報と、工程作成部25において作成された検査工程の情報、及び、状態管理部26によって把握された医用画像診断装置Aの現状についての情報は、判断部24に集められる。判断部24では、これらの情報を基に、解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致するか否かを判断する(ST15)。
【0091】
判断の結果、解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致しない場合には(ST15のNO)、再度、状態管理部26において、医用画像診断装置Aの現在の状態を把握した上で、判断部24において把握された解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致するか否かを判断する。
【0092】
一方、判断の結果、解析結果と医用画像診断装置Aの現状が合致する場合には(ST15のYES)、判断部24は送信部27を介してガイド表示制御部30に対して解析結果に基づいて医療従事者の動きの内容を表示部1gに表示させるよう指示する(ST16)。このような処理が行われることで、医療従事者の動きが文字情報となって表示部1gに表わされるガイド表示となる。
【0093】
本発明の実施の形態においては、医療従事者の動きを示すガイド表示は、上述したように定形の文章として表示されるのではなく、その場面に応じた適切な文言で表示されることになる。そのため、医療従事者は、検査を受診する被検体一人一人の特質を見極めて最適なガイドを行い、そのガイドが備える最適さを損なうことなく、ガイド表示として表示されることになる。従って、これまでのように、例えば、検査ごとに表示されるガイドが決まっており、個々の被検体の特質等を考慮しない、表示された定形の文言を基に検査を受診する全ての被検体が対応しなければならない、被検体が対応のしにくさを感じるといった状況は回避できる。
【0094】
さらに、ガイド表示内容入力部20は、被検体Mに何らかの動きがあるか否かを確認する(ST17)。すなわち、ここでの被検体Mの動きは、医療従事者によってなされたガイド表示に対する回答となるものである。
【0095】
具体的には、センサ10が被検体Mの動きを取得したことで被検体Mからの回答があったことが把握される(ST18)。なお、ここでの「回答」には、被検体Mが、例えば、腕を振る、手話を行う、といった動きのみならず、例えば、被検体Mが発する音声等も含まれる。
【0096】
センサ10において取得された被検体Mの回答に関する情報は、ガイド表示内容入力部20の受信部21を介して認識部22に送られ、ガイド表示内容入力部20において被検体Mの回答が認識される(ST19)。認識部22では、さらに解析部23に当該回答に関する情報を送り、解析部23が認識部22において認識された回答を解析する(ST20)。解析部23では、被検体Mの回答を解析して、その内容を把握する。ここで被検体Mが回答した内容については、解析部23においてその内容が略そのまま把握される。
【0097】
解析部23において解析された被検体Mの回答に関する情報は、判断部24に送信される。判断部24では、この情報を基に送信部27を介してガイド表示制御部30に対して解析結果に基づいて被検体Mの回答の内容を表示部1gに表示させるよう指示する(ST21)。このような処理が行われることで、被検体Mの回答が文字情報となって表示部1gに表わされる。
【0098】
なお、ここでは、直接被検体Mの回答を表示させる処理としているが、例えば、医療従事者の動きを表示させる場合と同様、被検体Mの回答を表示するに当たって、医用画像診断装置Aにおける処置の現状を確認した上で表示部1gにおいて被検体Mの回答を表示させることとしても良い。
【0099】
医療従事者は、表示部1g、例えば、架台2e上部に設けられたモニタ1gcを見ることで文字で表示された被検体Mの回答を把握し、自身や医用画像診断装置Aが提示したガイド表示が的確に被検体Mに対して伝わっているか否かを確認することができる。医療従事者は、当該表示を確認の上、検査の続行等、次の動作に移る。
【0100】
また、医用画像診断装置Aも医療従事者の指示に基づいて、検査工程の次の工程へと進む。そして、ガイド表示内容入力部20も、当該次の工程へと進んだ場合に、改めて次の検査工程を確認する(ST22)。また、状態管理部26が医用画像診断装置Aにおける処置の現状を確認し(ST23)、これらの情報を判断部24へと送信する。判断部24では、当該次の工程において、新たなガイド表示が必要か否か判断を行う(ST24)。その結果、新たな工程においてもガイド表示が必要な場合には(ST24のYES)、医用画像診断装置Aがガイダンスを行い(
図5のST3)、再度上述したようなガイド表示がなされる。
【0101】
一方、スキャナプランに基づく検査が全て終了したような場合には、これ以上被検体Mに対してガイド表示を行う必要はないことから(ST24のNO)、ガイド表示は終了となる。
【0102】
以上で、検査中に被検体Mに対して提示されるガイド表示の表示の流れを説明した。被検体Mに対するガイド表示は、例えば、
図8に示すような位置に設けられているスクリーン1gdないし1gfに対して表示することで行われる。
【0103】
次に、実際に被検体Mに対して検査が行われ、スキャナ装置2が移動している最中におけるガイド表示の被検体Mへの表示の態様について図面を用いて説明する。
【0104】
図12ないし
図15は、実施の形態において被検体Mに対して表示されるガイド表示の表示態様を示す説明図である。ここでは、
図1の全体図に示すように、寝台装置Bの長辺方向の両端にプロジェクタ1ga及び1gbが設けられている。また、
図1において示されている制御装置1については、その表示が省略されている。
【0105】
さらにここでは、プロジェクタ1ga,1gbを利用してガイド表示を表示する際には特にスクリーンを用いず、そのまま壁(天井)に表示させることとしている。すなわち、表示部1gを構成するプロジェクタ1ga,1gbを利用する場合であっても必ずしもスクリーンが必要となるわけではなく、例えば、天井、或いは、検査室Rの壁面においてある広さの平らな領域を確保することができれば、当該領域をスクリーンに見立ててガイド表示を表示させることができる。
【0106】
図12では、検査が始まる時点のガイド表示の表示態様を示している。スキャナ装置2は、被検体Mの頭部の近傍にあって、図面上の大きな矢印に示されている通り、左から右に移動する。スキャナ装置2の開口2iを貫通するように寝台装置Bの天板B1が設置されているため、被検体Mは検査中移動することなく天板B1上に横臥したままである。
【0107】
この状態において、被検体Mに対するガイド表示は、プロジェクタ1gbからスクリーンに見立てている天井に向けて投影されて表示されている。
図12においては、ガイド表示の投影がプロジェクタ1gbから伸びる点線で示されており、被検体Mの視線は破線の矢印で示されている。この状態では、被検体Mの視線の先に見える天井にガイド表示が表示されている。
【0108】
図13に示すように、スキャナ装置2が移動して被検体Mの頭部が開口2iに進入しても、被検体Mの位置から天井に表示されているガイド表示が見える場合には、プロジェクタ1gbによる表示がそのまま継続する。但し、天井においてガイド表示がなされる領域は、移動してきた開口2iの上部によって遮られることがないようにするため、
図12に示す領域とは異なる位置に表示されている。すなわち、ガイド表示が表示される領域は、
図12において表示される領域よりもプロジェクタ1gbに近づいた位置となる。従って、被検体Mの視線と天板B1とで形成される角度も、
図13の場合は
図12における場合よりも鋭角となる。
【0109】
図14は、さらにスキャナ装置2が移動した場合を示している。ここでは被検体Mの頭部はもとより、上半身の多くが開口2iの中に進入している。この状態となると、プロジェクタ1gbを使用しての天井へのガイド表示は、かなりプロジェクタ1gbに近い位置となる。これは、スキャナ装置2の開口2i内にいる被検体Mからすれば、ガイド表示が自身の足の上方における領域に表示されなければ見ることができないからである。但し、この状態で自身の足下を見ることに困難な場合も考えられることから、今度は、被検体Mの頭部近傍に設けられているプロジェクタ1gaも天井にガイド表示を表示させることとしている。
【0110】
このように、2カ所にガイド表示を行うことで、被検体Mはいずれか見やすい方を見れば足りることになる。このことは、被検体Mに対するガイド表示の提供を漏れなく行うことができることにもつながる。
【0111】
なお、プロジェクタ1ga,1gbを利用して天井に表示されるガイド表示は、これまでの説明からすればいずれのプロジェクタ1ga,1gbにおいても同じ内容が表示されることになる。但し、プロジェクタごとに表示するガイド表示を変更しても良い。例えば、プロジェクタ1gbではこれまで表示していた内容を継続して表示し、プロジェクタ1gaでは次に行われる検査の内容、注意点等を表示する等である。
【0112】
このように複数箇所にガイド表示を表示させる場合に、適宜異なるガイド表示を表示させることによって、被検体Mに対して現在の検査が終了した後の先の工程における検査内容をいち早く報知することができるため、それだけ被検体Mの不安を取り除くことに資する。
【0113】
図15は、さらにスキャナ装置2が移動し、被検体Mの頭部は、開口2iから出てしまっている。この状態では、
図12ないし
図14に示したような、自身の足下を見るように天井に表示されているガイド表示を見ることは、スキャナ装置2が表示されているガイド表示を遮ることになってしまうため困難である。
【0114】
そこで、プロジェクタ1gbによる表示は終了させ、プロジェクタ1gaによる表示に切り替える。また、プロジェクタ1gaは、その表示位置を
図14に示す場合よりも角度を付けて表示する。このように表示することによって、被検体Mは天板B1上において少し天井を見上げるような形となるが、見やすい位置にガイド表示が表示されることになる。
【0115】
以上説明した通り、医療従事者の意思を十分に反映させたガイド表示を提供することで、被検体、特に聴覚に障害を持つ被検体が安心して検査を受けることができるような柔軟なサポートを可能とする医用画像診断装置及びガイド装置を提供することができる。
【0116】
特に医療従事者の動きを、予め定められている定型の文言ではなく、その場の状況に応じた、医療従事者の意図が自由な表現(自由記述)でガイド表示として表示させることができるので、被検体も医療従事者の意図を十分に把握することができる。また、被検体が聴覚障害者である場合には、音声でのガイダンスが困難であることから、文言でのガイド表示とならざるを得ないが、このような場合にも医療従事者の意図を的確に被検体に伝えることができることから、被検体の検査の際の不安等を払拭することができる。
【0117】
また、医療従事者にしても、例えば、医用画像診断装置の入力部を操作することなく自身の動きのみで被検体に対してガイド表示を提供することができる。従って、より一層医用画像診断装置の使い勝手が良くなるとともに、検査もスムーズに進めることができる。
【0118】
ところで、上述した第1の実施の形態においては、ガイド表示内容入力部20が受けた操作者(医療従事者)の音声等をまとめて解析部23にて解析していた。この処理については、例えば、別の方法も考えられる。
【0119】
図16は、第1の実施の形態におけるガイド表示内容入力部20Aの別の内部構成を示すブロック図である。ここではガイド表示内容入力部20が受信した内容によってそれぞれ解析を行う部分が異なる。例えば、操作者が音声によってガイドを行う場合には、認識部22が音声を認識した後、操作者が発した音声を音声解析部23−1において解析し、例えば、音声を文章へと変換し表示部1g等に表示可能な態様とする。また、操作者が手話によってガイドを行った場合には、センサ10において把握された手話(動作)が認識部22において認識され、今度は動作解析部23−2へと送られる。当該動作解析部23−2では、認識された手話を文章へと変換し表示部1g等に表示可能な態様とする。
【0120】
一方、操作者が入力部1f、或いは、医用画像診断装置とは別の装置である携帯情報端末といった、入力装置を介して被検体に対して表示するガイド表示の内容を入力した場合には、ガイド表示内容入力部20Aの文章受信部23−3が入力された文章を受信する。この場合には受信した文章をそのまま表示部1g等に表示させることが可能なことから特に変換処理は不要である。
【0121】
このように、操作者(医療従事者)からのガイド表示の態様に合わせてそれぞれ解析する箇所を設けておくことによって、迅速、的確に操作者(医療従事者)からの意思(指示)を被検体へと伝えることが可能となる。
【0122】
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0123】
これまで説明してきた第1の実施の形態における医用画像診断装置Aには、ガイド表示内容入力部20が設けられており、当該ガイド表示内容入力部20が被検体に表示するガイド表示を表示していた。この第2の実施の形態においては、当該ガイド表示内容入力部20の役割を果たすガイド装置を医用画像診断装置から独立させて設置し、全体としてガイドシステムSとして構成した点に特徴がある。
【0124】
図17は、第2の実施の形態におけるガイド装置Gを含むガイドシステムSの全体構成を示す全体図である。ガイドシステムSは、被検体Mの内部情報を取得して医用画像を生成する医用画像診断装置A1と、医用画像診断装置A1を使用した検査を行う場合に、被検体Mに対してガイド表示を表示させるガイド装置Gとから構成されている。
【0125】
医用画像診断装置A1としては、上述したような様々な装置(モダリティ)が考えられる。そして、第1の実施の形態と異なり、検査中被検体Mに対してガイド表示を行う機能は備えておらず、純粋にモダリティとしての役割を果たすのみである。一方、ガイド装置Gは、医用画像診断装置A1を使用した検査が行われる際に被検体Mに対して提供するガイド表示を表示させる機能を備える装置である。
【0126】
図18は、第2の実施の形態におけるガイド装置Gの内部構成を示すブロック図である。ガイド装置Gは、CPU1Gと、ROM2Gと、RAM3G及び入出力インターフェイス4Gがバス5Gを介して接続されている。入出力インターフェイス4Gには、入力部6Gと、表示部7Gと、通信制御部8Gと、記憶部9Gと、ガイド表示制御部10Gと、認識部11Gと、解析部12Gと、判断部13Gと、工程作成部14Gと、状態管理部15Gとが接続されている。
【0127】
また、通信制御部8Gを介して、検査室Rに設けられているセンサ16Gからの信号がガイド装置Gに入力される。ガイド装置Gを構成する上記各部の働きは、第1の実施の形態において説明した通りである。
【0128】
医用画像診断装置A1とガイド装置Gとは、それぞれ通信ネットワークNに接続されている。ガイド装置Gは、当該通信ネットワークNを介して、例えば、ガイド表示を表示させる際に必要となるスキャンプランを医用画像診断装置A1から取得する。通信ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークNを介してやり取りされる情報に関する規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
【0129】
なお、
図17においては2つの医用画像診断装置A1A,A1B及び2つのガイド装置G1,G2が通信ネットワークNに接続されている。但し、通信ネットワークNに接続される医用画像診断装置A1とガイド装置Gの数は
図17に示した数に限定されず、単数或いは複数であっても良い。
【0130】
このように医用画像を生成する医用画像診断装置A1と被検体Mに対してガイド表示を行うガイド装置Gとが役割分担を行い、両者でガイドシステムSを構成している。このように構成することによって、医用画像診断装置A1は、本来果たすべき被検体Mの内部情報を取得して医用画像を生成するという役割を十分に果たすことができる。特に検査中に被検体Mに対してガイド表示を行う処理を行うと、検査中にガイド表示のためにその能力が分散してしまい、持てる能力の全てを検査に注ぐことができなくなってしまう。
【0131】
一方で、ガイド装置Gは、被検体Mへのガイド表示に特化していることから、医用画像診断装置A1が行う医用画像の生成という処理に能力を奪われることなくガイド表示にのみ専念できる。
【0132】
またこのような構成が採用されることによって、これまで医療機関内に設置されている様々な医用画像診断装置を使用する場合に、当該医用画像診断装置を用いた検査を受診する被検体に対してガイド装置Gからガイド表示を提供することができる。従って、ガイド表示内容入力部20を備えた医用画像診断装置Aでなければ提供できないガイド表示を、ガイド表示内容入力部を備えない医用画像診断装置を使用する際であっても提供することができる。このことは、検査における被検体の不安を等しく取り除くという観点から非常に有益な構成である。
【0133】
その他、第1の実施の形態において説明した、医療従事者の意思を十分に反映させたガイド表示を提供することで、被検体、特に聴覚に障害を持つ被検体が安心して検査を受けることができるような柔軟なサポートを可能とする医用画像診断装置及びガイド装置を提供することができる、との効果を奏することは当然である。
【0134】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。