(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793772
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】電圧ジェネレータ
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
G05F1/56 310V
G05F1/56 310K
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-46266(P2019-46266)
(22)【出願日】2019年3月13日
(65)【公開番号】特開2020-149352(P2020-149352A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2019年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴彦
【審査官】
土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2017/0242448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/445
G05F 1/56
G05F 1/613
G05F 1/618
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧に基づいて出力端子に出力電圧を供給する第1電圧レギュレータと、
第2電圧レギュレータと、
を含み、
前記第2電圧レギュレータは、イネーブル信号に基づいてイネーブルモード又はディスエーブルモードで動作し、前記第2電圧レギュレータが前記イネーブルモードで動作する時、前記基準電圧に基づいて前記出力端子に前記出力電圧を供給し、前記第2電圧レギュレータは、
前記イネーブルモードで動作する時、前記出力電圧に基づいたフィードバック電圧と前記基準電圧との差を増幅して前記出力電圧まで出力する誤差増幅器と、
前記出力電圧を分圧し、前記フィードバック電圧を発生する分圧回路と、
前記第2電圧レギュレータが前記イネーブル信号に基づいて、前記ディスエーブルモードから前記イネーブルモードに切り換えられた後の初期時間区間において、前記フィードバック電圧の電圧値を初期電圧値にさせ、第1コンデンサ、第2コンデンサ及び第1抵抗器を含み、前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第1抵抗器が前記分圧回路の電圧がより高い一端と接地端子との間に直列接続され、前記第2コンデンサと前記第1抵抗器の接続点が前記分圧回路に接続され、且つ前記初期電圧値が前記第1コンデンサの容量値、前記第2コンデンサの容量値及び前記出力電圧に基づいて決定する初期電圧ジェネレータと、
を含む、電圧ジェネレータ。
【請求項2】
前記分圧回路は、第2抵抗器及び第3抵抗器を含み、前記第2抵抗器及び前記第3抵抗器は、前記出力端子と前記接地端子との間に直列接続される請求項1に記載の電圧ジェネレータ。
【請求項3】
前記第2コンデンサの一端は、前記分圧回路の一端に接続され、前記第2コンデンサの他端は、前記第1抵抗器の一端に接続され、前記第1抵抗器の他端は、前記第1コンデンサの一端に接続され、前記第1コンデンサの他端は、前記接地端子に接続される請求項1又は2に記載の電圧ジェネレータ。
【請求項4】
前記初期電圧値は、以下の式(1)を満たし、
【数1】
voutは、前記出力電圧であり、C1は、前記第1コンデンサの容量値であり、C2は、前記第2コンデンサの容量値である請求項1に記載の電圧ジェネレータ。
【請求項5】
基準電圧に基づいて出力端子に出力電圧を供給する第1電圧レギュレータと、
第2電圧レギュレータと、
を含み、
前記第2電圧レギュレータは、イネーブル信号に基づいてイネーブルモード又はディスエーブルモードで動作し、前記第2電圧レギュレータが前記イネーブルモードで動作する時、前記基準電圧に基づいて前記出力端子に前記出力電圧を供給し、前記第2電圧レギュレータは、
前記イネーブルモードで動作する時、前記出力電圧に基づいたフィードバック電圧と前記基準電圧との差を増幅して前記出力電圧まで出力する誤差増幅器と、
前記出力電圧を分圧し、前記フィードバック電圧を発生する分圧回路と、
前記第2電圧レギュレータが前記イネーブル信号に基づいて、前記ディスエーブルモードから前記イネーブルモードに切り換えられた後の初期時間区間において、前記フィードバック電圧の電圧値を初期電圧値にさせ、第1コンデンサ、第2コンデンサ、第3コンデンサ、第1トランジスタ、第2トランジスタ及び第1抵抗器を含み、前記第2コンデンサ、前記第3コンデンサ及び前記第1抵抗器が前記分圧回路の電圧がより高い一端と接地端子との間に直列接続され、前記第2コンデンサと前記第1抵抗器の接続点が前記分圧回路に接続され、前記第1トランジスタ及び第2トランジスタが前記イネーブル信号に制御され、前記第1コンデンサの一端を前記接地端子又は前記分圧回路に結合させ、且つ前記初期電圧値が前記第1コンデンサの容量値、前記第2コンデンサの容量値、前記第3コンデンサの容量値及び前記出力電圧に基づいて決定する初期電圧ジェネレータと、
を含む、電圧ジェネレータ。
【請求項6】
前記分圧回路は、第2抵抗器及び第3抵抗器を含み、前記第2抵抗器及び前記第3抵抗器は、前記出力端子と前記接地端子との間に直接接続される請求項5に記載の電圧ジェネレータ。
【請求項7】
前記第2コンデンサの一端は、前記分圧回路の一端に接続され、前記第2コンデンサの他端は、前記第1抵抗器の一端に接続され、前記第1抵抗器の他端は、前記第3コンデンサの一端に接続され、前記第3コンデンサの他端は、前記接地端子に接続され、前記第1トランジスタの一端及び前記第2トランジスタの一端は、前記第1コンデンサの一端に接続され、前記第1トランジスタの他端及び前記第1コンデンサの他端は、前記接地端子に接続され、前記第2トランジスタの他端は、前記第2コンデンサの他端に接続される請求項5に記載の電圧ジェネレータ。
【請求項8】
前記初期電圧値は、以下の式(2)を満たし、
【数2】
voutは、前記出力電圧であり、C1は、前記第1コンデンサの容量値であり、C2は、前記第2コンデンサの容量値であり、C3は、前記第3コンデンサの容量値である請求項
5に記載の電圧ジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧ジェネレータに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来技術の電圧ジェネレータ500cの回路説明図を示している。
第2電圧レギュレータ505cがイネーブル信号venによってディスエーブルモードからイネーブルモードに切り換わった後、第2電圧レギュレータ505cのフィードバック電圧vfbは、再び基準電圧vrefに固定される必要があり、フィードバック電圧vfbが基準電圧vrefに固定される過程で必要となる一定の長さの時間tc(安定時間(settling time)と称する)は、
図6に示すとおりである。この安定時間は、負荷506の一定時間の長さの作業を不安定にさせ、作業効率に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、出力電圧の安定時間及びオーバーシュート、アンダーシュート電圧の幅を縮小することができる電圧ジェネレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、基準電圧に基づいて出力端子に出力電圧を供給する第1電圧レギュレータと、第2電圧レギュレータと、を含み、前記第2電圧レギュレータは、イネーブル信号に基づいてイネーブルモード又はディスエーブルモードで動作し 、前記第2電圧レギュレータが前記イネーブルモードで動作する時、前記基準電圧に基づいて前記出力端子に前記出力電圧を供給し、前記第2電圧レギュレータは、前記イネーブルモードで動作する時、前記出力電圧に基づいたフィードバック電圧と前記基準電圧との差を増幅して前記出力電圧まで出力する誤差増幅器と、前記出力電圧を分圧し、前記フィードバック電圧を発生する分圧回路と、前記第2電圧レギュレータが前記イネーブル信号に基づいて、前記ディスエーブルモードから前記イネーブルモードに切り換えられた後の初期時間区間において、前記フィードバック電圧の電圧値を初期電圧値にさせ、第1コンデンサ、第2コンデンサ及び第1抵抗器を含み、前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第1抵抗器が前記分圧回路の一端と接地端子との間に直列接続され 、且つ前記初期電圧値が前記第1コンデンサの容量値に反比例する初期電圧ジェネレータと、 を含む、電圧ジェネレータを提供する。
【0005】
本発明のもう1つの実施形態は、第1コンデンサ、第2コンデンサ、第3コンデンサ、第1トランジスタ、第2トランジスタ及び第1抵抗器を含み、前記第2コンデンサ、前記第3コンデンサ及び前記第1抵抗器が前記分圧回路の一端と接地端子との間に互いに直列接続され、前記第1トランジスタ及び第2トランジスタが前記イネーブル信号に制御され、前記第1コンデンサの一端を前記接地端子又は前記分圧回路に結合させ、且つ前記初期電圧値が前記第1コンデンサの容量値に反比例する初期電圧ジェネレータを含む、電圧ジェネレータを提供する。
【発明の効果】
【0006】
上記に基づき、本発明の電圧ジェネレータに基づき、フィードバック電圧がディスエーブルモードからイネーブルモードに切り換わった後の初期電圧値が基準電圧に近づき、フィードバック電圧に基準電圧に固定する過程で比較的短い安定時間、比較的小さいオーバーシュート、アンダーシュート電圧をもたせることができ、従って、電圧ジェネレータが低消費電力モードから比較的高い消費電力モードへ切り換わる時、出力電圧に比較的短い安定時間、比較的小さいオーバーシュート、アンダーシュート電圧をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態の電圧ジェネレータを示す回路図である。
【
図2】
図1の示す電圧ジェネレータの各電圧信号のタイミング図である。
【
図3】本発明の第2実施形態の電圧ジェネレータを示す回路図である。
【
図4】
図3の示す電圧ジェネレータの各電圧信号のタイミング図である。
【
図5】従来技術の電圧ジェネレータの回路説明図である。
【
図6】
図5の電圧ジェネレータの各電圧信号のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1実施形態の電圧ジェネレータ100aの回路図である。
【0010】
本実施形態の電圧ジェネレータ100aは、接地端子100、電源端子101、出力端子102、第1電圧レギュレータ103、基準電圧源104、第2電圧レギュレータ105aを含み、そのうちの第2電圧レギュレータ105aは、初期電圧ジェネレータ107a、誤差増幅器108、インバータ109、イネーブル信号入力端子110、トランジスタP1、トランジスタP2、トランジスタP3、第1抵抗器R1、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3及び第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2を含む。
【0011】
上述の構成部材の接続関係は、次のとおりである。基準電圧源104の一端は、誤差増幅器108の反転入力端子及び第1電圧レギュレータ103の入力端子と接続し、基準電圧源104の他端は、接地端子100と接続する。誤差増幅器108のイネーブル端子、トランジスタP3の制御端及びインバータ109の入力端子は、イネーブル信号入力端子110と接続する。トランジスタP3の一端、トランジスタP2の制御端は、誤差増幅器108の出力端子と接続する。トランジスタP3、P2の他端は、電源端子101と接続する。トランジスタP2の一端、トランジスタP1の他端及び第1電圧レギュレータ103の出力端子は、出力端子102と接続する。トランジスタP1の制御端は、インバータ109の出力端子連接と接続する。第3抵抗器R3の一端、第2抵抗器R2の他端は、誤差増幅器108の非反転入力端子と接続する。第3抵抗器R3の他端は、接地端子100と接続する。第2抵抗器R2の一端、トランジスタP1の一端は、第2コンデンサC2の一端と接続する。第2コンデンサC2の他端、第2抵抗器R2の他端は、第1抵抗器R1の一端と接続する。第1抵抗器R1の他端は、第1コンデンサC1の一端と接続する。第1コンデンサC1の他端は、接地端子100と接続する。負荷106の一端は、出力端子102と接続する。負荷106の他端は、接地端子100と接続し、電源端子101は、電源電圧vddと接続し、接地端子100は、接地電圧と接続する。
【0012】
以下、上記のような構成の電圧ジェネレータ100aの動作について説明する。
【0013】
図1及び
図2を参照し、イネーブル信号venが第2論理レベルである時、即ち、イネーブルモードである時、電圧ジェネレータ100aの第1電圧レギュレータ103及び第2電圧レギュレータ105aは基準電圧源104が発生する基準電圧vrefに基づいて、出力端子102に接続する負荷106に出力電圧voutを提供する。電源を節約するため、負荷106が低消費電力モードで動作する時、電圧ジェネレータ100aは、イネーブル信号venが第1論理レベルに設定されることによって、第2電圧レギュレータ105aをディスエーブルモードに設定でき、第1電圧レギュレータ103のみで負荷106に出力電圧voutを提供し、このように、第2電圧レギュレータ105aの待機電流を節約し、省電力の効果を達成する。負荷106が比較的高い消費電力モードで動作する時、電圧ジェネレータ100aは、イネーブル信号venが第2論理レベルに設定されることによって第2電圧レギュレータ105aをディスエーブルモードからイネーブルモードに切り換え、第1電圧レギュレータ103及び第2電圧レギュレータ105aに同時に負荷106に出力電圧voutを提供させる。
【0014】
上記の第1論理レベルは、論理ハイレベルであっても、論理ローレベルであってもよく、特に限定しない。また、第2論理レベルは、第1論理レベルと相補的な論理レベルである。
【0015】
電圧ジェネレータ100aは、下記方式によって第2電圧レギュレータ105aをディスエーブルモードに設定する。先ず、第1論理レベルであるイネーブル信号venに基づき、誤差増幅器108をディスエーブルモードに設定し、トランジスタP3をオンにし、トランジスタP1をオフにし、トランジスタP2を制御端の電圧上昇によってオフにし、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3に電流が流れないようにし、ディスエーブルモードの設定を完成し、省電力の効果を達成する。注意すべきこととして、第2電圧レギュレータ105aがディスエーブルモードである状況において、第1電圧レギュレータ103は、依然として正常に動作し、即ち、第1電圧レギュレータ103は、依然として負荷106に出力電圧voutを提供し、この時、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3に電流が流れず、即ち、第3抵抗器R3の両端の電圧が等しく、従って、ディスエーブルモードにおいて、フィードバック電圧vfbは、接地端子100の接地電圧に等しい。
【0016】
イネーブル信号venが第1論理レベルから第2論理レベルに切り換わり、第2電圧レギュレータ105aがディスエーブルモードからイネーブルモードに切り換わった後、誤差増幅器108は、イネーブルにされ、トランジスタP3がオフとなり、トランジスタP1がオンとなり、誤差増幅器108、トランジスタP2及び
図1に示す第1抵抗器R1、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3及び第1コンデンサC1、第2コンデンサC2等の回路はフィードバック電圧vfbを初期電圧値viniaから基準電圧vrefに固定し直し、イネーブル信号venが第1論理レベルを第2論理レベルに切り換えた後からフィードバック電圧vfbが基準電圧vrefに固定されるまでの過程でかかる時間taを安定時間と称し、
図2に示すとおりである。
【0017】
以下、フィードバック電圧vfbの初期電圧値viniaについて分析する。イネーブル信号venが第1論理レベルにある時(即ち、ディスエーブルモード)、初期電圧ジェネレータ107aの第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の両端の電圧は、何れも接地端子100の接地電圧に等しく、従って、この時、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、何れも電荷を蓄積していない。イネーブル信号venが第1論理レベルから第2論理レベルに切り換わった後、トランジスタP1がオンとなり、トランジスタP1を介して初期電圧ジェネレータ107aに注入された電荷が第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に分配され、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の電荷の分配関係は、以下の方程式(1)で表すことができ、方程式(1)からフィードバック電圧vfbの初期電圧値viniaが第1コンデンサC1の容量値に反比例し、第2コンデンサC2の容量値に比例することを推論できる。
【数1】
【0018】
また、方程式(1)から第1コンデンサC1、第2コンデンサC2の容量値の設計方式が、フィードバック電圧vfbの初期電圧値viniaを基準電圧vrefに近づけ、フィードバック電圧vfbが基準電圧vrefに固定されるまでの過程の安定時間とオーバーシュート、アンダーシュート電圧を縮小することを分かることができ、例えば、基準電圧vref=1ボルト(volt,V)、出力電圧vout=3Vである時、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の容量値の比率(C1/C2)は、実質上2に等しいものとして設計できる。
【0019】
イネーブル信号venが第1論理レベルから第2論理レベルに切り換わった後、フィードバック電圧vfbの初期電圧値viniaは、基準電圧vrefよりもやや大きい電圧値であれば、第2電圧レギュレータ105aの負のフィードバック設計によって、誤差増幅器108がフィードバック電圧vfbと基準電圧vrefとの差を増幅し、トランジスタP2の制御端の電圧を上昇させ、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3へ流れる電流を低下させ、従って、フィードバック電圧vfbが降下し、徐々に基準電圧vrefに固定される。
【0020】
これに対し、フィードバック電圧vfbの初期電圧値viniaは、基準電圧vrefよりやや小さい電圧値であれば、第2電圧レギュレータ105aの負のフィードバック設計によって、誤差増幅器108は、フィードバック電圧vfbと基準電圧vrefとの差を増幅し、トランジスタP2の制御端の電圧を降下させ、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3へ流れる電流を上昇させ、従って、フィードバック電圧vfbが上昇し、徐々に基準電圧vrefに固定される。
【0021】
述べておくべきこととして、第1コンデンサC1は、
フィードバック電圧vfbの初期電圧値viniaを決定し、フィードバック電圧vfbが基準電圧vrefに速く固定可能にすることに用いることができる以外に、第2電圧レギュレータ105aの位相補償(phase compensation)に用いることもでき、従って、回路面積を減少させ、コストを低減することができる。
【0022】
次に、
図3及び
図4を参照して本発明の第2実施形態の電圧ジェネレータ100bについて説明する。
【0023】
第1実施形態の電圧ジェネレータ100aと異なり、本実施形態の電圧ジェネレータ100bは、トランジスタP1及び初期電圧ジェネレータ107aを設置せず、第3抵抗器R3と接地端子100との間にトランジスタN1を接続する。また、第2抵抗器R2の両端に初期電圧ジェネレータ107bを接続する。その他の構成は、
図1の電圧ジェネレータ100aと同じであるので、同じ構成要素については、同じ符号を付与し、重複した説明を適当に省略する。
【0024】
上述のトランジスタN1の制御端は、イネーブル信号入力端子110と接続され、トランジスタN1の一端は、第3抵抗器R3の他端と接続され、トランジスタN1の他端は、接地端子100と接続される。上述初期電圧ジェネレータ107bにおいて、第2コンデンサC2の一端は、第2抵抗器R2の一端と接続され、第2コンデンサC2の他端は、第2抵抗器R2の他端と接続される。第1抵抗器R1の一端は、第2コンデンサC2の他端と接続され、第1抵抗器R1の他端は、第3コンデンサC3の一端と接続される。第3コンデンサC3の他端は、接地端子100と接続される。トランジスタP4の制御端、トランジスタN2の制御端は、インバータ109の出力端子と接続され、トランジスタP4の他端は、第2コンデンサC2の他端と接続され、トランジスタP4の一端は、トランジスタN2の一端と接続され、トランジスタN2の他端は、接地端子100と接続される。第1コンデンサC1の一端は、トランジスタN2の一端と接続され、第1コンデンサC1の他端は、接地端子100と接続される。
【0025】
また、本実施形態の電圧ジェネレータ100bは第1実施形態の電圧ジェネレータ100aと同じく、フィードバック電圧vfbの初期電圧値vinibを基準電圧vrefに近づけるように設計し、フィードバック電圧vfbが基準電圧vrefに固定されるまでの過程の安定時間及び発生し得るオーバーシュート、アンダーシュート電圧の幅を縮小する。
【0026】
以下、上記のような構成の電圧ジェネレータ100bの動作について説明する。
【0027】
図3及び
図4を同時に参照し、イネーブル信号venは、第2論理レベルである時、即ち、イネーブルモードである時、電圧ジェネレータ100bの第1電圧レギュレータ103及び第2電圧レギュレータ105bは、基準電圧源104が発生する基準電圧vrefに基づき、出力端子102に接続された負荷106に出力電圧voutを提供する。電源を節約するため、負荷106が低消費電力モードで動作する時、電圧ジェネレータ100bは、イネーブル信号venが第1論理レベルに設定されることによって、第2電圧レギュレータ105bをディスエーブルモードに設定し、第1電圧レギュレータ103のみによって負荷106に出力電圧voutを提供し、このように、第2電圧レギュレータ105bの待機電流を節約し、省電力の効果を達成することができる。負荷106が比較的高い消費電力モードで動作する時、電圧ジェネレータ100bは、イネーブル信号venが第2論理レベルに設定されることによって、第2電圧レギュレータ105bをディスエーブルモードからイネーブルモードに切り換え、第1電圧レギュレータ103及び第2電圧レギュレータ105bに同時に負荷106に出力電圧voutを提供させる。
【0028】
本実施例において、電圧ジェネレータ100bは、下記方式によって、第2電圧レギュレータ105bをディスエーブルモードに設定する。先ず、第1論理レベルであるイネーブル信号venに基づき、誤差増幅器108をディスエーブルモードに設定し、トランジスタP3がオンになり、トランジスタN1がオフになり、トランジスタP2が制御電圧の上昇によってオフになり、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3には電流が流れず、ディスエーブルモードの設定を完成し、省電力の効果を達成する。注意すべきこととして、第2電圧レギュレータ105bがディスエーブルモードである状況において、第1電圧レギュレータ103は、依然として正常動作し、即ち、第1電圧レギュレータ103は、依然として負荷106に出力電圧voutを提供し、この時、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3に電流が流れず、即ち、第2抵抗器R2の両端の電圧が等しく、従って、ディスエーブルモードにおいて、フィードバック電圧vfbは、出力電圧voutに等しい。
【0029】
イネーブル信号venが第1論理レベルから第2論理レベルに切り換わり、第2電圧レギュレータ105bをディスエーブルモードからイネーブルモードに切り換えた後、誤差増幅器108がイネーブルにされ、トランジスタP3及びトランジスタN2がオフになり、トランジスタN1及びトランジスタP4がオンとなり、誤差増幅器108、トランジスタP2及び
図3に示す第1抵抗器R1、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2及び第3コンデンサC3等の回路は、フィードバック電圧vfbを初期電圧値vinibから基準電圧vrefに固定し直し、イネーブル信号venが第1論理レベルから第2論理レベルに切り換わった後からフィードバック電圧vfbが基準電圧vrefに固定されるまでの過程でかかる時間tbを安定時間と称し、
図4に示すとおりである。
【0030】
以下、フィードバック電圧vfbの初期電圧値vinibについて分析する。イネーブル信号venが第1論理レベルにある時(即ちディスエーブルモード)、トランジスタP4がオフになってトランジスタN2がオンになり、従って、初期電圧ジェネレータ107b中の各コンデンサの両端の電圧は、それぞれ、第1コンデンサC1の両端の電圧が接地端子100の接地電圧に等しく、第2コンデンサC2の兩端の電圧が何れも出力電圧voutに等しく、第3コンデンサC3の一端が出力電圧voutであり、他端が接地端子100の接地電圧である。上記の電圧の関係は、この時の第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2が何れも電荷を蓄積しておらず、第3コンデンサC3がC3 voutの電荷を蓄積していると推論できる。イネーブル信号venは、第1論理レベルから第2論理レベルに切り換わり、トランジスタP4がオンになってトランジスタN2がオフになり、第3コンデンサC3に蓄積された電荷C3 voutが第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に分配され、この時の第1コンデンサC1、第2コンデンサC2及び第3コンデンサC3の電荷の分配関係は、以下の方程式(2)で表すことができ、該方程式(2)からフィードバック電圧vfbの初期電圧値vinibが容量値C1に反比例し、第3コンデンサC3の容量値と第2コンデンサC2の容量値との差値に比例することを推論できる。
【数2】
【0031】
また、方程式(2)から第1コンデンサ〜第3コンデンサC1−C3の容量値の設計方法が、フィードバック電圧vfbの初期電圧値vinibを基準電圧vrefに近づけ、フィードバック電圧vfbが基準電圧vrefに固定されるまでの過程の安定時間及びオーバーシュート、アンダーシュート電圧を縮小することを分かることができ、例えば、基準電圧vref=1Vであり、出力電圧vout=3Vである時、第1コンデンサ〜第3コンデンサの容量値の関係:C1/(C3−C2)が実質上2に等しいものとして設計できる。
【0032】
イネーブル信号venが第1論理レベルから第2論理レベルに切り換わった後、フィードバック電圧vfbの初期電圧値vinibは、基準電圧vrefの電圧値よりもやや大きければ、第2電圧レギュレータ105bの負のフィードバック設計によって、誤差増幅器108は、フィードバック電圧vfbと基準電圧vrefとの差を増幅し、トランジスタP2の制御端の電圧を上昇させ、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3に流れる電流を低下させ、従って、フィードバック電圧vfbが降下して徐々に基準電圧vrefに固定される。
【0033】
これに対し、フィードバック電圧vfbの初期電圧値vinibが基準電圧vrefの電圧値よりもやや小さければ、第2電圧レギュレータ105bの負のフィードバック設計によって、誤差増幅器108は、フィードバック電圧vfbと基準電圧vrefとの差を増幅し、トランジスタP2の制御端の電圧を降下させ、第2抵抗器R2、第3抵抗器R3に流れる電流を上昇させ、従って、フィードバック電圧vfbが上昇して徐々に基準電圧vrefに固定される。
【0034】
述べておくべきこととして、第1コンデンサC1は、フィードバック電圧vfbの初期電圧値vinibを決定し、フィードバック電圧vfbを比較的速く基準電圧vrefに固定可能にするために用いられる以外に、同時に第2電圧レギュレータ105bの位相補償に用いることもでき、従って、回路面積を縮小し、コストを低減することができる。
【0035】
上記を総合し、本発明の電圧ジェネレータ100a、100bは、ディスエーブルモードからイネーブルモードに切り換わった後のフィードバック電圧vfbの初期電圧値を基準電圧vrefに近づけ、フィードバック電圧vfbに基準電圧vrefに固定するまでの過程で比較的短い安定時間と比較的小さいオーバーシュート、アンダーシュート電圧をもたせ、従って、電圧ジェネレータ100a、100bが低消費電力モードから比較的高い消費電力モードに切り換わる時、出力電圧voutに比較的短い安定時間と比較的小さいオーバーシュート、アンダーシュート電圧をもたせることができる。
【符号の説明】
【0036】
100a、100b、500c 電圧ジェネレータ
100 接地端子
101 電源端子
102、502 出力端子
103、503 第1電圧レギュレータ
104、504 基準電圧源
105a、105b、505c 第2電圧レギュレータ
106、506 負荷
107a、107b 初期電圧ジェネレータ
108 誤差増幅器
109 インバータ
110 イネーブル信号入力端子
P1、P2、P3、P4 トランジスタ
N1、N2 トランジスタ
R1 第1抵抗器
R2 第2抵抗器
R3 第3抵抗器
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
C3 第3コンデンサ
ven イネーブル信号
vfb フィードバック電圧
vout 出力電圧
vref 基準電圧
vinia、vinib 初期電圧値
vdd 電源電圧
ta、tb、tc 安定時間