特許第6793785号(P6793785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6793785
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   A63J 5/02 20060101AFI20201119BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20201119BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20201119BHJP
   G06F 3/0485 20130101ALI20201119BHJP
【FI】
   A63J5/02
   G06F3/0484 170
   G06F3/0481
   G06F3/0485
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-118499(P2019-118499)
(22)【出願日】2019年6月26日
【審査請求日】2019年6月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年11月 7日 札幌文化芸術劇場 hitaruにてシーン設定用画面を用いて公開 平成30年11月30日 札幌文化芸術劇場 hitaruにて操作装置を納品して公開
(73)【特許権者】
【識別番号】592203292
【氏名又は名称】三精テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】氏家 守彦
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 章史
【審査官】 目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−079071(JP,A)
【文献】 特開2011−182118(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/212013(WO,A1)
【文献】 特開2009−059312(JP,A)
【文献】 特開平08−257253(JP,A)
【文献】 特開2016−118814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63J1/00−99/00
A63K1/00−99/00
G06F3/01、3/048−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舞台機構の操作装置であって、
表示画面を有する表示部と、
1公演の進行単位であるキューに対応して、1以上のキューシートの設定を受け付け可能に構成された操作部と、
前記操作部により設定された複数のキューシートに従って前記舞台機構の動作を制御することにより、複数のキューを順に実行するように構成された運転制御部と、
前記複数のキューシートを、前記表示画面上に実行順に並べて表示するように構成された表示制御部とを備える、操作装置。
【請求項2】
前記1以上のキューシートの各々には、互いに異なる演出上の効果を奏する複数の機能のうちのいずれか1つが割り当てられる、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記複数のキューを実行順に並べて配置したキューツリーを前記表示画面上に表示する、請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記操作部の操作に応じて、前記表示画面に表示される前記複数のキューシートをスクロールする、請求項1から3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、各前記複数のキューシートを、前記操作部の操作に応じて、前記表示画面上を移動可能に表示する、請求項1から4のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記操作部の操作に応じて、前記複数のキューシートに新たなキューシートを追加して表示する、請求項1から5のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、実行中のキューに対応するキューシートを前記表示画面上に表示するように、前記複数のキューシートをスクロールする、請求項1から6のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、実行済みのキューシートを、実行中および実行予定のキューシートとは異なる態様で表示する、請求項1から7のいずれか1項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9−294877号公報(特許文献1)には、吊物機構および床機構を有する舞台機構を公演シーンに合わせて順に移動制御する舞台機構制御装置が開示される。特許文献1に記載の舞台機構制御装置は、複数のシーンデータを入力して仕込みデータを設定するシーン仕込入力手段を有する。仕込みとは、演劇の上演場面であるシーンにおいて、舞台機構が演出家が望む動作を行なうように、オペレータが舞台機構の移動速度および移動位置などを予め設定しておく作業をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−294877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の舞台機構制御装置では、上述した仕込みにおいて、シーン番号単位で操作対象となる舞台機構およびその目標位置および目標速度などが設定される。このとき、オペレータには、上演中のシーンの進行内容、次のシーン以降への繋がり、および観客に対する演出効果などを考慮して、操作対象となる舞台機構およびその動作を設定することが求められる。
【0005】
しかしながら、従来の舞台機構制御装置は、シーン番号単位で設定画面が構成されているため、シーンごとに設定画面を切り替えて操作対象の目標位置および目標速度などを設定する作業が必要となる。このとき、オペレータは、前後のシーンの設定内容を見る場合には、その都度、設定画面を切り替えなければならないため、前後のシーンと連続性や繋がりを視覚的に確認しにくいという問題があった。
【0006】
これによると、仕込みデータを設定する作業が煩雑となり、作業効率が低下することが懸念される。また、演出効果を高めるために、一部の舞台機構を複数のシーンに跨がって動作させようとすると、仕込みデータの設定がさらに煩雑化するため、演出効果を向上させることに対して限界が生じてしまうことが懸念される。
【0007】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、舞台機構の仕込みを行なうオペレータの作業効率および観客に対する演出効果を向上させることができる操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面によれば、舞台機構の操作装置であって、表示画面を有する表示部と、1公演の進行単位であるキューに対応して、1以上のキューシートの設定を受け付け可能に構成された操作部と、操作部により設定された複数のキューシートに従って舞台機構の動作を制御することにより、複数のキューを順に実行するように構成された運転制御部と、複数のキューシートを、表示画面上に実行順に並べて表示するように構成された表示制御部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、表示画面上で複数のキューシートを連続して表示させることができるため、舞台機構の仕込みを行なうオペレータは、キューシート間の連続性や繋がりを容易に視認することができるため、キューシートを設定する作業効率を向上させることができる。また、オペレータは、複数のキューに跨がって操作対象の舞台機構が運転するような複雑な設定も容易となるため、観客に対する演出効果を向上させることが可能となる。この結果、オペレータの作業効率および観客に対する演出効果を向上させることができる操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に従う操作装置の概略構成図である。
図2】操作装置、主制御装置および舞台機構の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】表示部に表示されるタイムスケジュールの設定用画面の構成例を示す図である。
図4図3に示したキューツリーおよびキューシートの全体構成を示す図である。
図5】キューシートの構成例を示す図である。
図6】キューシートを編集する作業を説明する図である。
図7】比較例に従う操作装置の表示部に表示されるタイムスケジュールの設定用画面の構成例を示す図である。
図8】公演中に表示部に表示されるタイムスケジュールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0012】
[操作装置の構成]
図1は、実施の形態に従う操作装置の概略構成図である。実施の形態に従う操作装置1は、複数の舞台機構D1〜Dn(nは2以上の整数)を操作するための操作装置である。
【0013】
図1を参照して、舞台機構D1〜Dnは、スタジオ、劇場、ホール、宴会場、仮設ステージなどの施設の舞台部分に設置される装置である。舞台機構には、舞台上部から吊り下げた大道具、照明器具、スクリーン設備、舞台幕および音響反射板などを、演出効果や格納のための昇降させるための吊物機構や、大道具の搬出入や演出上の効果を得るために舞台床を動かす床機構などが含まれる。操作装置1は、複数の舞台機構D1〜Dnを一元的に制御することによって舞台を演出するために用いられる。
【0014】
操作装置1は、主制御装置10と双方向に通信可能に接続されている。主制御装置10は、複数の舞台機構D1〜Dnと双方向に通信可能に接続されている。
【0015】
操作装置1は、通常、舞台機構が設置された舞台付近の現場、もしくは現場から離れた調整室などに設置される。主制御装置10は、1または複数の操作装置1と複数の舞台機構D1〜Dnとの間の通信を中継するように構成される。主制御装置10はさらに、操作装置1と協働して、複数の舞台機構D1〜Dnの運転を制御するように構成される。
【0016】
なお、本実施の形態では、操作装置1が主制御装置10および各舞台装置と直接通信する場合について説明するが、ネットワークを介して主制御装置10および各舞台装置と通信する構成としてもよい。有線および無線のいずれの通信も可能である。
【0017】
操作装置1は、表示部2と、操作卓3とを備える。表示部2は、画像を表示可能な液晶ディスプレイなどで構成される。
【0018】
操作卓3は、操作装置1に対するユーザの操作入力を受け付ける。具体的には、操作卓3には、ユーザにより操作可能な複数の機械式の操作ボタンが設けられている。機械式の操作ボタンには、たとえば、押圧式のボタン、レバースイッチ、スティックコントローラ、ジョグダイヤル、ロータリーエンコーダ、フェーダなどが含まれる。操作卓3は、さらに、マウスおよびキーボードなどのポインティングデバイスまたは、タッチパネル画面上のソフトスイッチを含んでいてもよい。操作ボタン、ポインティングデバイスおよびソフトスイッチは「操作部」の一実施例に対応する。なお、表示部2がディスプレイおよびタッチパネルからなるタッチスクリーンで構成される場合、操作部はタッチパネル画面上のソフトスイッチをさらに含む。
【0019】
操作装置1は、操作部に対する入力操作に基づいて、複数の舞台機構D1〜Dnの各々の運転を制御するための制御指令を生成する。操作装置1は、生成した制御指令を対応する舞台機構に送信する。舞台機構D1〜Dnは、制御部C1〜Cnをそれぞれ含んでいる。各制御部は、操作装置1からの制御指令を受信すると、制御指令に従って舞台機構の各部の動作を制御する。
【0020】
舞台機構D1〜Dnの各々は、定期的または操作装置1からの要求に応答して、自装置の状態を示す状態情報を操作装置1に送信する。状態情報は、自装置の運転状態、たとえば自装置が現在運転中か停止中であるかを示す情報、自装置の現在位置、運転速度および運転方向などを示す情報、運転が正常に行なわれているか、あるいは異常が発生したかを示す情報などを含んでいる。各舞台機構は、自装置の識別情報とともに上述した状態情報を操作装置1に送信してもよい。
【0021】
[操作装置の機能構成]
図2は、操作装置1、主制御装置10および舞台機構D1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図2を参照して、操作装置1は、表示部2と、操作部9と、制御部4と、通信部8とを含む。表示部2は、画像を表示するための表示画面を有するディスプレイにより構成される。表示部2は、制御部4からの指示に基づいて情報を表示する。
【0023】
操作部9は、操作卓3(図1参照)に設けられた操作ボタンおよびポインティングデバイス、ならびにタッチパネル画面上のソフトスイッチなどで構成され、ユーザの入力操作を受け付ける。
【0024】
制御部4は、主にCPU(Central Processing Unit)で構成され、操作装置1の各部を統括的に制御する。制御部4は、表示制御部5と、運転制御部6とを含む。表示制御部5は、表示部2の表示を制御する。運転制御部6は、後述する各公演のタイムスケジュールおよび操作部9の操作に従って、操作対象となる舞台機構D1〜Dnの運転を制御する。
【0025】
通信部8は、主制御装置10と通信を行なう。具体的には、通信部8は主制御装置10の通信部15との間で情報の送受信を行なう。なお、通信部8は、無線あるいは有線のいずれの通信も可能である。
【0026】
なお、制御部4および通信部8の各々は、操作卓3に実装されてもよいし、表示部2に実装されてもよいし、外部装置に実装されてもよい。
【0027】
[主制御装置の機能構成]
主制御装置10は、制御部12と、記憶部14と、通信部15とを含む。制御部12は、主にCPUで構成され、記憶部14に格納されているプログラムを当該CPUが実行することにより、操作装置1の各部を統括的に制御する。
【0028】
記憶部14は、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュメモリなどの記憶装置であり、各舞台機構の各種機能を実現するためのプログラムおよび後述する各公演のタイムスケジュールなどが格納されている。
【0029】
通信部15は、1または複数の操作装置1と通信を行なうとともに、舞台機構D1〜Dnの各々と通信を行なう。具体的には、通信部15は、操作装置1の通信部8との間で情報の送受信を行なうとともに、各舞台機構の通信部18との間で情報の送受信を行なう。なお、通信部15は、無線あるいは有線のいずれの通信も可能である。
【0030】
[舞台機構の機能構成]
舞台機構D1は、通信部18と、制御部C1と、駆動部16とを含む。通信部18は、主制御装置10の通信部15との間で情報の送受信を行なう。
【0031】
制御部C1は、通信部18を介して主制御装置10からの制御指令を受けると、舞台機構D1の各部の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0032】
駆動部16は、バトンなどの負荷と、負荷を駆動するためのドライバとを含んで構成される。駆動部16は、制御部C1により生成された制御信号に基づいてドライバを駆動することにより、バトンなどの負荷を移動させる。
【0033】
舞台機構D2〜Dnの各々は、舞台機構D1と基本的な機能構成が同じであるため、その説明を省略する。なお、上記舞台機構の構成は必ずしも必須の構成ではなく、たとえば駆動部については、機構に応じて機能を追加あるいは削除することも可能である。
【0034】
[操作装置を用いたタイムスケジュール設定・編集動作]
施設の舞台部分で行なわれる演劇およびコンサートなどの公演は、一般的に、時間で区切られた複数のシーンで構成されており、この複数のシーンを順番に切り替えることで公演が進行するように構成されている。公演の進行中、各シーンにおいて、複数の舞台機構D1〜Dn(図1参照)の少なくとも一部を運転させることにより、観客に対する演出効果を奏することができる。
【0035】
公演を指揮および監督するオペレータ(たとえば、舞台監督など)は、公演のシーンごとに、操作対象となる舞台機構および当該舞台機構の運転条件などを設定したタイムスケジュールを予め作成しておき、事前のリハーサルおよび公演本番時にはこのタイムスケジュールに従って公演を進行させる。
【0036】
具体的には、タイムスケジュールの作成時には、オペレータは、シーンごとに実際に舞台機構を運転させることで、操作対象となる舞台機構およびその運転条件を設定することができる。運転条件は、舞台機構の現在位置、運転開始位置、目標位置、運転時間、運転速度などを含む。なお、運転条件の項目に制限はなく、シーンごとの演出効果に応じて、適宜増減させることができる。
【0037】
また、リハーサル時には、オペレータは、シーンごとに、設定した運転条件に従って操作対象の舞台機構を運転させることで、操作対象の舞台機構および/または運転条件の変更などのタイムスケジュールの編集作業を行なうことができる。
【0038】
以下では、本実施の形態による操作装置1を用いたタイムスケジュールの設定および編集動作について説明する。
【0039】
タイムスケジュールの設定・編集作業時、操作装置1の制御部4(表示制御部5)は、操作対象となる舞台機構および運転条件などを設定するための設定用画面を、表示部2に表示させることができる。この設定用画面は、たとえば、操作装置1の図示しないメニュー画面において、オペレータがタイムスケジュールの設定・編集機能を選択することによって表示させることができる。
【0040】
図3は、表示部2に表示されるタイムスケジュールの設定用画面の構成例を示す図である。図3を参照して、タイムスケジュールの設定用画面は、タイムスケジュールを表示するための表示領域40を有している。
【0041】
表示領域40には、1公演におけるシーンの構成を時系列で示すためのキューツリー41が表示される。キューツリー41は、複数のキューQ1,Q2,・・・Qk(図示せず、kは2以上の整数)を実行順に並べて配置したものである。
【0042】
本願明細書において、「キュー」は1公演の進行単位を表しており、1つのキューが1公演における1つのシーンに対応するものとする。すなわち、キューツリー41を構成する複数のキューQ1〜Qkは、複数のシーンにそれぞれ対応する。キューツリー41の先頭のキューから順番にキューを1つずつ実行することにより、複数のシーンが順番に切り替えられて公演が進行する。
【0043】
各キューには「キュー番号」が付されている。図3の例では、キューQ1にはキュー番号「001.00」が付され、キューQ2にはキュー番号「001.01」が付されている。たとえば、複数のシーンが階層的な構造を有する場合、上層のシーンの番号がキュー番号の上位3桁に示され、下層のシーンの番号がキュー番号の下位2桁に示される。
【0044】
表示領域40にはさらに、複数のキューシートS1,S2,・・・Sm(図示せず、mは2以上の整数)が表示される。オペレータは、キューツリー41の1つのキューに対応して、1以上のキューシートを設定することができる。図3の例では、キュー番号「001.00」のキューQ1に対して、2つのキューシートS1,S2が設定されている。また、キュー番号「001.01」のキューQ2に対して、1つのキューシートS3が設定されている。
【0045】
本願明細書において、「キューシート」とは、対応するキューにおいて、操作対象となる舞台機構およびその運転条件などを定めたものである。各キューシートには、様々な演出上の効果に対応して機能を割り当てることができる。演出上の効果が互いに異なる複数の機能としては、操作対象の舞台機構を現在位置から目標位置まで移動させるという「メイン」の機能に加えて、操作対象の舞台機構を反復動作させる、または、メインの機能に比べて舞台機構を低速で動作させるといった「エフェクト」の機能、複数の舞台機構を、互いの間隔を一定に保ちながら動作させる「同期」の機能などが含まれる。本実施の形態では、オペレータが選択可能な機能として、メインの機能と、5種類の機能および機能A〜機能Eとが設定されているものとする。なお、機能の種類はこれらに限定されるものではない。
【0046】
設定用画面において、各キューシートには、割り当てられた機能を特定するための「タグ」が付されている。図3の例では、メインの機能が割り当てられたキューシートS1,S3には、メインを表す「MA」のタグ42,44がそれぞれ付されている。また、機能Aが割り当てられたキューシートS2には、機能Aを表す「FA」のタグ43が付されている。
【0047】
さらに、設定用画面において、表示領域40の周囲には、タイムスケジュールを設定、編集および実行するための複数のアイコン20〜31が配置されている。表示領域40の上部には、公演の名称を示すアイコン20、タイムスケジュールのデータファイルのファイル操作を実行するためのアイコン21および、操作したデータファイルを保存するためのアイコン22が配置されている。
【0048】
表示領域40の左側には、タイムスケジュールの実行を指示するためのアイコン23が配置されている。表示領域40の右側には、タイムスケジュールを設定および編集するための複数のアイコン24〜30と、設定用画面の表示方法を切り替えるためのアイコン31とが配置されている。
【0049】
図4は、図3に示したキューツリーおよびキューシートの全体構成を示す図である。
図4を参照して、キューツリー41は、数珠つなぎにされた複数のキューQ1〜Qkで構成される。先頭のキューQ1の上方には、キューツリー41の先頭位置を示す「START(スタート)」のマークが表示され、最後のキューQkの下方には、キューツリー41の末尾位置を示す「END(エンド)」のマークが表示されている。図3の例では、複数のキューQ1〜Qkは、表示部2の画面垂直方向に沿って並べて配置されている。
【0050】
各キューに対して設定された1以上のキューシートは、対応するキューに隣接して表示される。なお、1つのキューに対して2以上のキューシートが設定される場合、2以上のキューシートは画面垂直方向に並べて配置される。このようにして、複数のキューシートS1〜Smは、キューツリー41に隣接して、画面垂直方向に沿って並べて表示される。すなわち、複数のキューシートS1〜Skは、時系列に従って実行順に並べて表示されることになる。上述したように、各キューシートには、メインの機能および機能A〜機能Eのうちのいずれか1つの機能が割り当てられている。
【0051】
なお、図3では、表示部2の表示画面の大きさの制約のため、一部のキューQ1〜Q3および一部のキューシートS1〜S3が表示されているが、オペレータは、操作部9を用いて画面をスクロールすることで、表示画面に収まっていない第3番目以降のキューQ3〜QkおよびキューシートS4〜Smを表示させることができる。
【0052】
図5は、キューシートの構成例を示す図である。図5には、メインの機能が割り当てられたキューシートS1の構成例が示される。
【0053】
図5を参照して、キューシートS1は、キューQ1において操作対象となる舞台機構およびその運転条件などを定めたものである。たとえば、キューシートS1はテーブルの形式を有している。キューシートS1は、操作対象となる舞台機構の名称、舞台機構の現在位置、舞台機構の移動方向、移動開始時の舞台機構の位置(開始位置)、移動終了時の舞台機構の位置(目標位置)、移動速度、舞台機構の運転時間、運転時間中における加速時間、運転時間中における減速時間、および、キューQ1の開始時刻から舞台機構の移動開始時刻までの遅延時間などの項目を含んでいる。なお、運転条件の項目に制限はなく、シーンごとの演出効果に応じて、適宜増減させることができる。
【0054】
タイムスケジュールの作成時、オペレータは、実際に舞台機構を運転させるとともに、操作部9を用いて図5に示すテーブルの各項目に適当な値を入力することができる。また、リハーサル時において、オペレータは、キューシートS1に従って操作対象の舞台機構を運転させることで、図5に示すテーブルの各項目の値を変更することができる。
【0055】
図3に戻って、オペレータはさらに、設定画面上において、キューツリー41に新たなキューを追加する、または、キューツリー41からキューを削除するなどの作業を行なうことができる。
【0056】
具体的には、オペレータは、表示領域40の右側に配置されている「キュー」のアイコン24をキューツリー41の所望の位置までドラッグアンドドロップすることにより、当該所望の位置に新たなキューを追加することができる。たとえば、キューQ1およびキューQ2の間にキューを追加したい場合、オペレータは、アイコン24をキューQ1およびキューQ2の間にドラッグアンドドロップすればよい。
【0057】
あるいは、オペレータは、キューツリー41のうちの少なくとも1つのキューを選択して消去することにより、選択したキューをキューツリー41から削除することができる。
【0058】
オペレータはさらに、設定画面上において、キューシートの追加および削除などの編集作業を行なうことができる。具体的には、オペレータは、表示領域40の右側に配置されている「メイン」、「機能A」、「機能B」、「機能C」、「機能D」および「機能E」のアイコン25〜30のうち、追加したい機能を示すアイコンを所望の位置までドラッグアンドドロップすることにより、当該所望の位置にキューシートを追加することができる。たとえば、キューQ1に対して、機能Bが割り当てられたキューシートを追加したい場合、オペレータは、アイコン27をキューシートS1またはS2に重畳する位置にドラッグアンドドロップすればよい。また、オペレータは、少なくとも1つのキューシートを選択して消去することにより、選択したキューシートを削除することができる。
【0059】
さらに、オペレータは、1つのキューに対応するキューシートを別のキューに移動させることができる。具体的には、図6に示すように、キューQ1に対応するキューシートS2をポインタP1で選択し、この選択した状態でポインタP1を移動させることで、キューシートS2を別のキューに移動させることができる。図6では、キューシートS2をキューQ2に移動させる作業の様子が示されている。
【0060】
上述したキューシートの設定および変更、キューの追加および削除、ならびにキューシートの追加、削除および移動などの処理は、操作部9に対するオペレータの入力操作に基づいて、制御部4(表示制御部5)が表示部2の表示を制御することによって実現することができる。なお、キューが追加または削除された場合には、制御部4は、キュー番号の重複または欠番が生じないように、キュー番号を振り直す処理をさらに実行する。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態に係る操作装置1によれば、表示部2の1画面上に、1公演を構成する複数のキューが実行順に並べて表示されるとともに、各キューに対応して設定された複数のキューシートが実行順に並べて表示される。このような構成とすることにより、オペレータは、1公演のタイムスケジュールを作成および編集する場面において、連続するキューまたはキューシート間の繋がりを見ながら、個々のキューおよびキューシートの設定および編集作業を行なうことが可能となる。
【0062】
図7には、比較例に従う操作装置におけるタイムスケジュールの設定画面が示されている。比較例に従う操作装置は、表示部2Aを有しており、キューごとに設定画面を切り替えて表示するように構成される。
【0063】
比較例では、オペレータは、キュー番号「001.00」のキューに対応する設定画面上で操作対象となる舞台機構およびその運転条件を設定すると、次のキュー番号「001.01」のキューについては、別の設定画面上で操作対象となる舞台機構およびその運転条件を設定する。そのため、前回までのキューで設定した内容を見るためには、オペレータは表示部2Aの設定画面を切り替えなければならず、キューシート間の連続性や繋がりを視認することが容易でない。その結果、タイムスケジュールの設定・編集作業の効率が低下することが懸念される。
【0064】
これに対して、本実施の形態に従う操作装置1では、1画面上で複数のキューおよびキューシートをスクロール表示させることができるため、オペレータは、前回までのキューで設定されたキューシートを見ながら、今回のキューのキューシートを設定または編集することができる。これによると、オペレータは、キューシート間の連続性や繋がりを視認することが容易となるため、キューシートの設定および編集が容易となる。その結果、複数のキューに跨がって操作対象の舞台機構が運転するような複雑な設定も容易に行なうことができるため、観客に対する演出効果を向上させることが可能となる。
【0065】
さらに、オペレータは、設定用画面上でドラッグアンドドロップすることで、キューまたはキューシートを追加、削除および変更することができる。これにより、オペレータの作業効率を向上させることができる。
【0066】
なお、公演時において、制御部4(表示制御部5)は、実行中のキューおよびキューシートが表示部2の表示画面上に表示されるように、キューツリー41および複数のキューシートをS1〜Smをスクロールするように構成される。図8は、公演中に表示部2に表示されるタイムスケジュールの一例を示す図である。これによると、オペレータは、実行中のキューおよびキューシートを見ながら公演を進行させることができる。
【0067】
制御部4はさらに、実行済みのキューシートを、実行中または実行予定のキューシートとは異なる態様で表示させる構成としてもよい。図8の例では、実行中のキューQ5およびキューシートS7,S8が表示領域40の中央付近に表示されている。実行予定の次のキューQ6およびキューシートS9は、表示領域40の下部に表示されている。実行済みである前回のキューQ4およびキューシートS5,S6は、表示領域40の上部に、キューQ5,Q6およびキューシートS7〜S9とは異なる態様で表示されている。
【0068】
これによれば、公演中、表示部2の表示画面は、実行中のキューおよびキューシートを少なくとも表示するように、公演の進行に従って時々刻々と変化することになる。オペレータは、表示画面に基づいて、公演の進行を容易に確認することが可能となる。公演中においても、オペレータは、表示画面をスクロールすることで、前回までのキューシートおよび次回以降のキューシートを見ることができる。なお、公演中におけるキューツリー41およびキューシートの表示態様は図3の設定画面上で表示領域40の右側に配置されたアイコン31を用いて設定することができる。
【0069】
なお、上述した実施の形態では、表示部2の画面垂直方向に沿って複数のキューおよび複数のキューシートを並べて配置する構成を例示したが、複数のキューおよび複数のキューシートを並べる方向は表示部2の表示画面の形状および大きさまたはキューシートの形状などに応じて変更することが可能である。たとえば、複数のキューおよび複数のキューシートを表示部2の画面水平方向に沿って並べて配置する構成としてもよい。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 操作装置、2 表示部、3 操作卓、4,12,C1 制御部、5 表示制御部、6 運転制御部、8,15,18 通信部、9 操作部、10 主制御装置、14 記憶部、16 駆動部、20〜31 アイコン、40 表示領域、41 キューツリー、42〜44 タグ、Q1〜Qk キュー、S1〜Sm キューシート。
【要約】
【課題】舞台機構の仕込みを行なうオペレータの作業効率を向上させることができる操作装置を提供する。
【解決手段】舞台機構の操作装置は、表示画面を有する表示部と、1公演の進行単位であるキューに対応して1以上のキューシートの設定を受け付け可能に構成された操作部と、操作部により設定された複数のキューシートに従って舞台機構の動作を制御することにより、複数のキューを順に実行するように構成された運転制御部と、複数のキューシートを、表示画面上に実行順に並べて表示するように構成された表示制御部とを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8