(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の目標は、前記第1の運動が全体的な大きさ又は自由度毎に制限すべきかどうかを示す第1の属性に関連付けられ、前記第2の目標は、前記第2の運動が全体的な大きさ又は自由度毎に制限すべきかどうかを示す第2の属性に関連付けられ、前記プロセッサが、前記複合運動を決定するステップは、
前記第1及び第2の属性に基づいて、前記複合運動の前記全体的な大きさを制限するかどうか、又は前記複合運動の前記大きさを自由度毎に制限するかどうかを決定するステップ、をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記複合運動の前記方向を変えることなく前記複合運動の前記全体的な大きさを制限することによって、前記マニピュレータアームによって支持されるツールのツールチップの姿勢を阻害することを回避する、請求項8に記載のシステム。
前記第1の目標は、前記第1の運動が全体的な大きさ又は自由度毎に制限すべきかどうかを示す第1の属性に関連付けられ、前記第2の目標は、前記第2の運動が全体的な大きさ又は自由度毎に制限すべきかどうかを示す第2の属性に関連付けられ、前記プロセッサが、前記複合運動を決定することは、
前記第1及び第2の属性に基づいて、前記複合運動の前記全体的な大きさを制限するかどうか、又は前記複合運動の前記大きさを自由度毎に制限するかどうかを決定すること、をさらに含む、請求項6乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
前記マスター速度に関して前記少なくとも1つの運動を制限することにより、前記マスター速度を与えるマスター制御入力装置が動いていない場合に、前記複数の関節の動きを生じさせない、請求項12又は13に記載のシステム。
前記第1の属性は前記第1の目標の第1の重みを含み、前記第2の属性は前記第2の目標の第2の重みを含み、前記第1及び第2の属性を使用して、前記第1及び第2の運動を組み合わせることは、前記第1及び第2の重みを使用して、前記第1及び第2の運動の重み付けされた複合運動を計算することを含む、又は
前記第1の属性は飽和値を含み、前記第1及び第2の属性を使用して、前記第1及び第2の運動を組み合わせることは、第1の運動を制限するために前記飽和値を適用することを含む、請求項15に記載のシステム。
プロセッサによって実行されると、該プロセッサに、マニピュレータアームを移動させるための動作を実行させる命令を格納するプロセッサ読み取り可読な記録ユニットであって、
前記マニピュレータアームは、可動式先端部分と、ベースに結合された基端部分と、前記先端部分と前記ベースとの間の複数の関節とを含み、該複数の関節は、前記先端部分の所定の状態に対して前記複数の関節の異なる関節状態の範囲を許容するのに十分な自由度を有しており、前記動作は、
複数の目標のうちの第1の目標に従って前記複数の関節の第1の運動を計算することであって、前記複数の目標は、前記マニピュレータアームのヤコビアンのゼロ空間内の運動のための目標であり、前記第1の運動は前記ゼロ空間内にある、計算することと、
前記複数の目標のうちの第2の目標に従って前記複数の関節の第2の運動を計算することであって、前記第2の運動は前記ゼロ空間内にある、計算することと、
大きさを制限しながら前記複数の関節の複合運動を決定することであって、該複合運動は、
前記複合運動の方向を変えずに前記複合運動の全体的な大きさを制限しながら、前記第1及び第2の運動を組み合わせることによって、又は
前記複合運動の大きさを自由度毎に制限しながら、前記第1及び第2の運動を組み合わせることによって、決定される、決定することと、
前記複数の関節を駆動して、該複数の関節の前記複合運動を実行させることと、を含む、
記録ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、概して、改良された手術及びロボット装置、システム、及び方法を提供する。本発明は、複数の手術用ツール又は器具が、外科手術中に、関連する複数のロボット操作用マニピュレータ上に取り付けられており、且つこれらのマニピュレータによって動かされるような手術用ロボットシステムでの使用に特に有利である。ロボットシステムは、大抵の場合、マスター・スレーブ制御装置として構成されたプロセッサを含むような、遠隔ロボット、遠隔手術、及び/又はテレプレゼンス・システムを含む。マニピュレータ・アセンブリを動かすように適切に構成されたプロセッサを用いるロボットシステムに、比較的多数の自由度を有する多関節リンク機構を設けることによって、リンク機構の動きを、侵襲性アクセス部位を介して作業に合わせて調整することができる。
【0021】
本明細書で説明するロボット操作用マニピュレータ・アセンブリは、大抵の場合、ロボット操作用マニピュレータと、そのマニピュレータ上に取付けられたツールとを有する(ツールは、大抵の場合、外科用の手術用器具を有する)が、用語「ロボットアセンブリ」は、そのマニピュレータ上に取付けられたツールを用いないようなマニピュレータも包含する。用語「ツール」は、汎用又は産業用ロボットツールと専門のロボット手術用器具との両方を包含し、後者である専門のロボット手術用器具の構造は、大抵の場合、組織の操作、組織の治療、組織の撮像等に適したエンドエフェクタを含む。ツール/マニピュレータのインターフェイスは、大抵の場合、ツールを迅速に取り外し及びこのツールを代替ツールに交換するのを可能にするクイック取外しツールホルダ又は結合器である。マニピュレータ・アセンブリは、大抵の場合、ロボット手術の少なくとも一部の間に、空間内に固定されたベースを有しており、マニピュレータ・アセンブリは、このベースと、ツールのエンドエフェクタとの間に多数の自由度を含んでもよい。エンドエフェクタの作動(例えば、把持装置の顎部の開閉、電気外科パドルへの通電等)は、大抵の場合、これらマニピュレータ・アセンブリの自由度から分離され、及びこのアセンブリに追加される。
【0022】
エンドエフェクタは、典型的に、2〜6の自由度で作業空間内を動く。本明細書で使用される場合に、用語「位置」は、位置と向きとの両方を包含する。従って、(例えば)エンドエフェクタの位置の変化は、第1の位置から第2の位置へのエンドエフェクタの並進、第1の向きから第2の向きへのエンドエフェクタの回転、又はこれらの両方の組合せを含んでもよい。低侵襲性ロボット手術に使用するときに、マニピュレータ・アセンブリの動きは、シャフト若しくは、ツール又は器具の中間部分が、低侵襲性手術用アクセス部位又は他の開口部を介して安全な動作で拘束されるように、システムのプロセッサによって制御することができる。例えばこのような動作は、開口部位を通して手術作業空間へのシャフトの軸線方向の挿入、その軸線の回りのシャフトの回転、アクセス部位に隣接する旋回点の周りにシャフトを旋回させる旋回動作を含むことができる。
【0023】
本明細書で説明する例示的なマニピュレータ・アセンブリの多くは、エンドエフェクタを手術部位内に位置決めし且つ動かすために必要とされるよりも多くの自由度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、低侵襲性開口部を介して内部手術部位において6つの自由度を有するように位置付けされた手術用エンドエフェクタは、9つの自由度(エンドエフェクタについて6つの自由度(位置について3つの自由度、向きについて3つの自由度)、アクセス部位の拘束に適合するようにさらに3つの自由度)を有するが、大抵の場合10以上の自由度を有する。エンドエフェクタの所定位置について必要とされるよりも多くの自由度を有する高度に設定可能なマニピュレータ・アセンブリが、エンドエフェクタの位置についての所定範囲の関節状態を作業空間内において可能にするような十分な自由度を有する又は提供するものとして説明される。例えば、エンドエフェクタの所定位置について、マニピュレータ・アセンブリは、マニピュレータのリンク機構の代替的な位置範囲のいずれかを占める(その範囲の間で駆動される)ことができる。同様に、エンドエフェクタの所定の速度ベクトルについて、マニピュレータ・アセンブリは、ヤコビアンのゼロ空間内でのマニピュレータ・アセンブリの様々な関節について、異なる速度の関節運動域を有し得る。
【0024】
本発明は、広い可動域が望まれる手術(及びその他の)用途に特に適したロボットのリンク構造体を提供し、限られた専用容積が、他のロボットリンク機構、手術従事者及び外科機器等の存在のために、利用可能になる。各ロボットのリンク機構について必要とされる大きな可動域及び減少した容積によって、ロボット支持構造体の位置と、手術又は他の作業空間との間により大きな柔軟性も提供され、それによって、セットアップを容易にし且つ高速化する。
【0025】
用語、関節等の「状態」は、大抵の場合、本明細書において、関節に関連付けられた制御変数を指す。例えば、角度関節の状態は、その可動域内のその関節によって規定される角度、及び/又は関節の角速度を指してもよい。同様に、軸関節又は直動(prismatic)関節の状態は、関節の軸線方向の位置、及び/又はその軸線方向速度を指してもよい。本明細書で説明される制御装置の多くは、速度制御装置を含むが、それら速度制御装置は、大抵の場合、いくつかの位置制御の態様も有している。代替実施形態は、位置制御装置、加速度制御装置等に主に又は完全に依拠してもよい。このような装置で使用される制御システムの多くの態様が、米国特許第6,699,177号により完全に説明されており、この文献の全体の開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。こうして、説明される運動が、関連する計算に基づく限り、本明細書で説明する関節の運動及びエンドエフェクタの運動の計算は、位置制御アルゴリズム、速度制御アルゴリズム、及び/又はこれらの両方の組合せ等を用いて行うことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、例示的なマニピュレータアームのツールは、低侵襲性開口部に隣接する旋回点の周りを旋回する。いくつかの実施形態では、システムは、米国特許第6,786,896号に記載される遠隔中心の運動学等のハードウェア遠隔中心を利用することができ、この文献の全体の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。このようなシステムは、マニピュレータによって支持される器具のシャフトが遠隔中心点の周りを旋回するようにリンク機構の動きを拘束する二重平行四辺形リンク機構を利用することができる。代替の機械的に拘束された遠隔中心のリンク機構システムが、知られており、及び/又は将来開発され得る。驚くべきことに、本発明に関連する研究は、遠隔中心のリンク機構システムが、高度に設定可能な運動学的なアーキテクチャから利益を得ることができることを示す。特に、手術用ロボットシステムが、低侵襲性手術用アクセス部位において又はその付近で交差する2つの軸線の回りの旋回運動可能にするようなリンク機構を有するときに、球状の旋回運動は、患者内の所望の可動域の全範囲を包含することができるが、依然として回避可能な欠点(不十分な条件付け、アームとアームとの間又はアームと患者との間で起こり易い患者の外部での接触等)に悩まされる。まず、アクセス部位において又はその付近の旋回動作に対して機械的にも拘束されるような1つ以上の自由度を追加することは、可動域のいくつか又はいずれかの改良を提供するように思えるかもしれない。とはいえ、そのような関節は、他の外科手術のための可動域をさらに拡張する等することにより、システム全体が、衝突防止姿勢に構成され又は衝突防止姿勢に向けて駆動することを可能にすることによって、重要な利点を提供することができる。いくつかの実施形態では、システムは、米国特許第8,004,229号に記載されるような遠隔中心を実現するためのソフトウェアを利用することができ、この文献の全体の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。ソフトウェアの遠隔中心を有するシステムでは、機械的な拘束とは対照的に、プロセッサは、決定された旋回点の周りに器具シャフトの中間部分を旋回させるように、関節運動を計算する。ソフトウェア旋回点を計算する能力を有することによって、システムの適合性又は剛性によって特徴付けられる異なるモードを、選択的に実行することができる。より具体的には、旋回点/中心の範囲(例えば、可動旋回点、受動旋回点、固定/剛性旋回点、ソフト旋回点)に亘った異なるシステムモードを、必要に応じて実装することができる。
【0027】
高度に設定可能な複数のマニピュレータを有するロボット手術システムの多くの利点にも拘わらず、マニピュレータが、ベースと冗長自由度を含む器具との間に比較的多数の関節及びリンクを含んでいるため、先端側エンドエフェクタ及び/又は遠隔中心の所望の運動を実現するための複数の関節の命令された動作によって、1つ以上の関節に関連する望ましくない、過度の運動エネルギーを有する関節速度を生成することがある、又は所望の動作選好を満たさない動作を生成することがある。関節の速度の例としては、関節状態の望ましくない組合せ、1つ又は複数の関節についての過度の関節速度、又は不均衡な関節状態を含み得る。本発明は、エンドエフェクタの命令された運動の間の1つ又は複数の関節について、関節状態の組合せ等の所望の動き又は本明細書で説明する他のこのような運動を提供する。
【0028】
一態様では、回避動作、命令された再構成、所望のマニピュレータ姿勢や関節動作等の様々な他の目標(objectives)に関して計算されたゼロ空間の運動は、様々な他の目標を実現をするのと同時にエンドエフェクタの命令された運動を実現するように、計算された関節速度を重ね合せることができる。これは、複数の目標に従った又は所望の関係に少なくとも従ったゼロ空間の運動、及び/又はこのような目標が競合するときに複数の目標同士の間の動作を提供するように、複数の目標に関連するゼロ空間の運動を統合するゼロ空間管理システムを利用して、実現することができる。
【0029】
ある特定の態様では、マニピュレータシステムは、ゼロ空間の各目標関数をスタンドアロン型ソフトウェアエンティティとして決定するように構成され、このソフトウェアエンティティは、それぞれが既存の目標のみであることを想定し、各目標関数にいくつかの有用な属性を割り当て、及び個々の目標関数の出力をゼロ空間マネージャに送る。ゼロ空間マネージャは、典型的に、本明細書で説明する方法を実行することにより目標を管理するために、その上に記録されたプログラム可能な命令を有するシステムのプロセッサを含む。ゼロ空間マネージャは、本明細書で説明する方法及び手法のいずれかに従って、異なる目標に関連するゼロ空間の運動を管理するための1つ又は複数のモードを含むことができる。その後、ゼロ空間の目標の属性は、マネージャによって、多数の入力を組み合わせてゼロ空間の統合されたコマンドにする際に使用され、次に、ゼロ−垂直空間のコマンドと組み合わせて、マニピュレータの関節コントローラに送信する。マネージャは、目標のそれぞれの属性に基づいてゼロ空間の複数の目標を統合する際に種々の異なるアプローチ又はアルゴリズムを利用することができ、このようなアプローチ又はアルゴリズムは、重み付け、スケーリング、飽和レベル、目標同士の間の優先順位、マスター速度制限、飽和制限積分アルゴリズム、又は他の様々な特長を含むことができる。一態様では、ゼロ空間係数によって、ゼロ空間の基底ベクトルのセットを乗算してもよい。
【0030】
このような回避動作の例は、2012年6月1日に出願された、”Manipulator Arm-to-Patient Collision Avoidance Using a Null-Space”という標題の米国特許仮出願61/654,755号、2012年6月1日に出願された、”System and Methods for Avoiding Collisions Between Manipulator Arms Using a Null-Space”という標題の米国特許仮出願第61/654,773号に記載されており、これらの文献の開示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。命令された再構成を使用するゼロ空間目標の例は、2012年6月1日に出願された、”Commanded Reconfiguration of a Surgical Manipulator Using the Null-Space”という標題の米国特許仮出願第61/654,764号に記載されており、この文献の開示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0031】
以下の説明において、本発明の様々な実施形態について説明する。説明目的のために、特定の構成及び詳細が、実施形態の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明が特定の詳細なしに実施できることは当業者には明らかであろう。さらに、周知の機構は、説明される実施形態を不明瞭にしないために、省略又は簡略化され得る。
【0032】
ここで図面を参照すると、同様の参照符号は、いくつかの図面を通じて同様の部品を表す。
図1Aは、多くの実施形態に従った、手術台14上に横たわっている患者12に低侵襲性診断又は外科手術を行う際に使用される低侵襲性ロボット手術(MIRS)システム10の上面図である。このシステムは、手術中に外科医18によって使用される外科医コンソール16を含むことができる。1人以上のアシスタント20が、手術に加わることもできる。MIRSシステム10は、患者側カート22(手術用ロボット)と電子機器カート24とをさらに含むことができる。患者側カート22は、外科医18がコンソール16を通じて手術部位を視認しながら、少なくとも1つの着脱可能に結合されたツールアセンブリ26(以下、単に「ツール」という)を低侵襲性切開部を介して患者12の体内で操作することができる。手術部位の画像は、立体内視鏡等の内視鏡28により取得することができ、この内視鏡は、内視鏡28を向合せさせるように、患者側カート22によって操作することができる。電子機器カート24を使用し、後続の表示のために手術部位の画像を処理して、外科医コンソール16を介して外科医18に表示することができる。一度に使用される手術用ツール26の数は、一般的に、診断又は外科手術、及び他の要因の中でも手術室内の空間的制約に依存するであろう。手術中に使用される1つ以上のツール26を変更する必要がある場合に、アシスタント20は、患者側カート22からツール26を取り外すことができ、手術室内のトレイ30からの別のツール26をその取り外したツールと置き換えることができる。
【0033】
図1Bは、(
図1AのMIRSシステム10等の)ロボット手術システム50を示す概略図である。上述したように、(
図1Aの外科医コンソール16等の)外科医コンソール52は、低侵襲性手術中に外科医によって使用されて、(
図1Aの患者側カート22等の)患者側カート(手術ロボット)54を制御することができる。患者側カート54は、立体内視鏡等の撮像装置を使用して、手術部位の画像を捕捉することができ、この捕捉した画像を(
図1Aの電子機器カート24等の)電子機器カート56に出力することができる。上述したように、電子機器カート56は、後続の表示の前に、取得した画像を様々な方法で処理することができる。例えば、電子機器カート56は、合成画像を外科医コンソール52を介して外科医に表示する前に、取得した画像を仮想制御インターフェイスに重ねる(オーバーレイする)ことができる。患者側カート54は、電子機器カート56の外部で処理するために取得した画像を出力することができる。例えば、患者側カート54は、取得した画像を、この取得した画像を処理するために使用されるプロセッサ58に出力することができる。画像は、電子機器カート56及びプロセッサ58を組み合わせることによっても処理することができ、この画像は、取得した画像を一緒に、順番に、及び/又はこれらの組合せで処理するように、一緒に結合することができる。1つ又は複数の別個のディスプレイ60は、手術部位の画像等の局所的及び/又は遠隔表示画像又は他の関連画像についてプロセッサ58及び/又は電子機器カート56に結合することができる。
【0034】
図2は、外科医コンソール16の斜視図である。外科医コンソール16は、深さの知覚を可能にするような手術部位の調整された立体視を外科医18に表示するための左眼用ディスプレイ32と右眼用ディスプレイ34とを含む。コンソール16は、1つ又は複数の入力制御装置36をさらに含んでおり、この入力制御装置によって、次に、(
図1Aに示される)患者側カート22に1つ又は複数のツールを操作させる。入力制御装置36は、外科医にテレプレゼンスを提供するように、(
図1Aに示される)それら関連するツール26と同じ自由度を提供することができ、又は外科医がツール26を直接的に制御するような強く認識できる感覚を有するように、入力制御装置36がツール26と一体であるという知覚を提供することができる。この目的を達成するために、位置、力、及び触覚フィードバックセンサ(図示せず)を使用して、位置、力、及び触覚感覚を、ツール26から入力制御装置36を介して外科医の手に再び送信することができる。
【0035】
外科医コンソール16は、通常、外科医が手術を直接的に監視できるように、必要に応じて物理的に存在するように、そして電話又は他の通信媒体を介して話すのではなく、アシスタントに直接的に話すように、患者と同じ部屋に位置している。しかしながら、外科医は、遠隔の外科手術を可能にするように、別の部屋、完全に異なる建物、又は患者から遠隔の他の位置に位置することができる。
【0036】
図3は、電子機器カート24の斜視図である。電子機器カート24は、内視鏡28に結合することができ、後続の表示のために、取得した画像を処理するためのプロセッサを含むことができ、処理した画像を外科医コンソール上で、又は局所的に及び/又は遠隔に位置する別の適切なディスプレイ上で外科医に表示する。例えば、立体内視鏡が使用される場合に、電子機器カート24は、手術部位の調整された立体画像を外科医に提示するように、取り込まれた画像を処理することができる。このような調整は、対向する画像同士間の位置合わせを含むことができ、且つ立体内視鏡の立体作業距離の調節も含むことができる。別の例として、画像処理は、光学収差等の画像取込装置の結像誤差を補償するように、以前に決定されたカメラ較正パラメータの使用を含むことができる。
【0037】
図4は、複数のマニピュレータアーム有する患者側カート22を示しており、各アームは、手術用器具又はツール26をマニピュレータアームの先端端部に支持する。示される患者側カート22は、4つのマニピュレータアーム100を含んでおり、これらアームは、手術用ツール26、又は手術部位の画像を捕捉するために使用される立体内視鏡等の撮像装置28のいずれかを支持するために使用できる。操作は、多数のロボット関節を有するロボット操作用マニピュレータアーム100によって提供される。撮像装置28及び手術用器具26は、患者の切開部を介して位置決めされ且つ操作することができ、それによって、運動学的遠隔中心が、切開部のサイズを最小にするようにこの切開部に維持される。手術部位の画像は、手術用器具又はツール26が、撮像装置28の視野内に配置されたときに、手術用器具又はツール26の先端端部の画像を含むことができる。
【0038】
手術用ツール26に関して、種々の代替のロボット手術用ツール又は異なる種類の器具及び様々なエンドエフェクタを、外科手術中に取り外され、置き換えられる少なくともいくつかのマニピュレータの器具に使用することができる。DeBakey鉗子、マイクロピンセット、ポッツはさみ、クリップ・アプライヤーを含むこれらのエンドエフェクタのいくつかは、エンドエフェクタの顎部のペアを規定するように、互いに対して旋回するような第1及び第2のエンドエフェクタ要素を含む。メス及び電気メスプローブを含む他のエンドエフェクタは、単一のエンドエフェクタ部材を有する。エンドエフェクタの顎部を有する器具について、この顎部は、大抵の場合、ハンドルの把持部材を絞ることによって作動される。単一のエンドエフェクタ器具は、例えば電気焼灼プローブにエネルギーを供給するように、把持部材を把持することによって作動させることもできる。
【0039】
器具26の細長いシャフトによって、エンドエフェクタ及びシャフトの先端端部を、低侵襲性開口部を介して、大抵の場合腹壁等を介して手術作業部位に先端方向に挿入することが可能になる。手術作業部位にガス注入することができ、患者内のエンドエフェクタの動きは、大抵の場合、シャフトが低侵襲性開口部を通過する位置の周りに器具26を旋回させることによって、少なくとも部分的に達成される。換言すれば、マニピュレータ100は、エンドエフェクタの所望の動きを提供するのに役立つように、シャフトが低侵襲性開口部の位置を通って延びるよう、器具の基端側ハウジングを患者の外部で動かす。こうして、マニピュレータ100は、大抵の場合、外科手術中に、患者Pの体外で大きな動きを受けることになる。
【0040】
本発明の多くの実施形態による例示的なマニピュレータアームは、
図5A〜
図12Cを参照して理解することができる。上述したように、マニピュレータアームは、一般的に、先端側器具や手術用ツールを支持しており、ベースに対する器具の動きをもたらす。異なるエンドエフェクタを有する多数の異なる器具が、(典型的には、外科助手の助けを借りて)外科手術中に、各マニピュレータに順番に取り付けられる際に、先端側器具ホルダによって、好ましくは、取り付けられた器具又はツールの迅速な取外し及び交換が可能になる。
図4を参照して理解することができるように、マニピュレータは、患者側カートのベースに対して基端側に取り付けられる。典型的には、マニピュレータアームは、ベースと先端側器具ホルダとの間に延びる複数のリンク機構及び関連する関節を含む。一態様では、例示的なマニピュレータは、マニピュレータアームの関節がエンドエフェクタの所定位置について異なる範囲の構成で駆動することができるように、冗長自由度を有するような複数の関節を含む。これは、本明細書に開示されるマニピュレータアームの実施形態のいずれの場合でも適用される。
【0041】
例えば
図5Aに示されるような多くの実施形態では、例示的なマニピュレータアームは、マニピュレータアームの関節の先端を関節軸線の回りに周転(revolve)させるように、第1関節軸線の回りに回転するような基端側レボリュート(revolute)関節J1を含む。いくつかの実施形態では、レボリュート関節J1は、ベースに直接的に取り付けられるが、他の実施形態では、関節J1は、1つ以上の可動式リンク機構又は関節に取り付けてもよい。組み合わされた、マニピュレータの関節は、マニピュレータアームの関節が、エンドエフェクタの所定位置について異なる範囲内の構成で駆動することができるような、冗長自由度を有している。例えば、
図5A〜
図5Dのマニピュレータアームは、異なる構成で操作することができる一方、器具ホルダ510内に支持された先端部材511が、特定の状態を維持しており、且つエンドエフェクタの所定の位置又は速度を含むことができる。先端部材511は、典型的には、ツールシャフト512を通って延びるカニューレであり、器具ホルダ10は、典型的には、器具が、カニューレ511を通って延びる前に、低侵襲性開口部を介して患者の体内に取り付けられる(スパー(spar))上で並進する煉瓦状構造として示される)キャリッジである。
【0042】
図5A〜
図5Dのマニピュレータアーム500の個々のリンクについて、
図5A〜
図5Dに示されるようにリンクを接続する関節の回転軸線に沿って説明する。第1リンク504は、その関節軸線の回りを旋回するような旋回関節J2から先端方向に延びており、その関節軸線の回りを回転するようなレボリュート関節J1に結合される。
図5Aに示されるように、関節の残りの多くは、それら残りの関節に関連する回転軸線によって同定することができる。例えば、示されるように、第1リンク504の先端端部は、その旋回軸線の回りを旋回するような旋回関節J3で第2リンク506の基端端部に結合され、第3リンク508の基端端部は、その軸線の回りを旋回するような旋回関節J4で第2リンク506の先端端部に結合される。第3リンク508の先端端部は、旋回関節J5で器具ホルダ510に結合される。典型的には、関節J2,J3,J4,J5のそれぞれの旋回軸線は、実質的に平行であり、且つ
図5Dに示されるように、互いに隣接して位置付けされたときに、リンク機構は、マニピュレータアームの減少幅wを提供するとともにマニピュレータ・アセンブリの操作中の患者クリアランスを向上させるように、「スタック(stacked)」されるように見える。多くの実施形態では、器具ホルダは、低侵襲性開口部を介して器具306の軸線方向の動きを容易にするとともに、器具が摺動自在に挿通されたカニューレに対して器具ホルダの取り付けを容易にするような直動関節J6等の追加の関節も含む。
【0043】
先端部材、又はツール512が通って延びるカニューレ511は、器具ホルダ510の先端側に追加の自由度を含むことができる。器具の自由度の作動は、大抵の場合、マニピュレータのモータで駆動され、代替実施形態は、ここで器具上に示される1つ以上の関節が、代わりに、インターフェイス上に存在し、またその逆になるように、クイック取り外し可能な器具ホルダ/器具インターフェイスにおいて、支持マニピュレータ構造から器具を分離することができる。いくつかの実施形態では、カニューレ511は、低侵襲性開口部の部位に一般的に配置されるようなツールチップの挿入ポイント又は旋回点PPの付近に又はその基端側に回転(rotational)関節J7(図示せず)を含む。器具の先端側手首によって、手術ツール512のエンドエフェクタの動きが、器具の手首における1つ以上の関節の器具関節軸線の回りを旋回する旋回運動を可能にする。エンドエフェクタの顎部要素同士の間の角度は、エンドエフェクタの位置及び向きとは独立して制御することができる。
【0044】
例示的なマニピュレータ・アセンブリの可動域は、
図6A〜
図6Cを参照することによって理解することができる。外科手術中に、例示的なマニピュレータアームは、
図6Aに示されるように、順方向ピッチ(pitch)運動の構成で操作することができ、又は
図6Bに示されるように、逆方向ピッチ運動の構成で操作することができ、必要に応じて、手術用作業空間内の特定の患者の組織にアクセスすることができる。典型的なマニピュレータ・アセンブリは、少なくとも±60°、好ましくは約±75°だけ軸線の回りに前後方向にピッチ(pitch)運動することができ、また、±80°だけ軸線の回りにヨー(yaw)運動することもできるようなエンドエフェクタを含む。この態様によって、アセンブリを含むエンドエフェクタの増大した操縦性が可能になるが、マニピュレータアームが、特に
図6A及び
図6Bに示されるように順方向に完全にピッチ運動される又は逆方向に完全にピッチ運動される構成を取る場合に、エンドエフェクタの運動が制限される構成が存在してもよい。一実施形態では、マニピュレータアームは、外側ピッチ運動関節について(+/−75°)と、外側ヨー関節について(+/−300°)との可動域(ROM)をそれぞれ有している。いくつかの実施形態では、ROMは、挿入制限に関連した一般な内球(内圏)が残るが、関節運動が制限される又は不可能になるコーン空間が全体的に消失するように、(+/−90°)よりも大きいROMを提供するように外側ピッチ運動について増加される。様々な実施形態は、増加した又は減少したROMを有するように構成してもよく、上述したROMは、例示目的のために提供されており、さらに本発明は、本明細書で説明するROMに限定されるものではないことを理解されたい。
【0045】
図6Cは、
図5A〜
図5Bの例示的なマニピュレータのツールチップの全体的な可動域及び作業空間を図式的に示している。作業空間は半球として示されているが、その作業空間は、関節J1等の、マニピュレータの1つ以上のレボリュート関節の可動域及び構成に依存して球体として表すこともできる。示されるように、
図6Cの半球体は、中央の、小さな球状の空隙(ボイド)だけでなく2つの円錐形の空隙を含む。空隙は、ツールチップの動きが、機械的拘束により不可能になる、又はエンドエフェクタの運動を困難又は遅くさせるような極めて高い関節速度によって実現不可能になるような領域を表す。これらの理由のために、円錐形空隙は、「静止(不動)コーン(cone of silence)」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、マニピュレータアームは、コーン内のポイントで特異点に到達することがある。静止コーン内部の又はその付近でマニピュレータの動きが損なわれるおそれがあるので、マニピュレータのリンク機構及び関節を再構成するためにマニピュレータの1つ又は複数のリンクを手動で動かすことなく、マニピュレータアームを静止コーンから離れる方向に移動させることは困難であり、これは、代替の動作モードを必要とし、外科手術を遅延させる。
【0046】
これらの円錐形部分内に又はその付近の器具シャフトの運動は、マニピュレータの先端側リンク機構同士の間の角度が比較的小さい場合に、典型的に発生する。こうして、このような構成は、(リンク機構が互いに対してより直交する位置に移動するように)リンク機構同士間の角度を増加させるようにマニピュレータの異方性強調(anisotropically emphasizing)運動等の種々のゼロ空間の目標によって、回避することができる。例えば、
図6A及び
図6Bに示される構成において、最も先端側のリンクと器具ホルダとの間の角度(角度a)が、比較的小さな値となる場合に、マニピュレータの動きは、より困難になることがある。様々な実施形態での残りの関節の関節可動域に依存して、特定のリンク機構同士の間の角度が減少するときに、マニピュレータの動きが阻止され、いくつかのケースでは、マニピュレータアームはもはや冗長でないかもしれない。器具シャフトがこれらの円錐形部分に近づく、又はリンク機構同士の間の角度が比較的小さくなるようなマニピュレータの構成は、マニピュレータアームの操縦性と器用さとが制限されるような「不十分な条件付け」と言われる。マニピュレータが、器用さと可動域を維持するように、「十分に条件付け」されることが望ましい。一態様では、本発明によって、外科手術でのエンドエフェクタの動作中であっても、ユーザが、マニピュレータを所望するように再構成するようなコマンドを単に入力することにより、上述した円錐形部分の付近の器具シャフトの動きを回避することができる。この態様は、マニピュレータが、何らかの理由で「不十分な条件付け」となったときに特に有用である。
【0047】
上述したマニピュレータの実施形態を、本発明で利用することができるが、いくつかの実施形態は、マニピュレータアームの器用さ及び条件付けを改善するために使用され得る追加の関節を含んでもよい。例えば、例示的なマニピュレータは、静止コーンを低減又は除去するように、
図5Aのマニピュレータアーム及びその関連する静止コーンをレボリュート関節の軸線の回りを周転するために使用される、関節J1の基端側にレボリュート関節及び/又はリンク機構を含んでもよい。別の実施形態では、例示的なマニピュレータは、関節J5に対して実質的に垂直な軸線の回りに器具ホルダを旋回させる先端側旋回関節も含むことができ、それによって、静止コーンをさらに低減させるとともに手術用ツールの可動域を改善するように、ツールチップをオフセットする。さらに別の実施形態では、関節J1等のマニピュレータアームの基端側関節は、必要に応じて静止コーンを移動又はずらしたり、マニピュレータのツールチップの可動域を改善するように、ベースに可動式に取り付けてもよい。このような追加の関節の使用法及び利点は、このような関節の例を示す
図7A〜
図12Cを参照することによって理解することができる。それぞれの関節は、本明細書で説明される例示的なマニピュレータアームのいずれかにおいて、互いに独立して使用される又は組み合わせて使用することができる。
【0048】
図7A〜
図7Bは、例示的なマニピュレータアームと一緒に使用するための追加の冗長関節を例示しており、第1関節は、マニピュレータアームの基端部分をベースに結合する。第1関節は、関節J1の関節軸線の回りにマニピュレータアームを周転させるような基端側レボリュート関節J1である。基端側レボリュート関節J1は、所定の距離や角度だけ基端側レボリュート関節J1から関節J1’をオフセットするようなリンク501を含む。リンク501は、
図7Aに示されるように湾曲したリンク機構であってもよく、又は
図7Bに示されるように直線状又は角度が付いたリンク機構であってもよい。典型的に、関節J1の関節軸線は、
図7Aのそれぞれの軸線に示されるように、遠隔中心RC又はツールチップの挿入ポイントと整列される。例示的な実施形態では、関節J1の関節軸線は、互いにマニピュレータアームのレボリュート関節軸線を通過する際に、遠隔中心を通過して、体壁での移動を防止するので、従って、手術中に動かすことができる。関節J1の軸(線)は、アームの後部の位置及び向きを変更することができるように、アームの基端部分に結合される。一般的に、このような冗長な軸線によって、器具チップが、他のアームや患者の解剖学的構造との衝突を同時に回避しながら、外科医のコマンドに追従することが可能になる。一態様では、基端側レボリュート関節J1だけを使用して、床に対するマニピュレータの取り付け角度を変更する。この角度は、1)患者の外部の解剖学的構造との衝突を回避する、2)体内の解剖学的構造に到達するために重要である。典型的には、基端側レボリュート関節J1に取り付けられたマニピュレータの基端側リンクと基端側レボリュート関節の軸線との間の角度aは、約15度である。
【0049】
図7Bは、基端側レボリュート関節J1と、その関連する関節軸線と、例示的なマニピュレータアームにおける静止コーンとの関係を示す図である。基端側レボリュート関節J1の関節軸線は、静止コーンを通過してもよく、又は静止コーンの完全に外部に存在してもよい。基端側レボリュート関節J1の軸線の回りにマニピュレータアームを周転させることによって、(関節J1の軸線が、静止コーンを通過するような実施形態において)静止コーンを減少させることができる、又は(基端側レボリュート関節の軸線が、静止コーンの完全に外部に延びるような実施形態において)静止コーンを効果的に除去することができる。リンク501の距離及び角度によって、静止コーンに対する関節J1の軸線の位置が決定される。
【0050】
図8は、例示的なマニピュレータアームと一緒に使用する冗長関節の別のタイプを示しており、先端側レボリュート関節J7が、マニピュレータアーム508の先端リンクに器具ホルダ510を結合する。先端側レボリュート関節J7によって、システムが、器具ホルダ510を、典型的に遠隔中心又は挿入ポイントを通過する関節軸線の回りにねじることが可能になる。理想的には、レボリュート関節は、アームの先端方向に位置しており、従って、挿入軸線の向きを動かすのに特に適している。この冗長軸線の追加によって、マニピュレータが、任意の単一器具チップの位置についての複数の位置を想定することが可能になる。一般的に、このような冗長な軸線によって、器具チップが、他のアームや患者の解剖学的構造との衝突を同時に回避しながら、外科医のコマンドに追従することが可能になる。先端側レボリュート関節J7は、ヨー軸線に挿入軸線を近づける機能を有しているので、その機能によって、アームの逆方向ピッチ運動の可動域を増加させることができる。先端側レボリュート関節J7の軸線と、関節J1’のヨー軸線と、ツールチップの挿入軸線との間の関係を、
図9に示す。
図10A〜
図10Cは、関節J7の順次の動きを示しており、この図は、ツールチップの挿入軸線をどの様に左右にシフトするかを示す。
【0051】
先端側レボリュート関節J7の別の利点は、患者クリアランスコーンを低減させることができるということであり、この患者クリアランスコーンは、患者と、マニピュレータアームの器具ホルダ又は先端側リンク機構との間の衝突を回避するために患者をクリアにする必要があるような、挿入ポイントの基端側のマニピュレータアームの先端部分の押しのけ容積(swept volume)である。
図11Aは、先端側レボリュート関節の角変位が0°のままであるときの、マニピュレータアームの基端部分の患者クリアランスコーンを示す図である。
図11Bは、先端側レボリュート関節が、その軸線回りに90°の角変位を有して示されるときの、マニピュレータアームの基端部分の減少した患者クリアランスコーンを示す図である。従って、挿入ポイントの付近に最小の患者クリアランスを有する手術において、本発明に係る関節J7の使用によって、遠隔中心の位置又はエンドエフェクタの位置を所望するように維持しながら、追加的なクリアランスを提供することができる。
【0052】
図12A〜
図12Cは、例示的なマニピュレータアームと、マニピュレータアームを軸線の周りに並進又は周転させるような基端側関節とを一緒に使用するための冗長関節の別のタイプを示す。多くの実施形態では、この並進可能な基端側関節は、マニピュレータアームのより良い条件付け及び向上した操作性を提供するためにマニピュレータアームの可動域をシフト又は回転させることによって、静止コーンを減少又は除外するように、ある経路に沿って、関節J1又はJ1’等の、マニピュレータの基端側関節を並進させる。並進可能な関節は、
図12A〜
図12Dに関節J1’’として示されるような円形の経路を含むことができ、或いは半円形又は弓形の経路を含むことができる。一般的に、関節は、カニューレ511を通って延びるツール512のシャフトが旋回するような遠隔中心RCと交差する、並進可能な関節の軸線の回りにマニピュレータアームを周転させる。示される実施形態では、関節J1’’のこの軸線は、垂直方向軸線であるが、様々な他の実施形態では、この軸線は、角度方向又は水平方向軸線である。
【0053】
いくつかの実施形態では、マニピュレータアーム500は、基端側又は先端側レボリュート関節、並進可能な基端側関節、及び先端側リンク機構の平行四辺形構成のいずれか又は全てを含んでもよい。これらの機構のいずれか又は全ての使用は、リンク機構同士の間の角度を増大させることによってより良く「条件付け」されたマニピュレータ・アセンブリを提供するように、追加の自由冗長度が提供され且つ本発明に係る再構成が容易になり、それにより、マニピュレータの器用さと運動性を向上させる。この例示的なマニピュレータの増大した柔軟性を用いて、関節制限、特異点等を回避するように、マニピュレータのリンク機構の運動学を最適化することもできる。
【0054】
例示的な実施形態では、マニピュレータの関節運動は、システムのモータを使用する制御装置により1つ又は複数の関節を駆動することによって制御され、関節は、制御装置のプロセッサによって計算され、調整された関節運動に従って駆動される。数学的には、制御装置は、ベクトル及び/又は行列を使用して関節コマンドの計算の少なくとも一部を実行することができ、そのうちのいくつかは、関節の構成又は速度に対応する成分を有することができる。プロセッサについて利用可能な代替の関節構成の範囲は、関節空間として概念化することができる。例えば、関節空間は、マニピュレータが複数の自由度を有する際に多くの次元を有することができ、マニピュレータの特定の構成(配置)は、関節空間内の特定の点を表すことができ、各座標は、マニピュレータの関連する関節の関節状態に対応する。
【0055】
例示的な実施形態では、システムは、その直交座標空間としてここで示される作業空間における機構の命令された位置及び速度が入力される制御装置を含む。この機構は、制御入力部を使用して関節運動する制御フレームとして使用できるような、マニピュレータ上の又はマニピュレータから離れた任意の機構であり得る。本明細書で説明される多数の実施例で使用されるマニピュレータ上の機構の例は、ツールチップであろう。マニピュレータ上の機構の他の例は、ツールチップ上に存在しないが、ピン又はペイントパターン等のマニピュレータの一部である物理的な機構であろう。マニピュレータから離れた機構の例は、ツールチップから離れる正確な一定の距離及び角度である空き(empty)空間の基準点である。マニピュレータから離れた機構の別の例は、マニピュレータに対する位置が確立された標的組織であろう。これら全ての場合において、エンドエフェクタは、制御入力部を使用して関節運動されるような仮想制御フレームに関連付けられる。ただし、以下では、「エンドエフェクタ」と「ツールチップ」とは、同義的に使用される。一般的には、直交座標空間のエンドエフェクタの所望の位置を等価の関節空間の位置にマッピングするような閉形式の関係は存在しないが、一般的に、直交座標空間のエンドエフェクタと関節空間の速度との間に閉形式の関係が存在する。運動学的ヤコビアンは、関節空間の位置要素に対する直交座標空間でのエンドエフェクタの位置要素の偏導関数の行列である。このように、運動学的ヤコビアンは、エンドエフェクタと関節との間の運動学的関係をキャプチャする。換言すれば、運動学的ヤコビアンは、エンドエフェクタ上の関節動作の影響を捕捉する。運動学的ヤコビアン(J)を使用して、以下の関係を用いて、関節空間の速度(dq/dt)を直交座標空間のエンドエフェクタ速度(dx/dt)にマッピングすることができる。
dx/dt=J dq/dt
【0056】
このように、入力位置と出力位置との間に閉形式のマッピングが存在しない場合であっても、速度のマッピングは、ヤコビアンベースの制御装置で、反復的に使用することができ、命令されたユーザ入力からマニピュレータの動きを実現する。しかしながら、様々な実装形態を使用することができる。多くの実施形態は、ヤコビアンベースの制御装置を含んでいるが、いくつかの実装形態は、本明細書で説明する機構のいずれかを提供するために、マニピュレータアームのヤコビアンにアクセスするように構成された各種制御装置を使用することができる。
【0057】
そのような一実装形態は、以下の簡略化された関係で記述される。命令された関節位置を使用して、ヤコビアン(J)を計算する。各時間ステップ(Δt)中に、直交座標空間速度(dx/dt)は、所望の移動(dxdes/dt)を実行するとともに、直交座標空間の所望位置から確立された偏差(Δx)を補正するために計算される。この直交座標空間の速度は、次に、ヤコビアンの擬似逆行列(J#)を用いて、関節空間の速度(dq/dt)に変換される。得られた関節空間の命令速度は、次に、関節空間の命令位置(q)を生成するために積分される。これらの関係は次の通りである。
dx/dt=dxdes/dt+kΔx (1)
dq/dt=J#dx/dt (2)
qi=qi−1+dq/dtΔt (3)
【0058】
ヤコビアン(J)の擬似逆行列は、ツールチップの所望の動作(いくつかの場合では、旋回ツール動作の遠隔中心)を関節速度の空間内に直接的にマッピングする。使用されるマニピュレータが、ツールチップの(6までの)自由度より多くの有用な関節軸線を有している場合に、(そして、ツール動作の遠隔中心が使用されるときに、マニピュレータは、遠隔中心の位置に関連付けられた3つの自由度について追加の3つの関節軸線を有する必要がある)、次に、マニピュレータは、冗長であると言われる。冗長なマニピュレータのヤコビアンは、少なくとも1つの次元を有する「ゼロ空間」を含む。この文脈において、ヤコビアンの「ゼロ空間」(N(J))は、ツールチップ動作を瞬時に実現しない(そして、遠隔中心が使用されるときに、旋回点の位置の移動がない)ような関節速度の空間である。そして「ゼロ動作」は、ツールチップの瞬間的な移動及び/又は遠隔中心の位置も生成しないような、関節の位置の組合せ、軌道、又は経路である。計算されたゼロ空間の速度をマニピュレータの制御システムに組み込む又は導入して、(本明細書で説明される任意の再構成を含む)マニピュレータの所望の再構成を達成するには、上記の式(2)を以下のように変形する:
dq/dt=dq垂直/dt+dqゼロ/dt (4)
dq垂直/dt=J#dx/dt (5)
dqゼロ/dt=(1−J#J)z=VnVnTz=Vnα (6)
【0059】
あるいはまた、特定の態様では、ポテンシャル関数の勾配を組み入れ、且つ直交座標空間のエンドエフェクタの速度に適用されるような拡張ヤコビアンを使用することができる。ヤコビアンの拡張によって、関節速度を所望するように計算する。ヤコビアンを使用して関節運動を計算する際に、このような計算は、拡張されたヤコビアプローチを含んでもよいことが理解される。拡張ヤコビアンアプローチに従って、以下の式を使用することができるが、列ベクトルを使用してもよいことが理解される:
dx/dt=J*dq/dt
y=h(q)
dy/dt=∂h/∂q*dq/dt
[dx/dtT dy/dtT]T=[JT ∂h/∂qT]T*dq/dt
d(x;y)/dt=[J;h’]*dq/dt
dq/dt=[J;h’]# d(x;y)/dt
【0060】
一例では、y=h(q)(ポテンシャル場関数の複雑ネットワーク)と設定する。dy/dt=∂h/∂q*dq/dt。dy/dt,∂h/∂q,dy/dtは、ポテンシャル場の関数に基づいて、所望するように決定することができ、この拡張式によって、エンドエフェクタを駆動すること及び関節空間における経路を追跡することの両方を組み合わせた所望の結果が得られる。
【0061】
式(4)による関節速度は、2つの成分を有する:第1の成分は、ゼロ−垂直空間成分であり、ツールチップの所望動作(そして、遠隔中心が使用されるときに、所望の遠隔中心動作)を生成する「純粋な(purest)」関節速度(最短ベクトルの長さ)である。第2の成分は、ゼロ空間成分である。式(2)、(4)及び式(5)は、ゼロ空間成分なしで、同じ式が得られることを示している。式(6)は、左辺のゼロ空間成分についての従来の形式で始まり、最も右寄りの右辺で、例示的なシステムで用いられる形式を示している。ここで、(Vn)は、ゼロ空間についての直交基底ベクトルのセットであり、(α)は、それら基底ベクトルをブレンドするための係数である。いくつかの実施形態では、αは、ゼロ空間内の動作を所望されるように形成又は制御するために、ノブ又は他の制御手段等の使用による制御パラメータ、変数又は設定によって決定される。
【0062】
図13A及び
図13Bは、ヤコビアンのゼロ空間と例示的なマニピュレータアームのヤコビアンのゼロ垂直空間との関係を図式的に示す図である。
図13Aは、横軸に沿ったゼロ空間及び縦軸に沿ったゼロ−垂直空間を示すような二次元概略図を示しており、これら2つの軸線は互いに直交している。対角ベクトルは、ゼロ空間における速度ベクトルとゼロ−垂直空間における速度ベクトルとの和を表しており、上述した式(4)の表現である。
【0063】
図13Bは、ゼロ空間と、4つの次元の関節空間内のゼロ−動作マニホールド(「ゼロ−動作マニホールド」として示される)との間の関係を図式的に示す図である。各矢印(q1,q2,q3,q4)は、主要な関節軸線を表す。この閉曲線が、エンドエフェクタの同じ位置を瞬時に実現するような関節空間位置のセットであるゼロ−動作マニホールドを表す。この曲線上の所定の点Aについて、ゼロ空間が、エンドエフェクタの動作を瞬時に生じさせないような関節速度の空間であるので、ゼロ空間は、点Aにおいてゼロ−動作マニホールドの接線に対して平行である。
【0064】
図14A〜
図14Dは、本発明の実施形態に係るゼロ空間マネージャを用いて複数の目標を統合するような様々なアプローチを図式的に説明する。
図14Aは、複数の目標の重み付き加算に関する。
図14Bは、複数の目標の飽和限界に関する。
図14Cは、ゼロ空間における複数の目標の優先順位に関する。
図14Dは、関節空間の障壁や境界に関連した複数の目標の取扱いに関する。特定の態様では、ゼロ空間マネージャを使用して、ゼロ空間の各目的(目標)関数についてゼロ空間係数(α)を決定し、且つ各目標について以下の属性のいずれか(又はこれらの組合せ)を使用してゼロ空間係数を統合することにより、複数のゼロ空間の目標を管理する。
【0065】
(a)重み付け:
この属性は、複数の機能や目標のスケーリングされたブレンドを可能にする重み付き加算パラダイムで使用される。例えば、ユーザが、アーム同士の衝突回避目標のためにしたよりも2倍、拡張ピッチバック目標のためのゼロ空間の使用に重点をおくことを所望する場合に、拡張ピッチバック目標の重み付けは、アーム同士の衝突回避目標の重み付けの2倍となるように設定される。このような例が
図14Aに示されており、この
図14Aは、第1の目標についてのゼロ空間係数ベクトルα1、第2の目標についてのゼロ空間係数ベクトルα2を示す。第2の目標が第1の目標の2倍重み付けされたゼロ空間の運動を決定するために、第2の目標についてのゼロ空間係数ベクトルは、第1の目標についてのゼロ空間係数ベクトルα1と加算する前に、2倍にされ、それによって、得られた和、αΣは、ゼロ空間の運動の計算に使用するときに、第1の目標の2倍、第2の目標を強調するようなゼロ空間係数を表す。このような重み付けは、様々な他の属性を含む様々な他の管理アプローチに適用することができることを理解されたい。これは、基底ベクトルの単なる係数ではなく、ゼロ空間ベクトルに直接的に適用される重みを含む。
【0066】
(b)飽和レベル:
この属性は、互いに競合する又は打ち消し合うようなゼロ空間の複数の目標同士の間の管理を可能にする。上述したように、目的(目標)関数の数は、ゼロ空間の次元より大きくてもよい。これらの例において(時には厳密な次元よりも少ない場合もある)、複数の目的関数は、互いに正反対になるゼロ空間出力を生成することができる。この態様の一例が
図14Bに示されており、この
図14Bは、正反対のゼロ空間係数ベクトルα1u及びα2uを示す。これらの目的関数が、介入(intervention)なしに加算される場合に、その結果は、いずれかの目的関数について供された有益な動作をもたらさないようにゼロになる。飽和限界を使用することにより、最も高い飽和限界を有する目的関数は、より低い飽和限界を有する目的関数を圧倒することができる。例えば、ユーザは、アームと患者との衝突回避が、臨床の理由からアーム同士の衝突回避関数より常に優先する必要があることを望むことがある。このような場合に、ゼロ空間マネージャは、アームと患者との衝突回避が同順位の回避動作に勝つことを可能にし、それに応答して、直接的に競合するときに、マニピュレータは、患者の体表面を貫通する前に、マニュピュレータ自体を隣接するマニピュレータ内に駆動する。
【0067】
図14Bは、上述した飽和属性を示すゼロ空間におけるゼロ空間係数の概略図である。元の不飽和ベクトルα1u及びα2uは、等しく反対向きの状態から始まり、それらベクトルの飽和限界は異なり、それによって飽和した後に、α1はα2よりも短くなる。この例では、複数の係数が合成された出力に到達するために一緒に加算されたときに、それらの飽和レベルによって、α2がα1を圧倒するのが可能になる。こうして、マニピュレータ同士の衝突回避等の第2の目標によって、患者とマニピュレータとの衝突回避等の第1の目標が取り消されることを所望しない場合に、第1の目標が、第1の目標と競合する又は第1の目標を取り消すような任意の第2の目標を圧倒するように目標を組み合わせるときに、適切な飽和レベルを適用することができる。
【0068】
(c)優先順位:
このアプローチは、論理的な又は別々の分岐概念ではなく、連続的な空間の数学的概念を利用する。例えば、特定の目的関数がゼロ空間を無制限に使用し、他の目的関数も、前者の特定の目的(目標)関数の使用を妨害することなくゼロ空間を使用するという、1つの要件を想定する。優先順位の概念は、前者の特定の目標がゼロ空間全体にアクセスすることを可能にするだけでなく、後者の他の目標がゼロ空間の未使用の残りの直交部分にアクセスすることのみを可能にするような例に適用される。このアプローチは、前者の特定の目標が、実際は直線状であり、ゼロ空間における直交妨害がそのゼロ空間に影響を及ぼさないように提供される場合に、後者の他の目標が、前者の特定の目標の使用を妨げないので、有利である。このアプローチは、
図14Cの実施例に示されるように実行してもよい。この実施例では、最も高い優先順位で操作される目的関数は、上述した(a)及び(b)の重み付け及び飽和技術の一方又は両方を使用等することによって、それらの出力を組み合わせることができる。得られた出力ベクトルは、次に、ゼロ空間にマッピングされる。ゼロ空間が1よりも大きな次元を有する場合に、優先順位の最も高いこの出力ベクトルに対して直交するゼロ空間の部分空間は、その後、次に優先順位の最も高いベクトルに利用可能である。次に最も高い優先順位の全ての目的関数の重み付けされた飽和合計が、ゼロ空間の残りの部分空間に投影される。このプロセスは、全ての目的関数の優先順位のレベルが対処されるまで又は全てのゼロ空間の次元を使い切るまで継続することができる。別の態様では、このアプローチは、関節固定、又は関節運動の取消しを可能にするためにも使用することができる。
【0069】
図14Cは、上述した優先順位属性を示すようなゼロ空間における係数ベクトルの概略図を示す。ここでは、未修正αp10が最も高い優先順位を有しており、従って、ゼロ空間全体に遮るもののないアクセスを有している。この実施例では、修正後の形式αp1は、αp10と同じであるが、αp20はより低い優先順位である。従って、αp20は、より高い優先順位のαp1によって使用されていないゼロ空間の部分(例えば、αp1に直交する部分)へのアクセスのみを有している。これは、より低い優先順位の目標が、最も高い優先順位と干渉しない範囲のみで実行することを可能にするように、αp2を得るために、αp20をその使用されていないゼロ空間の部分に投影することにより得られる。
【0070】
(d)マスター速度制限のフラグ:
ゼロ空間の各種目的(目標)関数は、部分的に自律的に構成することができる。効率性と使い易さの理由から、様々な用途において、いくつかの自律的な機能を可能にするのが有用である。もっとも安全上の理由から、外科医が、自律的な動作を監督し且つ無効にする能力を可能にすることが望ましい。この機能を可能にする1つの方法は、ゼロ空間の特定の目的関数の出力の大きさをマスターの速度に比例するように制限することである。このようにして、自律動作が望ましくない場合に、外科医は、マスターの動きを単に停止することができ、且つ自律的運動が停止する。しかしながら、マスター速度制限がそれら目的関数に適用される場合に、少なくともいくつかの目的関数が正しく機能しない場合がある。従って、この属性は、マスター速度制限を所定の目的関数に適用するかどうかをゼロ空間マネージャに伝える。このように、特定の目標は、制限が適しているこれらの目標のみにマスター速度制限が適用されるように、ゼロ空間のマネージャにフラグを立てることもできる。
【0071】
(e)飽和制限積分(SLI)アルゴリズムのフラグ:
飽和制限積分アルゴリズムは、関節速度制限や関節位置制限(例えば、急停止)のいずれかに違反することなく、命令された関節速度を積分して命令された関節位置を求める。以下で説明するようないくつかの変更が、ゼロ空間の2つ以上の特定の動作を可能にするために、特定の実施形態に対して行われ得る。この属性によって、マネージャが、複数の目的関数からのゼロ空間の統合出力を2つ以上のバケットに並べる(collate)ことが可能になり、各バケットは、以下の実施例のように、2つ以上の動作のそれぞれに関連付けられる。
【0072】
動作1:
SLIアルゴリズムは、動作プロファイルを関節速度及び関節位置制限内にフィットさせるために、関節速度の入力コマンドを変更する権限を有する。しかしながら、ゼロ空間の速度コマンドについてゼロ空間内に残るようにするために、SLIアルゴリズムは、速度の大きさのみを制限する必要があるが、方向は制限する必要がない。例えば、ツールチップの姿勢を阻害することを回避するために、速度ベクトルは、方向変化を含まなくてもよい。この動作は、他の出力よりもゼロ空間の特定の目標出力について有用であり、検討が望まれるゼロ空間の目標に従って選択的に使用することができる。動作1の態様が、
図14Dに示されている。
【0073】
動作2:
動作1に関連する1つの欠点は、例えば、マニピュレータが関節が制限される壁に接しており且つこの壁に沿って摺動するように命令された場合に発生し得る、大抵の場合、「扱い難い(sticky)壁」と呼ばれる現象を引き起こすことがあるということである(
図14D参照)。このような動きについて、動作1を適用して、方向を変えることなく、任意の摺動コマンド(例えば、要素を壁に向けて動かす運動)について長さを0にまで短くすることのみ行う。従って、摺動は許容されず、関節制限によって、扱い難い壁のように振る舞うことになる。特定のアルゴリズムは、自由度毎の単位で速度制限を行うことにより、この問題を回避することができる。このようなケースでは、関節制限に関する自由度のみがゼロに設定されるが、残りの自由度は影響を受けないだろう。この結果は、ツールチップの動作を命令するときに所望の動作である、関節制限に沿った摺動コマンドであろう。特定の実施形態では、関節速度制限は、ベクトルを用いた方法に適用されるが、関節位置制限は、自由度毎の様式で適用される。
【0074】
図14Dは、上述したSLIの概念を示すその制限(例えば、境界線で描かれた急停止)を含む関節スペースの概略図を示す。右上の破線の矢印は、関節制限を貫通するような不飽和の矢印を示しており、従って、飽和する必要がある。その上の短い矢印は、動作1(例えば、大きさ変化のみであり方向変化を有さない)を示す。この場合に、摺動は発生しないだろう。破線矢印下の三角形は、動作2を示す。この場合に、壁に向かう方向を指す不飽和(破線)の矢印の成分(水平方法)のみは、飽和するが、垂直成分は、そのままにされる。その結果、関節制限の壁に沿った摺動が可能になる。これは、方向変化に対応するので、ゼロ空間の様々な動きについて適さない場合がある。
【0075】
(f)他の属性:
これらの一般的な概念に従った他の属性(現在使用されていないか、当業者により想起される属性)が、ゼロ空間マネージャを介して、特定の方法で複数の目的関数を異なるように処理するために使用され得る。また、所望の目標及び/又はゼロ空間の関連する運動に基づいて、上述した属性の様々な組合せを様々な方法で使用し且つ適用することができることが理解される。
【0076】
図15は、上述した式に関連して、患者側カートの関節状態を制御するための一般的なアルゴリズムを実行するのに必要なブロックの簡略図を示す。
図15の方法に従って、システムは、マニピュレータアームの順方向運動学を計算し、次に式(1)を使用してdx/dtを計算し、式(5)式を使用してdq垂直/dtを計算し、その後、dq垂直/dtに依存し得るz及び式(6)を用いてヤコビアンからdqゼロ/dtを計算する。計算されたdq垂直/dt及びdqゼロ/dtから、次に、システムは、式(4)及び式(3)を使用してdq/dt及びqをそれぞれ計算し、それによって、制御装置によって、エンドエフェクタの所望の状態(及び/又は遠隔中心の位置)を維持しながら、マニピュレータの所望の再構成を行うような計算された運動を提供する。
【0077】
図16〜
図17は、本発明の態様に係る例示の方法のフローチャートを示す。
図16に示されるように、マニピュレータシステムによって実行される例示的な方法は、以下のステップを含むことができる:エンドエフェクタの所望の動きをもたらすような操作コマンドを受信するステップ;第1の目標について第1セットの関節の関節運動を計算するステップ;第2の目標に従ってゼロ空間内の第2セットの関節の関節運動を計算するステップ;第1及び第2セットの関節のゼロ空間の計算された関節運動のそれぞれの属性を使用して、第1及び第2の目標を統合するようなゼロ空間コマンドを決定するステップ;このゼロ空間コマンドに従って関節を駆動して、第1及び第2の目標の組合せを実現するように所望の動き行うステップ;を含む。
図17に示されるように、マニピュレータシステムの例示的な方法は、以下のステップを含むことができる:エンドエフェクタをエンドエフェクタの所望の運動で動かすような操作コマンドを受信するステップ;ゼロ空間の複数の係数を決定するステップであって、各係数は、ゼロ空間の異なる目標に対応する、決定するステップ;それらそれぞれの目標に従って、ゼロ空間の複数の係数のそれぞれの属性を決定するステップ;それらに関連する属性を使用して、ゼロ空間の複数の係数をゼロ空間の単一の係数に統合するステップ;ゼロ空間の単一の係数に基づいて計算された関節運動に従って関節を駆動して、ゼロ空間の目標の所望の組合せを実現するステップを含む。
【0078】
例示的な実施例は、理解を明確にするためにある程度詳細に及び実施例によって説明してきたが、種々の適合、修正、及び変更は、当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0079】
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の内容を実施例として記載する。
[実施例1]
遠隔操作方法であって、当該方法は:
可動式先端側手術用エンドエフェクタと、ベースに結合された基端部と、先端部と前記ベースとの間の複数の関節とを含むマニピュレータアームを提供するステップであって、前記複数の関節は、エンドエフェクタの所定状態について異なる範囲の関節状態を可能にするような十分な自由度を有する、提供するステップと;
第1の目標に従ってヤコビアンのゼロ空間内の前記複数の関節のうちの第1セットの関節の第1の運動を計算し、且つ第2の目標に従って前記ヤコビアンのゼロ空間内の前記複数の関節のうちの第2セットの関節の第2の運動を計算するステップであって、第2の目標と第1の目標とが異なる、計算するステップと;
第1の目標に従って第1の計算された運動に関連する第1の属性を決定し、且つ第2の目標に従って第2の計算された運動に関連する第2の属性を決定するステップと;
第1及び第2の目標の間の所望の関係及び/又は動作に従ってそれぞれの属性に部分的に基づいて、第1及び第2の計算された運動を前記複数の関節から構成される複合運動に統合するステップと;
前記複数の関節から構成される複合運動を行うように前記複数の関節を駆動するステップと;を含む、
遠隔操作方法。
[実施例2]
第1セットの関節及び第2セットの関節のそれぞれは、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節を含む、
実施例1に記載の遠隔操作方法。
[実施例3]
第1セットの関節及び第2セットの関節は、前記複数の関節のうちの共通する1つ又は複数の関節、及び/又は前記複数の関節のうちの異なる1つ又は複数の関節を含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例4]
第1の目標又は第2の目標は、関節状態、関節状態の組合せ、相対的な関節状態、関節状態の範囲、関節状態のプロファイル、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節の速度、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節の速度の集合、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節の運動エネルギー、クラッチ動作、動きキャンセル動作、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節のロック、衝突回避動作、特異点回避動作、マニピュレータ姿勢選好、所望のマニピュレータ構成、命令を受けたマニピュレータの再構成、及び関節の異方性強調のいずれかを含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例5]
第1及び第2の属性のそれぞれは、それぞれの目標の間の重み付けに対応する重みを含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例6]
第1及び第2の属性のそれぞれは、飽和レベルを含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例7]
前記統合するステップは、第1及び第2の運動が競合する場合に、前記飽和レベルを適用するステップを含む、
実施例6に記載の遠隔操作方法。
[実施例8]
第1及び第2の属性のそれぞれは、第1及び第2の目標の間の優先順位をさらに含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例9]
前記優先順位に従って統合するステップは、前記複数の属性を適用するステップを含み、第1の目標が第2の目標よりも優先される場合に、前記統合するステップは、第2の計算された運動を犠牲にして、第1の計算された運動を適用するステップを含む、
実施例8に記載の遠隔操作方法。
[実施例10]
前記優先順位に従って統合するステップは、第1の計算された運動と競合しない第2の計算された運動の一部のみに適用するステップを含む、
実施例8に記載の遠隔操作方法。
[実施例11]
前記統合するステップは、第1の計算された運動に直交する前記ゼロ空間の第3の部分を決定するとともに、該ゼロ空間の第3の部分に第2の計算された運動を投影することによって、第1の計算された運動と競合しない第2の計算された運動の一部を決定するステップを含む、
実施例7に記載の遠隔操作方法。
[実施例12]
第1及び第2の運動をそれぞれ計算するステップは、ゼロ空間係数を決定するステップを含み、前記属性は、前記ゼロ空間係数に適用される、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例13]
第1の計算された運動を行うための第1のゼロ空間コマンドを出力し、第2の計算された運動を行うための第2のゼロ空間コマンドを出力するステップと;
第1及び第2のゼロ空間コマンドをプロセッサのゼロ空間マネージャモジュールで受信し、且つ第1及び第2の計算された運動を前記ゼロ空間内の前記複数の関節から構成される複合運動に統合するステップと;
前記複数の関節から構成される複合運動を前記ゼロ空間内で行うように、統合ゼロ空間コマンドを出力するステップと;をさらに含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例14]
前記エンドエフェクタの命令を受けた組織操作運動に伴うマスター速度に関連して、第1及び第2の計算された運動のうちの少なくとも一方を制限するステップをさらに含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例15]
第1又は第2の計算された運動が、前記エンドエフェクタの命令を受けた操作運動組織に伴うマスター速度に関連する制限と互換性があるかどうかを指示するステップと;
前記指示に基づいて、前記マスター速度に関連して第1及び第2の計算された運動のうちの少なくとも一方を制限するステップと;をさらに含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例16]
第1及び第2の計算された運動のそれぞれを前記ゼロ空間内で行うための関節速度コマンドを決定するステップと;
第1セットの関節において、第1の属性に基づいて、第1の関節の関節速度を第1の関節の関節制限に制限するステップと;をさらに含む、
実施例2に記載の遠隔操作方法。
[実施例17]
第1の関節の関節速度は、複数の自由度(DOF)を有しており、且つ自由度(DOF)毎の基準に制限され、それによって、第1の方向に関節速度を制限することと第2の方向に関節速度を制限することとが、無関係になる、
実施例16に記載の遠隔操作方法。
[実施例18]
当該方法は、ベクトルの向きを維持しながら、飽和する間に前記ベクトルの長さを短くすることにより、ベクトル飽和を実行するステップを含む、
実施例16に記載の遠隔操作方法。
[実施例19]
遠隔操作システムであって、当該システムは:
基端側ベースに対して先端側エンドエフェクタをロボット操作で動かすように構成されたマニピュレータアームであって、該マニピュレータアームは、先端部と前記ベースに結合された基端部との間に複数の関節を有しており、前記関節は、エンドエフェクタの状態について所定範囲の関節状態を可能にするような十分な自由度を提供する、マニピュレータアームと;
該マニピュレータアームに入力装置を結合するプロセッサと;を有しており、
該プロセッサは、
第1の目標に従ってヤコビアンのゼロ空間内の前記複数の関節のうちの第1セットの関節の第1の運動を計算し、且つ第2の目標に従って前記ヤコビアンのゼロ空間内の前記複数の関節のうちの第2セットの関節の第2の運動を計算し、第2の目標と第1の目標とが異なり、
第1の計算された運動に関連する第1の属性を決定し、且つ第2の計算された運動に関連する第2の属性を決定し、
第1及び第2の目標の間の所望の関係及び/又は動作に従ってそれぞれの属性に部分的に基づいて、第1及び第2の計算された運動を前記複数の関節から構成される複合運動に統合し、
前記複数の関節から構成される複合運動を行うように前記複数の関節を駆動するように構成される、
遠隔操作システム。
[実施例20]
前記エンドエフェクタを所望のエンドエフェクタ運動で動かすような操作コマンドを受信するための入力部をさらに有しており、
前記プロセッサは、前記ヤコビアンのゼロ−垂直空間内の関節速度を計算することにより、前記操作コマンドに応答して、エンドエフェクタの前記関節の変位運動を計算するように構成される、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例21]
第1セットの関節及び第2セットの関節のそれぞれは、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節を含んでおり、第1セットの関節及び第2セットの関節は、前記複数の関節のうちの共通する1つ又は複数の関節、及び/又は前記複数の関節のうちの異なる1つ又は複数の関節を含む、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例22]
第1の目標又は第2の目標は、関節状態、関節状態の組合せ、相対的な関節状態、関節状態の範囲、関節状態のプロファイル、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節の速度、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節の速度の集合、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節の運動エネルギー、クラッチ動作、動きキャンセル動作、前記複数の関節のうちの1つ又は複数の関節のロック、衝突回避動作、特異点回避動作、マニピュレータ姿勢選好、所望のマニピュレータ構成、命令を受けたマニピュレータの再構成、及び関節の異方性強調のいずれかを含む、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例23]
第1及び第2の属性のそれぞれは、それぞれの目標の間の重み付けに対応する重みを含む、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例24]
第1及び第2の属性のそれぞれは、飽和レベルを含む、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例25]
前記統合することは、第1及び第2の運動が競合する場合に、前記飽和レベルを適用することを含む、
実施例24に記載の遠隔操作システム。
[実施例26]
第1及び第2の属性は、第1及び第2の目標の間の優先順位に対応しており、前記プロセッサは、前記優先順位に従って第1及び第2の運動を統合するように構成されており、第1の目標が第2の目標をよりも優先される場合に、前記統合することは、第2の計算された運動を犠牲にして第1の計算された運動を適用することを含む、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例27]
前記プロセッサは、第2の計算された運動が第1の計算された運動と競合する場合に、第2の計算された運動の一部のみに適用することを含むような優先順位に従って、第1及び第2の運動を統合するようにさらに構成される、
実施例26に記載の遠隔操作システム。
[実施例28]
前記プロセッサは、第1の計算された運動を行うための第1のゼロ空間コマンドを出力し、且つ第2の計算された運動を行うため第2のゼロ空間コマンドを出力し、
第1及び第2のゼロ空間コマンドをプロセッサのゼロ空間マネージャモジュールで受信し、且つ第1及び第2の計算された運動を前記ゼロ空間内の前記複数の関節から構成される複合運動に統合し、
前記複数の関節から構成される複合運動を前記ゼロ空間内で行うように、統合ゼロ空間コマンドを出力するようにさらに構成される、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例29]
前記プロセッサは、前記エンドエフェクタの命令を受けた組織操作運動に伴うマスター速度に関連して、第1及び第2の計算された運動のうちの少なくとも一方を制限することによって、第1及び第2の運動を統合するように構成される、
実施例19に記載の遠隔操作システム。
[実施例30]
前記プロセッサは、
第1又は第2の計算された運動が、第1及び第2の属性に基づいて、前記エンドエフェクタの命令を受けた組織操作運動に伴うマスター速度に関連する制限と互換性があるかどうかを指示し、
該指示に基づいて、マスター速度に関連して第1セットの関節のうちの第1の関節を制限するようにさらに構成される、
実施例29に記載の遠隔操作システム。
[実施例31]
前記プロセッサは、
第1及び第2の計算された運動のそれぞれを前記ゼロ空間内で行うための関節速度コマンドを決定し、
複数の自由度を有する第1の関節の関節速度を自由度毎の基準に制限し、それによって、第1の方向に関節速度を制限することと第2の方向に関節速度を制限することとが、無関係になるようにさらに構成される、
実施例28に記載の遠隔操作システム。
[実施例32]
遠隔操作方法であって、当該方法は:
可動式先端側手術用エンドエフェクタと、ベースに結合された基端部と、先端部と前記ベースとの間の複数の関節とを含むマニピュレータアームを提供するステップであって、前記複数の関節は、エンドエフェクタの所定状態について異なる範囲の関節状態を可能にするような十分な自由度を有する、提供するステップと;
第1の目標に従って、拡張ヤコビアンを用いて前記複数の関節のうちの第1セットの関節の第1の運動を計算し、且つ第2の目標に従って、前記拡張ヤコビアンを用いて前記複数の関節のうちの第2セットの第2の運動を計算するステップであって、第2の目標と第1の目標とが異なる、計算するステップと;
第1の目標に従って第1の計算された運動に関連する第1の属性を決定し、且つ第2の目標に従って第2の計算された運動に関連する第2の属性を決定するステップと;
第1及び第2の目標の間の所望の関係及び/又は動作に従ってそれぞれの属性に部分的に基づいて、第1及び第2の計算された運動を前記複数の関節から構成される複合運動に統合するステップと;
前記複数の関節から構成される複合運動を行うように前記複数の関節を駆動するステップと;を含む、
遠隔操作方法。
[実施例33]
前記拡張ヤコビアンを用いて関節運動を計算するステップは、前記拡張ヤコビアンの逆関数を返すステップを含む、
実施例32に記載の遠隔操作方法。