(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電装置から電力系統への逆潮流が許容されている場合には、発電装置の出力電力に余剰が発生してもその余剰電力を電力系統へと逆潮流させればよい。そのため、連系運転時に限ると、発電装置の余剰電力を消費するための電気ヒーターは不要である。但し、自立運転時に余剰電力が発生すると、その余剰電力を消費するための電気ヒーターが必要になる。
【0006】
以上のように、従来の分散型発電システムでは、電力系統への逆潮流が許容されるか否かに関わらず、少なくとも自立運転時の余剰電力の処理のために大容量の電気ヒーターを備える必要があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大容量の電気ヒーターを備えなくても、余剰電力の処理を行うことができる分散型発電システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る分散型発電システムの特徴構成は、発電部、及び、複数の半導体素子のスイッチングにより前記発電部の発電電力を所望の電力に変換して出力する電力変換部を有する発電装置と、制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記発電装置の電力系統への連系運転時には電力消費装置に対して前記電力系統及び前記発電装置の少なくとも何れか一方から電力を供給し、前記発電装置の自立運転時には前記電力消費装置に対して前記発電装置から電力を供給する分散型発電システムであって、
前記電力変換部は、前記半導体素子で構成されるスイッチング素子を有するスイッチング回路部と、コイルを有する平滑化回路部とを備え、
前記制御装置が、前記スイッチング回路部が有する前記スイッチング素子のオンタイミング及びオフタイミングを制御して前記平滑化回路部へ出力される電力波形を調節し、前記平滑化回路部では前記スイッチング回路部で得られた電力波形が平滑化されるように構成され、
前記制御装置は、
前記発電部の発電電力が過剰になる電力過剰条件が満たされないと判定したとき、所定のタイミングで
複数の前記スイッチング素子のスイッチングを行うことで、前記電力変換部による電力変換を行わせる通常損失運転を行わせ、
前記電力過剰条件が満たされると判定したとき、
前記スイッチング素子のオンオフ回数が前記通常損失運転が行われるときよりも
少なくなることで前記電力変換部
の前記平滑化回路部での損失が大きくなるタイミングで
複数の前記スイッチング素子のスイッチングを行うことで、前記電力変換部による電力変換を行わせる大損失運転を行わせる点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、制御装置は、発電部の発電電力が過剰になる電力過剰条件が満たされると判定したとき、
スイッチング素子のオンオフ回数が通常損失運転が行われるときよりも
少なくなることで電力変換部
の平滑化回路部での損失が大きくなるタイミングで複数の
複数のスイッチング素子のスイッチングを行う
ことで、電力変換部による電力変換を行わせる大損失運転により、電力変換部で消費される電力を相対的に大きくする。これに対して、制御装置は、発電部の発電電力が過剰になる電力過剰条件が満たされないと判定したとき、所定のタイミングで
複数のスイッチング素子のスイッチングを行う通常損失運転により、電力変換部で消費される電力を相対的に小さくする。つまり、発電装置が有する発電部の発電電力が同じであっても、発電装置の出力電力(即ち、電力変換部による電力変換後の出力電力)は、大損失運転が行われたときの方が、通常損失運転が行われたときよりも小さくなる。このように、制御装置は、発電装置から出力される出力電力の大きさを、その発電装置の内部の電力変換部で調節するので、発電装置の出力電力の少なくとも一部を消費するため余剰電力消費用の電気ヒーターの役割は小さくなる。
従って、大容量の電気ヒーターを備えなくても、余剰電力の処理を行うことができる分散型発電システムを提供できる。
【0010】
本発明に係る分散型発電システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記通常損失運転が行われたときの前記発電装置の出力電力に余剰が発生するとき、前記電力過剰条件が満たされると判定し、前記通常損失運転が行われたときの前記発電装置の出力電力に余剰が発生しないとき、前記電力過剰条件が満たされないと判定する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、通常損失運転が行われたときの発電装置の出力電力に余剰が発生するとき、発電装置が有する電力変換部での損失が大きくなるような大損失運転が行われる。つまり、通常損失運転が行われたときの発電装置の出力電力に余剰が発生するとしても、大損失運転を行って電力変換部での損失を大きくすることで、発電装置の出力電力を減少させることができる。
【0012】
本発明に係る分散型発電システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置は、前記発電装置の前記連系運転を行っていない状態で前記通常損失運転が行われたときの前記発電装置の出力電力に余剰が発生するとき、前記電力過剰条件が満たされると判定し、前記発電装置の前記連系運転を行っていない状態で前記通常損失運転が行われたときの前記発電装置の出力電力に余剰が発生しないとき、或いは、前記発電装置の前記連系運転を行っている状態のとき、前記電力過剰条件が満たされないと判定する点にある。
【0013】
発電装置の連系運転が行われていない状態では、発電装置の出力電力に余剰が発生すると、その余剰電力を何らかの装置で消費しなければならない。
そこで、本特徴構成では、制御装置は、発電装置の連系運転を行っていない状態で通常損失運転が行われたときの発電装置の出力電力に余剰が発生するとき、電力過剰条件が満たされると判定して、上記大損失運転により電力変換部での損失を大きくすることで、発電装置の出力電力を減少させる。その結果、何らかの装置で消費しなければならない余剰電力を減少させることができる。
【0014】
これに対して、発電装置の連系運転を行っていない状態で通常損失運転が行われたときの発電装置の出力電力に余剰が発生しないとき、何らかの装置で消費しなければならない余剰電力は存在しない。また、発電装置の連系運転を行っている状態であれば、発電装置の出力電力に余剰が発生したとしても、その余剰電力を電力系統へと逆潮流させることが可能である。
そこで、本特徴構成では、制御装置は、発電装置の連系運転を行っていない状態で通常損失運転が行われたときの発電装置の出力電力に余剰が発生しないとき、或いは、発電装置の連系運転を行っている状態のとき、電力過剰条件が満たされないと判定して、上記大損失運転を行わない。
【0015】
本発明に係る分散型発電システムの更に別の特徴構成は、前記電力変換部の温度を調節する温度調節部を備え、前記制御装置は、前記電力過剰条件が満たされると判定したとき、前記電力変換部の温度が、前記電力過剰条件が満たされないと判定したときよりも高い温度になるように前記温度調節部を動作させる点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、制御装置は、電力過剰条件が満たされると判定したときの電力変換部の温度を、電力過剰条件が満たされないと判定したときよりも高い温度になるように温度調節部を動作させる。つまり、電力過剰条件が満たされるときの電力変換部の電気抵抗が大きくなるので、電力変換部での損失を大きくすることができる。
【0017】
本発明に係る分散型発電システムの更に別の特徴構成は、前記発電部で発電された電力を消費可能な消費部を備え、前記制御装置は、前記電力過剰条件が満たされると判定したとき、前記消費部での消費電力を上昇させる点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、制御装置は、電力過剰条件が満たされると判定したとき、消費部での消費電力を上昇させることで、発電装置の出力電力に余剰を発生させ難くできる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る分散型発電システムについて説明する。
図1は、分散型発電システムの構成を示す図である。
図2は、電力変換部の構成を示す図である。
図3は、発電ユニット及び排熱回収ユニットの構成を示す図である。図示するように、分散型発電システムは、発電ユニット10(本発明の発電装置の一例)と制御装置Cとを備える。発電ユニット10は、燃料電池部12(本発明の発電部の一例)、及び、複数の半導体素子のスイッチングにより燃料電池部12の発電電力を所望の電力(例えば、所望の電圧、周波数、位相など)に変換して出力する電力変換部11を有する。
【0021】
〔発電ユニット〕
本実施形態において、発電部としての燃料電池部12は、水素などの燃料ガスが供給される燃料極33と酸素が供給される空気極32とを有するセルが複数個積層されたセルスタックを有して構成される。燃料電池部12は、固体高分子形のセルや固体酸化物形のセルなど、様々なタイプのセルを用いて構成することができる。また、本実施形態の発電ユニット10は、燃料電池部12に対して、炭化水素等の水蒸気改質によって生成した燃料ガス(水素等)を供給するための燃料改質部13を併せて備えている。
【0022】
燃料電池部12の発電電力は、インバータを有する、或いは、コンバータ及びインバータ等を有する電力変換部11を介して連系電力線4及び自立電力線5の何れか一方に出力される。尚、以下の説明では、燃料電池部12から出力される電力のことを発電電力と記載し、発電ユニット10から出力される電力のことを出力電力と記載する。電力変換部11から連系電力線4に出力電力が供給されている状態は、発電ユニット10が連系運転を行っている状態であると言える。これに対して、電力変換部11から自立電力線5に出力電力が供給されている状態は、発電ユニット10が自立運転を行っている状態であると言える。また、連系電力線4は、電力系統1に接続される交流線2に対して接続され、その交流線2は切替スイッチ6に接続されている。自立電力線5は切替スイッチ6に対して上記交流線2とは別に接続されている。切替スイッチ6は、排熱回収ユニット20にとっての電力供給元を、交流線2を介して供給される電力、及び、自立電力線5を介して供給される電力の何れかに切り替えるように動作する。この切替スイッチ6の動作は、制御装置Cによって制御されてもよいし、発電ユニット10からの電力供給先の変更(即ち、自立電力線5を介した電力供給の有無)に応じて自動的に切替スイッチ6が動作するような構成であってもよい。
【0023】
図2に示すように、電力変換部11は、スイッチング回路部11aと平滑化回路部11bとを有する。制御装置Cは、スイッチング回路部11aが有するスイッチング素子のオンタイミング及びオフタイミングを制御して、平滑化回路部11bへ出力される矩形波を調節する。平滑化回路部11bでは、スイッチング回路部11aで得られた矩形波が平滑化されて、目標波形に近い波形の電力が得られる。
【0024】
制御装置Cは、電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われる正常状態になると交流線2に発電ユニット10の出力電力を供給する連系運転を行い、電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われない異常状態になると電力系統1から電気的に切り離された自立電力線5に発電ユニット10の出力電力を供給する自立運転を行うように構成されている。本実施形態では、制御装置Cは、電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われる正常状態であるか、或いは、電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われない異常状態であるかを、例えば、計器用変圧器VTで検出される交流線2の電圧を参照して判定する。つまり、制御装置Cは、検出された電圧値が設定下限電圧以上であれば電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われている正常状態であると判定し、検出された電圧値が設定下限電圧未満であれば電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われていない異常状態であると判定する。
【0025】
このようにして、制御装置Cは、発電ユニット10の電力系統1への連系運転時には電力消費装置に対して電力系統1及び発電ユニット10の少なくとも何れか一方から電力を供給し、発電ユニット10の自立運転時には電力消費装置に対して発電ユニット10から電力を供給する。尚、連系運転時における上記電力消費装置には、交流線2に接続されている一般電力負荷装置3と排熱回収ユニット20とが含まれる。これに対して、自立運転時における上記電力消費装置には、自立負荷装置9と排熱回収ユニット20とが含まれる。
【0026】
尚、発電ユニット10の出力電力が自立電力線5に供給されている自立運転時において、自立運転の一形態としての発電ユニット10のアイドリング運転が行われることもある。具体的には、制御装置Cは、発電ユニット10の出力電力を自立電力線5に供給させている状態において、計器用変流器CT2で計測される電力消費装置(自立負荷装置9及び排熱回収ユニット20)の消費電力が、発電ユニット10の出力電力よりも大きくなると、開閉器16を一時的に開放させて、自立負荷装置9への電力供給を一時的に停止させるようなアイドリング運転を行うこともある。
【0027】
〔排熱回収ユニット〕
排熱回収ユニット20は、発電ユニット10からの排熱を回収するように構成されている。例えば、排熱回収ユニット20は、燃料電池部12のセルスタックを冷却するための(即ち、燃料電池部12からの排熱を回収するための)冷却水が有する熱を回収し、貯湯タンク21(本発明の蓄熱装置の一例)にその回収した熱を蓄えるように構成されている。そのため、排熱回収ユニット20は、熱を蓄えるための貯湯タンク21、及び、冷却水やその冷却水と熱交換する熱媒の循環路や、その熱媒の循環路の途中に設けられて熱媒を流動させるための電動式ポンプ及び電磁弁などの付属機器23で構成される。従って、排熱回収ユニット20では、燃料電池部12のセルスタックを冷却するために、発電ユニット10の連系運転が行われている間及び自立運転が行なわれている間の何れにおいても、排熱を回収する運転を行う必要があり、その結果として上記付属機器23において電力が消費されることになる。排熱回収ユニット20への電力供給は、切替スイッチ6に接続される内部電力線17を介して行われる。
【0028】
図1に示すシステムでは、一般電力負荷装置3及び自立負荷装置9を記載している。一般電力負荷装置3は、電力系統1と接続される交流線2に対して電気的に接続されている。従って、一般電力負荷装置3は、電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われる正常状態においては電力の供給を受けることができるが、電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われていない異常状態においては電力の供給を受けることができない。従って、本実施形態で言う一般電力負荷装置3は、異常状態において電力の供給を受ける必要性が低い装置(例えば、一部の照明装置など)である。
【0029】
これに対して、自立負荷装置9は、後述するように、電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われない異常状態において発電ユニット10から電力の供給を受けることができる。自立負荷装置9に電力が供給されるのは、自立電力線5を経由して電気コンセント7に対して電力が供給され、且つ、電気コンセント7に対して電気プラグ8が接続されているときである。自立負荷装置9は、使用者が電力系統1から交流線2への電力供給が正常に行われない異常状態においても利用したいと考える重要度の高い装置(例えば、一部の照明機器、冷蔵庫など)である。
【0030】
図3は、発電ユニット10及び排熱回収ユニット20の構成を示す図である。
発電ユニット10の主要な構成部分として、燃料改質部13と燃料電池部12とがある。
燃料改質部13では、原燃料流路L1を通って改質器30へ原燃料が供給され、改質器30で生成された改質ガスが改質ガス流路L2を通って燃料電池部12の燃料極33に供給される。燃料電池部12の空気極32には、発電用空気流路L8を通って酸素(空気)が供給される。そして、燃料電池部12で発電が行われる。
空気極32に供給する酸素の量は、制御装置CがブロアB2の動作を制御することで調節される。
【0031】
燃料電池部12は電解質膜(図示せず)を燃料極33及び空気極32で挟んで構成されるセルを複数積層して備える。尚、
図3中では簡略化のため単一のセルのみを記載している。また、燃料電池部12は、発電時に発生する熱を回収することで燃料電池部12を冷却する冷却部34を備える。本実施形態では水冷式の冷却部34を設けている。具体的には、この冷却部34には後述する電池冷却水流路L6を循環する水(以下、「回収水」と記載する)が供給されて、燃料電池部12の冷却が行われる。冷却部34を通過することで温度が上昇した回収水は、電池冷却水流路L6の途中に設けられた排熱回収用熱交換器38に流入する。詳細は後述するが、この排熱回収用熱交換器38において、回収水は、排熱回収流路L10を流れる湯水と熱交換して燃料電池部12から回収した排熱をその湯水に渡す。湯水は、蓄熱装置としての貯湯タンク21に貯えられ、そこで蓄熱が行われる。
冷却部34を流れる冷却水の量は、制御装置CがポンプP4の動作を制御することで調節される。
【0032】
改質器30には、炭化水素を含む原燃料(例えば、メタンを含む都市ガスなど)が供給される。また、蒸気生成器41には、後述する電池冷却水タンク35で貯えられる回収水が改質用水流路L13を通ってポンプP6によって供給され、そして、改質器30には、蒸気生成器41で生成された水蒸気が改質用水流路L13を通って供給される。改質器30は、併設される燃焼室31から与えられる燃焼熱を利用して、原燃料の水蒸気改質を行う。改質器30での水蒸気改質により得られた水素を主成分とする燃料ガスは、改質ガス流路L2を介して燃料極33に供給される。
改質器30に供給する原燃料の量は、制御装置CがブロアB3の動作を制御することで調節され、及び、改質器30に供給する水蒸気の量は、制御装置CがポンプP6の動作を制御することで調節され、それにより燃料極33に供給される改質ガスの量が調節される。
【0033】
燃料極33では、供給された全ての燃料ガスが発電反応で消費される訳ではない。そのため、燃料極33から排出される燃料極排ガスの中には水素等の燃料ガスの成分が残存している。そこで、燃焼室31での燃焼用ガスとして、燃料極排ガスを利用している。具体的には、燃料極33から燃焼室31へ、燃料極排ガス流路L3を介して燃料極排ガスを供給する。また、燃焼室31での燃焼に利用される酸素が、燃焼用空気流路L9を通って燃焼室31に供給される。そして、燃焼室31で燃焼された後の燃焼排ガスは、燃焼排ガス流路L4を介して外部に排出される。空気極32で利用された後の空気極排ガスは、空気極排ガス流路L5を通って排出される。
燃焼室31に供給する空気の量は、制御装置CがブロアB1の動作を制御することで調節される。
【0034】
燃焼排ガス及び空気極排ガスには水分が含まれている。そのため、その水分を回収する目的で、燃焼排ガス流路L4及び空気極排ガス流路L5を複合熱交換器39の部分で合流させ、且つ、燃焼排ガス及び空気極排ガスを冷却するための排熱回収流路L10を複合熱交換器39に通している。つまり、燃焼排ガス及び空気極排ガスに含まれる水分が、排熱回収流路L10を流れる湯水によって複合熱交換器39で冷却されて凝縮し、その凝縮水が回収水として回収水タンク36へと回収される。
【0035】
このように、回収水タンク36に貯えられている回収水は、燃料極排ガス中に含まれていた水分や、燃焼排ガス中に含まれていた水分が混入しているため、電解質や水に溶解しない不純物などを含んでいることが想定される。そのため、回収水が、回収水流路L7の途中に設けられるイオン交換樹脂37によって処理されるように構成してある。イオン交換樹脂37で処理された後の回収水は、電池冷却水タンク35で貯えられる。そして、上述したように、電池冷却水タンク35から電池冷却水流路L6へと流れ出した水が冷却部34へと供給され、及び、電池冷却水タンク35から改質用水流路L13へと流れ出した水が蒸気生成器41へと供給される。
回収水流路L7を流れる回収水の量、即ち、イオン交換樹脂37で処理される回収水の量は、制御装置CがポンプP3の動作を制御することで調節される。
【0036】
排熱回収ユニット20は、貯湯タンク21に貯えている湯水が貯湯タンク21と排熱回収用熱交換器38との間で循環する排熱回収流路L10を有する。具体的には、湯水が、貯湯タンク21から、複合熱交換器39と、排熱回収用熱交換器38と、余剰電力消費用ヒーター22とを経由して貯湯タンク21に帰還するように排熱回収流路L10が設けられている。その結果、排熱回収用熱交換器38において回収水から回収した排熱(即ち、発電ユニット10から回収した排熱)は、排熱回収流路L10を流れる湯水に与えられ、その湯水は貯湯タンク21に貯えられる。また、発電ユニット10の出力電力のうちの余剰電力を消費する余剰電力消費用ヒーター22で発生した熱も排熱回収流路L10を流れる湯水に与えられ、その湯水は貯湯タンク21に蓄えられる。排熱回収流路L10における湯水の流速はポンプP2によって調整される。
排熱回収流路L10を流れる湯水の量は、制御装置CがポンプP2の動作を制御することで調節される。
【0037】
排熱回収ユニット20が有する余剰電力消費用ヒーター22の消費電力は、制御装置Cによって制御される。つまり、制御装置Cは、余剰電力消費用ヒーター22の消費電力を調節することで、本発明の電力消費装置としての排熱回収ユニット20の消費電力を調節できる。例えば、制御装置Cは、計器用変流器CT1の検出結果に基づいて導出できる電力系統1からの受電電力がゼロ以上になるように、余剰電力消費用ヒーター22の消費電力を調節する。このような制御が行われることで、発電ユニット10から電力系統1への電力の逆潮流が発生しないようにできる。
【0038】
排熱回収ユニット20は、貯湯タンク21に蓄えている湯水が熱源機40を経由して熱負荷装置24に供給されるときに流れる給湯路L12を有する。図示は省略するが、熱源機40は、送風ファンなどによって供給される酸素(空気)を用いて燃料を燃焼して熱を発生する装置である。また、排熱回収ユニット20は、貯湯タンク21に水を供給する給水路L11を有する。給水路L11は、分岐部25で、貯湯タンク21に接続される給水路L11aと貯湯タンク21には接続されない給水路L11bとに分岐する。給水路L11bは、熱源機40の上流側の合流部27で給湯路L12に接続される。更に、給水路L11bの途中の分岐部26で、熱源機40の下流側に接続される給水路L11cが分岐する。給水路L11cは、熱源機40の下流側の合流部28で給湯路L12に接続される。
このように、貯湯タンク21から供給される湯及び熱源機40で加熱された後の湯に水を加えることができる構成を採用することで、熱負荷装置24に対して適切な温度の湯水を供給できる。尚、熱負荷装置24が、湯水の熱のみを利用する床暖房装置などの場合、熱負荷装置24で熱が利用された後の湯水は貯湯タンク21に帰還する。或いは、熱負荷装置24が、湯水自体を利用する給湯装置などの場合、貯湯タンク21には湯水は帰還しない。熱源機40は、熱負荷装置24で要求される湯水を所定温度に昇温した上で熱負荷装置24に供給する際に使用される。
【0039】
以上のように、発電ユニット10は、ブロアB1,B2,B3及びポンプP2,P3,P4などを付属機器14として備えている。また、排熱回収ユニット20は、熱源機40の送風ファンなどを付属機器23として備えている。
【0040】
〔電力変換部の動作〕
本実施形態では、制御装置Cは、燃料電池部12(発電部)の発電電力が過剰になる電力過剰条件が満たされるか否かに応じて電力変換部11の運転を切り替えるように構成されている。具体的には、制御装置Cは、電力過剰条件が満たされないと判定したとき、所定のタイミングで複数の半導体素子のスイッチングを行うことで、電力変換部11による電力変換を行わせる通常損失運転を行わせる。これに対して、制御装置Cは、電力過剰条件が満たされると判定したとき、通常損失運転が行われるときよりも電力変換部11での損失が大きくなるタイミングで複数の半導体素子のスイッチングを行うことで、電力変換部11による電力変換を行わせる大損失運転を行わせる。
【0041】
図4〜
図6は、電力変換部11の出力波形例を示す図である。例えば、
図4に示すのが、制御装置Cが電力変換部11で通常損失運転による電力変換を行わせたときの出力波形例である。これに対して、
図5及び
図6は、制御装置Cが電力変換部11で大損失運転による電力変換を行わせたときの出力波形例である。
図5の例では、制御装置Cは、スイッチング素子のオンオフ回数を、
図4に示す通常損失運転のときよりも多くしている。その結果、スイッチング回路部11aでのスイッチング損失が通常損失運転のときよりも大きくなる。また、
図6の例では、制御装置Cは、スイッチング素子のオンオフ回数を、
図4に示す通常損失運転のときよりも少なくしている。その結果、平滑化回路部11bのコイルでの損失が通常損失運転のときよりも大きくなる。
【0042】
このように、制御装置Cは、燃料電池部12の発電出力は同じでも、電力変換部11で通常損失運転による電力変換を行わせるのか、或いは、大損失運転による電力変換を行わせるのかを切り替えることで、発電ユニット10の出力電力を異ならせることができる。
【0043】
〔電力過剰条件〕
本実施形態では、電力過剰条件は、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力に余剰が発生することである。つまり、制御装置Cは、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力に余剰が発生するとき、電力過剰条件が満たされると判定し、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力に余剰が発生しないとき、電力過剰条件が満たされないと判定する。
【0044】
尚、制御装置Cが、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力に余剰が発生すると判定するときの判定基準は適宜設定可能である。例えば、制御装置Cは、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力が電力消費装置の消費電力よりも大きくなるときに余剰が発生すると判定し、発電ユニット10の出力電力が電力消費装置の消費電力以下のときに余剰が発生しないと判定してもよい。或いは、制御装置Cは、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力が電力消費装置の消費電力よりも大きい場合、又は、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力が電力消費装置の消費電力以下であるがその差が所定値未満であるときに余剰が発生すると判定してもよい。
【0045】
具体的には、制御装置Cは、発電ユニット10で発電を行って電力を出力しているとき、電力変換部11から出力する電流及び電圧に基づいて、発電ユニット10からの出力電力を知ることができる。また、連系運転時であれば、制御装置Cは、交流線2に設置された計器用変流器CT3の計測結果に基づいて、連系運転時の電力消費装置(一般電力負荷装置3及び排熱回収ユニット20)の消費電力を知ることができる。或いは、自立運転時であれば、制御装置Cは、自立電力線5に設置されている計器用変流器CT2の計測結果に基づいて、自立運転時の電力消費装置(自立負荷装置9及び排熱回収ユニット20)の消費電力を知ることができる。
【0046】
以上のように、本実施形態の分散型発電システムでは、発電ユニット10が有する燃料電池部12の発電電力が同じであっても、発電ユニット10の出力電力(即ち、電力変換部11による電力変換後の出力電力)は、大損失運転が行われたときの方が、通常損失運転が行われたときよりも小さくなる。尚、制御装置Cは、電力変換部11の大損失運転を行っても、未だ発電ユニット10の出力電力に余剰が発生するならば、その余剰電力を余剰電力消費用ヒーター22で消費させればよい。このように、制御装置Cは、発電ユニット10から出力される出力電力の大きさを、その発電ユニット10の内部の電力変換部11で調節するので、発電ユニット10の出力電力の少なくとも一部を消費するため余剰電力消費用ヒーター22の役割は小さくなる。従って、大容量の余剰電力消費用ヒーター22を備えなくても、余剰電力の処理を行うことができる分散型発電システムを提供できる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態の分散型発電システムは、電力過剰条件の内容が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の分散型発電システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、発電ユニット10から電力系統1への逆潮流が許容されている。従って、発電ユニット10の連系運転を行っている状態で、発電ユニット10の出力電力に余剰が発生したとしても、その余剰電力を逆潮流させればよい。つまり、上記第1実施形態と異なり、制御装置Cは、計器用変流器CT1の検出結果に基づいて導出できる電力系統1からの受電電力がマイナスなった(即ち、電力系統1への電力の逆潮流が発生した)としても、余剰電力消費用ヒーター22で電力を消費させなくてもよい。
【0049】
制御装置Cは、発電ユニット10の連系運転を行っていない状態で通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力に余剰が発生するとき、電力過剰条件が満たされると判定する。つまり、自立運転時では、電力系統1へ電力を逆潮流させることはできないため、制御装置Cは、通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力に余剰が発生するとき、上記大損失運転により電力変換部11での損失を大きくすることで、発電ユニット10の出力電力を減少させる。
【0050】
これに対して、発電ユニット10の連系運転を行っていない状態で通常損失運転が行われたときの発電ユニット10の出力電力に余剰が発生しないとき、或いは、発電ユニット10の連系運転を行っている状態のとき、電力過剰条件が満たされないと判定する。つまり、制御装置Cは、上記通常損失運転によって電力変換部11を動作させればよい。
【0051】
<第3実施形態>
第3実施形態の分散型発電システムは、電力過剰条件が満たされるときの発電ユニット10の動作制御が上記実施形態と異なっている。以下に第3実施形態の分散型発電システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0052】
本実施形態の分散型発電システムでは、発電ユニット10は、電力変換部11の温度を調節する温度調節部としての冷却ファン15を有している。また、電力変換部11の温度が高くなると、電力変換部11での電気抵抗が高くなって、電力変換部11での損失が大きくなる。つまり、電力変換部11の温度を変化させることで、発電ユニット10の出力電力を変化させることができる。
【0053】
そこで、制御装置Cは、電力過剰条件が満たされると判定したとき、電力変換部11の温度が、電力過剰条件が満たされないと判定したときよりも高い温度になるように、冷却ファン15の回転速度を基準回転速度よりも遅くする。それにより、電力過剰条件が満たされるときの電力変換部11の電気抵抗が大きくなってその電力変換部11での損失が大きくなり、発電ユニット10の出力電力が小さくなる。
これに対して、制御装置Cは、電力過剰条件が満たされないと判定したとき、冷却ファン15の回転速度を基準回転速度にすればよい。
【0054】
<第4実施形態>
第4実施形態の分散型発電システムは、電力過剰条件が満たされるときの発電ユニット10及び排熱回収ユニット20の動作制御が上記実施形態と異なっている。以下に第4実施形態の分散型発電システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0055】
上記実施形態では、電力過剰条件が満たされたとき、他の装置での消費電力を上昇させてもよい。例えば、分散型発電システムには、燃料電池部12で発電された電力を消費可能な消費部が設けられている。このような消費部としては、発電ユニット10に設けられている付属機器14(ブロアB1,B2,B3及びポンプP2,P3,P4など)や、排熱回収ユニット20に設けられている付属機器23(熱源機40の送風ファンなど)などである。そして、制御装置Cは、電力過剰条件が満たされると判定したとき、そのような消費部での消費電力を上昇させればよい。このような制御が行われることで、発電ユニット10の出力電力に余剰を発生させ難くできる。
【0056】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の分散型発電システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、
図2には電力変換部11を構成するインバータの回路例を記載したが、他の構成のインバータや、コンバータ及びインバータを備えるような電力変換部11を用いてもよい。
また、上記実施形態では、発電部が燃料電池部12である例を説明したが、発電部がエンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備えて構成される装置など、他の装置を用いて構成されてもよい。
【0057】
他にも、発電ユニット10の付属機器14及び排熱回収ユニット20の付属機器23として上述した以外の機器を分散型発電システムに搭載し、その機器を上記消費部として利用してもよい。例えば、発電ユニット10の筐体の内外の空気を入れ換えるための換気ファン、改質器30の温度を調節するための電気ヒーター、発電ユニット10の内部を流れている各種液体の凍結を防止するための電気ヒーターなどの様々な機器を上記消費部として利用してもよい。同様に、排熱回収ユニット20の内部を流れている各種液体の凍結を防止するための電気ヒーター、排熱回収ユニット20の内部でそれらの各種液体を流すためのポンプなどの様々な機器を上記消費部として利用してもよい。
【0058】
<2>
上記実施形態において、余剰電力消費用ヒーター22を備える箇所は、排熱回収ユニット20内に限定するものではなく、発電ユニット10内や、発電ユニット10及び排熱回収ユニット20の外部など、適宜変更可能である。更に、発電ユニット10を冷却するための装置として、排熱回収ユニット20の代わりに、ラジエタなどの排熱を冷却するユニットで構成しても良い。
【0059】
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。