(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車載通信システム(SYS1、SYS2、SYS3)を備える車両(V1、V2、V3)が移動する鉄道線路(RW)の部分を有効範囲に含むセル(C1、C2、C3)をそれぞれ規定する複数の沿線無線ユニット(WRU)を備えるインフラストラクチャ(INF)における送信リソースを管理する方法であって、前記WRUは、前記鉄道線路に沿って順に配置され、各通信システムは、そのセルが、対応する車両が位置する前記部分を有効範囲に含むWRUと通信する少なくとも1つのデバイス(DEV11、DEV12、DEV21、DEV22、DEV31、DEV32)を備え、前記WRUはそれぞれ、前記WRUによって、前記車両に搭載された前記通信システムの前記デバイスとの前記通信に用いられるように適合された時間周波数リソースを有し、前記方法は、少なくとも1つのWRU、すなわち基準WRUについて、
前記基準WRUが、1つ以上の他のWRUのそれぞれによって生成された協調データを受信する交換ステップ(S1)であって、所与のWRUによって生成される前記協調データは、前記所与のWRUと通信する前記デバイスの少なくとも一部のそれぞれの失敗確率を表し、各失敗確率は、考慮対象デバイスと、これと通信する前記WRUとの間の通信リンクの遮断の確率を表し、前記遮断は、前記対応する車両の緊急停止を引き起こす危険を有する、交換ステップと、
前記基準WRUが、前記失敗確率に基づいて、前記基準WRUと通信する前記デバイスの全て又は一部に配分される少なくとも時間周波数リソース(TFR2)を規定するリソース配分方式(RAS2)を求める最適化ステップ(S2)であって、前記リソース配分方式は、前記基準WRUと通信する前記デバイスと、前記協調データが前記交換ステップの間に受信された前記デバイスとを含む前記デバイスの集合にわたる前記各通信システムの少なくとも1つのデバイスについて、前記デバイスと、これと通信するWRUとの間の送信失敗が発生しない確率を最大にするように構成される、最適化ステップと、
前記リソース配分方式が前記基準WRUによって実施される動作ステップと、
を含む、方法。
少なくとも1つのWRUについて、前記WRUによって生成される前記協調データは、前記所与のWRUと通信する前記セル内に位置する車両に搭載された前記デバイスの少なくとも一部の前記WRUの前記セル内のそれぞれの位置を表す位置データを含み、前記方法は、前記交換ステップ(S1)の間に受信された前記位置データに基づいて対応するデバイスに関連付けられた前記失敗確率を前記基準WRUによって前記求めることを更に含む、請求項1に記載の方法。
前記基準WRUは、少なくとも複数の可能な位置の中の考慮対象位置に応じて前記通信システムの前記デバイスによって確立することができる通信リンクの性能を表す性能データを含むデータベース(DB2)を備え、前記可能な位置は、前記インフラストラクチャ内の前記データベースのカバレッジを規定し、前記失敗確率は、前記基準WRUによって、前記位置データ及び前記データベースに含まれる前記性能データに基づいて求められる、請求項2に記載の方法。
前記データベースの前記カバレッジは、前記基準WRUの前記セルと、前記鉄道線路に沿った前記基準WRUの近傍の少なくとも1つのWRUの前記セルとを有効範囲に含む、請求項3に記載の方法。
前記基準WRUは、前記基準WRUと異なる第2のWRUと通信する少なくとも1つの第2のデバイスを備える車両の通信システムに属する少なくとも1つのデバイスと通信し、それによって、前記基準WRU及び前記第2のWRUは、少なくとも1つの通信システムを共有し、前記交換ステップ(S1)の間に受信された前記協調データは、前記基準WRUによって共有されるが、前記基準WRUと通信しない通信システムに属する各デバイスの前記失敗確率を少なくとも表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
前記最適化ステップの間に、前記基準WRUは、前記基準WRU及び前記第2のWRUと通信する少なくとも1つの選ばれたデバイスが前記第2のWRU、すなわち選ばれた第2のWRUにハンドオーバーされるか否かの査定を行い、前記査定は、前記基準WRU又は前記選ばれた第2のWRUのいずれかと通信する前記デバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスの通信失敗が発生しない第1の確率と、前記選ばれたデバイスが前記基準WRUの代わりに前記選ばれた第2のWRUと通信するとの仮定の下で前記デバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスの通信失敗が発生しない第2の確率との比較に基づいて行われる、請求項6に記載の方法。
前記最適化ステップは、前記査定に基づいて、前記動作ステップ(S4)において実施される前記リソース配分方式を求めることを更に含む、請求項7又は8に記載の方法。
前記リソース配分方式は、所与の時間ウィンドウに関連付けられ、前記動作ステップは、前記時間ウィンドウの間に実行され、新たなリソース配分方式が、所与の期間にわたる連続した時間ウィンドウごとに求められる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
前記インフラストラクチャの前記WRUは、ジャマーデバイスの存在が前記インフラストラクチャによって検出されたことに応答して生成され、前記WRUと前記車両の前記通信システムの前記デバイスとの前記通信に対する前記ジャマーデバイスの影響に対処するように前記ジャマーデバイス(JAM)の検出された特性に応じて生成されるジャマー性能データを含むジャマー構成データベース(DB’2)を備え、前記ジャマー性能データは、少なくとも複数の可能な位置の中の考慮対象位置に応じて前記通信システムの前記デバイスによって確立することができる前記WRUとの通信リンクの性能を表し、前記可能な位置は、前記インフラストラクチャ内の前記ジャマー構成データベースのカバレッジを規定し、少なくとも前記最適化ステップは、前記ジャマーデバイス(JAM)が前記インフラストラクチャによって検出されたことに応答して、前記基準WRUの前記ジャマー構成データベースに基づいて実行される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
前記交換ステップの間に交換される前記協調データは、前記考慮対象デバイスの全て又は一部について、前記デバイスの識別子と、前記考慮対象デバイスと前記対応するWRUとの間の前記通信リンクの識別子とを含み、前記通信リンクの前記識別子は、少なくとも、前記通信リンクがアップリンクであるのか又はダウンリンクであるのかを表す、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
前記リソース配分方式に起因した前記基準WRUと通信する前記デバイスの失敗確率を求めるステップと、前記基準WRUが、前記失敗確率を表す協調データを生成し、前記協調データを前記インフラストラクチャの別の設備に送信する交換の更なるステップとを更に含み、前記協調データは、少なくとも1つの他のWRUによって受信されることになっている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
車載通信システムを備える車両が移動する鉄道線路の一部分を有効範囲に含むセルをそれぞれ規定する複数の沿線無線ユニット、すなわちWRUを備えるインフラストラクチャであって、前記WRUは、前記鉄道線路に沿って順に配置され、各通信システムは、そのセルが対応する車両が位置する前記部分を有効範囲に含むWRUと通信する少なくとも1つのデバイスを備え、前記WRUはそれぞれ、前記WRUによって、前記車両に搭載された前記通信システムの前記デバイスとの前記通信に用いられるように適合された時間周波数リソースを有し、前記インフラストラクチャは、少なくとも1つのWRU、すなわち基準WRUを備え、前記基準WRUは、
1つ以上の他のWRUのそれぞれによって生成された協調データを受信する交換ステップを実施するように構成された通信モジュールであって、所与のWRUによって生成される前記協調データは、前記所与のWRUと通信する前記デバイスのそれぞれの失敗確率を表し、各失敗確率は、考慮対象デバイスと、これと通信する前記WRUとの間の通信リンクの遮断の確率を表し、前記遮断は、前記対応する車両の緊急停止を引き起こす危険を有する、通信モジュールと、
管理モジュールであって、
前記失敗確率に基づいて、前記基準WRUと通信する前記デバイスの全て又は一部に配分される少なくとも時間周波数リソースを規定するリソース配分方式を求めることであって、前記リソース配分方式は、前記WRUと通信する前記デバイスと、協調データが前記交換ステップの間に受信された前記デバイスとを含む前記デバイスの集合にわたる前記各通信システムの少なくとも1つのデバイスについて、デバイスと、これと通信するWRUとの間の送信失敗が発生しない確率を最大にするように構成されることと、
前記リソース配分方式の実施をトリガーすることと、
を行うように構成される、管理モジュールと、
を備える、インフラストラクチャ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明によるシステムSYSを示している。
【0026】
システムSYSは、鉄道線路RW、この鉄道線路に沿って移動する車両Vj、本発明による通信インフラストラクチャINF、及び以下では局GCSということにする地上管制局GCSを備える。
【0027】
鉄道線路RWは、例えば、経路に沿って延び、車両が移動することになるレールを備える通常の鉄道線路である。
【0028】
本発明において、車両Vjは、好ましくは列車である。
図1には、そのような3つの列車V1、V2、V3が示されている。以下の説明では、車両が上記のように列車である構成に限定されるものではない。
【0029】
各列車Vjは、以下ではシステムSYSjということにする車載通信システムSYSj、及びCBTCモジュールCMjを備える。
【0030】
CBTCモジュールCMjは、システムSYSjを通じて局GCSに接続されるようになっている。システムSYSj自体は、インフラストラクチャINFを通じて局GCSに接続されるようになっている。換言すれば、CBTCモジュールCMjは、システムSYSjに接続され、システムSYSjは、CBTCモジュールCMjを、インフラストラクチャを通じて局GCSに接続する。
【0031】
CBTCモジュールCMjは、車両Vjの動作に関係した動作データを生成及び受信するように構成されている。これらの動作データは、列車及び局GCSの動作のために局GCSを宛先とするか又は局GCSから送信される。これらのデータは、例えば、列車の位置、列車の実際の速度又は目標速度、列車停止命令等の命令メッセージ、列車の設備の監視データ等を含む。CBTCベースの列車の場合、CBTCモジュールと局GCSとの間の通信の遮断は、列車Vj及び予め決められた同じ地理的エリア内の全ての列車の緊急停止を引き起こす場合がある。したがって、システムSYSjとインフラストラクチャとの間の通信リンク(複数の場合もある)は、列車及びシステムSYS全体としての動作にとって極めて重要であり、それらの遮断を防止することが最も重要である。
【0032】
システムSYSjは、少なくとも1つの通信リンクLji(明瞭にするために、
図1にはL21のみが示されている)を通じてデータをインフラストラクチャと交換するように適合された少なくとも1つの通信デバイス、すなわちデバイスDEVjiを備える。このリンクLjiは、ダウンリンク(すなわち、データは、インフラストラクチャからデバイスによって受信される)又はアップリンク(すなわち、デバイスがデータをインフラストラクチャINFに送信する)である。各リンクは、例えば、以下で詳述するように、考慮対象デバイスと、インフラストラクチャの沿線無線ユニット、すなわちWRUとの間に確立される。
【0033】
デバイスは、無線通信デバイスであり、例えば、インフラストラクチャと通信リンクを確立するように構成された双方向アンテナモジュールと、デバイスの様々な構成要素を、それらの動作、特にアンテナモジュールを通じたデータの送受信、及び、特に列車のCBTCモジュールによって生成されたデータ又は受信されるデータの送受信について管理するように構成された処理モジュールとを備える。
【0034】
そのようなデバイスの構造及び動作の詳細は、例えば、既知である。それらのデバイスは、特に、セル間干渉を回避するために、すなわち、或るWRUに対するメッセージの2つの送信が近傍エリア内のWRUに対して送受信されたメッセージと決して衝突しないために、WRUが近傍のWRUと直交した所与の周波数ホッピングシーケンスを用いる状況では、周波数ホッピングモデムとすることができる。直交性は、例えば、WRUの時間同期と、重複しない周波数ホッピングシーケンスによって規定されるWRUの時間/周波数リソース(以下で詳述)を選択することとによって得られる。これは、時間領域又は周波数領域が、干渉を回避するようにWRUごとにシフトされた周波数ホッピングシーケンスを選ぶことによって得ることができる。周波数ホッピングシステムの各ホップに用いられる周波数時間リソースは、WRUから列車のうちの1つへの送信用又は列車のうちの1つからWRUへの送信用に配分される。別の場合には、2つの隣接するWRUが同じ周波数サブバンドおよびセル間干渉を使用しないような周波数サブバンドにわたる直交分割多元接続システム(OFDMA)が回避される。
【0035】
有利な点としては、本発明では、車両Vjのうちの少なくとも幾つかは、複数のデバイスDEVji、例えば、2つ以上のそのようなデバイスを備えるシステムSYSjを有する。以下でより詳細に説明するように、そのようなデバイスは、異なるWRUと通信することができる。すなわち、所与の時点において、所与の列車の2つのデバイスは、2つの異なるWRUとそれぞれ通信する。
【0036】
デバイスのうちの1つは、列車の前方部に配置することができるのに対して、他の1つのデバイスは、列車の後方部に配置することができる。
【0037】
地上管制局GCSは、例えば、様々な車両からCBTCデータを収集する監視センターであり、例えば、鉄道線路にわたる列車の展開の様式(スケジュール、設備故障等の予期しない事象に対する応答等)を求めることを目的とする。。地上管制局GCSは、任意の既知の方法でインフラストラクチャと通信することができる。地上管制局GCSは、各列車の速度の増減、列車の停止等の列車の動作を調節するフィードバックメッセージを列車に送信するように構成することもできる。GCSは、この最後のケースでは、列車からの肯定応答を予想することもできる。一般に、列車又はGCSを対象としたメッセージのうちのいずれもが、所定の時間ウィンドウの間(例えば、約1秒の幅を有する)に正しく受信されない場合、潜在的な安全性の脅威が検出され、列車停止が実施される。所定の時間ウィンドウの間にいずれのメッセージも受信しなかった列車は、単独で停止することを決定することができ、GCSは、他の列車に停止を命令することができる。
【0038】
上記で示したように、インフラストラクチャINFは、システムSYSjと局GCSとの間の通信を可能にするようになっている。実際上、インフラストラクチャINFは通信ネットワークであり、より詳細には、無線通信ネットワークである。
【0039】
インフラストラクチャINFは、沿線無線ユニット、すなわちWRU、沿線送信ユニット、すなわちWTU、及びサーバーエンティティSERVを備える。
【0040】
沿線送信ユニットWTUは、WRUとサーバーSERVとの間のゲートウェイを形成する。それらの詳細は、例えば、既知である。WTUは、例えば、サーバーSERVからWTUに接続された全てのWRUへの列車停止メッセージの送信を可能にするように構成される。WTUは、WRUによって受信されたデータメッセージを列車からサーバーSERVに転送するように構成することもできる。WTUは、インフラストラクチャの様々な構成要素、特にWRUの同期を可能にするように構成することができる。
【0041】
本発明では、WTUは、以下で詳述する協調データ等のデータの交換をWRU間で可能にするように構成することができる。WTUは、デバイスDEVjiに対する通信を動作させるリソース配分を最適化するのに用いられる情報の全体的又は部分的なデータベースを更に含むことができる。
【0042】
サーバーエンティティSERVは、インフラストラクチャの中央構成要素を形成する。例えば、その詳細及び機能は既知である。サーバーエンティティSERVは、例えば、列車をどのように動作させるのかを決定するCBTCアプリケーション層をホストすることができ、全てのWRUからのデバイスDEVjiに対する通信を動作させるリソース配分を最適化するのに用いられる情報の全体データベースもホストすることができる。
【0043】
WRUは、デバイスDEVjiとインフラストラクチャとの間の通信リンクを確立するように構成される。
【0044】
例えば、
図1及び
図2を参照すると、WRUは、基地局の形態で表されている。WRUは、信号を形成するように変換されることになっており、入力信号の変換の結果である電磁波の形態でデータをデバイスDEVjiに対して送受信するのに用いられる1つ以上のアンテナANTiを備える。
【0045】
WRUはそれぞれ、考慮対象のWRUのカバレッジエリアに対応するセルを規定する。このカバレッジエリア内に位置するデバイスは、このWRUと通信リンクを確立することができる。これらのセルは、
図1に示すWRU1、WRU2、WRU3の中の各WRUの参照符号C1〜C3をそれぞれ有する。
【0046】
WRUは、各セルが、車両が移動している鉄道線路の部分を補完するように鉄道線路に沿って配置される。好ましくは、WRUは、WRUのセルが一般に鉄道線路の連続領域を補完するように配置される。この領域は、鉄道線路全体の一部分として対応し、その場合、
図1に示すインフラストラクチャのような他のインフラストラクチャを用いて、鉄道線路の全カバレッジを実現することもできるし、他のインフラストラクチャがその全体に対応することもできる。例えば、所与のWRUは、鉄道線路に沿ってこの所与のWRUの直前又は直後に位置する少なくとも1つの近傍WRUを有する。
【0047】
図1に示すように、WRUは、例えば、所与のセルが、鉄道線路の一部を補完する領域において次のWRUのセルと重複するように、鉄道線路に沿って連続して配置される。このセル間カバレッジ領域は、このように、2つのWRUによって共有される。
【0048】
各WRUは、このWRUがデバイスDEVjiと通信するために用いるように構成された時間周波数リソース(参照符号TFR2を用いて
図2に概略的に示す)を備える。これらの時間周波数リソースは、物理リソースブロック、例えば、直交周波数分割多重化システム(OFDM)又は直交分割多重アクセスシステム(OFDMA)のリソースブロックである。実際上、これらの時間周波数リソースは、基地局が所与のタイムスロットの間に通信することが可能な周波数のスペクトル帯域に対応する。
【0049】
換言すれば、各時間周波数リソースは、タイムスロットに対応し、そのタイムスロットについて、考慮対象WRUと列車に搭載されたデバイスDEVjiとの間の通信に配分することができる周波数のレンジに対応する。時間周波数リソースは、考慮対象タイムスロットに対して、所与のWRUにのみ配分することができる。
【0050】
一例として、1つの時間周波数リソースは、0.5ミリ秒タイムスロットにわたる15KHz幅の周波数帯域に対応する。
【0051】
以下で詳述する本発明の目的のうちの1つは、放置しておくと、デバイスとインフラストラクチャとの間で発生する通信失敗のリスクを高めるおそれがある現象に対処するようにそのようなリソースの配分に取り組むことである。
【0052】
例えば、時間周波数リソースは、ISM(「産業、科学、および医療」を表す)帯域の周波数サブバンドに対応する。
【0053】
以下では、「リソース配分」という表現は、所与の時間ウィンドウにわたる所与のWRUと所与のデバイスとの間の送信のためのこれらのリソースの使用計画に対応するものと理解されるものとする。この時間ウィンドウは、周波数リソースのタイムスロットの継続時間よりも長い継続時間を有することができる。例えば、時間ウィンドウは、ほぼ1.5秒の継続時間を有する。
【0054】
その上、「リソース配分方式」という表現は、時間ウィンドウにわたって考慮対象WRUと通信する全てのデバイスのための時間周波数リソースの使用計画の定義を含む対象と理解されるものとする。換言すれば、リソース配分方式は、考慮対象時間ウィンドウの間、考慮対象WRU及び考慮対象WRUと通信する様々なデバイスのための時間周波数リソースの全使用計画を含む。
【0055】
この方式は、他の考慮すべき事項を含むことができることに留意されたい。例えば、そのような方式は、計画であるので、WRUと以前通信していた1つ以上のデバイスが、この方式が作成された時間ウィンドウの間又はその前に別のWRUにハンドオーバーされていることに関係した仮説等の1つ以上の特定の仮説の下で構築することができる。この態様は以下で詳述される。
【0056】
各WRUは、通信モジュールCOMi、管理モジュールMANi、及びデータベースDBiを更に備える(ここで、iはWRUをインデックス付けするものである)。
【0057】
通信モジュールCOMiは、アンテナ(複数の場合もある)ANTiの動作を制御するように構成され、WRUと、WTU等のインフラストラクチャのデバイス及び残りの部分、サーバーエンティティSERV及び他のWRUとの通信インターフェースをアンテナとともに形成する。この通信インターフェースを通じて、情報は交換される。
【0058】
本発明では、通信モジュールCOMiは、少なくとも1つの他のWRUによって生成されたデータを受信することになる。これらのデータ、すなわち「協調データ」は、考慮対象WRUと通信するデバイスの全て又は一部について、送信WRUと対応するデバイスとの間の通信リンクのそれぞれの失敗確率を表す。換言すれば、これらの協調データは、このデバイスと、このデバイスが通信するWRUとの間の通信が失敗し、それによって、対応する列車の緊急停止を引き起こす危険性がある確率を表す1つ以上のデバイス情報を含む。
【0059】
「失敗確率を表す」という表現によって、協調データは、それ自体が確率に直接対応するか、又は、例えば、デバイスの位置と、このセル内の考慮対象デバイスの位置に応じた考慮対象セル内の通信リンクの性能の事前知識とを通じてこの確率を遠隔で求めることを可能にするデータに対応することが理解されるであろう。換言すれば、そのようなシナリオでは、失敗確率は、デバイスの位置(例えば、デバイス及び/又は列車によって宣言されるか、又は、例えば、WRUによって推定される)及び通信リンクの性能を知ることによって求められる。考慮対象デバイスのリソース配分、すなわち、対応するWRUによって該デバイスに配分される時間周波数リソース等の、位置データに基づいて失敗確率を求めるための他の考慮すべき事項を考慮に入れることができる。協調データ及び通信リンクの性能は、データベースDBiに関して以下で詳述される。
【0060】
加えて、モジュールCOMiは、WRU自体が生成した協調データを送信するように構成される。これらの協調データは、他のWRUを宛先とする。
【0061】
管理モジュールMANiは、所与の時間ウィンドウについて、当該管理モジュールが通信するデバイスの少なくとも一部について上記で定義したリソース配分方式を求めるように構成される。本発明によれば、この方式は、他のWRUが通信するデバイスとの当該他のWRUのリンクに関して当該他のWRUから受信された協調データに応じて求められる。管理モジュールMANiは、考慮対象管理モジュールMANiを有するWRUと通信するデバイスと、協調データが他のWRUから受信されたデバイスとを含むデバイスの集合、有利であるにはこれらのデバイスからなるデバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスの通信失敗が発生しない確率を最大にするように、リソース配分方式を作成するように構成される。協調データが所定の時間経過中に受信されたデバイスのみを、所与の時間ウィンドウに関連付けられたリソース配分方式を求めるために考慮することができ、それによって、異なる時間ウィンドウは、異なるデバイスの集合に基づいて作成される可能性が高いことに留意されたい。
【0062】
リソース配分方式の構築の詳細は以下で詳述される。
【0063】
方式は、この確率を最大にするように構成されるが、WRUが通信するデバイスの専ら一部についてリソース配分を規定することができることに留意されたい。例えば、この確率を最大にするという制約は、これらのデバイスのうちの1つの別のWRUへのハンドオーバーを実行する必要があり、それによって、このデバイスは、その後、このWRUともはや通信しないので、リソース配分方式は、対応する時間ウィンドウについて、このデバイスのリソース配分を含まないことを含意することができる。
【0064】
所与の方式が所与の時間ウィンドウに関連付けられ、管理モジュールは、好ましくは、少なくとも複数のそのようなウィンドウ、及び、例えば、WRUが動作している間のあらゆる連続した時間ウィンドウについて、そのような方式を求めるように構成される。
【0065】
加えて、管理モジュールMANiは、デバイスDEVjiとの通信リンクの失敗確率を求めるように構成される。有利であるには、管理モジュールは、リソース配分方式に応じてこれを行うように構成される。換言すれば、管理モジュールは、対応する時間ウィンドウのリソース配分方式が求められた後に、当該管理モジュールが接続されたデバイスとのそれぞれの通信リンクの失敗確率を求める。より詳細には、所与のデバイスに付属した確率は、考慮対象時間ウィンドウについてのこのデバイスのリソース配分に基づいて求められる。
【0066】
これらの確率は、例えば、専ら、当該確率が求められたときに基づいていたリソース配分方式に関連付けられた時間ウィンドウの間の通信リンクの品質を表す。したがって、これらの確率は、新たな時間ウィンドウごとに求めることができる。
【0067】
データベースDBiは、WRUの動作のための様々なデータ、特に、他のWRUから受信された協調データと、WRUが接続されたデバイスについて当該WRUが求めた失敗確率とを記憶することになっている。
【0068】
有利であるには、幾つかの特定の実施形態では、特に、WRUが協調データを受信した他のWRUに接続されたデバイスの失敗確率を、これらの協調データがこれらの確率を直接表していないときに求めることを目的として、データベースDBiは、少なくとも1つの他のWRUについて、所与の領域、すなわち、データベースの「カバレッジ」上で通信リンクの性能を表す性能データを含む。これらの性能データは、考慮対象WRUと、この領域に位置するデバイスDEVjiとの間の通信リンクの失敗確率の決定を可能にするように構成される。上記で示したように、所与のデバイスについてのこの決定も、有利であるには、このデバイスの考慮対象時間ウィンドウのリソース配分に応じて行われる。
【0069】
所与のデバイスの位置及び性能データに基づく失敗確率の決定の詳細は、例えば、既知である。リソース配分が考慮されているときのこの決定の詳細も既知である。一般的な方法では、この決定の原理は、協調データを性能データと相互参照することにあり、それによって、失敗確率は直接的な方法で得られる。
【0070】
有利であるには、性能データは、協調データが受信される位置を含む他のWRUのセルの領域を少なくとも有効範囲に含む。
【0071】
性能データは、有利であるには、考慮対象データベースを有するWRUのセルを有効範囲に含む。
【0072】
代替的に又は付加的に、データベースは、インフラストラクチャの全てのWRUのそのようなデータを含むこともできるし、それらの一部のみを含むこともできる。
【0073】
有利であるには、所与のWRUのデータベースのカバレッジは、1つ以上の近傍のWRUのセルの少なくとも一部を有効範囲に含む。好ましくは、データベースのカバレッジは、(セル間領域に加えて)それ自体のセルに隣接する近傍WRUのセル内の領域を少なくとも含む。このように、WRUは、そのセルの外部ではあるが、それでも近くにある列車の状況の表示を構築することができる。例えば、データによって有効範囲に含まれるエリアは、(WRUが有する各近傍WRUの)近傍セルの表面の2分の1よりも大きい。
【0074】
有利であるには、データベースのカバレッジは、連続領域を形成するという点において連続している。
【0075】
幾つかの実施形態では、データベースDBiのカバレッジは、インフラストラクチャの全てのセルに対応する。幾つかの実施形態では、このカバレッジは、近傍のWRUのセルと、これらのWRUの近傍(すなわち、ランク2の近傍WRU)のセルとを有効範囲に含む。
【0076】
実際、性能データのカバレッジは、非常に適応性があるものである。
【0077】
性能データは、有利であるには、少なくとも考慮対象位置に応じて規定される。換言すれば、カバレッジ内の2つの位置は、異なり得る通信リンクの2つの性能を表す。
【0078】
性能データは、考慮対象WRUの時間周波数リソースの全周波数レンジの周波数サブバンドに応じて規定することもできる。例えば、所与の位置について、通信リンクの複数の性能が性能データに反映され、例えば、時間周波数リソースの各周波数サブバンドにつき1つの性能が反映される。これによって、データは、例えば、ISM帯域の所与のサブバンドが、別のサブバンドが受ける現象と異なる現象を受けることを反映することが可能になり、それによって、周波数に応じて、異なる確率に対応し得る所与の位置への変換が可能になる。
【0079】
例えば、性能データは、信号対干渉プラス雑音比(SINR)の確率密度関数、平均SINR、及び/又は周波数ホッピングシステムのホップにおけるメッセージの送信のエラーレートの確率密度関数を含む。
【0080】
現象学的な観点からすると、デバイスとWRUとの間の所与の通信リンクの性能は、送信アンテナと受信アンテナとの間のランダム伝播チャネルを実現したものに依存する。このランダム伝播チャネルは、考慮対象デバイスの位置、関与するアンテナのダイアグラム、送信電力及び通信を受信する要素の雑音指数の関数である。加えて、この性能は、受信機が、鉄道線路に沿って位置することもあるし、列車自体に位置することもある干渉源等のその周辺にある他の設備から受ける干渉にも依存し得る。したがって、任意選択として、性能データは、そのような干渉のランダムな影響も反映することができる。
【0081】
加えて、性能データは、考慮対象リンクがアップリンクであるのか又はダウンリンクであるのかに応じた通信リンクの性能を反映することができる。
【0082】
上記を考慮すると、性能データは、データベースのカバレッジ内の考慮対象位置に応じた通信リンクの失敗確率を反映し、それによって、このカバレッジ内の基準の位置を有することによって、対応するWRUとのその通信リンクの失敗確率を求めることが可能になる。
【0083】
考慮対象デバイスの集合にわたるデバイスの失敗確率の集合は、考慮対象デバイスを備える列車の中の或る列車が、停止する確率の決定を更に可能にする。
【0084】
DBiは性能データのみを含むことができることに留意されたい。例えば、失敗確率自体は、メモリモジュール内において、例えば、このメモリモジュールにおけるデータベースのロケーションと異なるロケーションに記憶することもできるし、全く別のメモリモジュールに記憶することもできる。
【0085】
幾つかの特定の実施形態、特に、WRUがデータベースDBiを備える実施形態では、有利であるには、WRUは、ジャマー構成データベースDB’iを更に備える。ジャマー構成データベースDB’iは、少なくともデータベースによって有効範囲に含まれる(及びそのカバレッジに対応する)所与の領域内の位置に応じて通信リンクの失敗確率を表すジャマー性能データを含む。このカバレッジは、データベースDBiのカバレッジと同一とすることができる。
【0086】
これらのジャマー性能データは、インフラストラクチャの対象のエリアにジャマーデバイスJAMが存在すること考慮に入れるように構成される。実際上、ジャマー性能データは、ジャマーデバイスを考慮に入れるように調整された性能データに対応することができる。
【0087】
例えば、ジャマー性能データは、ジャマーデバイスの電力、周波数帯域及び位置等のジャマーデバイスの特性を考慮に入れる。
【0088】
以下で詳述するように、ジャマーデバイスが検出されると、データベースDB’iのジャマー性能データが作成され、ジャマーデバイスがもはや存在しないことが検出されるまで、データベースDBiの性能データの代わりにリソース配分方式の決定に用いられる。これらのデータは、或る期間にわたって保持することもできるし、所定の基準に従って削除することもできる。加えて、このデータベースのデータは、例えば、データの移動等のその特性の検出された進展を考慮するために、例えば定期的に更新することができる。
【0089】
実際、ジャマー性能データは、有利であるには、特に、考慮対象位置、考慮対象周波数サブバンド等に関する依存性の点で性能データと本質的に同一であり、それによって、データベースDB’iが用いられることになっても、協調データを適合させる必要はない。
【0090】
次に、インフラストラクチャのリソースを管理する方法を、図を参照して説明する。
【0091】
本方法は、所与の数のデバイスと、対応するWRUとの間に、及び、有利であるには、インフラストラクチャのWRUに接続された全てのデバイスにわたって、通信失敗が発生しない確率を最大にするリソース配分方式を構築することを目的とする。
【0092】
本方法は、基準WRUを形成する所与のWRUの観点で説明される。
【0093】
ただし、プロセスは、異なるWRUについて同時に実施することができ、これは、デバイスDEVjiとWRUとの間の少なくとも1つの通信リンクが失敗を起こす機会を最小にするのに役立つ。
【0094】
最初に、インフラストラクチャINFによって有効範囲に含まれる鉄道線路RWの領域に位置する列車Vjに搭載されたデバイスDEVjiは、所与のリンクLjiを通じて所与のWRUと通信する。対応するWRUは、リソース配分方式(以下で詳述する本発明による方式又は既知の方式のいずれか)を適用し、この方式を通じて、WRUの時間周波数リソースは、このWRUが通信する様々なデバイスに配分される。
【0095】
この方式に基づいて、WRUは、このWRUがデバイスとの間で有する各通信リンクが失敗を起こす失敗確率を求め、この失敗確率を記憶する。このことは、全てのWRUに当てはまる。その上、WRUは、それらのセル内のデバイスの位置を示すデータを求めるか、又は、(例えば、列車自体から)受信する。
【0096】
交換ステップS1の間、基準WRUは、その通信モジュールCOMiを通じて、少なくとも1つの他のWRUから協調データを受信する。これらのデータは、他のWRU(複数の場合もある)と通信するデバイスの全て又は一部の中の各デバイス間の通信リンクの失敗確率を(上記で示したように直接又は間接的に)表す。
【0097】
この時点において、上記で示したように、これらの確率は、他のWRUによって既知である。
【0098】
基準WRUによって受信された協調データの範囲に関して2つの手法が可能である。
【0099】
第1の手法では、基準WRUは、インフラストラクチャのWRUと通信する全てのデバイスのそのような協調データを受信する。
【0100】
第2の手法では、基準WRUは、デバイスの一部のみの協調データを受信する。
【0101】
有利であるには、協調データが受信されるデバイスは、近傍WRU(すなわち、鉄道線路に沿った先行WRU又は後続WRU)と通信し、かつ、基準WRUと通信する少なくとも1つの他のデバイスDEVjiを有する通信システムSYSjに属するデバイスDEVjiを含む。換言すれば、基準WRUは、この基準WRUと通信しないが、基準WRU及び近傍WRUによって共有される通信システムに属するデバイスの失敗確率を表すデータを受信する。この第2の手法の幾つかの実施形態では、受信された協調データは、これらのデバイスについて受信された協調データからなることができる。
【0102】
さらに、基準WRUによって受信される失敗確率を表す協調データの性質に関して、2つの原理が可能である。
【0103】
第1の原理では、協調データは、失敗確率自体を直接的に表す。協調データは、符号化された形態で表すことができる。
【0104】
第2の原理では、協調データは、失敗確率を間接的に表す。協調データは、WRUが通信する、当該WRUのセル内の考慮対象デバイスの位置を少なくとも示す位置データを含む。例えば、位置データはデバイスの位置を直接表す。代替的に、位置データは列車の位置を表し、この列車の位置から、デバイスの位置が求められる。
【0105】
有利であるには、協調データは、例えば、デバイスの位置が付属される時間ウィンドウについて、考慮対象デバイスのリソース配分を表すリソース配分情報を更に含む。特に、このリソース配分情報は、デバイスに配分される周波数サブバンドに関する情報を含む。
【0106】
データベース内の性能データ及び協調データを通じて、考慮対象デバイスの失敗確率を求めることができる。
【0107】
有利であるには、受信された全ての協調データは、同じ時間ウィンドウを参照し、それによって、リソース配分方式は、全てが同じ期間中のインフラストラクチャ及び列車の状態を表すデータに基づいて求められる。この時間ウィンドウは、更なるステップにおいて求められるリソース配分方式が付属される時間ウィンドウと異なることができる。ただし、協調データに反映される失敗確率は、有利であるには、基準WRUによって作成されたリソース配分方式が求められる時間ウィンドウと同じ時間ウィンドウに付属される。
【0108】
データベースDBi内のデータのカバレッジの範囲は、適用される手法に依存し、それによって、記憶されたデータは、有利であるには、第1の手法においては、全てのWRUの全てのセルを有効範囲に含み、第2の手法においては、少なくとも近傍WRUのセルを有効範囲に含むことに留意されたい。
【0109】
有利であるには、位置データは、速度データ、加速度データ等の更なるデータを含むことができる(これらのデータは、位置データ自体に対応しないので、位置データに対する付加的データと見ることができる)。
【0110】
上記2つの原理は、協調データが、幾つかのセル及び/又は幾つかの特定のセルの幾つかの領域の確率を含むことができるとともに、これらのセル/領域の外部の位置の位置データを含むことができるという点でハイブリッド化することができる。データベースDBiのうちの1つ以上の有効範囲に含まれるエリアに基づいて、規定の形態を求めることができる。
【0111】
原理を問わず、協調データは、有利であるには、データが付属されるデバイスの識別子と、少なくとも対応するリンクがアップリンクであるのか又はダウンリンクであるのかを示す通信リンク識別子とを含む。さらに、協調データは、考慮対象デバイスとの対応する通信に関与するWRUの識別子を含むことができる。
【0112】
位置データが受信されると、失敗確率がこの協調データを通じて直接提供されない場合には、失敗確率は、受信された位置データ(及び協調データが含んでいる場合がある他のデータ)を用いて、データベースDBiの性能データに基づいて求められる。
【0113】
最適化ステップS2において、基準WRUの管理モジュールは、リソース配分方式(基準RAS2を用いてデータベースDBiに記憶されたものとして
図2に概略的に示す)を求める。この方式は、少なくとも、上記WRUと通信するデバイスの全て又は一部に配分される時間周波数リソースを規定する。上記で示したように、この方式は、所与の時間ウィンドウについて規定され、この時間ウィンドウにおいて実施されることになっている。
【0114】
リソース配分方式は、列車停止が発生しない確率、すなわち、換言すれば、各通信システムSYSjのデバイスと、このデバイスと通信するWRUとの間に、送信失敗を受けていない少なくとも1つの通信リンクが存在する確率、を最大にするように構成される。したがって、WRUは、少なくとも、上記WRUと通信するデバイスと、関連付けられたWRUとの上記デバイスの通信の失敗確率を表す性能データが交換ステップの間に受信されたデバイスとを含むデバイスの集合にわたって、リソース配分方式の計算を実行する。
【0115】
考慮対象通信システム及びデバイスの集合にわたる列車停止の確率を最小にする最適化問題は、以下のように設定することができる。
・上記集合のデバイスとの通信に関与するWRUのインデックスを1...Kの中のkとする。
・考慮対象デバイスが属する通信システムのインデックスを1...Jの中のjとする。
・第jの通信システムにおけるデバイスであって、考慮対象デバイスの集合に属するデバイスのインデックスを1...I(j)の中のi(j)とする。
【0116】
これらのインデックスは、参照符号に用いられるものに対応していない場合があることに留意されたい。
【0117】
第jの通信システムの第i(j)のデバイスが付属されるWRUのインデックスとしてw(j,i(j))を更に規定する。
【0118】
第kのWRUから第jの通信システムの第i(j)のデバイスへの送信失敗の確率をp(j,i(j),k)とする。
【0119】
基準WRUと通信する各デバイスのこの確率は既知であり、上記集合の他のデバイスについては、協調データの受信後のステップS1の間に求められている。
【0120】
デバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスについて、最大になるように試みられる、列車停止が発生しない確率は、全ての通信デバイスについて、上記通信システムのデバイスと、対応するWRUとの間の送信のうちの少なくとも1つが失敗しない確率であり、この確率は、以下の式となる。
【数1】
ここで、
・p(j,i(j),w(j,i(j)))は、第w(j,i(j)))のWRUと第jの通信システムの第i(j)のデバイスとの間の送信の失敗の確率である。
・
【数2】
は、第jの通信システムと、対応するWRUとの間の全ての送信が失敗する確率である。
・
【数3】
は、第jの通信システムと、対応するWRU(複数の場合もある)との間の少なくとも1つの送信が失敗しない確率であり、これには、上記第jの通信システムがそのメッセージを受信することができることが含まれる。
・
【数4】
は、全ての列車がそれらのメッセージを正しく受信することができる確率であり、これには、列車停止が発生しないことが含まれる。
【0121】
この問題を最適化することの難題のうちの1つは、あらゆるものが相互依存している可能性があるということである。所与のWRUにおけるリソース配分の局所的変更は、他のデバイスを管理する隣のWRUの通信リンクの品質等に影響を与える場合がある。
【0122】
本発明は、所与のWRUのリソース配分方式の決定について、この所与のWRUに接続されていないデバイスに関連付けられた通信失敗の確率を考慮に入れることによって、この現象に対処する。
【0123】
第1の手法では、この現象は、全インフラストラクチャのレベルで対処される。
【0124】
第2の手法では、この問題は、列車j’が第kのWRUに付属したデバイスを有しない場合に、積
【数5】
が、考慮対象WRUにおけるP
NTSの最適化の結果に影響を与えない(P
NTS値自体に影響を与えるが、p(j,i(j),k)を結果として与える最適なリソース配分の決定には影響を与えない)という見方で捉えられる。
【0125】
第1の手法に関して、インデックスkの基準WRUの観点からの列車停止がない確率を
【数6】
とする。基準WRUは、w(j’,i’(j’))がkと異なるような全ての対(j’,i’(j’))の確率p(j’,i’(j’),w(j’,i’(j’)))を求める。これらの確率は、kの観点からは固定変数であると仮定される。これらの確率の決定は、データベースDBiのデータと協調データとの相互参照を通じて、及び/又は、これらの確率を直接示す受信データ自体を通じて、ステップS1の間に受信された協調データに基づいて行われる。
【0126】
【数7】
は、その場合、リソース配分方式を介して最小にすることができる、w(j,i(j))=kであるような全ての対(j,i(j))の確率p(j,i(j),k)の関数になる。
【0127】
その後、基準WRUは、基準WRUによってサービス提供されるデバイスの最適なリソース配分方式、特に、時間周波数リソースの配分計画を構築する。
【0128】
この配分方式、特に時間周波数リソースの配分、の構築のプロセスの詳細は、既知であり得る。例えば、この配分方式は、上述した性能指数
【数8】
、すなわち、事前に求められ、その値が、可能性のある配分方式の集合の中で評価された可能性のある配分方式、すなわち、メトリックの値を最適化するものに対応する保持された配分方式に応じて変化するメトリックに依拠する。
【0129】
考慮対象時間ウィンドウにおいて利用可能なリソースの数をNとする。各時間周波数リソースn及びデバイスDEVijとWRU kとの間の各リンクについて、リンク性能は、lp(j,i(j),k,n)で示される(すなわち、性能データは、対応する通信リンクの性能を表す)。
【0130】
周波数ホッピングシステムが用いられる第1の場合には、リンク性能lp(j,i(j),k,n)は、リソース上でのメッセージ送信のエラーの確率とすることができ、リンクの失敗の確率p(j,i(j),k)は、リンク上の受信機によるメッセージの受信が成功しなかった確率として定義される。したがって、上記リンクに配分されたリソースインデックスの集合がS(j,i(j),k)である場合、失敗の確率は、以下の式によって定義される。
【数9】
【0131】
OFDMAシステムが用いられる第2の場合には、リンク性能lp(j,i(j),k,n)は、例えばSINRであり、リンクの失敗の確率p(j,i(j),k)は、例えば、以下の式によって与えられるメッセージを送信するエラーの確率として定義される。
【数10】
ここで、Q()は、標準正規分布のテール確率であるQ関数である。
【0132】
換言すれば、lp(j,i(j),k,n)は、考慮対象デバイスDEVij、WRU k、及び全てのリソースnについて既知であるので、全ての考慮対象デバイスについて、p(j,i(j),k)を計算し、リソース配分インデックスS(j,i(j),k)を最適化することが可能である。
【0133】
第1の例では、異なるデバイスDEVijに対する送信間で考慮対象時間ウィンドウにおいてリソースを共有することを可能にする幾つかのリソース配分方式が事前に求められるものと考えることにする。その場合、第kのWRUにおいてリソース配分方式の各可能な選択肢を考慮に入れることと、他のWRUから得られた確率を用いることとによって、P
NTSの幾つかの値が計算される。次に、P
NTSを最小にするリソース配分方式が選択される。可能な場合には、最適なリソース配分アルゴリズムが、w(j,i(j))=kとなるようなデバイス間のリソースの全ての可能な共有を網羅して検査する。
【0134】
別の例では、次のように、各リソースを送信リンクに配分するアルゴリズムが用いられる。すなわち、まず、w(j,i(j))=kとなるような全ての集合S(j,i(j),k)が空集合に初期化される。全てのリソースnに対して、ループが行われる。w(j,i(j))=kとなるような全てのデバイスについて、確率P
NTSは、第nのリソースが集合S(j,i(j),k)に加えられたかのように計算され、最終的に選択され、最良の確率P
NTSの計算値が得られるデバイスの対応するインデックスの集合に追加される。このアルゴリズムの最後に、全てのリソースが配分され、w(j,i(j))=kとなるようなデバイス間で共有される。このアルゴリズムの多くの変形形態が、アルゴリズムの主要なステップを反復して繰り返す等して、性能を改善し、より一層良好な確率P
NTSに達することができる。
【0135】
第2の手法に関して、それらのデバイスのうちの少なくとも1つが第kのWRUに付属するような車両インデックスの集合Ω
kに基づいて、(インデックスkの)基準WRUにおいて最大にされる局所確率を
【数11】
とする(すなわち、全てのj∈Ω
kについて、w(j,i(j))=kとなるような少なくとも1つのi(j)が存在する)。
【数12】
【0136】
次に、例えば、第1の手法において用いることができるプロセスと同様のプロセスにおいて、この確率を最大にするようにリソース配分方式の決定が行われる。
【0137】
リソース配分方式が決定されると、基準WRUと、リソース配分方式において時間周波数リソースを配分されたデバイスとの間の通信リンクのそれぞれの失敗確率が求められる。確率p(j,i(j),k)は、例えば、前述したようなリソース配分インデックスS(j,i(j),k)によって規定されるリソース配分から得られる。
【0138】
例えば、上記確率は、データベースDBiの性能データ、特に、基準WRUのセル内の位置に対応する性能データに基づいて求められる。実際は、データベースは、p(j,i(j),k)の数式の値lp(j,i(j),k,n)を得ることを可能にする。
【0139】
ステップS3において、基準WRUのデバイスについて求められた失敗の確率は、直接又はインフラストラクチャの別の設備を通じて、協調データの形で少なくとも1つの他のWRUに通信される。このステップ又は他のいずれかのステップを問わず、WRU間の通信は、WTU及び/又はサーバーエンティティを通じて行うこともできるし、WRU間で直接行うこともできる。送信される協調データは、上述した性質と同じ性質を有する。
【0140】
これによって、例えば、インフラストラクチャの様々なWRUに、上記プロセスに従ってリソース配分方式を求めさせることを目的として、新たに求められた失敗確率を他のWRUに拡散することが可能になる。
【0141】
ステップS4において、ステップS2において求められたリソース配分方式が実施される。実際上、このリソース配分方式は、対応する時間ウィンドウの間に実施される。このリソース配分方式は、時間ウィンドウの間に通信リンクを必要とするために用いられている基準WRUとの間のこれらの通信リンクに配分された基準WRUの時間周波数に変換される。例えば、所与の時間周波数リソースは、少なくとも1つのメッセージ、例えば、単一のメッセージを送信するのに用いられる。
【0142】
上記方法の幾つかの実施形態、特にステップS2では、リソース配分方式は、時間周波数リソースが、対応する時間ウィンドウについて基準WRUと通信する各デバイスに配分されることに対応する。
【0143】
他の実施形態では、リソース配分方式は、時間周波数リソースが、基準WRUと通信するデバイスの一部のみに配分されることに対応することができる。これらの場合には、リソース配分方式は、デバイスのうちの1つを別のWRU、特に近傍WRUにハンドオーバーする必要があるか否かの査定を含むことができ、このハンドオーバーによって、その後の時間ウィンドウの間に基準WRUと通信するデバイスは、リソース配分方式が求められる時点において基準WRUと通信するデバイスと異なる場合がある。
【0144】
そのような実施形態において、それらのデバイスのうちの少なくとも1つが、第kのWRU又は第k’のWRUのいずれかに付属する(すなわち、全てのj∈Ψ
k,k’について、w(j,i(j))=k又はw(j,i(j))=k’となるような少なくとも1つのi(j)が存在する)ような列車インデックスの集合Ψ
k,k’に基づいて第kの(基準)WRU及び第k’のWRUにおいて最大にされるペアワイズ確率を
【数13】
とする。第k’のWRUは、第2のWRUとみなすことができ、これらの第2のWRUは、例えば、基準WRUに関する近傍WRUである。
【数14】
は以下のとおりである。
【数15】
【0145】
ハンドオーバーを行うべきか否かの査定、特に、基準WRUによってサービス提供されるデバイスの、選ばれた第2のWRU k’へのハンドオーバーを行うべきか否かの査定は、
【数16】
と、対象デバイスがWRU k’にハンドオーバーされたとの仮定の下での、すなわち、デバイスのw(j,i(j))=k’をw(j,i(j))=kとなるように強制することによる、
【数17】
に対応する
【数18】
とに基づいて行われる。
【0146】
これらの実施形態では、ステップS2の間に、基準WRUに接続された1つ以上の選ばれたデバイスについて、基準WRUは、考慮対象時間ウィンドウの上述したような第1のリソース配分方式を求める。この第1のリソース配分方式は、考慮対象デバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスについて失敗が発生しない確率を最大にするとともに、時間周波数リソースを、基準WRUが接続された全てのデバイスに配分するように行われる。有利であるには、考慮対象デバイスの集合は、基準WRUと通信する全てのデバイスと、基準WRU及び他のWRUによって共有される通信システムに属するデバイスとに対応する。
【0147】
加えて、基準WRUは、選ばれた第2のWRUと通信する全てのデバイスと、この選ばれた第2のWRU及び他のWRUによって共有される通信システムに属するデバイスとを含むデバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスについて失敗が発生しない確率を最大にするように、考慮対象時間ウィンドウの上記で規定されたような第2のリソース配分方式を求める。
【0148】
換言すれば、基準WRUは、基準WRUを選ばれた第2のWRUに取り代えることによって、この選ばれた第2のWRUの第2のリソース配分方式を求める。
【0149】
そのために、ステップS1の間に、基準WRUは、この集合のデバイスのそれぞれの失敗の確率を表す協調データを受信する。加えて、有利であるには、特に、受信された協調データが位置データを含む場合に、基準WRUのデータベースDBiは、その近傍WRUのセルと、その近傍の近傍WRUのセルとを有効範囲に含む領域を有効範囲に含む。
【0150】
その上、基準WRUは、選ばれたデバイスが選ばれた第2のWRUに接続されているとの仮定の下で第1のリソース配分方式に用いられるデバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスについて失敗が発生しない確率を最大にするように第3のリソース配分方式を求める。この第3のリソース配分方式は、例えば、上記選ばれたデバイスを除く基準WRUに接続された全てのデバイスに時間周波数リソースを配分するように構成される。上記選ばれたデバイスは別のWRUに接続されていると考えられることから、上記選ばれたデバイスにはリソースは配分されない。
【0151】
加えて、基準WRUは、第2のリソース配分方式に用いられるデバイスの集合と、選ばれたデバイスがこのデバイスの集合に属しない場合には、この選ばれたデバイスとを含むデバイスの集合にわたる各通信システムの少なくとも1つのデバイスについて失敗が発生しない確率を最大にするように第4のリソース配分方式を求める。
【0152】
換言すれば、基準WRUは、選ばれた第2のWRUのリソース配分を、選ばれたデバイスがこの第2のWRUに接続されているとの仮定の下で求める。
【0153】
これらの4つのリソース配分方式から、基準WRUは、
【数19】
及び
【数20】
を求める。
【0154】
より詳細には、
【数21】
は、第1のリソース配分方式及び第2のリソース配分方式に基づいて求められる。
【数22】
は、第3のリソース配分方式及び第4のリソース配分方式に基づいて求められる。それらが求められると、基準WRUは、これらの2つの要素を比較し、少なくともこの比較に応じて、選ばれたデバイスの第2のWRUへのハンドオーバーが必要とされるか否かを判断する。
【0155】
この判定の様式は、所与のデバイスがWRU間で頻繁にハンドオーバーされるピンポン効果を防止するように設計することができることに留意されたい。実際上、この判定は、ハンドオーバーが行われる(正:carried out)べきか否かを判断するのに用いることができる他の条件等の他の構成要素を考慮に入れることができ、それによって、そのような判定は、少なくとも上記査定に応じて行われる。
【0156】
ハンドオーバーが必要であると判断された場合、ハンドオーバーが、例えば、任意の既知の方法で実行される。ハンドオーバーが必要でないと判断された場合、選ばれたデバイスは、引き続き基準WRUによってサービス提供される。
【0157】
査定の結果に応じて、ステップS4のために保持されるリソース配分方式は、例えば、上記第1の配分方式及び第3の配分方式の中から選ばれる。
【0158】
代替的に、リソース配分方式は、選ばれたデバイスのハンドオーバーを考慮に入れるために改めて求められる。そのために、以前の実施形態に関して上述した決定原理を用いることができる。
【0159】
さらに、幾つかの実施形態では、第2のリソース配分方式及び/又は第4のリソース配分方式は、選ばれた第2のWRUに送信される。この第2のWRUは、その後、ハンドオーバーが必要であると判断されるか否かに応じて、対応する時間ウィンドウにおいて対応する配分方式を実施することができる。
【0160】
ハンドオーバー査定に関する上記プロセスは、一時に1つの選ばれたデバイスについて与えられたものである。しかしながら、このプロセスは、一時に複数のデバイスが選ばれることに基づいて実行することができる。さらに、このプロセスは、或る期間にわたって、例えば、所定の数の時間ウィンドウごとに又は特定のイベントの検出時に、繰り返すことができる。
【0161】
その後、これまでのステップは、或る期間にわたって、例えば、考慮される新たな時間ウィンドウごとに繰り返され、それによって、この時間ウィンドウのリソース配分方式が求められ、対応する時点において実施される。その実施は、例えば、管理モジュールによってトリガーされる。
【0162】
例えば、インフラストラクチャの動作にとって破壊的な特性を有するジャマーデバイスJAMがインフラストラクチャによって検出されたことに応答してトリガーされるステップS5の間、基準WRU、及び有利であるには全てのWRUは、ジャマーデバイスの存在及びその特性を表すデータを受信する。これに応答して、データベースDB’iが、データベースDBi及びジャマーデバイスJAMの特性に基づいて、基準WRU(及び必要な場合には他のWRU)によって生成される。
【0163】
その後、ジャマーデバイスがもはや検出されなくなるまで、到来する時間ウィンドウについてこれまでのステップに基づいて求められるリソース配分方式は、データベースDBiの代わりにデータベースDB’iに基づいて求められる。換言すれば、受信された位置データは、データベースDBiではなくデータベースDB’iに基づいて他のWRUに接続されたデバイスの失敗確率を求めるのに用いられる。
【0164】
データベースDB’iは、ジャマーデバイスJAMの特性の変化に対処するために、例えば、定期的に更新される。
【0165】
上記ステップは、有利であるには、基準WRUだけでなく、インフラストラクチャの他のWRUにおいても実行される。
【0166】
本発明は、幾つかの利点を示す。実際に、考慮対象WRUのセルの外部にあるデバイスの通信リンクの品質の相互依存性を考慮に入れることによって、結果として得られるインフラストラクチャのロバスト性が向上され、プロセスが異なるWRUによって実行されるときはなおさらそうである。
【0167】
さらに、本発明は、WRU間のかなり広範囲の通信を可能にするインフラストラクチャに特に適合された、インフラストラクチャの全てのデバイスの状況を考慮に入れることによって最大限にこの現象に対処するように選ぶこともできるし、異なるWRUによって共有される通信システムに属するデバイスのレベルにおいてこの現象に焦点を合わせるように選ぶこともできるという点で適応的である。それによって、WRU間で大量の情報を交換する必要性が、システムのロバスト性の大幅な低下を伴うことなく抑制される。さらに、データを搬送する形態を状況、特にWRUの通信能力にも適合させることができる。
【0168】
加えて、本発明は、当面のデータを考慮してハンドオーバーが必要であるか否かを査定するように選ぶことができ、それによって、別の精緻化層をインフラストラクチャの全体の管理に追加することができるので、まさにその構造が柔軟である。
【0169】
さらに、プロセスの全体的な手法は、幾つかのインフラストラクチャ構成において非常に実際的でない場合がある中央処理設備に収束されるデータを必要としないので分散型の手法である。
【0170】
上記説明では、協調データは、WRU間で交換されるものとして説明された。しかしながら、協調データは、サーバーエンティティ等の別の設備からWRUによって受信することができる。この場合、このエンティティは、インフラストラクチャのデバイスから全てのデータを収集し、例えば、要求に応じて、所与の数のデバイス/列車に関するデータをWRUに送信するように構成することができる。
【0171】
さらに、幾つかの実施形態では、通信システムがWRU間で共有される列車のリストを、関与するWRUのうちの1つ又はそれぞれが記憶することができる。このリストは、定期的に、及び/又は、共有通信システムに属するデバイスの、それらの現在のWRU以外の異なるWRUへのハンドオーバー等の特定のイベントの際に更新される。例えば、このリストは、データがステップS1において受信されるデバイスを特定する。したがって、デバイスは、経時的に変化する可能性があり、その後の時間ウィンドウのリソース配分方式は、変化するデバイスの集合に基づいて求められることがある。
【0172】
所与のWRUのリストは、考慮対象デバイスと通信するデバイスと、他のWRUと通信するが、考慮対象デバイス及び他のWRUによって共有される通信システムに属するデバイスとを含むことができる。そのようなリストを受信すると、所与のWRUは、その後、リストを確立したWRUの通信状況の正確な描写を構築することができる。
【0173】
その上、特に、位置データが速度データ及び加速度データを含むとき、所与の時点に受信された位置データを用いて、複数の時間ウィンドウの対応するデバイスの失敗確率を推定することができる。次に、基準WRUは、その後の時間ウィンドウにわたって列車の位置を推定し、これらの推定された位置に基づいて対応する失敗確率を求める。
【0174】
本方法の間、リソース配分方式の生成に用いられたデータを、この方式が求められる時間ウィンドウと異なる時間ウィンドウに付属させることができることに留意されたい。例えば、本方法を開始するために、第1のリソース配分方式は、例えば、後に協調データを受信することが予想されるデバイスに関連付けられた失敗確率に関する仮定の下で、協調データが存在しない状態で基準WRUによって求めることができる。例えば、これらの確率は、0に等しくなるように任意に選ばれる。
【0175】
その上、協調データが付属する時間ウィンドウに関して、例えば、プロセス中の任意の時点において、リソース配分方式が求められる1つ以上の時間ウィンドウについて、上記で示したように、別の時間ウィンドウを関係付ける協調データを考慮するように選ぶことができる。
【0176】
特に、新たな考慮対象時間ウィンドウごとに、直近に受信された協調データが付属する時間ウィンドウを問わず、直近に受信された協調データを考慮に入れるように決定することができる。したがって、(一般に)、それらのデータは同じ時間ウィンドウに付属しない場合がある。ただし、有利であるには、それらのデータは、同じ時間ウィンドウに付属しない場合、時間が接近した(例えば、時間ウィンドウの継続時間の10倍未満又は5倍未満の時間だけ互いに離れた)時間ウィンドウに付属する。