【実施例】
【0154】
本発明は、以下の例を参照することでより容易に理解され、これらは、本発明を例証するために示され、いずれの手段でもその範囲を限定するとは解釈されない。
【0155】
特に定義されていない限り、又は文脈からそうではないことが明らかでない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語すべては、本発明が属する当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものに類似した、又は等しい任意の方法及び材料は、本発明の実践又はテストに使用できることは理解されるべきである。
【0156】
本発明の化合物を調製及び使用するための一般的方法。
一般的方法A.3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)ナトリウム塩の調製及び使用。
天然存在比又は同位体濃縮3APSを水に溶解し、続いて1モル等量の水酸化ナトリウムを添加した。混合物を室温(r.t.)にて10min.保持し、濃縮乾固し、真空下で更に乾燥させた。固体残渣は、3APSのナトリウム塩であり、これを以下の合成で精製せずに使用した。
【0157】
一般的方法B.イオン交換樹脂を使用した脱塩。
塩化ナトリウム又は臭化ナトリウム(例えば、2mmol)を含有する粗生成物を、水(例えば5mL)中に溶解し、続いて、Amberlite IR-120(H-form)(2mL)を添加した。混合物を3min.撹拌し、濾過した。樹脂を水(例えば、2mL×3)で洗浄した。濾液及び洗浄液を合わせ、樹脂でもう1回処理した。溶液に残った塩化物又は臭化物イオンがあれば、樹脂を用いて3回目の処理を任意で行った。このようにして得られた水溶液を濃縮乾固し(ロータリーエバポレーター)、更に乾燥させて、無塩生成物を得た。
【0158】
(実施例1)
3-アミノ-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(1)及びナトリウム3-アミノ-3,3-二重水素-1-プロパンスルホネート(1s)の合成。
3-ヒドロキシプロパンニトリル(26.0g、366mmol、1.0eq.)を乾燥THF(50mL)中に溶解した。溶液を、乾燥THF(200mL)中のLiAlD
4(10.0g、238mmol、0.65eq.)の撹拌懸濁剤に滴下添加した。終夜加熱還流した後で、続いて水(4.8mL)、15%NaOH溶液(4.8mL)及び水(14.4mL)をゆっくり添加することにより、反応混合物をr.t.にて加水分解した。混合物を2時間(h)撹拌し、減圧下で濾過した。有機相を濾過により蒸発乾固し、赤色油状物質を得、これを、精製せずに次のステップで使用した。
【0159】
油状物質(10.0g、128mmol、1.0eq.)を、CHCl
3(100mL)中に溶解し、0℃にて撹拌した。撹拌した混合物に、SOCl
2(18.2g、154mmol、1.2eq.)を滴下添加した。混合物を終夜加熱還流し、次いで減圧下で蒸発乾固した。残留物を、溶離液として10〜30%MeOH-CH
2Cl
2を使用して、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、3-クロロ-1,1-二重水素-1-プロピルアミン塩酸塩(10.8g、64.4%)を白色固体として得た。
【0160】
上で得られた白色固体物質(10.0g、76.3mmol、1.0eq.)を、水(50mL)中に溶解し、続いて、Na
2SO
3(9.61g、76.3mmol、1.0eq.)を添加した。混合物を終夜加熱還流し、減圧下で蒸発乾固し、続いて、濃HClを添加した。不溶性物質(NaCl)を濾過により除去し、濾液を慎重に蒸発乾固した。成果物は、H
2O及びEtOHを使用して再結晶化により精製した。固体を濾取し、次いで、乾燥させて、表題化合物(1)を白色固体(9.5g、88.3%)として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ ppm
2.15 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.07 (t, J = 7.5 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ ppm 22.21, 37.74 (m, CD
2), 47.87; m/z (ES
-) 140.0 (M-H).
【0161】
水(10mL)中の化合物1の溶液に、NaOH(1.0eq.)を添加し、混合物をr.t.にて10min撹拌した。混合物を減圧下で蒸発乾固させ、化合物1sを得、これを、精製せずに更なる反応に使用した。
【0162】
(実施例2)
3-((L-アラニル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(2)の合成。
化合物1s(0.30g、1.80mmol、1.0eq.)及びN-Boc-L-アラニン(0.37g、2.0mmol、1.1eq.)を、乾燥DMF(10mL)中で混合し、0℃に冷却し、続いて、0℃にて、DCC(0.56g、2.7mmol、1.5eq.)及びHOBt(0.24g、1.80mmol、1.0eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌し、続いて、水(2mL)を添加し、更に1時間撹拌した。不溶性物質を濾過により除去し、濾液の有機相を蒸発乾固した。残留物を20mL水中に溶解し、酢酸エチル(2×20mL)で洗浄した。水性層を蒸発乾固した。残渣は、10〜30%MeOH-CH
2Cl
2を溶離液として使用して、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、ナトリウム3-((N-Boc-L-アラニル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(0.50g、81.3%)を白色固体として得た。この白色固体(0.50g、1.5mmol、1.0eq.)を、1N HCl(10mL)に添加し、混合物を50℃にて2h撹拌し、蒸発乾固した。イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(上の一般的方法Bに記載されているように)。粗物質を、再結晶化(MeOH及び酢酸エチル)により精製した。固体生成物を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(2)(277mg、87.3%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ ppm 1.49 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.92 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.90 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.97-4.07 (m, 1H), 8.34 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ ppm 16.47, 23.71, 48.30, 49.10, 170.69; m/z (ES
-) 210.8 (M-H).
【0163】
(実施例3)
3-(L-セリルアミノ)-3,3,-二重水素-1-プロパンスルホン酸(3)の合成。
化合物1s(806mg、5.0mmol、1.0eq.)及びN-Boc-L-セリン(1.03g、5.0mmol、1.0eq)を、DMF(5mL)中で混合し、続いて、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(1.51g、5.0mmol、1.0eq)及びEt
3N(0.77mL)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM、1:4)により精製し、ナトリウム3-((N-Boc-L-セリル)アミノ)-3,3,-二重水素-1-プロパンスルホン酸(800mg、58.0%)を白色固体として得た。固体物質(250mg、0.71mmol、1.0eq.)を、1N HCl水溶液(10mL)中に添加し、混合物をr.t.にて1h撹拌し、減圧下で濃縮した。イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(上の一般的方法Bに記載されているように)。生成物を真空下で乾燥させ、表題化合物(3)(150mg、92.6%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O) δ ppm 1.84-1.94 (m, 2H), 2.78-2.94 (m, 2H), 3.83-3.98 (m, 2H), 4.08-4.14 (m, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O) δ ppm 23.70, 37.80, 48.30, 54.57, 60.16, 167.59; m/z (ES
+) 228.9 (M+H).
【0164】
(実施例4)
3-((L-バリル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(4)の合成。
化合物1s(1.63g、10.0mmol、1.0eq。化合物1及び水酸化ナトリウムから調製した)及びN-Boc-L-バリン(2.60g、12.0mmol、1.2eq.)を、乾燥DMF(20mL)中で溶解し、続いて、0℃にて、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2.47g、12.0mmol、1.2eq.)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、1.35g、10.0mmol、1.0eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌し、続いて、水(2mL)を添加し、更に1時間撹拌した。不溶性物質を濾過により除去した。濾液の有機相を蒸発乾固した。残留物を水(20mL)中に溶解し、酢酸エチル(2×20mL)で洗浄した。水性相を蒸発乾固し、残渣は、溶離液として10〜30%MeOH-CH
2Cl
2を使用して、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、ナトリウム3-((N-Boc-L-バリル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸を白色固体(3.2g、88.3%)として得た。
【0165】
上で得られたBoc-保護化合物(3.2g、8.83mmol、1.0eq.)を1N HCl(30mL)中で、50℃にて2h撹拌した。混合物を粗物質に蒸発乾固した。イオン交換樹脂を使用して塩を除去し(一般的方法B)、粗製物は、MeOH及び酢酸エチルを使用して再結晶化により精製した。結晶性固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(4)(1.87g、88.1%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ ppm 0.92-1.06 (m, 6H) 1.98 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.17-2.21 (m, 1H), 2.95 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.76 (d, J = 6.5 Hz, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ ppm 17.01, 17.57, 23.73, 29.80, 48.40, 58.78, 169.18; m/z (ES
-) 239.1 (M-H).
【0166】
(実施例5)
3-((L-フェニルアラニル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(5)の合成。
化合物1s(815mg、5.0mmol、1.0eq.)及びN-Boc-L-フェニルアラニン(1.59g、6.0mmol、1.2eq.)を、乾燥DMF(20mL)中で混合した。混合物を0℃に冷却し、続いて、0℃にて、DCC(1.24g、6.0mmol、1.2eq.)及びHOBt(675mg、5.0mmol、1.0eq.)を添加した。反応混合物をr.t.にて終夜撹拌し、続いて、水(2mL)を添加し、次いで1時間撹拌した。固体物質を濾過により除去し、濾液の有機相を蒸発乾固した。残留物を水(20mL)中に溶解し、水溶液を、酢酸エチル(2×20mL)で洗浄した。水性相を分離し、蒸発乾固した。残留物を、シリカゲル(溶離液、CH
2Cl
2中メタノール、10から30%)上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、ナトリウム3-((N-Boc-L-フェニルアラニル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(1.80g、87.7%)を白色固体として得た。この白色固体(1.80g、4.39mmol、1.0eq.)を、1M HBr(20mL)で50℃にて2h処理し、次いで、溶媒を蒸発乾固した。残留物を、再結晶化(EtOH及び酢酸エチル)により精製した。固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物5(1.07g、84.5%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ ppm 1.67-1.80 (m, 2H), 2.54-2.68 (m, 2H), 3.05-3.28 (m, 2H), 4.14 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.34-7.47 (m, 3H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ ppm 23.44, 36.87, 37.5 (m, CD
2), 48.18, 54.64, 128.04, 129.17, 129.27, 133.86, 168.81; m/z (ES
-) 287.0 (M-H).
【0167】
(実施例6)
3-((L-ヒスチジル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸塩酸塩(6)の合成。
化合物1s(0.93g、5.74mmol、1.0eq.)及びN-Boc-L-ヒスチジン(1.47g、5.74mmol、1.0eq.)を、DMF(10mL)中で混合し、続いて、DPPA(1.74g、1.1eq.)及びEt
3N(0.88mL、1.1eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌した。溶媒を減圧下で除去した後で、残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM、1:3)により精製し、ナトリウム3-((N-Boc-L-ヒスチジル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(1.4g、60.9%)を白色固体として得た。固体を1N HBr水溶液(10mL)中に添加した。混合物をr.t.にて1h撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、再結晶化(EtOH及びH
2O)により精製した。固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(6)(1.25g、99.0%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O) δ ppm 1.82 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 2.78 (t, J = 7.0 Hz, 2H) , 3.37 (s, 2H) , 4.21 (d, J = 6.0 Hz, 1H) , 7.44 (s, 1H), 8.71 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O) δ ppm 23.55, 25.99, 48.21, 52.30, 118.30, 125.91, 134.32, 167.69; m/z (ES
+) 278.9 (M+H).
【0168】
(実施例7)
3-(
15N-アミノ)-1-プロパンスルホン酸(7)の合成。
封管中のMeOH(10mL)中の1,3-プロパンスルトン(0.61g、5.0mmol、1.0eq.)の溶液に、
15N-標識硫酸アンモニウム(1.0g、7.5mmol、1.5eq.)及びNaOH(0.5g、12.5mmol、2.5eq.)を添加した。混合物を70℃にて終夜撹拌し、続いて、NaHCO
3(0.63g、7.5mmol、1.5eq.)及び二炭酸ジ-(tert-ブチル)(1.64g、7.5mmol、1.5eq.)を添加した。3h加熱還流した後で、反応混合物を蒸発乾固した。残留物をMeOHで処理し、不溶性物質を濾過により除去した。濾液を蒸発乾固し、残留物を、シリカゲル(溶離液、30%MeOH-DCM)上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、ワックス状固体を得た。この物質を、1N HBr(20mL)で処理し、混合物を50℃にて2h撹拌した。混合物を蒸発乾固し、残留物を、再結晶化(EtOH及びH
2O)により精製した。固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、3-(
15N-アミノ)-1-プロパンスルホン酸(7)(398mg、56.8%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ ppm 2.06-2.16 (m, 2H), 3.01 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.15 (t, J = 7.5 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ ppm 22.23, 38.17 (d, J = 5.0 Hz), 47.82; m/z (ES
+) 140.8 (M+H).
【0169】
(実施例8)
3-(L-バリル-(
15N-アミノ))-1-プロパンスルホン酸(10)の合成。
封管中の20mL MeOH/H
2O(1:1)中の1,3-プロパンスルトン(1.22g、10.0mmol、1.0eq.)の溶液に、
15N-標識硫酸アンモニウム(2.0g、15.0mmol、1.5eq.)及びNaOH(1.0g、25mmol、2.5eq.)を添加した。混合物を70℃にて終夜撹拌し、続いて、トリエチルアミン(1.51g、15.0mmol、1.5eq.)及び二炭酸ジ-tert-ブチル(3.27g、15.0mmol、1.5eq.)を添加した。3h加熱還流した後で、反応混合物を蒸発乾固した。残留物をMeOHで処理し、不溶性物質を濾過により除去した。濾液を蒸発乾固し、残留物を、シリカゲル(溶離液、30%MeOH-DCM)上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、ワックス状固体を得た。この物質を1N HCl(30mL)で処理し、混合物を50℃にて2h撹拌した。混合物を蒸発乾固し、残留物3-(
15N-アミノ)-1-プロパンスルホン酸(7)は、更なる精製をせずに次のステップで使用した。
【0170】
10mL H
2O中の化合物7の溶液に、NaOH(0.4g、10.0mmol、1.0eq.)を添加し、混合物をr.t.にて10min撹拌した。混合物を蒸発乾固して、7のナトリウム塩を得、これを、更なる精製をせずに次のステップで使用した。
【0171】
7のナトリウム塩(上で得た)及びN-Boc-L-バリン(3.26g、15.0mmol、1.5eq.)を、乾燥DMF(30mL)中で混合し、0℃に冷却し、続いて、DCC(3.09g、15.0mmol、1.5eq.)及びHOBt(1.35g、10.0mmol、1.0eq.)を添加した。反応混合物をr.t.にて終夜撹拌し、続いて、水(2mL)を添加し、1h撹拌した。不溶性物質を濾過により除去し、濾液の有機層を蒸発乾固した。残留物を20mL水中に溶解し、水溶液を、酢酸エチル(2×20mL)で洗浄した。水性相を蒸発乾固し、残留物を、シリカゲル(溶離液、10から30%MeOH/CH
2Cl
2)上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、ワックス状固体を得、これを1N HCl(30mL)で処理し、50℃にて2h撹拌した。混合物を蒸発乾固し、イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(一般的方法B)。残留物を、再結晶化(EtOH及びH
2O)により精製した。固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(10)(1.23g、51.4%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ ppm 0.99-1.08 (m, 6H), 1.91-2.03 (m, 2H), 2.12-2.25 (m, 1H), 2.93 (t, J = 9.0 Hz, 2H), 3.32-3.45 (m, 2H), 3.74 (d, J = 6.0 Hz, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ ppm 16.97, 17.54, 23.88, 29.77, 38.03 (d, J = 8.8 Hz), 48.39, 58.74 (d, J = 8.8 Hz), 169.13 (d, J = 17.5 Hz); m/z (ES
-) 237.9 (M-H).
【0172】
(実施例9)
3-((
18O-L-アラニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸(13)の合成。
L-アラニン(0.91g、10.2mmol、1eq.)を、ジオキサン(5.2mL、20.8mmol、2eq.)中の4M HCl溶液に添加し、続いて、H
218O(1.8mL、
18O-濃縮、98%)を添加した。封管中の混合物を100℃にて24h撹拌し、r.t.に冷却し、蒸発乾固した。残留物を、ジオキサン(2.6mL、10.2mmol、1eq.)中の4M HCl溶液中に取り込み、続いて、H
218O(1.6mL、
18O-濃縮、98%)を添加した。封管中の混合物を100℃にて24h撹拌し、r.t.に冷却し、減圧下で蒸発乾固し、L-アラニン-
18O
2・HCl(1.32g、100%、
18O-濃縮、92%)を白色固体として得た。MeOH(50mL)中のL-アラニン-
18O
2・HCl(1.32g、10.2mmol、1eq.)1の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(4.07mL、22.5mmol、2.2eq.)を添加し、続いて、Boc
2O(2.55g、11.2mmol、1.1eq.)を添加した。混合物を50℃にて1h撹拌し(混合物は、この時点で透明になる)、r.t.に冷却し、減圧下で濃縮乾固し、N-Boc-L-アラニン-
18O
2 DIPEA塩を白色固体として得、これを、更なる精製をせずに次のステップに使用した。DIPEA塩(1eq.、上のステップから得た)を、DMF(40mL)中のp-ニトロフェノール(1.59g、11.22mmol、1.1eq.)の溶液に添加し、続いて、DCC(3.21g、15.3mmol、1.5eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/pet-エーテル、1:10)により精製して、対応するp-ニトロフェニルエステルを白色固体として得た。このようにして得られた固体を、DMF(30mL)中に溶解し、続いて、ナトリウム3-アミノ-1-プロパンスルホネート(1.72g、10.2mmol、1.0eq.)を添加した。混合物を35℃にて終夜撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液、MeOH/DCM、1:8)により精製し、ナトリウム3-((N-Boc-L-
18O-アラニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸(1.5g、4.49mmol、上のステップでの全収率、44%)を白色固体として得た。ナトリウム3-((N-Boc-L-
18O-アラニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸(1.5g、4.49mmol)を、1N HCl水溶液(20mL)中に溶解した。混合物をr.t.にて1h撹拌し、蒸発乾固した。イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(一般的方法B)。生成物を真空下で乾燥させ、表題化合物(13)(0.78g、82.0%)を白色固体として得た。
18O-濃縮、92%、
1H NMR (D
2O, 500 MHz) δ ppm 1.46-1.51 (m, 2 H), 1.88-1.97 (m, 2 H), 2.86-2.92 (m, 2H), 3.30-3.37 (m, 2H), 4.20 (q, 1H, J = 5 Hz);
13C NMR (D
2O, 125 MHz) δ ppm 16.45, 23.88, 38.05, 48.33, 49.08, 170.62; m/z (ES
-) 211.0 (M-H).
【0173】
(実施例10)
3-((
18O-L-バリル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸(15)の合成。
18O-水(1.5g、75.0mmol、98原子%の
18O)中のL-バリン(1.2g、10.2mmol)の溶液に、1,4-ジオキサン(5.1mL、20.4mmol)中の4N HClをゆっくり添加した。混合物は、ストッパーで封をし、100℃にて24h加熱し、次いでr.t.に冷却し、蒸発させて(60℃の浴温まで)乾燥させた。上のプロセスをもう1回繰り返し、
18O-L-バリン塩酸塩を黄色固体(1.57g、100%、91.4原子%の
18O)として得、これを、次のステップに直接使用した。
【0174】
MeOH(25mL)中の
18O-L-バリン塩酸塩(1.57g、10.2mmol、1.0eq.)の溶液に、DIPEA(2.6g、20.4mmol、2.0eq.)を添加し、続いて、Boc
2O(2.2g、10.2mmol、1.0eq.)を添加した。混合物を55℃にて30min加熱し、r.t.に冷却し、真空で濃縮乾固し、N-Boc-L-
18O-バリン(精製せずに次のステップに使用する)を得た。この物質を、CH
2Cl
2(30mL)中に取り込み、溶液を0℃に冷却し、続いて、0℃にて、4-ニトロフェノール(1.5g、10.7mmol、1.05eq.)及びDCC(2.3g、11.2mmol、1.1eq.)を添加した。混合物をr.t.にて2h撹拌し、TLC分析(DCM:MeOH=10:1)は、出発原料が残っていないことを示した。不溶性物質を濾過により除去し、DCM(30mL)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、4:1)により精製し、黄色液体(2.8g、80.2%)を得た。この液体(2.2g、6.4mmol、1.0eq.)及びナトリウム3-アミノ-1-プロパンスルホネート(1.0g、6.4mmol、1.0eq.)を、DMF(22mL)中で混合した。混合物を35℃にて24h撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM:MeOH、4:1)により精製し、ナトリウム3-((N-Boc-(
18O-L-バリル))アミノ)-1-プロパンスルホン酸を白色固体(1.5g、65.0%)として得た。
【0175】
1N HCl(20mL)中の、上で得られた固体(1.5g、4.1mmol)の溶液を、60℃にて1h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(一般的方法B)。生成物を真空下で乾燥させ、表題化合物15(686mg、70.0%)を白色固体として得た。
18O-濃縮、94%(ES-MSによる)、
1H NMR (500 MHz, D
2O) δ ppm 0.98-1.10 (m, 6H), 1.97 (s, 2H), 2.20 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.93 (s, 2H), 3.38 (d, J = 4.5 Hz, 2H), 3.75 (s, 1H);
13C NMR (126 MHz, D
2O) δ ppm 17.05, 17.61, 23.94, 29.82, 38.13, 48.47, 58.78, 169.15; m/z (ES
-) 238.9 (M-H).
【0176】
(実施例11)
3-((
18O-L-フェニルアラニル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸(16)の合成。
L-フェニルアラニン(1.0g、6.05mmol、1.0eq.)及び
18O-水(1.3mL、98原子%の
18O)の混合物に、1,4-ジオキサン(3.0mL、12.0mmol、2.0eq.)中の飽和塩酸塩(HCl)溶液を添加した。混合物を100℃にて24h撹拌し、次いでr.t.に冷却し、減圧下で蒸発乾固した。残留物に、
18O-水(1.5mL、98原子%の
18O)を添加し、続いて、1,4-ジオキサン(1.6mL)中のHCl溶液を添加した。混合物を100℃にて24h撹拌し、次いでr.t.に冷却し、減圧下で蒸発乾固し、
18O-L-フェニルアラニンを白色固体(1.0g、100%、96%の
18O-濃縮)として得た。
【0177】
メタノール(20mL)中の
18O-L-フェニルアラニン(1.0g、6.1mmol、1.0eq.)に、(Boc)
2O(1.45g、6.65mmol、1.1eq.)及びトリエチルアミン(1.8g、18.0mmol、3.0eq.)を添加した。混合物を30℃にて2h撹拌し、次いで減圧下で蒸発乾固した。残渣を、ジクロロメタン(10mL)中に溶解し、続いて、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.24g、6.1mmol、1.0eq.)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(0.60g、6.2mmol、1.05eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌した。不溶性物質を濾過により除去し、濾液を減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲル(溶離液、CH
2Cl
2/メタノール、10:1)上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体(1.4g)を得た。この白色固体をDMF(20mL)中で溶解し、続いて、ナトリウム3-アミノプロパン-1-スルホネート(610mg、3.84mmol)を添加した。混合物をr.t.にて2h撹拌し、溶媒を真空で除去した。残留物を、シリカゲル(溶離液、CH
2Cl
2/メタノール、10:1から5:1)上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、ナトリウム3-((N-Boc-(
18O-L-フェニルアラニル))アミノ)-1-プロパンスルホン酸を白色固体(1.3g、82.0%)として得た。得られた化合物を1N HCl(20mL)中に溶解した。混合物を4h撹拌し、次いで真空で濃縮した。イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(一般的方法B)。残留物に、エタノール(20mL)を添加し、混合物をr.t.にて5min.撹拌した。固体を濾取し、エタノール(5mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(400mg、40.0%)を白色固体として得た。
18O-濃縮、87%、
1H NMR (500 MHz, D
2O) δ ppm 1.68-1.69 (m,2H), 3.02-3.10 (m, 2H), 2.53-2.56 (m, 2H), 3.14-3.24 (m, 2H), 4.06 (t, J = 8.0 Hz, .1H), 7.21 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.32-7.37 (m, 3H), 8.09 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O) δ ppm 23.6, 36.8, 38.0, 48.1, 54.6, 128.0, 129.1, 129.2, 133.8, 168.7; m/z (ES
+) 288.9 (M+H), 310.9 (M+Na).
【0178】
(実施例12)
3-((
18O-L-ヒスチジル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸臭化水素酸塩(17)の合成。
L-ヒスチジン(1.55g、10mmol、1.0eq.)を、ジオキサン(7.5mL、30mmol、3.0eq.)中の4M HClの溶液に添加し、続いて、H
218O(2.0g、98%
18O-濃縮)を添加した。封管中の混合物を100℃にて24h撹拌した。反応混合物をr.t.に冷却し、真空下で乾燥させた。残渣に、ジオキサン(2.5mL、10mmol、1.0eq.)中の4M HClを添加し、続いて、H
218O(2.0g、
18O-濃縮、98%)を添加した。封管中の混合物を100℃にて24h撹拌した。反応混合物をr.t.に冷却し、蒸発乾固し、更に真空下で乾燥させて、L-His-
18O
2・2HCl(2.32g、100%、93.8%の
18O-濃縮を有する)をオフホワイト固体として得た。
18O-濃縮L-ヒスチジン二塩酸塩(2.32g、10mmol、1.0eq.)を、MeOH(50mL)中に溶解し、続いて、Et
3N(4.55g、45mmol、4.5eq.)及びBoc
2O(5.45g、25mmol、2.5eq.)を添加した。混合物を50℃にて1h撹拌し(混合物は、この時点で透明になる)、次いでこれをr.t.に冷却し、減圧下で濃縮して、対応するTEA塩を薄黄色固体として得た。この薄黄色物質(1.0eq.)を、DCM(40mL)中のp-ニトロフェノール(1.39g、10mmol、1.0eq.)の溶液に添加し、続いて、DCC(2.27g、11mmol、1.1eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌した。不溶性物質を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液、DCM/EA/PE、2:1:7)により精製して、対応する4-ニトロフェニルエステル(3.0g、63.0%)を白色固体として得た。エステル(3.0g、6.27mmol、1.0eq.)をDMF(30mL)中に溶解し、続いて、ナトリウム3-アミノプロパン-1-スルホネート(1.0g、6.27mmol、1.0eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液、MeOH/DCM、1:8)により精製して、ナトリウム3-((N,1-ビスBoc-(
18O-L-ヒスチジル))アミノ)-1-プロパンスルホン酸(2.27g、72.3%)を白色固体として得た。白色固体(2.27g、4.7mmol)を、1N HBr水溶液(20mL)中に取り込んだ。混合物をr.t.にて1h撹拌し、減圧下で濃縮し、真空下で乾燥させた。残留物を、再結晶化(EtOH及びH
2O)により精製した。固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(17)(1.5g、92.0%)を白色固体として得た。
18O-濃縮、93.7%、
1H NMR (D
2O, 500 MHz) δ ppm 1.77-1.94 (m, 2 H), 2.72-2.88 (m, 2H), 3.22-3.32 (m, 1H), 3.32-3.46 (m, 3H), 4.18-4.28 (m, 1H), 7.47 (s, 1H), 8.74 (s, 1H);
13C NMR (D
2O, 125 MHz) δ ppm 23.75, 25.98, 38.17, 48.26, 52.33, 118.30, 125.95, 134.34, 167.68; m/z (ES
+) 279.0 (M+H).
【0179】
(実施例13)
3-((1-
13C-L-バリル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸(25)の合成。
ナトリウム3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(1.10g、6.8mmol、1.5eq.)及びN-Boc-L-バリン-1-
13C(1.0g、4.61mmol、1.0eq.)を、乾燥DMF(10mL)中に溶解し、続いて、0℃にて、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、1.4g、6.8mmol、1.5eq.)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、0.62g、4.61mmol、1.0eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌し、続いて、水(2mL)を添加し、更に1時間撹拌した。不溶性物質を濾過により除去した。濾液の有機相を蒸発乾固した。残留物を水(20mL)中に溶解し、酢酸エチル(2×20mL)で洗浄した。水性相を蒸発乾固し、残渣を、シリカゲル(溶離液、MeOH-CH
2Cl
2、10〜30%)上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、ナトリウム3-((N-Boc-1-
13C-L-バリル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸を白色固体(1.2g、72.0%)として得た。
【0180】
上で得られたBoc-保護化合物(1.2g、3.3mmol、1.0eq.)を1N HCl水溶液(30mL)中で50℃にて2h撹拌した。混合物を蒸発乾固した。イオン交換樹脂を使用して、塩を除去した(一般的方法B)。残留物を、再結晶化(EtOH及びH
2O)により精製した。固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(25)(0.65g、75.4%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D2O): δ
ppm 0.97-1.05 (m, 6H), 1.90-2.00 (m, 2H), 2.21-2.23 (m, 1H), 2.91 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.29-3.43 (m, 2H), 3.69-3.75(m, 1H), 8.49 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz, D2O): δ
ppm 16.97, 17.54, 23.87, 29.77, 38.04, 48.39, 58.50, 58.92, 169.14, 169.23; m/z (ES
-) 238.0 (M-H).
【0181】
(実施例14)
3-((
18O-L-バリル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(29)の合成。
化合物1s(250mg、1.53mmol、1.0eq.)及びN-Boc-L-(1,1-ジ-
18O)-バリン4-ニトロフェニルエステル(624mg、1.84mmol、1.2eq.)を、乾燥DMF(20mL)中で混合した。混合物をr.t.にて終夜撹拌し、続いて減圧下で蒸発乾固した。残留物を、シリカゲル(溶離液、CH2Cl
2中のMeOH、10から30%)上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、ナトリウム3-((N-Boc-
18O-L-バリル)アミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(400mg、71.7%)を白色固体として得た。この固体物質を、1N HCl(30mL)と混合し、混合物を50℃にて2h撹拌した。混合物を蒸発乾固した。イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(一般的方法B)。残留物を、再結晶化(EtOH及びH
2O)により精製した。固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物29(283mg、89.8%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ
ppm 1.00-1.08 (m, 6H), 1.97 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.16-2.26 (m, 1H), 2.94 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.75 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 8.48 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ
ppm 17.03, 17.59, 23.75, 29.81, 37.59 (m, CD
2), 48.42, 58.79, 169.16; m/z (ES
-) 240.9 (M-H).
【0182】
(実施例15)
3-((L-システイニル)アミノ-)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸(33)の合成。
化合物1s(0.7g、4.3mmol、1.0eq.)及びN-Boc-L-システイン(1.4g、4.3mmol、1.0eq.)を、乾燥DMF(15mL)中に溶解し、続いて、0℃にDCC(1.4g、6.5mmol、1.5eq.)及びHOBt(0.6g、4.6mmol、1.1eq.)を添加した。混合物をr.t.にて終夜撹拌し、続いて、水(2mL)を添加し、更に1時間撹拌した。不溶性物質を濾過により除去した。濾液の有機相を蒸発乾固した。残留物を水(20mL)中に溶解し、酢酸エチル(2×20mL)で洗浄した。水性相を蒸発乾固し、残渣を、シリカゲル(溶離液、MeOH-CH
2Cl
2、10〜30%)上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、ナトリウムN-Boc-3-((L-システイニル)アミノ-)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸を白色固体(1.2g、59.8%)として得た。上で得られたBoc-保護化合物(1.2g、2.57mmol、1.0eq.)を、1N HCl(30mL)中で50℃にて2h撹拌した。混合物を蒸発乾固した。イオン交換樹脂を使用することにより、塩を除去した(一般的方法B)。残留物を再結晶化(EtOH及びH
2O)により精製した。結晶性固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、表題化合物(33)(0.57g、83.3%)を白色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, D
2O): δ
ppm 1.97 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.95 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.01-3.13 (m, 2H), 4.16 (t, J = 6.0 Hz, 1H);
13C NMR (125 MHz, D
2O): δ
ppm 23.70, 24.73, 48.34, 54.55, 167.83; m/z (ES
+) 244.9 (M+H).
【0183】
(実施例16)
同位体濃縮3-((N-置換)アミノ)-1-プロパンスルホン酸及びその塩の合成の一般的な例。
実施例1から15に記載されている実験手順を用いて、当業界で一般的な合成技術を使用した妥当な変更の有無を問わず、式IからVIにより表される他の化合物を合成できる。そのような化合物の例は、3-(アシルアミノ)-3,3-二重水素-1-プロパンスルホン酸及び3-(アシル(
15N-アミノ))-1-プロパンスルホン酸を含むが、それらに限定されず、アシル基は、アルギニル、アスパルチル、アスパラギル、シスチル、システイニル、グルタミル、グルタミニル、グリシル、イソロイシル、ロイシル、リジル、メチオニル、プロリル、セレノシスチル、トレオニル、トリプトファニル、チロシル及び4-ヒドロキシイソロイシルから選択される。同様に、式I及びVIによる3-((1-
13C-アシル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸、3-((1-
18O-アシル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸及び3-((1-
17O-アシル)アミノ)-1-プロパンスルホン酸は、同一のアシル基のセットで調製できる。アシル基は、医薬品に有用な他の天然アミノ酸及び/又はカルボン酸も含み得る。化合物は、一般的な合成技術を使用して、塩及びエステル形態でも調製できる。
【0184】
(実施例17)
模擬胃液(SGF)中での化合物安定性の評価。
化合物を、模擬胃液(SGF)中での安定性について評価した。SGF(400μg/mL)中の化合物の溶液を、37℃にて4hインキュベートした。試料のアリコートは、時間0及び時間4hにおいて、LC-MS/MS機器での濃度分析のために抜き取った。化合物の初期濃度(時間0で)を、1とみなし、4h時点における残りの化合物の濃度を計算し、初期濃度の割合として表現した。化合物1、4、5、15、16及び17に対する模範的な結果は、Table 5(表5)で示されている。
【0185】
【表5】
【0186】
(実施例18)
マウス全血中の化合物安定性の評価。
化合物を、マウス全血中における安定性についても評価した。新鮮なマウス血液中におけるテスト化合物の試料(1.44μMの濃度で)を、37℃にて4hインキュベートした。試料のアリコートは、標準的な試料の調製手順を用いた血液試料の分析試料への変換後に、LC-MS/MS機器で濃度分析するために、時間5min及び時間4hで抜き取った。化合物の具体的な回収は、念入りに評価せず、最適化した。試料を、未変化体及び治療化合物について分析した。Table 6(表6)は、化合物1、2、4、5、15、16、17及び29についての模範的な結果を示し、テスト化合物及び化合物1を、5min、及び/又は4hで分析した。
【0187】
【表6】
【0188】
(実施例19)
本発明の化合物の薬物動態学的研究の一般的方法。
本発明による化合物は、化合物が投与される特定の動物に望ましい用量及び投与体積により決定した濃度で水中に溶解する。計算された体積の投与溶液が、動物に投与される(PO、SQ、IP又はIV)。血液試料は、化合物を投与した後に、特定の時点(例えば10min.、30min.、1h、2h、4h、8h及び12h)で収集する。血液試料を、標準的技術を使用して血漿試料に変換する。脳試料も、完全に灌流した後で収集する。血漿及び/又は脳試料を分析して、関連化合物(例えば、投与化合物、治療化合物(例えば、薬物)及び代謝産物を含む)の濃度を決定した。
【0189】
(実施例20)
ICRマウスにおける本発明の化合物の薬物動態学的研究。
体重19から21gの雄ICRマウス42匹を、7群に無作為化する。動物に、強制経口投与によりテスト化合物水溶液を投与する。血液試料は、投与した後の時間0.167、0.5、1、2、4、8及び12hで、ヘパリン抗凝固剤を予め充填した管内に収集する。血液試料を遠心分離し、テスト化合物(投与される化合物、代謝産物及び/又はプロドラッグを含む)を分析するために、血漿試料を単離する。各動物から400μL血液試料を収集し、次いで動物をバルビツレート麻酔で眠らせ、生理食塩水を用いて、5mL/min.の速度で6min.灌流を行う(心臓の主要な静脈を介して)。脳を収集し、-40℃にて試料が分析されるまで保持する。血漿中のタンパク質を沈殿させ、分析試料をAB4000-Q-Trap UPLC-MS/MS機器で分析する。
【0190】
模範的な薬物動態学的研究の結果は、
図1及び
図2で提示されている。
図1は、3APS(天然存在比、すなわち非同位体濃縮)、化合物1及び化合物4を経口投与した後での血漿化合物濃度-時間曲線を示す。図では、
【0191】
【化11】
【0192】
及び
【0193】
【化12】
【0194】
で標識した曲線は、3APS(天然存在比)、化合物1及び4をそれぞれ投与した後での血漿薬物濃度を表し、
【0195】
【化13】
【0196】
で標識した曲線は、4を投与した後での血漿プロドラッグ濃度を表す。結果から、同位体濃縮化合物1及び4は、モル等量の経口用量で血漿薬物曝露を有意に改善し、4の投与後、薬物濃度のCmaxを2倍近く上昇させることが指し示される。更に、4(1のプロドラッグ)は、対象において1に容易に変換した(
図1)。更に、同位体濃縮化合物(1及び4)は薬物代謝を遅延させた。
【0197】
図2は、3APS(天然存在比)、化合物1及び化合物4を経口投与した後での、代謝産物(M、2-カルボキシ-1-エタンスルホン酸)の血漿中濃度を示し、
【0198】
【化14】
【0199】
及び
【0200】
【化15】
【0201】
で標識した曲線は、3APS(天然存在比)、1及び4をそれぞれ表す。2hの時点で、例えば、化合物1及び4からの血漿薬物濃度は、3APS(天然存在比)からのものより高いが、同位体濃縮化合物を投与した後での、血漿中における代謝産物の濃度は、3APS(天然存在比)の投与と比較して、はるかに低かった。
【0202】
(実施例21)
Sprague-Dawley(SD)ラットでの3APS(天然存在比)、化合物1及び化合物4の薬物動態学的研究。
薬物動態学的研究は、Sprague-Dawley(SD)ラットで行った。実験は、実施例21に記載されている同一のプロトコールを使用して行い、動物18匹を3群(各群に6匹、3APS(天然存在比)に1群、化合物1に1群、及び化合物4に他の群)に分けた。研究の主要なPKパラメータ及び結果は、Table 7(表7)で要約されている。
【0203】
【表7】
【0204】
(実施例22)
C57Bl6マウスでの化合物の薬物動態学的研究。
薬物動態学的研究をC57Bl6マウスで行った。実験は、実施例20に記載されているものと同一のプロトコールを使用して行った。各化合物に対して、動物42匹を使用した(時点ごとに動物6匹、時点を10min、0.5、1、2、4、8及び12hの7時点に振り分けた)。研究の主要なPKパラメータ及び結果は、Table 8(表8)で要約されている。
【0205】
【表8】
【0206】
(実施例23)
アルツハイマー病の動物モデルにおける本発明の化合物の効能。
APP/PS1トランスジェニックマウス(7ヶ月齢、雄及び雌の両方)100匹を、モデル対照、陽性対照、並びに、低、中及び高用量テスト群の5群(各群に20匹)に無作為化した。野生型C57BL/6Jマウス(7ヶ月齢、雄及び雌の両方)20匹の1群も、正常対照として使用した。研究室の環境に5日間適応させた後で、動物を、強制経口投与により1日1回、週に6日、3ヶ月連続して、ビヒクル、対照化合物又はテスト化合物でそれぞれ処置した。処置の終わりに、動物に、Y迷路テスト、Morris水迷路テスト、並びに、短期間及び長期間の記憶を測定するように設計されている他のテストを含む行動評価を施す。最終的に、動物を屠殺し、様々な生化学的及び分子的評価、例えばAβ(1〜40及び1〜42を含む、可溶性、プラーク及び全体)、P-タウ、GSK-3β、SYP、PSD95、NMDAR2B、p-NMDAR2B、CaMKII、p-CaMKII等、並びに、炎症及び関連した生理学的条件についての様々なパラメータを施す。
【0207】
(実施例24)
APP/PS1マウスの動物脳アミロイドプラークの画像解析。
二重トランスジェニックAPP/PS1マウス(詳細な説明、C57BL/6JNjuバックグラウンドのB6/JNju-Tg(APPswe、PSEN1dE9)/Nju)、4ヶ月齢を群に無作為化した。動物は、生理食塩水又は化合物4を用いて、170mg/kg(低用量)又は340mg/kg(高用量)の用量で、皮下注入により1日1回処置した。処置の持続時間は3ヶ月であった。研究の終わりに、動物に、400〜800mL/分のガス流量で1〜2%イソフルランを用いてMatrx小動物麻酔器(VIP 3000(登録商標)、MIDMARK社、USA)で麻酔をかけた。麻酔をかけた動物は、小動物用のPET/CTベッドに置き、イソフルランを供給し続けた。
18F-AV45は、必要に応じて生理食塩水で希釈し、希釈した
18F-AV45溶液を、尾静脈注入を介してテスト動物に投与した。各動物に、100±20μCiの用量で
18F-AV45を与えた。PET/CTダイナミックスキャンは、注入の直後に記録し、スキャニングエネルギーウィンドウを350〜650Kevにセットして30min続けた。収集した生データを加工し、画像の再構成を行った、再構成アルゴリズム、OSEM 3D、反復数2回。次いで、画像及びデータをPMODソフトウェアで加工した。脳領域に対する加工した画像は、写真として提示し(
図3)、%ID/g(グラム当たりの放射能取り込み速度)について計算したデータをグラフとして示した(
図4)。
【0208】
図3により、低用量(170mg/kg)の化合物4で処置したAPP/PS1マウスでは、アミロイドプラーク形成は、明確にはるかに少なく、高用量(340mg/kg)の化合物4で処置した動物では、アミロイドプラークを減少させる効果が更に増幅したことが示される。
【0209】
図4により、化合物4で処置したAPP/PS1マウスにおいて、放射能取り込みは少なく、放射能取り込みの低減は用量依存的であったことが示される。
【0210】
本発明は、それらの実施形態について詳細に記載されているが、これらの実施形態は、本発明を例証するように示されるものの、限定しない。本発明の原理を用いる他の実施形態を作ることが可能であり、これは、本明細書に付記されている特許請求の範囲により定義される精神及び範囲の範疇である。
【0211】
本明細書で引用されるすべての文書及び文献の内容は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。