特許第6793862号(P6793862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6793862
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20201119BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20201119BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F25B49/02 520D
   F25B49/02 520E
   F25B49/02 570C
   F25B49/02 570Z
   F25B49/02 510H
   F25B1/00 101E
   F25B5/02 510Z
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-3652(P2020-3652)
(22)【出願日】2020年1月14日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 康敬
(72)【発明者】
【氏名】田崎 宣明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 冬樹
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−287071(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/102538(WO,A1)
【文献】 特開2017−125654(JP,A)
【文献】 特開2011−220624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00,5/02,49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、
前記凝縮器の出口側の過冷却度と、前記蒸発器の出口側の過熱度あるいは前記圧縮機の吸入側の過熱度とに基づいて、前記冷媒の漏れまたは前記絞り装置の異常が発生しているかどうかを判定する制御装置と、を備え
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値未満である場合、前記絞り装置の異常が発生していると判定する
冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値以上である場合、前記冷媒の漏れが発生していると判定する
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、
前記凝縮器の出口側の過冷却度と、前記蒸発器の出口側の過熱度あるいは前記圧縮機の吸入側の過熱度とに基づいて、前記冷媒の漏れまたは前記絞り装置の異常が発生しているかどうかを判定する制御装置と、
前記圧縮機および前記凝縮器を有する室外機と、
前記絞り装置および前記蒸発器を有し、前記室外機に対して並列に接続された複数の室内機と、を備え、
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、前記複数の室内機のうち全ての前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値以上である場合、前記冷媒の漏れが発生していると判定する
凍サイクル装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、前記複数の室内機のうち少なくとも一つの前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値未満である場合、前記絞り装置の異常が発生していると判定する
請求項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、
前記凝縮器の出口側の過冷却度と、前記蒸発器の出口側の過熱度あるいは前記圧縮機の吸入側の過熱度とに基づいて、前記冷媒の漏れまたは前記絞り装置の異常が発生しているかどうかを判定する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第三閾値未満である場合、前記絞り装置の異常が発生していると判定する
凍サイクル装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第三閾値以上である場合、前記冷媒の漏れが発生していると判定する
請求項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、
前記凝縮器と前記絞り装置との間の配管と、前記蒸発器と前記圧縮機との間の配管とを接続するバイパス配管と、
前記バイパス配管に設けられたバイパス弁と、
前記凝縮器の出口側の過冷却度と、前記圧縮機の吸入側の過熱度とに基づいて、前記冷媒の漏れまたは前記絞り装置の異常あるいは前記バイパス弁の異常が発生しているかどうかを判定する制御装置と、を備え
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値未満である場合、前記絞り装置の異常あるいは前記バイパス弁の異常が発生していると判定する
冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値以上である場合、前記冷媒の漏れが発生していると判定する
請求項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値未満である場合であって、
前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値以上である場合、前記バイパス弁の異常が発生していると判定する
請求項7または8に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値未満である場合であって、
前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値未満である場合、前記絞り装置の異常が発生していると判定する
請求項7〜9のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記圧縮機および前記凝縮器を有する室外機と、
前記絞り装置および前記蒸発器を有し、前記室外機に対して並列に接続された複数の室内機と、を備え、
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値未満である場合であって、
前記複数の室内機のうち全ての前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値以上である場合、前記バイパス弁の異常が発生していると判定する
請求項7または8に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項12】
前記制御装置は、
前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、前記圧縮機の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値未満である場合であって、
前記複数の室内機のうち少なくとも一つの前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値未満である場合、前記絞り装置の異常が発生していると判定する
請求項11に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項13】
前記圧縮機の吸入側に設けられた第一温度センサと、
前記圧縮機の吸入側に設けられた第一圧力センサと、を備え、
前記制御装置は、
前記第一温度センサの検知温度と前記第一圧力センサの検知圧力とに基づいて前記圧縮機の吸入側の過熱度を算出する
請求項1〜12のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項14】
前記蒸発器の入口側に設けられた第三温度センサと、
前記蒸発器の出口側に設けられた第四温度センサと、を備え、
前記制御装置は、
前記第三温度センサの検知温度と前記第四温度センサの検知温度とに基づいて前記蒸発器の出口側の過熱度を算出する
請求項1〜13のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項15】
前記凝縮器に設けられた第五温度センサと、
前記凝縮器の出口側に設けられた第六温度センサと、を備え、
前記第五温度センサの検知温度と前記第六温度センサの検知温度とに基づいて前記凝縮器の出口側の過冷却度を算出する
請求項1〜14のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項16】
異常原因を報知する報知部を備えた
請求項1〜15のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル回路を備えた冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和装置の冷凍サイクル回路内の冷媒量の過不足の判定を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の判定方法は、冷凍サイクル回路の冷媒量の変化を実質的に凝縮器の冷媒量の変化として捉えて、冷凍サイクル回路内の冷媒量の過不足の判定を行う方法である。特に、過冷却度は、凝縮器内の配管に溜まり込む液冷媒量と強い相関があり、冷媒量判定の重要な指標となる。また、冷凍サイクル回路内の冷媒量が不足している場合は、過冷却度が小さくなる。そこで、この判定を行うために、凝縮器の出口側の過冷却度が用いられている。また、この判定方法を利用して、過冷却度の大きさがあらかじめ設定された閾値以下であった場合、冷媒漏れが発生していると見なすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−186170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
過冷却度は、冷凍サイクル回路を構成する絞り装置が開状態のまま動作不良となる開ロック状態においても、小さくなる場合がある。そのため、特許文献1に記載の判定方法を用いて冷媒漏れを判定する場合、凝縮器の出口側の過冷却度に基づいて冷媒漏れを判定するため、開ロック状態となる絞り装置異常においては、実際に冷媒漏れではないのに冷媒漏れと誤判定してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、冷媒漏れの誤判定を防止することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、前記凝縮器の出口側の過冷却度と、前記蒸発器の出口側の過熱度あるいは前記圧縮機の吸入側の過熱度とに基づいて、前記冷媒の漏れまたは前記絞り装置の異常が発生しているかどうかを判定する制御装置と、を備え、前記凝縮器の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、前記蒸発器の出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値未満である場合、前記絞り装置の異常が発生していると判定するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、凝縮器の出口側の過冷却度と、蒸発器の出口側の過熱度あるいは圧縮機の吸入側の過熱度とに基づいて、冷媒の漏れまたは絞り装置の異常が発生しているかどうかを判定する。このように、凝縮器の出口側の過冷却度に基づいて、異常が発生しているかどうかを判定する。そして、異常が発生していると判定した場合に、蒸発器の出口側の過熱度あるいは圧縮機の吸入側の過熱度に基づいて、冷媒の漏れおよび絞り装置の異常のどちらが発生しているかを判定する。そのため、冷媒の漏れの誤判定を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の正常時のp−h線図である。
図3】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の冷媒漏れ発生時のp−h線図である。
図4】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の絞り装置異常発生時のp−h線図である。
図5】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の変形例の構成を示す図である。
図7】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の変形例の異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の変形例の室内機が複数ある場合における構成を示す図である。
図9】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の変形例の室内機が複数ある場合における異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の構成を示す図である。
図11】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置のバイパス弁異常発生時のp−h線図である。
図12】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
図13】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の室内機が複数の場合における構成を示す図である。
図14】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の室内機が複数の場合における異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す図である。
実施の形態1では、冷凍サイクル装置100として、図1に示すように、1台の室外機10に対して1台の室内機20が液管41およびガス管42(以下、冷媒配管と称する)で接続され、冷房運転を行う空気調和装置を例示している。なお、図1では冷凍サイクル装置100が1台の室内機20を備えた構成を示しているが、複数の室内機20を備えた構成でもよく、その場合は、室外機10に対して各室内機20が冷媒配管で並列に接続される。
【0012】
室外機10は、圧縮機11と、室外熱交換器(以下、凝縮器とも称する)12と、圧縮機吸入温度センサ(以下、第一温度センサとも称する)51と、凝縮器二相温度センサ(以下、第五温度センサとも称する)52と、凝縮器出口温度センサ53(以下、第六温度センサとも称する)と、低圧圧力センサ(以下、第一圧力センサとも称する)54とを備えている。
【0013】
室内機20は、絞り装置21と、室内熱交換器(以下、蒸発器とも称する)22と、蒸発器入口温度センサ(以下、第三温度センサとも称する)57と、蒸発器出口温度センサ(以下、第四温度センサとも称する)58とを備えている。
【0014】
冷凍サイクル装置100は、圧縮機11、室外熱交換器12、絞り装置21、室内熱交換器22が冷媒配管で環状に接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路1を備えている。なお、冷凍サイクル回路1には、四方弁などの流路切替装置が接続されている構成でもよく、そのような構成にすることで、冷房運転に加えて暖房運転を行うことが可能となる。
【0015】
また、冷凍サイクル装置100は、制御装置30と、報知部36と、運転モード切替部37とを備えており、制御装置30には、報知部36および運転モード切替部37がそれぞれ接続されている。なお、報知部36および運転モード切替部37は、制御装置30の一部として制御装置30に備えられていてもよい。
【0016】
圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する流体機械である。圧縮機11が動作すると、冷凍サイクル回路1内を冷媒が循環する。圧縮機11は、例えば運転周波数の調整が可能なインバータ駆動式である。また、圧縮機11の動作は、制御装置30によって制御される。
【0017】
室外熱交換器12は、冷媒と室外空気との熱交換を行うものであり、凝縮器として機能する。室外熱交換器12の近傍にファン(図示せず)を設けてもよく、その場合はファンの回転数を変化させることにより風量を変化させ、室外空気への放熱量つまり熱交換量を変化させることができる。
【0018】
絞り装置21は、冷媒を断熱膨張させるものである。絞り装置21は、例えば電子式膨張弁あるいは温度式膨張弁などである。絞り装置21の開度は、室内熱交換器22の出口側の過熱度が目標値に近づくように、制御装置30によって制御される。
【0019】
室内熱交換器22は、冷媒と室内空気との熱交換を行うものであり、蒸発器として機能する。室内熱交換器22の近傍にファン(図示せず)を設けてもよく、その場合はファンの回転数を変化させることにより風量を変化させ、室内空気からの吸熱量つまり熱交換量を変化させることができる。
【0020】
圧縮機吸入温度センサ51は、圧縮機11の吸入側に設けられており、圧縮機11の吸入側の温度を検知し、検知信号を制御装置30に出力する。凝縮器二相温度センサ52は、室外熱交換器12を構成する配管の中間位置に設けられており、凝縮器として機能する室外熱交換器12を流れる二相冷媒の温度を検知し、検知信号を制御装置30に出力する。凝縮器出口温度センサ53は、室外熱交換器12と絞り装置21との間に設けられており、凝縮器として機能する室外熱交換器12の出口側の温度を検知し、検知信号を制御装置30に出力する。
【0021】
蒸発器入口温度センサ57は、絞り装置21と室内熱交換器22との間に設けられており、蒸発器として機能する室内熱交換器22の入口側の温度を検知し、検知信号を制御装置30に出力する。蒸発器出口温度センサ58は、室内熱交換器22と圧縮機11との間に設けられており、蒸発器として機能する室内熱交換器22の出口側の温度を検知し、検知信号を制御装置30に出力する。
【0022】
低圧圧力センサ54は、圧縮機11の吸入側に設けられており、圧縮機11の吸入側の圧力を検知し、検知信号を制御装置30に出力する。
【0023】
制御装置30は、例えば、専用のハードウェア、または後述する記憶部31に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成される。
【0024】
制御装置30が専用のハードウェアである場合、制御装置30は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御装置30が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。
【0025】
制御装置30がCPUの場合、制御装置30が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、記憶部31に格納される。CPUは、記憶部31に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置30の各機能を実現する。
【0026】
なお、制御装置30の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0027】
制御装置30は、冷凍サイクル装置100に設けられた各種センサからの検知信号、および、操作部(図示せず)からの操作信号などに基づいて、圧縮機11および絞り装置21などを制御し、冷凍サイクル装置100全体の動作を制御する。なお、制御装置30は、室外機10あるいは室内機20の内部に設けられていてもよいし、室外機10および室内機20の外部に設けられていてもよい。
【0028】
制御装置30は、異常判定を行う機能ブロックとして、記憶部31と、抽出部32と、演算部33と、比較部34と、判定部35とを備えている。ここで、異常判定とは、冷凍サイクル装置100において、冷媒の漏れ(以下、冷媒漏れと称する)あるいは絞り装置21の異常(以下、絞り装置異常と称する)が発生しているかどうかを判定することである。なお、絞り装置異常とは、絞り装置21が開いたまま固着したり、絞り装置21のコイルが機能不全になったりして、絞り装置21が開状態のまま動作不良となる開ロック状態になることである。
【0029】
記憶部31は、各種情報を記憶するものであり、例えば、フラッシュメモリ、EPROM、および、EEPROMなどの、データの書き換え可能な不揮発性の半導体メモリを備えている。なお、記憶部31は、その他に、例えばROMなどのデータの書き換え不可能な不揮発性の半導体メモリ、あるいは、RAMなどのデータの書き換え可能な揮発性の半導体メモリなどを備えていてもよい。記憶部31は、各種センサのそれぞれで検知された温度データおよび圧力データを記憶する。なお、これら温度データおよび圧力データは、冷凍サイクル装置100の運転中に定期的に取得される。また、記憶部31には、異常判定に必要な各種データ、例えば後述する値X、Y、Zなどが記憶されている。
【0030】
抽出部32は、記憶部31に記憶されたデータの中から、異常判定に必要となるデータを抽出するものである。ここで、絞り装置異常が発生しているかどうかの判定には、圧縮機11が動作しているときのデータが用いられる。これは、圧縮機11が動作していないときには、絞り装置異常が発生しているかどうかの判定を正しく行うことができないためである。
【0031】
演算部33は、抽出部32で抽出されたデータに基づき、必要な演算を行うものである。
【0032】
比較部34は、演算部33での演算により得られた値とあらかじめ設定された閾値などとの比較、あるいは演算部33での演算により得られた値同士の比較を行うものである。
【0033】
判定部35は、比較部34での比較結果に基づき、冷媒漏れあるいは絞り装置異常が発生しているかどうかの判定を行うものである。
【0034】
報知部36は、制御装置30からの指令により、異常発生などの各種情報を報知するものである。報知部36は、情報を視覚的に報知する表示手段、および、情報を聴覚的に報知する音声出力手段のうち、少なくとも一方を備えている。
【0035】
運転モード切替部37は、ユーザーによる運転モードの切替操作を受け付けるものである。運転モード切替部37で運転モードの切替操作が行われると、運転モード切替部37から制御装置30に対して信号が出力され、制御装置30は、その信号に基づいて運転モードを切り替える。制御装置30は、運転モードとして、少なくとも通常運転モードと異常検知モードとを有している。
【0036】
次に、冷凍サイクル装置100の通常運転モード時の動作について説明する。なお、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100では、通常運転モードでは冷房運転が行われる。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、室外熱交換器12に流入し、そこで室外空気と熱交換し、凝縮して高圧の液冷媒となる。その後、高圧の液冷媒は、絞り装置21によって断熱膨張し、低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、室内熱交換器22に流入し、そこで室内空気と熱交換し、蒸発して低温低圧のガス冷媒となる。その後、低温低圧のガス冷媒は、圧縮機11に吸入され、再度圧縮される。
【0037】
室内機20の空調能力を変更する方法として、室内熱交換器22の出口側の過熱度を制御する方法が挙げられる。この方法では、室内機20で所望の空調能力が得られるようにするため、室内熱交換器22の出口側の過熱度が目標値と同じになるように、絞り装置21の開度が調節される。なお、室内熱交換器22での熱交換量は、過熱度の大小に応じて変化する。そのため、必要な空調能力に応じて室内熱交換器22の出口側の過熱度の目標値を設定することにより、室内機20が所望の空調能力を発揮する。
【0038】
室内機20の設定温度と室内温度との温度差が大きい場合、室内熱交換器22の出口側の過熱度の目標値は小さい値に設定される。一方、室内機20の設定温度と室内温度との温度差が小さい場合、室内熱交換器22の出口側の過熱度の目標値は大きい値に設定される。そして、絞り装置21の開度は、室内熱交換器22の出口側の過熱度が目標値に近づくように調節される。これにより、必要な量の冷媒が室内熱交換器22に供給される。
【0039】
なお、上記の室内機20の空調能力を変更する方法では、室内熱交換器22の出口側の過熱度の目標値を、設定温度と室内温度との温度差に応じて変えているが、それに限定されず、設定温度と室内温度との温度差によらず一定としてもよい。
【0040】
次に、冷凍サイクル装置100の異常判定方法について説明する。冷凍サイクル装置100の、正常時、冷媒漏れ発生時、および、絞り装置異常発生時では、室外熱交換器12の出口側の過冷却度(以下、凝縮器出口過冷却度SCと称する)、圧縮機11の吸入側の過熱度(以下、圧縮機吸入過熱度SHと称する)、および、室内熱交換器22の出口側の過熱度(以下、蒸発器出口過熱度SHICと称する)のいずれかの値に違いが生じる。そこで、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100では、これらの値を用いて異常判定を行う。
【0041】
なお、圧縮機吸入過熱度SHは、圧縮機吸入温度センサ51の検知温度から低圧圧力センサ54の検知圧力から換算される蒸発温度を減算することにより、算出される。また、凝縮器出口過冷却度SCは、凝縮器二相温度センサ52の検知温度から凝縮器出口温度センサ53の検知温度を減算することにより、算出される。また、蒸発器出口過熱度SHICは、蒸発器入口温度センサ57の検知温度から蒸発器出口温度センサ58の検知温度を減算することにより、算出される。なお、凝縮器出口過冷却度SCの算出には、凝縮器二相温度センサ52の検知温度から凝縮器出口温度センサ53の検知温度を減算する例を記載したが、それに限定されない。例えば、凝縮器二相温度センサ52の代わりに高圧側に圧力センサを設け、その圧力センサの検知圧力から換算される飽和液温度から、凝縮器出口温度センサ53の検知温度を減算して凝縮器出口過冷却度SCを算出してもよい。
【0042】
次に、冷凍サイクル装置100の、正常時、冷媒漏れ発生時、および、絞り装置異常発生時の差異について説明する。
【0043】
図2は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の正常時のp−h線図である。
図2に示すように、正常時では、蒸発器出口過熱度SHICが目標値である値Zと同じになるように絞り装置21の開度が調節される。そのため、冷媒配管などで放熱がない理想形では圧縮機吸入過熱度SH=蒸発器出口過熱度SHICとなるが、冷媒配管での放熱などを考慮すると、圧縮機吸入過熱度SHが放熱などを加味した値Yを示す。また、冷凍サイクル装置100を高効率で運転させるため、凝縮器出口過冷却度SCがあらかじめ設定された値Xより大きくなるように冷媒が充填される。よって、正常時では、凝縮器出口過冷却度SC>X、蒸発器出口過熱度SHIC=Z、圧縮機吸入過熱度SH=Yとなる。なお、値Zは、例えば5であり、必要な空調能力に応じて設定される値である。また、値Yは、例えば6であり、値Zに放熱などを加味して設定される値である。また、値Xは、例えば10であり、運転効率がよくなるように設定される値である。
【0044】
図3は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の冷媒漏れ発生時のp−h線図である。
図3に示すように、冷媒漏れが発生すると、液冷媒が減少し、凝縮器出口過冷却度SCが低下する。そして、凝縮器出口過冷却度SCの低下により、蒸発器出口過熱度SHICが上昇しやすくなるため、絞り装置21の開度に裕度がある場合はその開度を大きくすることで、蒸発器出口過熱度SHICを値Zに維持する。しかし、絞り装置21の開度が最大となり開度に裕度がない場合は、蒸発器出口過熱度SHICが徐々に上昇し、圧縮機吸入過熱度SH、圧縮機11の吐出側の温度、および、圧縮機11の吐出側の過熱度も上昇する。よって、冷媒漏れ発生時では、凝縮器出口過冷却度SC≦X、蒸発器出口過熱度SHIC≧Z、圧縮機吸入過熱度SH≧Yとなる。
【0045】
図4は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の絞り装置異常発生時のp−h線図である。
図4に示すように、絞り装置異常が発生すると、絞り装置21が開いたまま制御不能となるため、蒸発器出口過熱度SHICが値Zから離れた値となる。そして、絞り装置21が、蒸発器出口過熱度SHICが値Zとなる開度よりも大きく開いた状態で制御不能となると、蒸発器出口過熱度SHICは値Zよりも小さくなる。このように、絞り装置21が、蒸発器出口過熱度SHICが値Zとなる開度よりも大きく開いた状態で制御不能となると、高圧の液冷媒が低圧側に移動し、圧縮機11の吸入側の冷媒および圧縮機11の吐出側の冷媒が湿りやすくなる。よって、絞り装置異常発生時では、凝縮器出口過冷却度SC≦X、蒸発器出口過熱度SHIC<Z、圧縮機吸入過熱度SH<Yとなる。
【0046】
図5は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
異常検知モードでは、冷媒漏れあるいは絞り装置異常が発生しているかどうかの判定が行われる。制御装置30は、異常検知モード時に、図5に示す異常判定の処理を所定の時間間隔で繰り返し実行する。なお、通常運転モード時にも、図5に示す異常判定の処理が実行される構成としてもよい。以下、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の異常検知モード時の制御の流れについて、図5を用いて説明する。
【0047】
(ステップS100)
制御装置30は、除霜運転あるいは圧縮機11の保護運転などを除いた、いわゆる定常運転中かどうかを判定する。制御装置30が、定常運転中であると判定した場合(YES)、ステップS101の処理に進む。一方、制御装置30が、定常運転中ではないと判定した場合(NO)、異常判定の処理を終了する。このように、定常運転中ではない場合に異常判定の処理を終了するのは、定常運転中以外に異常判定の処理を実行しても、異常判定を正しく行うことができないためである。
【0048】
(ステップS101)
制御装置30は、凝縮器出口過冷却度SCが値X以下であるかどうかを判定する。この判定では、冷媒漏れあるいは絞り装置異常が発生しているかどうかを判定している。制御装置30が、凝縮器出口過冷却度SCが値X以下であると判定した場合(YES)、ステップS102の処理に進む。一方、制御装置30が、凝縮器出口過冷却度SCが値X以下ではないと判定した場合(NO)、ステップS105の処理に進む。
【0049】
(ステップS102)
制御装置30は、圧縮機吸入過熱度SHが値Y以上であるかどうかを判定する。この判定では、冷媒漏れおよび絞り装置異常のどちらが発生しているかを判定している。制御装置30が、圧縮機吸入過熱度SHが値Y以上であると判定した場合(YES)、ステップS103の処理に進む。一方、制御装置30が、圧縮機吸入過熱度SHが値Y以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS104の処理に進む。
【0050】
(ステップS103)
制御装置30は、報知部36により、冷媒漏れが発生している旨を報知する。
【0051】
(ステップS104)
制御装置30は、報知部36により、絞り装置異常が発生している旨を報知する。
【0052】
(ステップS105)
制御装置30は、報知部36により、正常である旨を報知する。なお、ステップS105の処理は省略してもよい。
【0053】
ここで、室外機10に対して室内機20が複数接続されている場合でも、上記と同様の処理となる。
【0054】
図6は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の変形例の構成を示す図である。
図6に示すように、室外機10は、圧縮機吸入温度センサ51と低圧圧力センサ54とを備えていない構成でもよい。それ以外は、図1に示した構成と同じである。このように、室外機10が圧縮機吸入温度センサ51と低圧圧力センサ54とを備えていない構成であっても、異常判定の処理を実行することができるため、部品点数を削減することができる。
【0055】
図7は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の変形例の異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
以下、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の変形例の異常検知モード時の制御の流れについて、図7を用いて説明する。ただし、ステップS100、S101、S103〜S105についてはすでに説明したものと同じ処理のため、それらの説明を省略する。ただし、図7のステップS101では、上記のステップS101の説明において、「ステップS102の処理に進む。」を「ステップS102Aの処理に進む。」に読み替えるものとする。
【0056】
(ステップS102A)
制御装置30は、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上であるかどうかを判定する。この判定では、冷媒漏れおよび絞り装置異常のどちらが発生しているかを判定している。制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上であると判定した場合(YES)、ステップS103の処理に進む。一方、制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS104の処理に進む。
【0057】
図8は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の変形例の室内機20が複数ある場合における構成を示す図である。図9は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の変形例の室内機20が複数ある場合における異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。なお、図8では制御装置30、報知部36、および、運転モード切替部37の図示を省略している。
【0058】
以下、図8に示すように、室外機10に対して室内機20が複数接続されている場合における異常検知モード時の制御の流れについて、図9を用いて説明する。ただし、ステップS100、S101、S103、S105についてはすでに説明したものと同じ処理のため、それらの説明を省略する。ただし、図9のステップS101では、上記のステップS101の説明において、「ステップS102の処理に進む。」を「ステップS111の処理に進む。」に読み替えるものとする。
【0059】
(ステップS111)
制御装置30は、nに初期値である1を設定するとともに、フラグリセットを行う。ここで、複数の室内機20は、それぞれ初期値から順番に異なる番号が付されており、nは室内機20の番号に対応している。また、フラグリセットとは、各室内機20に対応して設けられたフラグを全てOFFに設定する。なお、nおよび各フラグは例えば記憶部31に記憶される。
【0060】
(ステップS112)
制御装置30は、蒸発器出口過熱度SHICnが値Z以上であるかどうかを判定する。ここで、蒸発器出口過熱度SHICnは、n番目の室内機20の室内熱交換器22の出口側の過熱度である。この判定では、対象となる室内機20であるn番目の室内機20に絞り装置異常が発生しているかどうかを判定している。制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上であると判定した場合(YES)、ステップS115の処理に進む。一方、制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS113の処理に進む。
【0061】
(ステップS113)
制御装置30は、n番目の室内機20に対応したフラグをONに設定する。こうすることにより、制御装置30は、どの室内機20に絞り装置異常が発生しているのか判定することができる。つまり、制御装置30は、フラグがONとなっている番号の室内機20に絞り装置異常が発生していると判定することができる。
【0062】
(ステップS114)
制御装置30は、nに1を加算する。これは、ステップS112の判定を行うに際し、対象となる室内機20を次の番号の室内機20に変更するためである。
【0063】
(ステップS115)
制御装置30は、nが室内機20の数であるNより大きいかどうかを判定する。この判定では、全ての室内機20に対して絞り装置異常が発生しているかどうかの判定を行ったかどうかを判定している。制御装置30が、nがNより大きいと判定した場合(YES)、ステップS116の処理に進む。一方、制御装置30が、nがNより大きくないと判定した場合(NO)、ステップS112の処理に戻る。
【0064】
(ステップS116)
制御装置30は、ONに設定されているフラグがあるかどうかを判定する。制御装置30が、ONに設定されているフラグが1つでもあると判定した場合(YES)、ステップS117の処理に進む。一方、制御装置30が、ONに設定されているフラグが1つもないと判定した場合(NO)、ステップS103の処理に進む。
【0065】
(ステップS117)
制御装置30は、報知部36により、絞り装置異常が発生している旨、および絞り装置異常が発生している室内機20の番号を報知する。
【0066】
このように、実施の形態1の図5および図7の態様では、室内機20が複数設けられている場合に、絞り装置異常が発生している室内機20を特定することができないが、図9に示す実施の形態1の変形例では、絞り装置異常が発生している室内機20を特定することができる。
【0067】
以上、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100は、圧縮機11、凝縮器12、絞り装置21、蒸発器22が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路1と、凝縮器12の出口側の過冷却度と、蒸発器22の出口側の過熱度あるいは圧縮機11の吸入側の過熱度とに基づいて、冷媒漏れまたは絞り装置異常が発生しているかどうかを判定する制御装置30と、を備えたものである。
【0068】
実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100によれば、凝縮器12の出口側の過冷却度と、蒸発器22の出口側の過熱度あるいは圧縮機11の吸入側の過熱度とに基づいて、冷媒漏れまたは絞り装置異常が発生しているかどうかを判定する。このように、凝縮器12の出口側の過冷却度に基づいて、異常が発生しているかどうかを判定する。そして、異常が発生していると判定した場合に、蒸発器22の出口側の過熱度あるいは圧縮機11の吸入側の過熱度に基づいて、冷媒漏れおよび絞り装置異常のどちらが発生しているかを判定する。そのため、冷媒漏れの誤判定を防止することができる。
【0069】
また、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100は、異常原因を報知する報知部36を備えたものである。実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100によれば、異常原因を正確に特定し、それを報知部36により報知することで、冷凍サイクル装置100を早期に復旧させることができるため、冷凍サイクル装置100の故障期間を短縮することができる。
【0070】
また、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100は、圧縮機11および凝縮器12を有する室外機10と、絞り装置21および蒸発器22を有し、室外機10に対して並列に接続された複数の室内機20と、を備えている。そして、制御装置30は、凝縮器12の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、複数の室内機20のうち全ての蒸発器22の出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値以上である場合、冷媒漏れが発生していると判定する。また、制御装置30は、凝縮器12の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第一閾値以下で、かつ、複数の室内機20のうち少なくとも一つの蒸発器22の出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値未満である場合、絞り装置異常が発生していると判定する。なお、第一閾値は、上記の値Xに相当し、第二閾値は上記の値Zに相当する。
【0071】
実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100によれば、出口側の過熱度があらかじめ設定された第二閾値未満である蒸発器22を有する室内機20に絞り装置異常が発生していると判定することができるため、室内機20を複数備えた場合であっても、絞り装置異常が発生している室内機20を特定することができる。
【0072】
実施の形態2.
以下、実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0073】
図10は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す図である。
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100では、室外機10が、バイパス配管13と、バイパス弁14とを備えている。バイパス配管13は、室外熱交換器12と絞り装置21とを接続する冷媒配管と、室内熱交換器22と圧縮機11とを接続する冷媒配管とに接続され、室外熱交換器12の出口側の冷媒を圧縮機11の吸入側にバイパスするものである。バイパス弁14は、バイパス配管13に設けられ、バイパス配管13を流れる冷媒を断熱膨張させるものである。バイパス弁14は、例えば電子式膨張弁あるいは温度式膨張弁などである。
【0074】
バイパス弁14は、圧縮機11の吐出側の圧力あるいは温度の上昇を抑制するために用いられる。バイパス弁14は、例えば、圧縮機11の吐出側の圧力あるいは温度が上昇しすぎた場合に開かれる。そして、室外熱交換器12の出口側の冷媒を、バイパス配管13を介して圧縮機11の吸入側に一時的に移動させることで、圧縮機11の吐出側の圧力あるいは温度の上昇が抑制される。
【0075】
なお、冷凍サイクル装置100のその他の構成は実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0076】
バイパス弁14に異常が発生した場合、凝縮器出口過冷却度SC、蒸発器出口過熱度SHIC、および、圧縮機吸入過熱度SHのいずれかの値に、正常時と比べて違いが生じる。そこで、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100では、これらの値を用いて異常判定を行う。ここで、バイパス弁14の異常(以下、バイパス弁異常と称する)とは、バイパス弁14が開いたまま固着したり、バイパス弁14のコイルが機能不全になったりして、バイパス弁14が開状態のまま動作不良となる開ロック状態になることである。
【0077】
図11は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100のバイパス弁異常発生時のp−h線図である。
図11に示すように、バイパス弁異常が発生すると、バイパス弁14が開いたまま制御不能となるため、室外熱交換器12の出口側の高圧冷媒が、低圧側である圧縮機11の吐出側に移動し、圧縮機11の吸入側の冷媒および圧縮機11の吐出側の冷媒が湿りやすくなる。その結果、凝縮器出口過冷却度SCおよび圧縮機吸入過熱度SHが低下し、圧縮機11の吐出側の温度および過熱度も低下する。このとき、室外熱交換器12に高圧の液冷媒がなくなることから、蒸発器出口過熱度SHICが大きくなりやすくなる。絞り装置21の開度に裕度がある場合はその開度を大きくすることで、蒸発器出口過熱度SHICを値Zに維持する。しかし、絞り装置21の開度が最大となり開度に裕度がない場合は、蒸発器出口過熱度SHICが徐々に上昇する。よって、バイパス弁異常発生時では、凝縮器出口過冷却度SC≦X、蒸発器出口過熱度SHIC≧Z、圧縮機吸入過熱度SH<Yとなる。
【0078】
図12は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。
異常検知モードでは、冷媒漏れ、絞り装置異常、あるいは、バイパス弁異常が発生しているかどうかの判定が行われる。制御装置30は、異常検知モード時に、図12に示す異常判定の処理を所定の時間間隔で繰り返し実行する。なお、通常運転モード時にも、図12に示す異常判定の処理が実行される構成としてもよい。以下、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の異常検知モード時の制御の流れについて、図12を用いて説明する。
【0079】
(ステップS300)
制御装置30は、除霜運転あるいは圧縮機11の保護運転などを除いた、いわゆる定常運転中かどうかを判定する。制御装置30が、定常運転中であると判定した場合(YES)、ステップS301の処理に進む。一方、制御装置30が、定常運転中ではないと判定した場合(NO)、異常判定の処理を終了する。このように、定常運転中ではない場合に異常判定の処理を終了するのは、定常運転中以外に異常判定の処理を実行しても、異常判定を正しく行うことができないためである。
【0080】
(ステップS301)
制御装置30は、凝縮器出口過冷却度SCが値X以下であるかどうかを判定する。この判定では、冷媒漏れ、絞り装置異常、あるいはバイパス弁異常が発生しているかどうかを判定している。制御装置30が、凝縮器出口過冷却度SCが値X以下であると判定した場合(YES)、ステップS302の処理に進む。一方、制御装置30が、凝縮器出口過冷却度SCが値X以下ではないと判定した場合(NO)、ステップS307の処理に進む。
【0081】
(ステップS302)
制御装置30は、圧縮機吸入過熱度SHが値Y以上であるかどうかを判定する。この判定では、冷媒漏れおよび絞り装置異常あるいはバイパス弁異常のどちらが発生しているかを判定している。制御装置30が、圧縮機吸入過熱度SHが値Y以上であると判定した場合(YES)、ステップS304の処理に進む。一方、制御装置30が、圧縮機吸入過熱度SHが値Y以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS303の処理に進む。
【0082】
(ステップS303)
制御装置30は、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上であるかどうかを判定する。この判定では、絞り装置異常およびバイパス弁異常のどちらが発生しているかを判定している。制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上であると判定した場合(YES)、ステップS305の処理に進む。一方、制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS306の処理に進む。
【0083】
(ステップS304)
制御装置30は、報知部36により、冷媒漏れが発生している旨を報知する。
【0084】
(ステップS305)
制御装置30は、報知部36により、バイパス弁異常が発生している旨を報知する。
【0085】
(ステップS306)
制御装置30は、報知部36により、絞り装置異常が発生している旨を報知する。
【0086】
(ステップS307)
制御装置30は、報知部36により、正常である旨を報知する。なお、ステップS307の処理は省略してもよい。
【0087】
図13は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の室内機20が複数の場合における構成を示す図である。図14は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100の室内機20が複数の場合における異常検知モード時の制御の流れを示すフローチャートである。なお、図13では制御装置30、報知部36、および、運転モード切替部37の図示を省略している。
【0088】
以下、図13に示すように、室外機10に対して室内機20が複数接続されている場合における異常検知モード時の制御の流れについて、図14を用いて説明する。ただし、ステップS300〜S302、S305、S307についてはすでに説明したものと同じ処理のため、それらの説明を省略する。ただし、図14のステップS302では、上記のステップS302の説明において、「ステップS303の処理に進む。」を「ステップS311の処理に進む。」に読み替えるものとする。
【0089】
(ステップS311)
制御装置30は、nに初期値である1を設定するとともに、フラグリセットを行う。ここで、複数の室内機20は、それぞれ初期値から順番に異なる番号が付されており、nは室内機20の番号に対応している。また、フラグリセットとは、各室内機20に対応して設けられたフラグを全てOFFに設定する。なお、nおよび各フラグは例えば記憶部31に記憶される。
【0090】
(ステップS312)
制御装置30は、蒸発器出口過熱度SHICnが値Z以上であるかどうかを判定する。ここで、蒸発器出口過熱度SHICnは、n番目の室内機20の室内熱交換器22の出口側の過熱度である。この判定では、対象となる室内機20であるn番目の室内機20に絞り装置異常が発生しているかどうかを判定している。制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上であると判定した場合(YES)、ステップS315の処理に進む。一方、制御装置30が、蒸発器出口過熱度SHICが値Z以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS313の処理に進む。
【0091】
(ステップS313)
制御装置30は、n番目の室内機20に対応したフラグをONに設定する。こうすることにより、制御装置30は、どの室内機20に絞り装置異常が発生しているのか判定することができる。つまり、制御装置30は、フラグがONとなっている番号の室内機20に絞り装置異常が発生していると判定することができる。
【0092】
(ステップS314)
制御装置30は、nに1を加算する。これは、ステップS312の判定を行うに際し、対象となる室内機20を次の番号の室内機20に変更するためである。
【0093】
(ステップS315)
制御装置30は、nが室内機20の数であるNより大きいかどうかを判定する。この判定では、全ての室内機20に対して絞り装置異常が発生しているかどうかの判定を行ったかどうかを判定している。制御装置30が、nがNより大きいと判定した場合(YES)、ステップS316の処理に進む。一方、制御装置30が、nがNより大きくないと判定した場合(NO)、ステップS312の処理に戻る。
【0094】
(ステップS316)
制御装置30は、ONに設定されているフラグがあるかどうかを判定する。制御装置30が、ONに設定されているフラグが1つでもあると判定した場合(YES)、ステップS317の処理に進む。一方、制御装置30が、ONに設定されているフラグが1つもないと判定した場合(NO)、ステップS305の処理に進む。
【0095】
(ステップS317)
制御装置30は、報知部36により、絞り装置異常が発生している旨、および絞り装置異常が発生している室内機20の番号を報知する。
【0096】
以上、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100は、圧縮機11、凝縮器12、絞り装置21、蒸発器22が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路1と、凝縮器12と絞り装置21との間の配管と、蒸発器22と圧縮機11との間の配管とを接続するバイパス配管13と、バイパス配管13に設けられたバイパス弁14と、凝縮器12の出口側の過冷却度と、圧縮機11の吸入側の過熱度とに基づいて、冷媒漏れまたは絞り装置異常あるいはバイパス弁異常が発生しているかどうかを判定する制御装置30と、を備えたものである。
【0097】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100によれば、凝縮器12の出口側の過冷却度と、圧縮機11の吸入側の過熱度とに基づいて、冷媒漏れまたは絞り装置異常あるいはバイパス弁異常が発生しているかどうかを判定する。このように、凝縮器12の出口側の過冷却度に基づいて、異常が発生しているかどうかを判定する。そして、異常が発生していると判定した場合に、圧縮機11の吸入側の過熱度に基づいて、冷媒漏れおよび絞り装置異常あるいはバイパス弁異常のどちらが発生しているかを判定する。そのため、冷媒漏れの誤判定を防止することができる。
【0098】
また、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100において、制御装置30は、蒸発器22の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値以上である場合、バイパス弁異常が発生していると判定し、蒸発器22の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値未満である場合、絞り装置異常が発生していると判定する。なお、第六閾値は、上記の値Zに相当する。
【0099】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100によれば、絞り装置異常およびバイパス弁異常のどちらが発生しているかも判定することができる。
【0100】
また、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100は、異常原因を報知する報知部36を備えたものである。実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100によれば、異常原因を正確に特定し、それを報知部36により報知することで、冷凍サイクル装置100を早期に復旧させることができるため、冷凍サイクル装置100の故障期間を短縮することができる。
【0101】
また、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100は、圧縮機11および凝縮器12を有する室外機10と、絞り装置21および蒸発器22を有し、室外機10に対して並列に接続された複数の室内機20と、を備えている。そして、制御装置30は、凝縮器12の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、圧縮機11の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値未満である場合であって、複数の室内機20のうち全ての蒸発器22の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値以上である場合、バイパス弁異常が発生していると判定する。また、制御装置30は、凝縮器12の出口側の過冷却度があらかじめ設定された第四閾値以下で、かつ、圧縮機11の吸入側の過熱度があらかじめ設定された第五閾値未満である場合であって、複数の室内機20のうち少なくとも一つの蒸発器22の出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値未満である場合、絞り装置異常が発生していると判定する。なお、第四閾値は上記の値Xに相当し、第五閾値は上記の値Yに相当する。
【0102】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置100によれば、出口側の過熱度があらかじめ設定された第六閾値未満である蒸発器22を有する室内機20に絞り装置異常が発生していると判定することができるため、室内機20を複数備えた場合であっても、絞り装置異常が発生している室内機20を特定することができる。
【0103】
実施の形態1〜3では、冷房運転のみを行う冷凍サイクル装置100について説明したが、それに限定されず、暖房運転のみを行う冷凍サイクル装置、および、冷房運転と暖房運転との両方を行う冷凍サイクル装置にも適用できる。
【0104】
また、実施の形態1〜3では、冷凍サイクル装置100を空気調和装置に適用した例を挙げたが、それに限定されず、給湯装置など他の装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0105】
1 冷凍サイクル回路、10 室外機、11 圧縮機、12 室外熱交換器、13 バイパス配管、14 バイパス弁、20 室内機、21 絞り装置、22 室内熱交換器、30 制御装置、31 記憶部、32 抽出部、33 演算部、34 比較部、35 判定部、36 報知部、37 運転モード切替部、41 液管、42 ガス管、51 圧縮機吸入温度センサ、52 凝縮器二相温度センサ、53 凝縮器出口温度センサ、54 低圧圧力センサ、55 圧縮機吐出温度センサ、56 高圧圧力センサ、57 蒸発器入口温度センサ、58 蒸発器出口温度センサ、100 冷凍サイクル装置。
【要約】
【課題】冷媒漏れの誤判定を防止することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的としている。
【解決手段】冷凍サイクル装置は、圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器が配管で接続され、冷媒が循環する冷凍サイクル回路と、凝縮器の出口側の過冷却度と、蒸発器の出口側の過熱度あるいは圧縮機の吸入側の過熱度とに基づいて、冷媒の漏れまたは絞り装置の異常が発生しているかどうかを判定する制御装置と、を備えたものである。
【選択図】図1
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