特許第6793875号(P6793875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6793875
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】熱処理炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/14 20060101AFI20201119BHJP
   F27B 9/36 20060101ALI20201119BHJP
   F27B 9/28 20060101ALI20201119BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20201119BHJP
   F27D 11/02 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F27B9/14
   F27B9/36
   F27B9/28
   F27D7/02 Z
   F27D11/02 A
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-509562(P2020-509562)
(86)(22)【出願日】2020年2月17日
(86)【国際出願番号】JP2020006127
【審査請求日】2020年2月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小牧 毅史
(72)【発明者】
【氏名】金南 大樹
【審査官】 伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−066552(JP,A)
【文献】 特開2006−315386(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/163175(WO,A1)
【文献】 特開2015−206576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 13/08
F26B 23/04
F27B 9/00− 9/40
B29B 7/00−11/14
B29B 13/00−15/06
B29C 31/00−31/10
B29C 37/00−37/04
B29C 71/00−71/02
C08J 7/00
C21D 9/52− 9/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入口と、搬出口と、前記搬入口と前記搬出口との間に配置された処理室と、を備える炉体と、
前記搬入口から前記搬出口まで架け渡される被処理物を、前記搬入口から前記処理室を通って前記搬出口に搬送する搬送装置と、
前記処理室内に配置されており、前記搬送装置によって搬送される前記被処理物を案内する複数の案内ローラと、
前記処理室内に配置されており、前記搬送装置によって搬送される前記被処理物を加熱する加熱装置と、を備えており、
前記被処理物は、前記複数の案内ローラによって規定される搬送経路を通って前記搬入口から前記搬出口まで搬送され、
前記加熱装置は、
前記複数の案内ローラ毎に、当該案内ローラの内部及び/又は当該案内ローラの近傍に配置され、前記被処理物を加熱する第1のヒータと、
前記搬送経路上であって、前記被処理物の搬送方向に隣接する案内ローラの間に位置する前記被処理物の近傍に配置され、前記被処理物を加熱する第2のヒータと、を備えており、
前記第2のヒータは、赤外領域の電磁波を放射するヒータであり、
前記被処理物は、フィルムと、前記フィルムの表面及び裏面の少なくとも一方に塗布されたペーストと、を備えており、
前記加熱装置は、前記ペーストに含まれる水分を除去する、熱処理炉。
【請求項2】
前記第1のヒータは、前記被処理物の搬送経路上であって前記案内ローラが配置された位置の近傍に配置され、前記第2のヒータと同一型の赤外領域の電磁波を放射するヒータであり、
前記第1のヒータと前記案内ローラとの間に前記被処理物が位置している、請求項1に記載の熱処理炉。
【請求項3】
前記第1のヒータは、前記案内ローラの内部に設けられ、前記案内ローラを加熱する熱媒が流れる流路を備えている、請求項1に記載の熱処理炉。
【請求項4】
前記処理室内に気体を供給する給気装置をさらに備えており、
前記給気装置は、前記処理室内であって、前記第1のヒータが配置された位置とは異なると共に前記第2のヒータが配置された位置とは異なる位置に配置されており、前記被処理物に向かって気体を噴出する複数の給気管を備えており、
前記第2のヒータと前記給気管は、前記搬送経路に沿って交互に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項5】
前記複数の給気管から噴出する気体の噴出方向は、前記被処理物の表面に対して直交する、請求項4に記載の熱処理炉。
【請求項6】
前記炉体は、
前記搬入口が設けられる第1の壁と、
前記第1の壁と対向し、前記搬出口が設けられる第2の壁と、
前記第1の壁に一端が接続される一方で前記第2の壁に他端が接続される第3の壁と、
前記第1の壁に一端が接続される一方で前記第2の壁に他端が接続され、前記第3の壁と対向する第4の壁と、を備えており、
前記複数の案内ローラは、
前記搬入口から搬入される前記被処理物の搬送方向を、前記第3の壁に向かう第1の方向に変更する第1の案内ローラと、
前記第1の方向に搬送される前記被処理物の搬送方向を、前記第4の壁に向かう第2の方向に搬送方向を変更する第2の案内ローラと、
前記第2の方向に搬送される前記被処理物の搬送方向を、前記搬出口に向かう方向に変更する第3の案内ローラと、
を備えており、
前記第3の壁は、前記処理室内の雰囲気ガスを排気する第1の排気口を備えており、
前記第4の壁は、前記処理室内の雰囲気ガスを排気する第2の排気口を備えている、請求項4又は5に記載の熱処理炉。
【請求項7】
前記複数の給気管は、
前記被処理物と前記第3の壁とで挟まれた空間内に配置される第1の給気管と、
前記被処理物と前記第4の壁とで挟まれた空間内に配置される第2の給気管と、を備えている、請求項6に記載の熱処理炉。
【請求項8】
前記処理室の内面は、前記赤外領域の電磁波を反射する反射率が50%以上となっている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項9】
前記搬送装置は、
前記炉体の外側であって前記搬入口の近傍に配置され、前記被処理物が巻回された搬入口ローラと、
前記炉体の外側であって前記搬出口の近傍に配置され、前記処理室内を搬送された前記被処理物を巻き取る搬出口ローラと、をさらに備えており、
前記搬入口ローラ及び前記搬出口ローラが回転することで、前記搬入口ローラに券回された前記被処理物は、前記搬入口ローラから送り出されて前記処理室内を搬送される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項10】
前記第2のヒータは、前記被処理物の特性に応じて、放射する電磁波の波長が調整されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項11】
前記搬入口から前記搬出口に向かって前記搬送経路に沿って前記第2のヒータが複数配置されており、
前記第2のヒータから放射する電磁波の波長は、当該第2のヒータが配置される前記搬送経路上の位置に応じて調整されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項12】
前記加熱装置は、前記被処理物に含まれる水分を除去し、
前記第2のヒータから放射する電磁波の波長は、前記搬入口から前記搬出口に向かって徐々に長くなるように調整されている、請求項11に記載の熱処理炉。
【請求項13】
前記処理室内の雰囲気は、露点が0℃以下となる不活性ガス雰囲気である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、被処理物に熱処理を実施する熱処理炉に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2014/163175号に開示される熱処理炉では、被処理物は搬入口から処理室を通って搬出口まで架け渡される。被処理物は、搬入口から処理室内に搬入され、処理室内を搬送される間に熱処理をされ、搬出口から搬出される。この熱処理炉では、処理室内に配置された複数の案内ローラによって被処理物が案内され、被処理物は処理室内の予め定められた搬送経路を搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の熱処理炉では、被処理物を複数の案内ローラによって規定される搬送経路を通って搬入口から搬出口まで搬送される。このため、被処理物を効率的に熱処理するためには、搬送経路上の各位置において被処理物が適切に加熱される必要がある。本明細書は、複数の案内ローラによって規定される搬送経路を搬送される被処理物を効率的に熱処理することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示する熱処理炉は、炉体と、搬送装置と、複数の案内ローラと、加熱装置を備えている。炉体は、搬入口と、搬出口と、搬入口と搬出口との間に配置された処理室と、を備えている。搬送装置は、搬入口から搬出口まで架け渡される被処理物を、搬入口から処理室を通って搬出口に搬送する。複数の案内ローラは、処理室内に配置されており、搬送装置によって搬送される被処理物を案内する。被処理物は、複数の案内ローラによって規定される搬送経路を通って、搬入口から搬出口まで搬送される。加熱装置は、複数の案内ローラ毎に、当該案内ローラの内部及び/又は当該案内ローラの近傍に配置され、被処理物を加熱する第1のヒータと、搬送経路上であって、被処理物の搬送方向に隣接する案内ローラの中間位置の近傍に配置され、被処理物を加熱する第2のヒータと、を備えている。第2のヒータは、赤外領域の電磁波を放射するヒータである。
【0005】
上記の熱処理炉では、加熱装置は、案内ローラの内部及び/又は案内ローラの近傍に配置された第1のヒータと、搬送経路上であって隣接する案内ローラの中間位置の近傍に配置された第2のヒータを備えている。また、第2のヒータには、赤外領域の電磁波を放射するヒータが用いられている。これらのため、第1のヒータ及び第2のヒータから被処理物に供給される熱を適切に制御でき、被処理物を効率的に熱処理することができる。なお、第2のヒータは、予め設定された波長領域(赤外領域)の電磁波を放射する波長制御不能なヒータであってもよいし、あるいは、放射する電磁波の波長領域を制御可能なヒータであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例1に係る熱処理炉の縦断面図。
図2図1のII−II線断面図。
図3】実施例1に係るヒータの断面図。
図4】実施例1に係る給気管の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示する熱処理炉では、第1のヒータは、被処理物の搬送経路上であって案内ローラが配置された位置の近傍に配置され、第2のヒータと同一型の赤外領域の電磁波を放射するヒータであってもよい。また、第1のヒータと案内ローラとの間に被処理物が位置していてもよい。このような構成によると、案内ローラが配置された位置で被処理物を加熱する第1のヒータを、第2のヒータと同一型のヒータとなるため、加熱炉の構成を簡易にすることができる。
【0008】
本明細書に開示する熱処理炉では、第1のヒータは、案内ローラの内部に設けられ、案内ローラを加熱する熱媒が流れる流路を備えていてもよい。このような構成によっても、案内ローラを介して被処理物を加熱することができる。
【0009】
本明細書に開示する熱処理炉は、処理室内に気体を供給する給気装置をさらに備えていてもよい。給気装置は、処理室内であって、第1のヒータが配置された位置とは異なると共に第2のヒータが配置された位置とは異なる位置に配置されており、被処理物に向かって気体を噴出する複数の給気管を備えていてもよい。また、第2のヒータと給気管は、搬送経路に沿って交互に配置されていてもよい。このような構成によると、第1のヒータや第2のヒータが配置された位置とは異なる位置に給気管を配置するため、給気管を配置する位置の自由度が向上し、給気管を最適な位置に配置することができる。また、給気管から被処理物に向かって気体を噴射するため、噴出した気体が被処理物の表面に衝突し、被処理物表面の温度を均一化し易くなる。特に、第2のヒータと給気管が搬送経路に沿って交互に配置されるため、被処理物表面の温度がさらに均一化される。これらによって、被処理物の熱処理効率を向上することができる。
【0010】
本明細書に開示する熱処理炉では、複数の給気管から噴出する気体の噴出方向は、被処理物の表面に対して直交してもよい。このような構成によると、給気管からの気体を被処理物の表面に勢いよく噴出することができる。
【0011】
本明細書に開示する熱処理炉では、複数の案内ローラは、搬入口から搬入される被処理物の搬送方向を第1の方向に変更する第1の案内ローラと、第1の方向に搬送される被処理物を、第1の方向とは異なる第2の方向に搬送方向を変更する第2の案内ローラと、第2の方向に搬送される被処理物を、搬出口に向かって搬送方向を変更する第3の案内ローラと、を備えていてもよい。炉体は、処理室の中心から見て第1の方向側に位置する第1の壁と、処理室の中心から見て第2の方向側に位置する第2の壁と、を備えていてもよい。第1の壁は、処理室内の雰囲気ガスを排気する第1の排気口を備えていてもよく、第2の壁は、処理室内の雰囲気ガスを排気する第2の排気口を備えていてもよい。被処理物が搬入口から搬出口まで架け渡されていると、被処理物によって処理室は第1の壁側の空間と第2の壁側の空間によって区分されることになる。第1の壁と第2の壁の両側から処理室内の雰囲気ガスを排気するため、処理室内の空気の流れを好適にすることができる。
【0012】
本明細書に開示する熱処理炉では、複数の給気管は、被処理物と第1の壁とで挟まれた空間内に配置される第1の給気管と、被処理物と第2の壁とで挟まれた空間内に配置される第2の給気管と、を備えていてもよい。このような構成によると、被処理物によって区分された2つの空間のそれぞれに給気管が配置され、処理室内の空気の流れを好適にすることができる。
【0013】
本明細書に開示する熱処理炉では、処理室の内面は、赤外線領域の電磁波を反射する反射率が50%以上となっていてもよい。このような構成によると、ヒータから放射される電磁波が被処理物に効率的に照射され、被処理物を効率的に加熱することができる。
【0014】
本明細書に開示する熱処理炉では、搬送装置は、炉体の外側であって搬入口の近傍に配置され、被処理物が巻回された搬入口ローラと、炉体の外側であって搬出口の近傍に配置され、処理室内を搬送された被処理物を巻き取る搬出口ローラと、をさらに備えていてもよい。搬入口ローラ及び搬出口ローラが回転することで、搬入口ローラに券回された被処理物は、搬入口ローラから送り出されて処理室内を搬送されてもよい。このような構成によると、搬入口ローラに券回された被処理物に連続して熱処理を実施することができる。
【0015】
本明細書に開示する熱処理炉では、被処理物は、フィルムと、フィルムの表面及び裏面の少なくとも一方に塗布されたペーストと、を備えていてもよい。加熱装置は、ペーストに含まれる水分を除去してもよい。このような被処理物は、熱容量が小さく案内ローラによる影響が大きい。このため、第1のヒータを備えることで、被処理物の熱処理効率(すなわち、水分除去率)の低下を抑制する効果が顕著となる。
【0016】
本明細書に開示する熱処理炉では、第2のヒータは、被処理物の特性に応じて、放射する電磁波の波長が調整されていてもよい。このような構成によると、被処理物に特性に応じて被処理物を好適に加熱することができる。
【0017】
本明細書に開示する熱処理炉では、複数の第2のヒータは、搬入口から搬出口に向かって搬送経路に沿って配置されていてもよい。第2のヒータから放射する電磁波の波長は、当該第2のヒータが配置される搬送経路上の位置に応じて調整されていてもよい。被処理物は、処理室内を搬送経路に沿って搬送されるに応じて熱処理が進行して行くことになる。このため、熱処理の進行に応じて電磁波の波長が調整されるため、被処理物に対する熱処理を好適に実施することができる。
【0018】
本明細書に開示する熱処理炉では、加熱装置は、被処理物に含まれる水分を除去してもよい。第2のヒータから放射する電磁波の波長は、搬入口から搬出口に向かって徐々に長くなるように調整されていてもよい。被処理物に含まれる水分は、搬入口から搬出口に向かって徐々に低下する。第2のヒータから放射する電磁波の波長を、搬入口から搬出口に向かって徐々に長くすることで、被処理物に含まれる水分を効率的に除去することができる。
【0019】
本明細書に開示する熱処理炉では、処理室内の雰囲気は、露点が0℃以下となる不活性ガス雰囲気であってもよい。このような構成によると、雰囲気ガスに含まれる水分の凝結を抑制することができる。
【実施例1】
【0020】
以下、実施例1に係る熱処理炉10について説明する。本実施例の熱処理炉10は、ワークW(被処理物の一例)に含まれる水分を除去する乾燥炉(脱水装置)である。ワークWは、長手方向に連続して伸びるシート体であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL、電池などに用いられるフィルムが該当する。このようなフィルム(シート体)は、フィルム自体に水分が含まれる場合や、あるいは、フィルムに被覆層が被覆されている場合は当該被覆層に水分が含まれていることがある。このため、まずはフィルムに含まれる水分が除去され、その後、水分が除去されたフィルムを所望の大きさに切断して、最終製品が製造される。本実施例の熱処理炉10は、このようなシート体から水分を除去するために用いることができる。
【0021】
以下、図面を参照して、熱処理炉10の構成を説明する。図1,2に示すように、熱処理炉10は、直方体形状の炉体12と、炉体12へのワークWの搬入と搬出を行う搬送装置20と、ワークWを加熱する加熱装置(26,28)と、ワークWの表面に冷却ガスを供給する給気装置(38等)を備えている。
【0022】
炉体12は、下壁13と、下壁13に対向する上壁14と、下壁13に一端が接続されると共に上壁14に他端が接続される側壁17,18(図2参照)と、これらの壁13,14,17,18によって取囲まれる処理室(19a,19b)の端部を閉じる搬入側壁15及び搬出側壁16を備える。
下壁13は、平面視すると矩形状の板材であり、処理室(19a,19b)の下方に配置されている。図1に示すように、下壁13には、x方向に略一定の間隔を空けて複数の排気口13aが設けられている。複数の排気口13aのうち中央に配置される5個の排気口13aは、後述する案内ローラ24と対向する位置に配置されている。複数の排気口13aのうちx方向の一端に配置される排気口13aは、搬入側壁15に近接する位置に配置されている。複数の排気口13aのうちx方向の他端に配置される排気口13aは、搬出側壁15に近接する位置に配置されている。複数の排気口13aのそれぞれは、排気ファン13bに接続されている。排気ファン13bが運転すると、処理室(19a,19b)内の雰囲気ガスが処理室(19a,19b)外に排気されるようになっている。
上壁14は、下壁13と同一形状の板材であり、処理室(19a,19b)の上方に配置されている。上壁14にも、下壁13と同様に、x方向に略一定の間隔を空けて複数の排気口14aが設けられている。複数の排気口14aのそれぞれは、複数の排気口13aのそれぞれと対向する位置に配置されている。複数の排気口14aのそれぞれは、排気ファン14bに接続されている。排気ファン14bが運転すると、処理室(19a,19b)内の雰囲気ガスが処理室(19a,19b)外に排気されるようになっている。
搬入側壁15には搬入口15aが設けられており、搬出側壁16には搬出口15bが形成されている。搬入口15aと搬出口15bの高さ方向の位置は同一の位置となっており、搬入口15aと搬出口15bは互いに対向している。図1から明らかなように、処理室(19a,19b)は、搬入口15aと搬出口15bとの間に配置されている。
なお、炉体12を構成する各壁13,14,15,16,17,18の内面(すなわち、処理室(19a,19b)側の面)には、鏡面加工が施されている。その結果、これらの面の赤外領域の電磁波(詳細には、後述するヒータ26,28が放射する電磁波)の反射率は50%以上となっている。これによって、ヒータ26,28が放射する電磁波をワークWへ効率的に照射できるようになっている。
【0023】
搬送装置20は、炉体12の外側であって搬入口15aの近傍に配置される搬入口ローラ21と、炉体12の外側であって搬出口16aの近傍に配置される搬出口ローラ25と、処理室(19a,19b)内に配置される複数の案内ローラ(22a,22b,22c,24)を備えている。
搬入口ローラ21にはワークWが巻回されている。搬入口ローラ21に券回されたワークWは、搬入口15aから処理室(19a,19b)を通って搬出口16aまで架け渡されている。具体的には、ワークWは、搬入口ローラ21から搬入口15aを通って案内ローラ(22a,22b,22c,24)に架け渡され、さらに案内ローラ(22a,22b,22c,24)から搬出口16aを介して搬出口ローラ25に架け渡されている。
搬出口ローラ25は、処理室(19a,19b)から搬出されるワークWを巻き取るローラである。搬出口ローラ25には図示しない駆動装置が接続されており、駆動装置により搬出口ローラ25が回転駆動される。搬出口ローラ25が回転すると、搬入口ローラ21に券回されたワークWが処理室(19a,19b)に送り出される。搬入口ローラ21から送り出されたワークWは、案内ローラ(22a,22b,22c,24)に案内されて処理室(19a,19b)内の所定の搬送経路を移動し、搬出口16aから処理室(19a,19b)外に送り出されて搬出口ローラ25に巻き取られる。すなわち、案内ローラ(22a,22b,22c,24)は、処理室(19a,19b)内のワークWの搬送経路を規定している。
【0024】
案内ローラ(22a,22b,22c,24)は、上壁14の近傍に配置される複数の上部案内ローラ(22a,22b,22c)と、下壁13の近傍に配置される複数の下部案内ローラ24を備えている。なお、本実施例において、案内ローラ(22a,22b,22c,24)には、ワークWと接触する接触式ローラを用いたが、ワークWを非接触で案内する非接触式ローラを用いることもできる。
上部案内ローラ(22a,22b,22c)は、x方向に一定の間隔を空けて配置されている。具体的には、上部案内ローラ22a(請求項でいう第1の搬送ローラの一例)は搬入口15aに隣接して配置され、上部案内ローラ22c(請求項でいう第3の搬送ローラの一例)は搬出口16aに隣接して配置されている。複数の案内ローラ22bは、上部案内ローラ22aと上部案内ローラ22cの間に等間隔で配置されている。上部案内ローラ(22a,22b,22c)のそれぞれの高さ方向の位置は同一となっている。
複数の下部案内ローラ24(請求項でいう第2の搬送ローラの一例)のそれぞれは、上部案内ローラ(22a,22b,22c)と同様、x方向に一定の間隔を空けて配置されている。隣接する下部案内ローラ24のx方向の間隔は、上部案内ローラ(22a,22b,22c)のx方向の間隔と同一となっている。複数の下部案内ローラ24のx方向の位置は、隣接する上部案内(22a,22b,22c)の中央位置となっている。複数の下部案内ローラ24の高さ方向の位置は同一となっている。
【0025】
上述したように上部案内ローラ(22a,22b,22c)と下部案内ローラ24が配置されているため、搬入口15aからx方向に搬送されるワークWは、上部案内ローラ22aによって下方に向かって搬送され、次いで、下部案内ローラ24によって上方に向かって搬送され、以下、上部搬送ローラ22bと下部搬送ローラ24によって上下方向に繰り返し搬送される。そして、最も搬出口16a側に配置された下部搬送ローラ24から上方に向かって搬送されるワークWは、上部案内ローラ22cによって搬出口16aに向かって搬送される。このように、処理室(19a,19b)内を上下方向に繰り返し搬送することで、処理室(19a,19b)内のスペースを有効に活用でき、ワークWを乾燥させるための処理時間を確保している。なお、図1から明らかなように、案内ローラ(22a,22b,22c,24)に架け渡されたワークWによって、処理室(19a,19b)は、上壁14側に設けられる上部処理室19aと、下壁13側に設けられる下部処理室19bとに区分されている。
【0026】
加熱装置は、処理室(19a、19b)内に配置され、搬送装置20によって搬送されるワークWを加熱する。加熱装置は、案内ローラ(22a,22b,22c,24)の近傍に配置された第1ヒータ(26a,26b)と、上部案内ローラ(22a,22b,22c)と下部案内ローラ24の間の高さに配置された第2ヒータ28を備えている。図2に示すように、第1ヒータ(26a,26b)と第2ヒータ28は、案内ローラ(22a,22b,22c,24)の軸線方向に伸びており、ワークWの幅方向(y方向)の全体を加熱可能となっている。
【0027】
図1に示すように、第1ヒータ(26a,26b)は、上部案内ローラ(22a,22b,22c)の上方に配置される複数の第1上部ヒータ26aと、下部案内ローラ24の下方に配置される複数の第1下部ヒータ26bを備えている。第1上部ヒータ26aのそれぞれは、対応する上部案内ローラ(22a,22b,22c)と対向して配置されており、第1下部ヒータ26bのそれぞれは対応する下部案内ローラ24と対向して配置されている。このため、第1上部ヒータ26aと上部案内ローラ(22a,22b,22c)の間にワークWが位置し、ワークWは第1上部ヒータ26aによって直接加熱される。同様に、第1下部ヒータ26bと下部案内ローラ24の間にワークWが位置し、ワークWは第1下部ヒータ26bによって直接加熱される。
【0028】
第2ヒータ28は、上部案内ローラ(22a,22b,22c)のそれぞれの下方に、z方向に間隔を空けて2個配置されている。また、第2ヒータ28は、下部案内ローラ24のそれぞれの上方に、z方向に間隔を空けて2個配置されている。このため、x方向に間隔を空けて11個の第2ヒータ28が並ぶと共に、y方向に間隔を空けて2個の第2ヒータ28が並んで配置されている。図から明らかなように、第2ヒータ28は、上部案内ローラ(22a,22b,22c)と下部案内ローラ24に架け渡されたワークWと対向する位置(すなわち、ワークWの搬送方向に隣接する案内ローラ間の中間位置の近傍)に配置されている。第2ヒータ28が案内ローラ(22a,22b,22c,24)の軸線方向に伸びているため、上部案内ローラ(22a,22b,22c)と下部案内ローラ24に架け渡されたワークWの幅方向の全体が第2ヒータ28によって加熱される。
【0029】
第1ヒータ(26a,26b)は、赤外領域の電磁波を放射する公知の波長制御可能なヒータであり、第1ヒータ(26a,26b)と第2ヒータ28は同一構造を有している。このため、ここでは第2ヒータ28の構造について簡単に説明する。
図3に示すように、第2ヒータ28は、フィラメント30と、フィラメント30を収容する内管32と、内管32を収容する外管34を備えている。フィラメント30は、例えば、タングステン製の発熱体であり、図示しない外部電源から電力が供給されるようになっている。フィラメント30に電力が供給されて所定温度(例えば、1200〜1700℃)となると、フィラメント30から赤外線を含む電磁波が放射される。内管32は、フィラメント30から放射される電磁波のうち特定の波長領域(本実施例では、赤外領域)の電磁波のみを透過する赤外線透過材料によって形成されている。内管32を形成する赤外線透過材料を適宜選択することで、フィラメント30から内管32の外部に放射される電磁波の波長を所望の波長に調整することができる。外管34も、内管32と同一の赤外線透過材料によって形成されている。したがって、内管32を透過した電磁波は、外管34を透過して外部に放射される。内管32と外管34の間の空間36は、冷媒(例えば、空気)が流れる冷媒流路となっている。空間36(すなわち、冷媒流路)に冷媒が供給されることで、外管34の温度が高温となり過ぎることが防止されている。これによって、ワークWの過熱が防止される。なお、赤外領域の電磁波を放射する波長制御可能なヒータについては、例えば、特許4790092号に詳細に開示されている。
【0030】
給気装置は、処理室(19a,19b)内をy方向に伸びる複数の給気管38と、処理室(19a,19b)外に配置されて複数の給気管38に冷却ガスを供給する給気ファン(図示省略)を備えている。図4に示すように、給気管38には、周方向の2か所に噴出孔39a,39bが形成されている。このため、給気ファンから給気管38に供給された冷却ガスは、噴出孔39a,39bから処理室(19a,19b)内に噴射される。本実施例では、噴出孔39a,39bから噴射される冷却ガスの噴出方向がワークWの表面に対して直交するように、給気管38を設置する向きが調整されている。図4に示すように、噴出孔39a,39bは、給気管38の軸線を挟んで対向する位置に配置されている。このため、給気管38の搬入口15a側と搬出口16a側のそれぞれにワークWが位置する場合、当該給気管38の噴出孔39aから噴射される冷却ガスは一方のワークWに噴射され、当該給気管38の噴出孔39bから噴射される冷却ガスは他方のワークWに噴射される。また、図2に示すように、給気管38の噴出孔39a,39bは、y方向に間隔を空けて複数形成されている。このため、噴出孔39a,39bから噴射される冷却ガスは、ワークWの幅方向(y方向)の全体に噴射されることになる。
【0031】
図1に示すように、給気管38は、上部案内ローラ(22a,22b,22c)のそれぞれの下方に、z方向に間隔を空けて2個配置されている。また、給気管38は、下部案内ローラ24のそれぞれの上方に、z方向に間隔を空けて2個配置されている。図1から明らかなように、給気管38は、第1ヒータ(26a,26b)及び第2ヒータ28が配置される位置とは異なる位置に配置されている。具体的には、第2ヒータ28と給気管38はz方向(搬送方向)に等しい間隔を空けて交互に配置されている。また、上述したように、案内ローラ(22a,22b,22c,24)に架け渡されたワークWによって、処理室(19a,19b)は上部処理室19aと下部処理室19bとに区分されているが、上部処理室19aと下部処理室19bのそれぞれに給気管38が配置されている。
【0032】
給気管38に供給される冷却ガスとしては、例えば、不活性ガス、窒素、Arガス等を用いることができる。処理室(19a,19b)内の雰囲気ガスは、給気管38から処理室(19a,19b)内に噴射されるガスによって調整される。本実施例では、ワークWに含まれる水分を除去するため、処理室(19a,19b)内の雰囲気ガスは、露点が0℃以下となるガスに調整されている。なお、冷却ガスとしては、露点が0℃以下となる大気としてもよい。
【0033】
コントローラ44は、CPU,ROM,RAMを備えたプロセッサによって構成され、搬送装置20と加熱装置(26,28)と給気装置を制御する。具体的には、コントローラ44は、搬送装置20を制御することでワークWの搬送速度及び張力を制御し、加熱装置(26,28)を制御することでワークWの加熱量を制御し、給気装置を制御することで給気管38からワークWに噴射される冷却ガスの流量及び流速を制御する。
【0034】
なお、熱処理炉10には、搬入口ローラ21に巻回されたワークWを搬出口ローラ25にセットするための通し装置が設けられている。図1に示すように、通し装置は、処理室(19a,19b)内と処理室(19a,19b)外を通って循環するチェーン42と、チェーン42を駆動する駆動装置(図示省略)を備えている。チェーン42は、案内ローラ(22a,22b,22c,24)に架け渡されたワークWと同様に、搬入口15aから上下方向に向きを変えながら搬出口16aまで伸び、搬出口16aから処理室(19a,19b)の外側を通って搬入口15aに戻っている。図1に示すように、チェーン42が架け渡される経路は、ワークWが架け渡される経路(すなわち、ワークWの搬送経路)と複数個所で交差している。なお、チェーン42が配置される位置は、ワークWの幅方向(y方向)の外側の位置となるため、チェーン42とワークWが干渉することはない(図2参照)。通し装置によりワークWを搬出口ローラ25にセットするには、まず、チェーン42に設けられた図示しないクランプにより搬入口ローラ21に巻回されたワークWをクランプする。次いで、駆動装置によりチェーン42を循環させ、ワークWを搬入口ローラ21より送り出す。これにより、チェーン42のクランプに保持されたワークWは、処理室(19a,19b)内をチェーン42と共に移動し、搬出口16aまで移動する。搬出口16aまでワークWが移動すると、クランプを操作してチェーン42からワークWを開放し、ワークWを搬出口ローラ25にセットする。最後に、搬出口ローラ25を回転させてワークWに張力を与えることで、ワークWが搬入口15aから案内ローラ(22a,22b,22c,24)を介して搬出口16aまで架け渡される。
【0035】
次に、上述した熱処理炉10を用いてワークWから水分を除去する処理を説明する。まず、給気管38から処理室(19a,19b)内に冷却ガスを供給し、処理室(19a,19b)内を所定の雰囲気に調整する。次いで、コントローラ44は、搬送装置20を駆動することで、ワークWを搬入口15aから処理室(19a,19b)を通って搬出口16aまで搬送する。この際、コントローラ44は、加熱装置(26,28)を制御してワークWに赤外線領域の電磁波を照射すると共に、給気管38からワークWの表面に冷却ガスを噴出する。加熱装置(26,28)から赤外線領域の電磁波が照射されると、ワークWに含まれる水分が照射された電磁波を吸収し、水分が蒸発する。ワークWから蒸発した水分は、給気管38から噴射される冷却ガスによってワークWの表面から除去される。ワークWの表面から除去された水分を含んだ雰囲気ガスは、下壁13の排気口13aと、上壁14の排気口14aのそれぞれから処理室(19a,19b)外に排気される。ワークWは、搬入口15aから搬出口16aまで搬送される間に水分が除去される。水分が除去されたワークWは、搬出口ローラ25に巻き取られる。
【0036】
上記の熱処理炉10によると、案内ローラ(22a,22b,22c,24)の近傍で、案内ローラ(22a,22b,22c,24)と対向する第1ヒータ(26a,26b)を備えている。また、上部案内ローラ(22a,22b,22c)と下部案内ローラ24の間に第2ヒータ28を備えている。これらヒータ26a,26b,28のため、案内ローラ(22a,22b,22c,24)に接触した状態におけるワークWに対する熱収支を制御でき、また、案内ローラ(22a,22b,22c,24)に接触していない状態におけるワークWに対する熱収支を制御することができる。このため、ワークWの熱収支を好適に制御でき、ワークWから水分を除去する処理の効率を格段に向上することができる。例えば、ワークWが案内ローラ(22a,22b,22c,24)に接触することで、ワークWから案内ローラ(22a,22b,22c,24)に熱が流れてワークWが冷却され過ぎてしまう場合は、第1ヒータ(26a,26b)からワークWに供給する熱量を増加し、ワークWが冷却され過ぎないようにする。これによって、ワークWから水分を除去する効率が低下してしまうことを防止することができる。
【0037】
また、上記の熱処理炉10では、給気管38と第2ヒータ38が搬送方向に交互に配置され、また、給気管38からの冷却ガスはワークWの表面に直交する方向から噴射される。これによって、ワークWの内部から蒸発した水分がワークWの表面から速やかに除去され、ワークWからの水分の除去が促進される。これによっても、ワークWの水分の除去効率を高めることができる。
【0038】
さらに、案内ローラ(22a,22b,22c,24)に架け渡されたワークWによって、処理室(19a,19b)は上部処理室19aと下部処理室19bとに区分されるが、上部処理室19aと下部処理室19bのそれぞれに給気管38と排気口14a,13aが配置されている。このため、上部処理室19aに供給された冷却ガス及び下部冷却室19bに供給された冷却ガスは、除去された水分と共に速やかに処理室(19a,19b)外に排気される。これによっても、処理室(19a,19b)内のガスの流れが好適化され、ワークWの水分除去効率を高めることができる。
【0039】
なお、ヒータ(26a,26b,28)は、内管及び外管を形成する赤外線透過材料を選択することで、放射する赤外線の波長領域を調整することができる。このため、ワークWの特性に応じて放射する電磁波の波長を調整することで、ワークWの熱処理効率を向上することができる。例えば、ワークWとして、固形分(フェノール・エポキシ樹脂、10〜90wt%)と、該固形分をスラリー状又はペースト状とする溶媒(水又は溶剤(例えば、IPA(イソプロピルアルコール、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等)から構成される物質を乾燥する場合を考える。このようなワークWを乾燥する場合、熱処理炉10の前半では近赤外線波長を選択したヒータ(26a,26b,28)により水又は溶剤の乾燥を行い、熱処理炉10の後半では遠赤外線波長を選択したヒータ(26a,26b,28)によるアニーリングを行うようにしてもよい。
【0040】
また、上記の実施例では、ヒータ(26a,26b,28)は、全て同一の波長領域の電磁波を放射したが、このような例に限られない。例えば、ヒータ(26a,26b,28)から放射される電磁波の波長は、搬送経路上の位置に応じて調整されていてもよい。例えば、熱処理炉10によってワークWから水分を除去する場合、ワークWに含まれる水分量は、搬入口15aから搬出口16aに向かって徐々に低下する。このため、ヒータ(26a,26b,28)から放射される電磁波の波長を、搬入口15aから搬出口16aに向かって徐々に長くすることで、水分量に応じた電磁波をワークWに照射することができる。
【0041】
また、上記の実施例では、案内ローラ(22a,22b,22c,24)の近傍に第1ヒータ(26a,26b)を配置し、第1ヒータ(26a,26b)によってワークWを加熱したが、このような例に限られない。例えば、案内ローラの内部に熱媒が流れる流路を設け、案内ローラによってワークWを加熱してもよい。このような構成によっても、案内ローラに接触する状態におけるワークWの熱収支が制御可能となり、ワークWの熱処理効率を向上することができる。
【0042】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【要約】
本明細書は、複数の案内ローラによって規定される搬送経路を搬送される被処理物を効率的に熱処理する熱処理炉を開示する。この熱処理炉は、炉体と、被処理物を搬入口から処理室を通って搬出口に搬送する搬送装置と、処理室内に配置された複数の案内ローラと、処理室内に配置されて被処理物を加熱する加熱装置を備えている。加熱装置は、複数の案内ローラ毎に、当該案内ローラの内部及び/又は当該案内ローラの近傍に配置され、被処理物を加熱する第1のヒータを備える。加熱装置は、さらに被処理物の搬送経路上であって、搬送方向に隣接する案内ローラの中間位置の近傍で被処理物を加熱する第2のヒータを備えている。第2のヒータは、赤外領域の電磁波を放射するヒータである。
図1
図2
図3
図4