(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外部抵抗特定手段が、前記電源電圧が第一閾値を越えるまたは以上となると前記分圧値範囲を変更し、前記第一閾値を越えたまたは以上となった後は前記電源電圧が前記第一閾値より小さい第二閾値未満または以下となるまでは前記分圧値範囲を変更しない請求項1に記載のマイコン入出力回路。
前記外部抵抗特定手段が、予め取得された前記電源電圧と前記分圧値範囲の関係を示す関係テーブルを有し、前記抵抗値が隣接する2つの前記外部抵抗の各前記分圧値範囲がオーバラップしたオーバラップ領域を含んでいる場合に、前記関係テーブルに対して、前記オーバラップ領域の前記分圧値の下限値に対応する前記電源電圧を前記第一閾値として付加した第一判断テーブルと、前記オーバラップ領域の前記分圧値の上限値に対応する前記電源電圧を前記第二閾値として付加した第二判断テーブルを有しており、
前記第一判断テーブルでは前記第一閾値を境界として低抵抗側の前記外部抵抗の前記オーバラップ領域を削除するように各前記外部抵抗の前記分圧値範囲を設定されていると共に、前記第二判断テーブルでは前記第二閾値を境界として高抵抗側の前記外部抵抗の前記オーバラップ領域を削除するように各前記外部抵抗の前記分圧値範囲が設定されており、
前記外部抵抗特定手段が、前記電源電圧が前記第一閾値を越えるまたは以上となるまでは前記第一判断テーブルを選択し、前記第一閾値を越えるまたは以上となりかつ前記第二閾値未満または以下となるまでは前記第二判断テーブルを選択し、各前記判断テーブルに基づき前記分圧値に対応する前記外部抵抗を特定するようになっている請求項2に記載のマイコン入出力回路。
前記第一判断テーブルでは、前記第一閾値における前記分圧値が、前記低抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲の上限とされていると共に、前記高抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲が該分圧値よりも上の範囲に設定されている一方、
前記第二判断テーブルでは、前記第二閾値における前記分圧値が、前記高抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲の下限とされ、前記低抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲が該分圧値よりも小さい範囲に設定されており、
前記外部抵抗特定手段が、前記電源電圧が前記第一閾値を越えるまでは前記第一判断テーブルを選択し、前記第一閾値を越えて前記第二閾値未満となるまでは前記第二判断テーブルを選択する請求項4に記載のマイコン入出力回路。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種電気機器の動作等を制御する手段として、マイコン入出力回路が用いられており、電気機器の操作情報等をマイコンに入力すると共にマイコンから出力された制御信号に基づき電気機器が動作されるようになっている。例えば、特開平10−257791号公報(特許文献1)の
図1には、P/WスイッチをUPとDOWNに切り替えることにより、パワーウィンドの操作情報がマイコンに入力され、かかる入力情報に基づいてパワーウィンドを駆動する制御信号がモータに出力されるようになっている。
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載の従来のマイコン入出力回路においては、
図1に示すように、P/WスイッチのUPとDOWNに対してそれぞれマイコンの入力端子が必要とされていた。
【0004】
ところが、近年の車両等における多機能化の要求に対応するためには、パワーウィンドのUPとDOWNの切り替えのためだけに2つの入力端子を使用することは極めて効率が悪いことから、1つの入力端子で複数の操作情報を入力可能とすることが求められていた。
【0005】
そこで、例えば、ある電源電圧を2つの抵抗で分圧することにより得られた分圧値を用いて、1つの入力端子で複数の操作情報を入力可能とすることが知られている。より詳細には、2つの抵抗のうちの一方の抵抗値を操作情報毎にスイッチによって相互に抵抗値の異なる複数の外部抵抗に択一的に切り替えることにより、1つの入力端子で複数の操作情報が入力可能となるのである。
【0006】
しかしながら、かかる方法で得られた分圧値は、電源電圧や各抵抗のバラツキによって幅を持った値となることから、複数の操作情報に対応する外部抵抗を表す分圧値がオーバラップして各操作情報(外部抵抗)を表す分圧値の範囲を指定することが困難となる場合があった。かかる問題を解決するために、例えば定電圧ICを追加して電源電圧を定電圧化することにより分圧値のバラツキを低減することが考えられるが、コストアップにつながり有効な対策とは言えなかった。別の対策として、電源電圧をモニターすると共に電源電圧毎に、演算処理により外部抵抗毎の分圧値の閾値をオーバラップしないように算出して、選択された操作情報を確定することも考えられるが、複雑な演算処理が必要となることから有効な対策とは言えず、未だ改良の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、コスト増に繋がる部品の追加や複雑な演算処理を伴うことなく、分圧値に対応する操作情報を安定して確定することができる、新規な構造のマイコン入出力回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、マイコンと、電源と、該電源に一端部が接続され他端部がスイッチを介して複数の抵抗値の異なる接地された外部抵抗に択一的に接続されるようになっている電源抵抗と、前記電源の電源電圧がモニター可能な電源電圧モニター部と、前記電源抵抗と選択された前記外部抵抗によって分圧された分圧値がモニター可能な分圧値モニター部と、前記分圧値モニター部により取得された前記分圧値が各前記外部抵抗に対応する分圧値範囲のいずれに含まれるかによって前記スイッチにより選択された前記外部抵抗を特定する外部抵抗特定手段とを備え、前記外部抵抗特定手段が、前記電源電圧モニター部により取得された前記電源電圧に基づいて前記分圧値範囲を変更することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、外部抵抗特定手段が、電源電圧モニター部により取得された電源電圧に基づいて分圧値範囲を変更するようになっている。したがって、抵抗値が隣接する2つの外部抵抗の分圧値の範囲がオーバラップするような場合でも、各外部抵抗の分圧値範囲を電源電圧に基づいてオーバラップ領域を含まない複数の分圧値範囲に分け、取得された電源電圧に応じて使用する分圧値範囲を変更することができる。これにより、複数の操作情報に対応する外部抵抗を表す分圧値がオーバラップして各操作情報(外部抵抗)を表す分圧値の範囲を指定することが困難となることを回避することができる。このように、本態様によれば、簡単な構造で確実に分圧値に対応する外部抵抗が特定でき外部抵抗に対応する操作情報を峻別することが可能となる。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記外部抵抗特定手段が、前記電源電圧が第一閾値を越えるまたは以上となると前記分圧値範囲を変更し、前記第一閾値を越えたまたは以上となった後は前記電源電圧が前記第一閾値より小さい第二閾値未満または以下となるまでは前記分圧値範囲を変更しないものである。
【0012】
本態様によれば、電源電圧が第一閾値を越えるまたは以上となると選択する分圧値範囲を変更し、電源電圧が第一閾値を越えた
または以上となった後は第一閾値より小さい第二閾値未満または以下となるまでは分圧値範囲を変更しない。これにより、単一の閾値に基づき分圧値範囲を変更する場合に比して、閾値周辺でのノイズなどによる微小な変動により選択される分圧値範囲が頻繁に切り替わる問題も生じ難く、安定した特定操作が実現される。
【0013】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、複数の前記外部抵抗が、前記抵抗値が隣接する2つの前記外部抵抗を含んでおり、前記外部抵抗特定手段が、低抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲と高抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲がオーバラップしたオーバラップ領域を含んでいる場合に、前記オーバラップ領域の前記分圧値の下限値に対応する前記電源電圧を前記第一閾値とする一方、前記オーバラップ領域の前記分圧値の上限値に対応する前記電源電圧を前記第二閾値とし、前記電源電圧が前記第一閾値を越えるまたは以上となるまでは、前記外部抵抗特定手段が、前記低抵抗側の前記外部抵抗の前記オーバラップ領域を削除するように前記2つの前記外部抵抗の前記分圧値範囲を設定する一方、前記電源電圧が前記第一閾値を越えるまたは以上となりかつ前記第二閾値未満または以下となるまでは、前記外部抵抗特定手段が、前記高抵抗側の前記外部抵抗の前記オーバラップ領域を削除するように前記2つの前記外部抵抗の前記分圧値範囲を設定するものである。
【0014】
本態様によれば、外部抵抗の分圧値範囲がオーバラップしたオーバラップ領域を含んでいる場合に、オーバラップ領域の分圧値の下限値に対応する電源電圧を第一閾値とする一方、オーバラップ領域の分圧値の上限値に対応する電源電圧を第二閾値として用いる。そして、電源電圧が第一閾値を越えるまたは以上となるまでは、外部抵抗特定手段が、低抵抗側の外部抵抗のオーバラップ領域を削除するように設定された2つの外部抵抗の分圧値範囲を採用する。さらに、電源電圧が第一閾値を越えるまたは以上となりかつ第二閾値未満または以下となるまでは、外部抵抗特定手段が、高抵抗側の外部抵抗のオーバラップ領域を削除するように設定された2つの外部抵抗の分圧値範囲を採用する。これにより、外部抵抗特定手段が、2つの外部抵抗のオーバラップが生じないようにそれらの外部抵抗の分
圧値範囲を変更することが確実に実行される。その結果、分圧値のオーバラップの問題を確実に回避して、簡便かつ安定して分圧値から外部抵抗(操作情報)を特定することが可能となる。
【0015】
本発明の第四の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記外部抵抗特定手段が、予め取得された前記電源電圧と前記分圧値範囲の関係を示す関係テーブルを有し、前記抵抗値が隣接する2つの前記外部抵抗の各前記分圧値範囲がオーバラップしたオーバラップ領域を含んでいる場合に、前記関係テーブルに対して、前記オーバラップ領域の前記分圧値の下限値に対応する前記電源電圧を前記第一閾値として付加した第一判断テーブルと、前記オーバラップ領域の前
記分圧値の上限値に対応する前記電源電圧を前記第二閾値として付加した第二判断テーブルを有しており、前記第一判断テーブルでは前記第一閾値を境界として低抵抗側の前記外部抵抗の前記オーバラップ領域を削除するように各前記外部抵抗の前記分圧値範囲を設定されていると共に、前記第二判断テーブルでは前記第二閾値を境界として高抵抗側の前記外部抵抗の前記オーバラップ領域を削除するように各前記外部抵抗の前記分圧値範囲が設定されており、前記外部抵抗特定手段が、前記電源電圧が前記第一閾値を越えるまたは以上となるまでは前記第一判断テーブルを選択し、前記第一閾値を越え
るまたは以上となりかつ前記第二閾値未満または以下となるまでは前記第二判断テーブルを選択し、各前記判断テーブルに基づき前記分圧値に対応する前記外部抵抗を特定するようになっているものである。
【0016】
本態様によれば、予め取得された電源電圧と外部抵抗の分圧値範囲の関係テーブルにおいて、抵抗値が隣接する2つの外部抵抗の分圧値範囲がオーバラップする場合でも、オーバラップ領域を含まない第一/第二判断テーブルに分けて外部抵抗特定を行うことで、簡単かつ確実に分圧値に対応する外部抵抗が特定でき外部抵抗に対応する操作情報を峻別することができる。具体的には、第一判断テーブルでは、オーバラップ領域の分圧値の下限値に対応する電源電圧を第一閾値として、低抵抗側の外部抵抗のオーバラップ領域を削除するように各外部抵抗の分圧値範囲が設定されている。第二判断テーブルでは、オーバラップ領域の分圧値の上限値に対応する電源電圧を第二閾値として、高抵抗側の外部抵抗のオーバラップ領域を削除するように各外部抵抗の分圧値範囲が設定されている。それゆえ、外部抵抗特定手段が、電源電圧が第一閾値を越えるまたは以上となるまでは第一判断テーブルに基づき分圧値から外部抵抗を特定し、第一閾値を越えるまたは以上となりかつ第二閾値を低下または以下となるまでは第二判断テーブルに基づき分圧値
から外部抵抗を特定することで、分圧値のオーバラップの問題を確実に回避して、簡便かつ安定して分圧値から外部抵抗(操作情報)を特定することが可能となるのである。
【0017】
特に、第一閾値および第二閾値を用意し、電源電圧が第一閾値を越えるまたは以上となるまでは継続して第一判断テーブルを使用し、電源電圧が一旦第一閾値を越えたまたは以上となった後は、電源電圧が第二閾値を低下または以下となるまでは、継続して第二判断テーブルを使用するようになっていることから、単一の閾値に基づき第一/第二判断テーブルを切り替える場合に比して、閾値周辺でのノイズなどによる微小な変動によりテーブルが頻繁に切り替わる問題も生じ難くされており、安定した特定操作が実現されるようになっている。
【0018】
本発明の第五の態様は、前
記第四の態様に記載のものにおいて、前記第一判断テーブルでは、前記第一閾値における前記分圧値が、前記低抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲の上限とされていると共に、前記高抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲が該分圧値よりも上の範囲に設定されている一方、前記第二判断テーブルでは、前記第二閾値における前記分圧値が、前記高抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲の下限とされ、前記低抵抗側の前記外部抵抗の前記分圧値範囲が該分圧値よりも小さい範囲に設定されており、前記外部抵抗特定手段が、前記電源電圧が前記第一閾値を越えるまでは前記第一判断テーブルを選択し、前記第一閾値を越えて前記第二閾値未満となるまでは前記第二判断テーブルを選択するものである。
【0019】
本態様によれば、第一閾値における分圧値を低抵抗側の分圧値範囲に含める一方、第一閾値を越えた際に第二判断テーブルを選択する。また、第二閾値における分圧値を高抵抗側の分圧値範囲に含めている一方、第二閾値を下回った際に第一テーブルに戻るようになっている。それゆえ、より分かりやすくテーブルと分圧値範囲の設定が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、抵抗値が隣接する2つの外部抵抗の分圧値の範囲がオーバラップするような場合でも、かかる分圧値の範囲を電源電圧に基づいてオーバラップ領域を含まない複数の分圧値範囲に分ける(変更する)ことができる。それゆえ、簡単かつ確実に分圧値に対応する外部抵抗が特定でき外部抵抗に対応する操作情報を峻別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に、本発明の一実施形態に従う構造とされたマイコン入出力回路10が示されている。本実施形態では、車両に搭載されているパワーウィンドなどのボディ系の各種制御対象を制御する車載ボディECU(Electronic Control Unit)12に本発明のマイコン入出力回路10を適用した場合を例に挙げて説明することにする。
【0024】
図1に示すように、マイコン入出力回路10は、マイコン14と、電源16と、電源抵抗18と、車載ボディECU12の外部に設けられてスイッチ20を介して車載ボディECU12に接続される複数(本実施形態では3つ)の外部抵抗22a〜cを備えて構成されている。
【0025】
マイコン14は、CPU(Central Processing Unit)24と、ROM(Read Only Memory)26と、RAM(Random Access Memory)28と、第一の入力ポート30と、第二の入力ポート32と、出力ポート34等を備えている。また、マイコン14は、後述する外部抵抗特定手段A、関係テーブルa、第一判断テーブルa
1 、第二判断テーブルa
2 を備えており、これらは、ROM26に記憶され、CPU24によって実行されるソフトウェアによって実現されるようになっている。なお、ROM26は基本的に、車載ボディECU12の稼働中は読み出し専用ではあるが、CPU24に実行させたいコンピュータプログラムの更新、または各種テーブルa、a
1 、a
2 の更新が必要な場合に書換えが可能となっている。また、RAM28にはCPU24が読み出すコンピュータプログラムがロードされる他、処理によって発生する各種情報が一時的に記憶されるようになっている。
【0026】
第一/第二の入力ポート30,32と出力ポート34は、マイコン14と外部とのインタフェースである。マイコン14は、第一の入力ポート30に対して電源16が接続されて構成された電源電圧:Vd(V)がモニター可能な電源電圧モニター部36を備えている一方、第二の入力ポート32に対しては、電源16に一端部38が接続された電源抵抗18の他端部40が接続されて構成された分圧値がモニター可能な分圧値モニター部42を備えている。すなわち、電源抵抗18の他端部40がスイッチ20を介して抵抗値の異なる複数(本実施形態では3つ)の外部抵抗22a〜c(本実施形態では、外部抵抗22aが最も低抵抗で、外部抵抗22cが最も高抵抗とする)に択一的に接続されるようになっており、第二の入力ポート32には、電源抵抗18と外部抵抗22a〜cの1つによって分圧された電源電圧の分圧値が入力されて分圧値モニター部42でかかる分圧値がモニター可能となっている。また、出力ポート34は、後述する外部抵抗特定手段Aで特定された外部抵抗22a〜cに対応した制御信号が出力されるようになっている。例えば、外部抵抗22aが選択されていると特定された場合には、全ての図示しないパワーウィンドを閉めるという制御信号が出力される一方、外部抵抗22bが選択されていると特定された場合には、運転席側のパワーウィンドのみを開けるという制御信号が出力され、外部抵抗22cが選択されていると特定された場合には、運転席側のパワーウィンドのみを閉めるという制御信号が出力されるようになっているのである。
【0027】
次に、本実施形態のマイコン入出力回路10を用いて、電源電圧モニター部36により取得された電源電圧:Vd(V)と分圧値モニター部42により取得された分圧値に基づき、スイッチ20によって選択された外部抵抗22a〜cを特定する外部抵抗特定手段Aについて説明する。
【0028】
図2に、本発明のマイコン入出力回路10の外部抵抗特定手段Aの処理内容を示す。本制御処理は、所定の時間間隔(例えば数ミリ秒)毎に開始(実行)されるようになっている。先ず、外部抵抗特定手段Aは、S1において、電源電圧モニター部36により電源電圧を取得すると共に、分圧値モニター部42により分圧値を取得する。
【0029】
次にS2に進み、S1で取得した電源電圧と分圧値が等しいか否かを判定し、かかる電源電圧と分圧値が等しい場合(S2=Yes)には、スイッチ20に何れの外部抵抗22a〜cも接続されていないものと判断して、出力ポート34からは何の制御信号も出力せずに、
図2に示す一連の作業を完了する。
【0030】
一方、電源電圧と分圧値が等しくない場合(S2=No)には、次のS3に進む。より詳細には、S3以降の工程においては、スイッチ20がどの外部抵抗22a〜cに接続されているのかを特定する作業が行われるようになっている。ここで、外部抵抗特定手段Aは、予め取得された電源電圧と各外部抵抗22a,22b,22cの選択時における分圧値範囲の関係を示す関係テーブルaを有している。かかる関係テーブルaは、
図3に示すように、各外部抵抗22a,22b,22c毎に、バラツキを考慮した電源電圧の取り得る範囲(Vd.min〜Vd.max)における、各外部抵抗22a,22b,22cのバラツキを考慮した分圧値の取り得る範囲(Va.min〜Va.max,Vb.min〜Vb.max,Vc.min〜Vc.max)を表にしたものである。
図3に示すように、かかる各外部抵抗22a,22b,22cの分圧値の取り得る範囲のうち、外部抵抗22aの分圧値の取り得る範囲(Va.min〜Va.max)は、抵抗値が隣接する外部抵抗22bの分圧値の取り得る範囲(Vb.min〜Vb.max)とオーバラップしていない。それゆえ、S3において、S1で取得した分圧値がVa.min〜Va.maxの範囲にあるか否かを判定し、かかる分圧値が上記範囲内にある場合(S3=Yes)にはS4に進んでスイッチ20が外部抵抗22aに接続されているものと特定後、S11に進んで出力ポート34から外部抵抗22aに対応した制御信号を出力して、
図2に示す一連の作業を完了する。
【0031】
一方、分圧値が上記範囲内にない場合(S3=No)には、次のS5に進む。S5以降の工程においては、
図3に示すように、抵抗値が隣接する2つの外部抵抗22b,22cの各分圧値範囲(Vb.min〜Vb.max,Vc.min〜Vc.max)がオーバラップしたオーバラップ領域(Vc.min〜Vb.max)を含んでいる場合について説明する。かかる場合には、
図3に示すように、関係テーブルaに対して、オーバラップ領域における分圧値の下限値(Vc.min)に対応する電源電圧を第一閾値(Vth1)として付加した第一判断テーブルa
1 と、オーバラップ領域の分圧値の上限値(Vb.max)に対応する電源電圧を第二閾値(Vth2)として付加した第二判断テーブルa
2 を設ける。より詳細には、第一判断テーブルa
1 では第一閾値(Vth1)を境界として低抵抗側の外部抵抗22bのオーバラップ領域(Vc.min〜Vb.max)を削除するように外部抵抗22bの分圧値範囲(Vb.min〜Vc.min)が設定されていると共に、第二判断テーブルa
2 では第二閾値(Vth2)を境界として高抵抗側の外部抵抗22cのオーバラップ領域(Vc.min〜Vb.max)を削除するように外部抵抗22cの分圧値範囲(Vb.max〜Vc.max)が設定されている。すなわち、第一判断テーブルa
1 では、第一閾値(Vth1)における分圧値(Vc.min)が、低抵抗側の外部抵抗22bの分圧値範囲の上限とされていると共に、高抵抗側の外部抵抗22cの分圧値範囲が分圧値(Vc.min)よりも上の範囲に設定されている。一方、第二判断テーブルa
2 では、第二閾値(Vth2)における分圧値(Vb.max)が、高抵抗側の外部抵抗22cの分圧値範囲の下限とされ、低抵抗側の外部抵抗22bの分圧値範囲が分圧値(Vb.max)よりも小さい範囲に設定されている。
【0032】
そして、S3において、S1で取得した分圧値がVa.min〜Va.maxの範囲にない場合(S3=No)にはS5に進んで、前回の外部抵抗特定手段Aの一連の作業において第一判断テーブルa
1 を用いて外部抵抗22bの特定を行ったか否かを判定し、第一判断テーブルa
1 を用いていない場合(S5=No)には、前回第二判断テーブルa
2 を用いたものと判断してS6に進み、S1で取得した電源電圧が第二閾値(Vth2)以上か否かを判定する。ここで、電源電圧が第二閾値(Vth2)以上である場合(S6=Yes)にはS7に進んで第二判断テーブルa
2 を用いてスイッチ20が外部抵抗22bと外部抵抗22cの何れに接続されているかを判定すると共に第二判断テーブルa
2 を用いたことをRAM28に記録した後、S11に進んで出力ポート34から特定された外部抵抗22bあるいは外部抵抗22cに対応した制御信号を出力して、
図2に示す一連の作業を完了する。一方、電源電圧が第二閾値(Vth2)未満である場合(S6=No)にはS9に進んで第一判断テーブルa
1 を用いてスイッチ20が外部抵抗22bと外部抵抗22cの何れに接続されているかを判定すると共に第一判断テーブルa
1 を用いたことをRAM28に記録した後、S11に進んで出力ポート34から特定された外部抵抗22bあるいは外部抵抗22cに対応した制御信号を出力して、
図2に示す一連の作業を完了する。すなわち、S9において、外部抵抗特定手段Aは、電源電圧モニター部36により取得された電源電圧に基づいて、外部抵抗22b,22cの各分圧値範囲を変更した上で外部抵抗の特定を行っている。
【0033】
一方、前回の外部抵抗特定手段Aの一連の作業において第一判断テーブルa
1 を用いて外部抵抗22bの特定を行っている場合(S5=Yes)にはS8に進み、S1で取得した電源電圧が第一閾値(Vth1)以下か否かを判定する。ここで、電源電圧が第一閾値(Vth1)以下である場合(S8=Yes)にはS9に進んで第一判断テーブルa
1 を用いてスイッチ20が外部抵抗22bと外部抵抗22cの何れに接続されているかを判定すると共に第一判断テーブルa
1 を用いたことをRAM28に記録した後、S11に進んで出力ポート34から特定された外部抵抗22bあるいは外部抵抗22cに対応した制御信号を出力して、
図2に示す一連の作業を完了する。一方、電源電圧が第一閾値(Vth1)を越える場合(S8=No)にはS10に進んで第二判断テーブルa
2 を用いてスイッチ20が外部抵抗22bと外部抵抗22cの何れに接続されているかを判定すると共に第二判断テーブルa
2 を用いたことをRAM28に記録した後、S11に進んで出力ポート34から特定された外部抵抗22bあるいは外部抵抗22cに対応した制御信号を出力して、
図2に示す一連の作業を完了する。
【0034】
以上のことから分かるように、外部抵抗特定手段Aにおける処理工程においては、電源電圧が第一閾値(Vth1)を越えるまでは第一判断テーブルa
1 を選択し、第一判断テーブルa
1 に基づいて分圧値に対応する外部抵抗22b,22cを特定するようになっている一方、第一閾値(Vth1)を越えて第二閾値(Vth2)未満となるまでは第二判断テーブルa
2 を選択し、第二判断テーブルa
2 に基づいて分圧値に対応する外部抵抗22b,22cを特定するようになっているのである。
【0035】
本実施形態に従う構造とされたマイコン入出力回路10によれば、予め取得された電源電圧と各外部抵抗22a,22b,22cの選択時における分圧値範囲の関係を示す関係テーブルaにおいて、抵抗値が隣接する2つの外部抵抗22b,22cの各分圧値範囲(Vb.min〜Vb.max,Vc.min〜Vc.max)がオーバラップしたオーバラップ領域(Vc.min〜Vb.max)を含んでいる場合であっても、かかる関係テーブルaを第一判断テーブルa
1 と第二判断テーブルa
2 によって構成することにより、簡単かつ確実に分圧値から対応する外部抵抗22b,22cを特定できるようになっている。すなわち、
図3に示すように、第一判断テーブルa
1 では第一閾値(Vth1)を境界として低抵抗側の外部抵抗22bのオーバラップ領域(Vc.min〜Vb.max)を削除するように外部抵抗22bの分圧値範囲(Vb.min〜Vc.min)が設定されていると共に、第二判断テーブルa
2 では第二閾値(Vth2)を境界として高抵抗側の外部抵抗22cのオーバラップ領域(Vc.min〜Vb.max)を削除するように外部抵抗22cの分圧値範囲(Vb.max〜Vc.max)が設定されているのである。しかも、外部抵抗特定手段Aにおける処理工程において、電源電圧が第一閾値(Vth1)を越えるまでは第一判断テーブルa
1 に基づいて分圧値に対応する外部抵抗22b,22cを特定する一方、第一閾値(Vth1)を越えて第二閾値(Vth2)未満となるまでは第二判断テーブルa
2 に基づいて分圧値に対応する外部抵抗22b,22cを特定するようになっている。これにより、分圧値のオーバラップの問題を確実に回避して、簡便かつ安定して分圧値から外部抵抗(操作情報)を特定することが可能となっている。
【0036】
加えて、第一閾値(Vth1)および第二閾値(Vth2)を用意し、電源電圧が第一閾値(Vth1)を越えるまでは継続して第一判断テーブルa
1 を選択し、電源電圧が一旦第一閾値(Vth1)を越えた後は、電源電圧が第二閾値(Vth2)未満となるまでは、継続して第二判断テーブルa
2 を選択するようになっていることから、従来の如き単一の閾値に基づいて第一/第二判断テーブルを切り替えるような場合に比して、かかる単一の閾値周辺でのノイズなどによる微小な変動により第一/第二判断テーブルが頻繁に切り替わる問題も生じ難く、安定した特定作業が実現されるようになっている。なお、第一閾値(Vth1)における分圧値(Vc.min)を低抵抗側の外部抵抗22bの分圧値範囲に含める一方、第二閾値(Vth2)における分圧値(Vb.max)を高抵抗側の外部抵抗22cの分圧値範囲に含めることにより、第一/第二判断テーブルa
1 ,a
2 の分圧値範囲の切り分けをより明確にすることが可能となっている。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、上記実施形態では、抵抗値が隣接する一組の外部抵抗22b,22cの分圧値範囲がオーバラップする場合を例示して説明を行ったが、分圧値範囲がオーバラップする外部抵抗が複数組あっても各組の外部抵抗に対して本実施形態と同様に対応することができる。また、上記実施形態では、本発明を車両のパワーウィンドに適用した場合を例示して説明を行ったが、車両に搭載されたその他のドアミラー等の機器や車両以外に搭載された各種機器に対しても勿論同様に適用することができる。
【0038】
さらに、第一および第二閾値における各外部抵抗の分圧値をどのように振り分けるかは、例示のものに限定されず、オーバラップが生じない限り任意に設定可能である。具体的には、上記実施形態では、電源電圧が第一閾値(Vth1)を越えるまでは第一判断テーブルa
1 を選択する一方、第一閾値(Vth1)を越えて第二閾値(Vth2)未満となるまでは第二判断テーブルa
2 を選択するようになっていたが、電源電圧が第一閾値(Vth1)を越えるまでは第一判断テーブルa
1 を選択する一方、第一閾値(Vth1)を越えて第二閾値(Vth2)以下となるまでは第二判断テーブルa
2 を選択するようになっていてもよい。あるいは、電源電圧が第一閾値(Vth1)以上となるまでは第一判断テーブルa
1 を選択する一方、第一閾値(Vth1)以上となって第二閾値(Vth2)以下となるまでは第二判断テーブルa
2 を選択するようになっていてもよい。さらに、電源電圧が第一閾値(Vth1)以上となるまでは第一判断テーブルa
1 を選択する一方、第一閾値(Vth1)以上となって第二閾値(Vth2)未満となるまでは第二判断テーブルa
2 を選択するようになっていてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、外部抵抗特定手段Aが、各外部抵抗22a,22b,22c毎に、バラツキを考慮した電源電圧の取り得る範囲(Vd.min〜Vd.max)における、各外部抵抗22a,22b,22cのバラツキを考慮した分圧値の取り得る範囲(Va.min〜Va.max,Vb.min〜Vb.max,Vc.min〜Vc.max)を示す関係テーブルa(第一判断テーブルa
1 ,第二判断テーブルa
2 )に基づき、外部抵抗の特定を行う例を示した。すなわち、外部抵抗特定手段Aは、かかる関係テーブルaに基づき、分圧値範囲が相互にオーバラップする外部抵抗22b,22cに関する分圧値範囲を電源電圧の状態に応じて変更するようになっていたが、これに限定されない。要するに、外部抵抗特定手段Aにおいて、分
圧値範囲が相互にオーバラップする外部抵抗22b,22cのそれぞれの分
圧値範囲について、オーバラップ領域を含まない2種類の電源電圧に応じた各外部抵抗の分圧値範囲を用い、電源電圧の状態に応じて外部抵抗22b,22cの分圧値範囲を変更し得るものであれば、任意の構成が採用可能である。