(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1〜
図3は、本発明の実施の形態1におけ
る洗浄設備の側面図(昇降動作)であ
る。
【0027】
図1に示すように、床面G上には、基台1が設置される。即ち、中心部に垂直に起立する中心柱11を設置し、中心柱11から放射状に脚部12、13を延長し、脚部12、13の先端側底面部には、キャスタ12a、13aを配設してある。
【0028】
さらに、中心柱11の上部には、アーム13を連設する。アーム13は、逆くの字状に屈曲する部材であるが、その垂直な基端部が中心柱11の上端部に固定される。
【0029】
本形態の基台1は、以上のように構成されるが、基台1は、安定的に設備を支持できれば任意に構成できる。例えば、脚部12、13を平行に配置したり、門型あるいは囲い状に配置する等してもよい。
【0030】
アーム13は、後述するリンク機構及び第1伸縮部材としてのスライダ40が揺動する略水平面を規定する。また、アーム13の軸上には、次の3つの軸支部が設けられている。
【0031】
まず、アーム13の下部には、スライダ40の動作範囲を確保するため、長溝13aが開設されており、長溝13aの下端部に第1軸支部13bが設けられる。
【0032】
アーム13の先端部には、第2軸支部13cが設けられ、さらに、第1軸支部13bと第2軸支部13cの間で、やや第2軸支部13cに近い位置に、第3軸支部13dが設けられる。
【0033】
一方、基台1と通常平行となるように、載置台20が上方に位置する。載置台20は、後述するリンク機構により、基台1、より詳しくは、アーム13に接続される。
【0034】
載置台20上には、ボウル等の洗浄容器30が載置される。
図1の例では、洗浄容器30にためられる水あるいはお湯等を排水するための排水口31が、載置台20の前縁部に設けられるリング部21に挿入されることにより、洗浄容器30は、載置台20に対して位置決めされる。
【0035】
勿論、図示しないボルト及びナット等を使用して、洗浄容器30の底部を載置台20に着脱自在に固定するのが望ましい。さらには、ボウルのかわりに、洗面器やバケツ等を使用することもできる。
【0036】
さて、載置台20の底部の
図1右側には、下方に伸びる下向リブ22と横長の横向リブ23とがそれぞれ設けられており、横向リブ23には、第1軸支部13cに対応する第4軸支部23aが設けられ、下向リブ22には、第3軸支部13dに対応する第5軸支部22aが設けられている。
【0037】
第3軸支部13dと第5軸支部22aには、長手方向に伸長しないリンク24の両端部がそれぞれ枢着される。
【0038】
また、第2軸支部13cと第4軸支部23aには、第2伸縮部材としてのメカロック機構50の両端部がそれぞれ枢着される。
図1の例では、メカロック機構50の本体51の下端部が、第2軸支部13cに枢着され、メカロック機構50の伸縮ロッド52の先端部が、第4軸支部23aに枢着されているが、逆向きに枢着することもできるし、メカロック機構50に代えて、例えばガスシリンダ又は液体シリンダ等を使用してもよい。
【0039】
要するに、第1伸縮部材及び第2伸縮部材は、いずれも軸方向に伸縮できる、リニアガイドであれば任意に選択できる。但し、好ましい位置において、伸縮動作を停止できるものが望ましい。図示したシリンダ又はメカロック機構の他、図示していないが、長孔とこれにスライド自在に係合する突起等の組み合わせ、送りナットとこれに螺合する送りねじとの組み合わせ等、周知の要素等を使用することができる。
【0040】
本形態では、
図9に示すように、載置台20の側方に操作台25を設け、操作台25に垂直軸支部29を立て、垂直軸支部29を中心として水平面内で揺動する揺動アーム28にレバー27を固着している。さらに、メカロック機構50に接続されるワイヤ26の先端部を、揺動アーム28の先端部に固着することにより終端している。
【0041】
そのため、レバー27を操作し揺動させると、メカロック機構50の伸縮を許可/禁止することができる。
【0042】
図1に示すように、あらかじめレバー27を操作して、メカロック機構50の長さをリンク24とほぼ同長とすると、第2軸支部13c、第3軸支部13d、第5軸支部22a及び第4軸支部23aを頂点とする平行四辺形が形成される。この平行四辺形は、アーム13に支持されて垂直面内にあり、リンク24及び第2伸縮部材であるメカロック機構50は、平行リンク機構を構成する。
【0043】
この状態が維持される限り、載置台20、即ち洗浄容器30は、常に基台1、即ち床面Gと平行の関係にある。
【0044】
さて、アーム13の長溝13a内の第1軸支部13bとアーム24の第5軸支部22aよりもやや下方の位置に設けられる第6軸支部24aには、第1伸縮部材40としての、ガスダンパからなるシリンダ40の両端部が枢着される。
【0045】
本形態では、シリンダ本体41の下端部が第1軸支部13bに枢着され、ロッド42の先端部が第6軸支部24aに枢着されるが、これらの位置関係は逆にすることもできる。
【0046】
さらには、シリンダに代えてメカロック機構を使用してもよい。要するに、第1伸縮部材は、第2伸縮部材と同様に、軸方向に伸縮できるものであれば任意に選択できるが、安価な市販品を流用することがコスト的に有利となる。
【0047】
また、基台1には、フットペダル60が装着され、フットペダル60を利用者が足70で踏み込むと、シリンダ40の伸縮が許可され、踏むのをやめるとシリンダ40の伸縮が禁止されるようになっている。
【0048】
勿論、これは仕様の便宜を考えてのことであり、原理的には反対の論理を使用することもできるし、他のスイッチング素子を使用することもできる。例えば、
図9には示していないが、レバー27と一対となる操作具(図示せず)を、操作台25の反対側に設けて、その操作具により、シリンダ40の伸縮を許可/禁止するようにしてもよい。
【0049】
以上のように構成された本形態の支持機構の動作を、
図1〜
図3及び
図4〜
図5を参照しながら説明する。
【0050】
(昇降モード)
まず、
図1に示すように、レバー27を操作して、メカロック機構の長さがリンク24と同長になるように設定しておき、載置台20に洗浄容器30を装着する。
【0051】
次に、利用者は、足70でフットペダル70を踏み込み、シリンダ40の伸縮を許可する。そして、洗浄容器30等を下に押し込むと、
図1〜
図3に示すように、洗浄容器30及び載置台20は、下方に沈み込む。
【0052】
このとき、上述したように平行リンク機構が構成されているから、洗浄容器30は水平のままとなり、傾くことはない。なお、平行リンク機構が寝るにつれて、やや洗浄容器30は水平方向(キャスタ13a側)に移動することになるが、実用上問題ない。
【0053】
逆に、
図3のように洗浄容器30が低い状態にあるとき、
図1〜
図3の手順を逆に行えば、
図1に示すように、洗浄容器30を高い位置へ上昇させることができる。
【0054】
即ち、洗浄容器30を水平な姿勢としたまま、自由に昇降させることができる。この際、洗浄容器30に水やお湯等の液体が入っていたとしても、支障なく昇降させることができる。
【0055】
(首振りモード)
次に、洗浄容器30の高さが好ましいものとなったら、
図4及び
図5に示すように、レバー27を操作し、メカロック機構50の伸縮を許可することにより、洗浄容器30を床面Gに対して首振りさせることができる。
【0056】
例えば、
図4に示すように、メカロック機構50の伸縮ロッド52を縮めると、
図4矢印で示すように、反時計回りに洗浄容器30を揺動できる。
【0057】
また、
図5に示すように、メカロック機構50の伸縮ロッド52を伸ばすと、
図5矢印で示すように、時計回りに洗浄容器30を揺動できる。
【0058】
以上述べたように、昇降動作と首振り動作とを適宜行うことにより、体が不自由な方々に対しても、柔軟に対応することができる。
【0059】
例えば、
図6に示すように、車椅子80に座る方の足81を洗浄するには、洗浄容器30を低く設定し、その方の足の高さに合わせて、シャンプーヘッド82等を用いて洗浄することができる。
【0060】
この場合、足81は、ほぼ水平としても不快感がないから、首振りは省略してもよい。
【0061】
また、
図7に示すように、ベッド90に座る方の足81を洗浄するには、洗浄容器30を比較的高めに設定し、その方の足の高さに合わせて、シャンプーヘッド82等を用いて洗浄することができる。
【0062】
この場合、足81は、ほぼ水平としても不快感がないから、首振りは省略してもよい。
【0063】
さらには、
図8に示すように、例えば、ベッド90に横たわる方の頭部83を洗浄するには、洗浄容器30をかなり高く設定して、シャンプーヘッド82等を用いて洗浄することができる。
【0064】
この場合、首が垂れ下がると不快であるから、
図8に示すように、洗浄容器30を、ベッド90側が低くなるように、首振りすると好適である。
【0065】
以上のように、本形態では、第2伸縮部材50をリンク24とほぼ同長とすることにより、平行リンク機構を構成し、洗浄容器30を床面Gと平行に昇降させることができる。
【0066】
また、この状態から第2伸縮部材50を伸縮させると、平行リンク機構は構成されなくなり、洗浄容器30を床面Gに対して、首振りさせることができる。
【0067】
ここで、以上の動作は、基本的に、第1伸縮部材40、第2伸縮部材50及びリンク24という、3本の棒状部材により達成できるため、軽量かつ安価の支持機構を実現できる。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
載置台20の直上に、天板や座が位置することになるから、
図1のリング部21を設けるのは適切でなく、設計事項により、連結部を適宜修正すればよい。例えば、
図9に示したレバー27等の要素は操作が容易な別の部位に取り付ければよい。いずれにしても、
洗浄容器に合わせた修正は容易であるから、詳細な説明は省略する。