(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793918
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20201119BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20201119BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20201119BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12Q1/02
!C12N5/071
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-172126(P2016-172126)
(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2018-33432(P2018-33432A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年7月4日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、[医療分野研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム]「積層化細胞シートを用いた創薬試験用立体組織モデル」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591173198
【氏名又は名称】学校法人東京女子医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 寛嗣
(72)【発明者】
【氏名】清水 達也
(72)【発明者】
【氏名】菊地 鉄太郎
【審査官】
高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103805505(CN,A)
【文献】
Biomaterials 28 (2007)3508-3516
【文献】
Journal of Neuroscience Methods 180(2009)243-254
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律拍動する心筋組織の拍動能力に関する測定装置であって、
液体が収容される収容部を有する測定台と、
前記収容部の内部に設置された圧力センサと、
を備え、
前記測定台は、
前記収容部の一部が開口された開口部と、
前記開口部の周囲に前記心筋組織を取り付ける取付部と、を備え、
前記心筋組織が前記開口部を塞ぐように前記取付部に取り付けられた結果、前記収容部は外部と閉鎖された空間を形成する、
測定装置。
【請求項2】
前記液体として、細胞培養液が収容される、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記収容部に収容される前記液体を加圧する加圧部を備える、
請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記加圧部は、液体が充填されたリザーバである、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記圧力センサは、前記収容部内における前記開口部と対向する位置に設置されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記心筋組織に取り付けられて前記心筋組織の電位を検出可能な電極を備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記電極は、前記取付部に貼り付けられる前記心筋組織のうち前記開口部を覆う部分の外周部に取り付けられる、
請求項6に記載の測定装置。
【請求項8】
前記開口部は、重力方向とは逆方向に開口するように設けられた、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項9】
自律拍動する心筋組織の拍動能力に関する測定装置であって、
液体が収容される収容部を有する測定台と、
前記収容部の内部に設置された圧力センサと、
を備え、
前記測定台は、
前記収容部の一部が開口された開口部と、
前記心筋組織が前記開口部を塞ぐように、前記開口部の周囲に前記心筋組織を取り付ける取付部と、を備え、
前記液体が前記収容部に水密に収容された状態で、前記心筋組織と前記液体は接触状態となる、
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心筋組織の収縮能力を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
創薬研究などへの応用目的で、細胞シートを積層させて人の心臓の一部を模した組織体を製造する場合がある。このような組織体の収縮能力を評価するために、例えば、下記の非特許文献1には、フィブリンゲルを支持体とし、その外周に心筋の細胞シートを巻き付けた組織体と、当該組織体の動作を圧力信号として測定可能な測定部と、を有する測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013−518571
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kubo H et al, "Creation of myocardial tubes using cardiomyocyte sheets and an in vitro cell sheet-wrapping device.", Biomaterials. 2007 Aug;28(24):3508-16. Epub 2007 Apr 18.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の測定装置では、測定される圧力信号に、信号処理の技術を用いても排除しにくい成分のノイズが多く含まれる場合があり、製造した組織体の収縮能力を精度良く評価することが難しい場合があった。
【0006】
本発明は、細胞シートで形成された心筋組織が有する収縮能力を定量的に精度良く測定することが可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の測定装置は、
自律拍動する心筋組織の拍動能力に関する測定装置であって、
液体が収容される収容部を有する測定台と、
前記収容部の内部に設置された圧力センサと、
を備え、
前記測定台は、
前記収容部の一部が開口された開口部と、
前記開口部の周囲に前記心筋組織を取り付ける取付部と、を備える。
【0008】
この測定装置によれば、収容部内の液体に接触した状態で心筋組織が自律拍動を行った場合、その自律拍動の影響を受けて収容部内の液体の圧力が変化する。この自律拍動に起因する圧力の変化を、収容部内に設置された圧力センサにより、圧力信号として精度よく測定することができる。このため、心筋の細胞シートを用いて製造された心筋組織について、その収縮能力を定量的に精度良く測定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、細胞シートで形成された心筋組織が有する収縮能力を定量的に精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る測定装置を説明する測定装置の構成図である。
【
図2】測定装置を構成する測定台の概略断面図である。
【
図3】細胞培養液の圧力によってドーム状に膨張した心筋組織の側面図である。
【
図4】測定装置によって測定された心筋組織の拍動能力を示す図であって、(a)は心筋組織の拍動時に生じる心収縮圧のグラフ、(b)は、心筋組織の拍動時に生じる表面電位のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る測定装置の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る測定装置10を説明する測定装置10の構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る測定装置10は、測定台20と、リザーバ50と、計測装置60とを備えている。
【0013】
測定台20及びリザーバ50は、振動を抑制する除振台12上に設置された状態で、グローブボックス13内に収容されている。グローブボックス13は、温度コントローラ14及びCO
2コントローラ15を備えている。また、グローブボックス13には、その内部に、サーミスタ16が設けられている。グローブボックス13の内部は、サーミスタ16によって検出された温度に基づいて温度コントローラ14によって一定温度(例えば、37℃)に保たれる。また、グローブボックス13の内部は、CO
2コントローラ15によってCO
2の濃度が一定濃度(例えば、5%)に保たれる。
【0014】
図2は、測定装置10を構成する測定台20の概略断面図である。
図2に示すように、測定台20は、上面で開口された凹部からなる収容部21を有しており、収容部21には、細胞培養液が収容される。そして、測定台20は、収容部21の一部が開口された開口部22を備えている。この開口部22は、測定台20における重力方向とは逆方向に設けられている。また、測定台20は、開口部22の周囲に、取付部23を備えている。
【0015】
測定台20には、培養液注入路25と、センサ挿入路26とが形成されている。培養液注入路25及びセンサ挿入路26は、それぞれ収容部21に連通されており、収容部21から互いに反対方向へ水平に延在されている。培養液注入路25は、収容部21に対して、その上下方向の中間部で連通されており、測定台20の側面で開口されている。また、センサ挿入路26は、収容部21に対して、その下端部で連通されており、測定台20の側面で開口されている。センサ挿入路26には、圧力センサ27を有するカテーテル28が挿し込まれており、圧力センサ27は、収容部21内に配置されている。この圧力センサ27は、収容部21内の圧力を検知するもので、収容部21内における開口部22と対向する位置に設置されている。なお、カテーテル28が挿し込まれたセンサ挿入路26には、センサ支持具29が嵌合されており(
図1参照)、これにより、センサ挿入路26は、センサ支持具29によってシールされている。
【0016】
測定台20の取付部23とされている上面には、環状の内側突条31と、この内側突条31よりも大径の環状の外側突条32とが形成されている。内側突条31は、開口部22を囲うように形成されている。また、外側突条32は、内側突条31と同心円状に形成されている。これにより、測定台20の取付部23には、内側突条31と外側突条32との間に、環状凹部33が形成されている。この環状凹部33には、シート状に形成された水密シート34が配置されている。水密シート34は、例えば、シリコンゴム等からなるシートを環状に形成したもので、環状凹部33に嵌め込まれる。
【0017】
測定台20の取付部23には、水密シート34を介して収容皿35が載せられている。この収容皿35は、例えば、ガラスやプラスチックなどの透明材料から形成されたもので、円板状の底面部36と、底面部36の周縁から立設された周面部37とを有している。この収容皿35には、底面部36に、孔部38が形成されており、この孔部38が測定台20の収容部21の開口部22に連通されている。この収容皿35の上部には、ブラケット39が載置されており、このブラケット39は、例えば、ゴムやバネ等の弾性部材によって収容皿35に付勢された状態で固定される。これにより、収容皿35は、ブラケット39によって測定台20の取付部23に押し付けられた状態で取り付けられる。そして、この収容皿35が測定台20の取付部23に押し付けられることで、水密シート34が圧縮されて取付部23と収容皿35の底面部36に密着する。これにより、収容皿35は、その底面部36が測定台20の取付部23に水密状態に固定される。
【0018】
収容皿35には、心筋組織HMが設けられている。この心筋組織HMは、例えば、ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞をシート化し、この細胞シートを積層することでヒトiPS細胞由来の心筋細胞を立体(3次元)的な組織としたものである。心筋組織HMは、収容皿35の底面部36に予め接着されて取り付けられる。そして、この心筋組織HMが取り付けられた収容皿35を測定台20に取り付けることで、心筋組織HMが測定台20の収容部21の開口部22を塞ぐように、測定台20の取付部23に貼り付けられる。貼り付けられた結果、収容部21は外部と閉鎖された空間を形成する。なお、マウス等から作成した細胞シートを用いて作られた心筋組織であっても、本発明は適用可能である。
【0019】
測定台20の取付部23に貼り付けられた心筋組織HMには、L字状に形成された導電性金属板からなる電極40が取り付けられる。この電極40は、心筋組織HMの拍動で生じる表面電位を検出するもので、取付部23に貼り付けられた心筋組織HMのうち開口部22を覆っている部分の外周部に取り付けられる。
【0020】
図1に示すように、リザーバ50は、加圧器(加圧部の一例)51を有している。本例の加圧器51は、吐出口52を有する筒状のシリンジ53と、このシリンダ53に差し込まれたプランジャ54とを有している。加圧器51は、支持台55によって、吐出口52を下方へ向けた状態で支持されている。加圧器51には、シリンジ53の吐出口52に、開閉弁56を有する供給管57が接続されている。この供給管57は、測定台20の培養液注入路25に接続されている。リザーバ50には、加圧器51内に細胞培養液が貯留されており、この細胞培養液は、加圧器51から供給管57及び培養液注入路25を通して、収容部21に充填される。また、加圧器51のプランジャ54をシリンジ53へ押し込むことで、収容部21へ充填する細胞培養液が加圧可能とされている。
なお、加圧器51は、プランジャ54を有さなない構成であっても良い。この場合、加圧器51のシリンジ53に満たされた培養液の水頭圧を制御することにより、収容部21へ充填する細胞培養液が加圧可能とされる。
また、ここでは細胞培養液を収容部21へ充填する手法としてシリンジを例示したが、これに限られるものではない。例えば三方活栓を用いて、三方活栓のコックを開閉するなど、収容部21へ細胞培養液を充填できればいかなる手法であっても良い。
【0021】
計測装置60は、心筋組織HMの収縮能力を測定する装置である。計測装置60は、インターフェース62と、コントローラ63とを備えている。インターフェース62は、計測装置60に接続されており、コントローラ63は、インターフェース62を介して計測装置60に接続されている。インターフェース62には、電極40から延びる配線40a及びサーミスタ16から延びる配線16aが接続されている。また、コントローラ63には、圧力センサ27から延びる配線27aが接続されている。
【0022】
そして、この計測装置60では、電極40からの電気信号、サーミスタ16からの温度の検出信号及び圧力センサ27からの圧力の検出信号が、インターフェース62を介して送信される。また、圧力センサ27は、コントローラ63によって圧力の測定レンジ等がコントロールされる。
【0023】
次に、上記構成の測定装置10によって心筋組織HMの収縮能力の測定を行う場合について説明する。
【0024】
図3は、細胞培養液の圧力によってドーム状に膨張した心筋組織HMの側面図である。
図4は、測定装置10によって測定された心筋組織HMの拍動能力を示す図であって、(a)は心筋組織HMの拍動時に生じる心収縮圧のグラフ、(b)は、心筋組織HMの拍動時に生じる表面電位のグラフである。
【0025】
まず、心筋組織HMを測定台20の取付部23に取り付ける。具体的には、測定台20の取付部23の環状凹部33に水密シート34を嵌め込む。そして、予め心筋組織HMを底面部36に接着させた収容皿35を、水密シート34を介して取付部23に載せる。さらに、収容皿35の上部にブラケット39を載置させ、このブラケット39を弾性部材によって収容皿35へ付勢させた状態で取付部23へ固定する。その後、心筋組織HMにおける開口部22を覆っている部分の外周部に電極40を取り付ける。なお、心筋組織HMを取付部23に取り付ける際には、予め、収容部21の開口部22の付近までリザーバ50から細胞培養液を送り込んでおき、その状態で開閉弁56を閉じておく。
【0026】
測定台20の取付部23に心筋組織HMを取り付けたら、開閉弁56を開いてリザーバ50の加圧器51のプランジャ54をシリンジ53へ押し込み、細胞培養液を加圧する。このようにすると、
図3に示すように、細胞培養液の圧力によって、心筋組織HMにおける収容部21の開口部22を覆う部分がドーム状に膨張される。このとき、測定台20の取付部23の内側突条31と外側突条32との間の環状凹部33に配置された水密シート34が、取付部23と収容皿35の底面部36とに密着しているので、取付部23と収容皿35との隙間からの細胞培養液の漏れが防止される。
【0027】
上記のように、心筋組織HMを収容部21の開口部22を塞ぐように、取付部23に貼り付けると、心筋組織HMは、収容部21に満たされた細胞培養液と接触した状態となり、自律拍動を継続する。
【0028】
心筋組織HMが自律拍動することで、収容部21内の圧力が変動し、この圧力変動が、圧力センサ27によって検出される。これにより、
図4(a)に示すように、計測装置60では、圧力センサ27からの検出信号に基づいて、心筋組織HMの拍動時に生じる筋収縮能が心収縮圧として時系列的に取得される。
【0029】
また、心筋組織HMが自律拍動すると、心筋組織HMには、自律拍動を行う際に微小な電位が生じ、この電位が、電極40に検出される。これにより、
図4(b)に示すように、計測装置60では、心筋組織HMの拍動時に発生する表面電位が時系列的に取得される。
【0030】
この状態において、創薬研究のために薬剤等の試験化合物のスクリーニング評価を行う。具体的には、注射器IJ(
図2参照)等によって心筋組織HM上に、評価を行う試験化合物を滴下し、心筋組織HMの心収縮圧及び表面電位の変化を観察する。そして、心筋組織HMの心収縮圧及び表面電位の変化から心筋組織HMに対する試験化合物の薬効・毒性等を評価する。
【0031】
このとき、心筋組織HMが取り付けられた収容皿35が透明材料から形成されたものであるので、心筋組織HMの動きを収容皿35の周面部37から目視で容易に観察することができる。
【0032】
ここで、開発した薬剤の安全性・有効性を評価する試験としては、in vitro試験ならびにin vivo試験がある。in vitro試験には、単細胞の培養系が用いられ、in vivo試験には、齧歯類を中心とする実験動物などの評価系が使用される。
【0033】
ところで、創薬の成功率は約6000分の1とされており、数多くの失敗の影響で薬剤の研究開発コストは増大傾向にある。例えば、1種類の新薬を開発するのに数百億円の投資が必要になっている。開発の失敗の主な要因としては、細胞単体での評価スクリーニング系と実際のヒト生体組織との差異、動物実験とヒト臨床試験との差異等である。このため、これらの差異を解消し、創薬の成功率を向上させ、研究開発コストを低減することが創薬開発現場で求められている。
【0034】
本実施形態に係る測定装置10では、細胞シート工学を利用して、ヒトiPS細胞由来の3次元の心筋組織HMを作製し、その心筋組織HMに試験化合物を作用させながら心収縮圧及び表面電位の測定を行うことで、心筋組織HMに対する薬効評価、毒性試験を行うものである。
【0035】
このように、本実施形態に係る測定装置10では、従来の足場材料の中に細胞を埋め込み組織を作製する手法と比して、より生体に近い足場レスの高集積組織を用いて、細胞単体と生体組織との反応の違いを吸収し、また、動物と人間との種の違いによる差異を解消することができ、かつ動物実験自体を減らすことが可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係る測定装置10では、パッチクランプ法などで細胞単体の電気生理学的な解析を行い、心収縮や活動電位形成をつかさどるイオンチャネルへの影響を調査して薬効・毒性試験を行う細胞単体での評価と比較しても、より生体に近い機能発現、遺伝子発現を有するヒトiPS細胞由来の心筋組織HMを用いることで、生体での反応をダイレクトに反映させた試験結果が期待できる。
【0037】
しかも、本実施形態に係る測定装置10は、ファーメドチューブ等の柔らかい素材を用いずに、細胞培養液の配管系を全てリジットな素材で構成されており、開閉弁56の開放・閉塞や加圧器51による加圧を調整することにより、心筋組織HMの等容収縮・等圧収縮を共に計測することができる。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態に係る測定装置10によれば、収容部21内の細胞培養液に接触した状態で心筋組織HMが自律拍動を行った場合、その自律拍動の影響を受けて収容部21内の細胞培養液の圧力が変化する。この自律拍動に起因する圧力の変化を、収容部21内に設置された圧力センサ27により、圧力信号として精度よく測定することができる。このため、心筋細胞を用いて製造された心筋組織HMについて、その収縮能力を定量的に精度良く測定することができる。
【0039】
また、心筋組織HMは、細胞培養液から栄養分を吸収して、連続的に自律拍動することができる。このため、心筋組織HMの収縮能力を定量的かつ連続的に精度良く測定し続けることができる。
【0040】
しかも、測定台20の取付部23に貼り付けられた心筋組織HMは、細胞培養液が充填されたリザーバ50の加圧器51による加圧の影響で、収容部21の開口部22を覆っている部分がドーム状に膨らみ、テンションが高い状態(張った状態)で、細胞培養液に接触して自律拍動が可能となる。このように、心筋組織HMで形成された心筋組織を立体化することで、より精度よく、収縮能力を圧力信号として定量的に測定することができる。
【0041】
また、圧力センサ27は、収容部21内における開口部22と対向する位置に設置されているので、圧力センサ27が、心筋組織HMの自律拍動に起因する収容部21内の細胞培養液の圧力の変化を捉えやすくなる。このため、更に精度よく、収縮能力を反映する圧力信号を測定することができる。
【0042】
また、心筋組織HMに取り付けた電極40によって、心筋組織HMの自律拍動に伴って発生する表面電位を、圧力信号と同時に検出して測定することができる。このように、生体でいうところの心電図に相当する圧力信号及び電圧信号などの多パラメータを共通の時間軸上で並行して計測することができ、製造した心筋組織HMの評価がし易くなり、試薬の影響等も評価しやすくなる。
【0043】
しかも、電極40は、取付部23に貼り付けられた心筋組織HMのうち開口部22を覆っている部分の外周部に取り付けられるので、電極40が心筋組織HMの自律拍動によって位置ずれしてしまう等に起因するノイズの影響を少なくすることができる。
【0044】
また、測定台20の収容部21の開口部22が重力方向とは逆方向に設けられているので、収容部21へ容易に細胞培養液を収容させることができ、しかも、圧力センサ27によって圧力の変化をさらに捉えやすくなる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0046】
10:測定装置、20:測定台、21:収容部、22:開口部、23:取付部、27:圧力センサ、40:電極、50:リザーバ、51:加圧器、HM:心筋組織