【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)展示日 平成28年11月9日〜平成28年11月11日 (2)展示会名 京都水道展 日本水道協会平成28年度全国会議(第89回総会・水道研究発表会併設) (3)開催場所 「みやこめっせ」京都市勧業館(京都市左京区岡崎成勝寺町9番地の1) (4)公開者 サンエス護謨工業株式会社 (5)展示内容 サンエス護謨工業株式会社は、京都水道展に於いて、田代学、村山聖、高橋宏明、中村光伸が発明した「開栓器」を公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3つ以上の軸部材の端部どうしを連結手段を介して折り畳み可能に連結してなる垂直軸部と、前記3つ以上の軸部材を直列状に保持する保持手段と、最下位の軸部材の下端に設けられかつ地中埋設管のバルブの開閉操作用凸部に嵌め合わせられるソケット部と、最上位の軸部材の上端に設けられかつ操作ハンドルが着脱自在に取り付けられるハンドル取付部とを備えており、
各軸部材のうち、少なくとも隣接する軸部材との連結端部以外の部分、ソケット部およびハンドル取付部が、軽金属材または繊維強化複合材よりなり、
保持手段が、垂直軸部にスライド自在に嵌め被せられている軸部材の数から1を引いた数の保持スリーブよりなり、各保持スリーブが隣接する2つの軸部材の連結端部に跨って嵌め被せられる固定位置にあるときに、両軸部材が直列状に保持され、各保持スリーブが隣接する2つの軸部材のうちいずれか一方に嵌め被せられる解除位置にあるときに、両軸部材が互いに折り畳み可能となされる、開栓器。
各軸部材における隣接する軸部材との連結端部の外周面の断面形状および保持スリーブの内周面の断面形状がいずれも非円形とされており、各保持スリーブが固定位置にあるときに、各連結端部が保持スリーブに相対回転不可能に嵌合される、請求項1記載の開栓器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の開栓器の場合、全長は1mを優に越えるものであるから、垂直軸部を縮めた状態でも十分にコンパクトにはならない上、軽量化も行われていないので、災害時や緊急時にバイク・自転車等に搭載して運搬するのは難しく、また、開栓操作も行い難かった。さらに、特許文献1記載の開栓器の場合、外筒と内筒との連結がストッパと係合孔との係合により行われるため、開栓操作時のトルクが繰り返し掛かると破損するおそれがあり、耐久性の面で問題があった。
【0006】
この発明の目的は、災害時や緊急時にバイク・自転車等に搭載して容易に運搬することが可能であって、地中埋設管のバルブの開閉操作を楽に行うことができ、また、耐久性にも優れている開栓器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、この発明は以下の態様からなる。
【0008】
1)3つ以上の軸部材の端部どうしを連結手段を介して折り畳み可能に連結してなる垂直軸部と、前記3つ以上の軸部材を直列状に保持する保持手段と、最下位の軸部材の下端に設けられかつ地中埋設管のバルブの開閉操作用凸部に嵌め合わせられるソケット部と、最上位の軸部材の上端に設けられかつ操作ハンドルが着脱自在に取り付けられるハンドル取付部とを備えており、
各軸部材のうち、少なくとも隣接する軸部材との連結端部以外の部分、ソケット部およびハンドル取付部が、軽金属材または繊維強化複合材よりなり、
保持手段が、垂直軸部にスライド自在に嵌め被せられている軸部材の数から1を引いた数の保持スリーブよりなり、各保持スリーブが隣接する2つの軸部材の連結端部に跨って嵌め被せられる固定位置にあるときに、両軸部材が直列状に保持され、各保持スリーブが隣接する2つの軸部材のうちいずれか一方に嵌め被せられる解除位置にあるときに、両軸部材が互いに折り畳み可能となされる、開栓器。
【0009】
2)各軸部材における隣接する軸部材との連結端部および連結手段が、軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材よりなる、上記1)の開栓器。
【0010】
3)各軸部材における隣接する軸部材との連結端部の外周面の断面形状および保持スリーブの内周面の断面形状がいずれも非円形とされており、各保持スリーブが固定位置にあるときに、各連結端部が保持スリーブに相対回転不可能に嵌合される、上記1)の開栓器。
【0011】
4)隣接する2つの軸部材どうしの折り畳み方向が交互に90°ずつ変えられている、上記2)の開栓器。
【0012】
5)ソケット部の下端面が、ステンレス鋼材よりなる補強プレートで覆われている、上記1)〜3)のいずれか1つの開栓器。
【発明の効果】
【0013】
上記1)の開栓器にあっては、垂直軸部が、3つ以上の軸部材の端部どうしを、連結手段を介して折り畳み可能に連結してなるので、これらが折り畳まれた状態では、例えばバイクや自転車に容易に搭載可能なコンパクトなサイズとなる。
また、上記1)の開栓器では、各軸部材のうち、少なくとも隣接する軸部材との連結端部以外の部分、ソケット部およびハンドル取付部が、軽金属材または繊維強化複合材よりなるので、全体の重量が小さくなる。
さらにまた、上記1)の開栓器では、保持スリーブを固定位置と解除位置の間でスライドさせることにより、軸部材が直列状に保持される使用時の状態から、軸部材が折り畳み可能な運搬・保管時の状態に、またはその逆に簡単に切り替えることができる。
従って、上記1)の開栓器によれば、災害時や緊急時にバイク・自転車等に搭載して容易に運搬することが可能である上、操作性に優れており、使い勝手が良い。
【0014】
上記2)の開栓器によれば、トルクを伝達する部材である各軸部材における隣接する軸部材との連結端部および連結手段が、軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材よりなるので、開栓操作時のトルク強度に優れており、地中埋設管のバルブの開閉操作を楽に行うことができ、また、優れた耐久性が得られ、長期間使用することができる。
【0015】
上記3)の開栓器によれば、各軸部材における隣接する軸部材との連結端部の外周面の断面形状および保持スリーブの内周面の断面形状がいずれも非円形とされており、各保持スリーブが固定位置にあるときに、各連結端部が保持スリーブに相対回転不可能に嵌合されるので、連結手段に負荷をかけることなく、開栓操作時のトルク強度に優れたものとでき、地中埋設管のバルブの開閉操作を楽に行うことができ、また、優れた耐久性が得られ、長期間使用することができる。
また、上記3)の開栓器では、各軸部材における隣接する軸部材を軽金属材または繊維強化複合材よりなるものとできるので、全体の重量がより一層小さくなる。
【0016】
上記4)の開栓器によれば、隣接する2つの軸部材どうしの折り畳み方向が交互に90°ずつ変えられているので、折り畳まれた際によりコンパクトな状態となり、持ち運びしやすい。
【0017】
上記5)の開栓器によれば、ソケット部の下端面がステンレス鋼材よりなる補強プレートで覆われているので、ソケット部を地中埋設管のバルブの開閉操作用凸部に嵌め合わせる際に、ソケット部の下端面がバルブの上記凸部等に当たって変形したり破損したりするのを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の第1実施形態を、
図1〜
図3を参照しながら以下に説明する。
なお、以下の説明において、「前」とは
図2および
図3の図面に向かって手前側をいい、「後」とは同奥側をいい、また、「左右」は、
図2および
図3の左右をいうものとする。
【0020】
図1および
図2には、この発明の実施形態の開栓器が示されている。
開栓器(1)は、地中に埋設された配水管(P)の途中に設けられた仕切弁(V)の開閉を行うためのものであって(
図3参照)、3つの軸部材(20A)(20B)(20C)の端部どうしを連結リンク(3)を介して折り畳み可能に連結してなる垂直軸部(2)と、3つの軸部材(20A)(20B)(20C)を直列状に保持する2つの保持スリーブ(4)と、下側軸部材(20C)の下端に設けられかつ配水管(P)の仕切弁(V)の開閉操作用凸部(V1)に嵌め合わせられるソケット部(5)と、上側軸部材(20A)の上端に設けられかつ操作ハンドル(7)が着脱自在に取り付けられるハンドル取付部(6)とを備えている。
【0021】
各軸部材(20A)(20B)(20C)のうち隣接する軸部材との連結端部(221)(222)以外の部分(211)(212)、ソケット部(5)およびハンドル取付部(6)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなる。また、各軸部材(20A)(20B)(20C)における隣接する軸部材との連結端部(221)(222)および連結リンク(3)は、軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材よりなる。
軽金属材としては、アルミニウム材、マグネシウム材、チタン材等が挙げられるが、好適には、加工性に優れコストが抑えられるアルミニウム材が用いられる。
繊維強化複合材としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等が挙げられる。
軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材としては、鋼材が挙げられ、とりわけ、耐食性に優れたステンレス鋼材が好適に用いられる。
【0022】
上側軸部材(20A)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなる第1の主体(211)と、軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材よりなりかつ第1の主体(211)の下端部に接合された第1の連結端部形成体(221)とよりなる。
第1の主体(211)は、円棒体よりなる。第1の主体(211)の下端部は、残りの部分(211a)の外径よりも小さい外径を有する径小部(211b)となされており、径小部(211b)とそれよりも上方部分(211a)との間に、下向きの水平環状段差(211c)が形成されている。
第1の連結端部形成体(221)は、第1の主体(211)の径小部(211b)の外径とほぼ同じ外径を有する円棒体よりなる。
第1の主体(211)と第1の連結端部形成体(221)との連結手段は、特に限定されないが、例えば、両者(211)(221)の連結端部に互いに嵌め合わせられる凹凸嵌合部(図示略)を形成するとともに、これらの嵌合部を横断して貫通させられる連結ピン(図示略)によって嵌合状態を維持する手段が挙げられる。
第1の連結端部形成体(221)の下部には、これを左右2つの部分(221a)に分岐させるように下端面から垂直上向きにのびる幅広のスリット(221b)が形成されている。
【0023】
ハンドル取付部(6)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなりかつ左右方向にのびる水平な円柱体によって構成されており、その中心部には、横断面円形のハンドル挿通孔(61)が貫通状にあけられている。ハンドル取付部(6)は、例えば溶接等の接合手段によって、上側軸部材(20A)の第1の主体(211)の上端部にT字状に接合固定されている。
【0024】
下側軸部材(20C)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなる第2の主体(212)と、軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材よりなりかつ第2の主体(212)の上端部に接合された第2の連結端部形成体(222)とよりなる。
第2の主体(212)は、円棒体よりなる。
第2の連結端部形成体(222)は、その下端部(222a)が第2の主体(212)とほぼ同じ外径を有するとともに、残りの部分が下端部(222a)の外径よりも小さい外径を有する径小部(222b)となされており、下端部(222a)と径小部(222b)との間に、上向きの水平環状段差(222c)が形成されている。
第2の主体(212)と第2の連結端部形成体(222)との連結手段は、特に限定されないが、例えば、両者(212)(222)の連結端部に互いに嵌め合わせられる嵌合部(図示略)を形成するとともに、これらの嵌合部を横断して貫通させられる連結ピン(図示略)によって嵌合状態を維持する手段が挙げられる。
第2の連結端部形成体(222)の径小部(222b)の上部には、これを前後2つの部分(222d)に分岐させるように上端面から垂直下向きにのびる幅広のスリット(222e)が形成されている。
【0025】
ソケット部(5)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなりかつ横断面方形の角柱体によって構成されており、その中心部には、下端面に開口した横断面方形の嵌合凹部(51)が形成されている。ソケット部(5)は、その上端面が、例えば溶接等の接合手段によって、下側軸部材(20C)の第2の主体(212)の下端面に接合固定されている。
ソケット部(5)の下端面には、ステンレス鋼材よりなる方形枠状の補強プレート(8)が接合固定されている。この補強プレート(8)により、ソケット部(5)の下端面が覆われている。補強プレート(8)の接合手段は、特に限定されないが、例えば、リベットやネジ等の機械的接合が挙げられる。
【0026】
中間軸部材(20B)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなる第1の主体(211)と、軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材よりなりかつ第1の主体(211)の下端部に接合された第1の連結端部形成体(221)と、軽金属材または繊維強化複合材よりも高いトルク強度を有する金属材よりなりかつ第1の主体(211)の上端部に接合された第2の連結端部形成体(222)とよりなる。
第1の主体(211)、第1の連結端部形成体(221)および第2の連結端部形成体(222)は、以下の点を除いて、上述したものと同じである。即ち、第1の連結端部形成体(221)の下部に形成されているスリット(221b)は、同下部を前後2つの部分(221a)に分岐させるように下端面から垂直上向きにのびている。また、第2の連結端部形成体(222)の径小部(222b)の上部に形成されているスリット(222e)は、同上部を左右2つの部分(222d)に分岐させるように上端面から垂直下向きにのびている。
【0027】
2つの連結リンク(3)は、それぞれ短くて偏平な板片状のものであって、各連結リンク(3)の両端部は半円弧状となされている。
上側軸部材(20A)の下端部と中間軸部材(20B)の上端部とを連結している連結リンク(3)は、その一端部が、上側軸部材(20A)の第1の連結端部形成体(221)のスリット(221b)に差し込まれて、スリット(221b)の左右両側の部分(221a)に、左右方向にのびる水平ピン(91)によって回動自在に取り付けられているとともに、その他端部が、中間軸部材(20B)の第2の連結端部形成体(222)のスリット(222e)に差し込まれて、スリット(222e)の左右両側の部分(222d)に、左右方向にのびる水平ピン(91)によって回動自在に取り付けられている。
中間軸部材(20B)と下側軸部材(20C)とを連結している連結リンク(3)は、その一端部が、中間軸部材(20B)の第1の連結端部形成体(221)のスリット(221b)に差し込まれて、スリット(221b)の前後両側の部分(221a)に、前後方向にのびる水平ピン(92)によって回動自在に取り付けられているとともに、その他端部が、下側軸部材(20C)の第2の連結端部形成体(222)のスリット(222e)に差し込まれて、スリット(222e)の前後両側の部分(222a)に、前後方向にのびる水平ピン(92)によって回動自在に取り付けられている。
以上の連結構造により、上側軸部材(20A)と中間軸部材(20B)とは、互いに前後方向に折り畳み可能となされており、また、中間軸部材(20B)と下側軸部材(20C)とは、互いに左右方向に折り畳み可能となされている。つまり、この実施形態の開栓器(1)の垂直軸部(2)は、上側軸部材(20A)と中間軸部材(20B)の折り畳み方向と、中間軸部材(20B)と下側軸部材(20C)の折り畳み方向とが、互いに直交するように構成されている。したがって、これらの軸部材(20A)(20B)(20C)を折り畳んだ状態の開栓器(1)は、その上下方向のサイズが展開時の3分の1程度まで小さくなるのに加えて、その前後方向のサイズおよび左右方向のサイズもバランスよく抑えられるため、よりコンパクトとなって運搬等に便利なものとなされている。
【0028】
2つの保持スリーブ(4)は、それぞれ垂直円筒状のものであって、垂直軸部(2)の所定部分にスライド自在に嵌め被せられている。
各保持スリーブ(4)の内径は、第1の主体(211)の径小部(211b)、第1の連結端部形成体(221)、および第2の連結端部形成体の径小部(222b)の外径より若干大きく、かつ第1の主体(211)のうち径小部以外の部分(211a)、および第2の連結端部形成体の下端部(222a)の外径よりも小さいものとなされている。
一方の保持スリーブ(4)は、上側軸部材(20A)の下端部(第1の連結端部形成体)(221)および中間軸部材(20B)の上端部(第2の連結端部形成体の径小部)(222b)に跨って嵌め被せられる固定位置と、上側軸部材(20A)の下部、より詳細には、下端部(第1の連結端部形成体)(221)および第1の主体(211)の径小部(211b)に連結リンク(3)と干渉しないように嵌め被せられる解除位置との間で、スライド可能となされている。保持スリーブ(4)のスライド範囲は、上側軸部材(20A)の第1の主体(211)の段差(211c)および中間軸部材(20B)の第2の連結端部形成体(222)の段差(222c)によって画定されており、これらの段差(211c)(222c)が保持スリーブ(4)のストッパの役割を果たしている。この保持スリーブ(4)が固定位置にあるときに、上側軸部材(20A)および中間軸部材(20B)が直列状に保持され、同保持スリーブ(4)が解除位置にあるときに、両軸部材(20A)(20B)が互いに前後方向に折り畳み可能となされる。
また、他方の保持スリーブ(4)は、中間軸部材(20B)の下端部(第1の連結端部形成体)(221)および下側軸部材(20C)の上端部(第2の連結端部形成体の径小部)(222b)に跨って嵌め被せられる固定位置と、中間軸部材(20B)の下部、より詳細には、下端部(第1の連結端部形成体)(221)および第1の主体(211)の径小部(211b)に連結リンク(3)と干渉しないように嵌め被せられる解除位置との間で、スライド可能となされている。保持スリーブ(4)のスライド範囲は、中間軸部材(20B)の第1の主体(211)の段差(211c)および下側軸部材(20C)の第2の連結端部形成体(222)の段差(222c)によって画定されており、これらの段差(211c)(222c)が保持スリーブ(4)のストッパの役割を果たしている。この保持スリーブ(4)が固定位置にあるときに、中間軸部材(20B)および下側軸部材(20C)が直列状に保持され、同保持スリーブ(4)が解除位置にあるときに、両軸部材(20B)(20C)が互いに左右方向に折り畳み可能となされる。
【0029】
上記開栓器(1)の寸法は特に限定されないが、通常、3つの軸部材(20A)(20B)(20C)を展開させて直列状とした使用時の状態では、長さ約1300mm、左右幅90mm程度となされ、これらの軸部材(20A)(20B)(20C)を折り畳んだ運搬時等の状態では、長さ約450mm、左右幅130mm程度、前後奥行110mm程度まで小さくなる。この折り畳み時の長さは、後述する操作用ハンドル(7)の長さにほぼ等しい。
各軸部材(20A)(20B)(20C)の最大外径(太さ)は、使用する材料の強度を考慮した上で、開栓時の最大トルク等に応じて適宜設定されるが、例えば、最大トルクが200N・mの場合で30mm程度となされ、最大トルクが200N・mの場合で40mm程度となされる。
また、開栓器(1)の重量も、そのサイズや使用する材料に応じて決定されるが、例えばサイズが上記例示の通りであって、各軸部材(20A)(20B)(20C)の主体(211)(212)、ソケット部(5)、ハンドル取付部(6)および保持スリーブ(4)がアルミニウム材よりなり、各軸部材(20A)(20B)(20C)の連結端部形成体(221)(222)および連結リンク(3)がステンレス鋼材よりなる場合、3.5〜5kg程度となり、全ての構成要素を鋼材製としていた従来の開栓器の重量と比べると、1/3〜1/5程度まで軽量化される。
【0030】
図3は、上記開栓器(1)の使用状態を示すものである。
開栓器(1)は、
図1および
図2(a)に示すように3つの軸部材(20A)(20B)(20C)が折り畳まれた最小の形態で、例えばバイクや自転車に搭載され、配水管(P)の仕切弁(V)が設置されている箇所まで運搬される。
仕切弁(V)の設置箇所に着いたら、開栓器(1)をバイク等から降ろして、その3つの軸部材(20A)(20B)(20C)を、例えば
図2に示す要領で、展開、すなわち直列状にのばした後、2つの保持スリーブ(4)を解除位置(
図2(c)に実線で示す位置)から固定位置(
図2(c)に2点鎖線で示す位置)までスライドさせ、3つの軸部材(20A)(20B)(20C)を直列状に保持する。
次に、開栓器(1)のハンドル取付部(6)のハンドル挿通孔(61)に、一端部がL形に折り曲げられた鋼棒等の金属棒よりなる操作ハンドル(7)を差し込んで略T形に取り付ける。
そして、この開栓器(1)を、仕切弁(V)に通じるように地面にあけられた孔に挿入して、ソケット部(5)の嵌合凹部(51)を、仕切弁の上部に設けられた弁体キャップ(開閉操作用凸部)に嵌め合わせ、この状態で、操作ハンドルを所要方向に回動させると、弁体キャップが回動させられて、仕切弁が開栓させられる。
上記開栓器(1)は、従来のものと比べて大幅に軽量化されているので、上記の開栓操作を行うに当たっても、取扱が容易であり、操作効率も向上する。
また、開栓器(1)は、軸部材(20A)(20B)(20C)どうしの連結部分をトルク強度の高い金属材で構成しているので、繰り返し使用しても破損する心配がなく、優れた耐久性が得られる。
【0031】
この発明の第2実施形態を、
図4〜
図7を参照しながら以下に説明する。
第2実施形態の開栓器(1)は、地中に埋設された配水管(P)の途中に設けられた仕切弁(V)の開閉を行うためのものであって(
図3参照)、3つの軸部材(120A)(120B)(120C)の端部どうしを連結リンク(3)を介して折り畳み可能に連結してなる垂直軸部(12)と、3つの軸部材(120A)(120B)(120C)を直列状に保持する2つの保持スリーブ(14)と、下側軸部材(120C)の下端に設けられかつ配水管(P)の仕切弁(V)の開閉操作用凸部(V1)に嵌め合わせられるソケット部(5)と、上側軸部材(120A)の上端に設けられかつ操作ハンドル(7)が着脱自在に取り付けられるハンドル取付部(6)とを備えている。
【0032】
第2実施形態の開栓器(1)は、第1実施形態の開栓器(1)と比較して、連結リンク(3)、ソケット部(5)およびハンドル取付部(6)が同じ形状で、垂直軸部(12)の各軸部材(120A)(120B)(120C)および保持スリーブ(14)が異なる構成とされている。以下では、垂直軸部(12)の各軸部材(120A)(120B)(120C)および保持スリーブ(14)について詳細に説明し、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0033】
上側軸部材(120A)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなり、主体(1211)と、主体(1211)の下端部に一体に形成された連結端部(1221)とよりなる。
主体(1211)は、円柱状とされており、連結端部(1221)は、断面が正方形の角柱体の4つの角が面取りされた角柱状とされている。連結端部(1221)は、主体(1211)の外径よりも大きい外径を有しており、断面形状において、主体(1211)の外周を形成する円は、連結端部(1221)の外周に内接する円に一致するかそれよりも若干小さい大きさとされている。
連結端部(1221)の下部には、左右の突出部(1221a)が形成されている。これらの左右の突出部(1221a)は、第1実施形態の第1の連結端部形成体(221)の下部の左右2つの部分(221a)に相当するもので、左右の突出部 (1221a)の間に形成されたスリット部分に連結リンク(3)の端部が挿入される。
【0034】
下側軸部材(120C)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなり、主体(1212)と、主体(1212)の上端部に一体に形成された第1の連結端部(1222)と、主体(1212)の下端部に一体に形成された第2の連結端部(1223)とよりなる。
主体(1212)は、上側軸部材(120A)の主体(1211)と同一の形状で、円柱状とされており、第1の連結端部(1222)は、断面が正方形の角柱体の4つの角が面取りされた角柱状とされている。第1の連結端部(1222)は、上側軸部材(120A)の連結端部(1221)と同一の形状で、主体(1212)の外径よりも大きい外径を有しており、断面形状において、主体(1212)の外周を形成する円は、連結端部(1222)の外周に内接する円に一致するかそれよりも若干小さい大きさとされている。
第1の連結端部(1222)の上部には、前後の突出部(1222a)が形成されている。これらの前後の突出部(1222a)は、第1実施形態の第2の連結端部形成体(222)の下部の前後2つの部分(222d)に相当するもので、前後の突出部(1222a)の間に形成されたスリット部分に連結リンク(3)の端部が挿入される。
第2の連結端部(1223)は、正方形の板状とされて、ソケット部(5)の上面に接合されている。
【0035】
中間軸部材(120B)は、軽金属材または繊維強化複合材よりなり、主体(1213)と、主体(1213)の下端部に一体に形成された第1の連結端部(1224)と、主体(1213)の上端部に一体に形成された第2の連結端部 (1225)とよりなる。
主体(1213)は、上側軸部材(120A)の主体(1211)と同一の形状で、円柱状とされており、各連結端部(1224)(1225)は、断面が正方形の角柱体の4つの角が面取りされた角柱状とされている。各連結端部(1224)(1225)は、上側軸部材(120A)の連結端部(1221)と同一の形状で、主体(1213)の外径よりも大きい外径を有しており、断面形状において、主体(1213)の外周を形成する円は、各連結端部(1224)(1225)の外周に内接する円に一致するかそれよりも若干小さい大きさとされている。
第1の連結端部(1224)の下部には、前後の突出部(1224a)が形成されている。これらの前後の突出部(1224a)は、第1実施形態の第1の連結端部形成体(221)の下部の前後2つの部分(221a)に相当するもので、前後の突出部(1224a)の間に形成されたスリット部分に連結リンク(3)の端部が挿入される。
第2の連結端部(1225)の上部には、左右の突出部(1225a)が形成されている。これらの左右の突出部(1225a)は、第1実施形態の第2の連結端部形成体(221)の上部の左右2つの部分(222d)に相当するもので、左右の突出部(1225a)の間に形成されたスリット部分に連結リンク(3)の端部が挿入される。
【0036】
上側軸部材(120A)の下端部と中間軸部材(120B)の上端部とを連結している連結リンク(3)は、その一端部が、上側軸部材(120A)の連結端部(1221)の突出部(1221a)間に差し込まれて、左右方向にのびる水平ピン(91)によって回動自在に取り付けられているとともに、その他端部が、中間軸部材(120B)の第2の連結端部(1225)の突出部(1225a)間に差し込まれて、左右方向にのびる水平ピン(91)によって回動自在に取り付けられている。
中間軸部材(120B)と下側軸部材(120C)とを連結している連結リンク(3)は、その一端部が、中間軸部材(120B)の第1の連結端部(1224)の突出部(1224a)間に差し込まれて、前後方向にのびる水平ピン(92)によって回動自在に取り付けられているとともに、その他端部が、下側軸部材(120C)の第1の連結端部(1222)の突出部(1222a)間に差し込まれて、前後方向にのびる水平ピン(92)によって回動自在に取り付けられている。
以上の連結構造により、上側軸部材(120A)と中間軸部材(120B)とは、互いに前後方向に折り畳み可能となされており、また、中間軸部材(120B)と下側軸部材(120C)とは、互いに左右方向に折り畳み可能となされている。つまり、第2実施形態の開栓器(1)においても、垂直軸部(12)は、上側軸部材(120A)と中間軸部材(120B)の折り畳み方向と、中間軸部材(120B)と下側軸部材(120C)の折り畳み方向とが、互いに直交するように構成されている。したがって、これらの軸部材(120A)(120B)(120C)を折り畳んだ状態の開栓器(1)は、その上下方向のサイズが展開時の3分の1程度まで小さくなるのに加えて、その前後方向のサイズおよび左右方向のサイズもバランスよく抑えられるため、コンパクトとなって運搬等に便利なものとなされている。
【0037】
2つの保持スリーブ(14)は、それぞれ垂直筒状のものであって、垂直軸部(12)の所定部分にスライド自在に嵌め被せられている。
各保持スリーブ(14)の外周(140)は、円筒面であり、各保持スリーブ(4)の内周(141)は、
図6に示すように、上側の角柱部(141a)と、下側の角柱部(141b)と、これらの中間の円柱部(141c)とからなる。
内周(141)の上側の角柱部(141a)と下側の角柱部(141b)とは同一の形状であり、これらは、上側軸部材(120A)の連結端部(1221)の外周にすきまばめで嵌め入れ可能なように、断面が正方形の角柱体の4つの角が面取りされた形状とされている。上側軸部材(120A)の連結端部(1221)、下側軸部材(120C)の第1の連結端部(1222)および中間軸部材(120B)の各連結端部(1224)(1225)は、いずれも同一形状とされているので、内周(141)の上側の角柱部(141a)および下側の角柱部(141b)は、これらのいずれの連結部部(1221)(1222)(1224)(1225)にも嵌め入れ可能であり、各軸部材(120A)(120B)(120C)と保持スリーブ(14)とは、角柱状の内周面と外周面とのすきまばめの嵌め合わせであるので、相対回転不可能でかつスライド可能に嵌め合わせることができる。
内周(141)の中間の円柱部(141c)の断面形状は、各角柱部(141a)(141b)の断面形状の径よりも大きい径とされており、各軸部材(120A)(120B)(120C)と内周(141)の中間の円柱部(141c)とは、干渉することなくスライド可能とされている。
【0038】
使用状態で下側に位置する保持スリーブ(14)は、中間軸部材(120B)の第1連結端部(1224)および下側軸部材(120C)の第1連結端部(1222)に跨って嵌め被せられる固定位置と、中間軸部材(120B)の下部に連結リンク(3)と干渉しないように嵌め被せられる解除位置との間で、スライド可能となされている。
図6に示すように、使用状態で下側に位置する保持スリーブ(14)は、実線で示す固定位置にあるとき、その内周(141)の上側の角柱部(141a)が中間軸部材(120B)の第1の連結端部(1224)に嵌め合わせられ、その内周(141)の下側の角柱部(141b)が下側軸部材(120C)の第1連結端部(1222)に嵌め合わせられる。この際、中間軸部材(120B)の第1の連結端部(1224)に設けられている前後の突出部(1224a)および下側軸部材(120C)の第1連結端部(1222)に設けられている前後の突出部(1222a)と連結リンク(3)とが内周(141)の中間の円柱部(141c)内に収納される。
使用状態で下側に位置する保持スリーブ(14)は、一点鎖線で示す解除位置では、その内周(141)の上側の角柱部(141a)および中間の円柱部(141c)が中間軸部材(120B)の下部に緩く嵌め合わせられ、その内周(141)の下側の角柱部(141b)が中間軸部材(120B)の第2連結端部(1224)に回転不可能に嵌め合わせられる。
使用状態で下側に位置する保持スリーブ(14)のスライド範囲は、中間軸部材(120B)に設けられたストッパ(15)および下側軸部材(120C)に設けられたストッパ(16)によって画定されている。すなわち、下側軸部材(120C)に、固定位置における保持スリーブ(14)のそれ以上の下降を防止するためのストッパ(16)が設けられており、中間軸部材(120B)に、固定位置から解除位置に保持スリーブ(14)を移動させた際にそれ以上の上昇を防止するためのストッパ(15)が設けられている。保持スリーブ(14)が固定位置にあるとき(
図6に実線で示す位置にあるとき)に、中間軸部材(120B)および下側軸部材(120C)が直列状に保持され、この状態から、保持スリーブ(14)を矢印で示すように上向きに移動させて同図に一点鎖線で示す解除位置に移動させ、次いで、中間軸部材(120B)を保持スリーブ(14)とともに矢印方向に180°回転させることで、両軸部材(120B)(120C)が互いに左右方向に折り畳まれる。
【0039】
使用状態で上側に位置する保持スリーブ(14)は、上側軸部材(120A)の連結端部(1221)および中間軸部材(120B)の第2の連結端部(1225)に跨って嵌め被せられる固定位置と、上側軸部材(120A)の下部に連結リンク(3)と干渉しないように嵌め被せられる解除位置との間で、スライド可能となされている。
使用状態で上側に位置する保持スリーブ(14)は、固定位置では、その内周(141)の上側の角柱部(141a)が上側軸部材(120A)の連結端部(1221)に嵌め合わせられ、その内周(141)の下側の角柱部(141b)が中間軸部材(120B)の第2の連結端部(1225)に嵌め合わせられる。この際、上側軸部材(120A)の連結端部(1221)に設けられている左右の突出部(1221a)および中間軸部材(120B)の第2の連結端部(1225)に設けられている左右の突出部(1225a)と連結リンク(3)とが内周(141)の中間の円柱部(141c)内に収納される。
使用状態で上側に位置する保持スリーブ(14)は、解除位置では、その内周(141)の上側の角柱部(141a)および中間の円柱部(141c)が上側軸部材(120A)の下部に緩く嵌め合わせられ、その内周(141)の下側の角柱部(141b)が上側軸部材(120A)の連結端部(1221)に回転不可能に嵌め合わせられる。
使用状態で上側に位置する保持スリーブ(14)のスライド範囲は、上側軸部材(120A)に設けられたストッパ(15)および中間軸部材(120B)に設けられたストッパ(16)によって画定されている。すなわち、中間軸部材(120B)に、固定位置における保持スリーブ(14)のそれ以上の下降を防止するためのストッパ(16)が設けられており、上側軸部材(120A)に、固定位置から解除位置に保持スリーブ(14)を移動させた際にそれ以上の上昇を防止するためのストッパ(15)が設けられている。保持スリーブ(14)が固定位置にあるときに、上側軸部材(120A)および中間軸部材(120B)が直列状に保持され、保持スリーブ(14)を解除位置に移動させることで、両軸部材(120A)(120B)が互いに前後方向に折り畳み可能となされる。
【0040】
各ストッパ(15)(16)には、雄ねじが形成されており、各軸部材(120A)(120B)(120C)には、ストッパ(15)(16)が設けられる位置に雌ねじ(15a)(16a)が形成されている。ストッパ(15)(16)は、所要箇所にそれぞれ1対ずつ設けられており、ストッパ(15)(16)は、ねじ合わせによって、各軸部材(120A)(120B)(120C)に固定されている。
【0041】
第2実施形態の開栓器(1)によると、第1実施形態のものに比べて、各軸部材(120A)(120B)(120C)の連結端部(1221)(1222)がステンレス鋼材からアルミニウム材に変更されており、寸法を同程度として、さらなる軽量化が図られている。
第2実施形態の開栓器(1)によると、使用状態において、操作ハンドル(7)に作用したトルクは、上側軸部材(120A)、上側の保持スリーブ(14) 、中間軸部材(120B) 、下側の保持スリーブ(14)および下側軸部材(120C)を介してソケット部(5)に伝えられる。この際、保持スリーブ(14)の内周と各軸部材(120A)(120B)(120C)の連結端部(1221)(1222)(1224)(1225)の外周とが角柱部(非円形部)同士の嵌め合わせによるものとされているので、連結部分のトルク強度が高いものとなっており、繰り返し使用しても破損する心配がなく、優れた耐久性が得られる。そして、第1実施形態において、トルク伝達要素とされていた連結リンク(3)には、開栓時には負荷が掛からないようになっており、連結リンク(3)の変形によって開栓器(1)の折り畳みが困難となる懸念もなく、より一層優れた耐久性を奏することができる。
連結リンク(3)は、これをアルミニウム材のような軽金属材または繊維強化複合材としてもよく、このようにすることで、さらなる軽量化を図ることができる。
上記第2実施形態において、各軸部材(120A)(120B)(120C)の連結端部(1221)(1222)(1224)(1225)と保持スリーブ(14と)の嵌合部は、角柱状(断面が四角形)同士の嵌め合わせとされているが、この嵌め合わせの形状は、四角形に限られるものではなく、六角形でもよいし、また、セレーション(またはスプライン)同士の嵌め合わせでもよく、要するに、各軸部材(120A)(120B)(120C)の連結端部(1221)(1222)と保持スリーブ(14)とを回転不可能でかつスライド可能に嵌め合わせる形状(非円形の形状)であればよい。