【実施例】
【0101】
以下に本発明による難燃剤組成物の合成例を示す実施例と、本発明による難燃加工剤の製造例及び本発明による難燃加工例を示す実施例を比較例と共に挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0102】
尚、以下において、難燃加工剤中の不揮発分とは、難燃加工剤中の難燃剤組成物の割合をいい、難燃加工剤が難燃剤組成物と共に界面活性剤と消泡剤とその他の助剤を含むときは、上記難燃剤組成物と上記界面活性剤と上記消泡剤と上記その他の助剤中の不揮発成分の合計量の割合をいう。
【0103】
難燃剤組成物の平均粒子径は、難燃加工剤中の難燃剤組成物の粒度分布を(株)島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000Jで測定して得た体積基準のメディアン径をいう。
【0104】
また、以下においては、特に断りがない限り、「%」及び「部」とあるのは、それぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
【0105】
以下の実施例及び比較例において得られた難燃剤組成物中の2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンとその他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼンは、HPLC分析、LC/MS分析及び硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析の結果に基づいて同定し、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンの含有量をHPLC分析にて求め、また、それらについて、TG/DTA分析によって融解温度と5%重量減少温度を測定した。
【0106】
A.難燃剤組成物の製造
実施例1
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Aの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0107】
ナトリウムフェノキシド610g(5.25モル)にTHF2400mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0108】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物816gを得た。
【0109】
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0110】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物815gとトルエン320mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア221g(13.0モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体462gを得た。
【0111】
この白色固体を分析した結果を次に示す。
【0112】
HPLC:
(分析条件1)
分析化合物:2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン、
装置:Agilent Technologies 1260 Infinity、
カラム:Inertsil HILIC、3μm、4.6mm I.D.、250mm
L(GL Sciences社製)、
カラム温度:40℃、
移動相:0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル=10/90、
流量:1.0mL/min、
検出器:UV 254nm、
試料濃度:5mg/mL(溶媒 アセトニトリル)、
注入量:1μL。
【0113】
(分析条件2)
分析化合物:2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン、
装置:Agilent Technologies 1260 Infinity、
カラム: Inertsil ODS−2、5μm、4.6mm I.D.、250mm L(GL Sciences社製)、
カラム温度:40℃、
移動相 A:0.1%リン酸水溶液、
B:アセトニトリル、
グラジエント:0−12min:B= 60%、12−15min:B=100%、
15−25min:B=100%、
検出器:UV 254nm、
流量:1.0mL/min、
試料濃度:5mg/mL(溶媒 アセトニトリル)、
注入量:1μL、
LC/MS(positive−ESI):
2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン:m/z:463 (M+H
+)、
2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン:m/z:540 (M+H
+)。
【0114】
HPLC分析条件1では、リテンションタイムが2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品と一致するピークを確認し、また、そのピークがLC/MS分析でm/z:463 (M+H
+)であることを確認した。
【0115】
また、分析条件2では、同様にリテンションタイムが2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品と一致することを確認し、また、そのピークがLC/MS分析でm/z:540 (M+H
+)であることを確認した。
【0116】
更に、これら2成分の含量を定量し、残りをその他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分(2,2,4,6−テトラアミノ−4,6−ジフェノキシシクロトリホスファゼン、2,2,4−トリアミノ−4,6,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン、2,2−ジアミノ−4,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン及びモノアミノペンタフェノキシシクロトリホスファゼン等)含量とした。
【0117】
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:100℃以上、
5%重量減少温度:274℃。
【0118】
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ76%と20%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は4%であった。収率61.5%。
【0119】
実施例2
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Bの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0120】
ナトリウムフェノキシド688g(5.93モル)にTHF2700mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0121】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物854gを得た。
【0122】
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0123】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物853gとトルエン330mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア182g(10.7モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体661gを得た。
【0124】
この白色固体を分析した結果を次に示す。
【0125】
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H
+)又は540 (M+H
+)であることを確認した。
【0126】
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:289℃。
【0127】
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ15%と83%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は2%であった。収率82.3%。
【0128】
実施例3
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Cの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコに、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加えて溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0129】
ナトリウムフェノキシド662g(5.70モル)にTHF2600mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0130】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物842gを得た。
【0131】
この混合物を、予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0132】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物841gとトルエン330mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア195g(11.4モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体707gを得た。
【0133】
この白色固体を分析した結果を次に示す。
【0134】
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H
+)又は540 (M+H
+)であることを確認した。
【0135】
加水分解塩素:0.01%以下
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上
5%重量減少温度:277℃
【0136】
以上の分析結果から、上記白色固体は、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ32%と64%、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は4%であった。収率90.0%。
【0137】
実施例4
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Dの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0138】
ナトリウムフェノキシド705g(6.08モル)にTHF2800mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0139】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物863gを得た。
【0140】
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0141】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物862gとトルエン340mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア173g(10.1モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体694gを得た。
【0142】
この白色固体を分析した結果を次に示す。
【0143】
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H
+)又は540 (M+H
+)であることを確認した。
【0144】
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:290℃。
【0145】
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ10%と88%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は2%であった。収率85.1%。
【0146】
実施例5
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Eの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0147】
ナトリウムフェノキシド627g(5.40モル)にTHF2500mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0148】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物824gを得た。
【0149】
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0150】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物823gとトルエン320mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア212g(12.5モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体597gを得た。
【0151】
この白色固体を分析した結果を次に示す。
【0152】
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H
+)又は540 (M+H
+)であることを確認した。
【0153】
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:276℃。
【0154】
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ62%と36%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は2%であった。収率78.2%。
【0155】
実施例6
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Fの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0156】
ナトリウムフェノキシド644g(5.55モル)にTHF2550mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0157】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物833gを得た。
【0158】
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0159】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物832gとトルエン320mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア204g(12.0モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体629gを得た。
【0160】
この白色固体を分析した結果を次に示す。
【0161】
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H
+)又は540 (M+H
+)であることを確認した。
【0162】
加水分解塩素:0.01%以下、
TG/DTA分析:
融解温度:80℃以上、
5%重量減少温度:278℃。
【0163】
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ45%と52%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は3%であった。収率81.2%。
【0164】
比較例1
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Gの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加え、溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0165】
ナトリウムフェノキシド522g(4.50モル)にTHF2050mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0166】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物773gを得た。
【0167】
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0168】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物772gとトルエン446mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア266g(15.6モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体324gを得た。
【0169】
上記白色固体を分析した結果を次に示す。
【0170】
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H
+)又は540 (M+H
+)であることを確認した。
【0171】
加水分解塩素:0.01%以下
TG/DTA分析:
融解温度:70℃以上
5%重量減少温度:278℃
【0172】
以上の分析結果から、上記白色固体は、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ90%と9%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は1%であった。収率46.7%。
【0173】
比較例2
(2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含む難燃剤組成物Hの合成)
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた10Lのフラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン521g(1.50モル)を仕込み、トルエン2000mLを加えて溶解して、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液を得た。
【0174】
ナトリウムフェノキシド731g(6.30モル)にTHF2900mLを加えて得た溶液を上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼン溶液に内温20℃から35℃で滴下した後、昇温し、1時間還流した。次に、この反応液からTHFを留去し、110℃にて8時間撹拌した。
【0175】
このようにして得られた反応混合物を2%水酸化ナトリウム水溶液2000mLで洗浄し、次に、脱塩水1000mLで2回洗浄した。得られたトルエン層からトルエンと微量の水を留去して、クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物876gを得た。
【0176】
この混合物を予め調製した標品を用いてHPLCで分析した結果、2,4,6−トリクロロ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジクロロ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンが主成分であることを確認した。
【0177】
上記クロロフェノキシシクロトリホスファゼン混合物875gとトルエン340mLを2Lのステンレス製耐圧容器に入れ、次に、耐圧容器内を400hPaまで減圧後、アンモニア159g(9.40モル)を加え、密封下50℃にて15時間撹拌した。この後、耐圧容器を開けて、反応物にトルエン3500mLを加え希釈し、脱塩水で洗浄後、溶媒を留去し、白色固体347gを得た。
【0178】
上記白色固体を分析した結果を次に示す。
【0179】
HPLCとLC/MS(positive−ESI):
実施例1と同様の条件と方法で測定した。その結果、HPLC分析条件1と2で、2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン標準品または2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼン標準品とそれぞれリテンションタイムが一致するピークを確認し、また、それらのピークがLC/MS分析で、それぞれm/z:463 (M+H
+)又は540 (M+H
+)であることを確認した。
【0180】
加水分解塩素:0.01%以下
TG/DTA分析:
融解温度:70℃以上
5%重量減少温度:290℃
【0181】
以上の分析結果から、上記白色固体は2,4,6−トリアミノ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンと2,4−ジアミノ−2,4,6,6−テトラフェノキシシクロトリホスファゼンを含み、その組成はそれぞれ3%と90%であり、その他のアミノフェノキシシクロトリホスファゼン成分は7%であった。収率41.7%。
B.難燃加工剤の製造
【0182】
実施例7
(難燃加工剤A1の製造)
難燃剤組成物Aを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Aに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.491μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤A1を得た。
【0183】
実施例8
(難燃加工剤B1の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.541μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B1を得た。
【0184】
実施例9
(難燃加工剤B2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのナトリウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.500μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B2を得た。
【0185】
実施例10
(難燃加工剤B3の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド15モル付加物のスルホ琥珀酸エステルのナトリウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.562μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B3を得た。
【0186】
実施例11
(難燃加工剤B4−1の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド16モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.831μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B4−1を得た。
【0187】
実施例12
(難燃加工剤B4−2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド25モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.081μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B4−2を得た。
【0188】
実施例13
(難燃加工剤B5−1の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド13モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.822μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−1を得た。
【0189】
実施例14
(難燃加工剤B5−2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド20モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.771μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−2を得た。
【0190】
実施例15
(難燃加工剤B5−3の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド50モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.162μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−3を得た。
【0191】
実施例16
(難燃加工剤B6の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジスチレン化メチルフェノールエチレンオキサイド7モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.430μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B6を得た。
【0192】
実施例17
(難燃加工剤B7の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリベンジル化フェノールエチレンオキサイド14モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.911μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B7を得た。
【0193】
実施例18
(難燃加工剤B8の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、クミル化フェノールエチレンオキサイド11モル付加物5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.500μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B8を得た。
【0194】
実施例19
(難燃加工剤B9の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.572μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B9を得た。
【0195】
実施例20
(難燃加工剤B10の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.560μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B10を得た。
【0196】
実施例21
(難燃加工剤B11の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.611μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B11を得た。
【0197】
実施例22
(難燃加工剤B12の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(15)トリデシリルエーテルリン酸エステル5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.350μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B12を得た。
【0198】
実施例23
(難燃加工剤B13の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.491μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B13を得た。
【0199】
実施例24
(難燃加工剤B14の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、ポリオキシエチレン(8)ステアリルアミン5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.790μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B14を得た。
【0200】
実施例25
(難燃加工剤B1B5−2の製造)
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩2.5重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド20モル付加物2.5重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.710μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤B1B5−2を得た。
【0201】
実施例26
(難燃加工剤B5−1Aの製造)
難燃剤組成物Bを100重量部及びジスチレン化フェノールエチレンオキサイド13モル付加物5.0重量部をイソプロピルアルコール130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径1.850μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、イソプロピルアルコールの量を調整して、本発明による難燃加工剤B5−1Aを得た。
【0202】
実施例27
(難燃加工剤C1の製造)
難燃剤組成物Cを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Cに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.520μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤C1を得た。
【0203】
実施例28
(難燃加工剤D1の製造)
難燃剤組成物Dを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Dに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.550μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤D1を得た。
【0204】
実施例29
(難燃加工剤E1の製造)
難燃剤組成物Eを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Eに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.501μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤E1を得た。
【0205】
実施例30
(難燃加工剤F1の製造)
難燃剤組成物Fを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Fに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.510μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤F1を得た。
【0206】
比較例3
(難燃加工剤G1の製造)
難燃剤組成物Gを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Gに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.541μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が30重量%になるように、水の量を調整して、本発明による難燃加工剤G1を得た。
【0207】
比較例4
(難燃加工剤H1の製造)
難燃剤組成物Hを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理したが、上記難燃剤組成物Hに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンが凝集して、分散させることができなかった。
【0208】
比較例5
(難燃加工剤Iの製造)
リン酸グアニジン47重量部を水53重量部に溶解させて、比較例による難燃加工剤Iを得た。
【0209】
比較例6
(難燃加工剤Jの製造)
アニリノジフェニルホスフェート100重量部、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム6.1重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合した。この混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記リン酸アミドを平均粒子径0.526μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が40重量%になるように、水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Jを得た。
【0210】
比較例7
(難燃加工剤Kの製造)
テトラ(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンホスフェートの結晶性粉末100重量部、オクチルフェノールのエチレンオキサイド10モル付加物8.8重量部及びシリコーン系消泡剤0.1重量部を水130重量部に混合し、ホモミキサーを用いて6000rpmにて3時間以上粉砕処理し、上記ホスフェートを平均粒径50μm以下とした処理液を得た。
【0211】
次に、この処理液をこれと同じ容積の直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、上記ホスフェートを平均粒子径0.996μmとなるまで粉砕処理した後、105℃の温度で40分間乾燥したときの不揮発分濃度が40重量%になるように水の量を調整して、比較例による難燃加工剤Kを得た。
【0212】
C.ポリエステル系合成繊維構造物の難燃加工
(1)被処理布帛の準備
ポリエステルニット(目付け重量200g/m
2)を分散染料Dianix Black AM−SLR(DyStar社製)4%owfにて130℃で30分間、浴中染色処理した後、常法にて還元洗浄し、乾燥して、黒色に染色したポリエステルニットを得た。
【0213】
実施例35を含むそれ以降の実施例及び比較例においては、上記黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として難燃加工した。
(2)浴中染色同時難燃処理
【0214】
実施例31
上記ポリエステルニットの染色工程において、上記ポリエステルニットに対して、本発明による難燃加工剤A1を25.0%owf及び分散染料Dianix Black AM−SLR(DyStar社製)4%owfにて130℃で30分間、染色同時難燃処理した後、常法にて還元洗浄し、乾燥して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。
【0215】
難燃剤利用率は25.4%であった。ここに、上記難燃剤利用率は難燃加工剤中に含まれる難燃剤がポリエステル布帛に付着した割合を示す。
【0216】
実施例32
難燃加工剤をB1に代えて12.0%owfで用いた以外は、実施例31と同様に染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率57.9%。
【0217】
実施例33
実施例32において、染色工程の温度を140℃とした以外は、同様に染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率58.1%。
【0218】
実施例34
難燃加工剤をC1に代えて14.5%owfで用いた以外は、実施例31と同様に染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率48.0%。
【0219】
比較例8
実施例31と同様にして、難燃加工剤G1を25.0%owfで用いて、染色同時難燃処理して、黒色に染色した難燃加工ポリエステル布帛を得た。難燃剤利用率15.1%。
【0220】
上記実施例31〜34及び比較例8に記載の難燃加工ポリエステル布帛についての性能試験の結果を表1に示す。
【0221】
上述した浴中染色同時難燃処理における難燃剤付着量は、難燃加工前後のポリエステル布帛の増加重量に難燃加工剤を入れずに染色処理したポリエステル布帛の加工前後の減少重量の合計から計算して求めた。
【0222】
難燃性能については、難燃加工ポリエステル布帛にシリコーン樹脂1.0重量%をパディング法にて付着させた後、130℃で5分間乾燥し、150℃で1分間熱処理して、難燃評価用布帛を得、これを燃焼試験に供した。上記シリコーン樹脂は難燃性を阻害する物質として添加した。
【0223】
(3)パディング法
実施例35及び比較例9
本発明による難燃加工剤A1、B1、B2、B3、B4−1、B4−2、B5−1、B5−2,B5−3、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B1B5−2、B5−1A、C1、D1、E1及びF1と比較例による難燃加工剤I、J及びK、又はこれらを水で希釈した加工液を用いて、それぞれ前述した黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として難燃加工して、本発明による難燃加工ポリエステル布帛と比較例9としてのポリエステル布帛を得た。これらの難燃加工したポリエステル布帛及び比較例9としてのブランクについて、性能試験の結果を表2から表4に示す。
【0224】
実施例36
難燃剤組成物Bを100重量部、トリスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物の硫酸エステルのアンモニウム塩5.0重量部、シリコーン系消泡剤0.1重量部及びポリエステル系ウレタン樹脂エマルション25重量部(不揮発分50%、ガラス転移温度(Tg)は−42℃)を水105重量部と混合した。
【0225】
得られた混合物を直径0.8mmのガラスビーズを充填したミルに仕込み、4時間にわたって粉砕処理して、上記難燃剤組成物Bに含まれる前記アミノフェノキシシクロトリホスファゼンを平均粒子径0.509μmの微粒子として分散させた。得られた分散物を105℃の温度で40分間乾燥したとき、その不揮発分濃度が36.5重量%になるように、水の量を調整して得られた難燃加工剤92重量部にパラフィンワックスと酸化パラフィンからなるワックスエマルション(不揮発分26%、パラフィンワックスと酸化パラフィンの含有量21%)を8重量部混合して、本発明による難燃加工剤Lを得た。難燃加工剤Lの不揮発分は35.7重量%であった。
【0226】
実施例37
実施例36で得られた難燃加工剤Lを用いて、前記被処理布帛を実施例35におけると同様に難燃加工して、本発明による難燃加工ポリエステル布帛を得た。この難燃加工したポリエステル布帛についての性能試験の結果を表4に示す。
【0227】
上記難燃加工剤を用いるパディング法による難燃加工において、難燃剤付着量は難燃加工前後のポリエステル布帛の重量差と溶媒で希釈された難燃加工剤の濃度及び難燃加工剤中の難燃剤含有量に基づいて計算により求めた。
【0228】
D.性能試験
難燃加工したポリエステル布帛の性能試験は以下のようにして行った。即ち、本発明による難燃加工剤を用いて、前述した黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として、これにパディング法にて難燃加工し、100℃で5分間乾燥し、130℃で1分間熱処理した。また、難燃加工剤A1による難燃加工ポリエステル布帛のみ210℃で1分間熱処理した。このようにして得た難燃加工ポリエステル布帛を洗浄することなく、そのままで、摩擦堅牢度、際付き、チョークマーク、ブリードアウト及び耐光堅牢度及び湿熱試験の評価を行った。
【0229】
また、難燃性能については、シリコーン樹脂1.0重量%と難燃加工剤を含む単一の浴を用いて、前述した黒色に染色したポリエステルニットを被処理布帛として、これにパディング法にて難燃剤を付着させた後、130℃で5分間乾燥し、150℃で1分間熱処理して、難燃加工した布帛を得、これを燃焼試験に供した。また、難燃加工剤A1による難燃加工ポリエステル布帛のみ210℃で1分間熱処理した。上記シリコーン樹脂は難燃性を阻害する物質として添加した。
【0230】
(摩擦堅牢度)
難燃加工した被処理布帛をJIS L 0849の摩擦に対する染色堅牢度試験方法によって試験を行い、JIS L 0849の8.1.2に記載の摩擦試験機II形(学振形)を使用し、汚染用グレースケール(JIS L 0805)で級数を判定した。5級が最も摩擦堅牢度がよく、3級以上を良好とした。
【0231】
(際付き性)
ウレタンフォームの上に難燃加工した被処理布帛を置き、表面に5mLの純水、沸水、及び塩化カルシウム3%水溶液をそれぞれ滴下し、24時間後に試料の表面を観察し、輪染みや際付き等がみられないものを良好とした。
評価基準
○:輪染みや際付きがみられない。
×:輪染みや際付きがみられる。
【0232】
(チョークマーク)
難燃加工した被処理布帛の表面を爪で軽くこすり、傷による白化の程度を確認した。
評価基準
○:白化、粉落ちがみられない。
×:白化、粉落ちがみられる。
【0233】
(ブリードアウト)
難燃加工した被処理布帛の表面にポリエステルタフタ、濾紙及び分銅800gを順に載せ、荷重800g/15.9cm2、100℃で2時間の雰囲気中で処理し、ポリエステルタフタへの移染を汚染用グレースケール(JIS L 0805)で評価した。5級が最も汚染が少なく、3級以上を良好とした。
【0234】
(耐光堅牢度)
JIS L 0842の紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法によって試験を行った。フェードメーター(スガ試験機(株)製)を用い、難燃加工した被処理布帛に83℃にて144時間カーボンアーク灯光を照射した。次いで、変退色用グレースケール(JIS L 0804)により級数を判定した。5級が最も堅牢度が良く、3級以上を良好とした。
【0235】
(湿熱試験)
難燃加工した被処理布帛を70℃、95%RHの雰囲気中に1か月間放置した後、変色の有無を確認した。
評価基準
○:変色がみられない。
×:変色がみられる。
【0236】
(難燃性能試験)
FMVSS(米国連邦自動車安全基準)No.302の自動車内装材燃焼試験規格に基づいて水平燃焼速度を測定し、燃焼速度101mm/分未満を良好とした。
評価基準
◎:難燃性、自己消火性
○:1〜61mm/分未満
△:61〜101mm/分未満
×:101mm/分以上
【0237】
【表1】
【0238】
【表2】
【0239】
【表3】
【0240】
【表4】
【0241】
本発明による難燃加工剤を用いて難燃加工したポリエステル布帛は、表1〜4に示すように、難燃性、摩擦堅牢度及び耐光堅牢度も良好であり、難燃加工した繊維品の洗浄なしに、際付きやチョークマークが生じず、ブリードアウトも抑制されている。
【0242】
難燃加工前の被処理布帛自体についての試験結果をブランクとして表4に示す。このブランクと比較しても、特に、表1から表4における難燃加工剤A1、B1、C1、D1、E1及びF1は、少量の難燃剤の使用にて、際付き性と摩擦堅牢度において遜色がない。難燃剤組成物Gを含む比較例3の難燃加工剤G1は、比較例8において浴中処理に用いたが、難燃剤組成物の利用率が低く、ポリエステル系合成繊維構造物に十分な難燃性を与えることができなかった。
【0243】
難燃剤組成物Hを用いて難燃加工剤の製造を試みたが、凝集してしまい、難燃剤組成物を分散することができなかった。
【0244】
比較例5〜7は、難燃剤として、リン酸グアニジン、アニリノジフェニルホスフェート及びテトラ(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンホスフェートの結晶性粉末を用いて、それぞれ難燃加工剤I、J及びKを得たものであるが、表4の比較例9に示すように、いずれの難燃加工剤を用いた場合も、難燃加工したポリエステル布帛には際付きがみられた。また、難燃加工剤J及びKについては、表4の比較例9に示すように、摩擦堅牢度と耐光堅牢度のいずれにおいても劣っており、ブリードアウトも顕著であった。
【0245】
実施例37においては、ポリエステル布帛の摩擦堅牢度の向上を目的として、難燃剤組成物Bに加えて、ポリエステル系ウレタンエマルションを含み、更に、縫製性の向上を目的として、前記ワックスエマルションを含む難燃加工剤を用いて、前記被処理布帛を難燃加工して、得られた難燃加工ポリエステル布帛について性能評価を行った。
【0246】
その結果、得られた難燃加工ポリエステル布帛は、実施例35におけると同様に、難燃性、摩擦堅牢度及び耐光堅牢度にすぐれており、難燃加工した繊維品の洗浄なしに、際付きやチョークマークが生じず、ブリードアウトも抑制されていた。