特許第6793922号(P6793922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793922
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20201119BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20201119BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20201119BHJP
   E05B 41/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A62C35/20
   E05F7/00 F
   E05B1/00 311F
   E05B41/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-250895(P2016-250895)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-102503(P2018-102503A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390031554
【氏名又は名称】株式会社横井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】横井 亮
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−106329(JP,A)
【文献】 特開2001−109965(JP,A)
【文献】 実開昭62−197355(JP,U)
【文献】 実公昭28−007199(JP,Y1)
【文献】 特開2017−023197(JP,A)
【文献】 米国特許第05638906(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第108187287(CN,A)
【文献】 特開平09−285559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
E05B 1/00
E05B 41/00
E05F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開放された箱本体(5)と、箱本体(5)の開口周縁部に取り付けられ、箱本体(5)の開口を開閉する扉(8)とを備えた消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造であって、前記取っ手構造は、扉(8)に形成した取り付け穴(8a)に取り付けられ、前面が扉(8)の表面に露出するボックス状の取っ手収納体(9)と、取っ手収納体(9)に取っ手収納体(9)の前面に沿ってスライド自在に設けられ、扉(8)を開放操作するスライド取っ手(10)と、取っ手収納体(9)に設けられ、スライド取っ手(10)の扉(8)を開放するスライド操作に伴って扉(8)を開閉したサイン(16a)が表示されるサイン表示手段(12)と、を備えていることを特徴とする消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造。
【請求項2】
前記取っ手収納体(9)は、扉(8)を閉じた状態にロックし得ると共に、スライド取っ手(10)のスライド操作に伴って扉(8)のロック状態を解除し得るロック機構(11)を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造。
【請求項3】
前記サイン表示手段(12)は、取っ手収納体(9)の前面に形成され、取っ手収納体(9)の内部空間に連通するサイン表示開口(9g)と、取っ手収納体(9)内にスライド取っ手(10)と同じ方向へスライド自在に設けられ、サイン表示開口(9g)に合致し得るサイン(16a)を表示したサイン表示体(16)と、を備えており、前記サイン表示体(16)は、サイン(16a)がサイン表示開口(9g)に合致しない非表示位置と、スライド取っ手(10)の扉(8)を開放操作する方向へのスライド操作時にスライド取っ手(10)に係止されてスライド移動し、サイン(16a)がサイン表示開口(9g)に合致する表示位置とに亘ってスライド自在となっており、また、前記サイン表示体(16)は、スライド取っ手(10)の前記と反対方向へのスライド時にスライド取っ手(10)と非係止状態になってサイン表示体(16)が前記表示位置に残る構成としたことを特徴する請求項1に記載の消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造。
【請求項4】
前記取っ手収納体(9)の扉(8)の裏面側に位置する部分に、表示位置にあるサイン表示体(16)を扉(8)の裏面側から非表示位置へスライド操作できるサイン操作用開口(9n)を形成したことを特徴とする請求項3に記載の消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造。
【請求項5】
前記取っ手収納体(9)の扉(8)の裏面側に位置する部分に、サイン操作用開口(9n)に差し込まれて表示位置にあるサイン表示体(16)を非表示位置までスライド移動させる解除キー(13)を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項4に記載の消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造。
【請求項6】
前記取っ手収納体(9)の扉(8)の裏面側に位置する部分に、解除キー(13)が抜き差し自在に収納されるキー収納部(9q)を形成したことを特徴とする請求項5に記載の消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造。
【請求項7】
前記サイン表示体(16)のサイン(16a)は、少なくともサイン表示体(16)の一部分に色表示又は文字表示若しくは図形表示の何れか一つ又は複数を組み合わせたものとしたことを特徴とする請求項3に記載の消火機器用格納箱の取っ手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として不特定多数の人が来場する公共施設や不特定多数の人が往来する駅等の建物に設置され、表示灯、火災報知機、スピーカー等の警報機器を配設した格納箱や消火活動に使用される消防用ホース、ノズル、消火栓弁、消火器等の消火機器を格納した格納箱の取っ手構造に係り、特に、悪戯や盗難等、正常な目的を持った者以外により格納箱の扉が開けられたときや扉を開けようとしたときに機械的にサインを表示し、扉が開けられたことや扉を開けようとしたことが簡単に確認できるようにした消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から不特定多数の人が来場する病院や図書館、市民会館、コンサートホール等の公共施設、或いは、不特定多数が往来する駅や空港等の建物には、火災の発生時に消火活動に使用される消防用ホースやノズル、消火栓弁、消火器等の消火機器を格納すると共に、表示灯や火災報知機等の警報機器を配設した消防用設備の格納箱(例えば、屋内消火栓の格納箱)が施錠されていない状態で設置されている。
【0003】
公共施設や駅等の建物に設置される消防用設備の格納箱100においては、火災時に使用するために施錠することができず、図18に示す如く、悪戯等の防止のために封印シール103を開閉式の扉101と箱本体102に跨った状態で貼り、当該封印シール103が剥がされている場合や破れている場合には、何者かが扉を開閉したサインとして対応していた。
【0004】
特に、近年では、テロ行為を目的として消防用設備の格納箱100の内部に危険物を隠し入れる危険性があり、その対策として消防用設備の格納箱100の随所に封印シール103を貼って対応している。
【0005】
しかし、封印シール103では、封印シール103を剥がした後、再度貼り付けることができるため、封印シール103を破ることなく、扉を開閉することが可能となり、悪戯等がされたことを見落としてしまうと言う問題があった。
【0006】
これを防ぐために、封印シール103の接着性を向上させれば、消防用設備の格納箱100の点検時に極めて剥がし難くなり、封印シール103の糊が扉101や箱本体102に残って美観を損ねると言う問題があった。
【0007】
一方、悪戯や盗難等に対応できるように、消防用設備の格納箱の扉が開いたことや格納箱内の消火機器が取り出されたことを監視する消火器等格納箱の監視システムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
しかし、消防用設備の格納箱に前記監視システムを採用した場合、構造が極めて複雑化してコスト高になると言う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−285559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、悪戯や盗難等により消防用設備の格納箱の扉が開けられたときや扉を開けようとしたときに機械的にサインを表示することで、扉が開けられたことや扉を開けようとしたことが容易に確認できるようにした消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造は、前面が開放された箱本体と、箱本体の開口周縁部に取り付けられ、箱本体の開口を開閉する扉とを備えた消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造であって、前記取っ手構造は、扉に形成した取り付け穴に取り付けられ、前面が扉の表面に露出するボックス状の取っ手収納体と、取っ手収納体に取っ手収納体の前面に沿ってスライド自在に設けられ、扉を開放操作するスライド取っ手と、取っ手収納体に設けられ、スライド取っ手の扉を開放するスライド操作に伴って扉を開閉したサインが表示されるサイン表示手段と、を備えていることに特徴がある。
【0012】
前記取っ手収納体は、扉を閉じた状態にロックし得ると共に、スライド取っ手のスライド操作に伴って扉のロック状態を解除し得るロック機構を更に備えていることが好ましい。
【0013】
前記サイン表示手段は、取っ手収納体の前面に形成され、取っ手収納体の内部空間に連通するサイン表示開口と、取っ手収納体内にスライド取っ手と同じ方向へスライド自在に設けられ、サイン表示開口に合致し得るサインを表示したサイン表示体と、を備えており、前記サイン表示体は、サインがサイン表示開口に合致しない非表示位置と、スライド取っ手の扉を開放操作する方向へのスライド操作時にスライド取っ手に係止されてスライド移動し、サインがサイン表示開口に合致する表示位置とに亘ってスライド自在となっており、また、前記サイン表示体は、スライド取っ手の前記と反対方向へのスライド時にスライド取っ手と非係止状態になってサイン表示体が前記表示位置に残る構成とすることが好ましい。
【0014】
前記取っ手収納体の扉の裏面側に位置する部分に、表示位置にあるサイン表示体を扉の裏面側から非表示位置へスライド操作できるサイン操作用開口を形成することが好ましい。
【0015】
前記取っ手収納体の扉の裏面側に位置する部分に、サイン操作用開口に差し込まれて表示位置にあるサイン表示体を非表示位置までスライド移動させる解除キーを着脱自在に設けることが好ましい。
【0016】
前記取っ手収納体の扉の裏面側に位置する部分に、解除キーが抜き差し自在に収納されるキー収納部を形成することが好ましい。
【0017】
前記サイン表示体のサインは、少なくともサイン表示体の一部分に色表示又は文字表示若しくは図形表示の何れか一つ又は複数を組み合わせたものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る消防用機器に用いる格納箱の取っ手構造は、格納箱の扉を開放するスライド取っ手のスライド操作に伴って扉を開閉したサインが表示されるサイン表示手段を備えているため、点検時や見回り時等にサインが表示されていれば、何者かが扉を開閉したり、或いは、扉を開けようとしたことが判別でき、悪戯や危険物の隠し置きが行われた可能性を察知できるため、悪戯等を見落とすと言うことがなく、悪戯や危険物の早期発見を容易に行える。
【0019】
本発明に係る消防用機器に用いる格納箱の取っ手構造は、サイン表示手段が、スライド取っ手のスライド操作に伴ってサインを表示したサインパネルが機械的にスライド移動してサインを表示する構成としているため、電源を必要とせず、コスト低減を図れる。
【0020】
本発明に係る消防用機器に用いる格納箱の取っ手構造は、サイン表示体が、スライド取っ手の扉を開放操作する方向へのスライド操作時にスライド取っ手に係止されて非表示位置から表示位置へスライド移動し、また、スライド取っ手の前記と反対方向へのスライド時にサイン表示体が表示位置に残る構成としているため、スライド取っ手のスライド操作や扉の開閉操作を行っても、一旦現れたサイン表示体のサインは常時表示されたままとなるので、扉が開けられたことや扉を開けようとしたことを確実に表示することができる。
【0021】
本発明に係る消防用機器に用いる格納箱の取っ手構造は、取っ手収納体の扉の裏面側に位置する部分に、表示位置にあるサイン表示体を扉の裏面側から非表示位置へスライド操作するサイン操作用開口を形成しているため、消防用設備の格納箱を正面側から見ただけではサインの表示の解除方法が判らず、サインの表示を解除するには、扉の裏面側から操作しなければならないので、解除方法を知る者しか容易に解除することができない。
【0022】
本発明に係る消防用機器に用いる格納箱の取っ手構造は、取っ手収納体の扉の裏面側に位置する部分に、サイン表示体をスライド移動させる解除キーが抜き差し自在に収納されるキー収納部を形成し、当該キー収納部に解除キーを収納しているため、作業員が格納箱を点検する際に解除キーを所持しておく必要もなく、また、解除キーがキー収納部に収納されているので目立ち難く、格納箱の扉が悪戯や盗難等、正常な目的を持った者以外により開けられても、解除キーに気が付き難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る消防用設備に用いる格納箱の取っ手構造を採用した屋内設置型の消火栓の一例を示し、取っ手構造を表示灯や火災報知機等の警報機器用扉(以下、火報扉と言う)に設けた状態の正面図である。
図2】格納箱の取っ手部分の拡大正面図である。
図3】格納箱の取っ手部分の拡大平面図である。
図4】格納箱の取っ手部分の拡大側面図である。
図5】格納箱の取っ手部分を示し、サイン表示体が非表示位置(隠れた状態)にある拡大横断面図である。
図6】格納箱の取っ手部分を示し、サイン表示体のサインが表示位置(表れた状態)にある拡大横断面図である。
図7】格納箱の取っ手構造に用いる取っ手収納体、スライド取っ手、サイン表示体、スライダーを示し、(A)は取っ手収納体内にスライド取っ手を収納した状態の断面図、(B)は取っ手収納体内にサイン表示体を収納した状態の断面図、(C)は取っ手収納体内にスライダーを収納した状態の断面図である。
図8】取っ手収納体の本体を示し、(A)は本体の左側面図、(B)は本体の正面図、(C)は本体の右側面図、(D)は本体の底面図、(E)は(B)に示す本体のa−a線断面図である。
図9】取っ手収納体のカバー体を示し、(A)はカバーの左側面図、(B)はカバーの正面図、(C)はカバーの右側面図、(D)はカバーの底面図、(E)は(B)に示すカバー体のa−a線断面図である。
図10】スライド取っ手を示し、(A)はスライド取っ手の左側面図、(B)はスライド取っ手の正面図、(C)はスライド取っ手の右側面図、(D)はスライド取っ手の底面図、(E)は(B)に示すスライド取っ手のa−a線断面図、(F)は(B)に示すスライド取っ手のb−b線断面図、(G)は(D)に示すスライド取っ手のc−c線断面図、(H)は(D)に示すスライド取っ手のd−d線断面図である。
図11】スライダーを示し、(A)はスライダーの左側面図、(B)はスライダーの正面図、(C)はスライダーの右側面図、(D)はスライダーの底面図、(E)は(B)に示すスライダーのa−a線断面図、(F)は(D)に示すスライダーのb−b線断面図、(G)は(D)に示すスライダーのc−c線断面図である。
図12】サイン表示体を示し、(A)はサイン表示体の左側面図、(B)はサイン表示体の正面図、(C)はサイン表示体の右側面図、(D)はサイン表示体の背面図、(E)はサイン表示体の底面図、(F)は(B)に示すサイン表示体のa−a線断面図である。
図13】格納箱の取っ手部分を示し、(A)はサイン表示体が非表示位置にあって扉が閉まっている状態の取っ手部分の正面図、(B)は同じく取っ手部分の横断面図である。
図14】格納箱の取っ手部分を示し、(A)はスライド取っ手をスライドさせて扉を少し開けた状態の取っ手部分の正面図、(B)は同じく取っ手部分の横断面図である。
図15】格納箱の取っ手部分を示し、(A)はスライド取っ手から手を離し、扉を閉じた状態の取っ手部分の正面図、(B)は同じく取っ手部分の横断面図である。
図16】格納箱の取っ手部分を示し、(A)は解除キーを用いてサイン表示体を非表示位置に戻した状態の取っ手部分の正面図、(B)は同じく取っ手部分の横断面図である。
図17】屋内設置型の消火栓の火報扉と主扉の両方に取っ手構造を設けた状態の正面図である。
図18】封印シールを貼った従来の消防用設備の格納箱の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る消防用設備に用いる格納箱1の取っ手構造を採用した屋内設置型の消火栓(例えば、易操作性1号消火栓)の一例を示すものであり、当該消火栓は、不特定多数の人が来場する病院や図書館等の公共施設、或いは、不特定多数が往来する駅や空港等の建物の壁面等に設置されており、格納箱1と、格納箱1内に格納された消防用ホースやノズル、消火栓弁等の消火機器(図示省略)と、格納箱1の前面に設けられた表示灯2、火災報知機3及びベル孔4とを備えている。
【0025】
即ち、前記格納箱1は、図1に示す如く、内部空間を消火機器用収納部及び警報機器用収納部に区分けした前面が開口された箱本体5と、箱本体5の消火機器用収納部の開口周縁部に扉用回転軸6を介して手前方向へ回動自在に取り付けられ、消火機器用収納部の開口を開閉する主扉7と、箱本体5の警報機器用収納部の開口周縁部に扉用回転軸6を介して手前方向へ回動自在に取り付けられ、警報機器用収納部の開口を開閉する火報扉8と、を備えており、前記火報扉8には、表示灯2、火災報知器3及びベル孔4が設けられている。
【0026】
また、箱本体5の開口周縁部は、強度を高めるために背面側へ折り曲げられていると共に、主扉7の外周縁部及び火報扉8の外周縁部も、強度を高めるためにそれぞれ背面側へ折り曲げられている。
【0027】
そして、前記格納箱1には、悪戯や盗難等により格納箱1の扉(主扉7や火報扉8)が開けられたとき、或いは、格納箱1の扉(主扉7や火報扉8)を開けようとしたときに機械的にサイン16aを表示し、扉(主扉7や火報扉8)が開けられたこと、扉(主扉7や火報扉8)を開けようとしたことが簡単に確認できるようにした取っ手構造が設けられている。
【0028】
この実施形態(図1に示す格納箱1)においては、格納箱1の火報扉8に前記取っ手構造が設けられており、主扉7の方には、前記取っ手構造が設けられていない。尚、主扉7は、図示していないが、箱本体5の開口周縁部に設けた従来公知の三角戸バネ(三角キャッチ)により閉じた状態に保持されている。
【0029】
前記格納箱1の取っ手構造は、図1図7に示す如く、火報扉8に取り付けられ、前面が火報扉8の表面に露出するボックス状の取っ手収納体9と、取っ手収納体9に火報扉8の前面に沿って格納箱1の幅方向(図1の左右方向)へスライド自在に設けられ、火報扉8を開放操作するスライド取っ手10と、取っ手収納体9に設けられ、火報扉8を閉じた状態にロックし得ると共に、スライド取っ手10のスライド操作に伴って火報扉8のロック状態を解除し得るロック機構11と、取っ手収納体9に設けられ、スライド取っ手10の火報扉8を開放するスライド操作に伴って火報扉8を開閉したサイン16aが表示されるサイン表示手段12と、取っ手収納体9に設けられ、サイン表示手段12を非表示状態にする解除キー13と、を備えている。
【0030】
具体的には、前記取っ手収納体9は、図3図6に示す如く、前壁9a、上壁9b、底壁9c、背壁9d及び側壁9e(右側壁)により一端部(左側端部)が開放されたボックス状に形成された合成樹脂製のボックス状の本体9′と、本体9′の一端部に取り付けられ、本体9′の開口部を閉塞する合成樹脂製のカバー体9″とを備えており、火報扉8の左側縁部に形成した矩形状の取り付け穴8aに火報扉8の前面側から嵌め込み固定され、取っ手収納体9の前面が火報扉8の表面に露出した状態となっている。
【0031】
前記本体9′の前壁9aは、図5図6及び図8に示す如く、前壁9aに貫通状に形成されてスライド取っ手10を操作するための矩形状の取っ手操作用開口9fと、前壁9aに貫通状に形成されて後述するサイン表示手段12を構成するサイン表示体16のサイン16aに合致し得る矩形状のサイン表示開口9gと、を備えている。この本体9′の前壁9aは、その外周縁部が上壁9b、底壁9c及び側壁9eよりも外方へ突出しており、火報扉8の取り付け穴8aの内周縁部前面に当接するようになっている。尚、取っ手操作用開口9fは、作業員の指が入る大きさに形成され、サイン表示開口9gは、サイン表示開口9gからサイン表示体16を簡単にスライド操作できない程度の大きさに設定されている。
【0032】
また、本体9′の上壁9b及び底壁9cは、図7及び図8に示す如く、上壁9b及び底壁9cの一端部に形成されて火報扉8の取り付け穴8aの内周縁部の一部を受け入れる係合凹部9hと、上壁9b及び底壁9cに形成されて後述するカバー体9″に形成した第1係止片9tが挿入係止される第1係止孔9iと、上壁9b及び底壁9cの対向する内壁面に対向状に形成されてスライド取っ手10をスライド自在に支持するスライド取っ手用ガイドレール9jと、上壁9b及び底壁9cの対向する内壁面に対向状に形成されてサイン表示体16をスライド自在に支持するサイン表示体用ガイド溝9kと、上壁9b及び底壁9cの対向する内壁面に対向状に形成されて後述するロック機構11のスライダー14をスライド自在に支持するスライダー用ガイドレール9lと、を備えている。前記スライド取っ手用ガイドレール9j、サイン表示体用ガイド溝9k及びスライダー用ガイドレール9lは、何れも本体9′の上壁9b及び底壁9cの対向する内壁面に水平姿勢で且つ本体9′の前壁9aの表面に沿って形成されている。その結果、スライド取っ手10、サイン表示体16及びスライダー14は、全て同じ方向へスライドすることになる。
【0033】
更に、本体9′の側壁9eは、図5図6及び図8に示す如く、側壁9e外面に突出形成されて前壁9a外周縁部との間で火報扉8の内周縁部の一部を挟んだ状態で保持する弾性変形可能な一対の係合突出片9mと、側壁9eに貫通状に形成されてサイン表示体16をスライド移動させるための解除キー13が差し込まれるスリット形状のサイン操作用開口9nと、側壁9eの内壁面に突出形成されて後述するロック機構11のスライダー14を常時火報扉8の外周縁側へ向って押し出す弾性体15(例えば、圧縮コイルスプリング)を支持する支持片9oと、を備えている。
【0034】
加えて、本体9′の背壁9dは、図5図6及び図8に示す如く、背壁9dに形成されて後述するカバー体9″に形成した第2係止片9vが挿入係止される第2係止孔9pと、背壁9dに形成されて解除キー13が抜き差し自在に収納されるスリット形状のキー収納部9qと、を備えている。
【0035】
一方、前記カバー体9″は、図5図6及び図9に示す如く、本体9′の前壁9aとの間で火報扉8の取り付け穴8aの内周縁部の一部を受け入れる係合凹部9hを形成するカバー壁9rと、カバー壁9rの上端部及び下端部に垂直に連設されて本体9′の上壁9b及び底壁9cの内壁面に沿う一対の第1アーム板9sと、各第1アーム板9sに形成されて本体9′の第1係止孔9iに挿入係止される第1係止片9tと、カバー壁9rの後端部に垂直に連設されて本体9′の背壁9dの内壁面に沿う第2アーム板9uと、第2アーム板9uに形成されて本体9′の第2係止孔9pに挿入係止される第2係止片9vと、カバー壁9rの外壁面に外方を向く姿勢で連設されたボス部9wと、カバー壁9r及びボス部9wに形成されて後述するロック機構11のスライダー14がスライド自在に挿入される横向きのスライダー用支持穴9xと、を備えている。
【0036】
そして、前記取っ手収納体9は、本体9′の開口側一端部からカバー体9″の第1アーム板9s及び第2アーム板9uを本体9′内に挿入し、第1アーム板9sの第1係止片9tを本体9′の第1係止孔9iに、また、第2アーム板9uの第2係止片9vを本体9′の第2係止孔9pにそれぞれ挿入係止することにより組み立てられており、取っ手収納体9を火報扉8の取り付け穴8aに前面側から挿入して本体9′の前壁9a外周縁部を取り付け穴8aの内周縁部表面に当接させ、取り付け穴8aの内周縁部の一部を係合凹部9hに係合させると共に、係合突出片9mを取り付け穴8aの内周縁部の一部に係合させることによって、火報扉8の取り付け穴8aに嵌め込み固定されている。このとき、取っ手収納体9は、カバー体9″が火報扉8の左側外周縁部に対向するように火報扉8に取り付けられている。
【0037】
前記スライド取っ手10は、図7及び図10に示す如く、合成樹脂材により横断面形状が略L字状の長尺板状に形成されており、スライド取っ手10の上端部及び下端部が本体9′のスライド取っ手用ガイドレール9jにスライド自在に支持されている。このスライド取っ手10の上端面及び下端面には、本体9′のスライド取っ手用ガイドレール9jにスライド自在に嵌合係止される平行な一対の取っ手ガイド用突状10aがそれぞれ形成されている。
【0038】
また、スライド取っ手10の背面には、図5及び図6に示す如く、ロック機構11のスライダー14に係止されるスライダー用係止片10bが突出形成されている。
【0039】
前記ロック機構11は、図5図6図7及び図11に示す如く、図に示す如く、本体9′のスライダー用ガイドレール9lにスライド自在に支持され、先端部が箱本体5の開口周縁部に形成した係止穴5aに抜き差し自在に挿入される合成樹脂製のスライダー14と、スライダー14と本体9′の支持片9oとのに介設され、スライダー14の先端部をカバー体9″のボス部9wから突出する方向へ付勢してスライダー14の先端部を箱本体5の開口周縁部に形成した係止穴5aに挿入保持する弾性体15(例えば、圧縮コイルスプリング)と、を備えている。
【0040】
また、スライダー14は、スライダー14の先端部背面に形成されたカム面14aと、スライダー14の上端面及び下端面に形成されて本体9′のスライダー用ガイドレール9lにスライド自在に嵌合係止される平行な一対のスライダーガイド用突状14bと、スライダー14の本体9′の支持片9oに対向する箇所に形成されて弾性体15の一端部が挿入支持される弾性体用収納部14cと、スライダー14の基端部に形成されてスライド取っ手10のスライダー用係止片10bに係止される係止部14dと、スライダー14の背面部分に形成されてカバー体9″のスライダー用支持穴9xの内周縁部に当接し、スライダー14のカバー体9″からの突出量を規制するストッパー部14eと、を備えている。
【0041】
更に、スライダー14は、スライダー14が弾性体15の弾性力により前進して取っ手収納体9のカバー体9″から外方へ最も突出し、スライダー14の先端部が火報扉8の外周縁部に形成した貫通穴8bを通過して箱本体5の開口周縁部に形成した係止穴5aに挿入係止されて火報扉8をロック状態にするロック位置(図5及び図6参照)と、スライダー14が弾性体15の弾性力に抗して最も後退し、スライダー14の先端部が箱本体5の係止穴5aから抜けて火報扉8のロック状態を解除する非ロック位置(図14参照)とに亘ってスライド移動自在となっている。尚、火報扉8の貫通穴8bと箱本体5の係止穴5aとは、対向状に形成されている。
【0042】
而して、前記ロック機構11によれば、取っ手収納体9の取っ手操作用開口9fからスライド取っ手10をカバー体9″の反対側方向へスライド操作すると、スライダー14が弾性体15の弾性力に抗して後退し、スライダー14の先端部が箱本体5の係止穴5aから抜け、火報扉8のロック状態が解除されて火報扉8を開放することができる。
【0043】
一方、火報扉8を閉じた状態でスライド取っ手10から手を離すと、スライダー14及びスライド取っ手10が弾性体15の弾性力により前進し、スライダー14の先端部が取っ手収納体9のカバー体9″から外方へ大きく突出すると共に、スライダー14の先端部が火報扉8の貫通穴8bを通過して箱本体5の開口周縁部に形成した係止穴5aに挿入され、火報扉8がロック状態となる。
【0044】
前記サイン表示手段12は、図5及び図6に示す如く、取っ手収納体9の本体9′の前壁9aに形成したサイン表示開口9gと、本体9′のサイン表示体用ガイド溝9kにスライド自在に支持され、サイン表示開口9gに合致し得るサイン16aを表示した合成樹脂製のサイン表示体16とを備えている。
【0045】
また、サイン表示体16は、図7及び図12に示す如く、上端部及び下端部が本体9′のサイン表示体用ガイド溝9kにスライド自在に挿入支持され、表面に色表示によるサイン16aが表示されているプレート状の表示パネル16bと、表示パネル16bの背面に連設されてスライド取っ手10に当接し得る当接片16cと、を備えている。
【0046】
尚、サイン表示体16のサイン16aは、表示パネル16bの表面全体又は表面の一部を赤色に着色することにより形成されている。
【0047】
また、表示パネル16bの大きさ及び表示パネル16bにおけるサイン16aの形成位置は、スライド取っ手10がカバー体9″側へ最も近づいているときには、表示パネル16bが取っ手収納体9の前壁9aの背面に完全に隠れて表示パネル16bのサイン16aがサイン表示開口9gから完全に外れた位置(非表示位置)にあって非表示となり、また、スライド取っ手10がカバー体9″から最も離れた位置にスライド操作されたときには、表示パネル16bのサイン16aがサイン表示開口9gに合致する位置(表示位置)になるようにそれぞれ設定されている。
【0048】
而して、前記サイン表示手段12によれば、ロック機構11がロック位置にある状態でスライド取っ手10を前記ロック機構11のロックを解除する方向(サイン表示体16の方向)へスライド移動させると、サイン表示体16がスライド取っ手10に係止された状態で押されてサイン表示体16のサイン16aがサイン表示開口9gに合致する位置(表示位置)へ移動し、また、スライド取っ手10を前記反対方向(カバー体9″の方向)へスライド移動させると、スライド取っ手10とサイン表示体16が非係止状態になってスライド取っ手10のみが移動し、サイン表示体16が前記位置(表示位置)に残るように構成されている。
【0049】
前記解除キー13は、図6に示す如く、本体9′のサイン操作用開口9nに挿入されてサイン16aがサイン表示開口9gに合致しているサイン表示体16(表示位置にあるサイン表示体16)をサイン表示開口9gに合致しない位置(非表示位置)までスライド移動させるものであり、本体9′のサイン操作用開口9nに抜き差し自在に挿入されるプレート部13aと、プレート部13aに連設された摘み部13bと、を備えている。この解除キー13は、合成樹脂材により形成されている。
【0050】
また、解除キー13は、非使用時には、そのプレート部13aが本体9′のキー収納部9qに抜き差し自在に挿入されている。このとき、解除キー13の摘み部13bは、本体9′表面から露出した状態になっており、解除キー13の引き抜きを行い易くしている。
【0051】
而して、上述した構成の消防用設備に用いる格納箱1の取っ手構造においては、スライド取っ手10をスライド操作していない状態では、サイン表示体16のサイン16aがサイン表示開口9gと合致せず、サイン表示体16のサイン16aが本体9′の前壁9aに隠れた状態(非表示位置)となっている(図13参照)。
【0052】
この状態で、何者かが悪戯や盗難等の目的でスライド取っ手10に指を引っ掛け、スライド取っ手10をスライド移動させてロック機構11を解除し、火報扉8を開けようとすると、サイン表示開口9gにサイン表示体16のサイン16aが表示されることになる。
【0053】
即ち、スライド取っ手10をロック機構11のロックが解除される位置までスライド移動させると、スライド取っ手10がサイン表示体16を押し、これによりサイン表示体16が所定の位置(サイン表示体16のサイン16aがサイン表示開口9gに合致する位置)までスライド移動すると共に、スライダー14が弾性体15の弾性力に抗して後退し、スライダー14の先端部が箱本体5の係止穴5aから抜け、火報扉8のロック状態が解除されて火報扉8を開放することができる。このとき、サイン表示体16が所定の位置までスライド移動するため、サイン表示開口9gには、サイン表示体16のサイン16aが表示されることになる(図14参照)。
【0054】
また、スライド取っ手10から指を離すと、スライダー14及びスライダー14に係止されたスライド取っ手10が弾性体15の弾性力によりスライド移動し、スライダー14の先端部がカバー体9″から突出すると共に、スライド取っ手10が元の位置に戻る。このとき、サイン表示体16は、スライド移動することがなく、サイン16aがサイン表示開口9gに合致した状態(表示位置)に保たれる。その結果、サイン表示体16のサイン16aは、常時表示されたままとなる。
【0055】
この状態で火報扉8を閉じて行くと、スライダー14のカム面14aが箱本体5の開口周縁部に当接して押圧され、これに伴ってスライダー14が弾性体15の弾性力に抗して後退し、スライダー14の先端部が箱本体5の係止穴5aに合致した時点でスライダー14が弾性体15の弾性力により前進し、スライダー14の先端部が箱本体5の係止穴5aに挿入係止される。これにより、火報扉8は、閉じた状態で保持されることになる(図15参照)。
【0056】
尚、スライド取っ手10をスライド操作してスライダー14が後退した状態で火報扉8を閉じて行き、火報扉8が完全に閉じた時点でスライド取っ手10から手を離すようにしても良い。そうすると、スライダー14が弾性体15の弾性力により前進し、スライダー14の先端部が箱本体5の係止穴5aに挿入係止され、火報扉8がロック状態に保持されることになる。
【0057】
そして、点検者は、取っ手部分のサイン表示開口9gにサイン16aが表示されている格納箱1を見つけたら、格納箱1の内部を点検し、悪戯や盗難等が行われていないかを点検した後、火報扉8の裏面側から本体9′のサイン操作用開口9nに解除キー13を差し込み、サイン表示体16を元の位置(サイン表示体16のサイン16aがサイン表示開口9gに合致しない位置)まで戻し、サイン16aを非表示にする(図16参照)。
【0058】
このように、上述した消防用機器に用いる格納箱1の取っ手構造は、スライド取っ手10のスライド操作に伴って火報扉8を開閉したサイン16aが表示されるサイン表示手段12を備えているため、点検時や見回り時等にサイン16aが表示されていれば、何者かが火報扉8を開閉したり、或いは火報扉8を開けようとしたことが判別でき、悪戯や危険物の隠し置きが行われた可能性を察知できるため、悪戯等を見落とすと言うことがなく、悪戯や危険物の早期発見を容易に行える。
【0059】
また、消防用機器に用いる格納箱1の取っ手構造は、サイン表示手段12が、スライド取っ手10のスライド操作に伴ってサイン16aを表示したサインパネルが機械的にスライド移動してサイン16aを表示する構成としているため、電源を必要とせず、コスト低減を図れる。
【0060】
更に、消防用機器に用いる格納箱1の取っ手構造は、サイン表示体16が、スライド取っ手10の扉8aを開放操作する方向へのスライド操作時にスライド取っ手10に係止されて非表示位置から表示位置へスライド移動し、また、スライド取っ手10の前記と反対方向へのスライド時にサイン表示体16が前記位置に残る構成としているため、スライド取っ手10のスライド操作や火報扉8の開閉操作を行っても、一旦現れたサイン表示体16のサイン16aは常時表示されたままとなるので、火報扉8が開けられたことや火報扉8を開けようとしたことを確実に表示することができる。
【0061】
更に、消防用機器に用いる格納箱1の取っ手構造は、取っ手収納体9の火報扉8の裏面側に位置する部分に、サイン表示体16を火報扉8の裏面側からスライド操作するサイン操作用開口9nを形成しているため、消防用設備の格納箱1を正面側から見ただけではサイン16aの表示の解除方法が判らず、サイン16aの表示を解除するには、火報扉8の裏面側から操作しなければならないので、解除方法を知る者しか容易に解除することができない。
【0062】
更に、消防用機器に用いる格納箱1の取っ手構造は、取っ手収納体9の扉の裏面側に位置する部分に、サイン表示体16をスライド移動させる解除キー13が抜き差し自在に収納されるキー収納部9qを形成し、当該キー収納部9qに解除キー13を収納しているため、作業員が格納箱1を点検する際に解除キー13を所持しておく必要もなく、また、解除キー13がキー収納部9qに収納されているので目立ち難く、格納箱1の扉が悪戯や盗難等、正常な目的を持った者以外により開けられても、解除キー13に気が付き難くなる。
【0063】
尚、上記の実施形態においては、屋内設置型の消火栓の火報扉8のみに取っ手構造を設けたが、他の実施形態においては、図17に示す如く、屋内設置型の消火栓の火報扉8と主扉7の両方に同じ構造の取っ手構造をそれぞれ設けるようにしても良く、或いは、図示していないが、屋内設置型の消火栓の主扉7の両方のみに取っ手構造を設けるようにしても良い。これらの場合、主扉7を閉じた状態に保持する三角戸バネ(三角キャッチ)は、省略する。
【0064】
また、上記の実施形態においては、サイン表示手段12のサイン表示体16のサイン16aを赤色の色表示としたが、サイン表示体16のサイン16aを他の色の色表示としても良い。また、サイン表示体16のサイン16aを「内部点検要」等の文字表示のサイン16aとしたり、火報扉8を開けられたことが判る図形表示としたり、或いは色表示と文字表示と図形表示のうち、何れか二つ又は三つを組み合わせたサイン16aとしても良い。
【0065】
更に、上記の実施形態においては、サイン表示体16を元の位置に戻す場合、専用の解除キー13を用いたが、他の実施形態においては、専用の解除キー13に替えて点検業者が常時携帯しているマイナスドライバーや他の工具を利用してサイン表示体16を元の位置に戻すようにし手も良い。
【0066】
加えて、上記の実施形態においては、取っ手収納体9、スライド取っ手10、サイン表示体16、スライダー14及び解除キー13を合成樹脂材により形成したが、他の実施形態においては、前記各部材を金属材により形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、屋内設置型の消火栓(易操作性1号消火栓)の格納箱1に用いたが、1号消火栓や2号消火栓の格納箱、広範囲型2号消火栓の格納箱、補助散水栓の格納箱、消火器格納箱、放水口格納箱、パッケージ型消火設備の格納箱等にも利用できるものである。また、本発明の取っ手構造は、既設の格納箱にも設置できるものである。
【符号の説明】
【0068】
1は格納箱、5は箱本体、8は火報扉、9は取っ手収納体、9gはサイン表示開口、9nはサイン操作用開口、9qはキー収納部、10はスライド取っ手、11はロック機構、12はサイン表示手段、13は解除キー、16はサイン表示体、16aはサイン。
図1
図2
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