(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載の発明は、「人の生理学的/知的反応速度」を簡易で迅速に計測することを目的として提示されている。
【0010】
例えば、表示部に表示される3段3列の画像の中で中央の目標画像と同じ内容の画像を、周囲・8個の対象画像の中から選んで、手指でその“同じ画像”に触れることで、1度の検査を終わるようにしている。さらに、類似の検査を1人の被験者に対して複数回程繰り返し、その検査結果の平均値を求めるようにしている。このような検査で約3〜5分程の短時間で1人の計測は完了して、定量化も容易である。
【0011】
計測結果は瞬時に被験者に戻される。顔画像の識別では、男性の顔画像、女性の顔画像を別々に用いる事によって、被験者の性別や年齢によって「回答精度と識別回答に要する所要時間」が異なる事が、既に知られている。また、60歳を超えると、識別と回答に要する所要時間は急速に長くなり、回答精度も悪くなる結果も得られている。
【0012】
かかる特許文献1に記載の従来発明では、専ら画像の視認における回答精度及び、識別回答に要した時間の長さに基づいて、被験者の認知機能のレベルを測ることに主眼を置いている。
【0013】
一方、加齢とともに、脳内の識別機能とともに、運動、反射機能も劣化して行く。先に述べたように、脳内の識別機能即ち、認知症状とともに運動、反射機能の低下は、自動車運転において、ハンドルやブレーキの誤操作、あるいはその操作の遅れから重大な事故を引き起こしかねない。
【0014】
したがって、本発明の目的は、試験画像の視認から手指や足の対応運動に至る総括的な識別機能に止まらず、その総括的な機能を構成する視認から手指や足に直結する運動機能と、脳内における複雑な識別機能とを分けて判定と評価することにある。即ち識別機能を構成する2成分を定量的かつ分別して評価可能とする計測装置及びプログラムを提供することにある。そして、本発明の適用により、早期の認知症状の検出ならびに、特に、運転免許証の取得や更新時に被験者の識別機能及び運動機能の低下状況を判定して、不適応な自動車運転の機会を無くし、重大な自動車事故を防止することが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の第一の側面は、画像を用いた被験者の識別・反応機能を計測する識別・反応計測装置であって、複数の素材画像を記憶する記憶装置と、試験画像を表示する表示装置と、前記表示装置への前記試験画像の表示を制御する制御装置を有し、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された複数の素材画像から目標画像と複数の対象画像を取得して前記試験画像を構成して前記表示装置に表示させ、前記被験者に、前記構成された試験画像中の複数の対象画像のうち、前記目標画像と同一又は類似の対象画像を識別判定させ、前記被験者による試験画像の識別判定における回答精度と、識別回答に要した時間の測定値から前記被験者の識別・反応機能を評価する際に、前記試験画像を簡易な画像による第1の構成と、複雑な画像による第2の構成とし、前記第2の構成による試験画像を用いた前記被験者による識別判定の結果の測定値から前記第1の構成による試験画像を用いた前記被験者による識別判定の結果の測定値を差し引いた数値から前記被験者の識別・反応機能を評価することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の一側面において、一の形態として、前記第1の構成による試験画像を用いた前記被験者による識別判定の結果の測定値と、前記第2の構成による試験画像を用いた前記被験者による識別判定の結果の測定値は、それぞれ複数回繰り返して取得された識別判定の結果の複数の測定値の平均値を用いることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の一側面において、一の形態として、さらに、前記被験者が前記目標画像と同一又は類似の対象画像を識別判定する際に、前記目標画像と同一又は類似の画像が前記対象画像中に存在しないと判定する回答を行うための、足の踏込み操作により前記回答を入力するためのフットスイッチを有することを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の一側面において、一の形態として、前記試験画像は、中央に前記目標画像を配置し、前記目標画像を囲むように周囲に複数の対象画像を配置してマトリクス状に構成されることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の一側面において、さらに一の形態として、前記複雑な画像による第2の構成は、素材画像自体が複雑な画像で構成される場合、若しくは前記中央に配置される目標画像を多重に囲むように複数の対象画像が配置されて試験画像が構成される場合を含むことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の第二の側面は、画像を用いた被験者の識別・反応機能を計測する識別・反応計測装置であって、複数の素材画像を記憶する記憶装置と、試験画像を表示する表示装置と、前記表示装置への前記試験画像の表示を制御する制御装置を有し、前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された複数の素材画像から目標画像と複数の対象画像を取得し、前記試験画像として、中央に前記目標画像を配置し、前記目標画像の左右両側に対象画像を配置し、前記目標画像と前記左右両側に配置される対象画像は、前記目標画像との間に空白領域を入れ前記被験者からの視野角度を広くとるように配置して構成し、前記構成された試験画像を前記表示装置に表示させ、前記被験者に、前記試験画像中の複数の対象画像のうち、前記目標画像と同一又は類似の対象画像を識別判定させ、前記被験者による試験画像の識別判定における回答精度と、識別回答に要した時間の測定値から前記被験者の識別・反応機能を評価することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の第二の側面において、一の形態として、前記制御装置は、前記左右両側に配置される対象画像のそれぞれを、ランダムな方向に一定速度で移動表示し、各画像が上下端あるいは両側端に達したときは、さらに移動してきた方向と反対方向若しくは端面で反射する方向に移動を続けさせることを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の第一、第二の側面において、一の形態として、前記目標画像と、対象画像及び画像のない空白領域に、淡色の背景色を付加して撹乱・雑音効果を付与することを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決する本発明に従う識別・反応計測装置の第一、第二の側面において、一の形態として、前記被験者が識別判定を行う際に、前記被験者に座面からの振動を撹乱・雑音効果として付与することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施例を添付の図面に従い説明する。この実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明の適用は、これら実施例に限定されるものではない。また、本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲と同一又は類似の範囲に及ぶ。
【0026】
図1は、本発明に従う被験者の識別・反応機能の定量的計測を実施するための識別・反応計測装置の一実施例の外観図である。
【0027】
図1に示す識別・反応計測装置は、一例として、運転免許証の取得や更新時に適用され、運転免許証の取得や更新が妥当であるかを被験者の識別及び運動能力から評価するために用いられる。すなわち、被験者が、自動車運転に適応する認知機能と手指や足などの自動車運転に支障の無い個人別の識別運動機能の有無を容易に計測するために使用される。
【0028】
図1において、識別・反応計測装置は、筐体1に、表示装置(タッチパネル型ディスプレイ)2、入力手段としてのブレーキペダルの如きフットスイッチ3、及び計測結果を記録した記録紙等を発行する出力手段4を備える。
【0029】
図2は、
図1の識別・反応計測装置により識別・反応計測方法を実施するための制御装置の構成例である。制御装置10は、識別・反応計測装置の筐体1内に備えられても、あるいは筐体1から離間した位置に置かれていてもよい。
【0030】
制御装置10は、基本構成として、パーソナルコンピュータで実現可能である。CPU相当の処理装置11、一時記憶装置(RAM)12と、OS及び、本発明に従う識別・反応計測を実行制御するプログラムが格納されたハードディスク、SSD等の記憶装置13がバス14を通して接続されている。
【0031】
制御装置10には、さらに対応するインタフェースを介して
図1に示される表示装置2、音声入力やフットスイッチ3、及び、音声や振動を含む出力手段4が接続されている。なお、表示装置2がタッチパネル型ディスプレイである場合、タッチ入力により情報を入力する入力手段としての機能及び、試験画像などの情報を出力表示する出力手段としての機能を併せ持つ。
【0032】
図3は、本発明に従う識別・反応計測装置により被験者の識別・反応機能の計測を行う一実施例の処理フローを示す図である。記憶装置13に格納された本発明に従うプログラムを処理装置11で実行することにより処理フローが実現される。
【0033】
図3において、被験者に検査の内容等を説明し、理解を得る(ステップS1)。この説明は、例えば、被験者に検査の目的、内容等を表示装置2の画面にテキスト若しくは、動画等を表示して行う。
【0034】
表示装置2のタッチパネル画面の確認項目を選択指示することにより 説明の内容に被験者が承諾(ステップS2、Yes)、又は不承諾(ステップS2、No)の意思表示(インフォームドコンセントの確認)が可能である。
【0035】
説明の内容に被験者が承諾(ステップS2、Yes)であれば、検査項目に対応したデータが記憶装置13から読み出されて(ステップS3)、トライアルテストを実行する(ステップS4)。反対に、説明の内容に被験者が同意しなければ(ステップS2、No)、処理は終了(END)し、検査は実行されない。
【0036】
トライアルテストに移行する場合は、被験者に計測の手順の説明を含むテスト試行が行われる。例えば、
図1に示すように表示装置2に簡単な図形画像で構成される試験画像5を表示する。
【0037】
ここで、以下の本発明の実施例説明において、上記試験画像5を含む用語を次のように定義しておく。
【0038】
試験画像:目標画像と対象画像が表示されていて、被験者がテストとして対応する表示装置2に表示される画像の全体を指す。
【0039】
目標画像:試験画像の中央に配置されており、被験者が識別に際し“選別の目標とする画像”を指す。
【0040】
対象画像:試験画像の周囲に配置される8個以上の複数の個別画像からなり、被験者が中央の目標画像と比較して選別し、その中の同じ画像に手指で触れて回答する“画像群の全体”を指す。
【0041】
図4は、簡単な試験画像5の具体例を説明する図である。この例では、試験画像5は、3×3のマトリクス状に並べられた9個の図形画像で構成されている。
【0042】
被験者は、試験画像5の中央の例えば二重枠20内に示された特定の目標画像Aと同一又は類似の図形画像が、試験画像5内の周囲の画像の中にあるか否かを識別判定し、同一又は類似の図形画像が対象画像中にあれば、画面上でその位置を手指で触れることが要求される。
【0043】
すなわち、同一又は類似の図形画像があれば、被験者は、その位置に対応する表示装置2のタッチパネルの図形画像の表示位置を手指でタッチすることにより回答を行うことが出来る。
【0044】
一方、目標画像Aと同一又は類似の図形画像が、対象画像中にないと判定する場合は、被験者は、足でフットスイッチ3を踏み込んで目標画像と同一又は類似の図形画像が無いことを回答することが求められる。
【0045】
なお、
図4に示す例では、中央の目標画像Aと同一の対象画像が、3×3のマトリクスの右下部分に配置されている。
【0046】
このように、被験者は、試験画像において特定された目標画像と同一又は類似の図形画像を対象画像の中から識別し判定するトライアルテストを実行する。
【0047】
トライアルテストを実行した後、本テストが開始される(ステップS5)。
【0048】
本テストもトライアルテストと同様であるが、本テストでは繰り返しテストを行い、それらの平均値を求めて最終評価を行う。
【0049】
処理装置11により実行される本発明に従うプログラムの制御により記憶装置13に格納されている素材画像群から複数の画像を読み出し(ステップS6)、テスト毎に、表示装置2に選び出した複数の画像を試験画像として構成して表示する(ステップS7)。
【0050】
図5は、記憶装置13に格納されている複数個の簡単な図形画像からなる素材画像群の一部である。本テストで用いる試験画像は、この素材画像群から図形画像をランダムに選んで目標画像を中心にしてその外側に3×3、あるいはより複雑に多重に3×5、5×5等のマトリクス状に配列構成した試験画像としてもよい。
【0051】
また、
図6は、記憶装置13に格納されている図形として、より複雑な複数の顔画像からなる素材画像群の一部を示す。かかる複数の顔画像の素材画像群からランダムに特定される一つの顔画像(
図6中、太枠で囲われた画像)を目標画像とする。さらに、前記素材画像群から他の顔画像を対象画像として複数選択し、前記特定された目標画像が中央に位置するように前記選択した複数の対象画像を並べて試験画像とすることが出来る。
【0052】
さらに、
図7は、自動車運転時における市街地走行を念頭にして、記憶装置13に格納されている複数の家の画像を有する素材画像群から得られた3×5の15個の家の画像で試験画像を構成する例である。
【0053】
この例にあっては、任意の特定された一つの家の画像を目標画像Aとする。その周囲を囲むように複数の対象画像を配置して例えば3×5の配列の試験画像の中央に目標画像Aが置かれている。被験者は、試験画像中の対象画像から特定された市街地にある家の目標画像Aと同一又は類似する画像を識別して、画面上でその画像の位置を指示して回答を行う。
【0054】
なお、
図7の試験画像の例では、目標画像Aと同一又は類似する画像が対象画像中に存在しない。かかる場合は、被験者は、フットスイッチ3を足で押し下げて同一又は類似する画像が対象画像中に存在しないことの回答を入力する。
【0055】
ここで、以下の説明において使用する第1の試験画像と、第2の試験画像を次のように定義する。
【0056】
第1の試験画像は、
図4と
図5で説明したような簡単で識別の容易な図形の素材画像群から選択された目標画像と対象画像とを使用し、前記目標画像を一重で囲む対象画像で構成されている。一方、第2の試験画像は、
図6と
図7で説明したように複雑な図形の素材画像群から選択された目標画像と対象画像とを使用して構成される場合、あるいは、前記の簡単な図形の素材画像群から選択された目標画像と対象画像とを使用し、前記目標画像を多重で囲むような多数の対象画像で構成される場合を含む。
【0057】
ここで、前記第1の試験画像と第2の試験画像とによる複数の異なる試験画像間の画像の種類(顔、動・植物、市街地、風景、複雑な模様等)やその複雑さを変え、さらに、前記第1の試験画像と第2の試験画像とで得られた測定値を相互に比較することで、前記被験者の持つ識別・反応機能の非正常さ(脳内における識別・反応機能の異常さ・認知症患者における詳細な疾病の種類とその程度の分別など)を個別かつ定量的に分別して評価出来ることになる。特に、かかる事項は、先の出願(特許文献1)には、何ら開示も示唆もされていない、本発明の特徴点である。
【0058】
なお、同じ試験画像に2個の異なる目標画像を存在させても良い。その際には、2個目の識別・回答が為された時点で、その試験画像の回答を終了させることになる。
【0059】
図3のフローに戻ると、被験者は表示装置2に表示された試験画像において、指定された目標画像と同一又は類似の画像を識別して画面上のその位置にタッチして回答する(ステップS9)。この時、試験画像が表示されて(ステップS7)から目標画像と比較して同一又は類似の対象画像の位置を識別して手指や足で回答するまでに経過した時間tが計測されている(ステップS8)。
【0060】
この経過時間tが大きくなり、規定時間T
0に達した場合は(ステップS8、No)、規定時間T
0を経過した事実が、記憶装置13の所定エリアに記録される(ステップS10)。その際、対象画像からの目標画像と同一又は類似とする画像の識別の正誤の判定は“誤り”として、規定時間tを越えている旨の表示(例えばブザー音を鳴らす)を行う(ステップS11)。
【0061】
一方、回答までの経過時間tが規定時間T
0内(ステップS8、Yes)に、同一又は類似の画像位置の決定と回答が行われると(ステップS9)、その決定の正誤が判定される(ステップS12)。決定が正しければ、記憶装置13の所定エリアに正解の記録と所要時間が記録される(ステップS13)。この時、正しい決定がなされた旨の表示(例えばチャイム音を鳴らす)が行われる(ステップS14)。反対に、決定が誤りであれば、記憶装置13の所定エリアに誤り回数が歩進され、同時に誤りの表示(例えばブザー音)が行われる(ステップS10,S11)。
【0062】
上記の処理により1回目の試験画像によるテストが行われ、継続して更新された試験画像を用いた同様の本テストが繰り返される。例えば、テストの繰り返し回数が30以下であれば(ステップS15、No)、ステップS7に戻り、新たな試験画像の配置が表示装置2に表示され、同様の目標画像に対する対象画像の位置選択決定と回答が被験者により再度行われる。この対象画像の位置選択決定において、被験者は、視認と識別判定とともに、手指や足による回答への入力動作が必要となる。
【0063】
ここで、上記テストの繰り返し回数が31に達していれば(ステップS15、Yes)、一連の計測が終了し、処理装置11は、記憶装置13に記録された30回の被験者の識別・反応速度と正誤の回答状況を統計的に処理し、記録して、必要部分を出力手段4から出力して処理を終了する(ステップS16)。
【0064】
ここで、上記テストの繰り返しに関し、次のように対応する。
【0065】
図4に示したような簡易な図形画像からなる試験画像(第1の構成)と、
図6に示したような識別判定が複雑で困難な顔の図形画像を用いた試験画像、あるいは、
図7に説明したような複雑な市街地の画像、あるいは、
図5のような簡易な図形画像であっても対象画像が3×5,5×5のように多数からなる複雑であるような試験画像(第2の構成)を用いる。そして、前記第1,第2の構成の試験画像による上記テストをそれぞれ独立して複数回繰り返す。あるいは、第1の構成と第2の構成とを交互に組合せて複数回繰り返すようにしても良い。第1の構成と第2の構成のそれぞれにおいて、複数回の計測を行った結果の平均値を求める。
【0066】
ここで、第1の構成において、被験者は、専ら「視認からの入力に続き条件反射的に手指や足を動かすこと」により回答を出力していると考えられる。一方、第2の構成においては、「視認からの入力に続き脳内における複雑な識別機能を駆使した上で」、その判定結果を「手指や足を動かすこと」 で出力していると考えられる。
【0067】
したがって、第2の構成による測定値・回答所要時間から第1の構成による測定値・回答所要時間を差し引くことにより、即ち、
「第2の構成による測定値・回答所要時間」―「第1の構成による測定値・回答所要時間」=「脳内の識別機能の速度・回答所要時間」
の関係から、顔や市街地などの複雑な画像群に対する「脳内の識別機能の速度・回答所要時間」を、個人別・定量的に計測することが可能になる。
【0068】
さらに、処理装置11は、記憶装置13に予め記憶している標準的な判定基準(画像の回答精度と回答所要時間)と、目前の計測結果とを比較して、被験者の測定値の状態を評価して必要により被験者に、試験記録として出力手段4から提供することが出来る。
【0069】
図8は、男女6歳から85歳まで、234人を対象にして
図6に示したような顔の素材画像から1個の目標画像と8個の対象画像で作成した3×3のマトリクスの試験画像を用いて、手指入力のみにより計測した結果である。横軸が、被験者の年齢、左縦軸のグラフIが回答精度、右縦軸のグラフIIが識別回答に要した時間(sec)である。
【0070】
回答精度グラフIは、被験者の年齢が40歳代後半頃から、急速に低下して60歳代以降には、8個の対象画像に対して1個の正解画像の存在比率(12.5%)に接近してくることを示している。
【0071】
一方、回答時間グラフIIは、被験者の年齢が60歳代前半頃までは、回答時間の値は大きく変わらずほぼ一定であるが、その後に急速に増加し、同時に回答精度も低下する傾向が認められる。
【0072】
図9は、フットスイッチ3を回答入力に用いた場合の計測結果である。
【0073】
健常人の男女16名(年齢38〜78歳)を対象に2回、本テストを行い、第1回目は手指入力による回答のみ、第2回目では試験画像の4回に1回(24回中に6回)は足によるフットスイッチ3からの回答を混ぜたテスト(足からの入力)結果を比較したグラフを示している。
【0074】
なお、この測定値は、
図4のごとき単純な図形画像による個人別の「条件反射的な運動機能」を引いた後の「脳内の識別機能」のみの値を示している。
【0075】
図9において、左縦軸のグラフI、右縦軸のグラフIIともに、足を用いたフットスイッチ回答を含むテスト結果Xと、手指回答のみのテスト結果Yとを比較すると、平均値では1/4回の足のフットスイッチ回答を含むテストXの場合の回答精度は4%悪くなる。さらに、識別回答までの所要時間は、0.8秒遅くなる。この結果、フットスイッチ3を利用することによりテスト自体がブレーキ動作も想定しているので、例えば、自動車運転免許証の取得や更新時に、被験者の自動車運転における識別・反応機能を評価するために本発明の適用が有効であることを示している。
【0076】
さらに、自動車運転免許、特に大型免許証の取得や更新時には、視野角度も規定以上であることが要求されている。
図10は、かかる大型自動車の運転時における広域の視野角識別機能の有無を評価するための実施例を説明する図である。
【0077】
先に説明した
図4の如くの実施例では、試験画像において、複数の対象画像を、目標画像を囲うように隣接して配置する例を示した。
【0078】
これに対して、
図10は、対象画像Bを中央に配置される目標画像Aから左右に大きく離して配置した試験画像の例を示す図である。
【0079】
今、目標画像Aの表示横幅をL=1.0とする。
図10に示す例では、左右に配置される対象画像Bを、目標画像AからL=2.0の幅だけ左右に離して配置している。このような試験画像を用いて、先に
図3において説明した処理フローに従って被験者は、目標画像Aと同一又は、類似の画像を左右に離して配置された対象画像Bの中から識別する。
【0080】
目標画像Aと対象画像Bは、所定間隔離れて配置されているので、被験者には目の位置を起点にして所定の視野角で判定を行うことが必要である。したがって、
図10の試験画像により、被験者の持つ広域な視野角識別機能も判定することが出来る。
【0081】
図11は、かかる視野角判定を8人の被験者J,K,M,N,P,Q,R,Sに対して行った際のデータである。
図11において、目標画像Aの横幅L=1を基準として目の位置を固定した上で、目標画像Aとの離間幅L=0,L=2,L=3のそれぞれに対象画像Bを配置して同一又は、類似の対象画像の回答に要した時間(秒)をまとめた表である。
【0082】
8人の被験者による同一又は、類似の対象画像の回答に要した時間は、その平均値で代表されるように、対象画像Bが目標画像Aから離間される程、長くなっていることが判る。すなわち、対象画像Bが目標画像Aから離れる程、識別判定が難しくなり、かかる工夫された試験画像を用いることにより被験者の個人別視野角の識別・反応機能を測定と評価することが可能である。
【0083】
図12は、さらに別の実施例で、動体視認機能を判定する例を説明する図である。
【0084】
初期状態では、
図10の実施例と同様に対象画像Bが目標画像Aから左右に離間して配置される。左右に配置された8個の対象画像がそれぞれ独立に矢印で示されるように左右・斜め上下方向にランダムに一定速度で移動するように動きながら表示される。矢印方向に移動し、上下端あるいは両側端に到達すると、逆方向あるいは反射する方向に移動するという動きを繰り返す。その過程で、被験者は目標画像Aと同一又は類似の対象画像を多様な動きの中で視認分別し、動いて居る対象画像のどれかを見定めて手指や足で回答する。
【0085】
かかる判定は、視野角とともに、対象画像の繊細な違いを判定すると同時に動く対象画像に手指で触れる動体視認機能が必要であり、自動車運転免許証の取得や更新の際、あるいは、野球、卓球等のスポーツにおける運動能力を判定する際にも利用可能である。
【0086】
なお、
図12において、対象画像Bの動きを画面奥行き方向に前後に移動させるようにしても良い。これにより、3次元表示画像と専用の眼鏡を用いれば対象画像Bが前後に移動して「基準点」に並んだときを判定させることも可能であり、自動車免許証の取得や更新時の「奥行き検査」と同様の評価試験に適用することが可能である。
【0087】
ここで、上記に説明したそれぞれの実施例において、識別・反応計測装置の適用の目的を考慮して、被験者への環境負荷を与えて測定を行うことが可能である。
【0088】
その一つとして、目標画像及び対象画像の双方に、及び/又は画像の無い空白領域に撹乱・雑音効果として淡色の背景色を付す。かかる背景色により被験者の本来の画像識別機能への影響を与える。又、別の方法として、識別・反応計測装置から撹乱や雑音として、被験者に感知される音声や振動、例えば被験者の座席面に振動を与えることなどが可能である。
【0089】
このように、被験者に対して、画像識別による識別・反応計測過程で撹乱・雑音を与えることによる被験者の判定結果への影響度を数値(画像判定の精度及び回答に要した時間)で求めることが可能である。
【0090】
さらに、実施例として、被験者が識別・反応機能の回答を入力する方法として、上記に、ディスプレイ2のタッチパネル、フットスイッチ3を説明したが、他にもマイクロフォンによる数字、Yes/Noなどの音声入力であっても良い。
【0091】
上記の説明において、本発明の実施例を、主として自動車運転免許証の取得や更新時を想定して説明したが、本発明は、医学的な診断手法、職業適応能力の判別機能の評価、あるいは教育的な学習能力や成果を対象とすることが可能である。