【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のアダプタは、車両の搭乗者側からアクセス可能な位置に設けられた車両側の常時給電型コネクタに対して接離可能に接続される受電コネクタと、前記受電コネクタから供給される電力に基づき外部機器へ電力の供給を行う給電コネクタを備えていることを特徴とする。このようにすれば、一般ユーザであっても、比較的容易に、車両から各種の外部機器へ常時給電させることができる。
【0010】
車両の搭乗者側からアクセス可能な位置としては、例えば、車両の車室内からアクセス可能な位置とすると特に良い。特に、車室内に設けられた車両側のカバーが開く場所とすると良い。このようにすれば一般ユーザであっても、カバーを開けるだけで容易に、車両から各種の外部機器へ常時給電させることができる。また、カバーがない場所とすると良い。このようにすれば車両の搭乗者側から単に給電コネクタへ受電コネクタを差し込むだけで、車両から各種の外部機器へ常時給電させることができる。搭乗者側としては、特に運転席側とすると良い。特に運転席の周辺に設けられたコネクタとすると良い。このようにすれば運転者は容易に車両から各種の外部機器へ常時給電させることができる。
【0011】
車両側の常時給電型コネクタとしては、特に車室内から利用するために設けられたコネクタとすると良い。また例えば車両の運転者の操作にともなって変化する情報が出力されるコネクタとすると良い。また例えば車両のユーザの使用時には使用されていない可能性の高いコネクタとすると良い。
【0012】
(2) 前記受電コネクタは、そこに接続される車両側の常時給電型コネクタが、例えば、車両に設けられた故障診断システムの出力ポートに設けられたコネクタであると良い。 故障診断システムの出力ポートに設けられたコネクタは、主として車両の修理工場で使用されることを目的としており、車両のユーザの使用時には使用されていない可能性の高いものである。特に、故障診断システムの出力ポートに設けられたコネクタは、車両のACCのオフ時においても、故障診断機を接続して故障診断を行えるように、常時車両側から給電されているので、この種のコネクタを常時給電型コネクタとして用いると良い。故障診断システムの出力ポートに設けられたコネクタは、運転席近傍の車室内に設けられおり、ユーザのアクセスも容易なコネクタだからである。故障診断機を接続可能な車両に設けられたコネクタとしては例えばOBDII規格のコネクタとすると良い。
【0013】
例えば、給電コネクタは、前記外部機器に対して一般的な車両には非搭載の電源装置から充電を行うために規格化されたコネクタとすると良い。例えば、一般的な車両には非搭載の電源装置から充電を行うために規格化されたコネクタとしては、例えば、宅内で使用する機器に対して家庭用電源から充電を行うために規格化されたコネクタとするとよく、特に携帯型機器に対して用いられるコネクタとすると良い。
例えば、給電コネクタは、前記外部機器に対して車両に非搭載の電源装置から充電を行うために、複数種類の外部機器で共通して使用されるコネクタとすると良い。複数種類の外部機器としては、特に、携帯可能な機器等とするとよく、特にバッテリへの充電を要する携帯可能な機器とすると良い。
このようなコネクタとして給電コネクタは例えばUSB規格のコネクタなどを用いると良い。
その他の給電コネクタとしては、例えば、シガーソケット、その他各種機器への給電に使用されている角型コネクタ、ピンプラグ型コネクタなどが使用できる。特に、各種の電子機器への給電に共通して用いられる規格のコネクタとすると良い。例えば、シガーソケットとすると良い。が、特に車両ではない場所でも共通して利用されている規格のコネクタとするとよく、前記のようなUSBコネクタとすると更に良い。
【0014】
(3)前記給電コネクタが、USBコネクタまたはシガーソケットとした構成とすると良い。USBコネクタには、専ら電子機器の充電に使用される給電のみを行うもの(給電型USBコネクタという)と、給電と情報伝達のための信号線の接続も兼ねた(通信型USBコネクタという)ものとがあるが、いずれのUSBコネクタも使用できる。
【0015】
(給電コネクタと受電コネクタの形状等)
前記給電コネクタと受電コネクタは、アダプタのケースと一体に設けられていても良いし、アダプタのケースに対してコードやケーブルによって接続されていても良い。また、受電コネクタは、車両の搭乗者側からアクセス可能な位置に設けられた常時給電型コネクタに対して接離可能に接続されるものとするとよく、常時給電型コネクタ自体にはめ合うコネクタでも、常時給電型コネクタ自体にはめ合うコネクタと接続された受電コネクタとはめ合うコネクタにはめ合うコネクタとすると良い。例えば、OBDコネクタにはめ合う第一のコネクタから電源ケーブル接続される第二コネクタを設け第二のコネクタにはめ合うコネクタをアダプタの受電コネクタとすると良い。
ケースと一体であると小型化が可能になり、コードやケーブルによって接続されていると離れた位置にアダプタや給電コネクタや受電コネクタを設置することができ、例えば、外部機器を運転席や助手席の近くで充電できる。
【0016】
このような構成によれば、アダプタに設けられた給電コネクタに対して、車両の常時給電型コネクタを介して車両側から電力が供給されるので、車両の走行状態やACCの開閉状態に依存することなく、外部機器に対する充電を常時行うことが可能になる。特に、ユーザがACCをオフとして車両を離れる場合には、従来技術では、シガーソケットに対する給電がオフになって外部機器の充電も不可能になるが、本発明においてはそのような場合であっても外部機器のバッテリを充電できる利点がある。特に、車両側の常時給電型コネクタには車両に備えるバッテリからの電力が常時供給される構成とすると良い。
【0017】
(a)USBコネクタ等
現在では、スマートホンや携帯電話、タブレット型端末、デジカメ、ビデオカメラ、その他小型家電など、USBコネクタ充電機能を備えた様々な外部機器が販売されているが、本発明において、給電用のコネクタをUSBコネクタとするとよく、その場合には、シガーソケットに対する給電が停止された状態においても、これらのUSBコネクタを備えた広汎な種類の外部機器の使用や充電が可能になる。
【0018】
(b)複数の給電コネクタ等
本発明において、アダプタに対して、形状、機能、性能などの少なくともいずれか1つが異なる複数の給電コネクタを設けることが良い。例えば、USBコネクタとシガーソケットを設けた場合には、スマートホンなどのUSBコネクタを備えた機器と、車載用として広く販売されているシガーソケット対応の車載機器の双方を利用できる。USBコネクタに加え、角型コネクタやピンプラグ型コネクタなどの汎用コネクタを使用した場合には、盗難防止装置や車載用音響機器、バックカメラなどに対して、シガーソケットのような大型のコネクタを使用することなく給電することができる。また、車両に予め備えられる電力供給用のコネクタの数は少なくかぎられているが、このようにすれば、複数の異なる外部機器を容易に接続できる。
【0019】
(複数の給電コネクタ+制御部なし+異別給電容量等)
給電の電流値が異なる同一形状の給電コネクタを複数設けるとよく(例えば2Aと1AのUSBコネクタを設けるとよく、このようにすれば、例えば、急速充電と通常充電を併用でき、車両のバッテリへの負荷の問題と充電速度の問題との両立を図ることができる。
【0020】
(c)受電コネクタからの情報取得と制御部等
本発明のアダプタは、受電コネクタとして、車両側からの情報を受信する機能を有するコネクタを使用すると良い。また、アダプタ自体に、車両側からの情報を受信して、給電コネクタに対する給電のオン・オフ指令を出力する制御部を設けると良い。車両側からの情報としては、車両の速度、各種温度、駆動源やバッテリの状態などの各種データとすると良い。また、常時給電型コネクタを通じて給電線のノイズ、電流や電圧の変動などを車両側からの情報として取得する構成すると良い。特に両者を共に行う構成とすると良い。こうした知見に基づき、受電コネクタとしては、車両に有するOBDコネクタにはめ合うOBDコネクタが最も好適である。
【0021】
(4)前記受電コネクタを介して、車両側からの情報を受信する機能を有し、前記アダプタに、前記車両側からの情報を受信して、給電コネクタに対する給電を制御する制御部を設けた構成とすると良い。
例えば、車両からの情報に基づいて車両の状態を判断する構成とし、従来のシガーソケットと同様に、ACCのオフ時に、給電コネクタに対するバッテリからの給電を停止する構成を備えると良い。特に、アダプタに複数の給電コネクタを設けておき、何れかの給電コネクタは常時給電型とし、他の給電コネクタを車両の停止やACCのオフ時に給電を停止する構成とすると良い。このようにすれば、例えば、外部機器の用途、例えば、消費電力が大きな外部機器は車両の運行時にのみ充電を行い、消費電力が小さなスマートホンなどは常時給電されている給電コネクタから充電を行うことができ、車両側の電力消費を防止できる。車両側からの電源供給が車両側のバッテリから行われる構成においては、車載バッテリの容量低下を防止できる。例えば、受電コネクタを有する筐体内に車両側からの情報を受信する機能を有する構成とすると良い。
【0022】
(c−1)制御部による車両の状態の検出等
(5)前記制御部として、車両からの信号を検出して、その信号に応じて給電コネクタに対する電力の供給または停止を制御する機能を有する構成とすると良い。
車両側からの信号としては、車両が取り扱うデータの通信路を流れる信号、例えば、車両の各部に設けられたセンサから車両に供給されている電圧、電流、バッテリ状態、水温、室内温、室外温、エンジン回転数、アクセル開度、車種、ドアの開閉情報、ユーザの着座情報、車両やそれに搭載されている車載用電子機器のメーカー名、車種などとすると良い。
【0023】
通信路以外に、車両側の電源ライン上の信号、例えば、電圧値、電源ノイズ等が利用すると良い。特に、エンジンの始動時や走行時には、電源ライン上に停止時とは異なる波形のノイズや電圧値が発生することから、これを検出することにより、エンジン始動の有無を検出しない車載用電子機器に対して本発明のアダプタを接続する場合に有効である。
【0024】
このようにすれば、車両側の情報に応じて、アダプタから外部機器に対す給電を制御することが可能になるので、アダプタに接続した種々の外部機器に対して車両の状態に応じて適切に充電したり、外部機器のオン・オフ動作を行わせることが可能になる。その結果、外部機器と車両側の電力の授受だけでなく、アダプタに接続された外部機器を車両の状態に合わせて制御することも可能になる。
【0025】
(c−2)制御部による車種の判別等
(6)前記制御部は、アダプタを装着した車両が所定量以上の大容量バッテリを搭載した車両か否かを判別する機能を備え、大容量バッテリ搭載車両でない場合には給電を所定の時点で停止させる一方、大容量バッテリ搭載車両の場合には停止させないものとするのが良い。
このような構成によれば、エンジン搭載車(エンジンによる駆動を行い、モーターによる駆動を行わない車両)のような比較的小容量のバッテリを搭載した車両において、バッテリ上がりによるエンジン始動不可を防止できるとともに、電気自動車やハイブリッド車のような大容量のバッテリを備えた車両においては、機器への充電を優先して行うことができる。
前記アダプタを装着した車両が所定量以上の大容量バッテリを搭載した車両か否かの判別は、車両側からの信号に基づいて行うと良い。例えば、ディップスイッチや画面での選択のようにユーザが設定をする構成すると良い。が、このようにすれば自動的に判別されるためユーザの手間がかからず使い勝手が良い。
【0026】
(c−3)車両の状態の検出等
(7)前記制御部は、車両側からの信号に基づいてエンジンのオン・オフを検出し、エンジンオン時には給電を停止しない一方、エンジンオフ時には給電を停止する構成とすると良い。
この構成によれば、エンジンによる車載バッテリの充電時にのみ充電を行うことで、車載バッテリの容量が過度に低下することを防止できる。例えば、複数の給電コネクタを設けた場合に、そのうちの少なくとも一つを制御部からの指令によりエンジン停止時にはオフとすることで、大容量の充電を必要とする外部機器は、エンジンによる車載バッテリの充電時にのみ充電を行うことで、車載バッテリの容量が過度に低下することを防止できる。
(8)前記制御部が、車両からの信号に基づいてバッテリ残量、エンジン回転数、アクセル開度の少なくとも一つを検出し、検出した値が所定値以下になった場合には給電を停止する機能を備えると良い。
例えば、制御部がバッテリ残量を検出し、車両のバッテリ残量が所定値以下、例えばエンジン始動を数回行える程度以下になった場合には、給電を停止すると良い。その他、アクセルの開度が所定以上の場合、エンジン回転数が所定以上の場合、速度が所定以上の場合などに給電コネクタに対する給電をオンにする機能を有することも良い。
【0027】
このようにすると、エンジン始動により車載バッテリに対して給電されている状態や、車載バッテリの容量が十分残っている状態にのみ外部機器の充電を行うことができるので、外部機器の充電によって車載バッテリの容量低下を防止することができる。
【0028】
(c−4)制御部による運転状況検出と給電制御等
(9)前記制御部は、車両から取得した車両の運転状況に応じて、複数の給電コネクタのオン・オフを制御する機能を備えると良い。
このようにすると、車両の運転状況に応じて、機器の動作をオン・オフさせることができる。例えば、運転者が自分で室内に設置した各種の外部機器のオン・オフを行う必要がなくなるように運転状況と複数の給電コネクタのオン・オフとの対応関係を設定できる構成とし、その設定に基づいて複数の給電コネクタのオン・オフを制御する構成とすれば、外部機器の操作性が格段に向上する。
例えば、制御部が車両のウインカー情報を取得し、右ウインカーを出したとき右側の給電コネクタへの給電をオンにし、左ウインカーを出したとき左側の給電コネクタへの給電をオンにすると良い。
また、車両の速度や衝撃(加速度変化)を取得して、それに応じて、カメラやビデオ、ドライブレコーダなどへの給電をオンにしたり、室内や室外の温度に応じてファンへの給電をオンにして動作させる機能を備えると良い。
【0029】
(c−5)(複数のコネクタを異なる態様での制御等)
(10)給電コネクタは複数備え、複数の給電コネクタへの給電制御を異なる態様とすると良い。
このようにすれば、それぞれの給電用コネクタに接続されたそれぞれの外部機器の動作を異なる態様とすることができる。例えば、複数の給電コネクタとして、常時給電が必要な外部機器用(例えば、バッテリ非搭載機器用)のコネクタと、常時給電が不要な外部機器用(例えば、バッテリ搭載機器用)のコネクタを設け、常時給電が必要な外部機器用のコネクタへの給電を優先して行う構成とすると良い。また、アダプタに車両のバッテリ残量を検出する制御部を設け、この制御部の検出結果に従い、車両のバッテリ残量が少ない場合に、常時給電が不要な外部機器用のコネクタへの給電を先に停止する構成とするとよい。
【0030】
(c−6)(給電の優先度による制御等)
(11)前記複数の給電コネクタが、常時給電が必要な外部機器用のコネクタと、常時給電までは不要な外部機器用のコネクタから構成され、前記制御部が、常時給電が必要な外部機器用のコネクタへの給電を優先して行う機能を備えると良い。
このようにすれば、常時給電が必要な機器を常時給電までは不要な機器よりも優先して動作させることができる。常時給電が必要な機器を、例えば、大きな電力を消費する機器や、長時間にわたってデータの通信や監視・待機が必要な機器、更には、緊急時に必ず充電されていることが要求される警告灯や防災ラジオなどとすると、これらに優先的に給電を行うことができるので特によい。常時給電までは不要な外部機器用のコネクタには、外部機器として、例えば、バッテリ等を有し給電がなされないときにはバッテリで動作する機器を接続すると良い。
【0031】
(d−1)(ハブ機能等)
(12)複数の給電コネクタを備え、これら複数の給電コネクタの少なくとも1つが、バッテリからの電力に加えて、制御信号の通信路を有するコネクタであって、前記複数の給電コネクタの1つをホスト機器の接続用コネクタとし、他のコネクタを周辺機器の接続用コネクタとすると良い。
【0032】
このようにすれば、ホスト機器の接続用コネクタに接続されたホスト機器から他のコネクタに接続された周辺機器を利用することができる。特にアダプタに設けられた複数の給電コネクタをネットワーク化するとよい。このようにすれば、複数の給電コネクタに接続された様々な外部機器間でデータを交換することができる。また、各外部機器が取得したデータを利用して、それぞれの給電コネクタの給電停止を制御する構成とするとよい。また、ホスト機器から他のコネクタに接続された周辺機器を利用するため、ハブ機能を備えるとよい。
【0033】
(d−2)ホストが周辺機器への給電制御
(13)前記アダプタに、前記ホスト機器接続用コネクタからの情報を受信して、周辺機器接続用コネクタに対する給電を制御する制御部が設けられていると良い。
給電コネクタとして、車載バッテリからの電力に加えて、制御信号の通信路を有するコネクタを使用した場合に、給電コネクタの1つをホスト機器の接続用コネクタとし、他のコネクタを周辺機器の接続用コネクタとすることができる。この場合、ホスト機器から他の給電コネクタへ接続した周辺機器へアクセス可能とする。また、ホスト機器からの信号に基づいて、各給電コネクタ等への電力供給を制御するようにするとよい。。
【0034】
このような構成によれば、アダプタを複数の外部機器のハブとして使用することが可能になり、外部機器間のデータ交換の手段として使用することが可能になる。特に、車両内でパソコン、スマートホン、デジカメなどの複数の電子機器を使用し、その間でファイルの交換などを行う場合に専用のハブを設けることなく、本発明のアダプタを使用できるので便利である。また、特にアダプタに接続したスマートホンやパソコンなどの外部機器から各給電コネクタの給電を制御するようにするとよく、特にユーザの希望に応じた優先順位で複数の外部機器に対する充電を行う設定を行う構成とするとよい。
【0035】
(e−1)(携帯端末による各種設定)
(14)前記アダプタが携帯端末との接続部と、アダプタに関する各種の設定を行う制御部と備え、前記接続部において携帯端末から受信した信号に基づいて、前記制御部がアダプタに関する各種の設定を行うと良い。
【0036】
(14−1)携帯端末の接続
例えば、アダプタがスマートホンなどの携帯端末と接続する無線通信部を備え、この無線通信部において受信した信号に基づいて、前記制御部がアダプタに関する各種の設定を行ったり、給電コネクタ及び/または受電コネクタの給電状態を制御したりすると良い。この場合、無線通信部としては、スマートホンなどの携帯端末に設けられたWiFi、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、RFIDなどの利用者に免許が不要な小電力無線接続手段を使用することができる。
【0037】
(14−2)携帯端末との有線接続
本発明において、携帯端末からアダプタの制御部を制御する手段としては、前記のような無線接続手段に限定されない。例えば、USBコネクタを備えたアダプタにおいては、USBケーブルを使用して、携帯端末とアダプタとを有線で接続し、携帯端末からアダプタの制御部に制御信号を送信することも可能である。この場合、アダプタに無線通信手段を設ける必要がなく、アダプタ自体が簡単な構造であるにもかかわらず、制御部に対して各種の設定を行える。
【0038】
(14−3)携帯端末からの条件設定
条件設定の例としては、次のようなものがある。
(1) 前記制御部が、携帯端末からの信号に従って、本アダプタを搭載している車両の車種設定を行うアダプタは複数の異なる車種に対応した構成とするとよく、この構成によりアダプタ自身がどの車種に接続されたかを認識できる。例えば、その車種に応じた情報を取得したり出力したり、給電コネクタへの給電を制御するために利用できる。
(2) 前記制御部が、携帯端末からの信号に従って、給電コネクタ及び/または受電コネクタの電流値を設定する。
(3) 前記制御部が、携帯端末からの信号に従って、車載バッテリから給電コネクタに対する電力供給を開始、停止する条件を設定する。例えば、車載用電子機器からの信号に基づいて、給電コネクタ条件を設定できるようにする。例えば、USBコネクタ1〜nのn個のUSBコネクタを備える場合に、車両のライトのオンを検出したとき、例えば、USBコネクタ2の電源をオンにし、ライトをオフにしたときUSBコネクタ2の電源をオフにするといった携帯端末からの信号を受信した場合、この受信した内容に沿った制御を行う。
(4) 前記制御部が、携帯端末からの信号に従って、スマートホンからの制御として、車両と可搬型バッテリとの給電条件を設定する。例えば、給電条件として、車載バッテリからの給電が途絶えたとき、給電コネクタには5分間可搬型バッテリからの給電を行うなど、給電を開始する条件と給電を終了する条件とを設定しておき、この設定に基づいて給電の開始・終了を制御するとよい。
【0039】
(携帯端末による条件設定の効果)
車載用電子機器は、エンジン搭載車や電気自動車という駆動源、小型車・大型車・乗用車・貨物車などの種別、メーカーや販売店などによって種々に異なっており、それに伴い、外部機器に対する給電あるいは受電する最適な条件も異なる。そのため、種々の車載用電子機器に応じた適切な条件を予め設定しておくことは、多数種類のアダプタを用意しなければならず煩雑である。本発明によれば、アダプタのメーカーや販売者が、携帯端末を用いて各車両の車載用電子機器に応じた最適な条件をアダプタに設定することが可能となり、多種類のアダプタを用意する必要がなくなる。
【0040】
例えば、前記(1)〜(4)に示すように、ユーザの車両の種別やその運転状況、あるいはアダプタに接続する外部機器の種類に応じて、外部機器に対する給電の条件をユーザが自由に設定することができるため、単に外部機器の内蔵バッテリを充電するだけでなく、様々な種類の外部機器を車両の状態や運転状況に応じて自動的にオン・オフ制御することが可能になる。
【0041】
(e−2)(携帯端末によるアダプタに対する設定)
(15)前記アダプタが携帯端末との接続部と、アダプタに関する各種の設定を行う制御部と備え、前記接続部において携帯端末から受信した信号に基づいて、前記制御部がアダプタに設けられた給電コネクタの電力供給を制御すると良い。
【0042】
例えば、アダプタの使用中において、前記携帯端末からアダプタの制御部に対して、給電コネクタや受電コネクタの給電あるいは受電状態の切替信号を送信するようにするとよい。このようにすれば、予め設定されている条件とは別の操作を携帯端末から行うことが可能になる。その結果、ユーザや車両が置かれた状況に対応して、その都度ユーザが任意にアダプタに接続された外部機器を制御することが可能になる。例えば、携帯端末側にアダプタの制御部を制御する制御プログラムを内蔵させておき、携帯端末が検出した時刻、位置、加速度、外気温、明るさ、室温などに応じて、携帯端末からアダプタの制御部に指令を送るようにするとよい。このようにすれば、車載用電子機器では検出不可能な情報に基づいてアダプタの各コネクタの制御を行える利点がある。
【0043】
(f)可搬型バッテリに対する給電と充電
(16)前記外部機器が、可搬型バッテリであって、前記アダプタが、アダプタから可搬型バッテリに対する給電コネクタと、可搬型バッテリからアダプタに対する給電コネクタとを備えていると良い。
本発明において、前記外部機器として、一般にモバイルバッテリと呼ばれる可搬型バッテリを使用することができる。すなわち、スマートホンや携帯電話、タブレット型端末、デジカメ、ビデオカメラなどのバッテリ内蔵機器の充電用として、モバイルバッテリと呼ばれる小型の可搬型バッテリが販売されている。このモバイルバッテリは、電子機器の内蔵バッテリの容量が低下した場合に、USBケーブルなどを利用して内蔵バッテリの充電を行うものである。本発明は、充電対象の外部機器として、この種のモバイルバッテリを使用することができる。
【0044】
アダプタに可搬型バッテリを接続するコネクタを設ける場合、そのコネクタをアダプタから可搬型バッテリに対する給電コネクタとする以外に、可搬型バッテリからアダプタに対する給電コネクタとするとよい。例えば、アダプタに給電コネクタが複数個設けられている場合において、給電コネクタの少なくとも1つを可搬型バッテリへの給電用とし、少なくとも1つを可搬型バッテリからの給電用とするとよい。一つの給電コネクタで、可搬型バッテリへの給電と、可搬型バッテリからの給電とを兼用することも可能である。
【0045】
そして、可搬型バッテリからの電力を、アダプタを介してアダプタに接続された各種機器、例えば、車載用電子機器やアダプタから給電を受ける他の外部機器に供給するとよい。。また、アダプタに切替スイッチを設けたり、アダプタに設けるコネクタの種類を変え、アダプタと可搬型バッテリとの給電方向を切り換えることができるようにるとよい。また、アダプタに特定の条件下で給電方向の切り替えを行う制御部を設けるとよい。
【0046】
(f−1)可搬型バッテリからの車両への給電
(17)車両に搭載したバッテリの電圧低下を判定する機能を備え、当該バッテリの電圧低下を検出した場合に、可搬型バッテリから車両側に給電する機能を備えると良い。このような構成によれば、アダプタを介して車両内の電気配線に電力を供給することで、可搬型バッテリの電力を利用して、通常は車載バッテリからの電力供給を受けている室内灯などその他の電気機器の使用や、エンジンの始動、車載バッテリの充電などが可能となる。車両に搭載したバッテリの電圧低下を判定する機能は、受電コネクタから供給される電圧を監視して判定するようにするとよい。また制御部が車両のバッテリの状態に関する情報を取得して判定するようにしてもよい。
【0047】
(f−2)可搬型バッテリからの外部機器への給電
(18)前記制御部として、車両バッテリの容量低下時に、可搬型バッテリを接続したコネクタからの電力を、アダプタに設けられた他の給電コネクタに供給するように切り替える機能を有すると良い。その場合には、可搬型バッテリの電力を利用してアダプタに接続された外部機器の充電や使用が可能となる。
【0048】
(g)SDカードなどの記憶手段の装着
(19)データ通信路を有するコネクタを備えるとよい。例えば、SDカード、USBメモリ、その他記憶手段を装着するコネクタを設けると良い。このようにすると、データ通信路を有する給電コネクタに装着した外部機器に対して、記憶手段に格納したデータ等の読み書きが可能となり、SDカードスロットなどを持たない携帯端末やスマートホンなどに車内でデータを記録することが可能になる。
(20)本発明のアダプタは、車両に搭載された故障診断システムのポートからの出力信号の入力部と、前記入力部で受信した信号に基づいた信号を、外部機器または内部機器に対して出力する出力部を備えると良い。
【0049】
このようにすれば、従来よりもユーザが希望する機能を容易に実現できる。例えば、各種の外部機器を接続することにより、アダプタ自体で持っている機能に加えて、外部機器の持つ各種の機能を発揮させることが可能になる。例えば、アダプタに画像や音声の出力手段を有する内部機器を設けたり、アダプタに画像や音声の出力手段を有する外部機器を接続すれば、故障診断システムからの情報を種々の態様でユーザに伝達することができる。例えば、レーダー探知機、ナビゲーション装置、ドライブレコーダなどのディスプレイを有する外部機器をアダプタに接続することで、故障診断システムからの情報をアダプタ単体では不可能であった様々な態様の画像や音声で表示することができ、ユーザが車両の状態を容易且つ確実に認識することが可能となる。前記入力部で受信した信号に基づいて出力部から出力する信号は、例えば、アダプタから入力した信号をそのまま出力すると良いし、アダプタ内部で加工した信号であると更に良い。
【0050】
特に、故障診断システムのポートに接続するアダプタに対して、着脱可能に設けられ、1個あるいは複数のユニットを接続する構成とすると良い。同一ユニットを複数接続する構成とすると良い。が、特に異なる種類のユニットを複数接続する構成とすると良い。特に、ユーザの要望に応じた数量の各種の外部機器及び/または内部機器に対して、車両側コンピュータ(例えばECU等)からの情報を出力する構成とすると良い。このようにすれば、ユーザが希望する機能を容易に組み合わせて実現できる。
【0051】
(21)(アダプタがスピーカ及び/またはディスプレイを内蔵)前記内部機器が、アダプタに内蔵されたスピーカ、画像表示装置、警告灯の少なくとも1つとすると良い。
【0052】
このようにすれば、アダプタがスピーカや画像表示装置などを内蔵しているので、車両側から得られた音声情報や画像情報をアダプタから出力することができる。この点、分岐ハーネスなどを使用して単に車両側のポート数を増やすだけの技術に比較して、アダプタ単体で車両側の情報出力が可能となる利点がある。例えば、故障診断システムから得られた情報に基づいて、ユーザに警告音や音声案内、警告灯の点滅、文字や画像による案内をアダプタ単体で出力するとよい。例えば、内部機器をスピーカとした場合には、ユーザが目視し難い箇所にアダプタを配置した場合でも、故障診断システムからの情報に基づいて警告音や音声案内を出力することができる。
【0053】
(22)(外部機器の定義)前記外部機器が、音声出力機能と画像表示機能の少なくとも一方を備えた機器とすると良い。
【0054】
アダプタが故障診断システムから取得する情報として、例えば、車速、エンジン回転数、油温、水温、アクセル開度など各種のものとするとよい。これらの情報に基づいて、例えば、数値やグラフなどの画像や、警告音や音声案内など音声が生成する。アダプタに接続される外部機器が、音声出力機能と画像表示機能の少なくとも一方を備え、アダプタを経由して出力される情報をユーザにとって分かり易い形で提供するとよい。
【0055】
(23)(外部機器がナビゲーション装置など)前記外部機器が、ナビゲーション装置、レーダー探知機、ドライブレコーダの少なくとも1つとすると良い。
【0056】
特に、ユーザが既に所有しているナビゲーション装置、レーダー探知機、ドライブレコーダなどに備わっている画像及び音声出力機能を利用するようアダプタの制御部がこれらの装置等の制御部に情報を送るようにするとよい。このようにすれば、アダプタやアダプタに専用の画像及び音声出力装置を接続する必要がない。特に、こうした機器は、車両のユーザから見やすい箇所に設置されるものとするとよい。このようにすれば、アダプタを経由して得られる車両からの情報を、ユーザが容易に確認できる。
【0057】
(24)(外部機器からの情報の取得)前記外部機器からの情報を受信する外部機器用入力部を備え、前記外部機器からの情報と故障診断システムからの情報に基づいて所定の音声案内及び/または画像表示を行う情報処理部を備えていると良い。
【0058】
このようにすれば、アダプタからの情報に限らず、外部機器からの情報をアダプタの接続された他の外部機器や内部機器に出力することができる。例えば、情報処理部において、ナビゲーション装置やレーダー探知機からの位置情報と故障診断システムからの速度やアクセル開度の情報とを比較することで、車両の進行方向にあるカーブや障害物が現在の運転状況から見て危険であるか否かの判断を行い、その結果を他の外部機器や内部機器に出力することができる。特に、このような機能は、分岐ハーネスを用いて単に車両側の出力ポートを増やしただけでは得られない有利なものである。
【0059】
(25)(アダプタに対する情報の出力)前記外部機器及び内部機器の少なくとも1つから受信した情報をアダプタに出力するアダプタ用出力部を備えていると良い。
【0060】
このようにすれば、外部機器や内部機器から取得した情報をアダプタに送信することができるので、例えば、アダプタに故障診断システムからの情報と外部機器や内部機器からの情報に基づいて、故障診断システムからの情報のみでは不可能であった各種の判断や操作を行わせる情報処理部を設けることにより、アダプタ側で各種の情報処理を行うことが可能になる。例えば、故障診断システムで得られる車両に関する情報と、外部機器によって取得した車両の周囲の状況や運転者に関する情報などとを総合的に判断することで、故障診断システムのみでは不可能であった種々の情報をユーザに提供することができる。例えば、外部機器や内部機器からの指令により、アダプタや故障診断システム自体に関する各種操作やパラメータの設定を行うことも可能となる。
【0061】
(26)(アダプタに情報処理部)前記アダプタ及び外部機器の少なくとも一方から受信した情報に基づいて、前記外部機器及び内部機器の少なくとも一方に対して出力する画像及び/または音声信号を生成する情報処理部を備えていると良い。
【0062】
このようにすれば、アダプタに情報処理部を設けることにより、アダプタや外部機器から入力する情報をそのまま出力するだけでなく、ユーザに分かり易い形に加工して出力することが可能となる。例えば、アダプタから入力された車速、エンジン回転数、各所の温度、バッテリ残量などの数値データをグラフや画像に変換して表示したり、入力された数値と予め設定された閾値とを比較することで警告音や音声案内を行うことができる。例えば、外部機器から受信した情報を加工したり、アダプタからの情報と比較することで、より多彩な情報をユーザにとって分かり易い形で外部機器や内部機器に出力できる。
【0063】
(27)(複数の外部機器を接続)外部機器に対する複数の信号出力部を備えていると良い。
【0064】
このようにすれば、複数の外部機器に対して出力する信号を、アダプタに設けられた信号出力部によって異なるものに加工することで、例えば、外部機器の種類や設置場所、故障診断システムからの信号の種類や大小に応じて、ユーザに最適な情報を最適な外部機器から出力することができる。例えば、故障診断システムから得られる信号の警告度合いに応じて、各外部機器から出力する音声信号の音量を変化させたり、表示する画像の内容を異ならせることができる。例えば、緊急度の高い情報については、ユーザにとって最も見やすい位置に設けたナビゲーション装置に表示させ、通常のエンジン回転数や水温・油温表示などはナビゲーション装置に比較して表示画面の小さなレーダー探知機に表示させるなど、情報処理部と複数の外部機器との組み合わせで、種々のパターンの表示や音声案内などを行うことができる。
【0065】
(28)(ハブアダプタ)前記複数の入力部と出力部の1組をホストとなる外部機器の接続部とし、他の入力部と出力部を周辺機器となる外部機器の接続部とすると良い。
【0066】
このようにすれば、例えば、アダプタを複数の外部機器のハブとして使用することが可能になり、故障診断システムからの情報を各種の外部機器に配信することができる。例えば、外部機器間のデータをアダプタを経由して交換することが可能になる。すなわち、車両内でパソコン、スマートホン、デジカメなどの複数の電子機器を使用し、その間でファイルの交換などを行う場合に専用のハブを設けることなく、このアダプタを使用できるので便利である。例えば、アダプタに接続したスマートホンやパソコンなどの入力機能を有する外部機器から、他の外部機器、アダプタあるいはアダプタの各種機能を制御することで、操作部を持たない外部機器などについてそのパラメータ設定や各種操作を簡単に実施できる。例えば、情報処理部を設けることで、ホストの外部機器で取得した情報を加工して周辺機器となる他の外部機器に送信できるため、例えば、スマートホンなどをホスト側の外部機器とし、スマートホンで取得した画像などを故障診断システム側からの信号に重ね合わせて、ナビゲーション装置などの他の外部機器に表示させると良い。
【0067】
(29)(携帯端末…無線、有線を含む)前記外部機器が携帯端末であると良い。
【0068】
このようにすれば、例えば、スマートホンなどの携帯端末を使用することにより、アダプタが車両から取得したデータを、予めスマートホン用に提供されたアプリケーションを使用してスマートホンの画面に表示することができる。例えば、携帯端末を接続したアダプタと他の機能を有するアダプタを組み合わせて装着することで、他の機能を有するアダプタに接続されている外部機器のプログラムやデータを携帯端末側から更新することができる。例えば、レーダーなどの外部機器へ最新の取り締まり情報を、パソコンやスマートホンを用いてアップデートすることが可能となる。
【0069】
(30)(Bluetoothアダプタ)前記携帯端末と無線通信により接続されると良い。
スマートホンやタブレットパソコンなどの携帯端末は、USBケーブルによる有線通信機能に加えて、Bluetoothなどの無線通信機能を有しているものが多い。そのような携帯端末においては、アダプタと携帯端末間を無線通信により接続することで、ケーブルなどの接続手段を用意することなく、データの授受を簡単に行うことができる。例えば、すべてのユニットと携帯端末とを無線通信で接続すると良い。アダプタにユニットを接続する場合、必ず末端ユニットを接続するように構成した場合には、末端ユニットにのみ無線通信機能を設けると良い。
【0070】
(31)(ロギングアダプタ)車載用のコンピュータ、外部機器及び内部機器の少なくとも1つから受信した情報の記録部を備えると良い。
【0071】
このようにすれば、走行中に車両から収集した情報やGPSから収集した位置情報を、アダプタやそれに接続するユニットに設けたSDカードなどの記憶媒体へ書き込むことで、安全運転や運行管理に役立てられる情報をログとして収集することが可能となる。記憶媒体へ収集した情報は、パソコンや携帯端末などで専用のアプリケーションを使用して、運行情報や運行軌跡、運転の癖などを分析して、安全運転などに役立てることができる。例えば、アダプタにユニットを接続する場合、すべてのユニットに記録部を設けても良いが、必ず末端ユニットを接続するように構成した場合には、末端ユニットにのみ記録部を設けると良い。
【0072】
(32)(TPMS(Tire Pressure Monitoring System)アダプタ)前記外部機器が、車両のタイヤに装着された空気圧検出装置であって、前記空気圧検出装置とアダプタが無線通信により接続され、前記情報処理部が、空気圧検出装置からの情報に基づいて、アダプタに接続された他の外部機器及び内部機器の少なくとも一方から、画像表示及び音声出力の少なくとも一方を出力すると良い。
【0073】
このようにすれば、例えば、タイヤの空気圧の状態をグラフとして表示したり、車両の外形図とタイヤの位置及びその空気圧を重ね合わせて表示したり、異常時には音声や警告音を出力するなど、タイヤの空気圧を種々の状態で表示することが可能となる。特に、アダプタに複数の外部機器を接続した場合には、タイヤの空気圧を外部機器の種類に応じて異なる態様で表示させることが可能になり、ユーザの視認性や音声案内機能をより向上できる。
【0074】
(33)(ミリ波レーダー受信アダプタ)前記外部機器が障害物探知レーダー装置であり、前記情報処理部が、前記障害物探知レーダー装置からの情報とアダプタからの情報に基づいて、アダプタに接続された他の外部機器及び内部機器の少なくとも一方に外部機器の制御指令、警告音、音声案内の少なくとも1つを出力すると良い。
【0075】
このようにすれば、障害物探知レーダー装置は、例えば、ミリ波レーダーを使用して100m程度の範囲の状況を探知するものであるため、前方の障害物までの距離を測定したり、前方の障害物に対する速度を測定することができる。例えば、ミリ波レーダーから取得した情報とアダプタが車両から取得した情報を基に、車間不保持警告などをアダプタに接続した他の外部機器から出力することにより、危険回避の為のアシストを行い、衝突事故などの防止に役立てることができる。例えば、車両の左右にも障害物探知レーダー装置を付け、車両走行中に進路変更のためにターンシグナルを出した時に、故障診断システムからアダプタ経由でこのターンシグナルを検出し、アダプタの制御装置で障害物探知レーダー装置からの情報と故障診断システムからの情報を比較することで、進路変更する側の車両側面に他の車がいた場合、警告音を送出して危険を知らせることができる。
【0076】
(34)(アダプタに増設用のユニットを接続)前記アダプタに増設用のユニットを固定する装着部を備えていると良い。また、各ユニットには、他のユニットを固定する装着部を備えていると良い。
【0077】
このようにすれば、ユーザが希望する外部機器の種類に合わせて異なるユニットをアダプタを接続することで、多種類の外部機器を接続することが可能になる。例えば、複数のユニットの1つは、アダプタに固定する装着部のみを有する末端ユニットとして、複数のユニットをアダプタに接続した後、最後に末端ユニットを接続すると良い。このようにすると、最後に接続したユニットの一部に、他のユニットを接続する装着部が露出することがないので、防塵効果が得られると共に体裁も良い。例えば、他のユニットを接続する装着部がない末端ユニットは、その表面に他の機器を設置するスペースを広く確保できるので、内部機器としてユニット表面全体を覆うような大型のスピーカを用いることができ、出力音声の品質を向上させることができる。
【0078】
(35)(アダプタとユニットの積み重ね)前記アダプタとユニットが、複数段に重ね合わされた状態で固定されていると良い。このようにすれば、アダプタとそれに接続された複数のユニットとが1つのブロック状の外観を呈するため、多数の機能を持ちながら全体がコンパクトに一体化された状態で、車両内部へ違和感がなく配置することができる。
【0079】
(36)(アダプタに多数のユニットを併設)前記アダプタが複数のユニット装着部を隣接して設けたものであり、アダプタ上で複数のユニットが隣接して配置されると良い。
【0080】
このようにすれば、複数のユニットを積み重ねることなく、1つのアダプタに複数のユニットを小さな面積で配置することができる。例えば、各ユニットと外部機器とを無線通信によって接続する構成とすれば、ユニットと外部機器の接続用のコネクタなども不要となり、チップ状やカード状に小型化されたユニットを使用することが可能になる。例えば、アダプタに設けるユニット装着部をUSBポートとすれば、規格化された接続構造を使用して、複数のユニットを1つのアダプタに装着できる。
【0081】
例えば、アダプタに比較して小型の同一形状(アダプタに装着した場合に幅や高さが同じになる形状)のユニットを、アダプタの一側面に複数個(特に、数個から10数個)、並べて配置することで、多様な機能を有する外部機器や内部機器を持つ複数のユニットを、アダプタに対してコンパクトに接続することが可能になる。特に、隙間なく 並べて配置すると良い。このようにすれば、車室内のようにホコリの発生しやすい場所でホコリが隙間に入り込んで汚れが目立ってしまうという問題を解決できる。
【0082】
(37)(ネットワーク接続)前記ユニットは、前記故障診断システムが車両内に設けられたネットワークによって車両内に配置された複数のセンサと接続されたものであり、前記アダプタがこのネットワークに対して接続されたものであり、前記アダプタを経由して前記ネットワークに接続されたローカルネットワークを備え、このローカルネットワークに対して、前記ユニット、外部機器及び/または内部機器が接続されていると良い。
【0083】
このようにすれば、故障診断システムは、例えばCANネットワークと呼ばれる車両内部のネットワークによって車両側の各種センサと接続されて、故障診断の基になるデータを収集している。例えば、車両内のこの種のネットワークに、アダプタに設けたローカルネットワークを接続し、そのローカルネットワークを経由して外部機器との間で情報の授受を行うことにより、故障診断システムからの情報や、各外部機器からの情報をリアルタイムで、ネットワークに接続されたアダプタ、故障診断システム、ユニット、外部機器、内部機器などに配信することができる。
【0084】
すなわち、アダプタとユニット間をシリアル通信により接続した場合に比較して、複数の外部機器がローカルネットワークに接続されていることから、各ユニットは他のユニットと同時にアダプタや他の外部機器からの情報を受信することが可能になる。その結果、多数のユニットを組み合わせたり、多数の外部機器を接続した場合でも、各社の機器をシリアル接続した場合や各外部機器を直接車両内のCAN等のネットワークに接続した場合に比較して、情報の遅延が生じることがない。例えば、高速で運転中の車両には、外部機器や故障診断システムで収集した情報に基づいて瞬時に警告を発したり、回避動作を行わせる必要があるが、このような迅速な対応が要求されるシステムにも本発明を適用することができる。
【0085】
(38)(アダプタとユニットが無線接続)前記ユニットは、アダプタに対して無線接続されていると良い。
【0086】
このようにすれば、アダプタとユニットとが無線接続されているので、ユニットとアダプタとを接続するための装着部や、信号授受のためのコネクタなどが不要となり、アダプタ及びユニットの小型化を図ることができる。例えば、1つのケース内に、スピーカやSDカードの記録部など複数の内部機器と、外部機器及びアダプタとの接続用の無線装置を設けることで、小型化された1つのユニットで多機能を実現できる。例えば、このようなユニットは、その設置箇所にも制限がなくなるので、アダプタから離れた位置やユーザが操作しやすい位置にユニットを配置することができる。
【0087】
(39)前記ユニットには、アダプタを経由して供給された車両側の電力を、外部機器に対して充電用の電力として供給する給電コネクタを設けると良い。
【0088】
このようにすれば、例えば、スマートホンやパソコンなどを車両側のバッテリを利用して充電できる。例えば、故障診断システムのポートはバッテリから常時給電されており、この電力をアダプタを介してユニットに接続された外部機器に供給するとで、車両のアクセサリスイッチのオフ時においても、外部機器の充電を行うことができる。
【0089】
(40)(ユニットに外部機器からの受電コネクタ)前記ユニットには、前記外部機器がモバイルバッテリであり、このモバイルバッテリからの電力を車両側及び/または他の外部機器に供給するための受電コネクタを設けると良い。
【0090】
このようにすれば、モバイルバッテリからの電力を他の外部機器や車両側に供給することで、例えば、車両のアクセサリスイッチのオフ時において他の外部機器の充電や使用を可能としたり、車載バッテリの容量不足時にモバイルバッテリの電力を車両側に供給して、車両側の各種機器を使用することが可能になる。
【0091】
上述した(1)から(40)のうち少なくともいずれか2つを組みわせて構成するとよい。特に(1)の構成を前提として(2)から(40)のうちの少なくともいずれか1とを組み合わせて構成するとよい。また(1)から(40)のなかに記載の構成要素を選択して組み合わせてもよい。
(A)車両に後付される機器に対して、車両に備えた故障診断用コネクタから電源を供給する装置であって、
前記故障診断用コネクタを介して車両の車内ネットワークに接続する機能と、
車両のオン状態を検出する機能と、
前記車両のオン状態のときに、前記車内ネットワークにから取得したデータに基づく信号を前記機器に対して送信する機能を備え、
前記車両のオン状態でないときに、前記機器に対して電源を供給する機能を備えるとよい。
【0092】
このようにすれば、車両に後付される機器は、故障診断コネクタから簡便に電源の供給を受けることができるとともに、例えばシガーソケットを塞ぐことなく電源の供給を受けることができ、また車両のオン状態のときには車両の車内ネットワークからの情報を受信することができ、車両のオン状態でないときにも電源の供給を受けることができる。
【0093】
車両に後付される機器としては、種々の機器とすることができるが、例えばドライブレコーダとすると特によい。
接続する車内ネットワークとしては、例えばCANやK−line等とするとよい。
故障診断用コネクタとしては例えばOBDIIコネクタとすると特によい。特に車室内に設置されたコネクタとするとユーザが容易に接続できてよい。
【0094】
(B)前記車両のオン状態のときに、前記機器に対して電源を供給する機能を備え、
前記機器に対して、前記車両がオン状態であるかオン状態でない(オフ状態)かを通知する機能を備えるとよい。
【0095】
このようにすれば、車両に後付される機器は、簡便に電源の供給を受けることができるとともに、車両がオン状態であるかオフ状態であるかを知ることができる。特に電源を供給する線と前記車両がオン状態であるかオン状態でないかを通知するための信号線は同一の被覆に覆われた1つのケーブルとするとよい。このようにすれば1本のケーブルを配線するだけで、電源の供給と車両がオン状態であるか否かの信号とを受けることができ、車内での後付の機器に対する配線の取り回しが極めてスマートかつ容易になる。
【0096】
(C)前記機器は前記車両がオン状態であるかオン状態でない(オフ状態)かを通知する機能によって当該機器の動作を変更する機能を備えるとよい。
例えば機器がドライブレコーダであるとき、車両がオン状態であれば常時録画モード、車両がオン状態でなければ駐車監視モードとして、両モード間で録画のパラメータを切り替える処理をするとよい。
【0097】
(D)前記装置は前記車両のオン状態でないときに、前記機器に対して前記車内ネットワークから取得したデータに基づく信号を送信しない機能を備えるとよい。
このようにすれば、機器は、車両がオン状態であるか否かを車内ネットワークから取得したデータに基づく信号の送信があるか否かによって判断することが容易にできる。
【0098】
(E)前記装置は前記車両のオン状態でないときに、前記車内ネットワークに信号を送信しない機能を備えるとよい。
このようにすれば、車両がオン状態でないときに、例えば車内ネットワークに接続された車両を制御するための車載コンピュータがスリープ状態やオフ状態にあるものを、起動状態やオン状態としてしまう可能性を低減することができる。これらの車載コンピュータは車内ネットワークに信号が流れることを契機としてスリープ状態やオフ状態から起動状態やオン状態に遷移する可能性があるためである。
【0099】
(F)前記車両のオン状態として、車両のバッテリに対して車両が充電を行う状態とするとよい。前記車両のオン状態として、エンジンオン状態を備えるとよい。
(G)前記車両のオン状態でないときは車両のシガーソケットに対して電源が供給されていないときとするとよい。
(H)前記機器に対してオフ状態となった旨の信号を送信する機能を備え、前記機器が当該オフ状態となった旨の信号に基づく処理を行うとよい。
(I)前記機器はドライブレコーダであって、前記オフ状態となった旨の信号を受信したことに基づいて映像の記録モードを切り替えるとよい。
【0100】
(J)前記映像の記録モードの切り替えは車両オン状態における録画モード(例えば常時録画モード)から車両オフ状態における録画モード(例えば駐車監視録画モード)への切り替えとするとよい。
駐車監視録画モードは例えば常時録画モードよりも記録する撮影した映像のビットレートを落とした映像とするとよい。例えば映像のフレームレートを落としたり、解像度を落としたり、圧縮率を高めたり、これらの少なくともいずれか1つを行うようにするとよい。
【0101】
(K)前記車両のオン状態でない場合には、前記機器に対する電源の供給を停止する機能を備え、
センサを備え、前記センサの信号に基づいて前記車両のオン状態でない場合であっても前記機器に対する電源の供給を開始する機能を備えるとよい。
車両に後付される機器に対して車両のオフ状態で故障診断コネクタからの電源に基づいて電源の供給を続けると車両のバッテリが当該機器への電源供給によって上がってしまう心配があるが、このようにセンサの信号に基づいて電源の供給を行うようにすれば、このような心配を軽減することができる。また車両のバッテリへの負荷を軽減できる。
【0102】
センサは、車両に対する人の接近、車両の揺れ、車両付近の音の少なくともいずれか1つを検知するセンサとするとよい。そして、例えば、人の接近があった場合、車両の揺れが所定の状態に相当する場合、車両付近の音が所定の状態に相当する場合の少なくともいずれか1つの場合に、前記機器に対する電源の供給を再開するとよい。これらの所定の状態としては、盗賊等による人為的な揺れや音に相当する状態とするとよい。
【0103】
車両のオン状態でないときに前記機器に対して給電を行うか否かを前記機器から前記装置への信号に基づいて設定し、当該装置は当該設定に基づいて前記車両のオン状態でないときの前記機器に対する給電のオン・オフを制御するようにするとよい。例えば、この機能によって車両のオン状態でないときに前記機器に対して給電を行わない設定となっているときであっても(K)のようにセンサを備え、前記センサの信号に基づいて前記車両のオン状態でない場合であっても前記機器に対する電源の供給を開始する機能を備えるとよい。
【0104】
(L)前記センサは、加速度センサとするとよい。そして、加速度センサから取得した加速度が所定の状態となった場合に、前記車両のオン状態でない場合であっても前記機器に対する電源の供給を再開するとよい。所定の状態としては、盗賊など、人による車両に対する加速度の付加に相当する状態とするとよい。例えば所定値以上の加速度が発生した場合とするとよい。
(M)前記センサは前記車両に備えた故障診断用コネクタに嵌め合うコネクタを備えた筐体内に備えるとよい。このようにすれば、故障診断コネクタからセンサへの配線等の露出をなくすことができ、スマートかつ容易に装置や機器を設置することができる。
【0105】
(N)前記機器の当該装置からの電源供給を制御するための信号を受け、当該信号に基づき前記機器への当該装置からの電源の供給を制御する機能を備えるとよい。
前記機器の当該装置からの電源供給を制御するための信号としては、当該機器への前記装置からの電源供給のオフまたはオンの少なくともいずれか1つを備えるとよい。電源供給のオフまたは電源のオンは当該信号を受けたときにすぐに行うようにしてもよいが、所定時間後に行うようにしてもよい。所定時間は前記機器から装置に対して指示する信号を送り当該装置が当該信号に基づいて当該所定時間後に行うようにするとよい。また例えば電源供給を行う時間に関する信号を前記機器から前記装置に送り、前記装置は当該信号を受けて当該時間の間、前記機器に対して電源供給を行った後、当該機器への電源供給を停止するようにしてもよい。
【0106】
(O)前記機器は通信機能を備え、前記機器は前記車両のオン状態でないときに、前記通信機能による通信を行う機能を備え、当該通信の終了後に前記装置に対して、当該機器への電源の供給を停止するための信号を送信し、当該信号を受けた前記装置は前記機器への電源の供給を停止する機能を備えるとよい。
特に、前記機器はドライブレコーダであって、前記車両がオンの状態において、撮影した映像のデータを前記通信機能で送信するとともに、送信できなかった映像のデータを記録する機能を備え、前記車両がオンでない状態において前記記録しておいた送信できなかった映像のデータを前記通信機能で送信する機能を備え、当該通信の終了後に前記装置に対して、当該機器への電源の供給を停止するための信号を送信し、当該信号を受けた前記装置は前記機器への電源の供給を停止する機能を備えるとよい。
【0107】
(P)前記車両に備えた故障診断コネクタからの電源が所定の状態になったら前記機器に対する電源供給を停止する機能を備えるとよい。このようにすれば、
(Q)前記機器はドライブレコーダであって、電源の供給があった場合に自動的に録画を開始する機能を備えるとよい。このようにすればカーセキュリティの機能を一般的なドライブレコーダで実現することが容易にできる。
【0108】
(R)装置の構成としては特に(A)から(Q)のうち少なくともいずれか2つを組みわせて構成するとよい。特に(A)の構成を前提として(B)から(R)のうちの少なくともいずれか1とを組み合わせて構成するとよい。また(A)から(Q)のなかに記載の構成要素を選択して組み合わせてもよい。また(1)から(40)の少なくともいずれか一つと(A)から(Q)の少なくとも1つを組み合わせて構成してもよい。また(1)から(40)のなかに記載の構成要素の少なくともいずれか一つと(a)から(r)のなかに記載の構成要素の少なくとも1つを組み合わせて構成してもよい。