(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
照射光を出射する光源手段と、前記光源手段に対向して配設された光学手段と、を備え、前記光学手段は、入射側に配設されたプリズムアレイと、出射側に配設されたレンズ手段とを含んでおり、
前記プリズムアレイは、所定方向に延びる複数のプリズム部を有し、前記レンズ手段は、凸状レンズから構成された第1レンズ部及び第2レンズ部を備え、前記プリズムアレイと前記レンズ手段の前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部とは一体的に形成されており、
前記レンズ手段の前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部は、前記所定方向に対して実質上垂直な方向に配設され、前記レンズ手段の片側の前記第1レンズ部は第1弧状表面を有し、その他側の前記第2レンズ部は第2弧状表面を有し、前記第1レンズ部の前記第1弧状表面の第1曲率半径は、前記第2レンズ部の前記第2弧状表面の第2曲率半径よりも大きく構成されており、
前記プリズムアレイの前記複数のプリズム部は、前記光源手段からの照射光を屈折させて互いに交差する第1の光束及び第2の光束を生成し、前記プリズムアレイからの前記第1光束は、前記レンズ手段の前記第1レンズ部から前記片側に出射されて主として第1領域を比較的狭く照射し、また前記プリズムアレイからの前記第2の光束は、前記レンズ手段の前記第2レンズ部から前記他側に出射されて主として第2領域を比較的広く照射することを特徴とする照射装置。
前記プリズムアレイの前記複数のプリズム部の各々の頂角は(θ°)は、150°以下であり、前記プリズムアレイの屈折率をn2とし、空気の屈折率をn1とすると、各プリズム部の前記頂角(θ°)と前記光源手段の配光角度(D°)とは、次の条件、
0°<90°−asin[(n1/n2)sin(90°−θ/2+D/2)]−θ/2<90°
を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の照射装置。
前記プリズムアレイの前記複数のプリズム部の各々の先端部は円弧状であり、前記複数のプリズム部の前記先端部の曲率半径が5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照射装置。
照射光を出射する光源手段と、前記光源手段に対向して配設された光学手段と、を備え、前記光学手段は、入射側に配設されたプリズムアレイと、出射側に配設されたレンズ手段とを含んでおり、
前記プリズムアレイは、所定方向に延びる複数のプリズム部を有し、前記複数のプリズム部は、前記光源手段からの照射光を屈折させて互いに交差する第1の光束及び第2の光束を生成し、
前記レンズ手段は、レンズ状部及びプレート状部を備え、前記レンズ状部は凸状レンズから構成され、前記レンズ状部と前記プレート状部との境界部には、曲率の変曲部の影響を抑えるための凹状部が設けられており、
前記プリズムアレイからの前記第1の光束は、前記プレート状部から出射されて主として第1領域を照射し、前記プリズムアレイからの前記第2の光束は、前記レンズ部から出射されて主として第2領域を照射することを特徴とする照射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した照射装置には、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、光源手段としてLEDを用いているが、このLEDからの光を表示領域(第1領域)に導くのに導光板を利用し、またこの光をキーパッド領域(第2領域)に導くのに導光板及び反射板を利用しており、従って、LEDからの光を被照射領域の二つの領域に導くための構成が複雑となる。第2に、LEDからの光を二つの領域に導くための導光板及び反射板を必要とし、光源と被照射領域との間が離れていて空間となっている場合に、このような構成のものを適用することができない。
【0005】
本発明の目的は、一つの光源手段からの光を二つに分けて被照射領域の二つの領域を照射することができる照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の照射装置は、照射光を出射する光源手段と、前記光源手段に対向して配設された光学手段と、を備え、前記光学手段は、入射側に配設されたプリズムアレイと、出射側に配設されたレンズ手段とを含んでおり、
前記プリズムアレイは、所定方向に延びる複数のプリズム部を有し、前記レンズ手段は、
凸状レンズから構成された第1レンズ部及び第2レンズ部を備え、前記プリズムアレイと前記レンズ手段の前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部とは一体的に形成されており、
前記レンズ手段の前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部は、前記所定方向に対して実質上垂直な方向に配設され、前記レンズ手段の片側の前記第1レンズ部は第1弧状表面を有し、その他側の前記第2レンズ部は第2弧状表面を有し、前記第1レンズ部の前記第1弧状表面の第1曲率半径は、前記第2レンズ部の前記第2弧状表面の第2曲率半径よりも大きく構成されており、
前記プリズムアレイの前記複数のプリズム部は、前記光源手段からの照射光を屈折させて互いに交差する第1の光束及び第2の光束を生成し、前記プリズムアレイからの前記第1光束は、前記レンズ手段の前記第1レンズ部から前記片側に出射されて主として第1領域を比較的狭く照射し、また前記プリズムアレイからの前記第2の光束は、前記レンズ手段の前記第2レンズ部から前記他側に出射されて主として第2領域を比較的広く照射することを特徴とする。
【0007】
このような照射装置
では、前記第1レンズ部の前記第1弧状表面の第1曲率半径は比較的大きく、前記レンズ手段の前記第1レンズ部からの前記第1の光束は、略平行となるように出射されて主として前記第1領域を比較的狭く照射し、また前記第2レンズ部の前記第2弧状表面の第2曲率半径は比較的小さく、前記レンズ手段の前記第2レンズ部からの前記第2の光束は、収束するように出射された後拡がって主として前記第2領域を比較的広く照射するのが
好ましく、更に前記プリズムアレイの前記複数のプリズム部の各々の頂角は(θ°)は、150°以下であり、前記プリズムアレイの屈折率をn2とし、空気の屈折率をn1とすると、各プリズム部の前記頂角(θ°)と前記光源手段の配光角度(D°)とは、次の条件、
0°<90°−asin[(n1/n2)sin(90°−θ/2+D/2)]−θ/2<90°
を満たすことが好ましく、更にまた前記プリズムアレイの前記複数のプリズム部の各々の先端部は円弧状であり、前記複数のプリズム部の前記先端部の曲率半径が5〜100μmであるのが好ましい。
【0008】
また、本発明の請求項4に記載の照明装置は、照射光を出射する光源手段と、前記光源手段に対向して配設された光学手段と、を備え、前記光学手段は、入射側に配設されたプリズムアレイと、出射側に配設されたレンズ手段とを含んでおり、
前記プリズムアレイは、所定方向に延びる複数のプリズム部を有し、前記複数のプリズム部は、前記光源手段からの照射光を屈折させて互いに交差する第1の光束及び第2の光束を生成し、
前記レンズ手段は、凸状レンズから構成された第1レンズ部及び第2レンズ部を備え、前記第1レンズ部と前記第2レンズ部との境界部には、曲率の変曲部の影響を抑えるための凹状部が設けられていることを特徴とする。
更に、本発明の請求項
6に記載の照射装置は、照射光を出射する光源手段と、前記光源手段に対向して配設された光学手段と、を備え、前記光学手段は、入射側に配設されたプリズムアレイと、出射側に配設されたレンズ手段とを含んでおり、
前記プリズムアレイは、所定方向に延びる複数のプリズム部を有し、前記複数のプリズム部は、前記光源手段からの照射光を屈折させて互いに交差する第1の光束及び第2の光束を生成し、
前記レンズ手段は、レンズ状部及びプレート状部を備え、
前記レンズ状部は凸状レンズから構成され、前記レンズ状部と前記プレート状部との境界部には、曲率の変曲部の影響を抑えるための凹状部が設けられており、
前記プリズムアレイからの前記第1の光束は、前記プレート状部から出射されて主として第1領域を照射し、
前記プリズムアレイからの前記第2の光束は、前記レンズ部から出射されて主として第2領域を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1(又は請求項
6)に記載の照射装置によれば、光学手段は、入射側に配設されたプリズムアレイと、出射側に配設されたレンズ手段とを備え、このプリズムアレイは、所定方向に延びる複数のプリズム部を有しているので、光源手段からの照射光は、プリズムアレイを通して入射することにより屈折して相互に交差する第1の光束と第2の光束とに分割され、従って、第1の光束と第2光束との拡がりを比較的狭い範囲に抑えることができる。また、レンズ手段は第1レンズ部(又はプレート状部)及び第2レンズ部(
又はレンズ状部)を有しているので、第1の光束は第1レンズ部(又はプレート状部)から出射されて主として第1領域を照射し、また第2の光束は第2レンズ部(又はレンズ状部)から出射されて主として第2領域を照射し、従って、一つの光源手段からの照射光によって、異なる2つの箇所、即ち第1及び第2領域を照射することができる。
また、本発明の請求項4(又は請求項6)に記載の照明装置によれば、レンズ手段は、第1レンズ部(又はプレート状部)及び第2レンズ部(又はレンズ状部)を備え、第1レンズ部(又はプレート状部)と第2レンズ部(又はレンズ状部)との境界部に凹状部が設けられているので、曲率の変曲部の影響を抑えて明るくきれいに照射することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う照射装置の一実施形態について説明する。
図1〜
図3において、図示の照射装置は、照射光を出射する光源手段2と、この光源手段2に対向して配設された光学手段4とを備えている。光源手段2は、例えば白色発光のLED6などから構成され、このLED6からの照射光は、光学手段4に向けて照射される。
【0013】
また、光学手段4は、プレート状部材8の片面(
図1において左面であって、LED6に対向する面)にプリズムアレイ10が設けられ、このプリズムアレイ10には、複数のプリズム部12が第1の方向(
図1(a)において上下方向、
図3において左右方向)に連続的に設けられている。これらプリズム部12は、断面形状が二等辺三角形状であり、第2の方向(
図1(a)及び
図3において紙面に対して実質上垂直な所定方向)に直線状に延びている。
【0014】
このプリズムアレイ10のプリズム部12のピッチP(
図3参照)は、15〜500μmであるのが好ましく、40〜300μmであるのがより好ましい。プリズム部12のピッチPが15μmより小さくなると、回折現象が生じて照度が著しく低下するおそれがあり、またこのピッチPが500μmを超えると、プリズム部12の縞模様が視認されるおそれがある。
【0015】
また、このプリズムアレイ10のプリズム部12の頂角θ(
図4参照)は、150°以下であればよいが、85〜130°であるのが好ましい。プリズム部12の頂角θが150°を超えると、後述する第1領域S1と第2領域S2との境界が明確にならないおそれがある。
【0016】
更に、このプリズムアレイ10に関し、プリズム部12の先端部、特に頂部18の形状は、
図4に示すように、円弧状形状(所謂、アール形状)にするのが好ましく、この頂部18の曲率半径R(
図4参照)は、5〜100μmであるのが好ましく、5〜30μmであるのが更に好ましく、このような範囲に設定することによって、後述する第1及び第2領域をその内側と外側の明るさがほぼ同じになるように照射することができる。
【0017】
このプレート状部材8の他面(
図1において右面、
図3において上面)にはレンズ手段32が設けられている。このレンズ手段32は、照射方向(
図1(a)において右方)に突出するドーム状の凸状レンズから構成され、プレート状部材8の片側(
図1(a)において下側、
図2において右上側、
図3において右側)に設けられた第1レンズ部34と、その他側(
図1(a)において上側、
図2において左下側、
図3において左側)に設けられた第2レンズ部36とから構成され、図示の形態では、上記所定方向に対して実質上垂直な方向において、片側(
図1において下側)に第1レンズ部34が配設され、その他側(
図1において上側)に第2レンズ部36が配設されている。
【0018】
このような光学手段4(プレート状部材8、プリズムアレイ10及びレンズ手段32)は、例えばメタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、シクロオレフィン樹脂(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリルスチレン(MS)などの合成樹脂の一体成形により形成することができる。
【0019】
第1レンズ部34は、略1/4球状であり、第1弧状表面38(全体として略1/4の球面状表面)を有し、その曲率半径、即ち第1曲率半径R1(
図3参照)は、比較的大きく、例えば5〜30mm程度に形成される。また、第2ンズ部36は、第1レンズ部34と同様に、略1/4球状であり、第2弧状表面40(全体として略1/4の球面状表面)を有し、その曲率半径R2は、比較的小さく、例えば3〜20mm程度となるように形成される。即ち、
図3に示すように、第2弧状表面40の第2曲率半径R2(
図3参照)は、その曲面の曲がり程度が第1弧状表面38のよりも急になる、即ち第1の曲率半径R1よりも第2の曲率半径R2が小さくなるように形成される(R2<R1)。このような第2レンズ部36は、例えば、第1レンズ部34の曲率を変更し、その第2弧状表面40の曲がり度合いが第1弧状表面38の曲面よりも急になるように且つ非球面となるように形成される。
【0020】
尚、これとは反対に、第2レンズ部36の第2弧状表面40の第2曲率半径R2を例えば3〜20mm程度に形成し、第1レンズ部34の第1弧状表面38をその曲面の曲がり程度を第2レンズ部36の第2弧状表面40よりも緩やかになる、即ち第2の曲率半径R2よりも第1の曲率半径R1が大きくなる(R2<R1)となるように、且つ非球面状となるように形成するようにしてもよい。
【0021】
また、第1及び第2レンズ部34,36の双方を非球面状に形成するようにしてもよく、この場合、第1レンズ部34の第1表面38の表面の曲がり程度が第2レンズ部36の第2表面40よりも緩やかになる(所謂、曲率半径に相当する長さが大きくなる)ように形成され、第1及び第2レンズ部34,36の第1及び第2表面38,40を適宜の形状にすることによって、後述する被照射領域Sの第1及び第2領域S1,S2の照射範囲を所要の通りに設定することができる。
【0022】
また、第1及び第2レンズ部34,36の第1及び第2弧状表面38,40のいずれか一方又は双方を非球面状にすることに代えて、これらの第1及び第2弧状表面38,40を円弧状の表面(全体として球面状表面)としてもよく、更にはこれらの第1及び第2弧状表面38,40を二次曲線状などにすることもできる。
【0023】
このような光学手段4を備えた照射装置では、光源手段2(LED6)からの照射光は、細線42a,42bで示すように光学手段4に向けて照射され、かく照射された光は、プリズムアレイ10を通して光学手段4に入射され、この入射の際にスネルの法則により所要の通りに屈折される。
図1(a)において細線42aで示すように、光源手段2から
図1(a)において上側に照射された照射光は、プリズムアレイ10(複数のプリズム部12)によって反対側に屈折され、
図1(a)において細線44aで示すように、このプレート状部材8及びレンズ部32を通して第1の光束として
図1(a)において下側に第1レンズ部34に導かれる。また、
図1(a)において細線42bで示すように、光源手段2から
図1(a)において下側に照射された照射光は、プリズムアレイ10によって反対側に屈折され、
図1(a)において細線44bで示すように、このプレート状部材8及びレンズ部32を通して第2の光束4として
図1(a)において上側に第2レンズ部36に導かれる。プリズムアレイ10を通して入射した照射光は第1及び第2の光束44a,44bに分割され、分割された第1及び第2の光束44a,44bは、相互に交差するようにして第1及び第2レンズ部34,36に向けて導かれる。
【0024】
そして、第1レンズ部34に導かれた第1の光束44aは、更に、第1レンズ部34から略平行となるように出射され、
図1(a)に細線46aで示すように、被照射領域Sの主として第1領域S1を照射し、また第2レンズ部36に導かれた第2の光束44bは、収束された後に拡がるように出射され、
図1(a)に細線46bで示すように、被照射領域Sの主として第2領域S2を照射する。このとき、第1レンズ部34の第1弧状表面38の曲がり程度が比較的小さい(換言すると、第1曲率半径R1は比較的大きい)ので、この第1レンズ部34から出射される光の屈折度合いが比較的小さく、従って、この第1の光束46aは、その拡がり角度が小さく(即ち、その拡がりが抑えられ)、略平行に導かれて第1領域S1をスポット的に明るく照射する。一方、第2レンズ部36の第2弧状表面40は曲がり程度が大きい(換言すると、第2曲率半径R2は比較的小さい)ので、第2レンズ部36から出射される光の屈折度合いが比較的大きく、従って、この第2の光束46bは、焦点で絞られた後拡がるようになり、この光束の拡がり部を利用することにより、主として第2領域S2をぼんやりと照射する。
【0025】
このように光学手段4としてプリズムアレイ10と第1及び第2レンズ部34,36を備えた光学手段4を用いることによって、光源手段2(LED6)からの照射光は、入射側のプリズムアレイ10によって屈折されて第1の光束44aと第2の光束44bとに分割され、第1の光束44aは、
図1(a)及び(b)に示すように、第1レンズ部34から出射する際にその屈折度合いが小さくなって略平行になるような光束となり、光束の拡がりが抑えられたスポット的な光束46aとなって片側の第1領域S1(
図1(a)において下側の領域)を照射する一方、第2の光束44bは、
図1(a)及び(b)に示すように、第2レンズ部36によって屈折される際にその屈折度合いが大きくなって焦点に絞られた後に拡がるような光束となり、拡がった光束46bとなって他側の第2領域S2(
図1(a)において上側の領域)をぼんやりと照射し、一つの光源手段2からの光を利用して、被照射領域Sの離れた二つの領域(第1及び第2領域S1,S2)を異なる照度及び照射状態でもって照射することができる。また、第1レンズ部34から出射される第1の光束46aは略平行に照射するのに対し、第2レンズ部36から出射される第2の光束46bは、絞られた後拡がるように照射するので、レンズ手段32と被照射領域Sとの間隔を調整することによって、第1領域S1の明るさを保ちながら第2領域の明るさを調整することができる。
【0026】
このような光学手段4Eとして
図5に示すものを用いることができる。
図5において、この変形形態においても、光学手段4Eは、上述したと同様に、プレート状部材8Eとレンズ手段32Eから構成されている。このレンズ手段32Eの第1レンズ部の表面(第1領域S1を照射するための光を出射する表面)は直線状となった平面状表面38Eあり、第2レンズ部の表面は上述した実施形態と同様の曲面状となった弧状表面40Eであり、この変形形態においては、このような平面状表面38Eになっている第1レンズ部をプレート状部34Eと、また弧状表面40Eとなっている第2レンズ部をレンズ状部36Eと表現する。
【0027】
このレンズ手段32Eにおいては、更に、プレート状部34Eとレンズ状部36Eとの境界部に凹状部102が設けられている。この凹状部102は、プレート状部34Eとレンズ状部36Eとの境界部の全長にわたって設けることができ、このように凹状部102を設けることによって、この境界部における曲率の変曲部の影響(例えば、プレート状部34Eから出射される第1光束にゴーストが現れる現象)を抑えることができ、これによって、プレート状部34Eから出射される第1光束により第1領域を明るくきれいに照射することができる。
【0028】
この凹状部102は、プレート状部34Eとレンズ状部36Eとの境界部の全長に設ける必要はなく、例えば、この境界部における出射側の1/4〜1/2程度の部分に設けることによって、上述した所望の効果を得ることができる。また、このような凹状部102は、
図1〜
図4に示す形態のレンズ手段32にも同様に適用することができ、この場合、第1レンズ部34と第2レンズ部36との境界部に設けることができる。
【0029】
この光学手段4Eを用いた場合においても、上述したと略同様に、第1の光束は、プレート状部34Eから出射する際に略平行な光束となり、光束の拡がりが抑えられてスポット的に第1領域を明るく照射する一方、第2の光束は、レンズ状部36Eから出射する際に大きく屈折されて焦点に絞られた後に拡がるような光束となり、拡がった光束となって第2領域をぼんやりと照射し、このような光学手段4Eを用いても被照射領域の離れた二つの領域(第1及び第2領域)を異なる照度及び照射状態でもって照射することができる。
【0030】
このような照射装置においては、LED6としては、比較的配光角度が狭いものを用いるのが好ましい。例えば、
図6(a)に示すように、配光角度が比較的広いLED6Aを用いた場合、LED6Aから発せられた光42A、42BAは、プリズムアレイ10の複数のプリズム部12によって横方向外側へより大きく屈折されるため、横方向における光学手段4(プリズムアレイ10及びレンズ手段)の寸法を大きくする必要がある。これに対し、
図6(b)に示すように、配光角度が比較的狭いLED6Bを用いた場合、複数のプリズム部12による横方向外側への屈折が小さくなるため、横方向における光学手段4の寸法をコンパクトにすることができる。LED6の好適な配光角度はプリズム部12の頂角θに依存するが、この頂角θが例えば130°である場合、LED6の配光角度を30°以下とするのが好ましい。なお、ここでいう配光角度とは半値角(中心の光の強度を1とした場合に光の強度が1/2になる角度)で表される。
【0031】
ここで、
図7及び
図8を参照して、プリズムアレイ10における複数のプリズム部12の頂角θとLED6の配光角度Dとの関係について説明する。プリズム部12において、その片側(
図7において左側)の第1プリズム面62a又はその他側(
図7において右側)の第2プリズム面62bにおける光の入射点Pを通り頂角θの二等分線Cと平行な軸線を軸線Gとしたとき、この入射点Pにおいて第1プリズム面62a又は第2プリズム面62bから入射した光の屈折方向D3が軸線Gよりも内側(プリズム部12の先端側、即ち山側)になるか外側(プリズム部12の基部側、即ち谷側)になるかが決まる。
【0032】
そして、第1プリズム面62a(又は第2プリズム面62b)に対する光の入射角をα、屈折角をβ、空気の屈折率をn1、プリズム62の屈折率をn2としたとき、スネルの法則より次式(1)が得られる。
【0033】
N1×sinα=n2×sinβ ・・・(1)
また、軸線Gに対する光の屈折方向D3の傾き角度γは次式(2)2で求められる。
【0034】
γ=90°−(β+θ/2) ・・・(2)
よって、式(1)及び式(2)より、次式(3)が得られる。
【0035】
γ=90°−asin[(n1/n2)sinα]−θ/2 ・・・(3)
そして、光の屈折方向D3の傾き角度γの値が0°〜90°(0°< γ < 90°)のとき、光の屈折方向D3は軸線Gよりも内側、即ちプリズム部12の山側となる。
【0036】
図8は、アクリル樹脂製(n2=1.49)のプリズムレイ10(プリズム部12)を用いたときの式(3)より求めた光の入射角αと光の屈折方向D3の傾き角度γとの関係を示し、頂角θが45°、90°、130°及び150°であるときのものを示している。
【0037】
図8からも理解されるように、プリズム部12の頂角θが90°以下であると、入射角αにかかわらず、第1プリズム面62a(又は第2プリズム面62b)から入射した光は全て内側に屈折し、2つに分割される光束、即ち第1及び第2の光束の境界を明確にできることがわかる。また、プリズム部12の頂角θが130°であるときには光の入射角αが40°以下、この頂角θが150°であるときには光の入射角αが23°以下において、第1プリズム面62a(又は第2プリズム面62b)から入射した光の多くが内側に屈折し、2つに分割される光束(第1及び第2の光束)の境界を明確にできることが分かる。このことは、例えば、プリズムアレイ10のプリズム部12の頂角θが130°であるときには、第1及び第2プリズム面62a,62bにおける入射角αが40°以下となるような光を多く発する光源手段2(LED6)を用いればよく、このプリズム部12の頂角θが150°であるときには、第1及び第2プリズム面62a,62bにおける入射角αが23°以下の光を多く発する光源手段4を用いればよいことが分かる。
【0038】
この点について更に検討すると、
図7を参照して、プリズム部12の頂角θの二等分線Cに対する光の傾き角度をd(d=D/2)としたとき、三角形の定理により、光の入射角αは次式(4)で表される。
【0039】
α=90°− θ/2 + d ・・・(4)
よって、式(4)を式(3)に適用すると、次式(5)が得られる。
【0040】
γ=90°−asin[(n1/n2)sin(90°−θ/2+d)]−θ/2 ・・・(5)
そして、上述したように0°<γ<90°の場合に光の屈折方向D3は軸線Gよりも内側となるので、次式(6)を満たすとき、光は内側に屈折することになる。
【0041】
0°<90°−asin[(n1/n2)sin(90°−θ/2+d)]θ/2−θ/2<90° ・・・(6)
光源手段2(LED6)の配光角度Dが光の傾き角度dの倍数(d×2)の場合においては、光源手段2から発する光の殆どが傾き角度d以下の光となることから、次式(7)を満たす光源手段2を用いることにより、2つの光束(第1及び第2の光束)の境界を明確にできる。
【0042】
0°<90°−asin[(n1/n2)sin(90°−θ/2+D/2)]−θ/2<90° ・・・(7)
但し、D:光源手段2の配光角度
よって、プリズム部12の頂角θは150°以下であり、上述した式(7)を満たす配光角度Dを有する光源手段2を用いるのが好ましい。例えば、プリズム部12の頂角θが130°である場合には光源手段2の配光角度Dを30°以下とし、またその頂角θが150°である場合には光源手段2の配光角度を16°以下とすることにより、第1プリズム面62a(又は第2プリズム面62b)から入射した光の多くが内側に屈折するようになり、また、プリズム62の頂角θが90°以下である場合には、光源手段2の配光角度Dにかかわらず、第1プリズム面62a(又は第2プリズム面62b)から入射した光は全て内側に屈折するようになり、このように構成することによって、2つに分割される光束(第1及び第2の光束)の境界を明確にできる。
【0043】
光学手段として、
図9及び
図10に示すものを用いることもできる。光学手段の第1の変形形態を示す
図9において、この光学手段4Cでは、プレート状部材8Cの片面に上述したと同様のプリズムアレイ10が設けられ、このプレート状部材8Cの他面に凸状レンズから構成されるレンズ手段32Cが設けられている。この第1の変形形態におけるレンズ手段32Cは、プレート状部材8Cの片側(
図9において右側)に設けられた第1レンズ部34Cと、その他側(
図9において左側)に設けられた第2レンズ部36Cとから構成され、第1レンズ部34C及び第2レンズ部36Cが同じ形状に、即ち第1弧状表面38Cの曲がりの程度(第1曲率半径)と第2レンズ部36Cの第2弧状表面40Cの曲がりの程度(第2曲率半径)とが実質上等しくなるように構成されている。このような光学手段4Cを用いた場合、上述した記載から容易に理解される如く、光源手段2(LED6)からの照射光でもって、被照射領域の離れた二つの領域(第1及び第2領域)を同じ照度及び照射状態でもって照射することができる。
【0044】
次に、
図10を参照して第2の変形形態の光学手段について説明すると、この光学手段4Dでは、プレート状部材8Dの片面に上述したと同様のプリズムアレイ10が設けられ、このプレート状部材8Dの他面に凹状レンズから構成されるレンズ手段32Dが設けられている。この第2の変形形態におけるレンズ手段32Dは、プレート状部材8Dの片側(
図10において右側)に設けられた第1レンズ部34Dと、その他側(
図10において左側)に設けられた第2レンズ部36Dとから構成され、第1レンズ部34D及び第2レンズ部36Dが同じ形状に、即ち第1レンズ部34Dの第1弧状表面38Dの凹状表面の曲がりの程度(第1曲率半径)と第2レンズ部36Dの第2弧状表面40Dの凹状表面の曲がりの程度(第2曲率半径)とが実質上等しくなるように構成されている。このような光学手段4Dを用いた場合、上述した記載から容易に理解される如く、光源手段2(LED6)からの照射光でもって、被照射領域の離れた二つの領域(第1及び第2領域)を同じ照度及び照射状態でもって照射することができる。
【0045】
尚、凹状レンズを設けた場合においても、凸状レンズを設けた場合と同様に、第1レンズ部34Dの第1弧状表面38Dと第2レンズ部36Dの第2弧状表面40Dとの凹状表面の曲率半径を異なるように構成することもできる。また、第1及び第2レンズ部34D,36Dのいずれか一方又は双方を非球面形状又は二次曲線状などとなる凹状レンズとすることができる。
【0046】
このような照射装置は、例えば、自動車の車内における各種照明に、また展示会における各種展示に、或いはショウウインドウ展示などにおける各種照明などに広く適用することができる。
【0047】
以上、本発明に従う照射装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、光学手段4(4C,4D,4E)のプリズムアレイ10及びレンズ手段32(32C,32D,32E)を一体的に形成しているが、このような構成に代えて、プリズムアレイ10とレンズ手段32(32C,32D,32E)とを別体に構成し、これらを近接乃至接触して配設するようにしてもよい。
【0049】
また、例えば、レンズ手段32(32C)における第2レンズ部36(36C)のスポット的な照射の効果を高めるために、この第2レンズ部36(36C)の第2弧状表面40(40C)にフレネルレンズ加工を施すことができる。この場合、第2レンズ部36(36C)の先端から基部側に略1/2程度の範囲にわたって設けるのが好ましく、このフレネルレンズ加工は、第2弧状表面40に同心状に(即ち、先端側に向けて同心状に小さくなるように)設けることができる。
【0050】
また、例えば、レンズ手段32(32C)における第1レンズ部34(34C)の拡散的な照射の効果を高めるために、この第1レンズ部34(34C)の第1弧状表面38(38C)に光拡散加工を施すことができる。この光拡散加工として、例えば、第1レンズ部34(34C)の第1弧状表面38(38C)に小さな凹凸を設けるようにしてもよく、或いは小さなシボ加工を施すようにしてもよく、この場合にも、第1レンズ部34(34C)の先端から基部側に略1/2程度の範囲にわたって設けるのが好ましい。