特許第6793944号(P6793944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793944
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】携帯型測定器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20201119BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A61B5/00 M
   G01N21/64 Z
   A61B5/00 101N
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-227918(P2016-227918)
(22)【出願日】2016年11月24日
(65)【公開番号】特開2018-82903(P2018-82903A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】507106847
【氏名又は名称】NSマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】金海 榮一
(72)【発明者】
【氏名】小川 智之
(72)【発明者】
【氏名】宮永 昭治
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/159732(WO,A1)
【文献】 特開2014−136119(JP,A)
【文献】 特開2009−153728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位面積当たりの皮膚内に蓄積されている終末糖化産物の蓄積量を測定する蓄積量測定部と、
測定された上記蓄積量を表示する表示部と、
上記蓄積量測定部及び上記表示部を収納し又は支持し、ユーザによって把持される筐体と、を備えており、
上記蓄積量測定部は、
上記皮膚に当接するセンサチップであって、上記皮膚に向けて励起光を照射する照射部と、上記励起光が照射された上記皮膚内の終末糖化産物から発生する蛍光を受光して、受光された上記蛍光の強度を示す信号を出力するフォトダイオードと、を有するセンサチップと、
上記フォトダイオードからの信号に基づいて、上記終末糖化産物の上記蓄積量を演算する蓄積量演算部と、を備えている携帯型測定器。
【請求項2】
単位面積当たりの皮膚内に蓄積されている蛍光性物質の蓄積量を測定する蓄積量測定部と、
上記皮膚の弾性係数を測定する弾性係数測定部と、
測定された上記蓄積量及び上記弾性係数を表示する表示部と、
上記皮膚に当接させる当接部材を備えており、上記蓄積量測定部、上記弾性係数測定部、及び上記表示部を収納し又は支持し、ユーザによって把持される筐体と、を備えており、
上記蓄積量測定部は、
上記皮膚に向けて励起光を照射する照射部と、
上記励起光が照射された上記皮膚内の蛍光性物質から発生する蛍光を受光して、受光された上記蛍光の強度を検出する受光部と、
検出された上記強度に基づいて、上記蛍光性物質の上記蓄積量を演算する蓄積量演算部と、を備え、
上記弾性係数測定部は、
上記皮膚から上記当接部材にかかる接触圧を検出する接触圧センサと、
上記当接部材が当接された上記皮膚の変形量を検出する変形量センサと、
検出された上記接触圧及び上記皮膚の上記変形量に基づいて、上記皮膚の上記弾性係数を演算する弾性係数演算部と、を備えている携帯型測定器。
【請求項3】
上記筐体は、
上記当接部材を移動可能に支持し、ユーザによって把持される把持部材と、
上記当接部材と上記把持部材とを連結する弾性部材と、を備えており、
上記把持部材は、上記皮膚に接触させる接触面を備えており、
上記変形量センサは、上記当接部材が上記皮膚に当接し且つ上記接触面が上記皮膚に接触したときの上記弾性部材の変形量を、上記接触圧及び上記弾性部材の弾性定数に基づいて演算し、且つ、上記当接部材が上記皮膚に当接していないときに上記当接部材が上記接触面から突出している突出距離から、上記弾性部材の上記変形量を減算して上記皮膚の上記変形量を演算する変形量演算部である請求項2に記載の携帯型測定器。
【請求項4】
上記当接部材は、上記照射部及び上記受光部を収納しており、
上記当接部材に、上記接触圧センサが固定されている請求項3に記載の携帯型測定器。
【請求項5】
上記把持部材は、
上記当接部材を移動可能に支持するプローブ部と、
上記プローブ部が着脱可能な本体部と、を備えており、
上記プローブ部は、上記弾性部材を収納しており、
上記本体部は、上記表示部、上記蓄積量演算部、上記変形量演算部、及び上記弾性係数演算部を収納している請求項4に記載の携帯型測定器。
【請求項6】
上記照射部は、ピーク波長が370nmである上記励起光を発光する紫外LEDである、請求項1から5のいずれかに記載の携帯型測定器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚内の蛍光性物質の蓄積量及び皮膚の弾性係数を測定する携帯型測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
AGEs(終末糖化産物)は、タンパク質が糖化されて生成される物質であり、老化を進める原因物質であるとされている。AGEsは、蛍光性物質であり、波長が370nmである励起光を照射されると、波長が440nmである蛍光を発する。このようなAGEsの性質を利用して、従来、AGEs(終末糖化産物)を測定する測定器が知られている。
【0003】
この種の測定器は、励起光を照射する照射部と、励起光が照射された皮膚内に蓄積されているAGEsから発生する蛍光を受光する受光部と、受光された蛍光の強度に基づいてAGEsの蓄積量が測定される。また、この種の測定器は、腕又は手を載せる台座を有する比較的大型の装置であり、測定箇所が例えば腕又は指に固定されている。測定は、当該台座に腕又は手が載せられた状態で、腕又は指に励起光が照射されることにより行われる。特許文献1には、このようなAGEsの測定器の一例として、照射部及び受光部を有する測定ヘッドと、測定ヘッドに電気的に接続された操作ボックスとを有する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−112375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のAGEsの測定器は、測定箇所が腕又は指に固定されており、例えば顔の皮膚内のAGEsの蓄積量を測定することは困難である。一方、特許文献1に記載の測定器では、測定ヘッドが操作ボックスから分離されているため、測定箇所は固定されていないが、測定器を携帯しながら使用するには不便である。
【0006】
本発明は、上述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、皮膚内に蓄積されている蛍光性物質の蓄積量の測定を可能としながら、携帯可能な測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る携帯型測定器は、単位面積当たりの皮膚内に蓄積されている蛍光性物質の蓄積量を測定する蓄積量測定部と、測定された上記蓄積量を表示する表示部と、上記蓄積量測定部及び上記表示部を収納し又は支持し、ユーザによって把持される筐体と、を備えており、上記蓄積量測定部は、上記皮膚に向けて励起光を照射する照射部と、上記励起光が照射された上記皮膚内の蛍光性物質から発生する蛍光を受光して、受光された上記蛍光の強度を検出する受光部と、検出された上記強度に基づいて、上記蛍光性物質の上記蓄積量を演算する蓄積量演算部と、を備えている。
【0008】
上記構成によれば、蛍光性物質の蓄積量を測定する蓄積量測定部が、ユーザによって把持される筐体に収納又は支持されている。そのため、上記構成の携帯型測定器は、皮膚内に蓄積されている蛍光性物質の蓄積量の測定を可能としながら、携帯可能である。
【0009】
(2) 好ましくは、上記携帯型測定器は、上記皮膚の弾性係数を測定する弾性係数測定部を更に備えており、上記表示部は、測定された上記弾性係数を表示し、上記筐体は、上記弾性係数測定部を収納し又は支持しており、上記筐体は、上記皮膚に当接させる当接部材を備えており、上記弾性係数測定部は、上記皮膚から上記当接部材にかかる接触圧を検出する接触圧センサと、上記当接部材が当接された上記皮膚の変形量を検出する変形量センサと、検出された上記接触圧及び上記皮膚の上記変形量に基づいて、上記皮膚の上記弾性係数を演算する弾性係数演算部と、を備えている。
【0010】
上記構成によれば、蛍光性物質の蓄積量を測定する蓄積量測定部と、皮膚の弾力に対応する皮膚の弾性係数を測定する弾性係数測定部とが、同一の筐体に支持されている。そのため、上記構成の携帯型測定器は、皮膚内に蓄積されている蛍光性物質の蓄積量の測定と、皮膚の弾力の測定とを共に可能としながら、携帯可能である。
【0011】
(3) 好ましくは、上記筐体は、上記当接部材を移動可能に支持し、ユーザによって把持される把持部材と、上記当接部材と上記把持部材とを連結する弾性部材と、を備えており、上記把持部材は、上記皮膚に接触させる接触面を備えており、上記変形量センサは、上記当接部材が上記皮膚に当接し且つ上記接触面が上記皮膚に接触したときの上記弾性部材の変形量を、上記接触圧及び上記弾性部材の弾性定数に基づいて演算し、且つ、上記当接部材が上記皮膚に当接していないときに上記当接部材が上記接触面から突出している突出距離から、上記弾性部材の上記変形量を減算して上記皮膚の上記変形量を演算する変形量演算部である。
【0012】
上記構成によれば、皮膚の変形量が、当接部材が皮膚に当接していないときに当接部材が接触面から突出している突出距離から、皮膚に当接部材及び接触面が当接しているときの弾性部材の変形量を減算することによって、演算される。皮膚の変形量を直接的に検出するセンサを用いることなく、皮膚の変形量が検出されるので、センサに要するコストが軽減される。
【0013】
(4) 好ましくは、上記当接部材は、上記照射部及び上記受光部を収納しており、上記当接部材に、上記接触圧センサが固定されている。
【0014】
上記構成によれば、照射部及び受光部が当接部材に収納され、接触圧センサが当接部材に固定されている。そのため、当接部材が皮膚に当接したときに、照射部が皮膚に励起光を照射でき、受光部が蛍光を受光でき、接触圧センサが接触圧を検出できる。
【0015】
(5) 好ましくは、上記把持部材は、上記当接部材を移動可能に支持するプローブ部と、上記プローブ部が着脱可能な本体部と、を備えており、上記プローブ部は、上記弾性部材を収納しており、上記本体部は、上記蓄積量演算部、上記変形量演算部、及び上記弾性係数演算部を収納している。
【0016】
上記構成によれば、本体部に、表示部、蓄積量演算部、変形量演算部、及び弾性係数演算部が収納され、プローブ部に弾性部材が収納され、プローブ部に支持される当接部材に照射部及び受光部が収納され且つ接触圧センサが固定されている。プローブ部が、本体部に対して着脱可能なので、照射部、受光部、及び接触圧センサの交換が容易である。
【0017】
(6) 好ましくは、上記照射部は、ピーク波長が370nmである上記励起光を発光する紫外LEDである。
【0018】
上記構成によれば、ピーク波長が370nmである励起光が照射されるので、波長が370nmである励起光に対して440nmの蛍光を発するAGEsの蓄積量が、効率よく測定される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、携帯型測定器は、皮膚内に蓄積されている蛍光性物質の蓄積量の測定と、皮膚の弾力の測定とを共に可能としながら、携帯可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、携帯型測定器10の外観を示す斜視図である。
図2図2は、プローブ部13が本体部14から取り外された状態の携帯型測定器10を示す斜視図である。
図3図3は、非測定時における当接部材11及びプローブ部13を示す図2のIII−III断面図である。
図4図4は、センサチップ26を模式的に示す断面図である。
図5図5は、測定時における当接部材11及びプローブ部13を示す断面図である。
図6図6は、携帯型測定器10の電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、適宜図面が参照されて、本発明の好ましい実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態が適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
携帯型測定器10は、単位面積当たりの皮膚30内の蛍光性物質の蓄積量及び皮膚30の弾性係数を測定する装置である。本実施形態では、測定される蛍光性物質は、AGEs(終末糖化産物)である。AGEsの蓄積量の測定は、励起光15を皮膚30内のAGEsに照射して、AGEsから蛍光16を発生させ、発生した蛍光16の強度を検出することによって行われる。また、皮膚30の弾性係数の測定は、皮膚30に後述の当接部材11を当接させたときの皮膚30の凹み量及び接触圧を検出することによって、行われる。
【0023】
[筐体20及び把持部材12]
図1及び図2に示されるように、携帯型測定器10は、筐体20を備えている。筐体20は、皮膚30に当接させる当接部材11と、ユーザによって把持される把持部材12と、を備えている。把持部材12は、当接部材11を移動可能に支持するプローブ部13と、プローブ部13が着脱可能な本体部14と、を備えている。
【0024】
以下の説明では、当接部材11及び把持部材12が並んでいる方向が、携帯型測定器10の中心軸方向17として定義されている。中心軸方向17において、当接部材11のある側が先端側であり、把持部材12がある側が後端側である。第1径方向18及び第2径方向19は、互いに直交する方向であって、中心軸方向17に対して直交する方向である。特に、第1径方向18は、把持部材12に収納された後述の表示部62の表示面が面する方向である。
【0025】
[当接部材11]
図1図3に示されるように、当接部材11は、外形が円柱形状である中空の容器である。当接部材11は、円板状の先端壁41と、円板状の後端壁42と、円筒状の側壁43と、を備える。先端壁41及び後端壁42は中心軸方向17に沿って並んでいる。側壁43は、先端壁41及び後端壁42を中心軸方向17に沿って連結している。先端壁41の中央には開口部41aが形成されており、開口部41a内にはセンサチップ26が配置されている。センサチップ26は基板27に固定されており、基板27は先端壁41に固定されている。先端壁41の先端面には、接触圧センサ24が固定されている。後端壁42の中央には、信号線等の配線を通過させる開口部42aが形成されている。後端壁42の外周部は、側壁43よりも第1径方向18及び第2径方向19の外側に突出するフランジ部42bとなっている。
【0026】
[センサチップ26]
図4に示されるように、センサチップ26は、紫外LED(照射部の一例)31、フォトダイオード(受光部の一例)32と、紫外LED31及びフォトダイオード32を収納するパッケージ33と、を備えている。
【0027】
パッケージ33は、内部が空洞な概ね直方体形状である。パッケージ33は、紫外LED31が配置された発光空間34と、フォトダイオード32が配置された受光空間35と、を備えている。パッケージ33は、発光空間34を外部に連通させる貫通孔36と、当該貫通孔36内に配置されたシリコンマイクロレンズ37と、受光空間35を外部に連通させる貫通孔38と、を備えている。
【0028】
紫外LED31は、皮膚30に向けて励起光15を照射するデバイスである。ここで、AGEsは、波長が370nmである励起光15が照射されたときに、440nmの蛍光16を発生する蛍光性物質である。そのため、紫外LED31は、AGEsに対応した蛍光16が得られるように、ピーク波長が370nmである励起光15を発光するように構成されている。なお、紫外LED31は、370nmを含む波長域の励起光15を放射できればよく、励起光15のピーク波長が370nmである場合に限定されない。
【0029】
紫外LED31から放射された励起光15は、シリコンマイクロレンズ37を通じて、パッケージ33の外部へ出力され、当接部材11に対向する位置にある皮膚30に照射される。皮膚30内のAGEsに励起光15が照射されると、当該AGEsから蛍光16が発生する。
【0030】
フォトダイオード32は、励起光15が照射された皮膚30内のAGEsから発生する蛍光16を受光し、受光された蛍光16の強度を検出するデバイスである。検出された蛍光16の強度に基づいて、単位面積当たりの皮膚30内のAGEsの蓄積量が測定される。
【0031】
なお、センサチップ26又は基板27は、フォトダイオード32が出力する電気信号を増幅する増幅回路を備えていてもよい。
【0032】
[接触圧センサ24]
図3に示されるように、接触圧センサ24は、皮膚30から当接部材11にかかる接触圧を検出するデバイスである。当接部材11が皮膚30に押し付けられたときに、当接部材11の先端面に設けられた接触圧センサ24が皮膚30に当接する。接触圧センサ24は、例えばピエゾ素子で構成されており、接触圧センサ24に加えられた圧力が電気信号として出力される。
【0033】
[プローブ部13]
図1から図3に示されるように、プローブ部13は、外形が概ね円柱状である中空の容器である。プローブ部13は、円環状の先端壁51、円板状の中間壁52、円板状の後部壁53、円筒状の側壁54、及び円環状の係合凸部55を備えている。先端壁51、中間壁52及び後部壁53は、中心軸方向17に沿って並んでいる。側壁54は、先端壁51、中間壁52、後部壁53、係合凸部55を中心軸方向17に沿って連結している。
【0034】
先端壁51の中央には、開口部51aが形成されている。開口部51a内には、当接部材11の側壁43が配置されている。開口部51aの内径は、側壁43の外形に略一致しており、フランジ部42bの外径よりも小さい。そのため、当接部材11は、プローブ部13から抜け落ちることなく支持されている。先端壁51の先端面は、皮膚30に接触させる接触面51bである。
【0035】
中間壁52の中央には、信号線等の配線を通過させる開口部52aが形成されている。また、後部壁53の中央にも、信号線等の配線を通過させる開口部53aが形成されている。
【0036】
図1及び図2に示されるように、プローブ部13は、2つの係合部58を備えている。2つの係合部58は、第1径方向18に沿って並んでおり、側壁54に固定されている。係合部58は、後端側へ延びる延出部58aと、延出部58aの後端から径方向内側に延びる係合片58bと、を有する。係合部58は、本体部14に設けられた後述の被係合部46に係合可能である。また、プローブ部13の係合凸部55は、本体部14に設けられた後述の係合凹部45に係合可能である。プローブ部13が本体部14に取り付けられた状態では、プローブ部13の係合部58及び係合凸部55が、本体部14の被係合部46及び係合凹部45に係合する。
【0037】
[コネクタ56]
図3に示されるように、携帯型測定器10は、プローブ部13内にコネクタ56を備えている。コネクタ56は、後部壁53よりも後端側に位置し、後部壁53に固定されている。コネクタ56は、本体部14に設けられた後述のコネクタ64と電気的に接続可能である。コネクタ56には、紫外LED31、フォトダイオード32、及び接触圧センサ24からの信号線が接続されている。
【0038】
[弾性部材23]
図3に示されるように、携帯型測定器10は、プローブ部13内に弾性部材23を備えている。弾性部材23は、当接部材11と、把持部材12の一部であるプローブ部13とを連結している。弾性部材23は、本実施形態では、圧縮コイルバネである。弾性部材23は、当接部材11の後端壁42とプローブ部13の中間壁52とに当接している。当接部材11が皮膚30に接触していない状態では、当接部材11がプローブ部13から最大限突出した状態、つまりフランジ部42bがプローブ部13の先端壁51に当接した状態にある。突出距離81は、当接部材11がプローブ部13から最大限突出したときの接触面51bから当接部材11の先端面までの距離である。当接部材11がプローブ部13から最大限突出した状態において、弾性部材23は、圧縮された状態にある。そのため、弾性部材23は、常に当接部材11を先端側に付勢している。
【0039】
図5に示されるように、皮膚30の弾性係数の計測が行われる際に、接触面51bが皮膚30に接触するまで、当接部材11が皮膚30に押し付けられる。このとき、皮膚30が当接部材11によって凹まされると共に、弾性部材23の付勢力に逆らって当接部材11が後端側へ押し込まれる。ここで、皮膚30の弾性係数は、皮膚30が弾性体であると考えた場合の弾性係数である。皮膚30の弾性係数は、フックの法則を利用して、皮膚30が凹まされたときに皮膚30にかかる外力と、そのときの皮膚30の変形量(凹み量)82とによって、特定される。皮膚30にかかる外力は、皮膚30から当接部材11にかかる力に等しい。この力は、皮膚30から当接部材11にかかる接触圧に基づいて特定される。また、皮膚30の変形量82は、突出距離81から弾性部材23の変形量(収縮量)83を減算した距離に等しい。弾性部材23の変形量83は、フックの法則を利用して、弾性部材23の弾性係数と、当接部材11にかかる力とに基づいて特定される。弾性部材23の弾性係数は予め特定されているので、未知数は、当接部材11にかかる力のみである。したがって、皮膚30から当接部材11にかかる接触圧が検出されれば、皮膚30の変形量82を特定することができ、さらに皮膚30の弾性係数を特定することができる。
【0040】
[本体部14]
図1図2に示されるように、本体部14は、本実施形態では、外形が直方体形状である中空の容器である。本体部14は、先端側に形成された開口部14aと、第1径方向18の一方側に形成された開口部14b及び3つの開口部14cと、を有する。また、本体部14には、表示部62と、3つの操作部63と、コネクタ64とが固定されている。コネクタ64は、先端側の開口部14a内に配置されている。表示部62は、開口部14bから露出している。3つの操作部63は、それぞれ3つの開口部14cから露出している。
【0041】
図2に示されるように、本体部14は、先端側に形成された開口部14aの周囲に、係合凹部45と、2つの被係合部46と、を備えている。
【0042】
係合凹部45は、先端側に延びる円筒状の円筒部45aと、円筒部45aの先端から径方向外側に拡がるフランジ部45bと、を備えている。円筒部45aの外周面はフランジ部45bの外周面に対して凹んでいる。そのため、プローブ部13の係合凸部55が、本体部14の係合凹部45に係合可能である。
【0043】
2つの被係合部46は、プローブ部13の2つの係合部58に対応しており、第1径方向18に沿って並んで配置されている。被係合部46は、第1凹部46aと、第2凹部46bと、係合片46cと、を有する。第1凹部46aは、本体部14の先端面及び第1径方向18における外面から凹んで形成されている。第2凹部46bは、第1凹部46aの後端側において、第1径方向18における外面から凹んで形成されている。係合片46cは、第1径方向18の外側に延びる部位であって、第1凹部46a及び第2凹部46bを区画している。プローブ部13の各係合片58bが、本体部14の各第2凹部46bに係合可能である。
【0044】
分離された状態のプローブ部13を本体部14に対して後端側へ移動させることによって、プローブ部13を本体部14に取り付けることが可能である。プローブ部13が本体部14に接近するときに、まず、プローブ部13の係合片58bが本体部14の第1凹部46a内に進入する。プローブ部13がさらに後端側へ移動すると、プローブ部13の係合片58bが本体部14の係合片46cに当接する。係合部58(プローブ部13)は樹脂で形成されているので、この移動に伴ってプローブ部13の延出部58aが弾性変形して、プローブ部13の係合片58bが本体部14の係合片46cを乗り越える。その結果、プローブ部13の係合片58bが本体部14の第2凹部46b内に進入して、プローブ部13の係合部58が本体部14の被係合部46に係合する。また、係合凸部55(プローブ部13)は樹脂で形成されているので、この移動に伴ってプローブ部13の係合凸部55が弾性変形して、本体部14のフランジ部45bを乗り越える。その結果、プローブ部13の係合凸部55が本体部14の係合凹部45に係合する。このようにして、プローブ部13が本体部14に取り付けられる。逆に、プローブ部13を本体部14から先端側へ移動させることによって、同様にプローブ部13の弾性変形を利用して、プローブ部13が本体部14から取り外される。
【0045】
[表示部62]
表示部62は、測定されたAGEsの蓄積量及び皮膚30の弾性係数を表示するデバイスである。表示部62は、少なくとも文字表示が可能に構成されており、例えば、液晶パネルである。
【0046】
[操作部63]
操作部63は、制御部66(図6)にユーザが指令を入力するためのデバイスである。操作部63は、例えば、押しボタンである。
【0047】
[コネクタ64]
コネクタ64は、プローブ部13に設けられたコネクタ56に電気的に接続可能なコネクタである。コネクタ64は、本体部14にプローブ部13が装着された状態(図1参照)において、プローブ部13に設けられたコネクタ56と電気的に接続される。
【0048】
[電気的構成]
図6を参照して、携帯型測定器10の電気的構成が説明される。携帯型測定器10は、本体部14内に、制御部66、電源部67、及び信号処理部68を備えている。
【0049】
制御部66は、CPU(中央演算処理装置)及びメモリを備えており、当該メモリ内には携帯型測定器10の作動を制御するための各種プログラムが記憶されている。制御部66は、操作部63から入力された指令に基づいて、信号処理部68、コネクタ56、64を介して、紫外LED31の点灯を制御し、且つ表示部62の表示を制御する。また、制御部66には、フォトダイオード32及び接触圧センサ24からの検出信号が、コネクタ56、64及び信号処理部68を介して、入力される。
【0050】
電源部67は、例えば、リチウムイオン電池である。電源部67は、制御部66からの指令に基づき、紫外LED31、表示部62、及び信号処理部68に電力を供給する。
【0051】
信号処理部68は、信号処理のための回路であり、例えば、増幅回路、A/D変換回路、及び紫外LED31の駆動回路を含む。信号処理部68は、駆動電流を出力する。駆動電流は、コネクタ56、64を介してセンサチップ26の紫外LED31に送信される。また、信号処理部68は、コネクタ56、64を介してセンサチップ26のフォトダイオード32から受信した電気信号を増幅し、デジタル信号に変換する。
【0052】
[蓄積量演算部71、変形量演算部72、及び弾性係数演算部73]
制御部66は、蓄積量演算部71、変形量演算部72、及び弾性係数演算部73を備えている。蓄積量演算部71は、フォトダイオード32によって検出された蛍光16の強度に基づいて、励起光15が照射された単位面積当たりの皮膚30内のAGEsの蓄積量を演算する。変形量演算部(変形量センサの一例)72は、当接部材11が当接された皮膚30の変形量(凹み量)82を演算する。上述したように、接触圧センサ24によって検出された接触圧と弾性部材23の弾性係数とに基づいて、皮膚30の変形量82が特定される。ことを利用して、変形量演算部72は、皮膚30の変形量82を演算できる。したがって、変形量演算部72は、当接部材11が当接された皮膚30の変形量(凹み量)82を検出するセンサとして機能する。弾性係数演算部73は、接触圧センサ24によって検出された接触圧及び皮膚30の変形量82に基づいて、皮膚30の弾性係数を演算する。
【0053】
[蓄積量測定部及び弾性係数測定部]
携帯型測定器10は、上述の構成により、AGEsの蓄積量を測定する蓄積量測定部と、皮膚30の弾性係数を測定する弾性係数測定部とを備えている。蓄積量測定部は、紫外LED31と、フォトダイオード32と、蓄積量演算部71とを備えている。弾性係数測定部は、接触圧センサ24と、変形量センサとしての変形量演算部72と、弾性係数演算部73とを備えている。
【0054】
[使用例]
携帯型測定器10は、例えば、以下のようにして使用される。ユーザは、把持部材12の一部である本体部14を指で挟むことによって、携帯型測定器10を把持する。ユーザは、操作部63を入力操作することによって、携帯型測定器10を起動させる。ユーザは、起動した携帯型測定器10を移動させて、当接部材11を例えば自らの顔の皮膚30に向けて接近させる。ユーザは、プローブ部13の接触面51bが皮膚30に接触するまで、携帯型測定器10を皮膚30に向けて押し付ける。その結果、皮膚30が当接部材11によって凹まされると共に、当接部材11がプローブ部13内へと押し込まれる。皮膚30に当接部材11が接触しさらには当接すると、皮膚30から当接部材11に加わる接触圧が接触圧センサ24によって検出される。接触圧センサ24から接触圧に対応する電気信号が制御部66に向けて出力される。
【0055】
接触圧に対応する電気信号が入力されると、制御部66は、紫外LED31を起動させて励起光15を照射させる。励起光15の照射により皮膚30内のAGEsから蛍光16が発生する。当該蛍光16は、フォトダイオード32によって検出される。フォトダイオード32から、蛍光16の強度に対応する電気信号が出力される。当該電気信号は、信号処理部68を経由して制御部66に入力される。制御部66の蓄積量演算部71は、蛍光16の強度に対応する電気信号に基づいて、単位面積当たりの皮膚30内のAGEsの蓄積量を演算する。
【0056】
接触圧に対応する電気信号が入力されると、制御部66の変形量演算部72は、当該電気信号に基づいて、皮膚30の変形量82を演算する。また、制御部66の弾性係数演算部73は、検出された接触圧及び演算された皮膚30の変形量82に基づいて、皮膚30の弾性係数を演算する。
【0057】
制御部66は、AGEsの蓄積量に応じて、AGEsの蓄積量に応じたAGEsの評価結果を算出してもよい。AGEsの評価結果は、例えば、AGEsの蓄積量に対応する推定年齢である。同様に、皮膚30の弾性係数に応じて、皮膚30の弾性の評価結果を算出してもよい。皮膚30の弾性の評価結果は、例えば、肌年齢である。
【0058】
制御部66は、演算されたAGEsの蓄積量及び皮膚30の弾性係数を表示部62に表示させる。制御部66は、AGEsの蓄積量及び皮膚30の弾性係数に代えて又は加えて、AGEsの蓄積量の評価結果及び皮膚30の弾性の評価結果を、表示部62に表示させてもよい。
【0059】
接触圧に対応する電気信号が消失すると、制御部66は、紫外LED31の駆動を停止させる。AGEsの蓄積量及び皮膚30の弾性係数の計測が終了すると、ユーザは、操作部63を入力操作することによって、携帯型測定器10を停止させる。
【0060】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態に係る携帯型測定器10によれば、蛍光性物質(AGEs)の蓄積量を測定する蓄積量測定部(31、32、71)が、筐体20に収納又は支持されている。そのため、上記構成の携帯型測定器10は、皮膚30内に蓄積されている蛍光性物質(AGEs)の蓄積量の測定を可能としながら、携帯可能である。
【0061】
また、蛍光性物質(AGEs)の蓄積量を測定する蓄積量測定部(31、32、71)と、皮膚30の弾力に対応する皮膚30の弾性係数を測定する弾性係数測定部(24、72、73)とが、同一の筐体20に支持されている。そのため、上記構成の携帯型測定器10は、皮膚30内に蓄積されている蛍光性物質(AGEs)の蓄積量の測定と、皮膚30の弾力の測定とを共に可能としながら、携帯可能である。
【0062】
また、上記実施形態によれば、皮膚30の変形量82が、当接部材11が皮膚30に当接していないときに当接部材11が接触面51bから突出している突出距離81から、皮膚30に当接部材11及び接触面51bが当接しているときの弾性部材23の変形量83を減算することによって、演算される。皮膚30の変形量82を直接的に検出するセンサを用いることなく、皮膚30の変形量82が検出されるので、センサに要するコストが軽減される。
【0063】
また、上記実施形態によれば、紫外LED31及びフォトダイオード32が当接部材11に収納され、接触圧センサ24が当接部材11に固定されている。そのため、当接部材11が皮膚30に当接したときに、紫外LED31が皮膚30に励起光15を照射でき、フォトダイオード32が蛍光16を受光でき、接触圧センサ24が接触圧を検出できる。
【0064】
また、上記実施形態によれば、本体部14に、表示部62、蓄積量演算部71、変形量演算部72、及び弾性係数演算部73が収納され、プローブ部13に弾性部材23が収納され、プローブ部13に支持される当接部材11に紫外LED31及びフォトダイオード32が収納され且つ接触圧センサ24が固定されている。プローブ部13が、本体部14に対して着脱可能なので、紫外LED31、フォトダイオード32、及び接触圧センサ24の交換が容易である。
【0065】
また、上記実施形態によれば、ピーク波長が370nmである励起光15が照射されるので、波長が370nmである励起光15に対して440nmの蛍光を発するAGEsの蓄積量が、効率よく測定される。
【0066】
[変形例]
上記実施形態においては、携帯型測定器10は、蓄積量測定部(31、32、71)及び弾性係数測定部(24、72、73)を備え、蓄積量測定部(31、32、71)及び弾性係数測定部(24、72、73)が同一の筐体20に収納又は支持されている。このような構成に代えて、携帯型測定器10は、蓄積量測定部(31、32、71)のみを備え、蓄積量測定部(31、32、71)が筐体20に収納又は支持されてもよい。
【0067】
上記実施形態においては、皮膚30の変形量82は、当接部材11が皮膚30に当接していないときに当接部材11が接触面51bから突出している突出距離81から、弾性部材23の変形量83を減算して演算されている。この演算は、変形量演算部72によって行われている。このような構成に代えて、携帯型測定器10は、皮膚30の変形量82に対応して変化する弾性部材23の変形量83(当接部材11の移動量)を検出するセンサを備えてもよい。あるいは、携帯型測定器10は、皮膚30の変形量82を直接的に検出するセンサ、例えばレーザー距離センサを備えてもよい。
【0068】
上記実施形態においては、弾性部材23として圧縮コイルバネが用いられているが、スポンジ、ポーラス弾性体、ゲル弾性体などの弾性体が用いられてもよい。
【0069】
上記実施形態においては、当接部材11は、紫外LED31及びフォトダイオード32を収納しているが、紫外LED31及びフォトダイオード32が配置される位置は限定されない。紫外LED31及びフォトダイオード32は、筐体20内であれば、当接部材11の代わりに、プローブ部13又は本体部14内に配置されてもよい。
【0070】
上記実施形態においては、把持部材12は、プローブ部13と、プローブ部13が着脱可能な本体部14とを備えているが、把持部材12は、分離しない一体的な容器で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10・・・携帯型測定器
11・・・当接部材
12・・・把持部材
13・・・プローブ部
14・・・本体部
15・・・励起光
16・・・蛍光
20・・・筐体
23・・・弾性部材
24・・・接触圧センサ
30・・・皮膚
31・・・紫外LED(照射部の一例)
32・・・フォトダイオード(受光部の一例)
51b・・・接触面
62・・・表示部
71・・・蓄積量演算部
72・・・変形量演算部(変形量センサの一例)
73・・・弾性係数演算部

図1
図2
図3
図4
図5
図6