【実施例】
【0046】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0047】
サツマイモ皮の傷害部位(コルク化部位)における抗酸化物質の解析
市販のサツマイモ青果の外皮おいて見られた健常部位及び傷害部位から、それぞれ脂質成分を抽出して分析した。サツマイモ皮から健常部2.2gと傷害部2.5gをピーラーで採取し、素早く裁断後、95%エタノール15mLに浸漬し、一晩震盪抽出した。
【0048】
抽出液をろ過(アドバンテックNo.1ろ紙)後、ロータリーエバポレーターで濃縮乾固した。以下、このようにして得られる濃縮乾固物をエキスと表記することがある。エキス量は健常部で0.16g(7.3%)、傷害部で0.15g(5.9%)であった。得られたエキスをケイ酸薄層クロマトグラフィー(以下、TLC)にて分析した。展開溶媒はクロロホルム/メタノール/水(90:10:1, v/v/v)を用いた。0.5mMのDPPH溶液をプレートに噴霧したところ、脂溶性成分が展開されるRf値0.5付近に強いラジカル消去活性を有する成分が検出された(
図1aのA)。また、この成分は健常部よりも傷害部で多かった。なお、当該TLCプレートを10%硫酸に浸漬して加熱した結果を
図1aのBに示す。また、「DPPH」は2,2−diphenyl−1−picrylhydrazylを示す。
【0049】
上記抽出液濃縮乾固物にクロロホルム/メタノール(2:1)9mLを添加し溶解した後に、水2.25mLを添加して撹拌した。遠心分離(3000rpm、5分間、室温)した後、下層を採取してロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、それを全脂質とした。全脂質の収量は健常皮部で13.3mg(エキスあたり8.3%)、傷害皮部で15.6mg(エキスあたり10.4%)であった。
【0050】
全脂質をDPPHを用いたラジカル消去活性試験に供した。すなわち、0.1mMのDPPHエタノール溶液を調製し、そこから40μlを96穴マイクロプレートに添加し、コントロールのエタノール160μl添加し、全脂質0.2mg/mlエタノール溶液を50μl、80μl、100μl、又は160μlそれぞれ添加し、さらにエタノールを最終液量200μlになるように添加した。添加後混合し、暗所で30分間静置し、517nmに波長をマイクロプレートリーダー(TECAN SPARK 10M)で測定した。ラジカル消去活性は試料無添加のコントロールの吸光値に対する退色率(%)として求めた。傷害皮では健常皮よりも各濃度において高いラジカル消去活性を示した(
図1b)。
【0051】
キュアリングによるサツマイモ皮における抗酸化物質産出の解析
市販のキュアリング処理していないサツマイモ青果(鳴門金時)を試料とした。サツマイモの脂溶性画分の抗酸化性に及ぼすキュアリングの影響を見るため、一部をキュアリング処理した。すなわち、水を張ったメッシュ付きバットの上に水に直接触れないようにサツマイモを載せてラップをし、35℃に設定した恒温機に入れ、5日間静置した。その後、未処理芋とともにピーラーで同じ厚さで皮を剥き、未処理芋で5.2g、キュアリング品で3.4gの皮を得た。それを3倍容の99%エタノールで上記と同様に抽出し、さらに抽出液をろ過(アドバンテックNo.1ろ紙)後、ロータリーエバポレーターで濃縮乾固した。未処理芋で0.03g(収率0.57%)、キュアリング品で0.03g(収率0.88%)のエキスを得た。これを9mLのクロロホルム/メタノール(2:1)で溶解した後に、水2.25mLを添加して撹拌した。遠心分離(3000rpm, 5分間,室温)した後、下層を採取してロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、それを全脂質とした。全脂質の収量は未処理芋で14.0mg(エキスあたり46.7%)、キュアリング処理品で13.5mg(エキスあたり45.0%)であった。
【0052】
得られた全脂質をTLCにて分析した(
図2a)。展開溶媒はクロロホルム/メタノール/水(65:16:2, v/v/v)を用いた。レーン1は上記非特許文献2(H. Kondo et al., Biotechnol. Appl Biochem., Volume 61, Number 4, Pages 401-407, 2014)に基づいて酵素反応により化学的に製造したカフェ酸パルミチル(以下、「CA16」と表記することがある)10μgである。0.5mMのDPPH溶液をプレートに噴霧したところ、キュアリング処理した芋ではCA16と同じRf値に強いラジカル消去活性を有する成分が検出された(以下、当該成分を「CA−Alk」と表記することがある)。実施例1と同様にラジカル消去活性を評価すると(
図2b)、キュアリングサツマイモでは未処理のものよりも各濃度において高いラジカル消去活性を示した。
【0053】
キュアリング(専用工場手法)サツマイモの皮部と果肉部の比較
市販のキュアリング処理済みのサツマイモ(紅あずま)を試料とした。当該試料のキュアリングとは、産地の専用工場にて湿度95%、33℃で数日間貯蔵処理を行ったものである。皮部をピーラーで1〜2mm程度の厚さで剥き、7.8gの皮部を得た。果肉部については、ピーラーで5mm程度の厚さで皮をよく剥き、その後、皮のついていない果肉部として50.1gを得た。果肉部は素早く細断し、そのうち8.2gにすぐに抽出溶媒を添加した。それぞれ3倍容の95%エタノールで抽出し、上記と同様の操作を行い、皮部で0.1g(1.3%)、果肉部で0.2g(2.4%)のエキスを調製した。さらに、クロロホルム/メタノール(2:1)を用いて上記と同様に全脂質を調製した。全脂質の収量は、皮部では21.9mg(エキスあたり21.9%)、果肉部では21.2mg(エキスあたり10.6%)であった。
【0054】
得られた全脂質をTLCにて分析した(
図3a)。展開溶媒はクロロホルム/メタノール/水(65:16:2, v/v/v)を用いた。0.5mMのDPPH溶液をプレートに噴霧したところ、市販のキュアリングサツマイモでは、CA16と同じRf値およびその近傍に強いラジカル消去活性が認められ、キュアリングすることで青果(キュアリング無し)よりも抗酸化性が上がっていると考えられた。一方、果肉部では非常に弱い活性しか見られなかった。上記と同様にラジカル消去活性を評価すると(
図3b)、果肉部の活性は非常に弱く、キュアリングサツマイモ皮部では果肉部よりも各濃度において高いラジカル消去活性を示した。このことから、切断や傷害のないサツマイモであってもキュアリング処理することにより抗酸化性物質を皮部において産出すると考えられた。
【0055】
サツマイモ果肉部のキュアリングによる抗酸化物質産出の検討
市販キュアリングサツマイモから、果肉部がつかないようにピーラーで薄皮を採取した(サンプル1)。また、上記「キュアリング(専用工場手法)サツマイモの皮部と果肉部の比較」での操作と同様に、果肉部が5mm程度つくようにピーラーで厚皮を採取した(サンプル2)。サンプル1と2を採取後2日間室温で放置すると、表面がコルク化したので、さらにサンプルを採取した。サンプル1を採取後の果肉部を数ミリ厚になるようにピーラーで採取した(サンプル3)。サンプル2を採取後の果肉部を数ミリ厚になるようにピーラーで採取した(サンプル4)。サンプル1(2.7g)、サンプル2(4.3g)、サンプル3(7.5g)およびサンプル4(6.2g)を3倍容の99%エタノールで抽出し、上記と同様の操作を行い、サンプル1で0.04g(1.5%)、サンプル2で0.03g(0.7%)、サンプル3で0.21g(2.8%)、サンプル4で0.16g(2.6%)のエキスを調製した。
【0056】
さらに、クロロホルム/メタノール(2:1)を用いて上記と同様に全脂質を調製した。全脂質の収量は、サンプル1で15mg(エキスあたり37.5%)、サンプル2で14mg(エキスあたり46.6%)、サンプル3で30mg(エキスあたり14.2%)、サンプル4で44mg(エキスあたり27.8%)であった。
【0057】
得られた全脂質をTLCにて分析した(
図4a)。サンプル1、2、3、及び4を、それぞれ、レーン1、2、3、及び4において展開した。展開溶媒はクロロホルム/メタノール/水(65:16:2, v/v/v)を用いた。0.5mMのDPPH溶液をプレートに噴霧したところ、サンプル1ではCA16の位置に相当するスポットはほとんど見られず(レーン1)、薄皮下の果肉部に多いことが分かった(レーン2)。さらに、上記「キュアリング(専用工場手法)サツマイモの皮部と果肉部の比較」では果肉部での脂溶性抗酸化活性は非常に低かったが、コルク化した果肉部では抗酸化成分が増加することが分かった(レーン3と4)。また、上記と同様にラジカル消去活性を評価すると、未処理の果肉部はほとんど抗酸化性を示さなかったが、コルク化により強い抗酸化活性(ラジカル消去活性)を示すことが分かった(
図4b)。なお、
図4bにおける未処理果肉部の活性データは
図3bにおける果肉部の活性データと同じであり、また
図4bにおけるコルク化果肉部のデータはサンプル4を用いて得たデータである。
【0058】
脂溶性抗酸化成分の製剤化のための基剤の検討
サツマイモは果肉の内部までコルク化し抗酸化物質を産出することが分かったので、サツマイモ全体を用いて検討を行った。市販のサツマイモ青果2個(紅あずま、490g)をピーラーで皮を剥き、1時間放置した後、果肉部を包丁で3〜5mm厚程度にスライスした。重ならないように5日間約25℃で静置した。サツマイモは徐々にコルク化しながら乾燥し、果肉部で185g、皮部で14gが得られた。ミルサーで粉砕後、果肉部と皮部にそれぞれ99%エタノールを740mLと57mL添加し、抽出を行い、濃縮乾固した。得られた抽出物重量は果肉部と皮部でそれぞれ2.5g(1.35%)と0.26g(1.80%)であった。果肉部抽出物はさらに99%エタノール125mLに溶解して自然ろ過(アドバンテックNo.1)し、濃縮乾固後、1.67gのエキスが得られ、それをエタノール33mlに溶解した(定量用サンプル)。そこから一部を100mLナスフラスコ2個にそれぞれ分取し、濃縮乾固した。得られたエキスの重量は0.32gと0.35gであった。皮部抽出物0.26gは99%エタノール13mLを添加して同様にろ過・濃縮乾固した。得られたエキスの重量は0.22gであった。
【0059】
エキス中に含まれる脂溶性抗酸化成分の製剤化を検討するために、オリーブ油と1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)への溶解性試験を行った。果肉エキス0.32gにオリーブオイル2.16gを、皮エキス0.22gにオリーブオイル1.46gを添加した。また、果肉エキス0.35gには1,3−BGを2.34g添加した。すべて60℃に保温しながら撹拌した。果肉エキスはでんぷん質を含み溶液中での分散性が悪いため、エタノール2mLを添加して全体を溶解した。その後、ロータリーエバポレーターでエタノールを完全に留去した。各サンプルを試験管に移し、室温に戻してから遠心分離(5000rpm、15分間、25℃)し、液層を丁寧に回収した。沈殿物はTLC分析のためにエタノール0.5mLを添加してよく撹拌し、液部を回収した。
各サンプルをTLC分析(展開溶媒はクロロホルム/メタノール/水(90:10:1, v/v/v))に供し上記と同様にして脂溶性抗酸化成分を検出した。0.5mM DPPH溶液噴霧結果を
図5に示す。
図5における各レーンで展開したサンプルは、次の通りである。
1. コルク化皮エキス−オリーブオイル抽出
2. コルク化果肉エキス−オリーブオイル抽出
3. コルク化果肉エキス−BG抽出(BG濃縮除去エタノール溶液)
4. 1の遠心沈殿物エタノール溶液
5. 2の遠心沈殿物エタノール溶液
6. 3の遠心沈殿物エタノール溶液
【0060】
コルク化果肉エキスに含まれていたCA−Alkは、オリーブオイルの沈殿部(レーン5)には検出されず、すべてオイル中に回収されていた(レーン2)。しかし、TLC上のRf値0〜0.15付近の高極性抗酸化成分の一部は沈殿部で検出された。一方、1,3−BG抽出では液部にもCA−Alkが検出されたが(レーン3)、沈殿部にも多くのCA−Alkが検出され、さらに低極性成分も含まれていた(レーン6)。
【0061】
サツマイモをコルク化処理したエキス(上記、定量用サンプル)中のCA−AlkをTLCデンシトメトリー法により定量すると2.7%であった。
【0062】
他の植物との比較
メロンの表面のコルク化組織を採取した。ジャガイモは1cm角に細切りし、5日間自然乾燥させコルク化させた。他にジャガイモ表面に包丁で傷をつけ、日光にあたるように5日間自然乾燥させた。その後、傷をつけたジャガイモは皮部、皮直下の果肉部、果肉部に分けた。ゴボウはピーラーで皮を剥き皮部と果肉部に分け、粗く切った後すぐに加熱真空乾燥してコントロールとした。そのまま3cmほどの長さに切断したもの、およびピーラーで皮と果肉部(3cmほど)に分けたものをそれぞれ4日間室温に放置しコルク化させた。これらの試料をすべて真空乾燥処理した後、粉砕して99%エタノールで抽出した。上記と同様に全脂質を調製しTLCで分析した(
図6)。メロンや、コルク化したジャガイモと傷ジャガイモ皮直下には
図6のBで示されるように抗酸化成分がわずかに検出されるのみで、サツマイモで見られるCA−Alkに相当するスポットは検出されなかった。ゴボウの果肉部ではCA−Alkよりも低極性であるが、未処理の果肉部にはない抗酸化成分がコルク化ゴボウに複数含まれていた(
図6のC)。
【0063】
脂溶性抗酸化成分の構造解析
展開溶媒としてヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(70:30:1、v/v/v)を用いてTLCで脂溶性抗酸化成分(コルク化処理したサツマイモ果肉部から抽出したもの)を分離し(
図7のA;右側がDPPH溶液噴霧処理、左側が10%硫酸浸漬加熱処理)、さらにLC−MSおよびGC−MSで分析した。分析条件は次の通りである。
装置:島津 Prominence−i LC−2030C、検出器:島津LCMS−2020 ESI、スキャンモード m/z 150−600、ネガティブイオンモード、インターフェイス温度:350℃、ネブライザー流量1.5L/min、ヒートブロック温度:200℃、A液:5mMギ酸アンモニウム/メタノール、B液:5mMギ酸アンモニウム、アイソクラティック条件 (A/B=98:2)、フローインジェクション、流速:0.2ml/min。
【0064】
LC−MS解析により、CA−Alkに相当するスポットXからは主に2つのピークが検出され、M−1のイオンとして403と431であった(
図7のB)。
【0065】
TLCにおけるスポットXをトリメチルシリルエーテル誘導体化してGC−MS(装置:島津QP2010、カラム:ULBON HR−1)にて分析した。LC−MSの結果と同様に主に2つのピークが検出され、そのうち分子量548のマススペクトルの結果を
図7のCに示す。マススペクトルの解析の結果から、カフェ酸パルミチルエステルのトリメチルシリル誘導体であることが分かった。これらの結果から、スポットXには、分子量404のカフェ酸パルミチルと分子量432のカフェ酸ステアリルが多く含まれることが分かった。
【0066】
同様に解析した結果、スポットYからはフェルラ酸アルキルが、スポットZからはクマル酸アルキルが検出された(
図7のD)。
【0067】
以上のことから、スポットXの主成分はカフェ酸誘導体であり、スポットYの主成分はフェルラ酸誘導体であり、スポットZの主成分はクマル酸誘導体であると考えられた。
【0068】
コルク化サツマイモ抽出物とオリーブオイルとの組み合わせによる効果の検討
キュアリング処理(33℃、湿度95%、100時間)したサツマイモを水で洗浄後、約1cm角のダイス状にカットし40℃で送風乾燥した。乾燥イモを粉砕機で粉砕後、5倍容の95%エタノールで抽出した。吸引ろ過により固液分離した液部を濃縮し、エキスを得た。エキスはクロロホルム/メタノール/水(8:4:3)の比率で2層分配し、下層を濃縮乾固後、全脂質とした。本全脂質をTLC−デンシトメトリー法で定量したところ、CA−Alkは4%含まれていた。全脂質を5mg/mlエタノール溶液として調製し、ここから脂質として150μgをとり、コルク化サツマイモ抽出物被験サンプルとした。
また、市販オリーブオイルをケイ酸カラムクロマトグラフィーで分画して得たオリーブオイル精製画分を秤量し、5mg/mlになるようにエタノールに溶解し、そこから25μgをとり、これをオリーブオイル被験サンプルとした。
なお、市販オリーブオイルの分画は、次のようにして行った。ケイ酸カラムクロマトグラフィーにオリーブオイル2gを供し、クロロホルムで油脂を溶出した後、さらにクロロ
ホルム/メタノール(2:1)とメタノールで溶出して、当該溶出画分をオリーブオイル精製画分とした。
【0069】
コルク化サツマイモ抽出物被験サンプル単独(
図8では「CA−Alk」)、オリーブオイル被験サンプル単独(
図8では「Olv」)、又はコルク化サツマイモ抽出物被験サンプル及びオリーブオイル被験サンプルの組み合わせ(
図8では「Olv+CA−Alk」)、を上記と同様にしてDPPHを用いたラジカル消去活性試験に供し、それぞれのラジカル消去活性を測定した。結果を
図8に示す。ラジカル消去活性は、コルク化サツマイモ抽出物被験サンプル単独では13.5%、オリーブオイル被験サンプル単独では4.7%であった。
図8の左側グラフは、これらのラジカル消去活性を単純に足し合わせた結果を示す。一方、コルク化サツマイモ抽出物被験サンプル及びオリーブオイル被験サンプルの組み合わせでは28.2%であった。
図8の右グラフは、この組み合わせのラジカル消去活性を示す。このことから、コルク化サツマイモ抽出物とオリーブオイルとを組み合わせることにより、それぞれ単独で用いる場合に比べて、抗酸化効果が著しく向上することがわかった。
【0070】
コルク化サツマイモ抽出物のメラニン生成抑制効果の検討
マウスB16メラノーマ細胞(以下「B16細胞」)を用いて、コルク化サツマイモ抽出物のチロシナーゼ活性阻害効果、メラニン生成抑制効果、及びメラニン関連遺伝子発現抑制効果、について、次のようにして検討した。なお、以下の各検討で用いた400μg/mL CA−Alk溶液は、全脂質エタノール溶液から10mg(4%のCA−Alkを含有)を取り、窒素乾固後に1mLのDMSOに溶解して調製したものである。
【0071】
<チロシナーゼ活性阻害効果の検討>
96ウェルプレートにB16細胞を1.0×10
4cells/well播種し、24時間培養した。
DMSOにより400μg/mL CA−Alk溶液を公比2で連続希釈し、計3濃度調製した(100、200、又は400μg/mL)。10ng/mL αMSH(α-メラノサイト刺激ホルモン)含有DMEMにより上記CA−Alk溶液を200倍希釈した(0.5、1、又は2μg/mL)。陰性対照にはDMSO、比較対照にはメラニン色素生成抑制効果を有する美白成分として知られるβアルブチンを使用した(0.5、1、又は2μg/mL)。
24時間後、PBSにより96ウェルプレートを洗浄し、上記のようにして調製したαMSHおよび被験物質含有DMEMを加え72時間培養した。72時間後、0.5%TritonX−100および10mM L−DOPA溶液を添加し、L−DOPA添加直後の475nmの吸光度(OD475)および37℃、60分間反応させた後のOD475からチロシナーゼ活性(αMSH添加無し陰性対照を100としたときの相対値)を測定した。
結果を
図9に示す。
図9中、*はαMSH添加無し陰性対照と比べて有意(p<0.05)であることを、**はαMSH添加無し陰性対照と比べて有意(p<0.01)であることを、それぞれ示す。
【0072】
<メラニン生成抑制効果の検討>
6ウェルプレートにB16細胞を1.0×10
5cells/well播種し、24時間培養した。
DMSOにより400μg/mL CA−Alk溶液を公比2で連続希釈し、計3濃度調製した(100、200、又は400μg/mL)。10ng/mL αMSH含有DMEMにより上記リポフェノール溶液を200倍希釈した(0.5、1、又は2μg/mL)。陰性対照にはDMSO、比較品にβアルブチン(2μg/mL)を使用した。
24時間後、PBSにより6ウェルプレートを洗浄し、上記のようにして調製したαMSHおよび被験物質含有DMEMを加え72時間培養した。72時間後、PBSにより6ウェルプレートを洗浄し、トリプシンにより細胞をはがして細胞数を測定した。具体的には、10
5cellsあたり100μLの2M NaOHを加え、60℃、3分間加熱してメラニンを可溶化し、このようにして得られた50μLの可溶化メラニンを150μL PBSに溶解し、マイクロプレートリーダーにより500nmの吸光度を測定した。また、可溶化メラニンの画像を撮影した。結果を
図10に示す。
【0073】
<メラニン関連遺伝子発現抑制効果の検討>
35mmデッシュにB16細胞を1.5×10
5cells/dish播種し、24時間培養した。
DMSOにより400μg/mL CA−Alk溶液を希釈し、100μg/mLに調製した。10ng/mL αMSH含有DMEMにより上記CA−Alk溶液を200倍希釈した(0.5μg/mL)。陰性対照にはDMSO、比較品にβアルブチンを使用した。
24時間後、PBSにより30mmディッシュを洗浄し、上記のようにして調製したαMSHおよび被験物質含有DMEMを加え48時間培養した。48時間後、PBSにより30mmディッシュを洗浄し、B16細胞からRNA抽出しcDNAを合成した。合成したcDNAを用いてRT−qPCRを行い、各遺伝子の発現状況を測定した。なお、測定した遺伝子はTyr、Mitf、Pmel17である。また、RT−qPCRは、キット:Invitrogen
TM Custom DNA Oligos(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いて行った。当該キットにおける各遺伝子検出用のプライマーの塩基配列は次の通りであった。
Tyr(foward: CCAGAAGCCAATGCACCTAT, reverse: ATAACAGCTCCCACCAGTGC)
Mitf (foward: CTAGAGCGCATGGACTTTCC, reverse: AAGTTGGAGCCCATCTTCCT)
Pmel17 (foward: TTGTTGTTGCTGGTCAAGACG, reverse: GAAACTGAGCCCTGCTTCTTA)
Gapdh (foward: AGGTCGGTGTGAACGGATTTG, reverse:TGTAGACCATGTAGTTGAGGTCA)
(Gapdhはコントロールとして使用した。)
結果を
図11に示す。