特許第6793968号(P6793968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793968
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】運動用マシン
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/005 20060101AFI20201119BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20201119BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A63B21/005
   A63B24/00
   A61H1/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-560717(P2018-560717)
(86)(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公表番号】特表2019-511947(P2019-511947A)
(43)【公表日】2019年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2016082035
(87)【国際公開番号】WO2017133823
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】16425018.5
(32)【優先日】2016年2月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519433311
【氏名又は名称】アクイス・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(72)【発明者】
【氏名】キアヴェガト, マッティアールマンド
(72)【発明者】
【氏名】エングラロ, アレッサンドロ
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4402504(US,A)
【文献】 米国特許第4549733(US,A)
【文献】 特開2009−131347(JP,A)
【文献】 特開平11−347148(JP,A)
【文献】 特開平1−145084(JP,A)
【文献】 特開2006−167094(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102014111450(DE,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103976844(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00−26/00
A61H 1/00− 5/00
A61H99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体操運動用マシンであって、
スライドレール(3)と、
前記スライドレール(3)に摺動可能に取り付けられたキャリッジ(4)と、
前記キャリッジ(4)に設けられ、それぞれの回転軸を中心に空転可能な第1プーリ(21)及び第2プーリ(22)と、
グリップ要素(6)と、
別個の接続端部(17)が前記グリップ要素(6)にそれぞれ接続された第1ケーブルブランチ(a)及び第2ケーブルブランチ(b)を有するケーブル牽引手段(16)と、
前記第1ケーブルブランチ(a)及び前記第2ケーブルブランチ(b)が前記第1プーリ(21)及び前記第2プーリ(22)の周りに少なくとも部分的に巻き掛けられ、前記グリップ要素(6)と前記第1プーリ(21)及び前記第2プーリ(22)のそれぞれとの間に画定された第1戻りセグメント(23)、及び、一方が前記キャリッジ(4)の第1側(25)に延びる一方、他方が前記キャリッジ(4)の前記第1側(25)とは反対側の第2側(26)に延び、且つ、実質的に前記スライドレール(3)に平行な第2戻りセグメント(24)とを含み、
第1負荷源(1)及び第2負荷源(2)は、前記第1ケーブルブランチ(a)及び前記第2ケーブルブランチ(b)の前記各第2戻りセグメント(24)にそれぞれ関連付けられ、前記負荷源(1,2)は、使用者(U)が前記グリップ要素(6)で牽引する間に前記グリップ要素で感じ取る一定の強度及び方向の抵抗力(R)を生成するように構成され、前記第1負荷源(1)及び前記第2負荷源(2)は、前記第1ケーブルブランチ(a)及び前記第2ケーブルブランチ(b)において、前記使用者(U)により加えられる力に抗する力を生成するのに適した第1モータ(36)及び第2モータ(37)をそれぞれ備え、前記第1モータ(36)及び前記第2モータ(37)には、前記第1モータ(36)及び前記第2モータ(37)が前記第1ケーブルブランチ(a)及び前記第2ケーブルブランチ(b)の動きに抗することができる力を制御するための制御装置(38)がそれぞれ付いていることを特徴とする体操運動用マシン。
【請求項2】
請求項に記載のマシンにおいて、
前記制御装置(38)は、制御指令ユニット(39)に接続され、前記第1モータ(36)及び前記第2モータ(37)の駆動を調整し、前記第1ケーブルブランチ(a)と前記第2ケーブルブランチ(b)とに付与される第1力(F1)及び第2力(F2)の実体を決定するように構成されていることを特徴とするマシン。
【請求項3】
請求項に記載のマシンにおいて、
前記制御指令ユニット(39)に接続され、使用者(U)が対話により運動の特定の実行モードを指示可能なインターフェース装置(40)を備え、前記インターフェース装置(40)によって出力される命令は、前記第1モータ(36)及び前記第2モータ(37)の駆動モードを決定するよう構成されていることを特徴とするマシン。
【請求項4】
請求項に記載のマシンにおいて、
前記インターフェース装置(40)は、前記グリップ要素(6)に関連付けられていることを特徴とするマシン。
【請求項5】
請求項からのいずれか1つのマシンにおいて、
前記制御指令ユニット(39)は、前記第1ケーブルブランチ(a)及び前記第2ケーブルブランチ(b)に作用するそれぞれの応力に対応するデータを検出器から受信し、前記データを処理し、前記使用者(U)によって行われたジェスチャを識別し、前記ジェスチャと前記制御指令ユニット(39)に記憶された所定の動作パターンとを比較するように構成され、前記マシンの特定の機能命令が、予め決められた各動作パターンに関連付けられることを特徴とするマシン。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1つのマシンにおいて、
前記スライドレール(3)に沿った前記キャリッジ(4)の位置又は前記第2戻りセグメント(24)に対する前記第1戻りセグメント(23)の角度のうちの少なくとも1つを検出するように構成された検出装置(41)を含むことを特徴とするマシン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のマシンにおいて、
前記第1ケーブルブランチ(a)と前記第2ケーブルブランチ(b)とは、互いに一体に接続されていることを特徴とするマシン。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1つに記載のマシンにおいて、
前記スライドレール(3)は、マシンフレーム(f)に対して、前記スライドレール(3)の長手方向延長部に平行な回転軸(X)周りに回転可能であることを特徴とするマシン。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1つに記載のマシンにおいて、
前記スライドレール(3)は、前記スライドレール(3)の長手方向の展開に直交する第2回転軸(Y)周りにおいて選択的に回転可能であることを特徴とするマシン。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1つに記載のマシンにおいて、
前記使用者(U)を支持するように構成されたプラットフォーム(p)を有するマシンフレーム(f)と、
前記プラットフォーム(p)に関連付けられ、前記プラットフォーム(p)上の前記使用者(U)の重量を検出するように構成されたセンサ(15a、15b、15c、15d)と、
前記センサ(15a、15b、15c、15d)に接続され、検出された重量データを処理し、検出されたデータの少なくとも1つが設定閾値を下回るときには常に警報信号を出力するように構成された警報システムとを備えていることを特徴とするマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動能力、機能的能力、筋力の発達や、医療又はリハビリテーションのための運動用マシンに関する。特に、本発明は、使用者が1つ以上のケーブル牽引手段を介して抵抗負荷源にそれぞれ接続された1つ以上のグリップ要素に働きかける運動用マシンに関する。
【背景技術】
【0002】
機能強度運動用マシンは、使用者が、従来のフリーウェイトエクササイズ(ダンベル、バーベルなど)を模倣して、空間内で比較的自由で複雑な動きを行うことを可能にし、広範囲の練習を行えることで知られている。これらのマシンは、一般的に、典型的なプーリの周りを摺動するケーブルを介してグリップ要素に伝えられる抵抗負荷により構成される。抵抗負荷は、ウェイトスタック、抵抗機器、空気圧又は電気アクチュエータを介して「生成」され得る。
【0003】
この種のマシンにおいては、抵抗負荷(すなわち、使用者がグリップ要素で感じ取り、特定の動きをするためにそれに対抗しなければならない力)は、常に、グリップ要素に負荷を伝えるケーブルの方向に沿って作用する。同様に、グリップ要素がより多くのケーブル又は同じケーブルのより多くのセグメントを含む場合(例として可能な構成が図1に示されている)、図1に示すように、使用者によって感じ取られる抵抗力の方向はベクトル合計によって与えられる。
【0004】
特許文献1では、フレームと少なくとも1つの操作器具とを備えた運動用マシンが開示されている。少なくとも1つの操作器具は、身体運動を行うために使用することができ、フレームに支持されるとともに、経路を画定するように配置されたフレームに支持される複数の伝達部材に巻き掛けられた少なくとも1本のケーブルによって前記操作器具に接続された負荷群を含む。負荷群は、互いに分離されるとともにケーブルによって互いに接続され、且つ、操作器具の両側の経路の端部に配置された少なくとも2つの負荷ユニットを含み、負荷ユニットは、異なる荷重によってそれぞれの反対側に張力をかけることができる。
【0005】
特許文献2では、運動用マシンの別の例が開示されており、該運動用マシンは、上部及び下部に上部プーリ及び下部プーリがそれぞれ取り付けられた細長いフレームを含む。フレームに動作可能に接続された抵抗手段は、使用者の運動動作に応じた運動力を提供する。2つの端部を有するケーブルは、上部及び下部のプーリの周りでその端部が抵抗手段に接続された状態で訓練される。ケーブルの中間部分に摺動可能に取り付けられたグリップは、フレームによって運ばれるキャリッジに取り付けられた2つのガイドプーリの周り及びその間において訓練される。ガイドプーリは、ケーブルの中間部分をキャリッジから横方向外側に案内して、グリップによる係合のための作動ループを提供する。キャリッジの高さは、フレームに対して選択的に調整可能である。作動ループの長さは、キャリッジの高さにかかわらず、引っ張られないと実質的に一定のままである。抵抗手段は、弾力性のある抵抗ストラップ、コイルバネ又はウエイトを含むことができる。
【0006】
特許文献3では、フレームとウェイトスタックとを含む運動用マシンが開示されている。ウェイトスタックは、フレームの一部に配置される。運動用マシンは、ウェイトスタックのウェイトプレートに選択的に取り付けるように構成された第1端部、経路を画定するガイドトラック、及びガイドトラックに摺動可能に結合された可動プーリアセンブリを有するウェイトケーブルをさらに備える。運動用マシンは、ウェイトスタックのウェイトプレートに選択的に取り付けるように構成された第1の端部、経路を規定するガイドトラック、ガイドトラックに摺動可能に結合された可動プーリ組立体とをさらに含む。位置決め機構は、可動プーリ組立体に連結され、可動プーリ組立体をガイドトラックによって画定された経路に沿って移動させて位置決めするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7670270号明細書
【特許文献2】米国特許第4402504号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0121071号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のケーブルトレーニングマシンでは、装置フレームからのケーブルの出口点が運動中に静止しているので(運動前に手動で調整することはできるが)、抵抗負荷の実際の方向はグリップ要素の空間内の位置に依存する。これは、空間内の特定の位置を想定し、特定の方法で運動を行うことによってのみ、使用者が抵抗負荷の方向を制御できることを意味する。例えば、使用者が空間内の任意の位置に対して抵抗力を一定方向に維持したい場合、グリップ要素をケーブルと平行に動かすことによって運動を行わなければならない(換言すれば、使用者は手作業でケーブルの向きを空間内で一定に保たなければならない)。
【0009】
抵抗力の方向を一定に保つことが困難であることは注目すべきことであるが、これとは逆に、フリーウェイトによる通常のウェイトリフティングにおいては抵抗負荷の方向が常に地面を指す(地球の重力に従う)ことが自然に生じる。
【0010】
さらに、従来の運動用マシンは、本質的、構造的、及び安全上の理由から、扱い難くて(支持フレームは、使用者が利用可能な実際の作業領域よりもかなり大きい)重い(総重量は運動に利用可能な重量/負荷よりもかなり重い)。
【0011】
さらに、従来の運動用マシンは、運動の開始、抵抗負荷の変更、運動の中断を含む一般的な作業を行うためのマシンのユーザーインターフェイスとして使用されるいくつかの手段を含み、これらの手段は、マシンのフレーム上に配置され、運動中に使用者が前記ユーザーインターフェース上で動作を実行することを禁止する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
「ベクトル化する」、「耐荷重をベクトル化する」という用語は、グリップ要素で大きさ及び方向の両方で感じ取る抵抗負荷を制御する使用者の能力を表しており、「ベクトル化システム」という用語は、このような能力を達成するために提供された、ここに開示された手段のシステムを表す。マグニチュードとは、グリップ要素で使用者が感じ取る重量又は力(例えば、5kg、25kg)を意味し、方向とは、抵抗負荷が所望の方向、例えば常に地面に向かって、又は水平面からの任意の角度、例えば40°で作用することを意味している。抵抗負荷をベクトル化する能力は、使用者の位置又は動きから実質的に独立している。負荷源は、ケーブルに特定の力を加えるのに適した手段又はシステムを意味する。それぞれがケーブルに接続された複数の負荷源を参照する場合、ある機構がケーブルの力を他の機構とは独立に制御できることが意図されている。或いは、両方のケーブルに同じ力が加えられると、そのような端部は独立して動くことができる。ベクトル化システムの挙動は、ベクトル化システム自体の前にケーブルを含むベクトル化システムが適切に動作するのに必要な力をケーブルに沿ってもたらすことができる特定の機構(例えば、滑車、ベクトル化システムの前に複雑なケーブル経路を作るために使用される伝達機構)に依存しない。複数の負荷源を参照する場合、各負荷源は互いに独立していること、すなわち各負荷源の力は独立して制御可能であることが意図されている。
【0013】
本発明の主要な目的は、抵抗負荷をベクトル化することができる運動用マシンを構築するための手段を提供することであり、使用者に、抵抗負荷の方向を常に地面に向けることにより、地球の重力に従うフリーウェイト(バーベル、ダンベル等)との関係を認識させるか、或いは、抵抗負荷の方向を制御された方法で変化させることにより、他の特定の効果及び運動タイプを可能にする。
【0014】
本発明の別の目的は、電子的に制御可能である場合には、負荷源をそれ自体だけを使用してケーブル出口点を特定の位置に移動または保持する能力を得ることである。
【0015】
本発明の別の目的は、マシンにおいて一連の特定の電気モータ構成を使用する能力を得ることであり、その目的は、ケーブルに抵抗負荷を発生させること、ベクトル化システムを制御すること、及びマシンを制御するために作られたユーザージェスチャーを認識するのに適したセンサとして作用することである。そのような能力は、電子的に制御された負荷源を有する任意のタイプの運動用マシンにおいて実施することができる。好ましいモータ構成により与えられる特殊性は、平坦でコンパクトなモータの設計によるものであり、システム全体を平坦な設計に導く。これは、コンパクトで且つ軽量な運動用マシンの実現に寄与する。
【0016】
本発明の別の目的は、運動用マシンを制御する中央コンピュータと通信する安全で且つ運動制御及びフィードバック装置を組み込んだグリップ要素の種類である。とりわけ、これらのグリップ要素は、従来の体重静止構造を必要とせずに(例えば、「チェストプレス」と呼ばれる一般的な運動を行うためにバーベルを保持してベンチに横たわる)、使用者が所定の位置にあり、運動の準備が整ったら、抵抗負荷を作動させ得る。さらに、緊急時には、使用者は外部からの補助なしで抵抗負荷を停止することができる。これらのグリップ要素は、負荷源が電子的に制御される場合(例えば、電気モータ、空気圧アクチュエータ)にのみ有効であり、電子的に制御された負荷源を有する任意のタイプの運動用マシンに取り付けられ得る。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、マシンフレームの完全な安定性を保証し、マシンを地面、壁又は固定された物体に固定する必要なく、コンパクト(小さなフレーム)で軽量な運動用マシンを実現する安全システムである。
【0018】
最後に、本発明の別の目的は、幅広い重量又は機能又はリハビリテーションの運動を行うための、安全、軽量、コンパクト、運搬可能、保管可能な運動用マシンを実現するために上述した手段の一部又は全部を組み合わせることによって従来技術のいくつかの欠点を克服することである。
【0019】
本出願人は、最先端技術の欠点を克服し、これら及び他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、試験し、実施した。
【0020】
従来の解決策及び技術の他の制限及び欠点は、以下の実施形態の図面及び説明を参照して本明細書の残りの部分を読んだ後において当業者には明らかとなり、本明細書に関連する技術水準の記載は、ここに記載されていることが先行技術の状態から既に知られていることを認めるものではないことは明らかである。
【0021】
本発明は、独立請求項に記載され、特徴付けられるが、従属請求項は、本発明の他の特徴又は主な発明思想に対する変形を記載する。
【0022】
本発明によれば、体操運動用マシンは、
スライドレールと、
前記スライドレールに摺動可能に取り付けられたキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、それぞれの回転軸を中心に空転可能な第1プーリ及び第2プーリと、
グリップ要素と、
別個の接続端部が前記グリップ要素にそれぞれ接続された第1ケーブルブランチ及び第2ケーブルブランチを含むケーブル牽引手段と、
前記第1ケーブルブランチ及び前記第2ケーブルブランチが前記第1プーリ及び前記第2プーリの周りに少なくとも部分的に巻き掛けられ、前記グリップ要素と前記第1プーリ及び前記第2プーリのそれぞれとの間に画定された第1戻りセグメント、及び、一方が前記キャリッジの第1側に延びる一方、他方が前記キャリッジの前記第1側とは反対側の第2側に延び、且つ、実質的に前記スライドレールに平行な第2戻りセグメントとを含み、
負荷源が前記第2戻りセグメントに接続されるか、或いは、前記第1ケーブルブランチ及び/又は第2ケーブルブランチが負荷源を構成するエラストマー材料で作られ、前記負荷源は、使用者が前記グリップ要素で牽引する間に前記グリップ要素で感じ取る一定の強度及び方向の抵抗力を生成するように構成される。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、体操運動用のマシンは、
グリップ要素と、
第1負荷源を生成するように構成された第1モータと、
第2負荷源を生成するように構成された第2モータと、
それぞれ別個の接続端部が前記グリップ要素に取り付けられ、前記各接続端部の反対側のそれぞれ別個の牽引端部が前記第1負荷源及び前記第2負荷源をそれぞれ受けるために前記第1モータ及び前記第2モータに接続された第1ケーブルブランチ及び第2ケーブルブランチを有するケーブル牽引手段と、
前記第1モータ及び前記第2モータに接続され、且つ、前記第1負荷源及び前記第2負荷源を調整して前記グリップ要素で使用者が牽引する間に前記グリップ要素で感じ取る一定の強度及び方向の抵抗力を生成するように構成された制御指令ユニットとを備えている。
【0024】
以下の説明及び特許請求の範囲において、ケーブルという単語は、ケーブル自体を含むとともに、ベルトやチェーンの如きケーブルのような構成要素も含む。
【0025】
以下で使われるDOFは、一般的に、各グリップ要素について、当該グリップ要素自体を保持する使用者が感じ取る抵抗負荷の「自由度」を表す。
【0026】
1つのDOFは、装置が抵抗負荷の値のみを制御でき、方向は制御されずに使用者の位置及びマシン構成に依存する。1つのDOFは、1つの抵抗負荷源のみを必要とする。これは、ここに発明されたベクトル化システムではなく、従来の運動用マシンにおける構成である。
【0027】
2つのDOFは、装置が抵抗荷重の値と作業面の方向とを制御できる。各グリップ要素には、少なくとも2つの独立した抵抗負荷源が必要である。
【0028】
3つのDOFは、装置が抵抗負荷の値と作業量の方向とを制御できる。各グリップ要素には、少なくとも3つの独立した抵抗負荷源が必要である。
【0029】
2つ及び3つのDOFベクトル化システムを作動させることができる。つまり、完全制御に必要な数よりも少ない独立した負荷源を持つことができる。これらの場合、方向を変えることができず、マシンの構成に依存するが、抵抗力の方向を一定に保持することができる(使用者の位置から独立して)。この明細書では、2つのDOFベクトル化システムのみクレーム化される。3つのDOFベクトル化システムは、経路に沿って移動するのではなく、平面上で移動することができるキャリッジと、より複雑なケーブル配置が必要であるが、ここで説明する基本的なベクトル化システムの組み合わせによって得ることができる。
【0030】
ベクトル化システムの異なる実施形態(そのうちのいくつかは、本出願でさらに詳細に説明される)は、負荷源の数、ケーブル牽引手段の経路及び各グリップ要素に関する機構に依存して異なるレベルの力のベクトル化を可能にする。
【0031】
本発明の好ましい抵抗負荷源は電動モータであり、より好ましくは、薄型ハウジングに取り付け可能なコンパクトな電気モータであり、コンパクトな運動用マシンの実現を手助けする。このようなモータは、動力源、モータコントローラ、モータ速度を測定するための追加のセンサ又は提供される実際の抵抗負荷等、適切に動作するための他の従来の部品が必要であるか、或いは必要であるかもしれない。モータは、使用者の運動の動きに応じてケーブル牽引手段が巻き取られ巻き戻される巻取スプールに連結され、前記モータはケーブルに所望の張力を維持して抵抗力の大きさ(ベクトル化システムで使用する場合は方向)を動的に制御することができ、これらのモータは、使用者の動きを監視し、マシンを制御するために作られた特定のユーザジェスチャを認識する負荷源及びセンサと同時に動作するのに適している。この能力は、モータ電圧とモータ速度との間の実質的な比例関係、或いは使用者の動きに関連するモータ速度を測定することができる特定のセンサ(例えば、エンコーダ)によって得られる。
【0032】
好ましい電動モータの型は、非常に平坦な形状を可能にするプリント電機子を備えた公知の”パンケーキ”モータである。それらは、スプールに直接的にか、或いはトルクを増加させることができる異なる伝達システムに直接結合することができるとともに、システムをフラットな形状にする。
【0033】
もう1つの好ましいモータの型は、ハブモータ(電動バイクで使用されるような)か、或いは、分離されたスプールを有する代わりに前記モータケースにケーブルを直接巻き付けることを可能にする回転ケースを備えた外部ロータモータである。
【0034】
さらに別の好ましいモータの型は、トルクを増加させるために遊星ギアヘッドと結合された従来のモータ(AC又はDC)である。スプールはギヤ軸に直接結合されているので、長くて細い同軸設計が可能であり、薄いハウジングに設置することができる。
【0035】
グリップ要素が少なくとも1つの好ましい実施形態は、グリップ要素を入力装置として機能させるとともに視覚手段によるマシンに対するユーザインターフェースを可能にするインターフェース装置と、運動又は機械のセットアップのための音響的又は触覚的なフィードバックと、運動中であっても抵抗負荷を作動、停止又は変更するための制御手段(従来からの種類である、少なくとも1つのボタン、1つのスイッチなど)とを含む。従来技術におけるこのようなインターフェース装置は、マシンのフレーム上に配置されている。グリップ要素のこの実施形態は、抵抗負荷が電子的に制御可能である場合(空気圧又は電気アクチュエータなど)にのみ有効である。
【0036】
この能力は、入力装置として動作し、且つ、使用者のジェスチャを認識するために、好ましい負荷源の型、電気モータの能力と組み合わせることができる。
【0037】
特に、使用者が特定のボタン、例えば各グリップ要素に組み込まれた一連のボタンを押すと、マシンが「セットアップモード」に切り替わり、使用者はグリップ要素を上昇又は下降させて(ケーブルを引っ張るか解放し、それに応じて電気モータを使用者の動きに応じて強制的に回転させて)、抵抗負荷を増減させる。他の使用者のジェスチャを、例えば、ベクトル化システム角度を変更するために(ベクトル化システムが実装されている場合)実装することができる。より具体的には、少なくとも1つのボタン(又は同等の手段)が、電源オン、電源オフ、抵抗負荷の変更、動作モードの変更のうちの少なくとも1つの機能を有する。使用者へのフィードバックは、振動装置又は視覚インジケータ(例えば、スクリーン又はLED)又はスピーカによって具体化することができる。ユーザジェスチャの読み取りを改善するためのセンサは、慣性測定ユニット(加速度計、ジャイロスコープなど)によって実施することができる。グリップ要素から提供されるすべての機能は、組み合わせることが可能であり、装置の有用性及び安全性を向上させることを目的とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明のいくつかの利点の中の1つは、グリップ要素で感じ取る抵抗力の方向が、使用者によって制御可能であり、抵抗負荷源以外の追加のアクチュエータなしで、指定された値に自動的に保持される。任意で、その方向の正確性を専用のセンサによって向上させることができる。さらに、負荷ベクトル化システムは、エクササイズ中に動的に作用し、他のパラメータ関数で様々なトレーニング曲線を実現することができる。さらに、ベクトル化システムは、マシンの構成を手動で変更する必要無しに、異なる種類の運動を迅速に変更したり、作業領域内の異なる位置を決めたりすることを可能にする自動調節システムとしても機能する。さらに、負荷ベクトル化システムは、キャリッジを手動ではなく特定の位置にセットするとともに保持して使用されることができ、使用者が固定又は選択可能なケーブル出口点を有する従来如きケーブルマシンのように練習を行うことを可能にする。
【0039】
本発明の好ましい抵抗負荷源は、エクササイズ中にケーブルを巻き取り巻き戻しする巻取ドラムに連結された非従来型(このタイプの運動用マシンのための)コンパクト電動モータであり、負荷の大きさ及び方向に抵抗する動的制御を可能にし、マシンの軽量化とコンパクト化を図り、緊急時に瞬時に負荷を停止にする機能により安全性を向上させる。これは、運動中に使用者の動きの測定、特に、マシン動作を制御するために作られた特定のユーザジェスチャを認識するのに適したセンサとしても機能する電動モータの能力に関連する。
【0040】
少なくとも1つのグリップ要素の好ましい実施形態は、入力装置及びマシンへのユーザーインターフェースとして機能し、先行技術においてはマシンのフレーム上に配置される一般的な手段であるけれども、人間工学と使いやすさとを向上させ、さらに、装置の安全性を高め、使用者は準備ができたときに抵抗負荷を作動させることができ、それをいつでも無効にすることができる。
【0041】
前記機能は、マシンの不安定性を防止するか、或いは使用者に警告する、又は、地面や壁に固定されていない軽いマシンで発生する可能性のある危険を覆すといった本発明の別の好ましいセキュリティ機能と関連付けられてもよい。
【0042】
マシンの一実施形態は、使用者が運動を行うために位置する薄いプラットフォームの形状を有する。すべての機構がプラットフォーム内に隠されており、使用者がマシン可動部品によって損傷を受けるのを防止して、装置の安全性を向上させている。プラットフォームが軽量で自由に地面に置けるので、使用しないときには自由に移動させて保管することができる。
【0043】
最後に、本発明は、モジュール的なアプローチ、すなわち、より複雑な運動用マシンを構築するために上述の基準機構の組み合わせを採用するとともに、負荷方向を反転させるために、ベンチ、ラック及びプーリシステムを含む従来の又は特殊な装置を追加することが可能である。
【0044】
本開示のこれら及び他の態様、特徴及び利点は、以下の説明、図面及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解されるであろう。本明細書にまとめられ、本明細書の一部をなす図面は、本発明のいくつかの形態の実施形態を示し、説明と共に、本開示の原理を説明することを意図している。
【0045】
本明細書に記載される様々な態様及び特性は、可能な場合には個別に適用することができる。これらの個々の態様、例えば添付の従属請求項に記載された態様及び特性は、分割出願の目的とすることができる。
【0046】
特許取得過程において、既に知られていることが発見されたいかなる様相又は特性がクレーム化されず、免責の対象となることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の好ましい実施形態の説明から明らかになり、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられるであろう。
【0048】
図1図1は、既知の運動用マシンにおける機能の図面と負荷の分布とを示す。
図2図2は、1つの可能な実施形態に従う運動用マシンの概略図である。
図3図3は、異なる使用状態における図2のマシンの概略図である。
図4図4は、図2の変形実施形態を示す。
図5図5は、図2の別の変形実施形態を示す。
図6図6は、図3の模式図の解決策である。
図7図7は、図5の可能な変形実施形態を示す。
図8図8は、図5の可能な変形実施形態を示す。
図9図9は、本発明の別の実施形態を示す。
図10図10は、ケーブル牽引手段がエラストマー材料で作られている本発明の可能な実施形態を示す。
図11図11は、ケーブル牽引手段がエラストマー材料で作られている本発明の可能な実施形態を示す。
図12図12は、ケーブル牽引手段がエラストマー材料で作られている本発明の可能な実施形態を示す。
図13図13は、2つの運動モジュールを備えた本発明の可能な実施形態を示す。
図14図14は、2つの運動モジュールを備えた本発明の可能な実施形態を示す。
図15図15は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
図16図16は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
図17図17は、可能な実施形態に従う本発明のマシンの構成要素の可能な実施形態を示す。
【0049】
理解を容易にするために、可能であれば、図面中の同一の共通要素を識別するために同じ参照番号が使用される。実施形態の1つの形態の要素及び特性は、さらなる説明なしに実施形態の他の形態に好都合に組み込むことができることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここで、本発明の様々な実施形態を詳細に参照するが、そのうちの1つ又は複数の実施形態が添付の図面に示されている。各実施例は、本発明の説明のために提供され、限定なものとして理解されるべきではない。例えば、1つの実施形態の一部として限定的に記載された図又は特性は、他の実施形態を生み出すために他の実施形態に、またはそれに関連したものに採用することができる。本発明は、そのような変更及び変形の全てを含むものと理解される。
【0051】
これらの実施形態を説明する前に、本発明の記載が、添付の図面を用いた以下の説明に記載されているように、構成要素の構造及び配置の詳細にその適用に限定されないことも明らかにする必要がある。本説明は、他の実施形態を提供することができ、様々な他の方法で取得又は実行することができる。
【0052】
本発明は、実施例と、完全制御(2つの負荷源)及び作動下(1つの負荷源)の2つのDOF構成の参照と、設計の手助けとを詳細に説明し、図2は、2つの抵抗負荷源と、直接的にか、或いは、滑車輪(図示せず)の経路を介してケーブル牽引手段16にそれぞれ作用する第1負荷源及び第2負荷源とを備えた2つのDOF完全ベクトル化システムのための運動用マシン100の一実施形態を示す。
【0053】
第1負荷源1及び第2負荷源2は、第1力F1及び第2力F2をそれぞれ発生するように構成されている。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、運動用マシン100は、当該運動用マシン100の構成要素の少なくとも一部を支持するように構成されたマシンフレーム”f”を備えることができる。
【0055】
マシンフレームfは、壁又は床、或いは、壁又は床のいずれかに取付可能な実際の骨組みによって接続するための接続ブラケットによって定義され得る。
【0056】
ケーブル牽引手段16は、単一体で作られるか、或いは、互いに往復可能に接続された2つ以上のケーブルを含むことができる。
【0057】
可能な解決策によれば、ケーブル牽引手段16は、グリップ要素6に取り付けられたそれぞれ別個の接続端部17を有する第1ケーブルブランチ”a”及び第2ケーブルブランチ”b”を含む。
【0058】
本発明の可能な実施形態によれば、例えば、接続端部17及び/又はそれらの反対側の端部に対応して単一体に繋いで、第1ケーブルブランチaと第2ケーブルブランチbとを一体なものとしてもよい。
【0059】
運動用マシン100は、スライドレール3に摺動自在に取り付けられた少なくとも1つのキャリッジ4を備えている。
【0060】
可能な動作条件によれば、本発明の一部ではないが、キャリッジ4は、手動又は追加のアクチュエータを用いて所望の位置に選択的に挟持され得る。
【0061】
スライドレール3は、直線状であってもよいし、円又は円弧のような形状を有していてもよい。
【0062】
スライドレール3は、内部が中空であるか、或いは、キャリッジ4をスライド式で内部に受け入れるように適切に成形された区分け棒により定義され得る。単に例として、中空の区分け棒は、その内部にキャリッジ4が配置され、その長手方向の開口部からケーブル牽引手段16が出るC字形状にすることができる。
【0063】
スライドレール3は、マシンフレームfと結合することができる。
【0064】
キャリッジ4は、支持体18と、例えば、スライドレール3に沿ってキャリッジ4の摺動動作を促進させるのに適した1つ以上の車輪か、又はボールからなるスライド要素19とを含み得る。
【0065】
本発明の可能な実施形態によれば、運動用マシン100は、キャリッジ4上に設置され、それぞれの回転軸の周りを空転可能な第1プーリ21及び第2プーリ22を含む。
【0066】
可能な解決策によれば、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbは、第1プーリ21及び第2プーリ22の周りに少なくとも部分的に巻き掛けられ、グリップ要素6と第1プーリ21及び第2プーリ22のそれぞれとの間に画定された第1戻りセグメント23、及び、一方がキャリッジ4の第1側25に延びる一方、他方がキャリッジ4の第1側25とは反対側の第2側26に延び、且つ、実質的にスライドレール3に平行な第2戻りセグメント24を含む。
【0067】
キャリッジ4の一方側と他方側との第2戻りセグメント24の特定の位置決め構成のおかげで、使用者Uがグリップ要素6に応力をかけるか、或いは空間におけるその位置を変化させるとすぐにスライドレール3に沿ったキャリッジ4の移動を確実に行うことができる。
【0068】
スライドレール3に沿ったキャリッジ4の平行移動の蓋然性は、第1負荷源1と第2負荷源2とによってそれぞれ生じる第1力F1及び第2力F2の合計の結果として生じる抵抗力Rの同じ向きを使用者Uが常に感じ取ることを確実にする。
【0069】
可能な実施形態によれば、第1負荷源1及び第2負荷源2は、1つ又は複数の重量ブロックを備えることができる。
【0070】
可能な実施形態によれば、第1負荷源1及び第2負荷源2は、使用者によって加えられる力に弾性的に対抗するように構成された1つ又は複数の弾性要素を備えることができる。可能な実施形態によれば、弾性要素は、ばね、抵抗要素、空気圧ピストン、又は同様の部品又は同等の部品のうちの少なくとも1つを含む群から選択することができる。
【0071】
可能な変形実施形態によれば、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbの少なくとも一部はエラストマー材料でできており、それ自体が負荷源を構成している。
【0072】
他の実施形態によれば、ベクトル化システムの一部でもあり、特定のベクトル化システムの実施形態に必要な数である第1負荷源1及び第2負荷源2は、大きさ及び方向において抵抗負荷を制御するために使用者の入力を受信したり、マシン動作を制御するために作られたユーザジェスチャを読み取るのに適した電気モータである。
【0073】
特に、第1負荷源1及び第2負荷源2は、それぞれ第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbにおいて使用者が及ぼす力に抗する力を生成するのに適した少なくとも1つのモータをそれぞれ備えることができる。
【0074】
本発明の可能な実施形態によれば、モータは回転モータ又はリニアモータを含むことができる。
【0075】
第1負荷源1及び第2負荷源2は、上述の実施形態の組み合わせから得ることもできることは明らかである。
【0076】
実験及びコンピュータシミュレーションは、負荷源1,2(例えば2つの電気モータの機構が負荷源タイプから独立しているが)が同じ量の力F1=F2=Fを発揮する場合、キャリッジ4は、図2の位置8に視覚化されているように、グリップ要素6の下で右に位置する傾向があることを示している。図2の位置7に示すように、グリップ要素の垂直方向の動きは、キャリッジ4の水平位置に影響しない。これにより、図2の実施形態によると、使用者Uがグリップ要素6で複雑な軌道を実行し、地球の重力に従って従来の重量で起こるような下方に向く2×Fに等しい抵抗力Rを常に感じ取る。
【0077】
図3は、例えば、F2よりもF1の方が大きいなど、負荷源1,2が異なる力を発揮する場合、キャリッジ4が位置10から位置11に移動し、その結果、水平方向に関するケーブルの角度が、arcos[(F1−F2)/(F1+F2)]に実質的に一致する角度9を成す。簡単に言うと、角度9は実質的に力F1及びF2にのみ依存し、所望の挙動を達成するように修正し得る。そのような状態において、使用者Uは、F1+F2に等しい抵抗力Rが水平方向に対して角度θを向いていると感じ取るようにグリップ要素6を自由に動かすことができる。F1とF2とが等しい場合、数学的関係は90°の角度になり、図2で説明した条件が得られることに注意する必要がある。
【0078】
可能な解決策によれば、上記で記載した、スライドレール3、キャリッジ4、第1プーリ21、第2プーリ22、グリップ要素6及びケーブル牽引手段16は、共に運動モジュール101として定義し得る。
【0079】
可能な実施形態によれば、単一の運動モジュール101自体が運動用マシン100を定義し得る。
【0080】
図2図12は、上述した運動モジュール101に関する解決策を示す。
【0081】
図4に示す解決策によれば、第1ケーブルブランチaと第2ケーブルブランチbとは単一のケーブル牽引手段16を画定するように一体化されている。
【0082】
この解決策によれば、運動用マシン100は、例えばスライドレール3の端部に対応するように互いに離間して配置された戻り部材13を備えている。
【0083】
ケーブル牽引手段16は、キャリッジ4に関連する第1プーリ21及び第2プーリ22に続いて戻り部材13に巻き掛けられる。
【0084】
したがって、ケーブル牽引手段16は、図4の上側に位置し、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbで定義される第1戻りセグメント14と、図4の下側に位置し、第1戻りセグメント14とは反対側に位置する第2セグメント15とを有す。
【0085】
負荷源12は、ケーブル牽引手段16の第2セグメント15に関連付けられるとともに、ケーブル牽引手段16に使用者Uがグリップ要素6で感じ取る抵抗力Rを加えるように設けられている。
【0086】
負荷源12は、1つ以上の重量を含むことができる。この解決策によれば、使用者Uによって感じ取られる抵抗力Rは、常に垂直方向か、又はスライドレール3の長手方向の展開に対して直角の方向に向く。
【0087】
可能な解決策によれば、戻り要素53は、第2戻りセグメント15と関連付けられ、負荷源12を所定の位置に維持するように構成される。戻し要素53は、マシンフレームf上に設置することができる。
【0088】
図5に示す解決策によれば、スライドレール3は、マシンフレームfに対して、スライドレール3の長手方向延長部に平行な回転軸Xを中心に回転可能に設けられる。
【0089】
この構成は、運動用マシン100に、より多くの使用用途を提供する。
【0090】
この変形例によれば、スライドレール3の回転に伴って第1負荷源1と第2負荷源2とを一体的に回転移動させることができる。
【0091】
図6には、スライドレール3が支持要素28に設置可能な解決策が示されている。
【0092】
支持要素28は、固定構造体に取り付けられた旋回要素29によってその両端が支持されている。旋回要素29は、支持要素28を回転軸Xの周りに回転させるように構成されている。
【0093】
可能な変形実施形態によれば、旋回要素29自体がマシンフレームfを定義するか、或いは旋回要素29の一体化部分とすることができる。
【0094】
図6に示す解決策によれば、支持要素28は、箱形又は管状を有することができ、すなわち、少なくともスライドレール3が固定されるキャビティが設けられ、キャリッジ4はその中に少なくとも部分的に収容される。
【0095】
支持要素28は、スライドレール3と実質的に平行に延び、支持要素28のキャビティを外側に連通させるスリット30を含むことができる。
【0096】
第1負荷源1及び第2負荷源2は、この場合には支持要素28のキャビティ内に支持要素28にしっかりと取り付けられている。
【0097】
例えば図7に示す別の実施形態によれば、スライドレール3は、横方向、この場合にはスライドレール3の長方形の展開に直交するように位置決めされた横方向ガイド31に設置可能である。
【0098】
この実施形態によれば、マシンフレームfは、固定構造体又はマシンフレームfの他の部分のいずれかに取り付けられた横方向ガイド31を備える。
【0099】
スライドレール3は、例えば、支持要素28によって、横方向ガイド31に沿って摺動するように取り付けられた摺動装置32に、直接的又は間接的に関連付けられる。摺動装置32は、キャリッジと、横方向ガイドに沿ったキャリッジのスライドを案内するための車輪及び/又はボールとを含む。
【0100】
この実施形態においても、スライドレール3が回転軸Xを中心に回転可能であることを提供できる。
【0101】
例えば、図8を参照に説明する別の変形実施形態によれば、スライドレール3は、スライドレール3の長手方向の展開に直交する第2回転軸Y周りを選択的に又は自由に回転可能であるようにすることが可能である。
【0102】
図8に示す可能な解決策によれば、第2回転軸Yは、スライドレール3の第1端部33に対応して位置決めされる。
【0103】
スライドレール3における第1端部33の反対側の第2端部34は、円軌道35の円弧に沿って摺動自在である。この解決策によれば、第2端部34は、支持するとともにスライドレール3を支持面に対して摺動させるように構成された摺動装置32を備えることができる。
【0104】
本発明の可能な実施形態によれば、湾曲ガイドが第2端部34の動きを制御及び案内するために設けられた円軌道35の円弧に関連付けされ得る。湾曲ガイドは、マシンフレームfと関連付けることができる。
【0105】
図8を参照して説明した可能な実施形態によれば、スライドレール3は、第2回転軸Yを中心に回転可能であると共に、図5図7を参照して説明したのと実質的に同様に回転軸Xの周りを回転可能である。
【0106】
図9を参照して説明した別の実施形態によれば、第1負荷源1及び第2負荷源2は、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbに使用者Uによって加えられる力に等しい抵抗力をそれぞれ発生させるのに適した第1モータ36及び第2モータ37を含むものとされ得る。
【0107】
好ましい解決策によれば、第1モータ36及び第2モータ37は、電気モータ、例えばパンケーキモータである。
【0108】
単なる例として、第1モータ36と第2モータ37とには、自身の回転軸の周りで選択的に回転可能であり、第1ケーブルブランチa又は第2ケーブルブランチbが巻き掛かるドラム44がそれぞれ設けられ得る。
【0109】
第1モータ36及び第2モータ37には、第1モータ36及び第2モータ37が第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbの動きに抗することができる力を制御するための制御装置38がそれぞれ付いている。
【0110】
可能な解決策によれば、制御装置38は、それぞれ第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbに加えられる第1力F1及び第2力F2をそれぞれ検出するように構成することができる。単なる一例として、制御装置38は、力センサ、ロードセル、伸張計、或いは類似の又は同等のセンサを備えることができる。
【0111】
可能な変形実施形態によると、制御装置38は、吸収された電流のような、少なくとも第1モータ36及び第2モータ37の電気的機能パラメータを検出するように構成することができる。
【0112】
制御装置38は、第1モータ36及び第2モータ37の駆動を調整し、第1ケーブルブランチaと第2ケーブルブランチbとに付与される第1力F1及び第2力F2の実体を決定するように構成された制御指令ユニット39に接続することができる。
【0113】
特に、力F1及びF2の実体を適切に調整することにより、第2戻りセグメント24に対する第1戻りセグメント23の所定の角度を決定して、抵抗力Rの予め定められた図9に角度9で示す角度を使用者Uに認識させることが可能である。
【0114】
第1力F1と第2力F2との間の差は、スライドレール3に沿ってキャリッジ4の一方側又は他方側への移動を決定し、それ故に第1戻りセグメント23の異なる傾斜をもたらす。
【0115】
可能な解決策によれば、運動用マシン100は、制御指令ユニット39に接続され、使用者Uが対話により運動の特定の実行モードを指示可能なインターフェース装置40を備える。インターフェース装置40によって供給される命令は、第1モータ36及び第2モータ37の駆動モードを決定するために使用される。
【0116】
特に、制御指令ユニット39には、運動用マシン100の所定の機能プログラムが記憶されている記憶デバイスが設けられていてもよい。インターフェース装置40によって、使用者Uは第1モータ36及び第2モータ37の異なる駆動モードを決定する機能プログラムのうちの一方又は他方を選択する。
【0117】
本発明の可能な構築によれば、検出器は、この制御装置38の場合、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbに関連付けることができ、グリップ要素6に使用者Uが及ぼす明確な応力及び/又は動作を検出するように構成されている。
【0118】
制御指令ユニット39は、データを処理するとともに使用者Uによって行われた特定のジェスチャを識別するために、作用するそれぞれの応力に関するデータを、負荷検出器、この場合制御装置38から受け取るよう構成されている。また、制御指令ユニット39は、検出されたこれらのジェスチャを、例えば制御指令ユニット39の記憶装置に記憶された所定の動作パターンと比較するように構成することもできる。
【0119】
マシンの特定の機能コマンドは、抵抗力Rの強さを大きくし、抵抗力Rの相互角度を変化させるために、特定の運動を行うのに適した所定の運動パターンにそれぞれ関連付けることができる。
【0120】
使用者Uのジェスチャを検出する例として、
上方向又は下方向の動きが検出された場合、抵抗力の増減が決定され、
一方向又は他方向への水平移動が検出された場合、これは使用者Uが感じ取る抵抗力Rの傾きの調整を生成する。
【0121】
単に一例として、インターフェース装置40には、
使用者Uが、例えば、第1モータ36及び第2モータ37によって加えられる力の実体及び/又は方向を定義することができる、少なくともボタン、画面、タッチスクリーンが提供され得る。
【0122】
インターフェース装置40は、グリップ要素6と関連付け得る。
【0123】
可能な解決策によれば、図示されていない移動センサをグリップ要素6に関連付けて、使用者Uによって与えられたグリップ要素6の動きを検出するように構成され得る。
【0124】
単に一例として、ジェスチャを検出するために動作センサを使用するとともに制御装置38を参照して説明したのと実質的に同様の方法でマシン100の機能を命令することができる。
【0125】
また、可能な変形実施形態によれば、図示されていないが、制御指令ユニット39は、例えばスマートフォン、スマートTV、バーチャルリアリティビューア、ゲームコンソールなどの遠隔装置に通信プロトコルを用いて遠隔で送信するように構成された、情報、例えばマシン100の使用中に検出されたデータを送信するための装置を提供し得る。検出されたデータは、リモートデバイスにインストールされたアプリケーションによって解釈されるとともに結び付けられ、他のユーザーとデータを共有する可能性がある。
【0126】
別の解決策によれば、運動用マシン100は、スライドレール3に沿ったキャリッジ4の位置と、第2戻りセグメント24に対する第1戻りセグメント23の角度のうちの少なくとも一方を検出するように構成された検出装置41を備え得る。
【0127】
可能な解決策によると、検出装置41は、例えば、スライドレール3(図9に示す場合)及び/又はキャリッジ4などのマシンフレームfに関連付けられた第1センサ42を少なくとも含み得る。第1センサ42は、スライドレール3上のキャリッジ4の位置を検出するように構成されている。
【0128】
別の解決策によれば、検出装置41は、例えば第2戻りセグメント24に対する第1戻りセグメント23の角度を検出するように構成された第2センサ43を備える。単なる一例として、第2センサ43をキャリッジ4に搭載することができる。
【0129】
第1センサ42及び第2センサ43、又はそれらのうちの少なくとも1つは、フォトセル、レーザセンサ、誘導センサ、静電容量センサのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0130】
キャリッジ4の位置又は第1戻りセグメント23の角度の少なくとも一方を探索する制御指令ユニット39は、第1モータ36及び第2モータ37の駆動モードを即座に決定することができ、したがって、グリップ要素6に作用する抵抗力Rの強さ及び方向を決定し、それ故に使用者Uによって感じ取られる。
【0131】
可能な解決策によれば、制御指令ユニット39は、第1モータ36及び第2モータ37によって供給されるトルクを制御し、それらを所定の分析表に従って経時的に一定又は可変に維持するように構成される。
【0132】
一方、モータの回転速度は自由であり、使用者の動きに依存する。
【0133】
いくつかのセンサが関与するより複雑な制御ロジックでは、センサ信号をフィードバックとしてトルクと速度とが制御される。
【0134】
図10〜12を参照にし、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbがエラストマー材料でできており、したがってそれぞれが負荷源を構成する本発明の可能な実施形態を説明する。
【0135】
可能な解決策によれば、第1ケーブルブランチaは、第2ケーブルブランチbが形成されるのと同じエラストマー材料で作ることができ、或いは、使用者Uによる抵抗力Rの特定の感知方向を定義するために、例えば弾性率が異なる材料で作ることができる。
【0136】
第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbには、一方又は他方のブランチに設置されたより多くの抵抗要素、走行を制限するクランプ装置、抵抗要素の予負荷を変化させる装置などを設けることができる。
【0137】
図10に示す実施形態によれば、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbには、マシンフレームfに取り付けられた接続端部17に対向し、例えば、取付ブラケットに対応する取付端部20がそれぞれ設けられている。
【0138】
可能な解決策によると、運動用マシン100は、この場合にはスライドレール3の端部に対応し、マシンフレームfに関連付けられた戻り要素45を備え、少なくとも第2戻りセグメント24をスライドレール3の長手方向の展開に実質的に平行に維持するように構成されている。
【0139】
図11に示す実施形態によれば、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbは、互いに一体的に相互に接続されており、ケーブル牽引手段16の全長は、グリップ要素6に取り付けられた2つの接続端部17の間に延びる。
【0140】
図11に示す解決策によれば、運動用マシン100は、スライドレール3に平行に配置された少なくとも第2戻りセグメント24と、第2戻りセグメント24に平行に配置された少なくとも連結セグメント47とを画定するためにケーブル牽引手段16が巻き掛けられる戻り部材46を備え得る。
【0141】
戻り部材46は、マシンフレームfに取り付けられて配置される。
【0142】
戻り部材46の存在により、ケーブル牽引手段16の張力をその長手方向の全長に沿って均一にすることが可能になる。
【0143】
図12には、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbの各々が、接続端部17及び取付端部20を含む別の変形実施形態が示されている。
【0144】
取付端部20は両方ともキャリッジ4に接続されており、この場合はキャリッジ4の第1面25と第2面26とにそれぞれ接続されている。
【0145】
図12に示す解決策によれば、運動用マシン100は、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbがそれぞれ巻き掛けられる第1戻り部材48及び第2戻り部材49を備える。
【0146】
特に、第1戻り部材48及び第2戻り部材49は、それぞれ一対の戻りホイールを備えることができる。
【0147】
各々の対の戻りホイールは、キャリッジ4の一方側と他方側とに位置し、それらの間にスライドレール3が配置される。
【0148】
第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbの両方、又は第1戻りセグメント23及び第2戻りセグメント24、第3戻りセグメント50は、第1戻り部材48の一対の戻りホイールと第2戻り部材49の一対の戻りホイールとの間に延在するよう画定され、第4戻りセグメント51が第1戻り部材48及び第2戻り部材49の戻りホイールのうちの1つから延びて取付端部20を用いてキャリッジ4に接続される。
【0149】
図10図12に示す実施形態によれば、電子デバイスは、グリップ要素6と関連付けることができ、少なくとも、
グリップ要素6に実際に作用する抵抗力Rを検出するセンサ、例えばロードセルと、
グリップ要素6のレイアウト、位置及び速度を推定するセンサ、例えば加速度計及び/又はジャイロスコープと、
センサにより信号を処理して運動パラメータ(例えば電力、速度、累積トレーニング負荷)を計算して制御指令ユニット39及び/又は遠隔装置に遠隔通信プロトコルを用いて送ることができる電子制御回路とを含む。
【0150】
可能な変形実施形態によれば、例えば図13及び図14に示すように、運動用マシン100は、マシンフレームf上に設置された複数の運動モジュール101を備えることができる。
【0151】
図13及び図14の各運動モジュール101は、単なる一例として、図2図12に示す実施形態を参照して上述したものと実質的に同様の構成を有することができる。
【0152】
図13及び図14の特定の解決策によれば、運動用マシン100は、2つの運動モジュール101を備え、それぞれのスライドレール3は、相互に離間して設置され、この場合、互いに平行である。
【0153】
図13及び図14に示す実施形態によれば、マシンフレームfは、使用者Uを支持するように構成されたプラットフォームpを備える。
【0154】
プラットフォームpは、例えば床などの支持面上に載置することができる。
【0155】
スライドレール3は、プラットフォームpと強固に結合している。
【0156】
プラットホームpは、少なくともスライドレール3及び各キャリッジ4が取り付けられた箱状体27によって画定され得る。
【0157】
また、箱状体27には、グリップ要素6をそれぞれ箱状体27の外側に配置するために、ケーブル牽引手段16を通過させるスリット28が設けられている。
【0158】
したがって、使用者Uは、運動を行うために、グリップ要素6の一方及び他方のいずれも、或いは両方同時に作用させ得る。
【0159】
図14を参照すると、各運動モジュール101において、第1負荷源1及び第2負荷源2は、図9を参照に上述したのと実質的に類似の方法で、第1モータ36及び第2モータ37を備える。
【0160】
各運動モジュール101において、それらの間にスライドレール3が配置され、スライドレール3に平行な第2戻りセグメント24を画定する戻りホイール52を設けることもできる。
【0161】
図15及び16は、キャリッジ、滑車及びガイドレールなしで同様の結果が得られる2つのDOFの完全ベクトル化システムの別の実施形態を示す。
【0162】
この場合、電子制御可能な負荷源1及び2と、負荷源1及び2によって加えられる抵抗力F1及びF2を調整することによって抵抗力の方向を制御する追加のセンサとが必須であり、グリップ要素6において、使用者Uは、図1で説明したようにケーブルaの第1ブランチの方向とケーブルbの第2ブランチの方向とにそれぞれ作用するF1とF2とのベクトル和に等しい抵抗力Rを感じ取る。適切なセンサは、角度9a,9b又はケーブルa及びケーブルbの露出する長さを直接的又は間接的に測定するために使用される。
【0163】
特に、図15及び図16に示す実施形態によれば、運動用マシンは、その全体が参照番号500で示され、図15に示されるような単一の運動モジュール510、又は図16に示されるような複数の運動モジュール510を含むことができる。
【0164】
運動用マシン500、又は特に運動モジュール510の少なくとも1つは、
少なくともグリップ要素506と、
第1負荷源501を生成するように構成された第1モータ536と、
第2負荷源502を生成するように構成された第2モータ537と、
それぞれ別個の接続端部517がグリップ要素506に取り付けられ、各接続端部517の反対側のそれぞれ別個の牽引端部518が第1負荷源501及び第2負荷源502をそれぞれ受けるために第1モータ536及び第2モータ537に接続された第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbを有するケーブル牽引手段516と、
第1モータ536及び第2モータ537に接続され、且つ、第1負荷源501及び第2負荷源502を調整してグリップ要素506で使用者Uが牽引する間にグリップ要素506に感じ取られる一定の強度及び方向の抵抗力を生成するように構成された制御指令ユニット539とを含む。
【0165】
本発明の別の態様によれば、運動用マシン500は、制御指令ユニット539に接続され、例えば水平に対して第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbの角度を検出するように構成された検出装置541を備える。単なる一例として、検出装置541は、マシンフレームf上の固定位置に設置することができる。
【0166】
検出装置541は、フォトセル、レーザセンサ、誘導センサ、容量センサのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0167】
第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbの角度を検出する制御指令ユニット539は、第1モータ536及び第2モータ537の駆動モードを即座に決定することができ、したがって、グリップ要素506に作用する抵抗力Rの強さ及び方向を決定し、それ故に使用者Uによって感じ取られる。
【0168】
第1モータ536及び第2モータ537には、第1モータ36及び第2モータ37について説明したのと同様に、捩りトルク、つまり各ケーブルブランチa,bに作用する力を制御する機能を有する制御装置38がそれぞれ設けられている。
【0169】
特に、制御装置38は、第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbの動きに対して第1モータ36及び第2モータ37が対抗することができる力を制御できるようにすることができる。
【0170】
また、制御装置38は、モータ536及び537の電気吸収パラメータを検出するために使用され、このようにしてグリップ要素506上における使用者Uによって生成された力の実体及び方向を決定することができる。
【0171】
可能な解決策によれば、制御指令ユニット539は、加えられる力の強度及び方向を各ケーブルブランチに維持するように構成することができる。
【0172】
図16に示す解決策によれば、運動用マシンは、単一のマシンフレームfに取り付けられた2つの運動モジュール510を含む。
【0173】
マシンフレームfは、少なくとも第1モータ536及び第2モータ537が収容された箱状体27によって画定された上述のプラットフォームpを備え得る。
【0174】
両方の運動モジュール510のモータを制御するための1つの制御指令ユニット539があり得る。
【0175】
制御指令ユニット39又は539によって行われる制御は、運動用マシン100、500の使用中に実行することができる。
【0176】
非作動状態では、制御される唯一のパラメータは抵抗力Rの強度であり、抵抗力の角度は一定である。
【0177】
運動用マシン100、500が作動される場合、場合によっては異なる制御モードを実施することが可能であり、例えば、
抵抗力R及びその抵抗力を感じ取る角度を制御すること、
抵抗力R及びキャリッジ4の位置を制御すること、である。
【0178】
センサ及びアルゴリズムの異なる組み合わせは、運動用マシンの挙動を制御するために利用でき、
1)抵抗力Rは、次のように制御され得る。すなわち、
・ケーブル端部とグリップ要素6との間に配置された1つのロードセルを用いて実際の抵抗力Rを測定する。この測定値は、各モータ電流を制御する閉ループ制御で使用される。
・第1ケーブルブランチa及び第2ケーブルブランチbに作用する力F1とF2とを、各ケーブルの張力を2つのロードセルで別々に測定するか、又はトルクセンサによりモータのトルクを測定する。この測定値は、F1+F2=Ftotを得るために、各モータ電流を制御する閉ループ制御で使用される。
・開ループ制御の摩擦及び慣性は、実際のF1とF2とを推定するために、負荷源速度(V1及びV2)、加速度(及びモータ温度のような他のパラメータ)の関数として、事前に又はルックアップテーブルで知られている。各負荷源の速度センサは、集計された補正値を適用し、各モータの制御信号を作成する必要がある。
【0179】
2)感知力の角度は、次のように制御され得る。すなわち、
・1.bと同様に、独立してF1とF2とを測定し、F1−F2の直接的機能である、所望の感知力角度値を維持するように各モータ電流を制御する。
・キャリッジにある角度センサで所望の感知角度を直接測定し、キャリッジから出てグリップ要素に到達するケーブルセグメントの角度を測定する。
・1.cと同様に、集計された摩擦と慣性とによって実際のF1とF2とを推定し、各モータ電流を制御して所望の感知角値を維持する。
【0180】
3)キャリッジ4の位置は、次のように制御され得る。すなわち、
・変換器が実際のキャリッジ位置を測定する。測定値は、各モータ電流を制御するための閉ループ制御で使用される。
・第1負荷源の速度V1及び第2負荷源の速度V2(例えばモータ軸に結合されたタコメータ又はモータの張力)を測定する。測定値は、V1=V2となるように閉ループ制御で使用される。これは、キャリッジの速度がVc=0であり、その位置が初期値で一定に保たれていることを意味する。
・第1及び第2負荷源1,2の位置を直接測定する(例えば、モータ軸に結合されたアブソリュートエンコーダを用いて)。キャリッジの位置は、第1及び第2負荷源1,2の位置に直接関連する。
【0181】
制御の可能な組み合わせは、例えば、
・1.a+2.b+3.b
・1.b+2.a+3.b
・1.c+2.c+2.b
などである。
【0182】
実施される組み合わせは、実際の機構の非効率性又は電動機の精度に依存する。
【0183】
図17は、動的条件においても機械の完全な安定性を保証する安全システムを示す(例えば、マシンフレーム上に完全に支持された使用者がその上を移動しているときや、或いは、使用者が負荷の掛かったグリップ要素を持っているときにうっかりとマシンフレームから降りた場合)。
【0184】
この安全システムは、本明細書に記載された実施形態の1つ又は他のものに採用することができ、また、筋肉トレーニング装置に採用することもできる。
【0185】
このシステムは、マシンフレームfの下に位置し、マシン全体を地面g上で完全に支持する所定数の力センサ15a、15b、15c、15dを備える。
【0186】
具体的には、センサ15a、15b、15c、15dは、プラットフォームpの支持面に対向する側に設置され、プラットホームpに作用する使用者Uの重量を検出するように構成されている。マシン100又は500は、センサ15a、15b、15c、15dに接続された警報システムも備え、検出されたデータの少なくとも1つが設定閾値よりも低いときはいつでも、警報信号を発するように構成されている。
【0187】
力センサ15a、15b、15c、15dの各々は、正常で安定した動作においてゼロよりも大きな重量を測定する(使用者がマシンフレーム上に完全に支持されている場合、静的状態においては、各重量の合計は、抵抗負荷が作用していても使用者の重量と機械の重量との和になる)。力センサ15a、15b、15c、15dの少なくとも1つがゼロに近い重量を検出すると、それは、フレームfが地面との接触を失っていることを意味し、その結果、不安定性又は転倒のリスクが発生しており(例えば、使用者が平衡で無くなっている)、マシンの中央コンピュータは、使用者に警告することができ、システムの安定性を維持又は回復させるために抵抗負荷を停止又は規制する。
【0188】
この特徴は、大きな支持台と重いフレームの必要性、或いは、装置を地面又は壁に固定する必要性を回避する。
【0189】
ここで、互いに組み合わせることができる本発明の他の実施形態を説明する。
【0190】
実施形態1:医療又はリハビリの目的と同様に、使用者Uの運動機能、機能的能力及び筋力の発達に適した運動用マシンは、マシンフレームf、p、身体部分に適した形状のグリップ要素6、該グリップ要素6に接続され、且つ、ウェイトスタック、抵抗要素、空気圧アクチュエータ又は電気アクチュエータのような負荷源1,2によって発生する抵抗負荷F,F1,F2を伝える1つ以上のケーブルa,bを備える。この実施形態によれば、運動用マシン100は、キャリッジ4を摺動可能に支持するレール3に結合され、且つ、ケーブルa,bをグリップ要素6に導く伝達手段5を収容するマシンフレームf,pを備え、各ケーブルの一端は、使用者の身体部分Uのためのグリップ要素6に取り付けられ、他端は、それぞれ負荷源1,2に接続され、グリップ要素6は、使用者Uによって自由に移動可能であり、使用者Uは、使用者の位置及び動きから実質的に独立した抵抗力Rを感じ取り、抵抗力Rは、負荷源1,2によって加えられ、使用者Uによって選択される力F,F1,F2に依存する。
【0191】
実施形態2:実施形態1に係る運動用マシン100は、負荷源1,2が使用者の移動に対して抵抗Rを作るとともに、キャリッジ4を位置決めするように力F1、F2を加え、ケーブルa,bの角度9は実質的に力F1、F2のみに依存し、キャリッジ4は使用者の動きに追従して角度9を一定に保ち、使用者Uは角度9に従って指向される抵抗力Rを感じ取って自由に動くことができる。
【0192】
実施形態3:医療又はリハビリの目的と同様に、使用者Uの運動機能、機能的能力及び筋力の発達に適した運動用マシンは、マシンフレームfと、身体部分に適した形状のグリップ要素6と、該グリップ要素6に接続され、且つ、ウェイトスタック、抵抗要素、空気圧アクチュエータ又は電気アクチュエータのような負荷源1,2によって発生する抵抗負荷F,F1,F2を伝える1つ以上のケーブルa,bとを含み、グリップ要素6に連結された2つのケーブルa,bに作用する2つの抵抗負荷源1,2を備え、前記抵抗負荷源は、使用者の動きに抵抗するように、且つ、グリップ要素6で感じ取る抵抗力Rの角度を所望の値に保つように力F1,F2の力を出し、力F1,F2は、各ケーブル10a,10bの角度9a,9bに依存する。
【0193】
実施形態4:使用者の運動能力及び機能的能力、筋力の発達に適するとともに、医療又はリハビリ目的に適した運動用マシンは、マシンフレームfと、身体部分に適した形状のグリップ要素6と、抵抗負荷をグリップ要素に伝達するために、ケーブルが巻き取り巻き戻されるスプールに直接的にか又はトルクを増大させるのに適した伝達システムを介して結合された電気モータを介して実施される負荷源を介して生成される抵抗負荷1,2を伝える1つ以上のケーブルa,bとを備え、前記モータが、パンケーキモータ、ハブモータ、又は外部ロータモータのような非従来型のものであり、グリップ要素6に適用され、マシンによって認識可能な抵抗負荷及び特定の動きの形であるユーザジェスチャを生成するために使用され、抵抗力値を変化させることを含む機械挙動を制御するために作られたことを特徴とする電気モータの一般的な制御手段を含む。
【0194】
実施形態5:実施形態4の運動用マシンにおいて、負荷源として使用される電気モータは、トルクを増加させるように調整された遊星歯車と歯車軸に直接的に繋がるスプールとに結合された従来のモータであり、細長い空間に設置するのに適した細長い同軸設計をもたらす。
【0195】
実施形態6:使用者の運動能力及び機能的能力、筋力の発達に適するとともに、医療又はリハビリ目的に適した運動用マシンは、マシンフレームfと、身体部分に適した形状のグリップ要素6とを備え、各グリップ要素は、電気的に制御されるのに適した負荷源を介して生成される抵抗負荷を伝える1つ以上のケーブルa,bに結合されており、グリップ要素6の少なくとも1つは、ユーザ動作と、視覚的、音響的又は触覚的フィードバック手段を介した、グリップ要素自体に配置されたこれらの手段の一部又は全部とによって抵抗負荷Fを作動、停止、及び変更するのに適した従来の制御手段を介してマシンに接続される入力装置及びユーザインターフェースとして機能することを特徴とする。
【0196】
実施形態7:実施形態6の運動用マシンにおいて、グリップ要素6の少なくとも1つは、心拍数、血中酸素濃度及びグリップ要素動作データなどの使用者の生体測定データを測定するのに適したセンサも含む。
【0197】
実施形態8:使用者の運動能力及び機能的能力、筋力の発達に適するとともに、医療又はリハビリ目的に適した運動用マシンは、マシンフレームfと、身体部分Uに適した形状のグリップ要素6とを備え、各グリップ要素は、ウェイトスタック、抵抗要素、空気圧アクチュエータ又は電気アクチュエータのような力を加えるのに適した負荷源を介して生成される抵抗負荷を伝える1つ以上のケーブルa,bに結合されており、安全システムは、マシンフレームfの下に位置するとともにマシン全体を地面g上で完全に支持する複数の力センサ15によってマシンの不安定性を認識し、各力センサは、正常で安定した動作においてゼロより大きい力を測定し、少なくとも1つの力センサ15は、マシンの初期の不安定性又は転倒の場合にゼロに近い力を測定し、その測定値は、使用者Uに警告するか、抵抗負荷源を調整するために使用されることを特徴とする。
【0198】
実施形態9:実施形態1〜3、5、7、8の運動用マシンにおいて、
少なくとも1つのレール3が結合され、且つ、ケーブルa,bをグリップ要素6に導くのに適した伝達手段5を収容する前記レールに沿って摺動するキャリッジ4を支持するマシンフレームfと、
マシンへの入力装置及びユーザーインターフェースとして機能し、各ケーブルa,bにそれぞれ接続されたグリップ要素6a,6bの少なくとも1つと、
抵抗負荷Fを発生させるとともに使用者が機械挙動及び抵抗負荷の大きさ及び方向を制御するジェスチャを読み取るのに適した電気モータとしての負荷源1,2と、
機械の不安定性を検出し、使用者に警告するか、或いは抵抗負荷源1,2を規制するのに適した安全システム15とを含むことを特徴とする。
【0199】
本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、これまでに説明したように、運動用マシン100に部品の変更及び/又は追加を行うことができることは明らかである。
【0200】
本発明を特定の例を参照して説明してきたが、当業者は、特許請求の範囲に記載された特性を有する運動用マシン100を含む多くの他の同等の形態を確実に達成することができ、それによるすべてが保護領域内に入る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17